JPH0646522Y2 - スプレイガン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、トリガ操作によりガン本体内の塗料通路に介
設した開閉弁を開いて銃身の先端から塗料を噴出するこ
とによつて塗装を行うようにしたスプレイガンに関し、
特に、供給塗料の圧力が異常に高くなつた場合にはこれ
を速やかに外部に逃がすことができるようにしたスプレ
イガンに関する。

従来の技術及び考案が解決しようとする問題点 従来、この種のスプレイガンでは、ガン本体内に、銃身
の先端に装着したノズルに達する流出路と、塗料供給源
に接続される流入路とに連通する弁室を穿設して、弁室
内に形成した弁口に、ガン本体の前面に突出する弁杆を
突設した弁体をばね弾力により押し付けることによつ
て、常閉式の開閉弁を構成し、弁杆の突出端に係合する
トリガを引いて弁杆を押し込むことによつて、弁体をば
ね弾力に抗して弁口から離間させて弁口を開き、流入路
に供給された塗料を弁口から流出路を通してノズルに供
給するのが一般的であるが、供給塗料の塗料圧を一定に
保つために塗料通路に介設したレギユレータが故障した
り、ギヤポンプの制御回路が故障したりして弁室内に高
圧の塗料が供給された場合、塗料の逃げ場を特に設けて
いないことから、塗料圧によって圧送用ホースの接続部
分が外れる等の事故が往々にして生じ、塗装作業の大幅
な中断が余儀なくされる欠点があつた。

問題点を解決するための手段 上記の問題点を解決するための手段として、本考案のス
プレイガンは、ガン本体内に、銃身の先端に設けた塗料
噴出口に連通する流出室と、塗料供給源に連通する、流
出室よりも小径の流入室とを前後に連成し、流出室の後
端に、中心に弁口を有し、かつ、外周面がその流出室の
内周面との間に隙間を有する弁座環を第１付勢ばねの弾
力で押し付けるとともに、弁口の後側の口縁に、その弁
口を開閉する弁体を、第１付勢ばねよりも小さい弾力の
第２付勢ばねの弾力で押し付け、その弁体に後端を係合
した弁杆の先端をガン本体の前面に突出し、その突出端
をガン本体に軸支したトリガに対応させた構成とした。

考案の作用及び効果 本考案は上記構成になり、トリガを引いて弁杆を押し込
むと、弁体が第２付勢ばねの弾力に抗して後退して弁座
環の弁口が開き、流入室内に供給された塗料が、弁口を
通つて流出室から塗料噴出口に供給され、トリガを放す
と、弁体が第２付勢ばねの弾力で弁口に押し付けられて
弁口が閉じることによつて、塗料噴出口への塗料の供給
が停止し、ここで、流入室に供給され塗料の圧力が一定
以上の高圧となり、弁座環の後面側に作用する塗料圧と
第２付勢ばねの弾力との合計が、前面側に作用する第１
付勢ばねの弾力よりも大となると、弁座環が前方に押さ
れて流出室の後端から離れ、弁座環の外周面と流出室の
内周面との間には隙間が形成されていることから、流入
室内の塗料がその隙間を通つて流出室に流れ込み、塗料
噴出口から噴出するのであつて、流入室に供給される塗
料の圧力が一定以上に高くなると、塗料が塗料噴出口か
ら外部に逃されるから、塗料圧送用のホースの接続部分
が塗料圧で外れるのが防止され、また、塗料の供給圧の
異常が、トリガを放した状態において塗料噴出口から塗
料が噴出することで即座に発見できるから、直ちに補修
を行うことによつて、塗装作業の中断を最小限に留める
ことができる効果がある。

実施例 以下、本考案をエアスプレイガン式静電塗装用のスプレ
イガンに適用した一実施例を第１図乃至第３図に基づい
て説明する。

本実施例のスプレイガンは、図示しない塗料供給源から
低圧で圧送された塗料と、図示しないコンプレツサから
供給された圧縮空気とを、夫々、ガン本体１のグリツプ
２内の塗料流入路３と空気流入路４とを通して、ガン本
体１の上部の右側に形成した塗料用の開閉弁６と、左側
に形成した圧縮空気用の開閉弁７とに導き、ガン本体１
に支持軸８により揺動自由に取り付けられたトリガ９を
引くと、両開閉弁６、７が開弁して、塗料が銃身10内の
塗料流出路11を通つて、その先端に装着したノズル12に
導かれると同時に、圧縮空気が主に霧化用空気流出路13
を通つてノズル12の回りの空気噴出口14に、一部のパタ
ーン制御用空気流出路15を通つてその回りの空気噴出口
16に導かれ、ノズル12の塗料噴出口17から噴出した塗料
が、霧化用の空気噴出口14から噴出した圧縮空気により
霧化されて、パターン制御用の空気噴出口16から噴出し
た圧縮空気により一定のパターン径で放出されるととも
に、銃身10内に導かれた高圧ケーブル18を介して図示し
ない高電圧発生装置に接続された電極19によつて負電荷
を帯び、正電荷を帯びた図示しない被塗装物に吸着され
て塗布されるようになつている。

上記した塗料用の開閉弁６は、第２図に詳細に示すよう
に、ガス本体１の上部の右側を前後に貫通して段付孔20
が形成され、その後端部にねじ蓋21を螺着して閉塞する
ことにより、上記の塗料流入路３と流入口22を介して連
通する流入室23が形成されているとともに、その前方
に、段付孔20の前端部に有底円筒形の取付体25を螺着す
ることにより、上記した塗料流出路11に流出口26を介し
て連通する、流入室23よりも大径の流出室27が形成され
ており、この流出室27の後端の段付部28に、中心に弁口
36を有し、かつ、外周部に複数の軸方向の逃し溝30を円
周方向に間隔を空けて形成した弁座環29が当てられ、こ
の弁座環29の前面に当てられた、同じく外周部に上記の
逃し溝30と整合する逃し溝32を形成した座板31と、上記
の取付体25の後面に３枚の軸受板33を介して当てられた
ばね受34の間に、第１圧縮コイルばね35が装着されて、
その弾力で弁座環29が段付部28に押し付けられていると
ともに、流入室23内に、弁座環29の弁口36の口縁に接離
して開閉する弁体37が収容されて、前記のねじ蓋21との
間に装着された、第１圧縮コイルばね35よりも小さい弾
力の第２圧縮コイルばね39によつて常には閉弁方向に付
勢されており、上記の取付体25の内周に、トリガ９の引
き代調節用の突当面42を前面に形成したストツパ41が、
その後端に突設したねじ部43を螺進調節可能に螺合し、
その中心に形成された摺動孔44内に弁杆45が摺動自由に
嵌装されて、その後端が、取付体25の底部及び軸受板33
の中心孔を貫通して流出室27内を通つて弁体37の前面に
当てられ、常には、弁杆45の先端が、引き操作していな
い状態のトリガ９の押圧面9aと一定距離離れた位置にあ
る。

なお、圧縮空気用の開閉弁７は、ガン本体１の上部左側
に形成された前後方向の段付孔47の後端部にねじ蓋48を
螺着することによつて、前記の空気流入路４に流入口49
を介して連通する流入室50が、また、段付孔47の前端に
封止体51を螺進調節可能に螺合することにより、前記の
霧化用空気流出路13とパターン制御用空気流出路15に夫
々流出口52、53を介して連通する流出室54が形成され、
流入室50の前端の段付部に嵌着された弁座環57の弁口58
に、流入室50内に収容した弁体60が圧縮コイルばね61の
弾力で押し付けられ、上記の封止体51に透設した摺動孔
63内に摺動自由に嵌装された弁杆64の後端が、流出室54
を通つて弁体60の前面に当てられて、封止体51の前面か
ら突出した先端が、トリガ９の押圧面9aに当てられてい
るとともに、上記の封止体51のねじ込み量を変えてその
流出室54内に突出した後端の斜面55の向きと位置を変え
ることにより、パターン制御用空気の流出口53の開度を
調節するようになつている。

本実施例はこのような構造になり、トリガ９を引くと、
まず、圧縮空気用の開閉弁７の弁杆64が押し込まれて、
弁体60が圧縮コイルばね61を弾縮しつつ弁座環57から離
間して弁口58が開き、流入室50に供給された圧縮空気が
弁口58から流出室54に流れて２つの流出口52、53を通つ
て霧化用空気流出路13とパターン制御用空気流出路15に
流れるとともに、塗料用の開閉弁６の弁杆45も、トリガ
９が一定距離引かれた後で押し込まれて、弁体37が第２
圧縮コイルばね39を弾縮しつつ弁座環29から離間して弁
口36が開かれ、流入室23に供給された塗料が弁口36から
流出室27に流れて流出口26から塗料流出路11に供給さ
れ、トリガ９を突当面42に当たつた位置に保持すると、
弁口36の開度がストツパ41のねじ込み位置によつて定ま
る一定の開度に保持され、一定流量の塗料が塗料流出路
11に供給され、トリガ９を放すと、両弁体37、60が、夫
々、第２圧縮コイルばね39、圧縮コイルばね61の復元弾
力により、弁杆45、64を前方に戻しつつ弁座環29、57に
押し付けられ、両弁口36、58が閉じて、塗料並びに圧縮
空気の供給が停止する。

そして、このような停止状態において、塗料流入路３に
接続されたレギユレータの故障等によつて、流入室23に
供給される塗料の圧力が高圧となり、弁座環29の後面側
に作用する塗料圧と第２圧縮コイルばね39の弾力の合計
が、前面側に作用する第１圧縮コイルばね35の弾力より
も大きくなると、第３図に示すように、弁座環29が、そ
の弁口36を弁体37で塞がれたまま第１圧縮コイルばね35
を弾縮して前方に押されて流出室27の後端から離れ、流
入室23内の塗料が、弁座環29並びに座板31の外周の逃し
溝30、32を通つて流出室27に流れ、塗料流出路11を通つ
てノズル12の塗料噴出口17から噴出する。

このように、流入室23に供給される塗料の圧力が一定以
上の高圧となつた場合には、塗料がノズル12の塗料噴出
口17から外部に逃されるから、塗料流入路３を塗料供給
源に接続するホースの接続部分が塗料圧で外れるのが防
止され、また、このような塗料の供給圧の異常が、トリ
ガ９を放した状態において塗料噴出口17から塗料が噴出
することで即座に発見され、直ちに補修を行うことによ
つて、塗料作業の中断が最小限に食い止められる。

なお、上記実施例では、エアスプレイ式の静電塗装用の
スプレイガンを例示したが、本考案はこれに限らず、非
静電塗装用のエアスプレイガン式のものや、エアレスス
プレイ式の静電塗装用及び非静電塗装用のものなど、他
の形式のスプレイガンにも同様に適用することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の一部切欠側断面図、第２図
はその一部切欠平断面図、第３図はその作動を説明する
部分平断面図である。 1:ガン本体、3:塗料流入路、9:トリガ、10:銃身、11:塗
料流出路、12:ノズル、17:塗料噴出口、23:流入室、27:
流出室、29:弁座環、30:逃し溝、35:第１圧縮コイルば
ね、37:弁体、39:第２圧縮コイルばね、45:弁杆

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ガン本体内に、銃身の先端に設けた塗料噴
   出口に連通する流出室と、塗料供給源に連通する、前記
   流出室よりも小径の流入室とを前後に連成し、前記流出
   室の後端に、中心に弁口を有し、かつ、外周面が該流出
   室の内周面との間に隙間を有する弁座環を第１付勢ばね
   の弾力で押し付けるとともに、前記弁口の後側の口縁
   に、該弁口を開閉する弁体を、前記第１付勢ばねよりも
   小さい弾力の第２付勢ばねの弾力で押し付け、該弁体に
   後端を係合した弁杆の先端を前記ガン本体の前面に突出
   し、その突出端を前記ガン本体に軸支したトリガに対応
   させたことを特徴とするスプレイガン