JPH0692277B2 - 選択エピタキシャル方法 - Google Patents

選択エピタキシャル方法

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JPH0692277B2
JPH0692277B2 JP2009522A JP952290A JPH0692277B2 JP H0692277 B2 JPH0692277 B2 JP H0692277B2 JP 2009522 A JP2009522 A JP 2009522A JP 952290 A JP952290 A JP 952290A JP H0692277 B2 JPH0692277 B2 JP H0692277B2
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ion source
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cluster ion
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睦郎 小倉
昌徳 古室
啓三 清水
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工業技術院長
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、金属あるいは半導体を適当な基板上に堆積さ
せる選択エピタキシャル装置に関し、特に望ましくはサ
ブ・ミクロン・オーダ以下に及ぶ極めて高い分解能を保
ちながら、高速な堆積速度で定められたパターンに従
い、金属や半導体の膜ないし構造物を得られるようにす
るための改良に関する。
[従来の技術] 純粋な電子機能のみならず、光機能を営むものも含めた
意味での電子デバイスないし半導体装置の作製には、こ
れまでの所、フォト・リソグラフィが最も多用されてき
た。しかし、この手法では、将来的に益々もって集積回
路の密度向上が迫られている状況には応え難く、すでに
限界が見始めている。事実、数十枚にも及ぶフォト・マ
スクとその倍以上の素工程を経ねばならないことも最早
常識化しており、そのために素子の精度や歩留まりは低
下し、製造期間や製造コストも重大な問題となってき
た。
こうしたことから、従来においても、ある素工程で作製
すべき金属膜や半導体膜、あるいはそれらのかたまりと
しての何等かの構造物を、直接的なパターン描画で形成
できないかとの検討が幾つかなされるに至っている。
そうした中で、比較的実用性が高いと考えられている手
法の一つに、イオン・ビームを用いる方式がある。本発
明も、広くはこうした技術分野に属するので、これまで
に報告されているイオン・ビーム利用型の従来法に関
し、説明する。
もっとも、イオン・ビームは、それの持つエネルギが大
きいことから、通常、半導体層への不純物打ち込みや、
エッチング、ミリング、スパッタリング等々、原子を打
ち込んだり材料を削り採ったりする用途に使われること
が殆どで、逆に基板上に金属膜や半導体膜を堆積させる
ために用いたとする技術研究は意外に少ない。
そこで、そもそもイオン・ビーム発生装置自体について
考えると、原理的には静電気力により適当な範囲内の導
電率を持つ材料をイオン化して引き出すので、こうした
装置は総称して電解電離(FI:field ionization)現象
を利用していると言えるが、イオン化すべき材料が供給
される部分、すなわちイオン源自体に着目すると、さら
に電界脱離(FD:field desorption)タイプと電界蒸発
(FEV:field evaporation)タイプとに分けることがで
きる。
FDタイプのイオン源は、極めて先端が尖鋭化したチップ
(針状電極)をこのチップとは異なる材質ないし組成物
の液化した材料で濡らし、これを強い静電場に置いてイ
オン化するものであり、FEVタイプでは、明らかにチッ
プ材料そのものがイオン化されるものを言う。なお、気
体材料をイオン化する場合のみ、これを特にFIとしてFD
やFEVと区別することもあるが、本書では上述のよう
に、FIは包括的な概念とする。
してみるに、FEV原理に従うイオン源では、使用と共に
チップが減っていってしまうので、その寿命が問題とな
る。そこで、従来からも、こうした問題を補う方法とし
て、いわゆる液体金属イオン源(LMIS:liquid metal io
n soyrce)の使用が提唱された。これにはキャピラリと
かニードルとか呼ばれる内部中空で注射針に似たパイプ
部材を使用し、この中に液体金属材料や液体金属合金材
料を供給するものであり、事実これにより、連続的に当
該材料をイオン化することができる。
一方、引き出され、イオン化された原子の流れ、すなわ
ちイオン・ビームは、一般に電子レンズ系(コンデンサ
・レンズや対物レンズの組合せであるが、特にこれらに
用いられる電子レンズとしてアインツェル・レンズ等と
呼ばれるものがある)により集束され、偏向される。
したがって、こうした装置は通常、総括的に集束イオン
・ビーム(FIB:focused ion beam)装置と略称される
が、まず、従来、このようなFIB装置によって発生、制
御されるイオン・ビームを幇助的に用い、基板上に金属
膜や炭素膜をデポジションしようとする試みがあった。
これはイオン・ビーム誘起デポジションと呼ばれ、代表
的には、 従来例:Appl.Phys.Lett.49(23),8 December,1986 p
p.1584−1586 に見ることができる。ここでは、基板上に有機金属、WF
6、炭化水素等を局所的に吹き付けながら、Ga+の集束イ
オン・ビームで当該基板上を照射すると、そのイオン・
ビームの照射部位にのみ、金属や炭素が堆積すると報告
され、具体的には0.5μm幅のAuを(数原子/照射イオ
ン)のデポジション速度で得た場合が挙げられている。
これに対し、ニードル・タイプの液体金属イオン源(上
述のLMIS)として液体Ga用い、基板そのものも電子レン
ズの構成要素の一部として利用しながら、当該基板の直
前でイオン・ビームを意図的に減速することにより、基
板上へのGa層の成長を計った従来例もある。
これは、一般に減速LMIS法と呼ばれ、 従来例:J.Vac.Sci.Technol. B6(3),May/Jun 1988
pp.966−973 にその代表的な報告がある。
ここでは減速の程度(低い加速エネルギ)と分解能(イ
オン・ビーム径)との関係にも着目し、ビーム電流1nA
で加速エネルギが50eVのとき、イオン・ビーム径は0.9
μm、ビーム電流10pA、加速エネルギ50eVではビーム径
0.1μmになる等の説明がなされている。
また、減速する理由は、上述したようなFIBでは基板を
スパッタリングする可能性が高いか、注入されたイオン
が基板中に埋め込まれるため、デポジションを高い分解
能で達成するのは困難である所、ビーム加速エネルギを
200eV以下にまで低下させれば、そのようなスパッタリ
ング等のおそれがなくなるという知見に基づいている。
一方、上記したような従来法では、いずれも、イオン・
ビームを構成しているイオン化した原子の一つ一つを対
象としているのに対し、幾つかの原子が液滴状(drople
状)に集合してそれらで何等かの大きさの電荷量を共有
するいわゆるクラスタ・イオンを発生させ、これにより
デポジションを計ろうとする試みもなされていた。これ
には次のような報告がある。
従来例:J.Vac.Sci.Technol. B6(1),Jan/Feb 1988
pp.234−238 この従来例では、LMISとして単体金属としてIn,Au
を、また金属合金としてAu/In合金を用いながら通常のF
IB装置で特定の条件を与えてクラスタ・イオンを発生さ
せ、集積回路中の導電線路中、途切れている部分の補修
(デポジションを行なった実験例を示しており、FIB装
置を通常の使い方で単体イオンの発生に用いるときに印
加する集束電圧に対し、高エミッション時に−250V程
度、低目の設定をすると、分解能が0.5μmオーダ、堆
積速度がほぼ1μm3/secという良好な結果が得られたと
されている。
また、このようなクラスタ・イオン自体についての考察
は、 従来例:J.Vac.Sci.Technol. B5(1),Jan/Feb 1987
pp.178−183 従来例:J.Vac.Sci.Technol. B5(1),Jan/Feb 1987
pp.184−189 に見ることができる。
例えば上記従来例では、AuのLMISにおいて102〜106
の原子集団から成るクラスタ・イオンもかなり出ている
条件例が示され、一定の総エミッション電流値に対する
ピーク電流として、Au+が10-7Aであるのに対し、104
のイオン化原子集団からなるAu(104)のピーク電流は
それより低いとは言え10-9A程度は有り、したがって、
イオン化したAu原子が上記電流値で一つづつ輸送される
よりも、10-9Aの電流値で104個のAuクラスタが一遍に輸
送される方が、元素の輸送効率としては良好である旨の
報告がなされている。また実際、基板上に0.2μmから
1μm程度の付着膜の生成も認められている。
従来例では、LMISとしてGaを用い、イオン化した単体
原子としてのGaイオンに対し、クラスタ・イオン化した
Ga原子集団の質量数分布を選択している。これによる
と、Ga+のプライマリ・ビームに対し、二つの原子集団
から成るクラスタであるGa2 +は5×10-3程度、三つの原
子集団から成るクラスタであるGa3 +では10-4程度と測定
され、以下順にGa30 +まで考察されているが、質量数の
分布曲線はGa10 +付近で一旦、落ちた後、Ga20 +付近で再
度のピークとなっている。
したがって、単体金属または金属合金を液体イオン源と
した場合にもFIB装置でのクラスタ・イオンの発生が可
能なことは、一応、これらの従来例,,の報告に
て認めることができる。
[発明が解決しようとする課題] しかるに、上記従来例群の中、まず従来例に代表され
るようなイオン・ビーム誘起デポジションは、当該イオ
ン・ビームを幇助的に用いるに過ぎず、基板表面に吸着
させたガス状の原料をイオン・ビームが分解するという
原理によっているため、基板に吹き付けられるガスとの
明確な分離ができず、実際上、この方法では、従来例
に示されているようなガスとイオン源の場合、数%のカ
ーボンや酸素がデポジション中の金属膜に混入してしま
うという致命的な問題がある。
一方、一般的に言って、通常の集束イオン・ビーム装置
(FIB)にて発生させ、イオン化させた単体の金属原子
そのものを直接に基板上のデポジションに用いようとす
ることは、極めて困難である。一個のイオン化原子が複
数の基板原子をスパッタしてしまう可能性の方が遥かに
高いからである。
そうした中にあって研究されたものが従来例に代表さ
れる減速LMIS法であり、意図的にイオン・ビームを減速
することで、基板材料をスパッタしない条件は確かに作
ることができる。
しかし、やはり単体のイオン化原子を扱っているこの減
速LMIS法では、減速度を大きくする程、ビームの集束性
が損われるという二律背反的な要素が大きくなる。例え
ば当該従来例の報告の中でも、加速エネルギ30keVで
はビーム径を0.2μmにまで絞り込めたのに、デポジシ
ョンに適当なように加速電圧をたかだか50eV程度にまで
落とすとビーム径は0.9μmと、その分解能が大きく低
下してしまうことが示されている。
さらに、このように単体イオン化原子の輸送を計る単な
る減速LMIS法では、これを実際の製造プロセス中に組み
入ることはできない。余りにその堆積速度が遅過ぎるか
らである。
例えば、この従来例に開示されているデータに基づき
試算すると、ビーム電流1nAの場合、一秒間に0.6×1010
個の原子しか輸送できない。と言うことは、1cm2の範囲
に亙って厚さがたった1μmの層を堆積させようとした
場合でさえ、原子間隔が5Åであるとすると、この膜の
形成に要求される原子の総数は当該膜の全体積を原子一
個の体積で割っておおよそ8×1017個となり、結局、上
記のように毎秒0.6×1010個の原子輸送能力では成膜に
ほぼ1.3×108sec、何と約四年も掛かってしまう。イオ
ン・ビーム利用技術ではないが、通常のエピタキシャル
成長技術では、標準的にも1μm/時程度の堆積速度は得
られることを考えると、ほとんど問題外の遅さである。
これに対し、既述した従来例,,に認められるよ
うに、幾つかとまって何等かの電荷量を共有するクラス
タ・イオンを利用する技術では、一見、サブ・ミクロン
・オーダに及ぶ高い分解能と1μm3/sec程度の速い堆積
速度が得られているようであるが、実はこれも、実際の
製造現場に適した研究とはなっていない。
と言うのも、まず、LMISに用いる金属材料には、融点付
近で蒸気圧が低いこと、電極との反応性が小さいこと等
の条件が必要であるが、こうした要件を満たす金属材料
はGa,In,Au等に限られ、Al,Si等、融点が高く反応性の
大きな単体金属の利用は困難である。融点を下げるため
に、Au/InやAu/Si等、合金化した材料を用いることは可
能であるが、この状態でクラスタ・イオンを発生させて
も、それは合金状態でのクラスタ・イオンとなり、やは
りAlやSiを単体で得ることはできない。
さらに、これらの従来例,,中では、目的とする
クラスタ・イオンのみならず、むしろ単体としてイオン
化した原子が相当の数、一緒に放出される。そのため、
この単体イオンの影響を逃れ、クラスタ・イオンのみを
利用するには、質量分離装置、いわゆるマス・フィルタ
が必須となってしまい、装置系は大いに複雑化してしま
う。
本発明はこのような従来の実情に鑑みて成されたもの
で、基板(適当な下地部材を含む)上に金属膜または半
導体膜を選択的に成長させるに際し、上記した各従来例
の持つ欠点がなく、高い分解能で高速に堆積可能な新た
なる方法を提供せんとするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記目的を達成するため、鋭意研究の結果、
最も基本的な構成として、従来のイオン・ビームを利用
しての選択デポジション法に代え、次のような選択エピ
タキシャル方法を提供するに至った。
すなわち、まず、真空度の調整可能な室内に基板を加熱
状態で保持する。ここで基板とは、その上に本発明方法
により選択的に金属膜または半導体膜が堆積される予定
の構造体を言い、したがって厳密に見ると基板の上にす
でに形成されている何等かの層があり、これの下地層と
してその上に本発明を適用する場合にも、そうした層を
も含めて、本書で言う基板と定義することができる。
基板を加熱状態で保持している室内にはまた、液体イオ
ン源材料を先端開口径が十数μm以下のキャピラリを介
して静電気力によりクラスタ・イオン状態で引き出し、
引き出したクラスタ・イオン・ビームを集束系で集束
し、偏向系で偏向可能なクラスタ・イオン源装置を配
し、上記の液体イオン源材料としては、加熱された基板
上で熱分解すると金属膜または半導体膜として堆積する
液体化合物を選択する。
その上で、こうしたクラスタ・イオン源装置の偏向系に
より、クラスタ・イオン・ビームを所定のパターンに従
って走査することにより、基板上に当該パターンに対応
した平面形状を持つ金属膜または半導体膜を選択的にエ
ピタキシャル成長原理で堆積させる。
したがって、上記した液体化合物として適当なものは、
有機金属化合物、金属塩化物をあげることができる。た
だし、上記において金属膜または半導体膜というのは、
成膜後の状態での一般的な言い習わしに従うもので、イ
オン源として与えられる材料段階では、例えばSi等も金
属元素として取扱って良い。
また、静電気力により引き出されるためには、上記のよ
うな液体化合物材料としてもある程度の範囲内の導電性
を持っていなければならないが、クラスタ・イオン化さ
れるに適当な導電率の範囲は、10-10mho/cmから10-6mho
/cmまでの範囲である。なお、上述したキャピラリの先
端開口径に関する限定は、後述の本発明実施例中で詳し
く解析する理由による。上記の液体イオン源材料に関す
る導電率の限定共々、これが満足されないと、本発明の
目的達成に沿うような、クラスタ・イオンを利用した高
い分解能での微細なパターンの高精度な形成はなし得な
い。
さらに、上記したクラスタ・イオン源装置は、本発明に
よると、同一の室内に複数本を配置した場合も開示さ
れ、したがって、それぞれ異なる液体化合物材料をイオ
ン化すべき材料として供給する場合も開示される。
[作用] 本発明によると、その上に金属膜または半導体膜を選択
的にエピタキシャル成長させるべき基板は、真空度の調
整可能な室内にて加熱状態で保持されている。
したがって、そのような状態下における基板に対し、既
述の従来例におけるように金属単体や合金材料ではな
く、上記した有機金属化合物や金属塩化物で代表される
ような液体金属化合物を液体金属イオン源として用い、
かつ、クラスタ・モードで使用すれば、そのようなクラ
スタ・イオン群は加熱基板上で熱分解することができ、
そのため、選択エピタキシャル成長原理により、所望の
金属膜ないし半導体膜を得ることができる。
さらに、このため原子輸送が上記のようにクラスタ・イ
オンによっているため、極めて高い成膜速度を得ること
ができ、MBE等、公知既存の他のエピタキシャル成長技
術に比し、何等遜色のない成膜速度と高い分解能を得る
ことができる。
[実 施 例] 第1図には本発明の選択エピタキシャル成長方法に用い
ることのできる装置の一構成例が概略的に示されてい
る。
本装置は内部の真空度を調整できる室ないしチャンバ10
(以下、真空室10)を有し、この真空室10内にはクラス
タ・イオン源装置30と、後に詳しく説明する仕方によっ
て当該クラスタ・イオン源装置30がクラスタ・イオン・
ビームを偏向、走査し得る範囲内で適当なるホルダ21上
に載置された基板20が収められ、基板20はヒータ22によ
り必要な基板温度に加熱可能となっている。
クラスタ・イオン源装置30は、クラスタ・イオン源31
と、クラスタ・イオンの引き出し電極ないしカソード3
2、引き出されたクラスタ・イオン・ビームを集束する
集束レンズ系33、集束されたクラスタ・イオン・ビーム
を偏向、走査する偏向系34を有して成っているが、これ
ら各々の構成部分については、以下の説明中で順に詳し
く述べて行く。
まず、クラスタ・イオン源31は、有機金属化合物または
金属塩化物の液体化合物原料35を収納する容器36を有
し、この容器36内の液体化合物原料35は制御弁37を開く
ことにより、下流に備えられている毛細管ないしキャピ
ラリ38に流し込まれるが、この経路の途中には、真空パ
ージ弁39や、容器36自体を電気的に接地しながらキャピ
ラリ38を例えば正の高電位に置く場合、これら両者の間
を電気的に絶縁するのに必要な絶縁中継パイプ40等も設
けられる。
キャピラリ38は、第2図に即して後でも説明するが、先
端に開けらている微細開口から液滴を生じさせるもの
で、これにはまた、通常、直流電源41からの正電位(例
えば本発明方法の一態様では3〜10kV)を印加すること
ができる。
すなわち、この状態で引き出し電極32に相対的に低電位
(一般的には接地電位)を与え、さらに次に説明するよ
うな条件を考慮すれば、複数個の原子で特定の電荷を共
有するクラスタ・イオンを液滴状に発生させ、引き出す
ことができる。
ただし、後述もするように、場合によってはキャピラリ
38の方に負の電位を印加することもあり、当然、その場
合には、直流電源41の極性は図示の場合に対し、逆転さ
せて用いる。
第2図は、液滴の発生する様子を順に模式的に示したも
のであるが、最も一般的に言えば、静電型の液体ソース
から微小開口を介して液滴を発生させるには、当該微小
開口部分における液体の表面張力よりも背圧と静電気力
の和を大きくする必要がある。
すなわち、キャピラリ38の先端微小開口の口径をa、表
面張力をγ、キャピラリの開口部において液体が膨らん
でいる部分の接線角度をθ、電界をE、背圧をP、真空
の誘電率をεとすると、液体の表面において表面張力
と静電気力の和が表面張力と釣り合うべき条件は、液体
が十分な導電率を有すると仮定した場合、次式で表すこ
とができる。
しかるに、第2図(A)はキャピラリ38を介し、液体化
合物35(以下、液体ソースと言う)に意図的には電位が
印加されていない状態であって、背圧Pと表面張力γと
が釣り合った状態を示しているが、液体ソース35に正電
位が印加されると、第2図(B)のように、液体ソース
35は円錐状に成長し、電位の増加と共に先端が尖鋭にな
って行き、ある電位(臨界電位ないしスレッショルド電
位)に至ると、第2図(C)に示すように、それぞれが
複数個の原子の集合で成り、ある電荷量を共有したクラ
スタ・イオン42が液滴状に断続的に引き出され始める。
しかし、このようなメカニズムを真空中で生起させるこ
とを考えると、用いた液体ソース35の飽和蒸気圧に相当
する背圧Pが常に存在するので、例えば正電位により微
小開口からインク材料を引き出すという点では似ている
が、印刷技術、特に静電プリンタ技術における公知のイ
ンク・ジェット方式に見られるように、微小開口径が20
0μmから小さくても50μm程度もあるような場合に
は、液体ソースは第2図(C)に示されたような液滴42
にはならず、常に連続して流出し、静電気力での制御は
到底、不能である。
そこで、本発明のように、クラスタ・イオン42を発生さ
せるだけでなく、その制御も行なえるようにするために
は、キャピラリ38の先端開口径は十分に小さくする必要
があり、本発明者の知見によれば、本発明に適用可能な
液体化合物材料に適当なこのキャピラリ先端開口径は、
大きくても十数μm、望ましくは5〜3μm程度にまで
縮小させる必要があった。
逆に、このようにキャピラリ先端開口径を数μmオーダ
にまで低減させると、放出されるクラスタ・イオンの平
均粒径は最も良好な場合、概ね50nm程度にまで小さくす
ることができ、本発明の趣旨に従い、初期の電界放出に
よって利用される材料量に対し、自然蒸発によって失わ
れる量を十分少なくすることができた。
ここで上記のように、発生する液滴ないしクラスタ・イ
オン42の粒径を1μm以下から望ましくは50nm程度にま
でし得る理由は、次のように説明できる。
キャピラリ38の先端の曲率半径をρとすると、対接地印
加電圧をVとして、当該キャピラリ先端における電界E
は V/ρ で近似できるから、液体ソース35の導電率が十分に高い
場合には、面電荷密度は、 (V/ρ)ε となるので、直径aのキャピラリ先端開口の表面に対応
する電荷Qは、 (V/ρ)ε・(πa2/4) ・・・・・2) となる。
一方、体積X、電荷Qの体液塊が表面エネルギと静電エ
ネルギとの和が極小になるようにそれぞれ複数N個の微
粒子に分解し、個々に半径r、電荷qのクラスタ・イオ
ンとなるとすると、当該各クラスタ・イオンの半径r
は、まず、 r=3(εγ)1/3(X/Q)2/3 ・・・・・3) で表される。
そこで、液体塊の体積Xとして、キャピラリ38の先端に
盛られた直径aの半球を考えると、当該体積Xは、 πa3/12 となるので、電荷Qとしては既述の2)式を用いること
により、当該クラスタ・イオンの半径rはまた、次式
4)によっても表すことができる。
r=3(γ/ε1/3(aρ/3v)2/3 ‥‥‥4) すなわち、クラスタ・イオン42の粒径2rは、キャピラリ
38の曲率半径ρや先端開口径aの三分の二乗に比例し、
印加電圧Vの三分の二乗に逆比例するが、液体ソース35
の導電率が高い場合には、キャピラリ先端開口に露出す
るその液体自身の表面形状によってキャピラリの等価的
な曲率半径ρが定まるため、キャピラリ38の開口部分に
おける機械加工精度によることなく、安定で小さな等価
曲率半径ρを得ることができる。
そして、このような望ましい状態を生起するに必要な液
体ソース35の導電率は、本装置に関する本発明の知見に
よれば、10-6〜10-10mho/cmの範囲内にあった。
しかるに、このようにして、先に述べたように50nm程度
の径のクラスタ・イオン42を第1図示中のクラスタ・イ
オン源31により得たとしても、そしてまた、動作環境を
例えば1Pa程度の高い真空度に保つことにより制御性を
向上させたとしても、クラスタ・イオン42が微細化した
がために、それらの断続的な集合としてのイオン・ビー
ムとして見ると、放出された粒子(クラスタ・イオン4
2)の空間電荷効果による広がりが問題となる。そこ
で、第1図示の装置では、引き出し電極32を通過して出
てくるクラスタ・イオン・ビームに対し、公知のアイン
ツェル・レンズ径等であって良い集束レンズ系33を設
け、各クラスタ・イオンの粒径を50nm程度の微小径に保
ったまま、ビームとしても十分な集束を計っている。
また、このようにして集束したクラスタ・イオン・ビー
ムは、これらも公知構成で良い偏向系34にて二次元方向
に任意走査可能とされ、基板20の表面に指向される。
そこでさらに、本発明方法を適用してのより具体的な一
実施例につき、説明する。
第1,2図示のクラスタ・イオン源装置30において、クラ
スタ・イオン源31に備えるキャピラリ38としては第3図
(A)に示すようなものを用いた。
第3図にはキャピラリ38の先端部分しか示していない
が、ここではできるだけ尖鋭であることが望ましいの
で、まず図中の角度αを30゜として先細り状にテーパ付
けられており、その上で最先端部分は水平にカットされ
た形になっていて、その直径bは10μmとなっている。
そして、この10μmの円形部分の中央に軸方向内部に貫
通する微細孔が穿たれ、この開口径aは5μm程度に加
工されている。微細孔の長さhは液体のコンダクタンス
にも影響するが、この値はある程度、大きなものが必要
なので、図示のものではh=15μmに選んである。
また、微細孔の開口部周辺に鋭角的な部分があると電界
が不均一に集中することもあるので、上記したように10
μm径の円径部分の周囲は図中の角度βで示すように、
β=45゜に面取りしてある。ただし、キャピラリ38の内
部の液体溜めとなる部分の孔径(内径)は厳密である必
要はなく、0.2〜0.7mmであれば加工し易い。
キャピラリ38の材質としては、液体ソース35の導電率が
余り高くない場合に導電性を持つ限り、時に限定はない
が、高電界下で用いるため、材質によってはエレクトロ
・マレグレーションが起きる場合もある。したがってキ
ャピラリ38に金属材を選ぶ場合には、タングステン等の
高融点金属や、適当な鋼、合金等を選ぶのが良い。
先端の微細加工には一般的に放電加工を適用することが
でき、タングステン、鋼等でも比較的簡単に数μmオー
ダから10μmオーダの微細孔を加工することができる。
シリコンやルビーをキャピラリ材料として選んだ場合に
は、レーザ加工機による微細孔加工も可能である。ただ
し、このようにルビーとか、あるいはまたアルミナ等の
絶縁物を用いる場合には、液体ソース35の導電率が10-6
mho/cm程度にまで高い場合を除き、少なくともこれによ
り作られたキャピラリ38の表面が導電性となるように、
イオン注入による不純物導入処理等を施して置く必要が
ある。
数μmオーダの微細孔を得る他の方法としては、まずキ
ャピラリ先端に少し太目の下孔を開けた後、蒸着処理や
金属メッキ処理によりその先端開口部をいったん塞ぎ、
表面側から公知既存のGa等の集束イオン・ビーム加工装
置によりGaイオン・ビームを照射し、選択的なエッチン
グ処理によって所望径の微細孔を開けるという手法もあ
る。
また、第3図(B),(C)に示されるように、単に孔
を微細化して行くだけでは当該微細孔での詰まりが考え
られるような場合には、先に第3図(A)に関して述べ
たような寸法関係に従い、さらに微細孔の半周部分の壁
を先細りに延長し、先端38′を針状に尖鋭加工したよう
なキャピラリ38も有効である。
この構造によると、微細孔の詰まりの問題を回避し得る
のみならず、クラスタ・イオン粒子径の一層の微細化を
果たし得ると共に、イオン引き出し位置を安定化するこ
とができる。
なお、キャピラリ38の基部(第1図中、容器36に近い端
部)には、多孔テフロン膜等、フィルタ手段を設けるこ
とにより、パーティクルの影響を避けるのが望ましい。
また、容器36の側を接地電位に付けながら、キャピラリ
38に絶対値で高い正または負の電位を印加するために用
いられている絶縁中継パイプ40の材質についても、任意
適当なるものを選択することができるが、本実施例では
アルミナ絶縁管を採用した。
ただし、一般的に言って容器36内の液体ソース35とキャ
ピラリ38内のそれとの間には高電圧が印加されるため、
当該液体ソース35の導電率がトリエチルガリウム等の有
機金属化合物におけるように、10-9mho/cm程度と低い場
合には何等問題はないが、導電率が10-6mho/cm程度にま
で高まってくると、このような絶縁中継パイプ40を用い
てもキャピラリ38と容器36との絶縁が保てないことがあ
る。そのような場合には、容器36の側もキャピラリ38と
同じ高電位に保てば良く、このときには特には絶縁中継
パイプ40は不要となる。
以上のようにして、第3図に即して説明した寸法、形状
関係のキャピラリ38を用い、液体化合物原料35としてア
セトンを選び、第1図示装置中でキャピラリ38の先端電
位を引き出し電極ないしカソード32に対し正方向に印加
して言った所、第4図示のような特性が得られた。同図
(A)は印加電圧(加速電圧)対イオン電流であるが、
0.8kV程度の印加電圧からクラスタ・イオン電流の発生
が認められ、2kVでは20nAのイオン電流が得られた。キ
ャピラリ先端の顕微鏡視察でもこれに呼応する観測がな
され、印加電圧0.8kV近傍から第2図(B)に示された
ような開口部表面におけるアセトン溶液の形状変化が生
じ始め、やがて第2図(C)に示されるように先鋭な円
錐形に成形されながら、その先端から順次、液滴が生じ
始めた。
放出されたクラスタ・イオン42の粒径は、加速電圧の増
加と共にやがて判別し難くなることから、光による散乱
が減少し始める0.1μmであると予想された。また、第
4図(B)に示すように、このときのビーム半径幅は約
8゜(±4゜)であり、後続の集束レンズ系33により、
さらに十分に絞り込め得る良好な範囲内にあった。
さらに、偏向系に±205V,204Hzの交流電圧を印加し、第
1図示位置において基板20に相当する位置にファラディ
カップを設置してイオン電流を選択した所、第5図に示
すように、当該イオン電流は位相ずれを有する二倍の高
調波として観測され、最大で175pAであった。
イオン電流の最大値は、偏向電圧が零交差する位置、す
なわち、偏向電圧の一周期内において0゜位相と180゜
位相の二回、得られるが、上記のように位相ずれが起き
るのは、イオン・ビームの走行時間が関係してくるから
である。実際、イオン電流の位相角を二次高調波モード
のロック・イン・アンプにより測定し、偏向系とファラ
ディカップとの間の距離lを変えながらプロットする
と、第6図に示すように、ほぼ6kVとほぼ5kVの加速電圧
に対し、互いに異なった傾きを持つ直線が得られた。
測定周波数(2f=408Hz)に対応する周期は2.45msec,位
相角1゜あたりの時間差はほぼ6.8μsecに相当するか
ら、例えば加速電圧6kVで24mmを走行するのに要する位
相角は約14.8゜,遅延時間に換算してほぼ101μsecとな
るので、粒子速度は238m/secと計算される。また、粒子
質量をm,速度をv,電荷をq,加速電圧をVとすると、当該
加速電圧Vと運動エネルギとの間には、 (1/2)mv2=qV ・・・・・5) の関係があるから、走行粒子を一価のイオンと仮定する
と、質量mはほぼ3.4×10-20Kgと求められる。
全く同様に、加速電圧5kVでは粒子の走行速度vは約196
m/sec,質量mは約4.2×10-20Kgと求めることができる。
また、この実験で用いているアセトンの比重ρは0.79で
あるから、クラスタ・イオンを球形と仮定すると、その
直径dは、 4π(d/2)3/3=m/q ・・・・・6) から、加速電圧6kVと5kVに対し、それぞれほぼ43nm,47n
mと求められる。
したがってこれは、所期通り、高分解能での選択エピタ
キシャル成長にとって望ましい0.1μmφ以下の直径を
持つクラスタ・イオンが真空チャンバ内で制御性良く偏
向、集束可能な荷電粒子として得られたことを証明して
いる。
このような実験を種々の液体化合物原料に従って行なっ
た結果、続いて、実際に基板20上への選択エピタキシャ
ル成長方法の各実験を行うことができた。
液体化合物35として、トリイソブチルアルミニウム(TI
BA)を用い、第1図示装置内で基板ホルダ21により支持
されている基板20をヒータ22により300℃に保つと、偏
向系34の偏向走査に従い、当該基板20上へのアルミニウ
ムの描画が可能である。このとき、基板20がシリコン基
板であると、いわゆるグレイン・バウンダリのない単結
晶アルミニウムを選択エピタキシャル成長させることが
できる。
既存のスパッタ法等によってシリコン基板上にパターン
成形された通常の多結晶アルミニウム配線等に比すと、
本発明方法により作製されたこの単結晶アルミニウム配
線、エレクトロ・マイグレーションやストレス・マイグ
レーションが起こり難いという利点が認められる。
また、液体化合物35としてSiCl4を用い、シリコン基板2
0を120℃程度に加熱すると、シリコンの選択エピタキシ
ャルが可能となる。
さらに、III族材料として、トリエチルガリウム(TEG
a)、トリメチルガリウム(TMGa)や、トリエチルアル
ミニウム(TEAl)、トリメチルアルミニウム(TMAl)、
あるいはまたトリメチルインジウム(TEIn)等を本発明
に従って用いた上で、さらにV族材料としてアルシン
(AsH3)とかフォスフィン(PH3)等を用いと、基板20
上にIII−V化合物半導体層を積層させることが可能と
なる。特に、このような化合物半導体の場合には、構成
元素の組成比を変えることでエネルギ・バンド・ギャッ
プを相当任意に設計できるので、シリコン系よりも遥か
に多様なデバイスを構成することができる。
もちろん、上記の各条件下で、基板20のスパッタリング
は十分に抑圧されており、さらに、成膜速度も極めて高
速に得られた。すでに述べたように、スパッタリングを
抑圧するためとは言え、従来の減速LMIS法のように、た
だ単に加速電圧を低下させるだけで、一つ一つのイオン
化原子を輸送する点では通常のFIB装置と何等変わらな
い手法では、基板上にたかだか1μm程度の厚味の膜を
1cm2に亙り堆積させるのにもおおよそ1018個弱の原子数
が必要なため、試算では何と四年程度も掛かってしまう
が、同じ条件でも本発明によると、0.1μm系のクラス
タ・イオンはたった一つですら、ほぼ3×1010個の原子
集団から成っているので、ビーム電流が僅か1nAの場合
でさえ、0.4×10-2秒もあれば良い。
制御性ないしは分解能を高めるため、0.01μm径のクラ
スタ・イオンとしても3×107個程の原子集団から成る
ので、同じビーム電流1nAで約4秒で良く、さらに細か
な0.001μm径のクラスタ・イオンが得られるとした場
合にも、これは約3×104個の原子集団から成るので、4
000秒もあれば十分である。これは既存イオン技術の関
与しない他の成膜方法、例えばMBEに比しても決して遅
くはなく、同等からそれ以上である。
したがってまた、別な見方として、単体イオンを輸送す
る場合に仮に100μA程度のビーム電流が必要であった
とすると、同じ輸送量は本発明に従う場合、0.1μm径
のクラスタで10pAを良く、0.01μm径のクラスタを用い
た場合にも10nAで良いことになり、集束系の収差の点で
も有利である。
しかるに、冒頭にも述べたように、在来のイオン・ビー
ム技術は、むしろ、選択エッチングやミリング用として
開発されてきたので、本発明の方法に適用するに適した
第1図示と同様な装置構成のクラスタ・イオン源装置で
も、本発明方法以外にも適用でき、例えば液体ソースと
して液化塩化水素を選べば選択エッチングが可能であ
り、純水を選べば選択酸化も可能である。
さらに、本発明に従って作製された半導体膜に対し、n
型ないしp型の導電型を与えることもできる。例えばGa
As膜の場合、SiやSn等をLMIS技術に従って選択イオン打
ち込みすればn型半導体が得られるし、TMGaやDMZn等を
クラスタ・イオン・モードで与えればp型半導体を得る
ことができる。Si膜に対しては、BCl3、PCl3をそれぞれ
クラスタ・イオン・モードによりp型、n型のドーパン
トとして用いることができる。
そこで、第7図は、本発明に従う選択エピタキシャル方
法と、要すれば上記したような公知既存の方法とを必要
に応じて使い分けることにより、種々の構造物を作製可
能な装置の構成例を示している。
まず、イオン源装置30と基板20とを収める真空室10は、
この実施例の場合、上下二段に分離されている。上部真
空室には符号10-1を、下部真空室には符号10-2を付して
これらを区分した。
上部真空室10-1内には、それぞれは第1図に示したと同
等の基本構成で良く、したがって各構成要素には第1図
中と同じ符号の付されているイオン源装置30,・・・・・・・
が、この場合、上から見て周方向に90゜の間隔を置くよ
うに四つ、収められている。ただし、第7図は中心線に
沿う縦断面図であるので、その内の一つ、つまり第7図
紙面の手前に位置するイオン源位置30は図示されていな
い。
イオン源装置30,・・・・・の各容器36に収められる後述の各
種の液体ソース35の制御に用いる弁37,39は、デッド・
ボリュームを減少させるため、内径1〜2mmとされてい
る外、この実施例の場合、液体ソース35の容器36共々、
高電圧に付けられるので、外部からのこれらの弁の操作
は、絶縁カップリング43を介しての回転導入器44により
行なわれる。
各イオン源装置30,・・・・・・は、下部真空室10-2内の一点
を指向するようにそれぞれ斜めに傾けられて設けられ、
それらイオン源装置の指向する集中点位置には、基板ホ
ルダ21上に載置された基板20が望んでいる。当然、本発
明の方法が適用可能なように、基板20はホルダに付属の
ヒータ22により加熱可能となっている。
上部真空室10-1と下部真空室10-2とはそれぞれ独立に排
気可能であり、各イオン源位置はアパーチャ45を介して
のみ、下部真空室10-2に連通している。そのため、クラ
スタイオン源から自然蒸発した成分や、ビーム・ブラン
キングによってアパーチャ45に付着した成分が基板20に
達するのが防がれる。
また、ロードロック室46と下部真空室10-2との間はゲー
ト・バルブ47で仕切られ、基板の導入に真空室内の真空
を破る必要のないようにされている。
この実施例に示されるような装置であれば、四つあるイ
オン源装置30の中、まずその中の一つには液体有機金属
化合物ソースとして前述したTEGaを、もう一つにはTEAl
を、そしてまた他の一つにはp型ドーピング剤としてDM
ZnまたはTMGaを与えてクラスタ・イオンを選択的に発生
させるようにし、残り一つのイオン源装置30にはn型ド
ーピング剤として錫を用い、通常のFIBとして利用する
ようにした上で、基板20の上方にあってアパーチャ45よ
りも下方の位置にリング状のホルダ48を設け、この中に
V族材料としての個体砒素を収めて公知手法によりAs膜
をも成膜可能にして置けば、原子層オーダで面内各位置
の厚みが制御可能なp型、n型のAlGaAs膜やGaAs膜を任
意に得ることができる。
なお、基板ホルダ21は接地電位から浮かされ、図示はさ
れていないがメッシュ状になっているので、複数のクラ
スタ・イオン源からのイオン電流像を予め測定し、像倍
率、回転、位置ずれ、入射角補正量を算出することがで
き、各クラスタ・イオン源に与えるべき集束レンズ電
圧、偏向電圧等をあらかじめ最適値に設定することがで
きる外、コンピュータを用いてのいわゆるCAD上での描
画パタンとの対応付けも行なうことができる。
これは換言すれば、コンピュータの指令の下、極めて高
い精度で必要な膜を必要なパタン、必要な厚味に成膜し
得ることを意味する。必要ならば、図示していないが、
本装置にさらに電子銃を設け、走査型顕微鏡モードや、
低角入射電子による顕微RHEEDモードにより試料像の観
察を行なえるようにすると有効である。
しかるに、本方法によると、既述した従来例の各欠点を
解消し得るのみならず、今迄構築不能であったか極めて
困難であったような三次元形状の構造物をも集積回路中
に作り込むことができる。
すでに述べたように、本発明のクラスタ・イオン・ビー
ムを用いた選択エピタキシャル成長では、原理的にビー
ム電流は極めて制御性の良い範囲内に置くことができ、
しかも、高速の成長速度を得ることができるので、例え
ば何等かの試料表面を一秒間に一回、走査するとして
も、すでに述べた計算例からも明らかなように、毎秒1
原子層の成長は容易なため、原子層間隔を5〜10Åとす
ると、毎時1.8μmから3.6μmの成膜速度は簡単に達成
することができる。
この事実と共に、第7図に示されたような複数のクラス
タ・イオン源30の同時使用を計ると、各クラスタ・イオ
ン源30の走査範囲を適当なる関係にすることで、例えば
第一の種類のエピタキシャル成長膜中に第二の種類のエ
ピタキシャル成長膜を埋め込んだような構造も得ること
ができる。第8図はそのような構造が得られる理由の一
つを示している。
第8図(A)には、基板20上に形成された金属または半
導体から成る第一材料製の膜ないしブロックA中に、第
二の金属または半導体材料製の箱状部分Bが埋め込まれ
た構築物が例示されている。なお、符号A,Bは、各構造
物の符号としてのみならず、それらを構成している第
一、第二材料の呼称としても用い、また、後述するそれ
らの二次元平面内でのパタン関係における各パタンの符
号として用いる。
本発明に従い、このような構築物を得るには、第7図示
装置中の二つのイオン源装置30,30に着目し、その中の
一本には加熱基板上で熱分解すると基板20上に第一材料
Aを堆積可能な液体化合物を、また、他の一本には加熱
基板上で熱分解すると基板20上に第二材料Bを堆積可能
な液体化合物を適用する。
その上で、最初のt1時間は、第一材料Aを成長させ得る
クラスタ・イオン源装置30のみを用い、これを所定の面
積の二次元平面内で走査し、これにより、所定の厚味d
(t1)の第一材料Aを基板20上に堆積させる。
次いで、次の所定時間t2に亙る間は、今度は二つのクラ
スタ・イオン源装置30,30を二つ共使用し、中央部分に
は第二材料Bのみを、その周囲には第一材料Aのみを、
それぞれ所定の長さd(t2)にまで、堆積させる。
その後、再度、第一材料Aを堆積可能なクラスタ・イオ
ン源装置30のみを用い、所定の時間t3に亙り所定の二次
元平面の全面積を走査すると、厚さd(t3)の第一材料
部分Aが形成され、その結果、内部に第二材料B製の箱
が埋め込まれた構築物が一回の連続形成工程で簡単に形
成される。
特に、コンピュータを利用してのCADにより各クラスタ
・イオン源装置を制御する場合には、第8図(B)に示
されるようなパタンを当該CADに与え、A部分の所定面
積中に存在するB部分の面積を所定のタイミングごとに
変更することで、上記した構築物を自動的に簡単に作製
することが可能となる。もちろん、第8図(A)の構築
物を上記した手順で作製する場合には、最初と最後の素
工程時間t1,t3の間は、第8図(B)中のパタン関係に
おける面積Bを零とする。
さらに、第9図(B)に示されるように、所定の矩形面
積を有するパタンA中に円形のパタンBを有するパタン
関係をCADに与え、その平面内における円の径wを零か
ら所定の最大径までの間で変更可能とすると、ブロック
状の構造物の内部に例えば球状や柱状の構造物を一連の
製造工程で埋め込み成形することも簡単に行なえる。こ
のような構造は、従来の種々の手法に従う限り、得るに
は至難のものであった。
すなわち、第9図(A)に示されているように、金属ま
たは半導体の第一材料A製のブロックAの中に金属また
は半導体の第二材料B製の球状構造物を埋め込む場合に
は、形成する球の直径を2Rとし、この球の中心部から今
現在形成している部分の離間距離をyとして、同図
(B)中の材料Bに関するパタン径wを、 で与え、微小時間ごとに値yを変更して行けば、徐々に
直径wの変化する円形薄膜の多層積層構造として、ほぼ
球に近い形状を得ることができる。
もちろん、wを一定として所定時間、本発明に従って第
一、第二材料A,Bを各パタンに従って走査、形成すれ
ば、簡単に所定の高さの柱状構造を得ることができる
し、逆に中細りのアレイ状とかダンベル状の形状等も、
CADに与える数値関係の変更だけで、簡単に得ることが
できる。
さらに、多くの種類の材料から成る組合せ構造も当然、
容易に構築することができ、例えば第7図示装置中の四
本のイオン源装置30,・・・・・を全て本発明方法の適用のた
めに使用し、それぞれに異なる液体化合物材料A,B,C,D
を与えれば、第10図に示されているように、例えば大き
なブロックA中に第二材料B、第三材料C、第四材料D
の適当なる組合せ積層関係からなる構造物を連続した一
工程で埋め込むことができる。
第8図と第9図に示されるように、矩形パタンと円形パ
タンとが開示されると、この原理に従い、ほとんど全て
の幾何形状を構築可能となり、その応用範囲は極めて広
範なものとなる。
例えば第11図に示されるようなバイポーラ・トランジス
タ50の構築が可能である。
コレクタ51の形成材料として材料Aを、ベース52及びベ
ース・コンタクト領域54の形成材料として材料Bを、そ
してエミッタ53の形成材料として材料Cを選んだ場合、
本発明によると原子層オーダにも及ぶ制御が可能である
から、第8図、第9図のパタン関係の原理を材料Aと材
料B、そして材料Bと材料Cとの間で適用することによ
り、エミッタ51の直下の真性ベース領域52のみを極めて
薄く形成し、キャリアの走行時間を短縮してこのバイポ
ーラ・トランジスタ50の高速化を計ると同時に、周辺の
ベース・コンタクト領域54の厚みは十分に厚くして寄生
抵抗の低減を計るという構造が、一連の連続工程で極め
て正確かつ容易に構築できる。
同様の効果は、電界効果トランジスタにおいても得るこ
とができ、例えば第12図にはAlGaAs系のヘテロ接合電界
効果トランジスタ55に本発明を適用した場合が示されて
いる。
つまり、真性GaAsである基板20の上に構築されたヘテロ
接合電界効果トランジスタ55として、二次元電子ガスを
発生させるバリア層59を挟んでゲート電極58の直下の領
域の両側に位置し、一般にn+等の高不純物濃度に形成さ
れるソース56、ドレイン57は、バリア層59から離れた所
では十分低抵抗で良好なオーミック・コンタクトが採れ
るように厚くなっている。もちろん、厚味関係を抜き、
各層自体の形成だけを考えても、これらに本発明方法を
適用可能なことは言うまでもない。
いずれにしろ、このような構造を得る場合、従来のIII
−V族系ヘテロ・デバイスの製造方法によると、イオン
打ち込み工程に付随してボスト・アニーリングが必要と
なり、これがまた界面の急峻性を損うという欠点があっ
たが、本発明方法によればそのようなおそれがなく、各
層を直接成長し得る利点は極めて大きなものがある。
このような実施例から推して、本発明方法によると、能
動層や絶縁層、半絶縁層等々、種々の二次元層を任意に
積層することにより、相当多岐に亙る三次元集積回路の
実現が可能である。
また、いわゆる光デバイスへの応用も顕著なるものがあ
り、複雑な形状の構造物も一回の連続成長で形成し得る
ため、各層に生じ得る結晶欠陥等の問題からも逃げるこ
とができる。
例えば従来の手法により、ある膜A中に別な材料の膜B
を埋め込むというような場合には、まずA膜を全面に形
成してから所定面積部分をエッチングし、このエッチン
グした中にB膜を成長させるという手法を採らざるを得
ないが、このようにすると当該再成長界面に問題となる
結晶欠陥が発生する。本発明方法に従い複数のクラスタ
・イオン源装置を用いれば、すでに説明したように、こ
のような膜A,Bは、それらが金属膜または半導体膜であ
る限り、同時に一工程で直接成長できるので、そのよう
な問題は発生のしようがなく、また工程数からしても大
いなる短縮となる。
さらに、従来法では矩形断面の構造物しか一般に得るこ
とはできなかったのに対し、すでに第9図に即して説明
したように、本発明方法に従えば、断面が任意で、かつ
厚味方向に断面積の大きさが異なる形状の構造物も、そ
の周囲の膜ないしブロック共々、同時に作ることができ
るため、光の伝送に最適な断面形状の光導波路等も簡単
に得ることができる。
第13図はそのような場合の一例として、ヘテロ接合半導
体レーザ60の構築に本発明を応用した場合を示してい
る。
第7図示装置系を利用し、本発明方法に従い、n−GaAs
基板20上に順に、n−AlxGa1-xAsクラッド層61、p−Al
xGa1-xAsブロック層(電流阻止層)62、n−AlxGa1-xAs
ブロック層63がすでに説明した本発明の方法により形成
され、さらにその上に、これも各層ごとに連続して本発
明の方法に従い、p−AlxGa1-xAsクラッド層64、p−Ga
Asキャップ層65、p型電極66が形成されている。
基板20の裏側にはn型電極67も形成され、上記の各AlxG
a1-xAs層61,62,63,64における各組成比xは本出願人の
実験例では0.4に選んだ(図中にはそのように記し
た)。
しかるに、図示の構造ではさらに特徴的なことに、n
型、p型それぞれのクラッド層61,64と、同じくn型、
p型それぞれのブロック層62,63とで囲まれたレーザ活
性層68が、すでに第8,9図によって説明した原理に従
い、基板と平行な円柱状に形成されていて、その径も0.
1〜0.5μmとなっている。
レーザ活性層をこのように配したレーザは、一般に埋め
込み型レーザと呼ばれるが、これまでのものはいずれ
も、埋め込まれるレーザ活性層は矩形断面にしか形成で
きなかったが、本発明に従うと、上述のようにレーザ活
性層68そのものを極めて微細で、かつレーザ出射方向に
直交する半径方向に見て均一な距離範囲で規定できる円
柱状に形成できるので、上下方向にも左右方向にもビー
ム広がり角が均一化し、応用上、望ましい。また、レー
ザ活性層68と各ブロック層62,63が接する部分の形状
も、図示のように望ましいバーズ・ビーク状にすること
ができる。
さらに、第14図(A)に一対のクラッド層61,64間の主
要部分のみを取出して示すように、それぞれ0.1μm径
程度のレーザ活性層68を複数本、例えば0.5μm程度の
間隔で並設したレーザも本発明方法によれば比較的簡単
に提供することができ、それら隣接するレーザ活性層6
8,68間のブロック層62,63の断面形状等も、これを精密
に制御しながら一連の工程で作製することが可能であ
る。
なお、電流阻止層としてのブロック層は特に設けなくて
良い場合もあり、したがって第14図(A)図示の構造は
第14図(B)に示されるような構造に変えることもでき
る。ただし、n型、p型の各クラッド層61,64の屈折率
分布等は、必要に応じ、一様な状態から部位ごとに屈折
率の異なる分布にすることができる。
また、受動光導波路にしても、従来はやはり矩形断面の
ものしか得られなかったが、本発明に従い、かつまた第
7図示装置により第8〜10図に示した原理に従うと、通
常の光ファイバをそのまま適当な絶縁ブロック中に埋め
込んだような構成も容易に提供でき、のみならず、滑ら
かで損失の少ない受動型分岐素子等も得ることができ
る。
第15図はそのような実施例を示しており、基板20上には
本発明に従って半絶縁性GaAsブロック71が形成されてい
るが、この中には、断面円形の半絶縁性AlGaAsクラッド
72にて囲まれ、同様に円形断面であって相対的に高屈折
率のAl0.1GaAsコア73が備えられ、しかも、コア73とこ
れを取囲むクラッド72は、途中で二つの部分に分岐する
ように形成されている。
このように、光導波路として通常の性能の良い光ファイ
バと同様の構造を適当なる構築物71内に埋め込むことが
でき、しかも、第8〜10図示の原理に従って、複数のク
ラスタ・イオン源30,・・・を連続的な一工程の中でも時系
列的に使い分ければ、このような一回路対二回路変換型
の受動光分岐素子70も一回の連続成長工程で簡単に作り
込むことができる。なお、第15図中では説明のため、分
岐角度はかなり大きく示してあるが、本質的にはこれは
任意である。むしろ、従来の集積回路内蔵型光分岐素子
では、滑らかで低損失の分岐を計ろうとする場合、その
分岐角度はせいぜい数程度に制限されることが多かった
が、本発明に従ってクラッド付きの光伝送路を組込める
よになると、この分岐角度は十分大きく採ることがで
き、のみならず、必要に応じて任意に蛇行させた形状も
得ることができる。
もちろん、この素子は可逆的であり、光合波も可能であ
る。以下においても、特に断りのない限り、この種の分
離で常識的なように、分岐とは合波を含む概念とする。
また、分岐数も実施例中では二つにしているが、明らか
なように、本発明とは拘りのない他の条件に制約されな
い限り、任意の分岐数(ファン・アウト:合波ならばフ
ァン・イン)とすることができる。
このような受動分岐素子70に対し、分岐路の選択や複数
の分岐路への光エネルギの分配割り合いを外部電気信号
にて制御可能な能動光分岐素子80も、本発明方法を利用
することにより、第16図示のような構造で得ることがで
きる。
説明すると、基板20上には半絶縁性GaAsブロック81が形
成され、この中にはまず、先の第15図示実施例と同様
に、断面円形の半絶縁性AlGaAsクラッド82にて囲まれた
円形断面で相対的に高屈折率のAl0.1GaAsコア83が一
本、ブロック81の前後面を抜けるように設けられてい
る。
これに加え、ブロック81の内部途中から後面に抜けるま
で、第二の半絶縁性AlGaAsクラッド84にて囲まれ、同様
に円形断面で相対的に高屈折率の第二のAl0.1GaAsコア8
5が埋め込まれ、それら一対の光導波路は、一定区間、
近接して平行に延び、いわゆる光結合区間を構成した
後、互いに離れて行くようになっている。
例えば、これだけでの構成でも、受動素子としての光分
岐素子は構築可能であり、一対の光導波路の並設距離
(結合長)や並設間隔を任意に設計することで、結合度
を任意に設計した光分岐(合波)が可能となる。しかし
さらに、両光導波路が結合している部分に以下のような
構造を作り込むと、これは波長選択性を有する能動光分
岐素子となる。
まず第16図(B)は、第16図(A)中、一本の光導波路
のみが存在する部分で採った16B−16B線に沿う断面図
で、先に説明した通り、半絶縁性GaAsブロック81中にAl
GaAsクラッド82で囲まれたAl0.1GaAsコア83が見られ
る。
また、第16図(D)は、分岐を終えた二つの光導波路が
存在する部分で第16図(A)中の断面線16D−16Dに沿っ
て採った断面図であり、半絶縁性GaAsブロック81中には
それぞれAlGaAsクラッド82,84で囲まれたAl0.1GaAsコア
83,85が見られる。
しかるに、第16図(A)中、両光導波路が近接して平行
に走っている結合部分における断面線16C−16Cに従った
断面図である第16図(C)には、次のような構造が表れ
ている。
すなわち、一対の光導波路の各クラッド82,84は互いに
接し合っているが、それぞれはブロック81中にあっても
不純物導入の結果、導電型が異ならされた部分86,87に
囲まれ、同時にここでのクラッド部分82とコア部分83は
部分86と同一のp型に、またクラッド部分84とコア部分
85は部分87と同一のn型に転換されている。
また、これらp−GaAs部分86とn−GaAs部分87とが接し
合う部分には、電流阻止層として、上下にそれぞれ一つ
づつのn−AlGaAsブロック層88,88とp−AlGaAsブロッ
ク層89,89とが互いに接し合うように設けられている。
このようにしてpn接合を形成した上で、それぞれ仮想線
で示すように、適当な制御電極90,91を設けると、pn接
合部分へのキャリア注入量や空乏層の生成ないしはその
空乏層幅を一対の電極90,91間に流す電流に応じて変
更、制御することにより、光エネルギ分配割り合い(結
合度)の可変な能動型高機能波長選択性光分岐素子80を
構築することができる。
第17図は、本発明に従って作製されるコア径を光伝送方
向に沿って変化させた光導波路100が示されている。こ
の光導波路100を作り込む支持部材は任意で良く、例え
ば第15,16図中に示されたようなGaAsブロック71,81であ
って良いので、最早、図示は省略した。
しかるに、このような径が異なる光導波路は、実は細径
の部分101に第13図で説明したようなレーザ構造等の能
動部分を作り、太径の部分102の出射端は例えば光ファ
イバとの接続に適当なものとすることができる。特に受
動部分102のエネルギ・バンド・ギャップを広くとると
導波路の光損失を低減することができるので、このよう
な構造は狭スペクトラム用の拡張キャビティ・レーザや
端面での光損傷を軽減した大出力レーザ用としても適し
ている。もちろん、細径部分101から太径部分102への移
り変わりの部分の径変化は、すでに第11図に即して説明
した手法により、極めて滑らかに、かつ精度良く作製す
ることができるし、また、これに合せて要すれば屈折率
分布の制御等も比較的容易に行なうことができる。
さらに、第13図に示したようなレーザの活性層部分68の
みを取出し、これに第16図に示したようなクラッド層82
を付した状態でさらに改変を施した場合を第18図
(A),(B)に示しているが、ここでは活性層68の壁
面の一部に長さ方向に沿い管内波長の1/2を基本周期と
した凹凸103が形成されている。
したがって、この活性層68を用いたレーザは、いわゆる
分布帰還型となり、この種のレーザに期待される通り、
特性の良好な出力ビームとなる上に、本発明に従って活
性層やこれに続く光導波路部分を断面円形に作製し得る
ことから、ビーム自体の断面形状も均一なものとなる。
もちろん、活性層68自体に凹凸103を設けず、第19図に
示されるように、活性層68に近接してコア68とクラッド
82との中間組成のAlGaAs板104を設け、これに凹凸103を
形成しても同様な分布帰還型レーザを得ることができ
る。こうした第18,19図示の構造を採用する場合にも、
注入電流はコアに集中することが望ましいので、第13図
や第14図に示した構造と合せて構築するのが適当である
し、その上でさらに、第16図に示したような構造も組込
むことができる。
そしてこのように、極めて多機能、高機能で組成の異な
る金属膜、半導体膜の多数の集合で構成されるような光
素子ではあっても、本発明におけるようなクラスタ・イ
オン源を用いての作製方法に従えば、最大原子層オーダ
での高い精度でかつ高い堆積速度を保ちながら、第8〜
10図示のようなCADを利用しての複雑なパタン描画がそ
のときどきで一遍に行なえ、一連の連続工程で作製可能
となる。
なお、第13図に示されたような構造は、これを基板20に
対して垂直または斜めに立ち上げた、いわゆる面発光レ
ーザ構造にもほぼそのまま、応用することができる。本
出願人はすでに、特開昭62−152192号公報(特にその第
10図)に示されているように、基板と垂直に形成された
活性領域の周囲を、pnpn‥‥‥‥‥という関係で取囲む
構造を示し、これはあたかも、第13図示レーザの端面構
造を上に向けるような格好に相当するが、当然、本発明
に従えば、このような構造の作製もやはり、第8〜10図
にその原理が示されているように、そのときどきの平面
パタン関係にのみ、帰結させることができる。
むしろ、このような垂直発振型レーザの具体構造は、活
性層ないし光共振器の幅を実効的にサブ・ミクロン・オ
ーダにまで小型化しようとすると、従来のプロセスでは
その構築は事実上、極めて困難であったが、本発明の選
択エピタキシャル成長方法に従えば、十分実現可能なも
のとなり、超低しきい値の埋め込み垂直発振型レーザを
市場に提供することができる。
以上、本発明の実施例につき詳記したが、本発明方法
は、従来にない新たなる方法として、将来的にはこの種
の分野で“集束クラスタ・イオン・ビーム・エピタキシ
ィ”と呼称することができよう。
[効果] 以上、詳記の通り、本発明の選択エピタキシャル成長方
法に従うと、1μmから小さければ0.1μm以下にも及
ぶ極微小径の粒子として得ることのできるクラスタ・イ
オンにより、適当なる基板上に当該基板をスパッタリン
グする恐れもなく、金属膜や半導体膜を選択成長させる
ことができる。
しかも、その厚味は要すれば原子層オーダでも制御で
き、にもかかわらず成膜速度は公知既存の他のデポジシ
ョン方法等と比較しても互角からそれ以上の高速性が得
られる。
一方、本発明方法を実現するための装置自体は、現実的
な問題としてもキャピラリに開ける微細孔の加工に神経
を使く位で、全体構成としては特殊な配慮を必要としな
い。
また、複数のクラスタ・イオン源を用いることや、公知
方法に従う集束イオン・ビーム装置のイオン源と併用す
ること等も可能であり、その結果、極めて複雑で高機能
な電子、光素子や三次元集積回路も、一連の連続工程で
高速、高精度に作製可能となる。
特に、ある構造物内に矩形断面形状以外の任意の断面形
状を得るのも、本発明に従えば現実的なものとなる。原
子層オーダでの制御が可能であるのにかかわらず、成膜
速度が速いからである。
これが例えば、従来の集束イオン・ビーム装置のよう
に、場合によっては例え試算の上とは言え、数年以上も
掛けなければそのような非矩形断面でかなりな容積のあ
る構造物を作製できないようでは、到底、現実味のある
製造方法とは言えない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法に適用し得る選択エピタキシャル成
長装置の一例の概略構成図, 第2図は本発明方法に関して示されたクラスタ・イオン
の発生メカニズムの説明図, 第3図はクラスタ・イオン源部分のキャピラリの断面構
造図, 第4図は第1図示装置の構造に従った実験装置を用いて
の実験により得られたクラスタ・イオン・ビームに関す
る特性図, 第5図は同じく第1図示装置の構造に従った実験装置を
用いての実験で得られた偏向電圧とイオン電流の関係特
性図, 第6図は第5図示の特性を得た実験に基づくクラスタ・
イオン走行距離と位相シフト量(位相ずれ)との一実際
例を示す特性図, 第7図は本発明方法を用いながら種々のデバイスを作製
するに適した装置構造の一例のより具体的な説明図, 第8図は本発明方法を用いながら埋め込み構造を作製す
る場合の説明図, 第9図は非矩形断面の埋め込み構造を作製する場合の説
明図, 第10図は作製された埋め込み構造の一例の概略構成図, 第11図は本発明方法を適用することにより極めて薄膜化
された実効ベース領域を有するバイポーラ・トランジス
タの概略構成図, 第12図は本発明方法を適用することによりヘテロ接合電
界効果トランジスタのソース,ドレイン領域に部位ごと
に適当な厚味を与えた場合の当該電界効果トランジスタ
の概略構成図, 第13図は本発明方法を適用することによりレーザ活性層
を望ましい円形断面とし、かつ電流ブロック層の厚味形
状にも最適化を施した埋め込み型レーザ構造の概略構成
図, 第14図は本発明方法を適用することにより得られた他の
タイプの埋め込み型レーザ構造の概略構成図, 第15図は本発明方法を適用することにより構築された受
動型光分岐素子の概略構成図, 第16図は本発明方法を適用することにより構築された能
動型光分岐素子の全体及び要部断面を示す概略構成図, 第17図は本発明方法を適用することによりコア径に長さ
方向に沿って変更を及ぼした光導波路の概略構成図, 第18図は活性光導波路に分布帰還原理を導入するために
本発明方法を適用して構築された活性導波路の概略構成
図, 第19図は第16図示の分布帰還型活性光導波路に代えて本
発明方法により作製し得る他のタイプの活性導波路の概
略構成図, である。 図中、10,10-1,10-2は真空室、20は基板、22は基板加熱
用のヒータ、30は全体としてのクラスタ・イオン源装置
またはイオン源装置、31はクラスタ・イオン源、32は引
き出し電極、33は集束レンズ系、34は偏向系、35は液体
化合物(液体ソース)、36は容器、38はキャピラリ、41
は直流電源、42は発生したクラスタ・イオンないし液
滴、50はバイポーラ・トランジスタ、52は薄膜化された
ベース、55は電界効果トランジスタ、56は膜厚分布が最
適化されたソース、57は膜厚分布が最適化されたドレイ
ン、58はゲート、60はヘテロ接合埋め込み型半導体レー
ザ、61,64はそのクラッド層、62,63は電流阻止層ないし
ブロック層、68はレーザ活性層、70は受動型光分岐(合
波)素子、72はクラッド、73はコア、80は能動型光分岐
(合波)素子、82,84はクラッド、83,85はコア、86,87,
88,89はpn接合構造、100は光導波路、101は細径部分、1
02は太径部分、103は凹凸構造、104は凹凸構造を有する
板部材、である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−124931(JP,A) 特開 昭56−33468(JP,A) 特開 昭60−251270(JP,A) 特開 昭62−223094(JP,A) 特開 平1−139756(JP,A) 実公 昭63−12349(JP,Y2)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空度の調整可能な室内に基板を加熱状態
    で保持する一方; 該室内にはまた、上記加熱された上記基板上で熱分解す
    ると金属膜または半導体膜として堆積し、導電率が10
    -10mho/cmから10-6mho/cmまでの低導電性液体化合物を
    イオン源材料とし、該イオン源材料を、先端開口径が十
    数μm以下のキャピラリを介して静電気力によりクラス
    タ・イオン状態で引き出し、該引き出したクラスタ・イ
    オン・ビームを集束系で集束し、偏向系で偏向可能なク
    ラスタ・イオン源装置を配し; 該クラスタ・イオン源装置の上記偏向系により、上記ク
    ラスタ・イオン・ビームを所定のパターンに従って走査
    することにより、上記基板上に該パターンに対応した平
    面形状を持つ金属膜または半導体膜を選択的に堆積させ
    ること; を特徴とする選択エピタキシャル方法。
  2. 【請求項2】上記低導電性液体化合物は有機金属化合物
    である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】上記低導電性液体化合物は金属塩化物であ
    る請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】上記クラスタ・イオン源装置は上記室内に
    複数個あり、それぞれの上記イオン源材料としての上記
    低導電性液体化合物は互いに異なったものである請求項
    1,2または3に記載の方法。
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