JPH06327499A - 塩基配列検出方法 - Google Patents

塩基配列検出方法

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JPH06327499A
JPH06327499A JP14274593A JP14274593A JPH06327499A JP H06327499 A JPH06327499 A JP H06327499A JP 14274593 A JP14274593 A JP 14274593A JP 14274593 A JP14274593 A JP 14274593A JP H06327499 A JPH06327499 A JP H06327499A
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dna
reaction
probe dna
probe
detecting
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JP14274593A
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English (en)
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Satoru Hase
哲 長谷
Masaomi Iwasaki
匡臣 岩崎
Harumi Masubuchi
晴美 増渕
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Eiken Chemical Co Ltd
Tanabe Seiyaku Co Ltd
Original Assignee
Eiken Chemical Co Ltd
Tanabe Seiyaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】本発明は、操作性、定量性、感度等に優れる塩
基配列の検出方法の提供を目的としている。 【構成】DMSOのような反応促進剤の存在下、標的配
列と2本鎖を形成したプローブDNAをエクソヌクレア
ーゼIIIの作用により3’側から分解させ、生成する
分解産物を検出することによる塩基配列検出方法。 【効果】本発明は、標的配列の増幅、ならびに検出にお
いて次のような利点を持つ。 1.温度制御が不要である 2.反応が直線的で定量性や感度に優れる 3.増幅時のコンタミネーションの影響を受けにくい 4.プローブDNAの合成が容易

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、試料中に存在する特
定の塩基配列(以下標的配列という)の検出方法に関す
るものである。プローブDNAを用いた遺伝子診断法
は、遺伝的疾患や感染症の診断に有効である。検体中に
目的の遺伝子が存在するか否かを見るために、検体より
抽出した核酸(DNAあるいはRNA)と標識したプロ
ーブDNAとを混合し、特異的にハイブリダイズした標
識体の量を測定することにより目的の遺伝子を検出する
事が行われている。
【0002】
【従来技術の問題点】核酸塩基配列の相補性に基づく分
析方法は、遺伝的な特徴を直接的に分析することができ
るため、遺伝的疾患、癌化、微生物の識別等には有力な
手段である。また遺伝子を検出対象とするために、培養
のような時間のかかる操作を省略できる場合も有る。し
かし、検体中に目的の遺伝子量が少ない場合の検出は容
易ではなく、標的遺伝子そのものあるいは検出シグナル
等を増幅することが必要となる。標的遺伝子を増幅する
方法のひとつにPCR(Polymerase Chain Reaction)
法が知られている。PCR法はin vitroにおける核酸の
増幅技術としてもっとも一般的な方法であるが、次のよ
うな問題点が指摘されている。すなわち、実施のために
特別な温度調節装置が必要なこと、増幅反応が対数的に
進むことから定量性に問題があること、増幅した産物に
よるコンタミネーションが起こり易いこと等の問題点が
知られている。コンタミネーションとは以前の反応で生
じた増幅産物がつぎの反応液に誤って混入する事をい
い、PCRのようにDNAを数百万倍にまで増幅させる
反応では混入した微量DNAも同様に増幅されるため誤
った結果を与える。これは特に多数の検体を同時に扱う
場合には重大な問題となる。
【0003】他方、検出シグナルを増幅する方法として
はQβレプリカーゼでシグナルRNAを増幅する方法
(Bio/Technology,6,1197-1202(1988)P.M.Lizardieta
l.)が報告されている。しかしこの方法は増幅させる配
列をレプリカーゼが認識する配列内に挿入する必要があ
り、その立体構造上の制約から挿入の位置や配列が制限
される等の問題がある。これらの方法は検出対象となる
塩基配列を増幅するものであるが、以下に述べるような
分解産物を検出するシグナル増幅法も考案されている。
たとえば、標的核酸にオリゴプローブDNAをハイブリ
ダイズさせた後制限酵素処理し、切断されたプローブ断
片を検出するシグナル増幅法が知られている(EP−0
455517/A1)。この方法は検出感度も比較的良
く、定量性があり、特別な装置を必要としない等の利点
がある。しかし、この方法を遂行するにはプローブDN
A以外に反応が繰り返し起こるようにするための特異的
な配列を持つ第二のオリゴヌクレオチドを共存させる必
要がある。また検出する部位に制限酵素切断部位が必要
であるために検出部位が制限される等の欠点も持つ。
【0004】そのほかに2本鎖DNAを特異的に切断す
るλエクソヌクレアーゼを用いたサイクリングアッセイ
法も開発されている(BioTechniques Vol.13,No.6(199
2))。この方法は、オリゴヌクレオチドプローブが相補
的な配列とハイブリダイズして形成された2本鎖DNA
にλエクソヌクレアーゼを作用させ、プローブDNAが
2本鎖を維持出来ない程度まで分解されると新たなプロ
ーブDNAと置き替わり、続いてこの新たなプローブも
分解されることによりサイクリング反応が起こるという
ものである。この分解産物を検出する事により特定のD
NA配列の有無を判定できる。この方法は原理がシンプ
ルであり、また検出部位の配列が制限されないという点
では制限酵素を用いる方法よりも有利である。しかしλ
エクソヌクレアーゼは、基質として5’末端がリン酸化
されたプローブDNAを要求する。DNA合成機を用い
てプローブDNAを化学合成した場合5’末端はリン酸
化されておらず、そのため合成後改めて末端をリン酸化
する必要がある。しかし、5’末端が完全にリン酸化さ
れているのかどうかを確認することが難しいためプロー
ブ調製の再現性の点で問題が残る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特殊な装置
が要求される複雑な温度制御によらず、シンプルな反応
系でコンタミネーションの影響を受け難い塩基配列の検
出技術の提供を目的としている。また本発明は、これら
の目的を達成するために検出対象となる塩基配列の制限
やプローブDNA合成時の付加的な作業等をともなわな
い、汎用性に優れる検出技術を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、一本鎖DNAには作用せずハイブリダイズしたプロ
ーブDNAのみを切断し、かつ塩基配列には限定されな
いヌクレアーゼ活性を利用したシグナル増幅法を開発
し、本発明を完成した。すなわち本発明は、次の工程A
とBを反応促進剤の存在下で繰り返すことによって産生
されるプローブDNA分解産物を検出することを特徴と
する塩基配列検出方法である。 A)標的DNAを含む検体に相補的なプローブDNAを
ハイブリダイズさせて2本鎖DNAを形成させる工程、 B)Aで形成された2本鎖DNAにエクソヌクレアーゼ
III(以下EXOと省略する)を作用させてプローブ
DNAを3’側から分解する工程
【0007】本発明において利用する標的DNAと相補
性を持つプローブDNAは、核酸合成機を用いて化学的
に合成することができる。また微生物やPCR法を利用
して生物学的に増幅したDNAをプローブDNAとする
ことも可能である。本発明のプローブDNAの鎖長は、
標的配列に対する特異性と反応時間等を考慮して約10
〜100の間で設定する。プローブDNAの鎖長が短す
ぎると特異性やEXOの作用で断片化されたものと分離
の点で問題を生じ易く、他方不必要に長いプローブDN
Aを用いるとEXOによる分解に時間がかかり反応のサ
イクル数を減らす結果につながりかねない。標的配列と
ホモロジーの高い配列が検体中で共存しているというよ
うな特殊な条件でなければ、15〜40塩基程度の鎖長
とすれば十分な特異性で必要な反応サイクルを維持する
ことができる。本発明で用いるプローブDNAは、たと
えば5’末端のリン酸化というような特殊な処理は不要
であるが、検出を容易にするためにあらかじめ標識して
おくとよい。標識には、一般に核酸の標識技術として知
られている方法を利用する。具体的には、ラジオアイソ
トープ、ビオチン、発光成分、蛍光成分、酵素、ハプテ
ン等を例示することができる。プローブDNAは必ずし
も標識される必要はなく、たとえばEXOの作用で分解
され反応系に蓄積する特定の鎖長の断片の増加を追跡す
れば塩基配列の検出は可能である。
【0008】これらの標識はプローブDNAの任意の位
置に導入することができるが、導入位置によって検出対
象が違ってくる。つまり3’側のEXOの作用でモノヌ
クレオチドに分解される部分を標識したときには、モノ
ヌクレオチドが検出の対象となる。他方5’付近の短く
なって標的配列から外れる部分を標識したときには、プ
ローブDNAの断片を検出する必要が有る。EXOの酵
素活性が標識によって立体障害を受ける可能性、またE
XOの作用を受け2本鎖を維持できなくなって外れてく
るプローブ断片のみを確実に検出することを考慮すると
5’末端の標識が好ましい。
【0009】プローブDNAとしてアプリン酸、アピリ
ミジン酸等のアベイシック部位を含むものを使用した場
合は、EXOは上記の3’末端からの分解と共にこれら
の部位をエンドヌクレオテックに切断する。この特性を
利用すればプローブDNAの分解が3’末端のみならず
複数位置で生じることになる。標識の検出にあたって
は、EXOの作用を受けていない完全長のプローブDN
Aに由来する標識の信号と、ハイブリダイズ〜EXOに
よる分解を受けた産物に由来する標識の信号とを区別す
る必要がある。もっとも単純な方法は、両者を分子量の
差に基づいて物理的に分離してしまう方法である。具体
的には、液体クロマトグラフィーや電気泳動等の手法が
応用できる。この他にもアポ酵素で標識しておきプロー
ブDNAがEXOの作用で短くなったときにだけ立体障
害が除去されて液相中のホロ酵素と複合化し酵素活性を
発現するというCEDIA法(Clinica Chimica Acta,
vol.185, 231-240 (1989))等の検出系の応用も可能と
考えられる。その他、前記アベイシック部位を導入した
時にはアベイシック部位を挟んで特定の組み合せからな
る標識を結合させておけば更に簡便な分析系を構成する
ことができる。標識の組み合せとしては、発光−消光標
識の組み合せ、蛍光−偏光標識の組み合せ等を例示する
ことができる。このような標識の組み合せを利用すれ
ば、両者の物理的な距離の変化を信号の変化として追跡
することができるので、均一系での分析が可能となる。
【0010】他方、本発明におけるEXOは、EXO活
性を持つものであればその由来は問わない。現在のとこ
ろ大腸菌由来のものが市販されているが、これに限定さ
れるものではなく、他の微生物やあるいは遺伝子組み換
えによって得られたものであっても利用することができ
る。
【0011】つづいて標的配列とプローブDNAのハイ
ブリダイズについて説明する。両者はハイブリダイズ可
能な条件下で接触させる。この時の条件は特に限定され
ないが、EXOの存在下で全ての反応を進行させること
に注意を向ける必要が有る。EXOはPCR法で用いら
れるTaqポリメラーゼのような高い耐熱性を持たない
ので、EXOの活性を維持できる条件を採用しなければ
ならない。また温度以外の緩衝液の選択やpHの設定等
も、ハイブリダイズのみならずEXOの活性が十分に発
現できる条件を選択すべきである。具体的な条件を例示
すれば、緩衝液としてトリス−塩酸緩衝液等を用いたと
き、pHは約7〜9とし、20〜45℃で反応を行わせ
る。特に好ましい条件としては、pH7.5〜8.5、
温度は30〜40℃を示すことができる。
【0012】本発明においては、プローブDNAの使用
量も反応の結果を左右する要素となる。すなわち、標的
配列に対してあまりにも少量のプローブDNAしか存在
しない時には十分な感度を得られなくなるおそれがあ
る。標的配列の量をあらかじめ予想することは困難であ
るが、少なくとも希望する検出範囲の量に対して10倍
を越える量を、好ましくは100倍以上の大過剰量でプ
ローブDNAを用いることが高い感度を確保するうえで
重要な条件となる。
【0013】本発明による塩基配列の検出方法において
は、ハイブリダイズ〜EXOによる分解にいたる反応を
反応促進剤の存在下で行うことが必須条件である。本発
明における反応促進剤とは、標的配列とプローブDNA
とのハイブリダイズを促進ししかもEXOの活性を阻害
しない化合物と定義することができる。好ましい反応促
進剤としては、ジメチルスルフォキシド(以下DMSO
と省略する)、エチレングリコール(以下EGと省略す
る)、およびプロピレングリコール(以下PGと省略す
る)等を示すことができる。これらの反応促進剤は、反
応液中で5〜50%(W/V)、好ましくは10〜30%(W/V)
の濃度で用いる。
【0014】なお、実施例で反応液に添加されている牛
血清アルブミン(BSA)はEXO蛋白質の安定化剤と
して用いるものであるのでBSA以外の蛋白であっても
よく、10−500/mlの濃度で使用すればよい。また
メルカプトエタノールは酸化防止剤として用いるもので
あるので、これ以外にジチオスレオトール(DTT)等
も使用できる。
【0015】以上のような本発明に必要な各種成分は、
あらかじめ組み合せた試薬の形で供給することができ
る。あらためて本発明による塩基配列検出用試薬の構成
を次に示す。以下に示す試薬には、更に標識の検出に必
要な資材や反応液を構成する緩衝剤、あるいは陰性や陽
性の対照等の任意の成分を組み合せてキットの形とする
こともできる。 本発明による塩基配列検出用試薬の構成: ・標的配列に相補的なプローブDNA ・EXO ・反応促進剤
【0016】次に本発明の反応原理を述べる。本発明に
よる反応は図1に示すようなサイクルで進行する。すな
わち、まずプローブDNAが標的配列にハイブリダイズ
して2本鎖を形成する。このとき一般的には標的配列を
含むDNAが、プローブDNAの5’末端と3’末端の
方向につきでた構造となる。(もちろん標的配列がDN
Aの5’末端に位置している時には3’側のみがつきで
た構造となる。)ついでこの2本鎖となった部分の3’
側からEXOによる分解が開始され、プローブDNAが
モノヌクレオチドに分解される。EXOはDNAの2本
鎖部分の3’末端からしか作用できないので、標的配列
を含むDNAやハイブリダイズしていない遊離のプロー
ブDNAはEXOによる分解を受けない。EXOによる
プローブDNAの分解が進行すると、標的配列とプロー
ブDNAの間に形成された塩基対が減少し、やがて2本
鎖構造を維持できなくなってプローブDNAが外れ標的
配列を含むDNAはもとの1本鎖にもどる。こうして標
的配列を含むDNAはもとの1本鎖となって新たなプロ
ーブDNAとハイブリダイズし、他方EXOの作用で断
片化されたプローブDNAが反応液中に遊離し蓄積され
るのである。この反応原理からわかるように、標的配列
はDNAの3’末端に位置しないように設定しなければ
ならない。標的配列が3’末端に位置すると、プローブ
DNAと同様EXOの作用によって分解されてしまい以
降のハイブリダイズが不可能になってしまうためであ
る。
【0017】本発明は特定の塩基配列が分析対象となる
DNAの中に存在するかどうかを高い精度と感度で検出
するための技術を提供する。本発明の分析対象は、動
物、植物、細菌、酵母、糸状菌、マイコプラズマ、リケ
ッチア、ウイルス他あらゆるものにおよぶ。またDNA
としては、ゲノミックDNAはもちろん、RNAウイル
スやmRNAから誘導されたcDNAを分析対象とする
ことも可能である。
【0018】
【作用】本発明におけるEXOは、標的配列とハイブリ
ダイズしたプローブDNAのみを特異的に加水分解する
作用を持つ。標的配列が存在しない時にはプローブDN
Aの分解は起こらず、またたとえ標的配列が存在してい
てもプローブDNAがハイブリダイズしない限り加水分
解されることはない。EXOのこのような特性により、
本発明における反応液中に蓄積するプローブDNAの分
解産物は直線的に増加し、定量性の高い分析が可能とな
るのである。本発明の反応促進剤は、標的配列とプロー
ブDNAのハイブリダイズを促進する作用を持つ。本発
明は、この反応促進剤の存在によって迅速で定量性に優
れた反応系を提供することができるのである。以下、実
施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
【0019】
【実施例】
1.HBV・DNAのHBV−e抗原遺伝子の検出 HBV・DNAのHBV−e抗原遺伝子のEXOによる
検出を試みた。EXOには大腸菌由来のものを、反応促
進剤にはDMSO、EG、およびPGを、またプローブ
DNAには以下示す塩基配列を持つオリゴヌクレオチド
を化学合成して用いた。 塩基配列1:5'-AATGCCCCTATCTTATCAACACTTC-OH
【0020】1−a.プローブDNAの調整 プローブDNAに用いたオリゴヌクレオチドは、ホスホ
アミダイド法によりCyclone plus DNA synthesizer(Mi
lligen/Biosearch製、登録商標)にて合成した。合成し
たオリゴヌクレオチドはOligo-pakカートリッジカラム
(Milligen/Biosearch製、登録商標)により精製した。
得られたオリゴヌクレオチドは、γ-32PATPとT4キナー
ゼを用いて5’末端を32Pラベルした。ここで作成した3
2P標識オリゴヌクレオチドを未標識オリゴヌクレオチド
と混合し、以下の実験の32P標識プローブDNAとし
た。なお、検出はオートラジオグラムにより行うのでそ
の都合上 32P標識オリゴヌクレオチド量は一反応あたり
約104cpmになるように添加した。
【0021】1−b.標的配列の検出32 P標識したプローブDNAを、標的配列となるHBV
・DNAを一部にもつM13ファージDNAと混合し、
実際に本発明による反応を行わせた。具体的な反応液の
組成は次に示すとおりである。 反応液の組成:標的配列(M13ファージDNA上にH
BV−e抗原遺伝子領域を持つ1本鎖DNA、10fmo
l)32 P標識したプローブDNA、1pmol 50mM Tris/HCl(pH8.0) 5mM MgCl2 10mM 2メルカプトエタノール 50mM NaCl 100μg/ml牛血清アルブミン(以下BSAと略す) 20% DMSO(あるいはEG、PG) この反応液を37℃で10分間プレインキュベート後、
EXO5U(宝酒造製)を添加し37℃で60分間反応
させた。反応後10μlの停止液を添加し、65℃で5
分間処理して反応を停止させた。続いて19%ポリアク
リルアミドゲル(7M尿素含有)で電気泳動し、オート
ラジオグラフィーにより断片化したプローブDNAを検
出した。結果は図2に示した。 停止液: 80 %ホルムアミド 15mM Tris/HCl (pH7.6) 5mMEDTA 0.1%W/V BPB(Bromophenol Blue) 0.1%W/V XC−FF(Xylene Cyanol FF)
【0022】図2から明らかなように、20%のDMS
O、EG、或いはPG存在下ではサイクリング反応が起
こり易くなる事が分かった(レーン4,6,8)。従っ
て、この条件下では鋳型となる標的配列の量以上のプロ
ーブDNAが分解され、その結果シグナルの増幅が起こ
る事が明らかとなった。なお、同様の条件でハイブリダ
イズ促進剤として知られているラクトース、レハロー
ス、グルコース、サッカロース、マルトース、α-メチ
ル−D-グルコシド、硫化ジメチル、ジメチルスルホ
ン、硫酸ジメチル、アセトアミド、チオアセトアミド、
尿素、チオ尿素、ホルムアミド、アセトン、ポリエチレ
ングリコール、ポリビニルピロリドン、硫安、スペルミ
ジン、スペルミン、グリセリン、ジメチルホルムアミ
ド、デンハルト溶液(0.02%フィコール、0.02%
ポリビニルピロリドン、0.01%BSA)、フィコー
ルについての実験も行ったが、反応促進効果はほとんど
認められなかった。
【0023】2.DMSOの至適濃度 1.と同じ条件でDMSOの濃度のみを10〜50%に
変えてDMSOの至適濃度を調査した。結果は図3に示
した。DMSOの濃度が10〜30%では反応の進行が
認められるが、40%以上では無添加のときと同様にほ
とんど反応が進行しなくなることが分かった。従って、
至適濃度は20%程度であることが明らかとなった。
(レーン3)
【0024】3.反応促進剤の作用 反応促進剤の作用を確認するために次の実験を行った。
反応促進剤には20%のDMSO、EG、およびPGを
用い、その他の条件は1.にしたがった。なおハイブリ
ダイズしたDNAを同時に検出するため、反応停止液を
添加後の65℃で5分間の熱処理を除き、直接ポリアク
リルアミドゲルにて電気泳動をおこなった。
【0025】3−a.標的配列を含むM13ファージD
NAと32P標識プローブDNAを混合し、65℃で10
分加熱後37℃で10分間アニール処理を行いハイブリ
ダイズさせた。続いてEXOを添加し37℃で60分間
分解反応をおこなった。
【0026】3ーb.始めにハイブリダイズしていたプ
ローブが分解された後、フリーとなった標的配列に新た
なプローブが再びハイブリダイズして起こるサイクリン
グ反応(図1の2ラウンド目以降の反応)を見るため、
3−bの実験を行った。標的配列を含むM13ファージ
DNAと標識していないプローブDNAとを混合し65
℃10分間加熱後37℃で10分間アニール処理を行い
ハイブリダイズさせた。続いてEXO、32P標識プロー
ブDNAを添加し、37℃で60分間分解反応をおこな
った。
【0027】いずれの場合も分解反応の終了後に1.と
同じ様に反応液をオートラジオグラフィーにより分析し
た。結果を図4に示す。レーン1〜3が3−a.に、レ
ーン4〜6が3−b.に対応している。なお図4にはD
MSOの結果しか示さないが、他の反応促進剤において
もほぼ同様の実験結果を得た。反応促進剤非存在下では
アニール処理によってハイブリダイズしていたプローブ
DNAは分解されるが(レーン2)、2ラウンド目以降
の37℃でのハイブリダイゼーションと分解反応からな
るサイクリング反応が起こりにくいことがわかった(レ
ーン5)。
【0028】3−c(実験結果は示さない).反応促進
剤の作用を確認するために単にハイブリダイズに対する
促進効果のみを調査した。実験として次に示す温度条件
で等量の32P標識プローブDNAと標的配列のハイブリ
ダイズに及ぼす反応促進剤の影響を観察した。反応後は
1.と同様にオートラジオグラフィーにより分析した。
温度条件として次の3点を調べた。 条件A:煮沸2分/65℃で10分/37℃で10分 条件B:65℃で10分/37℃で10分 条件C:37℃で10分 反応液はハイブリダイゼーションの効率のみを見るた
め、32P標識プローブ50fmol、標的配列を含むM13
ファージDNA(50fmol)を使用し、反応促進剤20
%(DMSO、PG、またはEG)を添加した。その他
の反応液の組成は実験1.と同様である。その結果、反
応促進剤が存在する場合はいずれの温度条件でも十分に
ハイブリダイズしていたが、反応促進剤が存在しない時
には温度条件にはかかわらずわずかのハイブリダイズし
か確認されなかった。特に条件C(37℃で10分)で
は反応促進剤が無ければ痕跡程度のハイブリダイズしか
観察されず、反応促進剤がハイブリダイズを促進してい
ることが明らかとなった。以上の実験により、一定温度
(37℃)の条件下での標的配列とプローブDNAのハ
イブリダイズの効率を添加剤が促進していることがわか
った。またEXOに対しては少なくともプローブDNA
分解活性を阻害しないため、図1のサイクリング反応が
進行すると考えられる。
【0029】4.DMSO存在下での検出感度 1.と同じ操作で検出対象となるDNA量を0〜1pmol
に変化させて本発明による検出方法の感度を確認した。
結果を図5に示す。10fmol程度のDNAを検出可能な
ことが確認された。本発明による検出方法の感度がきわ
めて高いことがわかる。
【0030】5.反応特異性 本発明による検出方法の反応特異性を確認した。検出対
象として次のようなDNAを用い、操作は1.にしたが
った。結果を図6に示す。 検出対象としたDNA: ・プローブDNAと相補的な配列をもつM13ファージ
環状1本鎖DNA(レーン3) ・プローブDNAと同じ配列(方向性が同一であるため
相補的ではない)を持つM13ファージ環状1本鎖DN
A(レーン4) ・挿入配列を持たないM13ファージ1本鎖環状DNA
(レーン5) ・プローブDNAと相補的な配列をもつM13直鎖状D
NA(HBV−e抗原遺伝子領域を持つM13RF・D
NAを制限酵素EcoRIで切断して直鎖状とし95℃で加
熱処理して変性させたもの、レーン6) ・対照として、プローブDNAのみを泳動した(レーン
1)、 ・標的配列の無い状態でEXOを反応させた(レーン
2)。 図から明らかなように、プローブDNAの分解は検出対
象となるDNAが標的配列を含む場合にのみ観察され
(レーン3、6)、本発明による検出方法が特異的であ
ることが確認された。データは示さないが、この他にも
サケ精子DNAを対象とした場合にもプローブDNAの
分解が起きないことを確認した。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、特別な温度制御操作を
することなく塩基配列の増幅と検出を行うことができる
ので自動化が容易である。また本発明による反応では、
生成物の増加が直線的に進むので標的核酸の定量性に優
れる。PCR法では生成物が指数的に増加するため増幅
率には優れるものの反応条件を厳しく管理しても定量性
には限界があるが、本発明では反応条件の管理が容易な
うえ十分な定量性を維持することが可能である。本発明
の利点の一つに、コンタミネーションの影響を受け難い
ことがあげられる。すなわち本発明ではEXOによって
分解したプローブを検出するので、たとえ増幅後の核酸
がコンタミネーションを起こしても増幅につながるおそ
れはない。PCR法では誤って増幅された配列が新たな
鋳型として機能するため、特に反応初期のクロスコンタ
ミネーションは結果に重大な影響をおよぼす。このよう
な特性から見ても本発明の定量性が優れているというこ
とができる。更に本発明の付随的な効果として変異位置
の特定に応用可能なことがあげられる。標的核酸に変異
部位が存在する時は、プローブDNAとのミスマッチの
位置でEXOによる分解が起こりにくくなる。したがっ
て、分解後のプローブDNAの長さを測定する事により
標的核酸上の変異の位置が限定出来得る。以上のように
この本発明による塩基配列の検出方法は種々の利点を有
するものであり、遺伝子の分析において有効な方法とな
ることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の反応原理を示す模式図である。
【図2】図2は本発明によるHBV−e抗原遺伝子の検
出方法によって得られたオートラジオグラフィーの結果
を示す模式図である。 レーン1,3,5,7: 標的配列非存在下に反応させ
た。 レーン2,4,6,8: 標的配列(10fmol)存在下
反応させた。 レーン1,2: 添加剤を加えない条件下反応させた。 レーン3,4: 添加剤としてDMSO(20%)を加えて
反応させた。 レーン5,6: 添加剤としてPG(20%)を加えて反応
させた。 レーン7,8: 添加剤としてEG(20%)を加えて反応
させた。
【図3】図3はDMSO濃度を変化させて至適濃度を調
査したオートラジオグラフィーの結果を示す模式図であ
る。 レーン1:DMSOを添加せず反応させた。 レーン2:10%DMSO存在下反応させた。 レーン3:20%DMSO存在下反応させた。 レーン4:30%DMSO存在下反応させた。 レーン5:40%DMSO存在下反応させた。 レーン6:50%DMSO存在下反応させた。
【図4】図4は、反応促進剤の作用を調査したオートラ
ジオグラフィーの結果を示す模式図である。レーン1〜
3が3−a.に、レーン4〜6が3−b.に対応してい
る。 レーン1,4:プローブDNAのみ。 レーン2,5:DMSOを添加しない。 レーン3,6:20%DMSOを添加した。 レーン1,2,3:32P標識プローブをはじめから添加
しEXO処理した。 レーン4,5,6:未標識プローブをハイブリダイズさ
せた後、EXOと32P標識プローブを添加した。
【図5】図5は標的配列の濃度を変化させて感度を調査
したオートラジオグラフィーの結果を示す模式図であ
る。 レーン1:標的配列を含むDNAを添加せず、反応させ
た。 レーン2:標的配列を含むDNAを1pmol添加し反応さ
せた。 レーン3:標的配列を含むDNAを100fmol添加し反
応させた。 レーン4:標的配列を含むDNAを10fmol添加し反応
させた。 レーン5:標的配列を含むDNAを1fmol添加し反応さ
せた。
【図6】図6は検出対象となるDNAを変化させて特異
性を調査したオートラジオグラフィーの結果を示す模式
図である。 レーン1:プローブDNAのみ。 レーン2:標的配列を含むDNAを添加せず反応させ
た。 レーン3:プローブDNAと相補的な配列をもつM13
ファージ環状1本鎖DNA。 レーン4:プローブDNAと同じ配列(相補的ではな
い)をもつM13ファージ環状1本鎖DNA。 レーン5:挿入配列を持たないM13ファージ1本鎖環
状DNA。 レーン6:プローブDNAと相補的な配列をもつ二本鎖
直鎖状のDNA。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増渕 晴美 栃木県大田原市下石上1381−3栄研化学株 式会社免疫化学研究所内

Claims (7)

    【整理番号】P−000277 【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の工程AとBを反応促進剤の存在下で繰
    り返すことによって産生されるプローブDNA分解産物
    を検出することを特徴とする塩基配列検出方法。 A)標的DNAを含む検体に相補的なプローブDNAを
    ハイブリダイズさせて2本鎖DNAを形成させる工程、 B)Aで形成された2本鎖DNAにエクソヌクレアーゼ
    IIIを作用させてプローブDNAを3’側から分解す
    る工程
  2. 【請求項2】プローブDNAを予想される標的DNAの
    量に対して過剰量で用いることを特徴とする請求項1の
    塩基配列検出方法。
  3. 【請求項3】反応促進剤が、ジメチルスルフォキシド、
    エチレングリコール、およびプロピレングリコールから
    なる群から選ばれる請求項1の塩基配列検出方法。
  4. 【請求項4】標的DNAに相補的なプローブDNAの
    5’末端が標識されていることを特徴とする請求項1の
    塩基配列検出方法。
  5. 【請求項5】標的DNAが逆転写酵素によってRNAか
    ら誘導されたcDNAであることを特徴とする請求項1
    の塩基配列検出方法。
  6. 【請求項6】標的DNAに相補的なプローブDNA、エ
    クソヌクレアーゼIII、および反応促進剤とで構成さ
    れることを特徴とする塩基配列検出用試薬。
  7. 【請求項7】反応促進剤が、ジメチルスルフォキシド、
    エチレングリコール、およびプロピレングリコールから
    なる群から選ばれる請求項6の塩基配列検出用試薬。
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