JPH0640934Y2 - ディストリビュータ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、自動車等の内燃機関に使用されるディスト
リビュータに関する。

［従来の技術］ 従来のディストリビュータは、上方へ開口するハウジン
グと、この開口部を覆うように取付けられるキャップ
と、これらによって形成される閉空間内に収容されるロ
ーター及びイグニッションコイルと、これらローターの
電極板とイグニッションコイルの二次出力側電極とに電
気的に接続するとともに、キャップ中に埋設一体化され
た電極体とを備えたものが一般的であった。この電極体
は両端に形成される電極部と、これらを連結する接続部
とをアルミ合金等の鋳造成形により一体形成し、その
後、電極部にカーボンブラシ等の接続導体を摺動可能に
収容するための袋状の穴を穿設していた。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、上記袋状の穴は接続導体が摺動するので、接
続導体の摩耗を少なくして耐久性を向上するためには、
可能な限り内周面を平滑にする必要がある。そこで、こ
の穴を形成するには、まず機械加工により所定寸法の穴
開けした後、リーマ加工等により内周面を平滑仕上げす
る必要があった。しかし、穴はその内奥が閉塞した袋状
のものであるため、リーマ加工を十分に施すことができ
ず、この穴の内周面は多少面粗度が大きくならざるを得
なかった。

そこで本考案は、内周面が十分に平滑面となっている袋
状の穴を有する電極体を備えたディストリビュータの提
供を目的とする。

［課題を解決するための手段］ 上記課題を解決するため、本考案に係るディストリビュ
ータの電極体は電極体の両端部に接続導体を摺動可能に
収容するための袋状の穴を開口した状態で、全体を導電
性樹脂によって一体成形したことを特徴とする。なお、
本考案において、導電性樹脂とは、材料自体が導電性を
有する場合はもちろん、樹脂中に導電性物資を混入する
ことにより、導電性を付与したものも含むものとする。

［考案の作用］ 本考案に係る電極体は、導電性樹脂よりなるので、両端
の電極部と中間の接続部とを一体に成形することがで
き、このとき同時に各電極部へ袋状の穴を成形できる。
しかも、この袋状の穴の内周面は成形型の型面と接触す
る成形面であるから、比較的平滑な面になる。

［実施例］ 図は本考案の一実施例であるディストリビュータの一部
を切欠いて示す。このディストリビュータは、上方へ開
口する金属製のハウジング１と、この開口部を覆って取
付けられる絶縁性の樹脂製キャップ２とを、接合部にお
いてボルト３により結着して内部に閉空間を形成してあ
る。この閉空間内には、ハウジング１に回転自在に支持
されたローター軸４を収容している。ローター軸４の先
端にはローター５を取付け、ローター５の上面には電極
板６を露出して取付けてある。

さらに、イグニッションコイル７も内部に収容され、そ
の上部には二次側の出力電極８と、これに接続する穴部
９を形成してある。

一方、キャップ２の頂部には電極体10を埋設一体化して
ある。電極体10は中間の接続部11と両端の電極部12及び
13とからなり、各電極部12及び13には袋状の穴14及び15
をそれぞれ形成してある。

これら穴14及び15には、接続導体としてカーボンブラシ
16及び17をそれぞれ収容してある。カーボンブラシ16及
び17はそれぞれスプリングを介して穴14及び15内で摺動
可能になっており、各先端部は電極板６及び出力電極８
へそれぞれ接続するようになっている。

電極体10は導電性樹脂によって接続部11並びに電極部12
及び13を一体に成形して得られるものであり、この成形
工程において穴14及び15も同時に形成できる。したがっ
て、穴14及び15の内周面は成形型の型面によって形成さ
れる成形面であるから、比較的平滑な面として仕上って
いる。その結果、成形後に再び各穴14及び15の内周面に
平滑仕上げ加工を施す必要がなくなり、このままでカー
ボンブラシ16及び17を収容して使用しても、カーボンブ
ラシ16及び17の摩耗程度を少なくできる。ゆえに、カー
ボンブラシ16及び17の耐久性を大きく向上させることが
できる。

しかも、電極体10は樹脂材料からなるので、その後同じ
く樹脂材料からなるキャップ２中へインサート成形した
場合、キャップ２と電極体10の相互の熱膨張係数を近似
させることもできるので、キャップ２に対して電極体10
が馴染み易くなる。

［考案の効果］ 本考案に係る電極体は、導電性樹脂を成形したものであ
るから、この成形と同時に両端部へ袋状の穴を一体に形
成でき、しかもこの成形時に穴の内周面を比較的平滑に
することができる。したがって、従来のように電極体の
成形後に機械加工で穴の内周面を平滑仕上げする必要が
なくなる。

その結果、電極体の製造を容易にできるとともに、袋状
の穴内へ収容するカーボンブラシ等の接続導体の耐久性
を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

図は実施例にかかるディストリビュータの外観の一部を
切欠いて示す側面図である。 （符号の説明） １……ハウジング、２……キャップ、電極体10……、11
……接続部、12、13……電極部12、13、14、15……穴、
16、17……カーボンブラシ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上方へ開口するハウジングと、この開口部
   を覆うように取付けられるキャップと、これらによって
   形成される閉空間内に収容されるローター及びイグニッ
   ションコイルと、これらローターの電極板とイグニッシ
   ョンコイルの二次出力側電極とに電気的に接続するとと
   もに、キャップ中に埋設一体化された電極体とを備えた
   ディストリビュータにおいて、前記電極体の両端部に接
   続導体を摺動可能に収容するための袋状の穴を開口した
   状態で全体を導電性樹脂によって一体成形したことを特
   徴とするディストリビュータ。