JPH0672391A - 三次元航行体の操舵制御装置 - Google Patents

三次元航行体の操舵制御装置

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JPH0672391A
JPH0672391A JP23075292A JP23075292A JPH0672391A JP H0672391 A JPH0672391 A JP H0672391A JP 23075292 A JP23075292 A JP 23075292A JP 23075292 A JP23075292 A JP 23075292A JP H0672391 A JPH0672391 A JP H0672391A
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JP23075292A
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Michio Sugano
道夫 菅野
Toshiaki Murofushi
俊明 室伏
Junji Nishino
順二 西野
Hideaki Miwa
英昭 三輪
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Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Research Development Corp of Japan
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速、不安定で複雑な制御系をもつヘリコプ
ターのような三次元航行体の操縦を容易にするための操
舵制御装置を提供することを目的としている。 【構成】 三次元航行体を操縦者が使いやすい航行命令
(コマンド)を用いて簡単に操作できるようにする。そ
のため操舵制御装置として、航行命令を入力する手段、
入力された航行命令を解読する手段、解読結果と航行状
態とからファジィ制御により各操舵要素への操作量を生
成する手段を備えたものとする。本発明では特に、操作
量を生成する手段を、航行命令の種類に依存する上位レ
ベルのモジュールと操舵要素ごとの下位レベルのサブモ
ジュールとに階層化した構造とし、サブモジュール単位
にファジィ制御を行うようにしたことにより、複雑な制
御系を簡単な構成で実現し、しかも実時間制御を可能に
する高速の応答性をもたせた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヘリコプターや潜水
艇、宇宙ステーション、宇宙ロケットのような三次元航
行体の操縦を容易にするための操舵制御装置に関する。
【0002】たとえばヘリコプターは、垂直上昇、空中
停止、全方向移動などの運動特性をもち、機動性が極め
て高い。このため、救助、消火、火山等の観察、農薬散
布などの様々な活動に利用されている。また、小型無人
RCヘリコプターも、有人機では危険な環境での作業が
行えるなど、重要性が高い。しかし、有人機、無人機に
かかわらず、ヘリコプターは操縦が非常に難しく、熟練
者以外は自由に利用することができない。これはヘリコ
プターが、 ・ブレードにおいて、複雑かつ高周波の振動が発生しモ
デル化が難しい ・推力の変動に対して機体の運動が左右され、静的な安
定が得られない という典型的な高速・不安定システムの性質を持つこ
と、さらにローターの回転による非対称性から生じる非
線形性と軸間干渉がある、運動の自由度が多い(6
つ)、空気力や飛行モードの変化等で運動方程式が時変
する、などの特性があることから、制御が複雑になるか
らである。
【0003】本発明の操舵制御装置は、操縦訓練をそれ
ほど必要とすることなくヘリコプター等の高速、不安定
な三次元航行体の操縦を簡単に行うことを可能にするた
めの有用な手段となるものである。
【0004】
【従来の技術】ヘリコプターはVTOL(Vertical Take
-off and Landing plane) の一種であり、垂直上昇や空
間停止(ホバリング)の可能な特徴ある構造を持ってい
る。さらにホバリング状態を基本にして全方向移動がで
き、その自由度の高さから複雑な地形環境においてその
性能が発揮される。長い飛行場を確保できない場合など
に特に有利である。
【0005】ヘリコプターの運動性能の根元となる巨大
なローターが、その動的特性を決める最大因子となって
いる。そして、空間における多くの自由度と、このロー
ターによって、操作制御上の問題点(ローターの回転に
よる左右の非対称性から生じる非線形性と軸間干渉な
ど)が現れる。特に低速域での運動の釣合において、固
定翼機とは異なった特性を強く示す。
【0006】図10(a)に示すように、ヘリコプター
は、通常は重力と推力の釣合によって空中停止を行って
いる。この状態からは、外乱による姿勢の傾きが釣合の
アンバランスをひきおこし、機体に速度を加え、また重
力に対する力を弱めるため、機体は沈下していく。この
まま操縦しなければ機体の速度は増加し、はげしく振動
し、高度は下がるのみである。このように、ホバリング
点の近傍では、姿勢の変化によって状態が発散的にな
り、不安定である。
【0007】さらに図10(b)に示すような大きな運
動では、速度と迎角変化の連成により、動的に不安定と
なる。これらの特性は、ホバリングが着陸姿勢であるヘ
リコプターの操縦を難しくしている要因の一つとなって
いる。
【0008】RC無人ヘリコプターは、有人機よりもサ
イズが小さい。このため、機動性が上がり、運動性能が
向上している。しかし、同時に時定数などの減少によっ
て不安定性が増している。さらにRCヘリコプターでは
計測器の登載能力の点などから数値的データを集めるこ
とが難しい。そのため、これまでは特性の把握ができて
いなかった。また有人機との比較で考えるとRCヘリコ
プターの方が時定数が小さく不安定さが増しているた
め、制御がより難しい。よって、RCヘリコプター制御
の問題点は、そのほとんどが有人機においても解決すべ
きものである。
【0009】次に従来のRCヘリコプターの操縦系につ
いて説明する。ここではシングルローターヘリコプター
と呼ばれる構造のものが対象となる。この構造のヘリコ
プターでは、テールローターによってメインローターの
反トルクを打ち消している。このタイプは、RCヘリコ
プターでは一般的なものである。
【0010】シングルローターのヘリコプターの飛行
は、図11に示すようにメインローター(上部回転翼)
とテールローター(尾部回転翼)を操作することによっ
て行われる。メインローターとテールローターの回転速
度はエンジンのスロットル操作により一定に保たれる。
メインローターの目的は上方、前後方向、左右方向への
推力を生みだすことである。テールローターの目的は、
メインローターの回転の反作用で、機体が回転するのを
防ぐために、この回転と逆方向の推力を生みだし、機首
方向の釣合をとることである。 a.機体のピッチ角(前後の傾き)の制御 メインローターの回転面を前後に傾けることによって行
う。 b.機体のロール角(左右の傾き)の制御 メインローターの回転面を左右に傾けることによって行
う。 c.機体のヨー角(機種の方位角)の制御 テールローターのブレード(翼)のピッチ角(前後の傾
き)を変えて、テール ローターの推力を変化させて行う。 d.機体の前後方向の運動の制御 メインローターの回転面を前後に傾けることにより、ロ
ーターの上向きの推力の前後方向への分力を生じさせて
行う。 e.機体の左右方向の運動の制御 メインローターの回転面を左右に傾けることにより、ロ
ーターの上向きの推力の左右方向への分力を生じさせて
行う。 f.機体の上下方向の運動の制御 メインローターのブレード(翼)のピッチ角(上下の傾
き)を変えて、ローターの上向きの推力を変化させて行
う。
【0011】図12は、従来のRCヘリコプターの操縦
系の概要を示す。操縦者(オペレータ)1は、ヘリコプ
ターに対してR/Cトランシーバ2から制御指示信号を
送信する。ヘリコプターのR/Cレシーバ3は制御指示
信号を受信するとサーボ機構4に制御指示信号を設定し
てスウォッシュプレート5を制御させ、スタビライザ6
とローター7の角度を変化させる。操縦者1は、ヘリコ
プターの状態を視認しながら操舵が必要となるたびに制
御指示信号を送信し、ヘリコプターを操縦する。この図
における操縦者1の制御指示からローター7の角度変化
までの伝達関数は、無駄時間+2次遅れ系で近似するこ
とができる。
【0012】次にヘリコプターの操舵要素と挙動につい
て説明する。図13の(a)は、ヘリコプターの挙動
(姿勢角と位置で表される)の座標系を示す。姿勢角は
ピッチ(pitch) 、ロール(roll)、ヨー(yaw) の3つ、位
置はx,y,zの3つである。また図13の(b)は、
ヘリコプターの4つの操舵要素のエレベータ、エルロ
ン、ラダー、スロットルと、それぞれの操舵要素が支配
的に作用する主な挙動(姿勢角、位置)を対応づけて示
したものである。また有人機ではエレベータ、エルロン
ともサイクリック・ピッチ・レバーを通じて操作され
る。実際には干渉があるため、各操舵要素の操作によっ
てひき起される挙動はもっと複雑なものとなる。しか
し、多くの熟練したヘリコプターのパイロットは、この
知識を土台として様々な局面で現れる特性に拡張して操
舵技術を把握している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高速、不安
定で複雑な制御系をもつヘリコプターのような三次元航
行体の操縦を容易にするための操舵制御装置を提供する
ことを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、三次元航行体
を操縦者が使いやすい航行命令(コマンド)を用いて簡
単に操作できるようにする。そのため操舵制御装置とし
て、航行命令を入力する手段、入力された航行命令を解
読する手段、解読結果と航行状態とからファジィ制御に
より各操舵要素への操作量を生成する手段を備えたもの
とする。本発明では特に、操作量を生成する手段を、航
行命令の種類に依存する上位レベルのモジュールと操舵
要素ごとの下位レベルのサブモジュールとに階層化した
構造とし、サブモジュール単位にファジィ制御を行うよ
うにしたことにより、複雑な制御系を簡単な構成で実現
し、しかも実時間制御を可能にする高速の応答性をもた
せている。
【0015】図1は、本発明の原理図である。図におい
て、8は、空中あるいは水中などの三次元空間を航行す
るヘリコプターや潜水艇などの三次元航行体である。
【0016】9は、異なる操舵機能をもつ複数の操舵要
素である。10は、三次元航行体の航行状態を表す姿
勢、位置、速度、加速度などの複数の状態変数の値を測
定するセンサである。
【0017】11は、操縦用の操作盤である。12は、
操作盤11内に設けられた航行命令入力処理を行う命令
入力部であり、たとえば操作盤11上に設けられている
キー、レバー、スティック等の操作に応答して、定めら
れた特定の航行命令を発生する。また機構的な入力手段
のほかに、音声入力手段を用いることもできる。
【0018】13は、命令入力部12が発生した航行命
令を識別し、航行状態に応じた適切な制御指令に変換す
る命令解読部である。制御指令と航行命令は、基本的に
は対応している。
【0019】14は、命令解読部13から出力される制
御指令と、センサ10から出力される航行状態の状態変
数の値とに基づいて各操舵要素9への操作量を生成する
命令処理部であり、制御指令別の上位レベルのモジュー
ルと、操舵要素別の下位レベルのサブモジュールの階層
構造をもつ。
【0020】15−1〜15−mは、それぞれ制御指令
別のモジュールであり、ファジィ制御ルール部と推論部
とをもつファジィ制御器で構成される。16−1〜16
−nは、それぞれモジュール15−1のファジィ制御ル
ール部を操舵要素別に分割したサブモジュールである。
モジュール15−2〜15−mにも同様な操舵要素別の
ファジィ制御ルールのサブモジュールが設けられてい
る。これらのサブモジュールのファジィ制御ルールに
は、それぞれが関連する操舵要素の種類により予め定め
られているセンサからの1つあるいは複数の状態変数が
入力変数として与えられる。そして推論部の出力変数は
各操舵要素への操作量とされる。サブモジュールはモジ
ュール間で共通化可能なものは集約されて共有される。
ファジィ制御器のファジィ制御ルール部および推論部に
は、熟達した操縦者の知識が組み込まれる。
【0021】図示されている構成では、命令入力部12
が三次元航行体8内の操作盤11に設けられているが、
外部に独立に設けて無線によるリンクをとり、リモート
コントロールする構成とすることができる。いずれの場
合も操縦者は命令入力部12を介して任意の航行命令を
入力することができ、入力された航行命令は、命令解読
部13で解読され、航行命令に基づく制御指令が命令処
理部14に送られ、その特定のモジュールが起動され
て、そのモジュール配下の各サブモジュールに入力され
るセンサ10からの特定の状態変数の組に対してファジ
ィ制御ルールの適用と推論を行い、それぞれが関連する
操舵要素9に対する操作量を決定し、操舵要素9を駆動
する。各モジュールは、与えられた航行命令が充足され
る(目標に達する)まで、フィードフォワードあるいは
フィードバック方式により連続的に操作量の生成を行
う。
【0022】
【作用】図1の三次元航行体としてヘリコプターを例
に、本発明の作用を説明する。 (1)本発明は、キーや音声を用いて前進、停止などの
簡単な航行命令(コマンド)を与えるだけで、ヘリコプ
ターを自由にコントロールできる。 (2)本発明は、ファジィ制御を行うことによって、通
常の線形制御では対応が難しい様々な条件変化に柔軟に
対応できるため、非線形、時変系で高度、湿度、温度な
どの外部環境の影響を受けやすいヘリコプターの制御を
容易にする。 (3)ヘリコプターは三次元空間において、図13に示
すように、3軸に並行な運動、3軸回りの回転という6
自由度をもち、制御すべき変数(制御量)の数が多い
が、本発明ではサブモジュール構造をとっていることに
より、ファジィ制御システムの設計が容易になる。 (4)ヘリコプターは制御に必要な操作変数(操作量)
の数が多い(エンジンのスロットル制御を除いて4つあ
る)が、本発明では操作変数対応のサブモジュール構造
とファジィ制御法をとることによって容易に適応でき
る。 (5)ヘリコプターの諸変数間には複雑な干渉がある
が、本発明では、航行命令に依存する上位レベルと操舵
要素に依存する下位レベルの階層構造と、各レベルでの
モジュール構造をとることにより、干渉効果の補償を容
易に行うことができる。 (6)ヘリコプターは高次の遅れをもつ不安定系であ
り、通常のフィードバック制御では遅れの補償が困難
で、制御系は不安定になりやすいが、本発明では階層型
のファジィ制御により、遅れ補償に必要なフィードフォ
ワード制御が容易に実現できる。 (7)ヘリコプターは不安定なため、振動が発生し諸変
数の計測値は常時ノイズを含んでいる。このため、速度
やピッチ角などの目標値と出力値(変数の計測値)の差
の積分値を利用することができない(積分するとノイズ
が累積するため、値に信頼性がなくなる)。従って、フ
ィードバック制御において積分型の制御は不可能とな
り、比例あるいは微分型の制御だけが可能である。積分
型フィードバック制御を行わないと必ずオフセット(最
終の出力値が目標値に一致しないために生ずる定常偏
差)が生ずるが、本発明では階層型ファジィ制御により
オフセットの補償を容易に行うことができる。 (8)ヘリコプターは空中停止、前進飛行旋回、垂直上
昇など、多くの飛行モードをもち、飛行モードがひんぱ
んに切り換えられる非定常系であり、通常の制御方式で
は多モード、かつ、非定常な制御は困難であるが、本発
明では飛行モードつまり航行命令に対応するモジュール
構造と、モード切換に対応する階層構造をもつファジィ
制御を採用することにより、制御が容易になる。
【0023】
【実施例】次に本発明の実施例を、ヘリコプターへの適
用の場合を例に説明する。図2は本発明実施例の概要図
である。図において、三次元航行体8はヘリコプターと
読み替えられる。図2において、制御部は上位レベル1
2、13と下位レベル14により階層的に構成される。
上位レベルの命令入力部12と命令解読部13はヘリコ
プターの操縦部を構成し、下位レベルのモジュール構成
の命令処理部14はヘリコプターの制御系本体となる安
定化部を構成する。
【0024】操縦者によって与えられる航行命令はヘリ
コプターの飛行モードに対応づけられている。また、命
令処理部14のモジュール15−1〜15−4も飛行モ
ード別に設けられ、たとえば "Hover"(空中停止)モジ
ュール、"Fly Forward" (前進)モジュール、"Fly Rig
htward" (右横進)モジュール、"Stop"(停止)モジュ
ール、"Turn Right"(右回転)モジュール、などがあ
る。図2中のモジュール15−1〜15−4には例示的
にそれぞれ、"Hover", "Forward", "Sideward","Stop"
が表示されている。図3に、より詳しいモジュール構成
例を示す。
【0025】図2の上位レベルにおいて、命令入力部1
2へ入力された航行命令は、命令解読部13で受け取
り、コマンドの意味を解釈し、下位モジュールの切り替
え、駆動などの制御を行い、同時に下位モジュールが必
要とする諸パラメータを決定する。変数間の干渉が大き
くなるコマンドを受けとったときは、干渉を補償するよ
うにパラメータ設定を行う。機体の位置が計測できる場
合は、現地点から与えられた地点まで、各種飛行モード
を組み合わせて、安定に飛行するように飛行プランを作
成し、下位レベルに指示を与える。
【0026】パラメータとしては制御量の目標値と操作
量のオフセット補償値がある。制御量の目標値は位置・
速度関係の目標値と姿勢角関係の目標値(トリムと呼ば
れる)に分けられる。操作量のオフセット補償値は、飛
行が定常状態になった時点で目標値を達成するのに必要
となる4つの操作量の大きさである。ヘリコプターは高
次の遅れがあるので、フィードフォワード的にオフセッ
ト補償値を入力しないと、不安定状態に陥りやすい。
【0027】これらパラメータの内、トリムおよびオフ
セット補償値は、ヘリコプターの機体特性に応じて実験
的に得た標準値を用い、状況に応じて推論することによ
って定めるものとする。位置・速度関係の目標値はユー
ザーから直接伝えられるか、あるいはコマンドの意味を
解釈してシステムが決定するものである。
【0028】下位モジュールの切り替えと駆動は、次の
ように行われる。航行命令によって直接モジュールを指
定することにより切り替える場合と、ルールベースでモ
ジュールの切り替えを行う場合がある。
【0029】たとえば、前進飛行中にコマンド "Hover"
が与えられたとき、 もし速度が大きいなら、"Stop"モジュールを駆動
し、次に、"Hover" モジュールに切り換える。 もし、速度が小さいなら、直接 "Hover"モジュール
を駆動する。 という下位モジュール制御用ルールを用いる。ここで、
"Stop" モジュールは一時的に "Fly Rearward" (後
進)モジュールを駆動して空気力学的に制動をかけるた
めのものである。
【0030】また、ホバリング(空中停止)中に高速前
進のコマンドが与えられたときは、 速度が小さい間は "Hover"と "Fly Forward"モジュ
ールを共に駆動する。 速度が大きくなったら、 "Fly Forward"モジュール
だけを駆動する。 といったルールを採用する。2つのモジュールを同時に
実行するときは、それぞれのモジュールによって決定さ
れた操作量を、ルールの前件部に応じて配分して用い
る。こうすることにより、モード間のなめらかな移行が
可能になる。
【0031】次に干渉の補償方法について説明する。た
とえば、高速前進の航行命令が与えられると、命令解読
部13では、前進速度、ピッチ角、ロール角の目標値を
命令に合わせて変化させ、また、ElevatorとAirlon の
オフセット補償値を決定し下位モジュールに指示する。
このことによって、下位モジュールの Elevator サブモ
ジュールではメインローターのピッチ角を大きくし、ヘ
リコプターの前進速度は増加する。しかし、これに伴
い、ローターの上向き推力が失われるため、ヘリコプタ
ーは下降してしまう。 Collective サブモジュールが働
いているため、やがては高度は回復されるが、遅れが生
ずる。このため、命令解読部13で、あらかじめ Colle
ctive サブモジュールの操作量のオフセット補償値を大
きくし、下降を未然に防ぐ操作をすることによって補償
を行う。 各モジュールを構成するファジィ制御器は、
if-then型のファジィ制御ルール群とルールを用いるフ
ァジィ推論部からなる。
【0032】制御のための情報(ファジィ制御器への入
力)をx,y、ファジィ制御器の出力(制御対象への入
力、すなわち操作量)をzとすると、たとえば、ルール
は次のようなものである。 ルール1) if x is PS (Positive Small). y is ZO (Z
ero) then z is NS (Negative Small) ルール2) If x is PM (Positive Medium). y is PS then z is NM (Negative Medium) ルール3) ・・・・・ If 部の変数x,yは前件部変数、 then 部の変数zは
後件部変数と呼ばれる。PS,ZOなどはファジィ集合
の名前であり、これはメンバーシップ関数によって表現
される。後件部NS,NMなどはファジィ集合でなく、
ふつうの数値とされる場合もある。
【0033】ファジィ推論部はファジィ制御器への入力
情報x,yを与えられたとき、条件が合致するすべての
ルールを同時に用いて、ファジィ推論により出力zを計
算する。推論アルゴリズムは何種類かあるが、どれを用
いても大差はない。
【0034】次に図3に示される個々のサブモジュール
について詳述する。図3において、各モジュールは4つ
のサブモジュールを含む。各サブモジュールはヘリコプ
ターの4つの操舵要素に対応するファジィ制御ルールの
集まりである。これらサブモジュールは、 Elevator
(メインローターの回転面を前後に傾ける操作、実機で
はサイクリック・スティックの前後の操作)、 Airlon
(メインローターの回転面を左右に傾ける操作、実機で
はサイクリック・スティックの左右の操作)、 Rudder
(テールローターのブレードのピッチ角を変える操作、
実機ではアンチトルク・ペダルの操作)、 Collective
(メインローターのブレードのピッチ角を変える操作、
実機ではコレクティブ・ピッチ・スティックの操作)か
らなる。
【0035】図3において、 ELEVATOR サブモジュール
は、x方向の位置速度Vx とピッチ角 Pitの各状態変数
を入力とし、AIRLONサブモジュールはy方向の位置速度
Vyとロール角 Rolの各状態変数を入力とし、 RUDDER
サブモジュールはヨー角 Yawの状態変数を入力とし、そ
して COLLECTIVE サブモジュールはz方向の位置zと速
度Vz の状態変数を入力としている。
【0036】これらのサブモジュールは異なるモジュー
ル間で共有されることがある。たとえば、空中停止(Hov
er) から前進(Fly Forward) する場合、高度は変えない
から高度を制御するサブモジュール Collective は Hov
erと同じものを Fly Forwardでも用いる。
【0037】一般にヘリコプターの運動は、これら4つ
の操作の組み合わせによって実現される。1つの操作を
行うと、変数間に干渉があるため、ヘリコプターの2つ
以上の状態変数が変化を受ける。通常の制御では干渉を
考慮して、複雑な制御系を設計しなければならないが、
ファジィ制御を採用することにより、簡単なモジュール
構造を用い、必要に応じて上位レベルで干渉を補償する
ことが可能になる。
【0038】制御のために利用できる情報(状態変数)
の数は、図4に示すように、前後、左右、上下の3方向
における位置、速度、加速度の9個と、ロール角、ピッ
チ角、ヨー角及びそれらの角速度の6個とで合計15個
あるが、前後と左右の位置は計測困難であるため、この
実施例では計測が容易な13個を用いる。ヘリコプター
の運動特性からそれぞれの操作に必要な情報の種類を定
める。
【0039】次に各サブモジュールのファジィ制御ルー
ルについて説明する。 (1) Elevator サブモジュール このサブモジュールでは前後方向加速度、速度、ピッチ
角、ピッチ角速度を制御のための情報として用いる。位
置xが計測可能ならこれも用いる。
【0040】通常の制御ではこれらの情報を同時に考慮
して、操作量(Elevator)を決定することになるが、ルー
ルベースのファジィ制御では情報を分割して利用するこ
とができる。
【0041】本実施例では図4、図5、図6に示すよう
に、位置・速度に関する制御と姿勢角(ピッチ角)に関
する制御に分けてファジィ制御ルール群を作る。このこ
とにより、制御系の設計とメインテナンスが容易にな
る。図5の位置・速度関係ルール群では、ルールの前件
部変数として、前後方向速度、前後方向加速度を用い、
位置xが計測できればこれも用いる。図6の姿勢角関係
ルール群では、前件部変数とピッチ角、ピッチ角速度を
用いる。 (2) Airlon サブモジュール このサブモジュールでは、左右方向加速度、速度とロー
ル角速度、ロール角を情報として用い、位置yが計測で
きればこれも用いる。 Elevator サブモジュールと同様
に情報の分割を行い、図3、図7、図8に示すように、
位置・速度関係制御では前件部変数として左右方向の速
度と加速度をもつルール群、姿勢角(ロール角)関係制
御では前件部変数としてロール角とロール角速度をもつ
ルール群を用いる。後件部変数(総差量)は Airlon で
ある。 (3) Rudder サブモジュール このサブモジュールでは情報としてヨー角とヨー角(方
位角)速度を情報として用い、図9に示す様に姿勢角
(ヨー角)制御ルール群だけからなる。 (4) Collective サブモジュール このサブモジュールでは、情報として上下方向加速度、
速度、高度zを用い、位置・速度関係制御ルール群だけ
からなる。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、航行命令
とファジィ制御器を用いることによって未熟練オペレー
タによる操縦を容易にし、特にRC無人ヘリコプターへ
の適用において高い効果を得ることができる。従来4つ
の量を同時に操作しなければならなかったのが、ただ1
つのコマンドを指示するだけで従来同様の制御ができる
ようになる。
【0043】またファジィ制御器をモジュール階層構造
としたことによって制御器の構造を見やすく設計を容易
にし、熟練オペレータからの制御ルール(知識)の獲得
を容易にするとともに、拡張、変更、補正が容易にな
り、さらにルールの共有化による構造の簡素化を図るこ
とが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】本発明の実施例の概要図である。
【図3】命令処理部のモジュール構成図である。
【図4】状態変数の説明図である。
【図5】Elevator サブモジュールの速度・位置ルール
の例の説明図である。
【図6】Elevator サブモジュールの姿勢角ルールの例
の説明図である。
【図7】Airlon サブモジュールの速度・位置ルールの
例の説明図である。
【図8】Airlon サブモジュールの姿勢角ルールの例の
説明図である。
【図9】Rudder サブモジュールの姿勢角ルールの例の
説明図である。
【図10】ヘリコプターの航行状態の説明図である。
【図11】ヘリコプター操縦法の説明図である。
【図12】従来のRCヘリコプターの操縦系の概要図で
ある。
【図13】ヘリコプターの操舵と挙動の説明図である。
【符号の説明】
8 三次元航行体 9 操舵要素 10 センサ 11 操作盤 12 命令入力部 13 命令解読部 14 命令処理部 15−1〜15−m モジュール 16−1〜16−n サブモジュール

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれが独立に操作される複数の操舵
    要素と、航行状態を表す複数の状態変数の値を測定する
    センサとを有する三次元航行体の操舵制御装置におい
    て、 三次元航行体の異なる航行動作をそれぞれ指示する複数
    の航行命令を入力可能にする命令入力部と、 命令入力部から入力された航行命令を識別し、識別した
    航行命令が指示する航行動作のための制御指令を生成す
    る命令解読部と、 命令解読部が生成する制御指令の種類ごとの複数のモジ
    ュールからなり、各モジュールは命令解読部から与えら
    れる制御指令とセンサにより測定された複数の状態変数
    の値とを用いて、複数の操舵要素のそれぞれに対する操
    作量を生成する命令処理部とを備え、 上記命令処理部における航行命令の種類ごとのモジュー
    ルは、ファジィ制御ルール部と推論部からなるファジィ
    制御器で構成され、ファジィ制御ルール部は、さらに複
    数の操舵要素の各々に対応する複数のサブモジュールか
    らなり、各サブモジュールのファジィ制御ルールは、予
    め定められたセンサからの状態変数を入力変数とし、ま
    た推論部は各操舵要素の操作量を出力変数とし、モジュ
    ール間で共通化可能なサブモジュールは共有構成とする
    ことを特徴とする三次元航行体の操舵制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、三次元航行体はヘリ
    コプターであり、複数の操舵要素はエレベータ、エルロ
    ン、ラダー、コレクティブであり、複数の状態変数は前
    後左右の速度と加速度、ロール、ピッチ、ヨーの各姿勢
    角とそれぞれの角速度、上下方向の位置を含み、複数の
    航行命令は空中停止、前進、後進、右横進、左横進、停
    止などを含むことを特徴とする三次元航行体の操舵制御
    装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003524777A (ja) * 1999-12-30 2003-08-19 アストリウム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 屋外の放射電磁界の特性を広範囲に、かつ高精度に決定するための移動システムおよびこれを実施する方法
KR20200007482A (ko) * 2018-07-13 2020-01-22 한국항공우주산업 주식회사 회전익 무인항공기의 고속 선회비행을 위한 제어방법 및 장치

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