JPH0699898B2 - 海洋構造物及びその設置方法 - Google Patents

海洋構造物及びその設置方法

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JPH0699898B2
JPH0699898B2 JP20023990A JP20023990A JPH0699898B2 JP H0699898 B2 JPH0699898 B2 JP H0699898B2 JP 20023990 A JP20023990 A JP 20023990A JP 20023990 A JP20023990 A JP 20023990A JP H0699898 B2 JPH0699898 B2 JP H0699898B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は海底に着地した状態で海洋に設置される、生
活を前提とした海洋構造物,及びその設置方法に関する
ものである。
〔従来技術及び発明が解決しようとする課題〕
洋上に構造物を構築する従来の方法は、埋立て予定地の
海底軟弱層に地盤改良を施しながらその外周区域を護岸
で区切り、この護岸内に土砂等を埋め立てることによっ
て造成された地盤上に構造物を建てる埋立て工法、浮体
を海底から係留させたまま、浮力により洋上に単に浮遊
させる浮体工法、及び遠浅の海岸線の沖合に堤防を築
き、その内側の水を排出して海底を露出させ、これをそ
のまま陸地とし、その後は埋立て工法と同様の基礎工事
を施す干拓工法とに大別される。
この中で、埋立て工法は造成された地盤が必要に応じて
地盤改良した後、通常の陸上の構造物と同様の施工工程
を経て完了するもので、構造物が地上構造物として完成
することにより風や潮流等には強い反面、建築工事に至
る以前に多くの時間と経費を要す、という工期と工費上
の損失が大きいことに加え、経年的な地盤沈下や地震時
の液状化の危険性に常に直面している、という決定的な
弱点を抱えている。
一方、浮体工法による構造物は海底から絶縁された状態
にあることにより地震力を直接受けることはなく、また
沈下の心配もないことから地震に対する安全性は高い
が、浮体であるために風や潮流により特有のロッキング
振動を生じ易い等、安定性に難があり、最悪の事態には
流される,あるいは沈没や転覆の恐れがあり、生活を目
的とした居住性を長期的に確保するのは困難である。
最後の干拓工法は地盤面が海面とほぼ同レベルにあるた
め災害時の安全性は堤防の信頼性に依存することになる
が、地震や高潮による堤防の決壊時には無防備であり、
また埋立て工法と同じく予備工事である築堤と排水に長
期間を割かなければならない。
以上の通り、従来の工法は浮体工法を除いて工期の長期
化が避けられないと同時に、建築工事の完了後はその現
場を着工前の原状に復帰させることが不可能である等、
環境保全上種々の問題を残している。また浮体工法以外
は規模の拡大が可能であるが、基本的な問題を抱える以
上、巨大化や多様化へ進む都市の実情に応えることは難
しい。
この発明はこうした背景を踏まえてなされたもので、従
来工法の弱点を克服しながら、将来的な要請に適う構造
物とその施工方法を新規に提案しようとするものであ
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では海底に適度な接地圧で着地した状態で構造物
を洋上に設置することにより、波浪や潮流,風、あるい
は大地震等の外力のいずれに対しても、海洋上に設置さ
れることに伴う転倒や沈下,沈没,あるいは流失等の障
害の発生を防止し、従来工法の居住上の問題点を全て解
決し、また単位ユニットの構造物を複数個連結し、規模
の拡縮が自在な人工島を構成することにより都市の膨張
に積極的に対応する。
構造物と海底との適度の接地圧,すなわち摩擦力は着地
させる地盤に根切りを施すことにより得られる。
海洋構造物は海中に大部分が埋没して設置され、根切り
された根切り底に着地する下部構造のユニットが基本と
なり、この基本的な構造物は両側に水が充満可能で、そ
の量が調節自在な一対のバラストタンクを有する。
水バラストを含めた構造物の全自重は、着底した状態に
おける浮力より大きく、且つ浮力と根切り土の全水中重
量との合計より小さい、すなわち構造物が浮力により浮
き上がりもせず、根切り底より下の地盤が構造物によっ
て圧密し、沈下することもない範囲で水バラストが調節
されて設置され、設置状態における高い安定性と安全性
が確保される。
構造物の全自重の多くは海水の浮力により相殺され、浮
力を上回る重量が根切り土の重量、すなわち根切りされ
る前にその底のレベルに働いていた荷重より小さく設定
されることによって根切り底の地盤は沈下しない状態が
維持されることになる。
以上の適度の接地圧で海底に設置されることによって、
構造物は風や波浪,潮流による外力に対しては着地面に
おける摩擦力で抵抗し、滑動や揺れの発生を回避する一
方、地震等の外力に対しては相対的に小さい摩擦力で海
底面との間に適度な滑りを生ずることによりこれを絶縁
して入力を低減し、いずれの規模の外力に対しても安定
し、安全性を発揮する。
この基本となる構造物は海底に着地することによって下
部構造となり、その上に海上に露出する上部構造が載る
ことにより居住性を有する海洋構造物を完成させる。
また基本の構造物,または上部構造が付属した構造物は
基本ニットとして複数個互いに連結され、全体的に環状
に閉じた状態に配置されることによって各種施設の収容
能力が高く、独立して生活,生産機能を保有し得る巨大
な人工島に匹敵する海洋構造物を構成する。
上部構造が付属する海洋構造物の設置は、地上で構築さ
れた下部構造のみの構造物を、バラストタンク内の水を
抜き、浮上した状態で所定の洋上まで曳航し、バラスト
タンク内に水を充填し、一旦水中に沈降させて根切りの
施された海底に着地させた後、上記の通り、上部構造と
水バラストの重量を含めた全重量が適度な範囲内に納ま
るよう、バラストタンク内の水量を調節しながらこの上
方に上部構造を構築する、という要領で行われる。
〔実施例〕
以下本発明を一実施例を示す図面に基づいて説明する。
まず第1請求項記載の発明を第2請求項記載の発明を含
めて説明する。
この発明の海洋構造物(以下後述の海洋構造物B0,Bとの
区別上、ユニットb0と呼称する)は第4図に示すように
根切りされた海底に着地して設置されるもので、両側に
配置される一対のバラストタンク1,1内の水の量の調節
によって浮力により浮上もせず、地盤の圧密により沈下
もしない状態を維持したまま海洋の固定構造物となるも
のである。
ユニットb0は第2図に示すように幅方向の両側にバラス
トタンク1,1を置き、その中間の空間を壁2やスラブ3
で仕切り、幅方向に直交する方向に連続する複数の空間
sを形成して構築される。
この内部の複数の空間sには第1図に示すように、互い
に連結されて第11図に示すような環状の海洋構造物Bを
構成した状態での、内部の連絡網としての道路,駐車
場,新交通システム等の交通施設や、通信,電気,ガス
等の各種のケーブル等を納める共同溝等の設備施設、更
には下水処理場,発電所等生活の基板となる公共施設等
が配備される。
ユニットb0は陸上のドライドックにおいて、鉄筋コンク
リート造,または鋼構造で構築される。規模はドックの
エリア内で建造可能な大きさで、後述する円環状の海洋
構造物Bの規模を直径2kmとした場合で、概ね約100×10
0m2程度である。
このユニットb0は後述する第2,第3請求項記載発明の海
洋構造物B0,Bの下部構造となり、最も基本的な単位とな
る。
ユニットb0は第3図−I〜IIIに示すように所定の設置
位置まで曳航された後、バラストタンク1,1内に水が充
填されることによって沈降させられ、水量の調節により
水バラストを含めたユニットb0の全重量を適当な大きさ
にして設置される。
ユニットb0の設置位置の海底には第3図−IIに示すよう
にある深度hだけ根切りが行われ、この根切り底にユニ
ットb0が着地する。
この根切り工事はユニットb0を後述するように適度の接
地圧、すなわち浮力で浮上せず、且つ海底がユニットb0
等の重量により圧密して沈下しない程度の接地圧により
着底させる目的で行われる。
着底時のユニットb0の、海底との接地圧は以下の条件を
満足する範囲内で設定される(第3図‐III参照)。
接地圧はユニットb0自身の重量W1と水バラストの重量
W2,及び後からユニットb0上に構築される上部構造UB
重量W3の合計(W1+W2+W3)と、ユニットb0の着底時におけ
る、海中部分に働く浮力γω(H+h)との差、(W1+W2+W3)
‐γω(H+h)で表されるが、この値がユニットb0上への
上部構造UBの完成時に正で、且つ根切り土の全水中重量
γ′hより小さい範囲にあることが条件となる。
ここに、W1,W2,W3は単位面積当たりの重量, γω:水の単位体積重量, γ′:土の水中単位体積重量, H:根切り前の海底の水深, h:根切り深さ。
前者は水バラストを含むユニットb0と上部構造UBからな
る海洋構造物B0の重量が浮力を上回り、海底から浮上し
ない条件であり、後者は浮力で打ち消された海洋構造物
B0の重量が根切り底の面に、根切り前にもともと作用し
ていた荷重(土砂の重量)を越えない、すなわち土砂に
代わって新たに構造物が存在することによって地盤が沈
下しない条件である。
以上の条件を式で表せば、 γω(H+h)<(W1+W2+W3)<γω(H+h)+γ′h となる。
ユニットb0,または上部構造UBが付属したユニットB0
この条件を満足することによって、風や波浪,潮流程度
の荷重作用時には底面における適度の摩擦力により滑動
に抵抗し、この摩擦力を越える地震等の大規模の荷重作
用時は適当に滑ることにより外力を回避し、常に海底と
接触状態を維持しながら安定状態を獲得することにな
る。
なお、ユニットb0上への上部構造UBの構築の進行に伴っ
て鉛直荷重が幅方向に偏心する可能性がある場合には、
第4図に示すように一対のバラストタンク1,1内の水量
をそれぞれに調節することによって全体重量を一定,且
つ均一に保持し、不同沈下や傾斜、転倒等の問題を解決
する。
ここで、上記の接地圧で定着したユニットb0の、地震等
の外力に対する安定性を検証する実験結果と解析結果を
付記しておく。
実験は第5図に示す遠心力載荷装置により実物大の1/10
00のモデルに、50Gの遠心力場を与えたときの動的挙動
を測定することにより行い、測定は地盤に地震動を加え
たときの構造物の応答加速度を、地盤と構造物の模型そ
れぞれに設置した加速度計で計測することにより行っ
た。その結果を第6図,第7図のグラフに示す。前者は
構造物を通常の工法で海底に定着させた場合の、後者は
上記の条件下で定着させた場合の結果であり、図中細線
が地盤加速度,太線が構造物の応答加速度である。
両図の対比で分かるように、従来工法の定着状態では構
造物の応答加速度と地盤加速度との差が見られない、す
なわち地盤の加速度がそのまま構造物に伝わるのに対
し、本発明の定着状態によれば応答加速度が大幅に低減
され、地盤の加速度がほとんど伝わっていないことが確
認される。
また解析は有限要素法による一次元モデルの非線型動的
応答解析により行い、構造物の海底への定着条件は第9
図に示すように構造物と地盤との間に存在する、ある一
定値以上の力が加わるとその結合状態が切れる、という
設定が与えられたジョイント要素によって評価されてい
る。
この解析結果を第8図に示すが、実験結果と全く同様の
結果が得られていることが分かる。
以上の結果より、大規模地震程度の外力に対しては構造
物の接地面が地盤に対して相対的に滑ることによって、
浮体と同じように外力に抵抗することなくこれを絶縁し
て入力を回避し、免震効果を発揮することが立証され
る。
また海洋構造物B0は海水中に設置されることにより地震
力に加え、波力,潮流力が作用するが、東京湾内で過去
に観測された波浪,潮位のデータを基に算定した値は大
型台風時における波力が16,000t,最大潮流力が500t程度
の大きさであり、これらの値は直径2km,水深15m程度の
規模を持つ円環構造物として完成する海洋構造物Bに対
しては影響のない大きさであることが分かり、これらの
外力は本構造物にとって問題はない、と判断される。
第2請求項記載の発明の海洋構造物(以下第3請求項記
載発明との区別上ユニットB0と呼称する)は上記発明の
ユニットb0上に上部構造UBを構築して完成するものであ
る。
上部構造UBは下部構造であるユニットb0が交通施設や設
備施設等の基礎的な施設を格納した地下構造物であるの
に対し、事務所,居住,商業,娯楽施設等主に生活を目
的とした施設を配置した地上構造物となっている。
この上部構造UBは下部構造のユニットb0の着底が完了し
た後に上記した通り、第3図−III,第4図に示すよう
に、バラストタンク1,1内の双方の水量の調節を行いな
がら、一旦充満された水を徐々に抜き、幅方向の均衡を
保ちながら構築され、第1図のように後述の人工島に相
当する海洋構造物の1単位を構成するユニットB0が完成
する。
上部構造UBは下部構造のユニットb0と同様に、例えば個
々の施設毎に予め陸上でユニット化し、現場まで搬送し
て組立,構築を行うことも可能であり、上部構造UBには
基礎工事が不要であることからこのユニット化の方法を
採用することが工期の削減上有効である。
続いて第3請求項記載の発明を説明する。
この発明の海洋構造物Bは第1請求項記載のユニット
b0、または上記発明のユニットB0が複数個集合し、第11
図,第12図に示すように平面的に環状に連結して構成さ
れるもので、第1図に示すように交通,通信設備や商業
施設と、居住や商業,娯楽施設等を装備し、陸上から独
立し、長期的に生活が可能な巨大な人工島を形成するも
のである。
ユニットb0,B0は第1図に示すように空間sの連通する
方向に互いに連結され、隣接するユニットb0,またはユ
ニットB0間の接続は従来の沈埋工法による沈埋トンネル
の連結の要領で行われる。
この海洋構造物Bの形態は例えば第12図に示すように平
面的に円形を形成することが安定上最も有利である。
海洋構造物Bが円環状に形成される場合、各ユニット
b0,B0は図示するように中心側がやや狭い楔形に製作さ
れる。
海洋構造物Bは単に円環状に形成されることによって各
ユニットB0,B0が互いに拘束し合い、安定性を確保する
が、これに加え、第13図に示すようにユニットB0を挟ん
で区分される海洋の水位に差を付けることによって更に
高い安定性を得ることができる。
すなわち内海の水位を外海の水位より低くすることによ
り外海の水圧を内海の水圧より大きくし、その圧力差の
分だけ常にユニットB0に外海より内海側に向かって圧力
が作用する状態を保持することによって、環状の海洋構
造物Bには第12図に示すように隣接するユニットB0,B0
が互いに圧接し合うフープコンプレッション(たが張り
応力)が働き、この力は各隣接するユニットb0,B0間の
接触圧力を大きくし、円形の海洋構造物Bの安定性を更
に高める効果がある。
構造物を挟んで水位に差を付けた場合、海底における圧
力差によって高水位側からの水の浸透が問題になるが、
この、外海から内海への揚水量の影響の検討結果を次の
表−1に示す。
この検討は第10図に示すような、不透水層の支持地盤上
に沖積粘土層等の透水層が載り、この透水層上に海洋構
造物Bが設置されたモデルを想定し、内外海の海底の水
圧差により透水層から内海側へ浸透する水量を算出した
ものである。透水係数κは東京湾の粘土地盤のそれに近
いオーダーの値として3通り選択し、流量QWは透水層を
伝って外海から内海側へ浸透する水量を表す。
この結果よりいずれの場合も、1分間に内海側へ流入す
る水量はバケツ数10杯にも満たなく、水位差の維持に影
響のない量であることが判明した。
以上の通り環状に組み立てられ、内海と外海とに水位差
の付けられた海洋構造物Bは、既に十分に安全性と安定
性の高い構造物であるが、大地震時における万一の事態
に備え、島としての海洋構造物B全体の安全度向上のた
め必要により第14図に示すようにユニットb0,B0の底面
下にせん断キー4やアンカー5を埋設する、ユニット
b0,B0の外側にストッパ6を置く、あるいは外海にドル
フィン7を設置する等の処理が付加される。
最後に第4請求項記載の発明を簡単に説明する。
この発明は第1請求項記載発明のところで既述したよう
に、第3図−I〜IIIに示すように陸上のドライドック
で構築された下部構造のユニットb0を、バラストタンク
1,1内の水を抜いて浮上させた状態で所定の海洋まで曳
航する一方、所定の設置地盤に根切りを行い、この根切
りされた海底に一旦バラストタンク1,1内に水を充填し
て着底させた後、このユニットb0上に上部構造UBを構築
してユニットB0を形成し、更にこれを連結して海洋構造
物Bを構成する方法である。
根切り深さhは完成するユニットB0の全重量と根切り土
の重量との関係が前記の式を満足するよう決定され、根
切り工事終了後、バラストタンク1,1内に水を充満して
ユニットb0を着地させる。
ユニットb0の着地後、上部構造UBの構築をその進行に伴
ってバラストタンク1,1内の水量を調節しながら水を抜
き、幅方向の均衡を保ちながら、鉛直荷重に偏心が生じ
ないように行い、ユニットB0を完成させる。
更に複数個のユニットB0を連結し、第1図,第11図に示
すような海洋構造物Bを構成した後、下部構造のユニッ
トb0の各空間sを連通させ、ここに前記した各種の設備
を配置し、生活機能を持った人工島が完成する。
この人工島となる海洋構造物Bと陸上とは、海底トンネ
ルにより連結され、道路,鉄道,通信ケーブルや、電
気,ガス,水道等を供給するライフライン等が敷設され
ることによって陸上との連絡が緊密化され、またあるユ
ニットB0に水門を設けることによって船による連絡も可
能となる。
他に、海上にある、という環境上の利点を生かし、海洋
構造物Bにはエネルギーを自給するための風力,潮流,
ソーラー発電の施設の設置も有効であり、また穏やかな
内海を利用したサーフィン,ヨット等の各種娯楽施設の
設置にも好適である。
〔発明の効果〕
この発明は以上の通りであり、基本的なユニットは根切
りの施された海底に浮上もせず、沈下もしない状態を維
持し、海底との間には適度の摩擦を保って設置されるも
のであるため波力,潮流力等の外力に対しては抵抗する
一方、地震等の大きな外力に対しては滑ることでこれを
絶縁する固定構造物となり、ユニットは単独であらゆる
外乱に対して安定すると同時に、高い安全性を確保し、
転倒や沈下,沈没,あるいは流失等の障害発生の蓋然性
を最小に抑えることができる。
またこのユニットを環状、特に円環状に組み立てること
により、そして環状の海洋構造物で区切られた内海と外
海とに水位差を付けることによりユニット間の接続状
態、すなわち全体の一体性が強まり、更に高い安定性と
安全性を得ることができる。
加えて、本発明の施工方法は従来の埋立て工法等とは異
なり、自然の海底地盤を部分的に根切りするのみでこれ
をほとんどそのままの状態で利用する一方、海中に埋没
する下部構造を陸上でユニット化して構築しておくもの
であるため、その設置後は海上での施工に依存でき、全
体的に施工工程と現場施工が簡素化され、海洋構造物と
しての規模に対して工費の節減と工期の短縮化を図るこ
とが可能である。
更に環状に完成する海洋構造物はユニットの連結により
規模と施設の拡大が自在であり、海底トンネルの敷設に
より陸上との連絡も円滑に行えるため将来的に巨大化
し、発展する都市の機能を受け入れる能力が高く、その
多様化に対応することが可能である。
また本海洋構造物は設置場所が海上であること、海底に
着地して設置されるものであること、及びユニットの構
築場所が陸上のドックであることから、構造物としての
耐用期間が経過、または不要化の理由が生じた場合に
は、これを施工と逆の工程で撤収することにより現場を
設置以前の原状に復帰させることができ、工事中を含
め、完成後も設置場所付近の環境を阻害することなく、
これを保全することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明、特に第2,第3請求項記載発明の実施例
を示した断面透視図、第2図は第1請求項記載発明の製
作例を示した斜視図、第3図−I〜IIIはユニットの曳
航から着底、上部構造の構築までの手順を示した概要
図、第4図は上部構造の鉛直荷重が偏心する場合のユニ
ットの構築例を示した概要図、第5図は地震時の動的挙
動測定用の実験モデルを示した立面図、第6図,第7図
はそれぞれ従来モデルと本発明のモデルの測定結果を示
したグラフ、第9図は解析モデルを示した立面図、第8
図はその結果を示したグラフ、第10図は内外海間の揚水
量検討用のモデルを示した立面図、第11図は第3請求項
記載発明の全体を示した鳥瞰図、第12図は海洋構造物を
円環状に配置し、内海と外海に水位差を付けた場合の力
学的な効果を示した平面図、第13図はそのときの断面
図、第14図は海洋構造物に補助的に安全確保用の部材を
付加した状態を示した断面図である。 b0……ユニット、1……バラストタンク、2……壁、3
……スラブ、s……空間、B0……ユニット、B……海洋
構造物、4……せん断キー、5……アンカー、6……ス
トッパ、7……ドルフィン。
フロントページの続き 特許法第30条第1項適用申請有り 日建設計SLI研究 会カタログ「FACT NIKKEN SEKKEI 軟着島 SOFT LANDING ISLAND 新 しい海上都市構想(平成2年3月30日)日建設計SLI 研究会発行、日刊建設産業新聞(平成2年6月29日)第 1ページ、建設通信新聞(平成2年6月29日)第2ペー ジ、日刊建設工業新聞(平成2年6月29日)第1ペー ジ、週刊首都圏プロジェクト第193号(平成2年7月3 日)都市計画通信社発行第22−23ページ、日本工業新聞 (平成2年7月3日)第1ページ、建設通信新聞(平成 2年7月10日)第6ページ、日本工業経済新聞(平成2 年7月16日)第2ページに発表

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】根切りが施された海底の根切り底に着地し
    て設置される構造物であり、水が充満可能で、その量の
    調節が自在な一対のバラストタンクを両側に有し、水バ
    ラストの重量を含めた自重は着底した状態における浮力
    より大きく、且つ浮力と根切り土の全水中重量との合計
    より小さい範囲内で、バラストタンク内の水量が調節さ
    れて設置されるものであることを特徴とする海洋構造
    物。
  2. 【請求項2】第1請求項記載の海洋構造物を海中に埋設
    される下部構造とし、この下部構造の海洋構造物上に海
    上に露出する上部構造を構築して完成するものであり、
    この上部構造と水バラストの重量を含めた自重は着底し
    た状態における浮力より大きく、且つ浮力と根切り土の
    全水中重量との合計より小さい範囲内で、バラストタン
    ク内の水量が調節されていることを特徴とする海洋構造
    物。
  3. 【請求項3】第1請求項,または第2請求項記載の海洋
    構造物を基本ユニットとし、この基本ユニットの海洋構
    造物を複数個互いに連結し、全体的に環状に閉じた状態
    に配置して構成されるものであることを特徴とする海洋
    構造物。
  4. 【請求項4】陸上で構築された第1請求項記載の海洋構
    造物を、バラストタンク内の水を抜き、水中から浮上さ
    せた状態で所定の洋上まで曳航し、バラストタンク内に
    水を充填して一旦着底させた後、これを下部構造として
    その上方に上部構造を、上部構造と水バラストの重量を
    含めた全重量を浮力より大きく、且つ浮力と根切り土の
    全水中重量との合計より小さくバラストタンク内の水量
    を調節しながら構築し、第2請求項,または第3請求項
    記載の海洋構造物を海底に設置する海洋構造物の設置方
    法。
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