JPH0694260B2 - トロリ線の氷結防止用通電装置 - Google Patents

トロリ線の氷結防止用通電装置

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JPH0694260B2
JPH0694260B2 JP19179090A JP19179090A JPH0694260B2 JP H0694260 B2 JPH0694260 B2 JP H0694260B2 JP 19179090 A JP19179090 A JP 19179090A JP 19179090 A JP19179090 A JP 19179090A JP H0694260 B2 JPH0694260 B2 JP H0694260B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、トロリ線に着霜・着雪して氷結するのを防止
する通電装置に係り、特に長い条長のトロリ線が使用さ
れる本線上に適した氷結防止用通電装置に関する。
(従来の技術) 冬期における気温低下により、トロリ線に霜や氷滴が付
着すると、車両のパンタグラフにより集電に支障が生
じ、運転が阻害されることがある。このようなトロリ線
への氷滴付着を防止する手段として、トロリ線に定期的
に油を塗布する方法やトロリ線としてヒーター線を内蔵
したものを用い、このヒーター線に通電してトロリ線を
加熱する方法が知られている。
油を塗布する方法では、定期的な塗布作業に労力を要す
るほか、塗布によりトロリ線のしゅう面が荒れたり、油
の滴下により車体を汚損するという問題点がある。しか
し、トロリ線に内蔵されたヒーター線を通電加熱する方
法ではこのような問題は生じることがなく、車両走行用
の直流高電圧が印加されたトロリ線本体を通電回路の一
部として用い、ヒーター線両端に交流電圧を印加して、
車両の走行中にもヒーター線へ通電可能な方法が知られ
ている。
これは第4図に示すように、トロリ線10としてトロリ線
本体11にヒーター線12が絶縁して内蔵されたものを用
い、トロリ線本体11には、直流電源20により直流高電圧
(例えば、1500V)が印加される。ヒーター線12の一端1
2bはトロリ線本体11と接続され、他端12aは絶縁変圧器2
1の二次巻線の一方の端子に開閉器23を介して接続され
る。絶縁変圧器21の二次巻線の他方の端子はコンデンサ
22および開閉器23を介してトロリ線本体11と接続され
る。絶縁変圧器21の一次巻線は配電線15に接続されてい
る。上記のような交流通電回路がトロリ線10の必要な区
間に設けられ、連続的にトロリ線の氷結を防止するよう
になっている。ここでヒーター線12はトロリ線本体11に
内蔵されているが、トロリ線本体11とヒーター線12との
絶縁は、絶縁変圧器21の二次巻線に生じる最大電圧に対
応する絶縁性能を有するものとされている。
トロリ線本体11にはき電線13を介して直流高電圧が常時
印加されており、電車30はいつでも運転可能である。
以下に、この氷結防止装置の動作を説明する。
開閉器23を投入すると、絶縁変圧器21の二次巻線からト
ロリ線本体11を介してヒーター線12の両端12a,12bに交
流電圧が印加される。この交流電圧の印加によってヒー
ター線12が発熱し、トロリ線本体11の氷結を防止する。
このとき、トロリ線本体11の直流電流はコンデンサ21に
よって遮断され、配電線15への流入が防止される。同様
に、絶縁変圧器21も直流電圧の配電線15への課電を防止
する。
(発明が解決しようとする課題) しかし、従来の通電装置によると、車両基地などの比較
的短い条長のトロリ線(500M程度未満)が並設されると
ころで実施するのには問題は生じないが、本線上で実施
した場合は、約800〜1600Mごとにトロリ線を引き止め、
区分施工されているので、ヒーター線の単位長、すなわ
ち第4図における符号12aから12bまでの長さが大きくな
ってヒーター線の電気抵抗が増大し、必要な発熱量が得
られない。
この対策として印加電圧を大きくするか、電気抵抗の増
大を制限するか、いずれかの措置が必要となる。
しかし、印加電圧を大きくするとヒーター線とトロリ線
との電位差が大きくなり、両者間の絶縁性能を改善する
必要がある。また、電気抵抗の増大を制限する方法とし
てヒーター線を太径化する方法があるが、太径化するこ
とによってトロリ線全体の重量が増加し、付属金具、電
車線構造の変更や支持物の改修が必要となって改修費用
が多大となる。
一方、本線においてもヒーター線を短くして電気抵抗の
増大を制限する方法もあるが、この方法ではトロリ線を
短尺化し、この短いトロリ線ごとに引き止めて配設する
か、ダブルイヤー接続でヒーター線の端末を取り出すこ
とになる。条長の短いトロリ線を引き止めることは改修
費用が多大となり、また、ダブルイヤー接続で端末を取
り出した場合には車両が高速走行したときにパンタグラ
フの離線を発生させる原因となるという問題がある。
本発明は上記のような問題点を解決するためになされた
ものであり、条長の長いトロリ線が配設される本線にお
いても、トロリ線を短尺化せず、また、トロリ線に内蔵
されるヒーター線を太径化したり、絶縁性能を改善する
ことを要しない氷結防止用通電装置を提供することを目
的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明は上記の目的を実現するため、ヒーター線をトロ
リ線本体と絶縁して内蔵したトロリ線を用い、トロリ線
と電車線路に直流高電圧を印加する直流電源と別個に、
トロリ線両端に配電線より取り出した交流電源を配す
る。この両端の交流電源を含んでヒーター線およびトロ
リ線本体で閉ループを形成し、得られる直列加算電圧を
ヒーター線に印加する。
長い区間に上記通電装置を用いる場合は、ヒーター線を
内蔵するトロリ線を複数連続して配し、隣接するトロリ
線の端部が突合せられる部分に、単一の交流電源を設け
て両側のヒーター線に給電する。このとき、両側に隣接
するいずれの交流電源とも、2つずつをトロリ線本体で
直列に接続し、2つの電源間のヒーター線に課電する。
また、トロリ線の表面温度を感知するセンサーとトロリ
線の表面温度が0℃以上になるようにヒーター線の通電
及び遮断を行う開閉器を含む制御器を設ける。この制御
器は、上記交流電源の1箇所おき毎に配置して、両側の
ヒーター線の通電制御を行えるようにする。
(作用) 上記のような構成の通電装置では、トロリ線本体に車両
走行用の直流高電圧が印加された状態であっても、トロ
リ線本体とこれに内蔵されたヒーター線とを含む通電回
路に交流が通電され、トロリ線を加熱して氷結が防止さ
れる。
このとき、トロリ線両端に配して交流電源は加算電圧が
電源電圧より大になるように直列接続されており、ヒー
ター線両端には、この加算電圧が印加される。しかし、
トロリ線本体とヒーター線との電位差はひとつの電源電
圧の最大値以上とはならない。このため、従来の方法と
比較し、トロリ線本体とヒーター線との間の電位差は同
一であってもヒーター線両端には最大2倍までの電圧が
印加されている。
トロリ線を複数連続して配し、それぞれに上記交流通電
回路を設けた場合においては、その突合わせ部に、単一
の交流電源が配設され、両側に隣接するいずれの電源と
も、それぞれ直列となるようにトロリ線本体で接続され
ており、すべてのヒーター線に二つの電源の直列接続に
よる加算電圧が印加される。
また、電源の投入および遮断を制御する制御器は両側に
配設されたヒーター線の通電を制御するようになってお
り、電源一箇所おき毎に設けられているが全てのヒータ
ー線のそれぞれの通電制御を行なうようになっている。
しかし、各電源に固有の制御器を設けること、および1
個の制御器により3つ以上のヒーター線の通電制御を妨
げるものではない。
(実施例) 以下、図面を用いて本発明に係るトロリ線の氷結防止用
通電装置の好ましい実施例を詳細に説明する。
第1図(a)、(b)は本発明の一実施例であって基本
的一通電回路を示し、トロリ10は、トロリ線本体11とこ
れと絶縁して内蔵されたヒーター線12からなっており、
トロリ線本体11と電車線路14には、直流電源20により、
き電線13を介して直流1500Vが課電される。
ヒーター線12の両端に設ける交流電源として絶縁変圧器
21-1、21-2を用い、一次巻線は、信号回路や保守用動力
の電源供給のために電車線支持物等に添架されている配
電線15に接続される。ヒーター線の一端12aは開閉器23
-1を介して絶縁変圧器21-1の二次巻線側の一端子と接続
され、二次巻線の他端はコンデンサ22-1と開閉器23-2
を介してトロリ線本体11と接続される。
さらにトロリ線本体11はトロリ線の他端側において絶縁
変圧器21-2の二次巻線側の一端子とコンデンサ22-2と開
閉器23-3を介して接続されている。絶縁変圧器21-2の二
次巻線の他方の端子は、開閉器23-4を介してヒーター線
の他端12bと接続され、このとき絶縁変圧器21-1、21-2
の二次巻線はトロリ線本体11およびヒーター線12によっ
て直列に接続され、両者に生じる電圧のベクトルの和が
ヒーター線12の両端に加算して印加されるように位相が
合わせられている。すなわち、第1図(b)の等価回路
から明らかなように、ヒーター線12の両端にはVsinθ−
(−Vsinθ)=2Vsinθの電圧が印加される。一方、ヒ
ーター線12とトロリ線本体11の間にはVsinθの電圧しか
印加されない。
上記のような氷結防止用通電装置では、開閉器23の投入
により通電状態となったとき、ヒーター線12の両端に
は、前述したように二次巻線に生じる最大電圧の和の電
圧が生じる。従って、従来と比べてトロリ線本体11とヒ
ーター線12との間に生じる電位差は同じであってもヒー
ター線両端12a、12b間に印加される電圧が最大2倍とな
る。このためトロリ線の条長を長くして通電加熱するた
めのヒーター線長が最大2倍になっても絶縁性能の変更
なしで同じ発熱量を得ることができる。
なお、トロリ線本体11には直流電源20による直流電圧が
課電されていても、コンデンサ22が絶縁変圧器の二次巻
線に分流するのを防止し、電車30の走行中であっても、
トロリ線11とヒーター線12と2つの絶縁変圧器で構成さ
れる回路に交流を通電することができ、トロリ線の氷結
防止が可能である。また、交流通電回路の電源を絶縁変
圧器とすることによって二次側の異常時に直流1500Vが
一次側に流入するのが防止される。
第2図は、本線などの長い区間に本発明の氷結防止用通
電装置を設置した場合の実施例を示し、連続して複数の
単位で設置されたトロリ線10-1〜10-4はトロリ線本体11
-1〜11-4とこれに内蔵されたヒーター線12-1〜12-4から
なるものとし、各条長ごとに引き止められている。各引
き止め位置には絶縁変圧器21-1〜21-4を設置し、これら
の一箇所おき毎に、トロリ線の表面温度を感知するセン
サー25-1〜25-4及び通電と遮断を行う開閉器23を制御す
る制御器26-1〜26-2が設けられている。
制御器が併設された絶縁変圧器(符号21-2、21-4、…)
の二次巻線側の一方の端子は分岐して、それぞれがコン
デンサ22と開閉器23を介して両側のトロリ線に内蔵され
たヒーター線と接続される。二次巻線の他方の端子は、
直流電源20によって、電車路線14との間に直流1500Vが
課電されたトロリ線本体11に接続されている。制御器26
-1、26-2が併設されていない絶縁変圧器(例えば符号21
-3)の二次巻き線の一方の端子はトロリ線本体11と接続
され、他方の端子は両側に配設されたトロリ線10-2、10
-3の双方のヒーター線12-2、12-3に接続される。このと
き各絶縁変圧器21-1〜21-4とも2倍の加算電圧が生じる
ように位相を合わせて直列に接続されている。
このような通電装置では、それぞれの絶縁変圧器の二次
巻線には両側の通電回路の和の電流が流れるが、一つの
絶縁変圧器で両側の通電回路に給電することができる。
例えば、絶縁変圧器21-2の二次巻線から、トロリ線本体
11-2と絶縁変圧器21-3の二次巻線とヒーター線12-2とを
含む通電回路と、トロリ線本体11-1と絶縁変圧器21-1
二次巻線とヒーター線12-1とを含む通電回路との双方に
給電される。このため双方に給電するのに充分な容量の
絶縁変圧器を用いることを要するが、ヒーター線12-2
は絶縁変圧器21-2と絶縁変圧器21-3の二次巻線に生じる
電圧の和を印加することができ、ヒーター線12-1には絶
縁変圧器21-2と絶縁変圧器21-1の二次巻線に生じる電圧
の和を印加することができる。
以下、区間10-1を例に動作を説明する。
センサー25-1がトロリ線本体11-1の温度信号を制御器26
-1へ与える。トロリ線本体11-1の表面温度が0℃以下に
なると、制御器26-1はヒーター線12-1に接続された開閉
器23を投入し、絶縁変圧器21-1、21-2の電源電圧の和で
ある加算電圧2Vsinθをヒーター線12-1に印加する。ヒ
ーター線12-1の発熱によってトロリ線本体11-1の表面温
度が所定の温度に上昇すると、制御器26-1はヒーター線
12-1に接続された開閉器23を解放して電源を遮断する。
第3図(a)は、絶縁変圧器の一次巻線を三相の配電線
に接続した本発明の通電装置の例を示す。
三相間の負荷の不均衡が生じないように、各絶縁変圧器
21-1〜21-5の一次巻線は順次異なる相に接続されてい
る。これらの二次巻線側端子は上記第2図に示す実施例
と同様に、両側に隣接するいずれの絶縁変圧器とも直列
に接続され、コンデンサ22、開閉器23を介してヒーター
線12の両端に課電するようになっている。
本実施例では、第3図(b)に示すように、隣接する絶
縁変圧器の二次巻線に生じる電圧のベクトルの和
がヒーター線両端に印加されるような位相で接続さ
れている。従って、相電圧の の電圧がヒーター線両端に印加される。また、複数個配
置される絶縁変圧器の一次巻線を順次異なる相と接続す
ることによって三層の配電線の負荷に不均衡を生じるこ
となく、第2図の実施例と同様に長い区間にわたる通電
装置を得ることができる。
なお、三相から受電する場合において相間の負荷の不均
衡を生じさせない方法として、配置される絶縁変圧器の
数を三分割し、同相から受電する絶縁変圧器を続けて配
置し、一つのヒーター線の両端の絶縁変圧器が同位相と
なるようにして二次巻線に生じる電圧の和が印加される
ようにすることもできる。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明のトロリ線の氷結防止用通
電装置では、トロリ線両端に配置した交流電源を直列に
接続し、ヒーター線両端に二つの電源のベクトルの加算
電圧を印加することによって、トロリ線本体とヒーター
線との電位差の2倍までの電圧をヒーター線両端に印加
することができる。
この結果、本線上においても既存のトロリ線条長すなわ
ち引止め位置間の距離(約800〜1600M)を変更したり、
従来の方法において使用するのと同じ断面のトロリ線で
ダブルイヤー接続を行なったりすることなく、充分な発
熱量が得られ、改修費用が低廉で経済的なトロリ線の氷
結防止用通電装置を得ることができる。
また、長い区間に連続して通電装置を設ける場合におい
てトロリ線の突合せ部ごとにに一つの絶縁変圧器を設
け、両側のヒーター線に給電し、絶縁変圧器の設置位置
の1箇所おき毎に制御器を配置することによって絶縁変
圧器および制御器の数が少なくて設置費用が低廉である
とともに、長い区間のうち必要な範囲のみの通電加熱が
行なえる、経済的な通電装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)、(b)は、本発明の一実施例であって基
本的な一通電回路およびその等価回路を示す説明図。第
2図は、本線上の長い区間における本発明の実施例を示
す説明図。第3図(a)、(b)は、長い区間における
本発明の他の実施例を示す説明図およびベクトル図。第
4図は、従来のトロリ線の氷結防止用通電装置を示す説
明図。 符合の説明 10……トロリ線 11……トロリ線本体 12……ヒーター線 13……き電線 14……電車線路 15……配電線 20……直流電源 21……絶縁変圧器 22……コンデンサ 23……開閉器
フロントページの続き (72)発明者 山田 孝 千葉県船橋市市場1丁目6番 JRアパー ト10―507 (72)発明者 大内 孝 東京都千代田区丸の内2丁目1番2号 日 立電線株式会社内 (72)発明者 佐藤 保夫 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社日高工場内 (72)発明者 中村 修 茨城県日立市川尻町1500番地 日立電線株 式会社豊浦工場内 (56)参考文献 特開 平2−92749(JP,A) 特公 昭44−13914(JP,B1)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直流電圧が印加されるトロリ線本体と、こ
    れと絶縁して内蔵されたヒーター線とを含む通電回路
    に、交流電流を通電するトロリ線の氷結防止用通電装置
    において、 前記ヒーター線両端に交流電源を配し、これらの電源を
    前記トロリ線本体を介して直列接続として前記ヒーター
    線両端に前記電源の加算電圧を印加することを特徴とす
    るトロリ線の氷結防止用通電装置。
  2. 【請求項2】トロリ線に内蔵されたヒーター線に通電し
    てトロリ線の氷結を防止する氷結防止用通電装置におい
    て、 前記ヒーター線の両端に接続され、前記トロリ線ととも
    に閉ループ回路を構成することにより、個々の電源電圧
    より大なる加算電圧を前記ヒーター線に印加する2つの
    電源回路と、 前記トロリ線の温度を検出する検出手段と、 前記電源電圧を前記ヒーター線に印加および遮断する開
    閉手段と、 前記検出手段が検出した前記温度に基づいて前記開閉手
    段の投入および解放を制御する制御手段を含むことを特
    徴とするトロリ線の氷結防止用通電装置。
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