JPH0677490B2 - 温度感応性核遺伝子雄性不稔の利用によるイネの一代雑種種子の生産法 - Google Patents
温度感応性核遺伝子雄性不稔の利用によるイネの一代雑種種子の生産法Info
- Publication number
- JPH0677490B2 JPH0677490B2 JP1026382A JP2638289A JPH0677490B2 JP H0677490 B2 JPH0677490 B2 JP H0677490B2 JP 1026382 A JP1026382 A JP 1026382A JP 2638289 A JP2638289 A JP 2638289A JP H0677490 B2 JPH0677490 B2 JP H0677490B2
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- Japan
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- male sterility
- rice
- temperature
- line
- nuclear gene
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- Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、イネ（Oryza sativa L）の不稔性作物の一代
雑種利用における新しい型の雄性不稔性の利用による雄
性不稔系統の種子増殖とその雄性不稔系統を使用した一
代雑種種子の生産法に関するものである。
雑種利用における新しい型の雄性不稔性の利用による雄
性不稔系統の種子増殖とその雄性不稔系統を使用した一
代雑種種子の生産法に関するものである。
イネにおいて、一代雑種を利用する場合、その花器特性
から人力による除雄操作が困難なうえ、実用栽培におけ
る所要種子量が多いことから、効率的な除雄技術が必要
である。実用的な除雄技術として、雄性器官の機能を喪
失させる雄性不稔を利用した方法がある。雄性不稔性に
はいくつかの型があり、その利用法にはそれぞれ差異が
ある。
から人力による除雄操作が困難なうえ、実用栽培におけ
る所要種子量が多いことから、効率的な除雄技術が必要
である。実用的な除雄技術として、雄性器官の機能を喪
失させる雄性不稔を利用した方法がある。雄性不稔性に
はいくつかの型があり、その利用法にはそれぞれ差異が
ある。
イネでの一代雑種利用の実用的研究は、すべて雄性不稔
の利用を前提としたものであった。雄性不稔性は、その
原因や遺伝性の違いによっていくつかの型に分けられる
が、実用化研究のほとんどは細胞質雄性不稔（Cytoplas
mic Male Sterility,以下、CMSと略称）の利用によるも
のであり、わずかに化学物質による雄性不稔の誘起によ
るもの（除雄剤）があるに過ぎない。
の利用を前提としたものであった。雄性不稔性は、その
原因や遺伝性の違いによっていくつかの型に分けられる
が、実用化研究のほとんどは細胞質雄性不稔（Cytoplas
mic Male Sterility,以下、CMSと略称）の利用によるも
のであり、わずかに化学物質による雄性不稔の誘起によ
るもの（除雄剤）があるに過ぎない。
上記CMSを利用する方法は、中国の水稲で実用化され、
広く普及している優れた方法であるが、以下のような問
題点がある。
広く普及している優れた方法であるが、以下のような問
題点がある。
.CMS系統とその維持系統および雄性不稔性を回復させ
る遺伝子をもつ父系統の３系統を組とした体系であると
ころから３系法と呼ばれ、かなり複雑な採種体系を必要
とし、雄性不稔系統の増殖効率が低く、労力を要する。
（第１図参照,2系法） ．新しいCMS系統の育種にあたって、維持系統の育成
ののち少なくとも５世代程度の戻し交配を行う必要があ
って、育種年限が長くなるうえに、多大の労力を要す
る。（第４表の育種年限の比較参照） ．維持系統，稔性回復系統は、使用する雄性不稔細胞
質の種類によって制約される。このため材料の自由度が
低く、育種能率が低下する。
る遺伝子をもつ父系統の３系統を組とした体系であると
ころから３系法と呼ばれ、かなり複雑な採種体系を必要
とし、雄性不稔系統の増殖効率が低く、労力を要する。
（第１図参照,2系法） ．新しいCMS系統の育種にあたって、維持系統の育成
ののち少なくとも５世代程度の戻し交配を行う必要があ
って、育種年限が長くなるうえに、多大の労力を要す
る。（第４表の育種年限の比較参照） ．維持系統，稔性回復系統は、使用する雄性不稔細胞
質の種類によって制約される。このため材料の自由度が
低く、育種能率が低下する。
次に、除雄剤による方法は、特別な雄性不稔系統や稔性
回復系統の育成が必要なく、既存の材料を直接使用でき
る利点があるが、これまでのところ、使用が容易で除雄
効果が十分な薬剤がない。また、もし適当な薬剤が開発
された場合でも、毎年かなりの面積の採取圃場に薬剤を
散布しなければならないので、経費がかかるという問題
がある。
回復系統の育成が必要なく、既存の材料を直接使用でき
る利点があるが、これまでのところ、使用が容易で除雄
効果が十分な薬剤がない。また、もし適当な薬剤が開発
された場合でも、毎年かなりの面積の採取圃場に薬剤を
散布しなければならないので、経費がかかるという問題
がある。
このほかに、細胞質によらない核遺伝子に起因する雄性
不稔が知られている。これまでは、実用的な利用体系が
開発されていなかったが、近年中国において、日長に反
応して稔性に転換する性質をもつイネの核遺伝子雄性不
稔（Photo-sensitve Genic Male Sterility,以下、PGMS
と略称）が発見されて、その実用化研究が進められてい
る。この方法は、CMSによる方法の問題点のかなりの部
分を解決するものと期待されているが、主要な稲作地帯
である熱帯，亜熱帯地域では使用できないか、もしくは
その使用が極く限られる欠点がある。即ち、中国で発見
されたPGMSは13時間45分以上の長日条件で雄性不稔を表
現し、中・短日条件下での稔性を示すのに対し、低緯度
地帯では年間の日長変化が少なく、常に中・短日条件で
推移するため、PGMS系統を雄性不稔系統として利用でき
ないからである。（第５表，緯度と日長変化を参照） 本発明は、上記の課題を解決するために、CMS利用体系
の問題点である複雑な採取体系，低い雄性不稔系統増殖
効率，長い育種期間と多労および材料の制約等を解決す
ると共に、PGMS利用における制約である熱帯，亜熱帯地
域での利用不能の点などを解消するようにした温度感応
性雄性不稔（Thermo-sensitive Genic Male Sterility,
以下、TGMSと略称）の利用による作物の一代雑種種子の
生産法を提供することを目的とする。
不稔が知られている。これまでは、実用的な利用体系が
開発されていなかったが、近年中国において、日長に反
応して稔性に転換する性質をもつイネの核遺伝子雄性不
稔（Photo-sensitve Genic Male Sterility,以下、PGMS
と略称）が発見されて、その実用化研究が進められてい
る。この方法は、CMSによる方法の問題点のかなりの部
分を解決するものと期待されているが、主要な稲作地帯
である熱帯，亜熱帯地域では使用できないか、もしくは
その使用が極く限られる欠点がある。即ち、中国で発見
されたPGMSは13時間45分以上の長日条件で雄性不稔を表
現し、中・短日条件下での稔性を示すのに対し、低緯度
地帯では年間の日長変化が少なく、常に中・短日条件で
推移するため、PGMS系統を雄性不稔系統として利用でき
ないからである。（第５表，緯度と日長変化を参照） 本発明は、上記の課題を解決するために、CMS利用体系
の問題点である複雑な採取体系，低い雄性不稔系統増殖
効率，長い育種期間と多労および材料の制約等を解決す
ると共に、PGMS利用における制約である熱帯，亜熱帯地
域での利用不能の点などを解消するようにした温度感応
性雄性不稔（Thermo-sensitive Genic Male Sterility,
以下、TGMSと略称）の利用による作物の一代雑種種子の
生産法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明は、イネにおいて、
温度条件に反応して可稔に転換する性質をもつ核遺伝子
雄性不稔（TGMC）系統を使用して母本系統の増殖を行
い、この母本系統の増殖を利用して一代雑種の種子生産
を行うようにしたことを特徴とするものである。
温度条件に反応して可稔に転換する性質をもつ核遺伝子
雄性不稔（TGMC）系統を使用して母本系統の増殖を行
い、この母本系統の増殖を利用して一代雑種の種子生産
を行うようにしたことを特徴とするものである。
上記の手段により本発明は、イネにおいて、従来のCMS
利用の諸問題を解決するために、細胞質によることなく
核遺伝子による条件的雄不稔性が利用され、また、PGMS
利用における制約を解決するために、日長条件によるこ
となく、温度条件に反応して稔性転換を示すTGMS系統が
用いられ、高温条件下では雄性不稔を示し、中温条件下
で稔実する性質をもつ系統を利用する。
利用の諸問題を解決するために、細胞質によることなく
核遺伝子による条件的雄不稔性が利用され、また、PGMS
利用における制約を解決するために、日長条件によるこ
となく、温度条件に反応して稔性転換を示すTGMS系統が
用いられ、高温条件下では雄性不稔を示し、中温条件下
で稔実する性質をもつ系統を利用する。
以下、本発明の実施例について説明する。
上記CMS利用の各種の問題点を解決するために、本発明
においては細胞質によることなく、核遺伝子による条件
的雄性不稔性を利用する。また、PGMS利用における上記
の制約を解決するために、日長条件によることなく、温
度条件に反応して稔性の転換を示すTGMS系統を用いる。
即ち、高温条件下では完全な雄性不稔を示し、中温条件
下で稔実する性質をもつ系統を利用することによって、
上記の諸問題が解決される。（第１表,TGMS系統の温度
反応を参照） TGMS系統の増殖 日本国内など中緯度地帯においては、
寒冷地および温暖地の高温期前後の中温期に感応期（出
穂前25〜10日前後）を合わせることによって行う。低緯
度高温地帯では、栽培地（高冷地等）や栽培時期を選ぶ
ことにより中温期に感応期となるようにすることによっ
て行う。（第２表，各地の気温と増殖可能期間参照） 一代雑種の採種 十分な高温期間が継続する条件のもと
で可能である。この特性からして、熱帯，亜熱帯地域で
は長期間にわたって可能である。これに対して温帯では
適地が限定される。日本国内では、九州，四国などの暖
地での種子生産が可能である。（第３表，各地の気温と
採種可能期間参照） 〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明によるTGMSの利用による作
物の一代雑種種子の生産法によれば、上述した従来の問
題点が何れも解決されて、一代雑種利用の効率化が可能
となる。即ち、採種体系が３系法から２系法へと単純化
され（第１図参照）、雄性不稔系統の増殖効率が現状の
150kg/10a程度から、600kg/10a程度に向上し、また、育
種年限が３年以上（第４表参照）短縮され、育種効率が
向上する。加えて、PGMS利用では困難であった低緯度地
帯での一代雑種種子の採取が可能となった（第５表参
照）。
においては細胞質によることなく、核遺伝子による条件
的雄性不稔性を利用する。また、PGMS利用における上記
の制約を解決するために、日長条件によることなく、温
度条件に反応して稔性の転換を示すTGMS系統を用いる。
即ち、高温条件下では完全な雄性不稔を示し、中温条件
下で稔実する性質をもつ系統を利用することによって、
上記の諸問題が解決される。（第１表,TGMS系統の温度
反応を参照） TGMS系統の増殖 日本国内など中緯度地帯においては、
寒冷地および温暖地の高温期前後の中温期に感応期（出
穂前25〜10日前後）を合わせることによって行う。低緯
度高温地帯では、栽培地（高冷地等）や栽培時期を選ぶ
ことにより中温期に感応期となるようにすることによっ
て行う。（第２表，各地の気温と増殖可能期間参照） 一代雑種の採種 十分な高温期間が継続する条件のもと
で可能である。この特性からして、熱帯，亜熱帯地域で
は長期間にわたって可能である。これに対して温帯では
適地が限定される。日本国内では、九州，四国などの暖
地での種子生産が可能である。（第３表，各地の気温と
採種可能期間参照） 〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明によるTGMSの利用による作
物の一代雑種種子の生産法によれば、上述した従来の問
題点が何れも解決されて、一代雑種利用の効率化が可能
となる。即ち、採種体系が３系法から２系法へと単純化
され（第１図参照）、雄性不稔系統の増殖効率が現状の
150kg/10a程度から、600kg/10a程度に向上し、また、育
種年限が３年以上（第４表参照）短縮され、育種効率が
向上する。加えて、PGMS利用では困難であった低緯度地
帯での一代雑種種子の採取が可能となった（第５表参
照）。
第１図は一代雑種利用における採種体系の比較を示す系
統図である。
統図である。
Claims (1)
- 【請求項１】イネにおいて、 温度条件に反応して可稔に転換する性質をもつ核遺伝子
雄性不稔（TGMS）系統を使用して母本系統の増殖を行
い、この母本系統の増殖を利用して一代雑種の種子生産
を行うようにしたことを特徴とする温度感応性核遺伝子
雄性不稔の利用によるイネの一代雑種種子の生産法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1026382A JPH0677490B2 (ja) | 1989-02-03 | 1989-02-03 | 温度感応性核遺伝子雄性不稔の利用によるイネの一代雑種種子の生産法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1026382A JPH0677490B2 (ja) | 1989-02-03 | 1989-02-03 | 温度感応性核遺伝子雄性不稔の利用によるイネの一代雑種種子の生産法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH02207722A JPH02207722A (ja) | 1990-08-17 |
| JPH0677490B2 true JPH0677490B2 (ja) | 1994-10-05 |
Family
ID=12191977
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP1026382A Expired - Lifetime JPH0677490B2 (ja) | 1989-02-03 | 1989-02-03 | 温度感応性核遺伝子雄性不稔の利用によるイネの一代雑種種子の生産法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0677490B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN102144533A (zh) * | 2010-12-27 | 2011-08-10 | 湖北省农业科学院粮食作物研究所 | 具有长育性转换过渡期的水稻两系不育系的培育方法 |
| CN102498998B (zh) * | 2011-11-24 | 2013-09-18 | 湖南杂交水稻研究中心 | 一种水稻光温敏不育系种子的提纯保真繁殖方法 |
| CN103120121B (zh) * | 2013-02-22 | 2014-03-12 | 安徽省农业科学院水稻研究所 | 一种分期播种确定温敏核不育系冷水处理时期的方法 |
| CN103960119A (zh) * | 2013-11-06 | 2014-08-06 | 仲恺农业工程学院 | 一种可耐受较长时间低温的光温敏核不育系的选育方法 |
| CN103975846A (zh) * | 2014-05-15 | 2014-08-13 | 江西省农业科学院水稻研究所 | 一种水稻两用核不育系的创制新方法 |
| CN104221844A (zh) * | 2014-09-17 | 2014-12-24 | 安徽宇顺种业开发有限公司 | 低温敏二系雄性不育系核心种子的培育方法 |
| CN111165343A (zh) * | 2020-02-21 | 2020-05-19 | 袁隆平农业高科技股份有限公司 | 一种高异交率高配合力两用核不育系的选育方法 |
| CA3179934A1 (en) | 2020-03-26 | 2021-09-30 | National Agriculture And Food Research Organization | Method for producing temperature-sensitive male sterile plant |
| CN113079984B (zh) * | 2021-04-08 | 2023-08-22 | 安徽省农业科学院水稻研究所 | 水稻两系光温敏雄性核不育系原种生产方法 |
-
1989
- 1989-02-03 JP JP1026382A patent/JPH0677490B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH02207722A (ja) | 1990-08-17 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| EXPY | Cancellation because of completion of term |