JPH06316534A - 治療用のプロテインホスファターゼインヒビター - Google Patents

治療用のプロテインホスファターゼインヒビター

Info

Publication number
JPH06316534A
JPH06316534A JP2215092A JP2215092A JPH06316534A JP H06316534 A JPH06316534 A JP H06316534A JP 2215092 A JP2215092 A JP 2215092A JP 2215092 A JP2215092 A JP 2215092A JP H06316534 A JPH06316534 A JP H06316534A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
cells
okadaic acid
egr
protein phosphatase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2215092A
Other languages
English (en)
Inventor
Kao Kishinmin
キシンミン・カオ
Guy Graeme
グリーム・ガイ
Uii Tan In
イン・ウイー・タン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2215092A priority Critical patent/JPH06316534A/ja
Publication of JPH06316534A publication Critical patent/JPH06316534A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】プロテインホスファターゼインヒビターを含
む、TNFまたはIL−1の模擬物質として用いられる
物質、及び、プロテインホスファターゼインヒビターを
含む、細胞分化因子として用いられる物質、並びに、プ
ロテインホスファターゼインヒビター及びプロテインキ
ナーゼアクチベーターを、細胞分化の誘導で同時に、別
個に、または逐次用いるべく組み合わせた調製物として
含有する製品。 【効果】本発明物質は、TNFまたはIL−1で治療可
能な病態の治療及び細胞成長の促進に使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばオカダン酸(o
kadaic acid)及びカリキュリンA(cal
yculin A)のようなプロテインホスファターゼ
1及び2Aのインヒビターであるプロテインホスファタ
ーゼインヒビターの使用に係わる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】免疫系
の制御はリンフォカインの、様々な種類の細胞との複雑
な相互作用によって媒介される。宿主免疫系の調整に関
与すると報告されているリンフォカインの例に腫瘍壊死
因子(TNF)及びインターロイキン−1(IL−1)
が有る。TNF及びIL−1は敗血症及び自己免疫疾患
のような病態に関連し、炎症性反応の媒介物質と説明さ
れている。癌、AIDS及びマラリアでは、高レベルの
血清TNFがこれらの疾患における体重減少に関係付け
られる。これらのリンフォカインの病態との関連性は、
TNF抗体またはインヒビターを敗血症性ショックの治
療に用いること、及びIL−1抗体を慢性関節リウマチ
に適用することを促進した。
【0003】IL−1は初め胸腺リンパ球のコマイトジ
ェン(comitogen)と説明され、またTNFは
最初、腫瘍を壊死させる内毒素由来因子であると報告さ
れた。これら二つのリンフォカインは、相同のアミノ酸
配列を有しないか、またはそのレセプターに関して相同
性を有しなくとも、細胞上での生物学的活性においては
互いに類似する。チロシンキナーゼ活性を有することが
知られている上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長
因子(PDGF)及びコロニー刺激因子−1のレセプタ
ー、並びにGTP結合タンパク質を介して二次メッセン
ジャーを生じる“サーペンタインレセプター(serp
entine receptor)”の場合に異なり、
TNFやIL−1のレセプターからのTNFまたはIL
−1信号トランスダクションのモードは僅かしか推定さ
れていない。幾つかの報告は、TNF及びIL−1信号
化プロセスにGTP結合タンパク質が関与することを示
唆した。cAMP、1,4,5−トリホスホイノシトー
ル及びアラキドン酸の二次メッセンジャーとしての濃度
が上昇することも報告されている。TNFまたはIL−
1で刺激した細胞中に熱ショックタンパク質、1−プラ
スチン、スタトミン、タリン及びEGFレセプター(E
GFR)など幾つかのリン酸化細胞基質を同定すること
によってセリンキナーゼ及び/またはトレオニンキナー
ゼの活性化が示唆された。この関連で上記両リンフォカ
インは、互いに協力して63の細胞質ゾルタンパク質の
早いリン酸化を実現し、かつヒト線維芽細胞中の微小管
関連タンパク質−2及びeIF−4Eキナーゼを含めた
多くのプロテインキナーゼを活性化すると報告されてい
る。
【0004】TNFまたはIL−1は、NF−kB、N
F−IL6、多応答因子、インターフェロン応答因子−
1、インターフェロン応答因子−2、c−fos、c−
jun及びNF−GMaを含めた幾つかの転写因子を活
性化し、数種の遺伝子を発現させる。トランスメンブラ
ンレベル、細胞質ゾルレベル及び遺伝子発現レベルでの
TNF及びIL−1信号化効果については多くが語られ
ているが、一次信号化経路は未解明で、場合によっては
矛盾を抱えたままである。
【0005】即時型初期遺伝子Egr−1(NGF1−
A、zif268、TIS8及びKrox24としても
公知)は、細胞が血清または精製成長因子の刺激に応答
してG0期からG1期に移行する際に急速に、かつ一時的
に誘導される。この遺伝子Egr−1はDNA結合ドメ
インを有する核リンタンパク質をコードし、転写因子と
して機能する。Egr−1の発現は、Egr−1プロモ
ーター領域内に位置する配列5′CGCCCCCGC−
3′に結合する亜鉛フィンガー保有タンパク質(Wil
ms腫瘍遺伝子の産物及びEgr−1遺伝子自体)によ
って調節される。NIH3T3細胞において、腫瘍サプ
レッサーと推定されるWilms腫瘍遺伝子産物はEg
r−1の発現を抑圧し、一方Egr−1タンパク質その
ものが自体の発現を誘導する。成人T細胞白血病にヒト
T細胞白血病ウイルス1型(HTLV−1)が関連付け
られているが、このウイルスHTLV−1のトランス調
節タンパク質(Tax)が構成的に発現する幾つかのH
TLV−1感染T細胞ラインにおいてEgr−1は高レ
ベルに発現する。更に、Egr−1の発現はTaxによ
ってトランス活性化されることが判明した。これらのこ
とから、Egr−1遺伝子の発現は細胞の成長及び形質
転換に関連すると考えられる。Egr−1遺伝子発現の
誘導ではプロテインキナーゼCの活性化が一つの役割を
占めることが報告されている。
【0006】米国特許第4,835,176号には、T
NFが哺乳動物に及ぼす悪液質様の副作用の治療に用い
られるグリコオカダン酸(glycookadaic
acid)が開示されている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願出願人は今や、クロ
イソカイメン(marine black spong
e)由来のホスファターゼインヒビターであるオカダン
酸(Tachibana et al., J. A
m. Chem. Soc. 103, 2469−2
471, 1981)が一次ヒト線維芽細胞において、
TNFまたはIL−1によって誘導されるものにきわめ
て類似の早期リン酸化と遺伝子発現とを複合的に誘導す
ることを発見した。本願出願人はまた、オカダン酸、及
び別のホスファターゼインヒビターであるカリキュリン
Aがヒト及びマウスの線維芽細胞においてEgr−1遺
伝子の持続的発現を強力に誘導すること、並びにオカダ
ン酸とプロテインキナーゼアクチベーターであるホルボ
ール12−ミリステート13−アセテートとがEgr−
1遺伝子の誘導を相乗的に媒介し得ることも発見した。
これらの発見は一般的な有用性を有する。
【0008】従って本発明は、プロテインホスファター
ゼインヒビターを含む、TNFまたはIL−1の模擬物
質(mimic)として用いられる物質を提供する。本
発明はまた、プロテインホスファターゼインヒビターを
含む、細胞分化因子として用いられる物質も提供する。
更に本発明は、プロテインホスファターゼインヒビター
及びプロテインキナーゼアクチベーターを、細胞分化の
誘導で同時に、別個に、または逐次用いるべく組み合わ
せた調製物として含有する製品も提供する。
【0009】プロテインホスファターゼインヒビターは
典型的には、プロテインホスファターゼ1または2Aの
インヒビターのようなプロテインセリン/トレオニンホ
スファターゼインヒビターである。プロテインホスファ
ターゼインヒビターはオカダン酸か、または該酸の医薬
的に許容可能な塩、アミドもしくはエステルであり得
る。塩は、ナトリウムまたはカリウム塩のようなアルカ
リ金属塩、またはアルカリ土類金属塩であり得る。アミ
ドは単純な酸アミド−CONH2であっても、式−CO
NR12〔R1は水素かC1〜C4アルキル、R2はC1
4アルキル〕で表わされるアミドのようなモノまたは
ジアルキルアミドであってもよい。あるいは他の場合に
は、アミドはアミノ酸とのアミド、即ち例えばオカダン
酸とグリシンまたはリシンとのアミドであり得る。グリ
シンとのアミドがグリコオカダン酸である。オカダン酸
とアミノ酸とのアミドは、医薬的に許容可能な塩の形態
を取り得る。エステルはオカダン酸の、メチルまたはエ
チルエステルのようなC1〜C4アルキルエステルであり
得る。
【0010】本発明に用いる別のプロテインホスファタ
ーゼインヒビターとして、カリキュリンAまたはその誘
導体が有る。カリキュリンAの機能性誘導体は、TNF
またはIL−1を模倣し得、またはEgr−1遺伝子を
誘導し得るものであれば任意のものを用いることが可能
である。誘導体はカリキュリンAの酸またはアミンであ
り得る。
【0011】TNFまたはIL−1の模擬物質として、
プロテインホスファターゼインヒビターをTNFまたは
IL−1で治療可能な病態の治療に用いることができ
る。従って、プロテインホスファターゼインヒビターは
腫瘍の治療に用い得る。治療する腫瘍は、転移性癌のよ
うな進行癌、黒色腫、腎細胞癌、白血病、気管支癌、鼻
咽頭癌及びカポジ肉腫の中から選択し得る。進行癌は転
移性の癌または肉腫であり得る。白血病は成人白血病で
あり得る。好ましくは、プロテインホスファターゼイン
ヒビターでの腫瘍治療は主腫瘍部の縮小化(debul
king)後に行なう。主腫瘍部は外科的に、放射線治
療によって、及び/または化学療法で除去し得る。
【0012】プロテインホスファターゼインヒビターを
細胞分化因子として用いることも可能である。プロテイ
ンホスファターゼインヒビターは細胞成長の促進に用い
られ得る。プロテインホスファターゼインヒビターは、
Egr−1遺伝子を誘導することによって機能し得る。
従って、プロテインホスファターゼインヒビターは白血
病、即ち例えば成人白血病の治療に用いられ得る。分化
が誘導されることによって白血病の症状が弱まる(Sa
chs, Nature 274, 535−539,
1978; Degas, Leukemia Re
search14, 717−719, 1990)。
好ましくは、プロテインホスファターゼインヒビターで
の腫瘍治療は上記同様主腫瘍部の縮小化後に行なう。
【0013】プロテインホスファターゼインヒビター
は、細胞の分化及び成長の誘導に適用する場合、プロテ
インキナーゼアクチベーター、即ち例えばプロテインキ
ナーゼCのアクチベーターと組み合わせて用い得る。プ
ロテインホスファターゼインヒビター及びプロテインキ
ナーゼアクチベーターは細胞成長の促進に用いられ得
る。プロテインキナーゼアクチベーターはプロテインホ
スファターゼインヒビターと同時に投与しても、あるい
はまたプロテインホスファターゼインヒビターより先か
後に投与してもよい。
【0014】適当なプロテインキナーゼCアクチベータ
ーは、12−O−テトラデカノイルホルボール13−ア
セテートとも呼称するホルボール12−ミリステート1
3−アセテートである。短鎖(C6、C8及びC10)脂肪
酸の1,2−ジグリセリド、即ち例えば1,2−ジヘキ
サノイル−sn−グリセロール(C6:0)及び1,2
−ジオクタノイル−sn−グリセロール(C8:0;
1,2−ジカプリロイル−sn−グリセロールとも呼
称)もプロテインキナーゼCのアクチベーターである。
プロテインキナーゼCアクチベーターとしてはこのほか
に、1−オレオイル−2−アセチル−rac−グリセロ
ール(C18:1,[cis]−9/C2:0;1−
[(cis)−9−オクタデセノイル]−2−アセチル
−rac−グリセロールとも呼称)、1−オレオイル−
2−アセチル−sn−グリセロール及び1−ステアロイ
ル−2−アラキドノイル−sn−グリセロール(C18
0/C20:4,[cis,cis,cis,cis]−
5,8,11,14;1−オクタデカノイル−2−
[(cis,cis,cis,cis)−5,8,1
1,14−エイコサテトラエノイル]−sn−グリセロ
ールとも呼称)が有る。
【0015】従って、TNFまたはIL−1の模擬物質
として用いられるか、または細胞分化及び成長プロモー
ターとして用いられる物質が提供され得る。この物質は
プロテインホスファターゼインヒビターを含む。プロテ
インホスファターゼインヒビターと医薬的に許容可能な
担体または稀釈剤とを含有する医薬組成物を調製するこ
とができる。プロテインホスファターゼインヒビター
は、経口または直腸投与も注射による投与も可能であ
る。
【0016】注射剤を製造する場合、pH調節剤、緩衝
剤、安定剤及び/または賦形剤を添加し得る。更に、通
常の技術により、凍結乾燥注射剤を製造することも可能
である。皮下注射、筋内注射または静脈注射用の製剤を
製造できる。
【0017】経口投与用の固形製剤は、プロテインホス
ファターゼインヒビターに賦形剤、及び所望であれば結
合剤、崩壊剤、滑剤、着色剤及び/または矯正剤(矯味
剤)等を添加し、通常の技術によって錠剤、コーティン
グ錠剤、顆粒剤、散剤またはカプセルを形成することに
よって製造し得る。経口液剤は、主薬に矯正剤、緩衝剤
及び/または安定剤を添加し、シロップ剤または乾燥シ
ロップ剤を形成することによって製造し得る。
【0018】プロテインホスファターゼインヒビターに
賦形剤、及び所望であれば界面活性剤を添加し、かつ通
常の技術で成形することによって坐剤も製造し得る。
【0019】プロテインキナーゼアクチベーターは、用
いる場合、上記プロテインホスファターゼインヒビター
と調合し得る。あるいは他の場合には、プロテインキナ
ーゼアクチベーターを単独で医薬的に許容可能な担体ま
たは稀釈剤と調合することも可能である。
【0020】用時、治療有効量のプロテインホスファタ
ーゼインヒビターをホストに投与する。ホストは普通人
間であるが、他の哺乳動物であってもよい。こうして、
患者の状態を改善し得る。患者の掛かっている疾病を軽
くすることができる。プロテインホスファターゼインヒ
ビターの投与レベルは、患者の状態、患者の年齢及び体
重、治療する病態並びに投与形態を含めた様々な要因次
第で異なる。注射の場合は1日当たり約0.05〜50
0mg程度の投与レベルが有用であるが、有用な投与レ
ベルは投与部位毎に相違し得る。経口または直腸投与の
場合は、投与レベルを1日当たり約0.05〜1000
mgとする。投与レベルは医師の要求に従って変更可能
である。
【0021】治療有効量のプロテインキナーゼアクチベ
ーターをプロテインホスファターゼインヒビターと組み
合わせてホストに投与し得る。プロテインキナーゼアク
チベーターの投与は、プロテインホスファターゼインヒ
ビターの投与前または投与後数日以内に行なっても、あ
るいはまたプロテインホスファターゼインヒビターの投
与と同時に行なってもよい。従って、プロテインキナー
ゼアクチベーターはプロテインホスファターゼインヒビ
ターの投与前か投与後7日以内、例えば2日以内に投与
し得る。
【0022】プロテインキナーゼアクチベーターの投与
経路及び投与レベルは、いずれのプロテインキナーゼア
クチベーターを投与するかということを含めた様々な要
因に依存する。投与レベルはやはり患者の年齢、体重及
び状態に依存し得る。しかし通常は、プロテインキナー
ゼアクチベーターの投与は例えば静脈内への注射によっ
て、1日当たり約0.05〜500mgの投与レベルで
行ない得る。経口または直腸投与の場合は、1日当たり
0.05〜1000mgの投与レベルが適当であり得
る。
【0023】
【実施例】本発明を、以下の実施例によって詳述する。
【0024】添付図面中の第1図に、ヒトの線維芽細胞
における早期タンパク質リン酸化の、アゴニストによっ
て惹起される変化の比較を示す。32Pで標識した培養物
をTNFまたはオカダン酸(OA)で15分間処理し
た。次に細胞を、コンピューター処理映像化と組み合わ
せた高解像度二次元ゲル電気泳動によって分析した(G
uy et al., J. Biol. Chem.
266, 14343−14352, 1991)。
第1図に示したのは、対照の細胞質ゾル(a)、TNF
(50単位/ml)で処理した細胞質ゾル(b)、20
0nMのOAで処理した細胞質ゾル(c)、未処理の核
/細胞骨格抽出物(d)、TNF(50単位/ml)で
処理した核/細胞骨格抽出物(e)、及び200nMの
OAで処理した核/細胞骨格抽出物(f)のオートラジ
オグラムである。矢印はリン酸化の、対照を越えての顕
著な増進を指示している。幾つかのスポットは写真撮影
の間に“失われる”。オードラジオグラムfへの插入図
は、より低い濃度(100nM)のOAで処理した細胞
に由来する核/細胞骨格抽出物におけるhsp複合体の
リン酸化の増進を明示する。
【0025】第2図に、TNF(50単位/ml)、I
L−1(50単位/ml)、または図中に記した濃度の
OA(オカダン酸)で15分間処理したヒト線維芽細胞
の細胞質ゾル抽出物によるキャップ構造認識タンパク質
のリン酸化を示す。SDS−PAGEによって精製し、
32Pで標識したキャップ構造認識タンパク質(27,0
00kDa)をコンピューター処理デンシトメーターで
定量し、相対リン酸化度について比較した。
【0026】第3図に、オカダン酸またはTNFによる
27 hsp複合体の、用量に依存するリン酸化を示
す。[32P]オルトリン酸塩(1mCi/ml)で予め
標識したヒト線維芽細胞を様々な濃度のOA、またはT
NFと共にインキュベートした。細胞から細胞質ゾル画
分を得、この画分を二次元ゲル電気泳動に掛けた。第3
図のaは対照、bは80nMのOAで処理した場合、c
は160nMのOAで処理した場合、dは50単位/m
lのTNFで処理した場合、eは320nMのOAで処
理した場合である。
【0027】第4図に、[32P]オルトリン酸塩(1m
Ci/ml)で予め標識したヒト線維芽細胞の細胞質ゾ
ル画分の27 hsp複合体のオカダン酸によるリン酸
化の経時変化を示す。上記線維芽細胞を200nMのオ
カダン酸で0分間(a)、5分間(b)、15分間
(c)または30分間(d)処理した。線維芽細胞から
細胞質ゾル画分を得、この画分を二次元ゲル電気泳動に
よって分析した。
【0028】第5図に、アゴニストで処理した細胞にお
けるEGF−Rのリン酸化、即ちEGF−RのTNF、
IL−1、EGF、PDGF(図中PGFと表記)及び
オカダン酸(OA)によるリン酸化を示す。32Pで標識
した線維芽細胞培養物を、TNF(100単位/m
l)、IL−1(100単位/ml)、EGF(50n
g/ml)、PDGF(32ng/ml)またはOA
(250nM)で15分間処理した。対照は“0”と表
記する。EGF−Rを抗EGF−R抗体(Oncoge
ne Science, Manhasset, N.
Y., US)で免疫沈降させた。得られたタンパク質
を7.5%SDS−PAGE及びオートラジオグラフィ
ーに掛けた。
【0029】第6図に、TNFまたはオカダン酸で処理
した後の線維芽細胞におけるcdc2キナーゼ基質のリ
ン酸化を示す。c−abl(図上部)またはp53(下
部)のリン酸化の測定では、細胞を50単位/mlのT
NFまたは100nMのOAで図中に記した時間だけ処
理した。RB(図中央部)のリン酸化の測定では、細胞
を図中に記した用量のTNF(単位/ml)またはOA
(nM)で15分間処理した。細胞溶解物に、c−ab
l、RBまたはp53に対する抗体(Oncogene
Science製)を添加して免疫沈降を実現した。
免疫沈降したタンパク質を、6%または10%SDS−
PAGE及びオートラジオグラフィーに掛けた。図中央
部で、500nMのOAで処理した場合に100nMの
OAで処理した場合より小規模のRBリン酸化しか観察
されないのは、500nMのOAで処理した試料タンパ
ク質を100nMのOAで処理した試料タンパク質より
約4倍少ない量でしかゲルに添加しないためであること
に留意されたい。上記いずれのOA濃度においても、R
Bの高リン酸化形態の方が低リン酸化形態より高比率と
なる。
【0030】第7図に、TNF及びオカダン酸(OA)
がEgr−1、c−jun及びIL−6遺伝子の発現に
及ぼす影響のノザン法分析を示す。静止状態のヒト線維
芽細胞を500単位/mlのTNF(a)または500
nMのOA(b)と共に0分間、30分間及び60分間
インキュベートし、その後全細胞RNAを抽出した。イ
ンキュベートした細胞から抽出したRNAのブロット
と、放射性物質で標識した(106cpm/ml)Eg
r−1 cDNAプローブとをハイブリダイズした。図
中cに、bのブロットからプローブを除き、c−jun
cDNAをプローブとした場合を示す。Egr−1
mRNAプローブはブロットから完全には除かれなかっ
たことに留意されたい。ブロットのオートラジオグラム
が示してある。図中dには、通常に維持した細胞を単独
で(対照、時間0)か、またはOAと共に1時間、3時
間、5時間または7時間インキュベートし、かつIL−
6cDNAプローブ(ATCC, Rockvill
e, MD, US)を用いてノザン法分析を行なった
結果を示す。
【0031】第8図に、オカダン酸によって誘導された
Egr−1遺伝子のノザン法分析を示す。10μgのR
NAを各レーンにアプライし、このRNAにEgr−1
特異的cDNAプローブ[1.6kbのBglII断片
(Sukhatme etal., Cell 53
37−48, 1988)]を用いてノザン法分析を
施した。同じブロットを、使用RNAの量を規格化する
べくアクチンまたはGADPH cDNAで再度ハイブ
リダイズした。ブロットを乾燥し、オートラジオグラフ
ィーに掛けた。
【0032】第8図のAに、一次ヒト線維芽細胞におけ
るオカダン酸誘導Egr−1及びc−junメッセージ
の経時変化を示す。静止状態のヒト線維芽細胞を1μM
のオカダン酸で、図中に記した時間だけ処理した。上記
細胞を0.1% DMSOでも処理して対照とした。図
中央部に、得られたブロットのプラスミドpCMV−j
un(Rauscher et al., Genes
Dev. , 1687−1699, 1988)
でのハイブリダイゼーションを示す。
【0033】第8図のBに、Balb/c 3T3細胞
におけるオカダン酸誘導Egr−1メッセージの経時変
化を示す。静止状態のBalb/c 3T3細胞をオカ
ダン酸(0.5μM)で、図中に記した時間だけ処理し
た。
【0034】第8図のCに、Balb/c 3T3細胞
でのオカダン酸によるEgr−1メッセージ誘導がオカ
ダン酸の濃度に依存する様子を示す。静止状態のBal
b/c 3T3細胞を、図中に記した濃度のオカダン酸
で1時間処理した。対照には様々な濃度のDMSOを添
加した。これらの対照は、0.25μMのオカダン酸中
に存在する量(ジメチルスルホキシド(DMSO)0.
025%)、0.5μMのオカダン酸中に存在する量
(DMSO 0.05%)及び1μMのオカダン酸中に
存在する量(DMSO 0.1%)に対応した。
【0035】第8図のDに、カリキュリンAによるEg
r−1メッセージ誘導がカリキュリンAの濃度に依存す
る様子、及び該誘導の経時変化を示す。静止状態のBa
lb/c 3T3細胞を様々な濃度のカリキュリンAで
1時間処理した。カリキュリンAによるこの用量依存性
誘導のノザン法分析を、図中左手に示す。同様に、静止
状態のBalb/c 3T3細胞を15nMのカリキュ
リンAで0.5時間、1時間、1.5時間及び3時間処
理した。上記様々な時間にわたり実現したカリキュリン
Aによる誘導のノザン法分析を、図中右手に示す。同じ
ブロットを、図中央部に示したようにpCMV−fos
(Curran et al., Oncogene
, 79−84, 1987)及びpCMV−jun
(Rauscher et al., 1988)で再
度ハイブリダイズした。ブロットを乾燥し、オートラジ
オグラフィーに掛けた。
【0036】第9図は、核の経時分析結果を示す。核
は、実施例2の「実験方法」に記載された条件の下で、
静止状態(0時間)及びオカダン酸(0.5μM)-処理し
たBalb/c 3T3細胞から単離した。記載のプラスミドを含
むナイロンマトリックスを、invitroで転写したRNA
でハイブリダイスし、次いでオートラジオグラフ分析し
た。対照の細胞もDMSO 0.05%を含むDMEMで処理し、これ
らの細胞由来のRNAも転写し、記載の種々のプラスミ
ドにハイブリダイズした。
【0037】第10図は、オカダン酸によるEgr-1 m
RNAの安定化を示す。
【0038】(A).静止状態のBalb/c 3T3細胞を、各
々オカダン酸0.5μMまたは20%血清で、3時間または0.
5時間インキュベートした。アクチノマイシンD(終濃
度25μg/ml)を添加した。次いでアクチノマイシンDを
添加後、細胞を0.5、1、1.5、2及び3時間で収集し
た。RNAをこれらの細胞から単離し、ノザン法(Nort
hern blot)で分析した。ブロットをEgr-1またはGADPH
cDNAでプローブした。
【0039】第11図は、オカダン酸処理したヒト線維
芽細胞中のEgr-1メッセージのスーパーインダクション
を示す。細胞をオカダン酸0.5μMまたはシクロヘキシ
ミド10μg/ml並びに、オカダン酸0.5μM及びシクロヘ
キシミド10μg/mlで1.5、3または6時間インキュベー
トした。細胞を収集し、RNAを単離し、ノザン法で分
析した。ブロットをEgr-1またはアクチンcDNAでプ
ローブした。
【0040】第12図は、オカダン酸によるEgr-1 m
RNAの誘導に於けるプロテインキナーゼアクチベータ
ー及び阻害剤の効果を示す。
【0041】(A).静止状態の一次ヒト線維芽細胞を
オカダン酸(OA)またはTPAで1または3時間インキュ
ベートした。OA及びTPAの濃度は、各々0.5μM及び120n
g/mlであった。使用した1-(5-イソキノリニルスルホニ
ル)-2-メチルピペラジン 二塩酸塩(H7)及びN-(2-グ
アニジノエチル)-5-イソキノリンスルホンアミド二塩
酸塩(HA1004)の濃度は、25μMであった。OAまたはTP
Aで1または3時間誘導する前に、細胞をH7またはHA100
4で15分前処理した。細胞を収集し、RNAを単離し、
ノザン法で分析した。ブロットをEgr-1またはGADPH c
DNAでプローブした。
【0042】(B).正の対照として、一次ヒト線維芽
細胞をTPA(30ng/ml)で1時間処理した(第1のレー
ン)。TPAで1時間処理する前に、その線維芽細胞を、H
7(25μM)またはHA1004(25μM)で15分前処理もし
た(第2及び第3のレーン)。図は、この処理にかけた
細胞から単離したRNAのノザン法分析結果を示す。ブ
ロットをEgr-1またはアクチンcDNAでプローブし
た。
【0043】(C).静止状態のBalb/c 3T3細胞をO
A、TPA若しくはdBt-cAMPで1時間インキュベートする
か、またはH7(25μM)若しくはHA1004(25μM)で前
処理し、次いで各アゴニストで1時間インキュベートし
た。細胞を収集し、RNAを単離し、ノザン法で分析し
た。使用した各アゴニスト濃度は以下の通りであった。
【0044】レーンa:0.5μM OA, レーンb:100ng/ml TPA, レーンc:1mM dBt-cAMP, レーンd:H7 + OA(0.5μM), レーンe:H7 + TPA(100ng/ml), レーンf:H7 + dBt-cAMP(1mM), レーンg:HA1004 + OA(0.5μM), レーンh:HA1004 + TPA(100ng/ml), レーンi:HA1004 + dBt-cAMP(1mM). ブロットをEgr-1またはGADPH cDNAでプローブし
た。
【0045】第13図は、オカダン酸で誘導した一次ヒ
ト線維芽細胞由来のEgr-1タンパク質のウエスタン法分
析を示す。静止状態の一次ヒト線維芽細胞を、オカダン
酸0.5μM含むMEMで記載の時間、インキュベートした。
正の対照として、静止細胞を、また20%ウシ胎児血清を
含む培地で2時間インキュベートした。全細胞性タンパ
ク質を抽出し、前述の如くウエスタン法にかけた(Cao
ら、Mol.Cell.Biol.10,1931-1939,1989)。ブロッ
トを抗-Egr-1ポリクロナール抗体(R5232)と反応させ
た。
【0046】第14図は、Balb/c 3T3細胞由来の
32P]-標識したEgr-1タンパク質の免疫沈降反応を
示す。
【0047】(A).静止状態のBalb/c 3T3細胞を[32
P]-オルトリン酸塩で標識し、次いで実施例2の「実
験方法」で記載の如く、20%ウシ胎児血清またはオカダ
ン酸(0.5μM)で2時間インキュベートした。Egr-1
タンパク質を抗-Egr-1抗体(R5232)で免疫沈降させ、
次いで7.5% SDS-PAGEにかけた。乾燥したSDSゲルをオー
トラジオグラフにかけた。レーンC、S及びOAは、各
々静止細胞、血清及びオカダン酸処理した細胞から誘導
した免疫沈降させたタンパク質を示す。
【0048】(B).オカダン酸処理した[32P]-標
識したBalb/c 3T3細胞由来の免疫沈降させたEgr-1タン
パク質を、前述の如く二次元ゲル電気泳動にもかけた
(Guyら、J.Biol.Chem.266,14343-14352,1991)。
対照の静止状態の[32P]-標識した細胞から免疫沈降
させたタンパク質を使用して分析を同時に繰り返した。
ゲルを乾燥させ、オートラジオグラフ分析した。2つの
オートラジオグラフは互いに重なった。点線で囲んだ丸
の部分は、対照静止細胞から誘導した弱くリン酸化した
Egr-1タンパク質の位置を示す。
【0049】
【実施例】実施例1 実験方法 細胞培養及び試薬 ヒト2倍体線維芽細胞、FS-4、2343
は、J.Vilcek博士(New York大学)より進呈されたもの
である。これらを組織培養フラスコ内で増殖させ、本明
細書中、通常培地と呼称する、10%ウシ胎児血清(Hyclo
ne,Logan,UT,US)を補った最小必須培地(MEM)で保
持した。ヒトWISH細胞は、American Type Culture Coll
ectionから購入した。各々、2×107ユニット及び1×10
8ユニット/mgタンパク質の比活性で、純度99%以上の組
換体ヒトTNF及びIL-1は、Genzyme Corp.(Cambridge,
MA,US)より購入した。ホルボール12-ミリステート13-
アセテート、ブラジキニン、フォルスコリン(forskoli
n)、ジブチリル-環状AMP(dBt-cAMP)及びFGFは、Sigm
a社から、オカダン酸はBiomol(Plymouth Meeting,P
A,US)から購入した。放射性[32P]Pは、Du Pont-N
ew England Nuclear製であった。組換体ヒトα及びγイ
ンターフェロンは、Schering Corp.(Bloomfield,N
J,US)のPaul Trotts博士及びW.Berthhold博士(Karl
Thomae GmbH,Biberach,ドイツ)から進呈されたもの
である。これらのインターフェロンの純度は、99%以上
である。
【0050】細胞及び細胞リシスの 放射性標識
32P]オルトリン酸塩で細胞を標識するために、細胞
を90mmプラスチック製組織培地皿上に広げ、3日間イン
キュベートすると融合した。標識直前に培地を除去し、
細胞をリン酸塩及び血清を含まない培地(150mM NaC
l,5mM MgCl2,5mM KCl,1.6mM CaCl2,0.5% グルコ
ース,10mM Tris,0.1% ウシ血清アルブミン,pH7.4)
5mlで2回洗浄した。これは、各プレート皿に上記と同
一培地3ml中の1mCi/mlの[32P]リン酸塩を添加する
前に行った。オカダン酸または他のアゴニストを図及び
表に示した濃度及び時間で添加する前に、プレートを湿
らせたCO2インキュベーター内で37℃で2時間インキュ
ベートした。アゴニストを水性緩衝溶液またはジメチル
スルホキシド中で再構成した。培地だけの中で、緩衝液
またはジメチルスルホキシドで実施した適切な対照は、
得られたオートラジオグラフではっきりした違いを示さ
なかった。標識完了時に培地を除去し、細胞質ゲル抽出
緩衝液(10mM Tris-HCl,50mM EDTA,50mM NaCl,30mM
リン酸ナトリウム,50mM NaF,100μM Na3VO4,0.65%
Nonidet P-40,2mM ロイペプチン,2mM フッ化フェニ
ルメチルスルホニル,pH 7.4)200μl中に細胞を溶解さ
せる前に、その細胞を氷冷したリン酸塩-緩衝させた生
理的食塩水で迅速に2回洗浄した。その溶解物を収集
し、14,000rpmで5分間遠心分離した。核画分(細胞骨
格-膜画分を含む)を含むペレットを細胞質ゾル画分か
ら分離した。両方の画分を凍結乾燥した。
【0051】二次元ゲル電気泳動 凍結乾燥した画分
(各約12μg)を、Millipore Investigator 二次元電気
泳動システム(Millipore)を使用して、pH3〜10の電
界質で18,000 V/hで等電点電気泳動にかけた。この後、
一次元のゲルを成形し、二次元12.5% SDS-ポリアクリル
アミドゲル上に充填する前に2分間SDS緩衝液で平衡さ
せた。ゲルを固定し、乾燥させ、32P-標識したポリペ
プチドの位置を、−80℃で増感板を使用してオートラジ
オグラフにより調べた。pHプロフィールを測定するため
に、カルバミル化した標準タンパク質(Pharmacia LKB
Biotechnology Inc.)をうり二つのゲル上で同時に泳動
し、予め目盛りをつけてあるサンプル上で既知pIのタン
パク質と関連づけた。Sigma製の分子量マーカータンパ
ク質をクーマシーブルー(Coomassie Blue)で染色する
ことにより検出し、オートラジオグラフ上でマークし
た。ヒト線維芽細胞を43℃30分、熱ショックさせて製造
した32P-標識した27 hsp複合体もマーカーとして使用
した。
【0052】タンパク質の定量検出 リン酸化 タンパク質を等量含む細胞質ゾル膜からまた
は抗体-沈澱させた調製物から誘導したオートラジオグ
ラフ上のタンパク質リン酸化量を、Visage 2000イメー
ジ分析システム(BioImage Products,Ann Arbor,MI,
US)を用いてコンピュータ制御したデンシトメトリーに
より分析した。
【0053】RNAの調製及びノザ ン法 ヒト線維芽細
胞(4×106)を、175cm2組織培地フラスコに撒き、通
常培地中37℃で6時間インキュベートした。細胞を通常
培地で3日育てた。6日目に、培地を0.25%ウシ胎児血
清を含む最小必須培地と置き換え、さらに48時間インキ
ュベートし静止状態に細胞を保持した。静止状態または
通常状態に保持された細胞を、記載の時間(第7図参
照)だけ特定のアゴニストで処理した。細胞を収集し、
1段階グアジニウムチオシアネート/フェノール/クロロ
フォルム法により全細胞質RNAを単離した。RNAを
6.5%ホルムアルデヒドを含む1.3%アガロースゲルを介し
て電気泳動にかけ、次いでHybond-N膜(Amersham,Buck
inghamshire,UK)にトランスブロットした。ブロット
をUV架橋し、0.5M リン酸塩緩衝液、pH7.2、7% SDS、
1% ウシ胎児血清アルブミン及び1mM EDTAを含む溶液
中でハイブリダイズした。DNA鋳型上でのランダムプ
ライミングにより生じた32P-標識したプローブ(終濃
度2×106cpm/ml)を用いて、65℃18時間ハイブリッド
形成が行われた。Egr-1 cDNAのヌクレオチド302-19
58に対応する1.6kbのBglIIフラグメントを、ハイブリッ
ド形成に使用した。なお、IL-6 cDNAプローブはAmer
ican Type Culuture Collection(Rockville,MD,US)
より入手し、c-jun cDNAプローブは、本出願人の大
学のD.Carter博士より入手したものである。得られた
膜をX線フィルムに−85℃で14時間〜7日暴露し、β-
アクチンプローブで再びハイブリダイズした。ブロット
をオートラジオグラフィにかけ、Visage 2000イメージ
システム(BioImage Products,Ann Arbor,MI,US)に
より定量した。
【0054】結果 オカダン酸、TNFまたは他のアゴニストで処理した細胞
中の細胞タンパク質の初リン酸化の変化 上記32P-標識したタンパク質スポットを再溶解し、32
P-標識したヒト線維芽細胞から調製した細胞質ゾル抽
出物の高鮮明度二次元ゲル電気泳動のオートラジオグラ
フィーにより検出した。その放射能性のスポット(各々
は1つ以上のリンタンパク質を示す)を、コンピュータ
制御したデンシトメトリーにより分析した。各スポット
は、恣意的に番号付けした。さらに、アゴニストで予め
処理した細胞の抽出物から誘導した各再溶解スポットの
強度は、アゴニストを使用しなかった場合のリン酸化の
基本レベルを基準として表される。リン酸化のレベルの
これらの変化は、コンピュータ制御したデンシトメトリ
ー分析中の幾つかの内部標準と匹敵する。TNF(50ユニ
ット/ml)またはオカダン酸(200nM)で15分間処理し
た細胞から調製した細胞質ゾルまたは核/細胞骨格膜画
分から誘導した、32P-標識したリンタンパク質の二次
元ゲル分析のオートラジオグラフィーの典型例は、第1
図に示されている。リガンド活性化細胞中のタンパク質
リン酸化に対する顕著な変化が示されている(矢印)。
細胞質ゲル画分中では、オカダン酸は、TNF(第1図,b
及びc)と同様な初期タンパク質リン酸化変化を誘導し
た(約95%で一致)。IL-1により誘導されたリン酸化パ
ターンは、第1図には示されていない。オカダン酸は、
TNF処理とほぼ同様に、核/細胞骨格膜画分中の46−50タ
ンパク質のタンパク質リン酸化中の変化(コンピュータ
制御したデンシトメトリーにより識別されるように)も
誘導した(第1図、e及びf)。細胞質ゾルのタンパク
質リン酸化の変化の概要は第1表に列挙されており、TN
F、オカダン酸、TPAまたはこれらのリガンドの組み合わ
せにより15分間活性化されたヒト線維芽細胞から誘導し
たこれらの画分に於けるタンパク質リン酸化の変化の複
合パターンを示している。多くの実験に於いて使用した
オカダン酸は、リガンド処理(第1表)の最初の15分間
に於ける、細胞質ゲル画分中の6つのタンパク質の脱リ
ン酸化の変化及び約60の初期リン酸化の変化を誘導する
場合のTNFに酷似することが示されている(第1表)。
線維芽細胞の処理に於けるオカダン酸(200nM)とTNF
(50ユニット/ml)との最適投与量の組み合わせは、こ
れらの変化(第1表)に付加的効果も相乗効果も生み出
さない。ヒト線維芽細胞のTPA(プロテインキナーゼC
の活性剤)処理は、オカダン酸またはTNFにより生じた
ものとはかなり異なったリン酸化変化のパターンを生じ
た(第1表)。TPAと、オカダン酸またはTNFとの組み合
わせでは、各アゴニストにより生じた相補変化の合計を
表すリン酸化変化パターンを生じた(第1表)。これら
の結果は、オカダン酸及びTNFは、プロテインキナーゼ
CのTPA-誘導活性とは異る、共通経路を介するタンパク
質リン酸化の初期変化を生じることを示している。同様
に、ブラジキニン、cAMPアゴニスト、EGFまたはIFN-α
により処理した細胞中で誘導したタンパク質リン酸化パ
ターンは、オカダン酸またはTNF/IL-1により誘導したも
のとは異なっている(データは示されていない)。さら
に、ヒト線維芽細胞のIFN-γによる処理では、初期タン
パク質リン酸化の測定し得る変化を生じなかった。
【0055】初期リン酸化変化を経る細胞質ゾル画分中
の約66タンパク質及び核/細胞骨格膜画分中の46−50タ
ンパク質の一群は、マーカータンパク質によりまたはそ
の分子量及び等電点によりここに同定された。これら
は、27 hsp複合体(第1表中、165、172及び176として
識別される)、stathmin(第1図、b及びc中のS[2
7])、小核素(第1図、3及びf中のN[28])及びミ
オシンライト鎖(第1図、e及びf中のMLC)を含む。
これらのタンパク質のリン酸化は、TNF(第1図、b及
びe)、オカダン酸(第1図、c及びf)またはIL-1
(示されていない)により活性化された細胞中で調和し
て促進される。
【0056】オカダン酸-処理したヒト線維芽細胞からT
NF及びIL-1に対する前述の方法(Guyら,1991)によりe
IF-4Eを単離するためにm7GTP-セファロースを用いる別
個の実験に於いて、オカダン酸はまたこのタンパク質の
リン酸化を15分後に2〜3倍促進させた(第2図)。細
胞のオカダン酸処理をWISH細胞に拡張すると、再びTNF
と殆ど同一の初期タンパク質リン酸化の変化を生じた
(示されていない)。これは、オカダン酸によるTNFシ
グナル形質導入の初期の結果の擬似性が一次ヒト線維芽
細胞に制限されていないことを示している。第1図及び
第1表に示されているタンパク質リン酸化に対しTNFま
たはIL-1が誘導した変化は、リガンド処理15分後に測
定されるが、これらの変化は3分以内で検出可能であ
り、基本レベルに45−60分で戻る前に約15分の時に最大
であったことは重要である。45−60分では既に、TNFま
たはIL-1により誘導したリン酸化の変化の大部分は、
もはや測定可能でない。
【0057】27 hsp複合体のリン酸化のオカダン酸誘導
変化の用量-反応及び時間経過 27 hsp複合体は、オカダン酸及びTNFにより誘導したリ
ン酸化変化に最も感応性である(第1図)。27 hsp複合
体のリン酸化の変化に於けるオカダン酸の濃度依存効果
を測定し、TNF 50ユニット/mlで処理した細胞に於ける
変化と比較した(第3図)。この比較から、TNF 50ユニ
ット/mlで15分間細胞処理すると、オカダン酸 160〜320
nMで15分間細胞処理したのと同様に27 hsp複合体のリ
ン酸化が増加することが明らかである(第3図、c〜
e)。
【0058】27 hsp複合体のタンパク質リン酸化を、20
0 nMオカダン酸で0、5、15及び30分間処理した細胞で
測定した。この測定から、オカダン酸処理の時間が増加
すると、27 hspのリン酸化も比例して増加することが知
見される(第4図、a〜d)。オカダン酸で30分間処理
後、27 hsp複合体は過リン酸化された。
【0059】IL-1、TNFまたはオカダン酸処理による、
EGFレセプターのリ ン酸化の刺激化 TNF及びIL-1作用の一態様としては、リン酸化を経るEG
FRのトランスモジュレーションがある。TNF及びIL-1の
この効果に擬似し得るオカダン酸の効果が知見されるか
どうか、オカダン酸をヒト線維芽細胞に添加した。32
-標識したヒト線維芽細胞を、リガンド(TNF、IL-1、E
GF、PDGFまたはオカダン酸)で15分間処理し、分析用に
抽出した。抽出物を抗-EGFR抗体で免疫沈降させた。種
々に処理した線維芽細胞から誘導した免疫沈降させたEG
FRを、SDS-PAGE及びオートラジオグラフィーで分析し
た。オカダン酸は、EGFRのリン酸化をかなり刺激し、TN
F、IL-1、EGFまたはPDGFの刺激以上であった(第5
図)。
【0060】IL-1、TNFまたはオカダン酸で処理した細
胞中のcdc2 キナ ーゼ基質のリン酸化 第1図(e及びf)には、TNF及びオカダン酸処理によ
りミオシンライト鎖及び小核素のリン酸化が促進される
ことが示唆されている。両方のタンパク質は、cdc2 キ
ナーゼの基質として公知である。これに関連して、オカ
ダン酸処理によりリン酸化されると公知の他のcdc2キナ
ーゼ基質も、TNF−処理したヒト線維芽細胞中で作用さ
れるのかどうかという問題が出てくる。cdc2 キナー
ゼ、即ちc-abl、RB及びp53に対して3つの基質を試験し
た。オカダン酸と同じく、TNFはヒト線維芽細胞に於け
る全部で3つのcdc2キナーゼ基質のリン酸化を誘導し
た。オカダン酸またはTNFは、c-abl、RB及びp53のリン
酸化を促進した(第6図)。この結果は、RBタンパク質
が2つの形態[即ち1つは他方(110 kDa)よりやや高
分子量(115 kDa)]で発見されたことも示している。1
15-kDaタンパク質は過リン酸化RBタンパク質と同様であ
るが、110-kDaタンパク質は過少リン酸化形態を表して
いる。オカダン酸処理した細胞と同様に、TNFは、過リ
ン酸化RBタンパク質に対するRBの過少リン酸化形態の比
を増加させる(第6図)。同様に、p53タンパク質は2
つの非常に関連した形態で存在し、やや高分子量の種
は、やや低い分子量の種以上により多くリン酸化されて
いる。TNF-処理した細胞と同様に、オカダン酸処理した
線維芽細胞は、これらのタンパク質の少なくリン酸化さ
れたものよりも3〜5倍以上多い量の過リン酸化された
RB及びp53タンパク質を示した。
【0061】TNF及びオカダン酸によるEgr-1、c-jun及
びIL-6の誘導 オカダン酸-、TNF-、及びIL-1で処理した線維芽細胞の
細胞質ゾル及び核/細胞骨格膜画分中に於けるタンパク
質リン酸化の初期変化を示してきたが、本出願人は、1
つの遺伝子発現に於けるオカダン酸の効果について研究
した。TNFは、一次ヒト線維芽細胞に於ける8種の遺伝
子を誘導することが公知である。近年、本出願人は、TN
Fに応答する一次ヒト線維芽細胞中、ごく初期の応答遺
伝子(immediate early response gene)、即ちEgr-1
遺伝子の誘導を知見した。選択されたオカダン遺伝子に
より発現を誘導し得る3種のTNF/IL-1遺伝子は、Egr-
1、c-jun及びIL-6であった。TNFと同様に、オカダン酸
は効果的に総ての遺伝子を誘導し、Egr-1はオカダン酸
処理30分以内で迅速に誘導され、c-junは60分以内で誘
導されたが、IL-6はオカダン酸処理7時間後よりずっと
後で誘導された(第7図)。実施例2 実験方法 細胞培養及び試薬 ヒト二倍体包皮線維芽細胞はDr.J Vilcek
(ニューヨーク大学、ニューヨーク)からの寄贈であっ
た。この細胞を、10%ウシ胎児血清を補充したMEM
(Hyclone,Logan,UT,US)中で増殖
させた。マウスBalb/c 3T3細胞はAmeri
can Type Culture Collecti
onから購入し、10%ウシ胎児血清を補充したダルベ
ッコMEM(DMEM)中で増殖させた。オカダン酸、
カリキュリンA、H7、及びHA1004はBiomo
l Research Laboratories(P
lymouth Meeting,PA,US)から購
入した。TPA、ピューロマイシン及びdBt−cAM
PはSigma(St Louis,MO,US)から
購入し、オカダン酸またはカリキュリンAの1mM保存
液をDMSO中に溶解した。[32P]オルトリン酸及び
他の放射性化学物質はDu Pont−NewEngl
and Nuclear(Boston,MA)から購
入した。
【0062】RNAの調製及びノザ ン解析 Balb/c 3T3細胞を、10%ウシ胎児血清を補
充したDMEM中でほぼ集密になるまで増殖させた。次
いで細胞を、血清を含まないDMEM中に48時間維持
してから、記載のアゴニストを用いて記載の時間だけ処
理した。同様にヒト線維芽細胞を、10%ウシ胎児血清
を補充したMEM中に維持した。ほぼ集密のヒト線維芽
細胞を、0.25%ウシ胎児血清を補充したMEM中に
2日間維持してから、アゴニストを用いて処理した。細
胞を回収し、細胞質RNA全部を単離し、既に記載され
ているようなノザン分析(Chomczynski
tal,Anal.Biochem.162,156−
159,1987)をこれに実施した。ブロットをオー
トラジオグラフィー処理し、Visage 2000
Image System(BioImage Pro
ducts,Ann Arbor,MI,US)によっ
て定量化した。
【0063】転写の核ランオン(r un−on)分析 既に報告されており(Marzluff,Method
s Cell Biol.19,317−331,19
78)且つ最近改良された(Murphy et a
,Mol.Endocrinol.,1051−1
059,1990)方法に従って静止状態の(quie
scent)またはオカダン酸処理したBalb/c
3T3細胞から核を単離した。即ち、175cm2プラ
スチック組織培養フラスコ中で増殖した線維芽細胞の単
層を約100mlのリン酸緩衝溶液(PBS)で2回洗
浄した。洗浄した細胞を氷上の冷たい(10mM HE
PES,10mM NaCl,3mM MgCl2
0.5%NP40及び50単位/ml ヒト胎盤リボヌ
クレアーゼインヒビターを含む)NP−40溶解緩衝液
pH7.0,4ml中に5分間で溶解し、500×gで
5分間遠心分離した。核ペレットを、(50mM HE
PES,5mM MgCl2,40%グリセロール及び
500単位/ml ヒト胎盤リボヌクレアーゼインヒビ
ターを含む)グリセロール保存緩衝液pH7.9,10
0μl中に再度懸濁し、−80℃で凍結した。
【0064】in vitro転写反応のために、10
0μlの核を氷上で溶かし、20μlの10倍反応緩衝
液(1.5M NaCl,25mM MgCl2,50
mM酢酸マグネシウム,10mM MnCl2,20m
M DTT,1.25mMEDTA,5mM ATP,
5mM GTP,5mM CTP,20mM クレアチ
ンリン酸,30単位/ml クレアチンホスホキナーゼ
及び5mg/mlヘパリン)、ヌクレオチド5’−ジホ
スフェートキナーゼ(終濃度12単位/ml)、RNA
seインヒビター(終濃度500単位/ml)及び25
0μCiの[32P]UTPと一緒に即座にインキュベー
トした。次いで水を加えて最終容積200μlとした。
【0065】30℃で1時間インキュベートした後、バ
ナジルリボヌクレオシド複合体(終濃度2mM)を60
0単位のDNAse Iと一緒に加え、30℃で更に3
0分間インキュベートした。消化物を、0.15M T
ris−HCl,pH7.4、37.5mM EDTA
及び1.5% SDSを含む溶液中で2μgのプロテイ
ナーゼKと一緒に42℃で30分間インキュベートし
た。フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール
(24:24:1)で抽出することにより、インキュベ
ートした調製物からRNAを単離し、抽出物を冷たいエ
タノールで沈澱させた。沈澱したRNAを氷冷の0.2
M NaOH 45μl中に再度懸濁し、氷上で10分
間インキュベートし、5μlの2.4 HEPESで中
和した。RNA溶液を、RNaseを含まない水で予め
平衡させておいたNick(登録商標)カラム(Pha
rmacia LKB Biotechnology,
Uppsala,Sweden)に通した。
【0066】in vitro転写したRNAの放射能
を測定し、等量の未誘導細胞及びオカダン酸処理した細
胞由来の放射性RNAを使用し、スロットブロットアプ
リケーター(Schleicher & Schuel
l,Keene,NH,US)によって予めナイロンマ
トリックスに塗布しておいた特定のプラスミド(5μ
g)とハイブリダイズした。該プラスミドを含むナイロ
ンマトリックスは、0.5Mリン酸ナトリウム(pH
6.8)、7%SDS及び1mM EDTA中で65℃
で6時間前処理してから、[32P]標識RNAとの48
時間のハイブリダイズに使用した。ハイブリダイズした
フィルターをX線フィルムに1〜3日間暴露した。
【0067】放射性標識細胞及び免 疫沈降 Balb/c 3T3マウス線維芽細胞を35mm組織
培養皿中に播種し、ほぼ集密になるまで増殖させた。次
いで細胞を、ウシ胎児血清を含まないDMEM中に48
時間維持し、静止状態(quiescency)に至ら
しめた。次いで培地を除去し、細胞を、リン酸及び血清
を含まない媒質(150nM NaCl,5mM Mg
Cl2,5mM KCl,1.6mM CaCl2,0.
5%グルコース,10mM Tris−HCl,0.1
%ウシ血清アルブミン,pH7.4)5mlで2回洗浄
した。次いで細胞を、0.5mCi/mlの[32P]オ
ルトリン酸を含む同じ媒質2ml中で2時間インキュベ
ートした。
【0068】オカダン酸またはカリキュリンAをそれぞ
れ終濃度0.5μMまたは25nMまで加え、更に2時
間インキュベートした。培地を除去し、細胞を氷冷のP
BS5mlを用いて素早く2回洗浄してから、200μ
lの抽出緩衝液(10mMTris−HCl,50mM
EDTA,50mM NaCl,30mM ピロリン
酸ナトリウム,50mM NaF,100μM Na3
VO4,0.65%Nonidet P−40,2mM
ロイペプチン,2mM フェニル−メチルスルホニル
フッ素化物,pH7.4)中に溶解した。細胞溶解物
を、記載された方法(Cao et al,Mol.C
ell.Biol.10,1931−1939,198
9)に従ってEgr−1に対するポリクローナル抗体
(R−5232)を用いて免疫沈降した。免疫沈降した
タンパク質を、7.5%SDS−PAGE、及び既に記
載されているような2次元ゲル電気泳動(Guy et
al,J.Biol.Chem.266,14343
−14352,1991)によって分析した。
【0069】結果 オカダン酸及びカリキュリ ンAによるマウス及びヒト
gr−1 mRNA誘導の速度及び用量依存度 静止状態の一次ヒト線維芽細胞またはマウスBalb/
c 3T3を、オカダン酸をそれぞれ1μMまたは0.
5μM含むMEMまたはDMEMと一緒に第8図A及び
第8図Bに示した時間だけインキュベートした。これら
の細胞から単離したRNAにノザンブロット分析を実施
した。第8図A及び第8図Bの結果は、オカダン酸がヒ
ト及びマウス線維芽細胞両方において1時間以内にEg
r−1を急速に誘導することを示している。このmRN
Aの誘導は約2時間で最大になり、Egr−1 mRN
Aの濃度はかかるレベル(対照の30〜40倍)に最高
7時間維持される。誘導はオカダン酸の濃度に依存する
(第8図C)。まずオカダン酸をDMSO中に溶解した
ため、上記実験に使用したDMSOの濃度は0.05%
であった。0.05%DMSOを含むMEMを用いた対
照実験は、オカダン酸によって誘導された量と比較にな
らないほど少量のEgr−1 mRNAを誘導した。更
に、DMSOによるEgr−1 mRNAの誘導は用量
依存的ではない(第8図C)。
【0070】オカダン酸と構造的に関連のない別の強力
なプロテインホスファターゼインヒビターであるカリキ
ュリンAによるEgr−1 mRNAの誘導も試験し
た。カリキュリンAはマウスBalb/c 3T3線維
芽細胞において、オカダン酸を用いて見られるのと同様
の速度でEgr−1 mRNAの発現を強力に誘導し、
この誘導は、カリキュリンAの濃度と共に用量依存的に
最高25nMまで増大した(第8図D)。10nMのカ
リキュリンAは1000nMのオカダン酸と同等のEg
r−1 mRNAの倍増をもたらし得るが故に(第8図
C及び第8図D)、カリキュリンAはより強力なEgr
−1遺伝子の誘導物質であることは明らかである。第8
図Dに示したように、初期遺伝子(immediate
early gene)c−fos及びc−junも
またカリキュリンAによって誘導された。これらの遺伝
子も最近、オカダン酸によって誘導されると報告された
(Schontahl et al,Oncogene
,423−430,1991;Thevenin
et al,J.Biol.Chem.266,936
3−9366,1991)。
【0071】オカダン酸によるEg r−1 mRNA転
写の活 性化 静止状態のBalb/c 3T3線維芽細胞を、0.5
μMのオカダン酸を含むDMEMと一緒に第9図に示し
た時間だけインキュベートした。細胞を洗浄し、回収
し、核のランオン分析のために核フラクションを調製し
た。これらの分析の結果(第9図)は、単離された核中
でのEgr−1 mRNAの転写の速度を示す。細胞を
オカダン酸に暴露してから早くも0.5時間後に、新た
に転写されたEgr−1 mRNAが微量検出された。
1時間までに有意な量のEgr−1mRNAが転写さ
れ、4時間までに最高に達した。新たに転写されたEg
r−1 mRNAの濃度は、オカダン酸処理の6時間後
に低下した(データは示さない)。c−junのような
他の初期遺伝子及び関連遺伝子Egr−2及びEgr−
3もまた同様の速度で転写されるが、その転写量はEg
r−1遺伝子ほど多くない。c−fos遺伝子も転写さ
れたが、比較的低いレベルであった。pUC18プラス
ミドを用いて実施した対照は放射性標識mRNAとハイ
ブリダイズしなかった。この結果は、オカダン酸はマウ
スBalb/c 3T3線維芽細胞においてEgr−1
mRNAの転写を活性化することを示している。
【0072】オカダン酸誘導Egr −1 mRNA対血
清誘導 Egr−1 mRNAの安定性 静止状態のマウスBalb/c 3T3を、0.5μM
オカダン酸または10%ウシ胎児血清のいずれかを含む
DMEMと一緒に第10図に示した時間だけインキュベ
ートした。オカダン酸または血清刺激した細胞にアクチ
ノマイシンDの保存液を、第10図に示した時間に、ア
クチノマイシンDの終濃度が25μg/mlとなるよう
に加えた〔この濃度は、かかる線維芽細胞中でのRNA
合成を強力に阻害することが公知な濃度である(Sch
onthal et al,1991〕。記載の時点で
細胞を回収し、RNAを抽出し、これにノザンブロット
分析を実施した(第10図)。この結果は、細胞をアク
チノマイシンDで処理して新たなEgr−1転写物の合
成をブロックすると、血清誘導のEgr−1 mRNA
は細胞から速やかに消失するが、オカダン酸誘導Egr
−1 mRNAは安定のままであり、アクチノマイシン
D処理の5.5時間後まで細胞中で検出可能であること
を示している。Egr−1 mRNAの交代について
は、(第10図におけるデータから計算して)血清誘導
Egr−1 mRNAにおいては約12分間の半減期、
オカダン酸誘導Egr−1 mRNAにおいては約12
0分間の半減期が推定される。
【0073】オカダン酸誘導Egr −1遺伝子に及ぼす
タンパ ク質合成及びプロテインキナーゼインヒビターの
作用 静止状態のヒト線維芽細胞を、シクロヘキシミド(10
μg/ml)の存在下または不在下に0.5μMオカダ
ン酸を含むMEMを用いて第11図に示した時間だけ刺
激した。明らかにシクロヘキシミドは単独でEgr−1
mRNAを誘導した。シクロヘキシミドで細胞を処理
すると、1.5及び3時間でオカダン酸によるEgr−
1 mRNAの誘導を増強した(第11図)。シクロヘ
キシミドと同様にピューロマイシンも、オカダン酸によ
るEgr−1 mRNAの誘導を“強力に誘導”した
(データは示さない)。これらの結果は、細胞タンパク
質合成が阻害されても、オカダン酸によるEgr−1
mRNAの誘導が起こり得ることを示している。しかし
ながら、プロテインホスファターゼ1(PP1)及びプ
ロテインホスファターゼ2A(PP2A)が細胞タンパ
ク質合成に関連する酵素を調節することから(Cohe
n,Annu.Rev.Biochem. ,453
−508,1989)、マウス及びヒト線維芽細胞にお
けるタンパク質合成に及ぼすオカダン酸の作用を測定し
た。本発明者らは、細胞を0.5μMオカダン酸で処理
すると、最初の2時間で細胞タンパク質合成全体に及ぼ
す作用はわずかしか測定されないことを見い出した。し
かしながらかかる細胞において、4時間で最高50%ま
でのタンパク質合成を一部阻害し始めた(データは示さ
ない)。このときまでにEgr−1 mRNAメッセー
ジは既に誘導されていた。このことから、プロテインホ
スファターゼインヒビター処理した細胞及び対照細胞由
来のR5232抗体によって免疫沈降した35S−メチオ
ニン標識Egr−1タンパク質の量を比較した。実質的
に、オカダン酸またはカリキュリンAで2時間処理した
細胞からのほうが、少量ではあるが検出可能な量のEg
r−1タンパク質を含む対照細胞からよりも多くの35
−メチオニン標識Egr−1タンパク質(4〜5倍多く
の量)が免疫沈降した(データは示さない)。このこと
は、オカダン酸またはカリキュリンA処理に応答しての
Egr−1タンパク質の新たな合成を示している。従っ
て、ホスファターゼインヒビターによるEgr−1遺伝
子の誘導は、細胞タンパク質合成に及ぼすそれらの阻害
効果が遅れることによって成立するのではないらしい。
【0074】更に、静止状態のヒトまたはマウス線維芽
細胞を、プロテインキナーゼC(PKC)及びプロテイ
ンキナーゼA(PKA)のインヒビター(H7)または
PKAの選択的インヒビター(HA1004)の存在下
または不在下にオカダン酸またはTPAで刺激した。こ
の実験の結果(第12図)から、オカダン酸及びTPA
はヒト及びマウス線維芽細胞中でのEgr−1 mRN
Aの発現を相乗作用的に誘導し、HA1004ではなく
てH7は、Egr−1 mRNAの誘導をいずれかによ
って効果的にブロックしたことが判明し(第12図A、
第12図B及び第12図C)、このことは、Egr−1
遺伝子の誘導におけるプロテインキナーゼ及びホスファ
ターゼ両方の役割を示唆している。
【0075】オカダン酸処理した一 次ヒト線維芽細胞由
来のタ ンパク質のウェスタンブロット分析 静止状態、オカダン酸処理及び血清処理したヒト線維芽
細胞から細胞タンパク質を抽出し、ウサギポリクローナ
ルEgr−1抗体を使用してウェスタンブロット分析を
実施した。対照の静止細胞においては、分子量80kD
a及び100kDaを有する微量のEgr−1タンパク
質が検出された。血清刺激の2時間後の細胞中では約6
倍増の80kDaタンパク質が測定された。オカダン酸
処理した1時間後の細胞中では約2倍増の80kDa
Egr−1タンパク質が検出された。しかしながらオカ
ダン処理の2.5時間後には、Egr−1タンパク質は
ほとんどが、80kDaタンパク質ではなくて100k
Da部分として検出された(第13図)。更にこの10
0kDa Egr−1タンパク質の分子レベルは、対照
細胞中に見られた80kDa Egr−1タンパク質よ
りも約3〜4倍多く、このことは、オカダン酸処理に応
答したEgr−1の新規合成を示唆するものである。オ
カダン酸処理の6時間後までに、100kDa Egr
−1タンパク質の細胞レベルは低下した(第13図)。
80kDa形態は未リン酸化または低リン酸化Egr−
1タンパク質(Cao et al,1989)であ
り、100kDa形態は高リン酸化Egr−1を表して
いる可能性がある。Balb/c3T3細胞の抽出物由
来の免疫沈降[32P]標識タンパク質の分析(次のセク
ションで記載する)はこの説明と一致する。
【0076】オカダン酸処理したB alb/c 3T3
細胞か ら抽出された[ 32P]標識Egr−1の免疫沈降 静止状態のマウスBalb/c 3T3線維芽細胞を[
32P]−オルトリン酸と一緒に2時間インキュベート
し、0.5μM オカダン酸または20%ウシ胎児血清
を加え、細胞を更に2時間インキュベートした。細胞を
回収し、抽出し、Egr−1ウサギポリクローナル抗体
を用いて免疫沈降した。免疫沈降した32P標識タンパク
質を、SDS−PAGE及び2次元ゲル電気泳動によっ
て分析した。これらのゲルを乾燥し、オートラジオグラ
フィー処理した(第14図A及び第14図B)。
【0077】第14図Aにおいてオートラジオグラフ
は、(分子量54、約100及び135kDaを有す
る)少なくとも3種の主要なリン酸化タンパク質がオカ
ダン酸処理細胞から免疫沈降したことを示している。オ
カダン酸処理細胞において検出された約100kDaの
種(図14AのレーンOA)はEgr−1リンタンパク
質であるらしく、一方、約135kDaの種は、抗原的
に関連のタンパク質またはEgr−1を伴なうタンパク
質であり得、約54kDaの腫は、分解したEgr−1
リンタンパク質であるらしい。時間のたった免疫沈降試
料のSDS−PAGE分析によれば、約54kDaのリ
ンタンパク質の量が増加するに伴なって約100kDa
のリンタンパク質が減少することが判明し(図示な
し)、約54kDaの種が分解産物であるという説明と
一致する知見が得られた。
【0078】オカダン酸処理した細胞における約100
kDa Egr−1リンタンパク質の高い細胞濃度と比
較し、静止細胞由来の免疫沈降物において分子量80〜
90kDaのEgr−1リンタンパク質は低レベルで検
出された(第14図AのレーンC及びレーンOAを比
較)。2時間血清処理した細胞中ではEgr−1リンタ
ンパク質は認められなかった(第14図Aのレーン
S)。これに関係し、本発明者らは、Balb/c 3
T3細胞を血清で処理した1時間後にはあったものの2
〜3時間後には消失したEgr−1リンタンパク質(8
0〜90kDa)を検出した(Cao et al,1
989;Lemaire et al,Mol.Cel
l Biol.10,3456−3469,199
0)。このことは、Egr−1タンパク質は急速にリン
酸化されるが2時間血清刺激した後にはほとんどが脱リ
ン酸化されること、及び、オカダン酸処理した細胞中に
認められた約100kDaのEgr−1リンタンパク質
は恐らくEgr−1の高リン酸化形態であることを示し
ている。Balb/c 3T3マウス線維芽細胞を25
nMのカリキュリンAで処理しても同様の結果が認めら
れた(データは示さない)。
【0079】対照細胞及びオカダン酸処理したBalb
/c 3T3細胞由来の免疫沈降32P標識リンタンパク
質もまた2次元ゲル電気泳動によって分析した。オカダ
ン酸細胞試料の2次元ゲル分析のオートラジオグラフを
静止細胞試料の2次元ゲル分析のオートラジオグラフ上
に重ね合わせ、この合成物を第14図Bに示す。オカダ
ン酸処理した細胞由来のEgr−1免疫沈降リンタンパ
ク質は、分子量約100kDaを有し且つEgr−1タ
ンパク質が複数部位でリン酸化されているらしいことを
示すpH4.6〜5.1の範囲の等電点を有するリンタ
ンパク質複合体として検出される。また、分子量85k
Da及びpI5.1を有する静止対照細胞由来のEgr
−1リンタンパク質(第14図Bにおける静止細胞から
誘導されたわずかではあるが検出可能なリンタンパク質
を示した破線の円を参照されたい)はかろうじて検出可
能であった。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図。ヒト線維芽細胞における早期タンパク
質リン酸化の、アゴニストによって惹起される変化の比
較を示す。
【図2】第2図。TNF、IL−1及びOAで処理した
ヒト線維芽細胞の細胞質ゾル抽出物による相対リン酸化
度を示す。
【図3】第3図。オカダン酸またはTNFによる27h
sp複合体の、用量に依存するリン酸化を示す。
【図4】第4図。ヒト線維芽細胞の細胞ゾル画分の27
hsp複合体のオカダン酸によるリン酸化の経時変化を
示す。
【図5】第5図。アゴニストで処理した細胞におけるE
GF−Rのリン酸化を示す。
【図6】第6図。TNFまたはオカダン酸で処理した後
の線維芽細胞におけるcdc2キナーゼ基質のリン酸化
を示す。
【図7】第7図。TNF及びオカダン酸(OA)がEg
r−1、c−jun及びIL−6遺伝子の発現に及ぼす
影響のノザン法分析を示す。
【図8】第8図A。一次ヒト線維芽細胞におけるオカダ
ン酸誘導Egr−1及びc−junメッセージの経時変
化を示す。
【図9】第8図B。Balb/c 3T3細胞における
オカダン酸誘導Egr−1メッセージの経時変化を示
す。
【図10】第8図C。Balb/c 3T3細胞でのオ
カダン酸によるEgr−1メッセージ誘導がオカダン酸
の濃度に依存する様子を示す。
【図11】第8図D。カリキュリンAによるEgr−1
メッセージ誘導がカリキュリンAの濃度に依存する様
子、及び該誘導の経時変化を示す。
【図12】第9図。核の経時分析結果を示す。
【図13】第10図。オカダン酸によるEgr−1 m
RNAの安定化を示す。
【図14】第11図。オカダン酸処理したヒト線維芽細
胞中のEgr−1メッセージのスーパーインダクション
を示す。
【図15】第12図。オカダン酸によるEgr−1 m
RNAの誘導におけるプロテインキナーゼアクチベータ
ー及びインヒビターの効果を示す。
【図16】第13図。オカダン酸で誘導した一次ヒト線
維芽細胞由来のEgr−1タンパク質のウェスタン法分
析を示す。
【図17】第14図A。Balb/c 3T3細胞由来
の[32P]標識したEgr−1タンパク質の分析を示
す。
【図18】第14図B。Balb/c 3T3細胞由来
の[32P]標識したEgr−1タンパク質の分析を示
す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1図。ヒト繊維芽細胞における早期タンパ
ク質リン酸化の、アゴニストによって惹起される変化の
比較を示す電気泳動の写真である。
【図2】 第2図。TNF、IL−1及びOAで処理し
たヒト繊維芽細胞の細胞質ゾル抽出物による相対リン酸
化度を示す。
【図3】 第3図。オカダン酸またはTNFによる27
hsp複合体の、用量に依存するリン酸化を示す。
【図4】 第4図。ヒト繊維芽細胞の細胞ゾル画分の2
7hsp複合体のオカダン酸によるリン酸化の経時変化
を示す。
【図5】 第5図。アゴニストで処理した細胞における
EGF−Rのリン酸化を示す。
【図6】 第6図。TNFまたはオカダン酸で処理した
後の繊維芽細胞におけるcdc2キナーゼ基質のリン酸
化を示す。
【図7】 第7図。TNF及びオカダン酸(OA)がE
gr−1、c−jun及びIL−6遺伝子の発現に及ぼ
す影響のノザン法分析を示す。
【図8A】 一次ヒト繊維芽細胞におけるオカダン酸誘
導Egr−1及びc−junメッセージの経時変化を示
す。
【図8B】 Balb/c 3T3細胞におけるオカダ
ン酸誘導Egr−1メッセージの経時変化を示す。
【図8C】 Balb/c 3T3細胞でのオカダン酸
によるEgr−1メッセージ誘導がオカダン酸の濃度に
依存する様子を示す。
【図8D】 カリキュリンAによるEgr−1メッセー
ジ誘導がカリキュリンAの濃度に依存する様子、及び該
誘導の経時変化を示す。
【図9】 核の経時分析結果を示す。
【図10】 オカダン酸によるEgr−1,mRNAの
安定化を示す。
【図11】 オカダン酸処理したヒト繊維芽細胞中のE
gr−1メッセージのスーパーインダクションを示す。
【図12】 オカダン酸によるEgr−1 mRNAの
誘導におけるプロテインキナーゼアクチベーター及びイ
ンヒビターの効果を示す。
【図13】 オカダン酸で誘導した一次ヒト繊維芽細胞
由来のEgr−1タンパク質のウェスタン法分析を示
す。
【図14A】 Balb/c 3T3細胞由来の[32
P]標識したEgr−1タンパク質の分析を示す。
【図14B】 Balb/c 3T3細胞由来の[32
P]標識したEgr−1タンパク質の分析を示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図5】
【図8B】
【図8C】
【図2】
【図3】
【図7】
【図8D】
【図10】
【図4】
【図6】
【図8A】
【図11】
【図14A】
【図9】
【図12】
【図13】
【図14B】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 キシンミン・カオ シンガポール国、シンガポール・0511、ケ ント・リツジ・クレセント・10 (72)発明者 グリーム・ガイ シンガポール国、シンガポール・0511、ケ ント・リツジ・クレセント・10 (72)発明者 イン・ウイー・タン シンガポール国、シンガポール・0511、ケ ント・リツジ・クレセント・10

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロテインホスファターゼインヒビター
    を含む、腫瘍壊死因子またはインターロイキン1の模擬
    物質として用いられる物質。
  2. 【請求項2】 進行癌、黒色腫、腎細胞癌、白血病、気
    管支癌、鼻咽頭癌及びカポジ肉腫の中から選択される腫
    瘍の治療に用いられることを特徴とする請求項1に記載
    の物質。
  3. 【請求項3】 主腫瘍部の縮小化後に用いられることを
    特徴とする請求項2に記載の物質。
  4. 【請求項4】 プロテインホスファターゼインヒビター
    を含む、細胞分化因子として用いられる物質。
  5. 【請求項5】 白血病の治療に用いられることを特徴と
    する請求項4に記載の物質。
  6. 【請求項6】 プロテインホスファターゼインヒビター
    がプロテインホスファターゼ1または2Aのインヒビタ
    ーであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1
    項に記載の物質。
  7. 【請求項7】 プロテインホスファターゼインヒビター
    がオカダン酸か、または該酸の医薬的に許容可能な塩、
    アミドもしくはエステルであることを特徴とする請求項
    6に記載の物質。
  8. 【請求項8】 プロテインホスファターゼインヒビター
    がカリキュリンAかまたはその誘導体であることを特徴
    とする請求項6に記載の物質。
  9. 【請求項9】 プロテインホスファターゼインヒビター
    及びプロテインキナーゼアクチベーターを、細胞分化の
    誘導で同時に、別個に、または逐次用いるべく組み合わ
    せた調製物として含有する製品。
  10. 【請求項10】 進行癌、黒色腫、腎細胞癌、白血病、
    気管支癌、鼻咽頭癌及びカポジ肉腫の中から選択される
    腫瘍の治療に用いられることを特徴とする請求項9に記
    載の製品。
  11. 【請求項11】 プロテインホスファターゼインヒビタ
    ーがプロテインホスファターゼ1または2Aのインヒビ
    ターであることを特徴とする請求項9または10に記載
    の製品。
  12. 【請求項12】 インヒビターがオカダン酸か、または
    該酸の医薬的に許容可能な塩、アミドもしくはエステル
    であることを特徴とする請求項11に記載の製品。
  13. 【請求項13】 インヒビターがカリキュリンAかまた
    はその誘導体であることを特徴とする請求項11に記載
    の製品。
  14. 【請求項14】 プロテインキナーゼアクチベーターが
    プロテインキナーゼCのアクチベーターであることを特
    徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載の製
    品。
JP2215092A 1992-01-10 1992-01-10 治療用のプロテインホスファターゼインヒビター Pending JPH06316534A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2215092A JPH06316534A (ja) 1992-01-10 1992-01-10 治療用のプロテインホスファターゼインヒビター

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2215092A JPH06316534A (ja) 1992-01-10 1992-01-10 治療用のプロテインホスファターゼインヒビター

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06316534A true JPH06316534A (ja) 1994-11-15

Family

ID=12074830

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2215092A Pending JPH06316534A (ja) 1992-01-10 1992-01-10 治療用のプロテインホスファターゼインヒビター

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06316534A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009030093A1 (fr) * 2007-09-05 2009-03-12 Zhejiang University Fonctions et utilisations de l'inhibiteur 2 de la protéine phosphatase 1 humaine
US11827867B2 (en) 2008-03-28 2023-11-28 Ecolab Usa Inc. Sulfoperoxycarboxylic acids, their preparation and methods of use as bleaching and antimicrobial agents

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009030093A1 (fr) * 2007-09-05 2009-03-12 Zhejiang University Fonctions et utilisations de l'inhibiteur 2 de la protéine phosphatase 1 humaine
US11827867B2 (en) 2008-03-28 2023-11-28 Ecolab Usa Inc. Sulfoperoxycarboxylic acids, their preparation and methods of use as bleaching and antimicrobial agents

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Guy et al. Okadaic acid mimics multiple changes in early protein phosphorylation and gene expression induced by tumor necrosis factor or interleukin-1.
EP0551200A1 (en) Protein phosphatase inhibitors for use in therapy
Xu et al. Innate immune signaling and its role in metabolic and cardiovascular diseases
Mitchell et al. Tumor growth-promoting properties of macrophage migration inhibitory factor (MIF)
Briscoe et al. Kinase‐negative mutants of JAK1 can sustain interferon‐gamma‐inducible gene expression but not an antiviral state.
Sajjadi et al. Inhibition of TNF-alpha expression by adenosine: role of A3 adenosine receptors.
Oliff et al. Tumors secreting human TNF/cachectin induce cachexia in mice
Allan et al. EphrinB2 regulation by PTH and PTHrP revealed by molecular profiling in differentiating osteoblasts
Yang et al. Coordinate regulation of TPL-2 and NF-κB signaling in macrophages by NF-κB1 p105
AU2006320670B8 (en) Methods for the treatment of muscle loss
Pibiri et al. Cyclin D1 is an early target in hepatocyte proliferation induced by thyroid hormone (T3)
Li et al. Polyamine depletion stabilizes p53 resulting in inhibition of normal intestinal epithelial cell proliferation
Kalvakolanu Alternate interferon signaling pathways
Mediero et al. Activation of adenosine A2A receptor reduces osteoclast formation via PKA‐and ERK1/2‐mediated suppression of NF κ B nuclear translocation
Yamamoto et al. Role of nuclear IκB proteins in the regulation of host immune responses
Alaaeddine et al. Differential effects of IL-8, LIF (pro-inflammatory) and IL-11 (anti-inflammatory) on TNF-α-induced PGE2release and on signalling pathways in human OA synovial fibroblasts
Sharma et al. NOS gene transfer inhibits expression of cell cycle regulatory molecules in vascular smooth muscle cells
Lee et al. SPA0355, a thiourea analogue, inhibits inflammatory responses and joint destruction in fibroblast‐like synoviocytes and mice with collagen‐induced arthritis
Ohtsuka et al. PPA250 [3-(2, 4-Difluorophenyl)-6-{2-[4-(1H-imidazol-1-ylmethyl) phenoxy] ethoxy}-2-phenylpyridine], a novel orally effective inhibitor of the dimerization of inducible nitric-oxide synthase, exhibits an anti-inflammatory effect in animal models of chronic arthritis
Fournier et al. Inducible expression and regulation of the α1-acid glycoprotein gene by alveolar macrophages: prostaglandin E2 and cyclic AMP act as new positive stimuli
EP3380615B1 (en) Il-34 antisense oligonucleotides and methods of using same
Mizuguchi et al. Regulation of c-met expression in rats with acute hepatic failure
Yuan et al. Breaking human cytomegalovirus major immediate-early gene silence by vasoactive intestinal peptide stimulation of the protein kinase A-CREB-TORC2 signaling cascade in human pluripotent embryonal NTera2 cells
WO2016207366A1 (en) Methods and pharmaceutical compositions for the treatment of viral infections
Gribaudo et al. The antiproliferative activity of the murine interferon-inducible Ifi 200 proteins depends on the presence of two 200 amino acid domains