JPH0682191U - 衝撃ドリル要素 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 より小さなねじ径に対して、また、低い作動
圧の場合にも、標準的なタイプの丸ねじと比べて、ゆる
まない性能と長い寿命を有するドリル要素を提供する。 【構成】 衝撃穴あけのためのドリル要素であって、３
０mmより小さい外径と、１条のねじを持った円筒雌ねじ
（１５）又は円筒雄ねじ（１３，１４）を有し、ねじ山
がその頂においても谷においても一定の曲率半径（Ｒ，
ｒ）を有し、雄ねじのねじ山の頂の曲率半径（Ｒ）は雄
ねじのねじ山の谷の曲率半径（ｒ）よりも大きく、ねじ
山のピッチ（Ｓ）が１２mmよりも小さく、ねじ山のショ
ールダー角（β）が６９°よりも小さく、さらにねじ山
のピッチ角（α）が１１°よりも小さくしかも５．６°
よりも大きい構成とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、衝撃穴あけのためのドリル要素、例えばドリルロッド、連結スリー ブ又はドリルビット（錐先）のような、外径が３０mm以下、好ましくは２５mm以 下の１条円筒ねじからなる雄ねじ及び雌ねじを有するドリル要素に関する。この ドリル要素は衝撃ドリルストリング（衝撃ドリル穴あけ機械）の中に包含される 他の要素と接合するように意図されたものである。

【０００２】

【従来の技術及び考案が解決しようとする課題】

本考案は、元来、いわゆる丸ねじ又はロープねじを有するドリル要素に関連し ている。 上記ドリル要素の丸ねじはねじ山の頂とねじ山の谷とが共に一定の曲率半径を 持っている。そして、ドリル要素の長手方向の軸線とほとんど平行なねじ面を有 するねじの部分がくさび状に喰い込むことを防止するために、雄ねじのねじ山の 頂と雌ねじのねじ山の谷の曲率半径は、雄ねじのねじ山の谷と雌ねじのねじ山の 頂の曲率半径よりも、それぞれ若干大きくしてある。

【０００３】 しかし本考案は、１条円筒ねじを持つドリル要素には一般に適用できるもので ある。

【０００４】 従来の技術の丸ねじは低位から中高位のドリル動力を有する岩石ドリルと一緒 に用いた場合に比較的大きなねじの直径にとって良好な機能を持つことが分って いる。この場合のねじの形状はねじの径の大きさに関係なく一定に保たれている 。しかし、ねじの径の小さいもの、主として２２mmと２５mmの標準径を有するも のではねじの寿命とねじのゆるまない性能については満足したものではない。こ の不利な特性は、ドリル装置が低い作動圧力、すなわち７バールの正常圧力より も低い作動圧力で使用された場合に強くあらわれる。

【０００５】 ねじの急速な摩耗の主な原因は、ねじが非常にゆるみ易くなっており、そのた めに、ドリル作業の普通の時間内でゆるみをひき起すためと考えられる。これは ショールダー部にいわゆる凹みを作ることをひき起す原因となっている。

【０００６】 本考案の目的は、より小さなねじ径に対して標準的なタイプの丸ねじと比べて 、長い寿命と改良されたゆるまない性能とを有するドリル要素を提供することで ある。本考案のさらにもう一つの目的は低い作動圧の場合にも、長い寿命と、良 好なゆるまない性能を有するドリル要素を提供することである。

【０００７】

【課題を解決すべき手段】

これらの及びその他の本考案の目的は実用新案登録請求の範囲に記載されてい る特徴ある構成、すなわち、衝撃穴あけのためのドリル要素、例えばドリルロッ ド、連結スリーブ又はドリルビットのようなドリル要素であって、前記ドリル要 素が、３０mm、好ましくは２５mmより少ない外径と１条の雌又は雄の円筒ねじを 有し、前記ドリル要素が衝撃ドリルストリングの中に包含されているもう１つの 要素に連結されるようになっているドリル要素において、ねじ山のピッチが１２ mmより少なく、前記ねじ山のショールダー角が２１°より大きく、さらに前記ね じ山のピッチ角が１１°より少なくしかも５．６°よりも大きいことを特徴とす るドリル要素によって達成される。

【０００８】

【実施例】

標準型の丸ねじは、径が２２mmから５１mmの間のものについては、同じねじの 形状を持っている。そのねじのピッチは１２．７mm、ねじ山の高さは１．６mm、 ピッチ角は約１１．３°、ねじのショールダー角は約６９°、ねじ山の頂とねじ 山の谷における曲率半径はそれぞれ、６．０ｍと５．５mmである。上記のように 、このねじは、小さい径の場合、特に作動圧が低いときには、寿命とねじのゆる まない性能とは満足したものではないことが分っている。ねじをゆるめるための トルクの式としては、次のものが有効である。 μ−ｃｏｓβｔａｎα Ｍ＝Ｆ・ｄ_m ／２────────────＋Ｆ・μ・ｒ_m …（１） ｃｏｓβ＋μｔａｎα Ｍ＝ねじのゆるみのトルク Ｆ＝加えられた力 ｄ_m ＝有効径又は平均径 β＝図４で定義されたショールダー角 α＝ピッチ角 μ＝摩擦係数 ｒ_m ＝端面に対する平均半径 ショールダー角βは次式より計算される。 ｒ＋Ｒ ｃｏｓ（β−γ）＝────────────── …（２） √ Ｓ ² （─） ＋（Ｒ＋ｒ−ｈ）² ２ ｒ＋Ｒ−ｈ ｔａｎγ＝─────── …（３） Ｓ／２ ｒ＝ねじ山の谷に於ける曲率半径 Ｒ＝ねじ山の頂に於ける曲率半径 Ｓ＝ピッチ ｈ＝ねじ山の高さ又は深さ ねじの平均径Ｄ_m は次式より計算される。 １ Ｄ_m ＝Ｄｙ−ｈ±（Ｒ−ｒ）（──────────−１） …（４） ｃｏｓ（９０−β） Ｄｙ＝ねじの外径、（＋）記号は雄ねじの場合、（−）記号は雌ねじの場合を 示す。 ピッチ角αは次式より計算される Ｓ ｔａｎα＝───── …（５） Ｄ_m π （１）式からねじをゆるめるトルクはピッチ角αとショールダー角βとの関数 であることが判る。このことは、ピッチ角αが小さく、ショールダー角βが大き い程ねじはゆるみにくくなることを表はしている。したがって、たとえ、よりし っかりしたねじの結合をさせるためにピッチ角αを減ずることがあってもショー ルダー角βはそのまゝにして、決して増加することのないように保つべきである 。

【０００９】 図１に示す接手において２つの衝撃ドリルロッド１０，１１は連結スリーブ１ ２により結合されている。ドリルロッド１０，１１は円筒形の雄ねじ１５を示し ている。

【００１０】 図４を見てわかる通り、ショールダー角βはドリル要素の長手方向の軸１７に 直角な平面に対するねじショールダーの傾斜であると定義される。また、図４か らピッチＳとねじ山の高さｈがいかに定義されるかがわかる。

【００１１】 本考案によれば、驚くべきことに、標準的な丸ねじのピッチ角αを減じて、す なわち１１°より小さくし、また標準的な丸ねじのショールダー角βを同時に減 少して６９°より小さくした場合、径のより小さいねじの結合は、正常の作動圧 、すなわち約７バールのもとでも、またこの７バールより少ない圧力のもとでも 、その寿命が非常に長くなり、また、良好なねじのゆるまない性能を得ることが わかった。

【００１２】 本考案によれば、ピッチ角αは５．６°より大きくねじのピッチは１２mmより 小さいものである。この場合、より小さな直径は３０mmより小さい外径、主とし て２２mmと２５mmとの標準直径である。本考案のねじは１条ねじである。好適な 実施態様において、ピッチ角αは５．６°〜７．６°の範囲内であり、ピッチＳ は９mmより小さくねじ山の頂での曲率半径Ｒは６mmより小さく好ましくは４mmよ り小さく、ねじ山の高さ、ｈは１．６mmより小さく好ましくは１．５mmより小さ いものである。曲率半径Ｒとねじ山の高さｈとの比は、３．７５、好ましくは２ ．６より小さい。

【００１３】 既に述べた実施例に於て、ピッチ角αが約６．６°、ピッチＳ＝７．５mm、曲 率半径Ｒ＝３．０mm、ショールダー角βが約６０°、ねじ山の高さｈ＝１．３５ mmである。この結果、Ｒ：ｈの比は約２．２となる。ねじ山の谷での曲率半径ｒ は２．５mmであり、曲率半径Ｒとｒとは一定の値をもっている。

【００１４】 これまで述べた実施例ではねじは主に凸凹の形をしている。すなわち曲率半径 ｒとＲとは一定の値を持っている。

【００１５】 しかしながら、ねじの形状は実用新案登録請求の範囲内で変化させることがで きる。すなわち、ねじの接触が起こるショールダー部１６の形状は本考案にもと づいてきめられるべきである。また、反対側のショールダー面１８は中間的な位 置にある１９，２０と同様に変化する曲率半径を有するねじの形状を得るように 変形することができる。

【００１６】 既に述べた実施例に於て、本考案は二つのドリルロッドの間の接手に関連づけ られている。しかしながら、本考案はすべての衝撃ドリルストリングの全ての要 素、例えばドリルビットにも適用できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る二つのロッドエンドと一つの連結
スリーブを具備する、衝撃ドリルストリング中の接手を
示す。

【図２】本考案のねじを有するロッドの端部を示す。

【図３】図１に示す接手の部分拡大図を示す。

【図４】図３の中の一つの要素の拡大図である。

【符号の説明】

１０，１１…ドリルロッド １２…連結スリーブ １３，１４…雄ねじ １５…雌ねじ α…ピッチ角 β…ショールダー角 Ｒ…ねじ山の頂の曲率半径 γ…ねじ山の谷の曲率半径 Ｓ…ねじのピッチ

Claims (10)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 衝撃穴あけのためのドリル要素、例えば
   ドリルロッド（１０；１１）、連結スリーブ（１２）又
   はドリルビットのようなドリル要素であって、該ドリル
   要素（１０，１１，１２）が、３０mmより小さい、好ま
   しくは２５mmより小さい外径と１条のねじを持った円筒
   雌ねじ（１５）又は円筒雄ねじ（１３，１４）を有し、
   前記ドリル要素（１０，１１，１２）が衝撃ドリルスト
   リングに包含されている他の要素に連結するようにさ
   れ、且つ、ねじ山がその頂においても谷においても一定
   の曲率半径（Ｒ，ｒ）を有するように構成されたドリル
   要素において、雄ねじのねじ山の頂と雌ねじのねじ山の
   谷の曲率半径（Ｒ）が、雄ねじのねじ山の谷と雌ねじの
   ねじ山の頂の曲率半径（ｒ）よりもそれぞれ大きく、ね
   じ山のピッチ（Ｓ）が１２mmよりも小さく前記ねじ山の
   ショールダー角（β）が６９°よりも小さく、さらに前
   記ねじ山のピッチ角（α）が１１°よりも小さくしかも
   ５．６°よりも大きいことを特徴とするドリル要素。
2. 【請求項２】 ピッチ角αが５．６°〜７．６°の範囲
   内、好ましくは６．６°であることを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項記載のドリル要素。
3. 【請求項３】 ピッチ（Ｓ）が９mmより小さい、好まし
   くは７．５mmであることを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項又は第２項に記載のドリル要素。
4. 【請求項４】 ねじ山の頂における曲率半径（Ｒ）が
   ６．０mmより小さく、４mmより小さい方が好ましく、な
   るべくなら３．０mmであることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項〜第３項のいづれか１項に記載のド
   リル要素。
5. 【請求項５】 ショールダー角（β）が６０°であるこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項〜第４項
   のいづれか１項に記載のドリル要素。
6. 【請求項６】 ねじ山の高さ（ｈ）が１．６mmより小さ
   いことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項〜第
   ５項のいづれか１項に記載のドリル要素。
7. 【請求項７】 ねじ山の高さ（ｈ）が１．５mmより小さ
   く、好ましくは１．３５mmであることを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第６項記載のドリル要素。
8. 【請求項８】 曲率半径（Ｒ）とねじ山の高さ（ｈ）と
   の比が３．７５より小さいことを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項〜第７項のいづれか１項に記載のド
   リル要素。
9. 【請求項９】 曲率半径（Ｒ）とねじ山の高さ（ｈ）と
   の比が２．６より小さく、好ましくは２．２であること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第８項記載のドリ
   ル要素。
10. 【請求項１０】 ねじ山の谷の曲率半径（ｒ）がねじの
    山の頂の曲率半径（Ｒ）より０．５mmだけ小さく、ま
    た、ねじ山の谷の曲率半径（ｒ）が２．５mmであること
    を特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項〜第９項の
    いづれか１項に記載のドリル要素。