JPH0678207B2 - 燻煙剤の加熱点火剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は燻煙剤の加熱または点火に用いる組成物に関す
るものである。更に詳しくは、過マンガン酸塩とこれと
接触させた時発熱作用を有する易酸化性物質とからなる
化発熱組成物に関するものである。

従来の技術 従来、燻煙剤を加熱または点火する方法としては、種々
考案されてきた。その代表的な方法としては、燃焼剤、
酸化剤等からなる点火剤に使用時にマッチ等の炎で着火
し、その燃焼熱により燻煙剤を燃焼または分解させる方
法、酸化カルシウムに水を加えその時発生する熱を利用
する方法、鉄粉を空気中で酸化反応熱を利用する方法、
更に電気または固形アルコール燃料の燃焼により加温す
る方法等が考案され用いられている。

しかしながら、マッチ等の火炎で点火剤または燃料に点
火する方法は裸火を使用すること、または点火剤からの
煙の発生という問題があった。酸化カルシウムに水を添
加する方法、あるいは鉄粉の酸化熱を利用する方法は製
造工程及び使用前に、前者では防湿が後者では空気との
接触を完全に断つことが必要である。その為特殊な容器
を使用しなければならずコスト高となる等問題が多かっ
た。また電気による方法は加熱するために用いる電気の
存在する所でなければならず、使用する場所が限られる
こと、更に構造が複雑で高価となるなどの欠点がある。

発明が解決しようとする問題点 本発明者らは、かかる欠点を解決すべく鋭意検討した結
果、かかる欠点を除くべく新しい燻煙剤の加熱添加剤を
見出し本発明を完成した。

問題点を解決するための手段 すなわち本発明は、過マンガン酸塩と過マンガン酸塩に
接触させたときに発熱作用を有する易酸化性物質とから
なるこを特徴とする燻煙剤の加熱点火剤。

作用 本発明に用いられる過マンガン酸塩としては、過マンガ
ン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸
カルシウム、過マンガン酸マグネシウム等いずれも使用
でき、また、これらの混合物でもよい。またこれらは粒
状、粉状、塊状いずれのものも使用できる。また必要に
応じ過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、酸化カルシウ
ム、クロム酸、クロム酸カリウム、クロム酸ナトリウ
ム、重クロム酸カリウム、重クロム酸ナトリウム、重ク
ロム酸アンモニウム、サラシ粉、亜塩素酸ナトリウム、
過塩素酸バリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウウ
ム、硝酸バリウム等の酸化剤を添加することができる。
更に鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム等の金属粉、
ケイソウ土、タルク、クレー、ベントナイト、カオリン
等の無機鉱物質を加えることも可能である。

本発明に用いる易酸化性物質とは、過マンガン酸塩と接
触させたときに発熱するものであればいずれでもよく、
例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエ
チレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトー
ル、ソルビトール、ヘキサレングリコール、1,3−ブタ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、３−メチルペンタ
ン−1,3,5−トリオール等の多価アルコール、トリ−ｎ
−オクチルアミン、２−エチルヘキシルオキシプロピル
アミン等のアミン、ｎ−ヘキシルアルデヒド、ブチルア
ルデヒド等のアルデヒド、プロピオン酸、セバシン酸等
のカルボン酸等が挙げられる。

本発明で用いる易酸化性物質の量は、過マンガン酸塩10
0重量部に対して20重量部以上であり、好まししくは20
〜80重量部である。20重量部未満では発熱温度が低く、
逆に80重量部を超えても発熱温度はほとんど変わらな
い。

本発明における加熱点火剤は過マンガン酸塩と易酸化性
物質を別個の収納器に収納し、使用時に両者を混合する
ことにより発熱するようにしたものである。従って使用
前には過マンガン酸塩と易酸化性物質が混合接触しない
ように収納されていればよくその収納形態はどのような
方法であっても差し支えない。例えば過マンガン酸塩と
易酸化性物質を仕切られた二つの収納部分のそれぞれに
収納してもよく、使用時にその仕切部分を取り去るよう
にするか、または過マンガン酸塩と易酸化性物質をそれ
ぞれ個別の容器に収納し、使用時に両者を開封して混合
したものであってもよい。

効果 本発明の燻煙剤の加熱点火剤の特徴は燻煙剤の種類と目
的に応じて、所望の温度で加熱または点火が可能であ
り、またその際火炎が生じたりすることなく非常に安全
に発熱する点にある。更に本発明の加熱点火剤は経時安
定性にもすぐれ、酸化カルシウムや鉄粉を用いた場合の
ような完全密封という包装条件も必要としない。

実施例 次に実施例および試験例によって本発明を説明する。

実施例１ 直径9mm、長さ66mmのガラス管の下端にガラスウールを
詰めその上に、顆粒状の過マンガン酸カリウム1gを充填
した。次いで、エチレングリコール0.5gをガラス管の上
端から加え、ガラス管の表面温度をCA熱電対により測定
したところ、約１分30秒経過した後、最高436℃に到達
した。

実施例２ 実施例１に準じて、粉末過マンガン酸ナトリウム3.0g、
ポリエチレングリコール−2001.0gについて行った。約
１分30秒経過し、最高385℃を示した。

実施例３ 実施例１に準じて過マンガン酸カルシウム0.5gと過酸化
ナトリウム0.5gの混合物に対し、1,2,6−ヘキサントリ
オール0.5gについて行った。約30秒経過した後、最高46
5℃を示した。

実施例４ 実施例１に準じて過マンガン酸マグネシウム0.5gとクロ
ム酸0.5gの混合物に対しヘキサメチレジアミン0.4gにつ
いて行った。約１分40秒経過した後、最高342℃を示し
た。

実施例５ 実施例１に準じて過マンガン酸カルシム1.8gとプロピオ
ン酸0.5gについて行った。約２分経過した後、最高325
℃を示した。

実施例６ 実施例１に準じて、過マンガン酸カリウム1.3gとケイソ
ウ土0.7gの混合物に対し、エチレングリコール1.2gにつ
いて行った。約１分30秒経過後441℃を示した。

試験例１ 円筒形金属製容器にDDVP10重量％、ニトロセルロース30
重量％、CMC5重量％、ケイソウ土55重量％とからなる殺
虫燻煙剤を収納する。実施例１〜６に示した過マンガン
酸塩を充填したガラス管を各々につき上記殺虫燻煙剤に
挿入し、実施例１〜６で示したと同様にして、各々対応
する易酸化性物質をガラス管内に添加した。実施例１〜
６のすべてについて試験した結果、いずれも易酸化性物
質を添加した後２分以内に発煙を開始し、正常な燻煙状
状況を示した。

試験例２ テトラクロロイソフタロニトル30重量％、塩素酸カリウ
ム15重量％、アゾジカーボンアミド50重量％、CMC5重量
％からなる殺菌燻煙剤を、ポリエチレンラミネート加工
したアルミニウム袋に収納する。アルミニウム袋中央部
に直径約10mm大の穴を３個あけ、この内の１つに、実施
例１〜６に示した過マンガン酸塩を充填したガラス管を
各々挿入する。以下試験例１と同様に試験行った結果、
実施例１〜６のいずれの点火剤についても、易酸化性物
質を添加した後２分以内に発煙を開始し、正常な燻煙状
況を示した。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】過マンガン酸塩と過マンガン酸塩に接触さ
   せたときに発熱作用を有する易酸化性物質とからなるこ
   とを特徴とする燻煙剤の加熱点火剤。
2. 【請求項２】過マンガン酸塩がカリウム、ナトリウム、
   マグネシウム、カルシウムの過マンガン酸塩より選ばれ
   た少なくとも一種を含む前記第１項記載の燻煙剤の加熱
   点火剤。
3. 【請求項３】少なくとも過マンガン酸塩を含む成分と易
   酸化性物質をそれぞれ個別の収納器に収納し両者を混合
   することにより、発熱する様に構成された前記第１項記
   載の燻煙剤の加熱点火剤。