JPH06314104A - 非線形制御装置 - Google Patents

非線形制御装置

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JPH06314104A
JPH06314104A JP12463893A JP12463893A JPH06314104A JP H06314104 A JPH06314104 A JP H06314104A JP 12463893 A JP12463893 A JP 12463893A JP 12463893 A JP12463893 A JP 12463893A JP H06314104 A JPH06314104 A JP H06314104A
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ellipse
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point
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JP12463893A
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Masahito Tanaka
雅人 田中
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Azbil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 制御モデルが未知の状況で非線形制御を行う
制御装置において、分析用データにノイズが含まれてい
る場合でも、データの拡張を有効に行うことができ、高
精度で且つ信頼性の高い入出力の同定ができるようにす
る。 【構成】 制御対象の入出力関係を示すデータを座標平
面上に分布する複数個の点で表し、それらの点を結ぶ線
を平滑化することによりノイズを除去した後、データの
逆数や変化量その他必要な数量を付加することで拡張デ
ータを生成し、これを正規化してファジィ数量化II類の
手法で分析し、結果として得られる特性分布を関数で近
似するモデリングアルゴリズムを実行する構成と、制御
対象から入力信号を取り込み、その逆数や変化量その他
必要な数量を付加した拡張入力を生成し、前記モデリン
グアルゴリズムを実行して生成された関数を用いて前記
拡張入力に対する出力を演算する制御アルゴリズムを実
行する構成とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制御モデルが未知の状
況で非線形制御を行う制御装置に関し、詳しくは、入出
力データを解析して入出力モデルを作成し、その入出力
モデルに基づいて入力信号に対応する制御信号を出力す
る非線形制御装置に関する。特に、数式モデルが得られ
ないプロセス等を対象とし、その入出力データに基づい
て入出力関係を同定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、制御モデルが未知の状況で非線形
制御を行う技術として、ファジィ理論に基づいて制御モ
デルを作成するファジィモデリングや、ニューラルネッ
トワークを用いる非線形情報処理技術が提案されてい
る。
【0003】しかしながら、従来のファジィモデリング
やニューラルネットワークを用いて非線形制御装置を構
成しようとすると、次の問題が生ずる。
【0004】まず、ファジィモデリングを用いる場合
は、一般にモデリングアルゴリズムが複雑であり、しか
もファジィルールとメンバシップ関数によるモデルを作
成するので、大きなメモリが必要となる。また、ファジ
ィモデリングに基づく制御では演算時間が長くなる。
【0005】他方、ニューラルネットワークを用いる場
合は、与えられる入出力データに依存して適切なニュー
ラルネットワークの構造が変わってくるので、モデル作
成を全て自動的に行うのは困難である。また、繰り返し
学習を行うので、入出力データに基づくモデル作成に時
間がかかる。更に、作成されたモデルがブラックボック
スになってしまうので、オペレータの知識による微調整
が困難である。
【0006】そこで、本発明者は、モデリングアルゴリ
ズムに「ファジィ数量化II類」の手法を採用した非線形
制御装置を提案した(特願平3−340700号)。こ
れに用いられるファジィ数量化II類は、ファジィ多変量
解析手法の一種である。
【0007】ファジィ多変量解析は、通常の多変量解析
をファジィ数あるいはファジィ群まで扱うことができる
ように拡張されたものであり、これまで提案されている
主なファジィ多変量解析技術は、次のとおりである。
【0008】ファジィ回帰分析 回帰分析の係数をファジィ数として扱うことにより可能
性線形回帰モデルを得る手法。
【0009】ファジィ時系列分析 時系列に与えられたファジィ数データを解析して時系列
モデルに可能性分布を反映する手法。
【0010】ファジィ数量化I類 与えられた標本のファジィ群の中で、実数値をとる目的
関数と[0,1]の範囲内の値で示される質的な説明変
数との関係を求める手法。
【0011】ファジィ数量化II類 [0,1]の範囲内の値で示される質的な目的変数と
[0,1]の範囲内の値で示される質的な説明変数のデ
ータから、ファジィ群を表現する線形(一次)式を求め
る手法。
【0012】ファジィ数量化III 類 [0,1]の範囲内の値で示される質的なデータを基
に、ファジィ群のメンバシップ関数値を考慮して各標本
およびカテゴリーを数量的に分類する手法。
【0013】ファジィ数量化IV類 ファジィ群に属する個体のメンバシップ関数値を考慮し
て、個体間の距離と親近性が単調な関係になるような数
値を与える手法。
【0014】これらのうち、ファジィ数量化I類は、質
的な要因(説明変数)に基づいて、量的に与えられた外
的基準(目的変数)を説明するための手法である。
【0015】一方、ファジィ数量化II類は、質的な要因
(説明変数)に基づいて、質的に与えられた外的基準
(ファジィ群)を説明するための手法である。ファジィ
数量化I類と異なる点は、外的基準がファジィ群B1
2 ,‥‥,BM で与えられることである。このファジ
ィ数量化II類の目的は、カテゴリー数をKとしたとき、
各カテゴリーAi(i=1,2,‥‥,K) のデータμ
i(j) について、カテゴリーウェイトai の線形式
【0016】
【数1】 によって外的基準の構造を実軸上に最もよく表わすよう
に、換言すれば、実軸上で外的基準のファジィ群B1
‥‥,BM が最もよく分離されるように、カテゴリーウ
ェイトai を決めることである。
【0017】こうしてカテゴリーウェイトai が決定さ
れると、(1) 式により各データの標本値(サンプルスコ
ア)が求められる。そして、各標本値に対する外的基準
のメンバシップ値をプロットすることにより、ファジィ
数量化II類によるデータ分析結果を示すグラフが得られ
る。
【0018】先に提案した非線形制御装置は、制御対象
についての入出力関係を示すデータの収集を行うデータ
収集手段と、前記データを正規化し、正規化されたデー
タを上記のようなファジィ数量化II類の手法で分析し、
分析の結果として得られる特性分布を関数で近似するア
ルゴリズムを記憶するモデリングアルゴリズム記憶部
と、前記モデリングアルゴリズムを実行し、前記特性分
布を近似する関数を生成する近似関数算出処理部と、前
記制御対象からの入力を取り込む信号入力部と、前記計
算手順に従って前記入力に対する出力を演算する演算手
段と、前記演算の結果を制御信号として出力する信号出
力部とを備えたものである。
【0019】これによると、制御則として利用性の高い
シンプルなモデルを短い時間で作成できるアルゴリズム
を使用し、それを記憶するために大容量のメモリを必要
とせず、制御モデルが未知の非線形系の制御が可能にな
る。
【0020】この装置は、同定の対象となるプロセス等
の入出力データをそのまま分析用データとし、これのみ
でファジィ数量化II類による分析を行うものであり、同
定対象の入出力関係の関数近似では、出力変数は入力変
数の0以上の整数次関数により表わされる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
非線形制御装置によると、同定対象のプロセス等の入出
力関係において、出力値を決定するのに入力値の逆数や
変化量が影響している場合、ファジィ数量化II類による
分析では、それらの影響を検出することができない。従
って、分析された結果は実際の入出力関係に対応せず、
入出力関係を同定した近似関数の精度が悪くなる。
【0022】例えば、障害物に対して人間が感じる衝突
危険度を同定する場合、移動する障害物が近い(すなわ
ち相対距離が小さい)ほど危険度が高いと感じるので、
相対距離を計測してその値を用いるだけでは、衝突危険
度を適切に同定することはできず、相対距離の逆数を用
いる必要がある。また、移動する障害物が速いほど危険
度が高いと感じるので、計測される相対距離の変化量を
用いることも必要である。このように、人間が多くの情
報を用いて総合的な判断を行っている場合、それをデー
タから同定するには、計測値の逆数や変化量を取り入れ
ること(分析用データの拡張)が必要になる。
【0023】ところが、入力値の逆数や変化量を取り入
れる以前の分析用データにノイズが含まれていると、変
化量の算出の信頼性が全くないので、変化量についての
データ拡張を行うことができない。そのため、上記のよ
うに近似関数の精度が悪くなるという問題が解決されな
い。
【0024】また、上記のように分析用データにノイズ
が含まれる場合、そのノイズのレベルによってデータの
信頼性が異なる、すなわち信頼性の高いデータと信頼性
の低いデータが含まれることになるが、それらのデータ
の品質的な度合いを評価できないことから、信頼性の高
い分析もできない。そして、ファジィ数量化II類による
分析結果がばらつき過ぎて実用にならない場合も生じる
という問題がある。
【0025】従って、本発明の目的は、ファジィ数量化
II類による非線形制御装置であって、分析用データにノ
イズが含まれている場合でも、データの拡張を有効に行
うことができ、高精度で且つ信頼性の高い入出力の同定
ができる制御装置を提供することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明の非線形制御装置
は、制御対象についての入出力関係を示すデータの収集
を行うデータ収集手段と、前記データを座標平面上に分
布する複数個の点で表わし、それらの点を結ぶ線を平滑
化することにより前記データに含まれるノイズを除去
し、前記データにその逆数や変化量その他必要な数量を
付加することにより拡張データを入力し、該拡張データ
を正規化し、正規化されたデータをファジィ数量化II類
の手法で分析し、分析の結果として得られる特性分布を
関数で近似するアルゴリズムを記憶するモデリングアル
ゴリズム記憶部と、前記モデリングアルゴリズムを実行
し、前記特性分布を近似する関数を生成する近似関数算
出処理部と、前記制御対象から入力信号を取り込む信号
入力部と、前記入力信号にその逆数や変化量その他必要
な数量を付加した拡張入力を生成する信号拡張処理部
と、前記近似関数算出処理部で生成された関数を用いて
前記拡張入力に対する出力を算出する制御アルゴリズム
を記憶する制御アルゴリズム記憶部と、前記制御アルゴ
リズムに従って前記拡張入力に対する出力値を演算する
制御演算部と、前記制御演算部による演算の結果を制御
信号として出力する信号出力部とを備えて構成される。
【0027】本発明の好ましい態様では、前記モデリン
グアルゴリズムにおいて前記複数個の点で表わされるデ
ータを平滑化するために、予め定めた楕円メンバシップ
関数の楕円の中心を前記複数個の点から選んだ点列の中
心付近の点に移動し、その点を中心として前記楕円を回
転させ、任意の回転角における各点の楕円メンバシップ
関数による適合度の総和と、各点を前記楕円の長軸に投
影した点の楕円メンバシップ関数による適合度の総和と
の比率を演算し、その比率を前記点列の直線性評価値と
して該直線性評価値が最大になる楕円の長軸の角度を測
定し、最初の角度測定時には、その時の楕円の中心を通
り且つ当該角度をもつ線を、当該楕円の中心と次の角度
測定における楕円の中心との中間付近まで引き、その後
は、前回の角度測定によって得られた線の終点からその
時の角度測定によって得られる線の終点まで直線を引く
動作を順次繰返すことにより、前記データを結ぶ線を平
滑化するデータスムージング処理を行うファジィデータ
スムージング・アルゴリズムが用いられる。
【0028】更に好ましい態様では、前記モデリングア
ルゴリズムにおいてデータスムージング処理を施したデ
ータに対して、平滑化スプライン関数を生成し、前記デ
ータに対応するスプライン関数値とその微分値を算出
し、該微分値を前記データの変化量として出力するスプ
ライン関数処理を行う平滑化スプライン関数生成アルゴ
リズムが用いられる。
【0029】更に、本発明の実施態様では、前記データ
収集手段、モデリングアルゴリズム記憶部及び近似関数
算出処理部は、他の構成から独立したオフライン処理部
として構成される。
【0030】
【作用】本発明によると、まず、データ収集手段で制御
対象についての入出力関係を示すデータが収集される。
それらのデータは、モデリングアルゴリズムに従い、座
標平面上に分布する複数個の点で表わされ、それらの点
を結ぶ線を平滑化することにより、前記データに含まれ
るノイズが除去される。そして、逆数や変化量その他必
要な数量が付加されることにより拡張データに変換さ
れ、正規化された後、ファジィ数量化II類の手法で分析
される。この分析の結果として得られる特性分布を関数
で近似するモデリングアルゴリズムが実行される。更
に、前記関数を用いて実際の入力に対する出力値を算出
する制御アルゴリズムが、制御演算部で実行される。
【0031】このように、ファジィ数量化II類により得
られる非線形入出力関係を記述するアルゴリズムに基づ
く非線形制御において、分析用データに逆数や変化量を
取り入れた拡張データを用いる場合、データにノイズが
含まれていても、それを適切に除去することでデータの
拡張を有効に行うことができ、高精度で且つ信頼性の高
い入出力の同定が可能となる。
【0032】
【実施例】図1は、実施例の非線形制御装置の構成を示
す。この制御装置は、モデリングアルゴリズム及び制御
アルゴリズムを実行する処理手段としてCPU10a〜
110f及び10g、これらのアルゴリズムを記憶する
手段として記憶部11〜16及び17を有する。
【0033】モデリングアルゴリズムは、制御対象につ
いてファジィ数量化II類により得られる非線形入出力関
係を記述するものである。これは、後述のファジィデー
タスムージング処理を行うためのファジィデータスムー
ジング・アルゴリズムと、後述のスプライン関数による
データ平滑化のための平滑化スプライン関数生成アルゴ
リズムと、後述のデータ拡張処理を行うためのデータ拡
張アルゴリズムと、入出力を表わすデータを正規化する
ための正規化アルゴリズムと、正規化されたデータをフ
ァジィ数量化II類により分析するための分析アルゴリズ
ムと、分析の結果として得られる特性分布を近似する関
数を決めるための近似関数算出アルゴリズムとを含み、
各アルゴリズムは、それぞれ対応する記憶部11,1
2,13,14,15,16に格納される。
【0034】CPU10a〜10fは、それぞれ対応す
る記憶部11〜16に格納されたアルゴリズムに従って
動作する。ここで、CPU10aと記憶部11はファジ
ィデータスムージング部、CPU10bと記憶部12は
平滑化スプライン関数生成部、CPU10cと記憶部1
3はデータ拡張処理部、CPU10dと記憶部14は正
規化演算部、CPU10eと記憶部15はファジィ数量
化II類による分析演算部、CPU10fと記憶部16は
特性分布近似関数算出処理部をそれぞれ構成している。
これによって算出された近似関数は、モデル数式記憶部
18に格納される。
【0035】制御アルゴリズムは、モデル数式記憶部1
8に格納された数式(近似関数)に基づいて制御対象か
らの入力(状態検出信号)に対する出力(制御信号)を
算出するアルゴリズムと後述の信号拡張処理を含み、出
力値算出アルゴリズムは、対応する記憶部17に格納さ
れる。
【0036】CPU10gは、記憶部17に格納された
出力値算出アルゴリズムに従って、入力信号に対する出
力信号を生成する動作を行う。このCPU10gと記憶
部17は、非線形制御演算部を構成している。
【0037】なお、上記の構成では、各部の演算処理を
個々のCPU10a〜10f及び10gで行うようにな
っているが、これらをまとめて一つのCPUで上記のモ
デリングアルゴリズムと制御アルゴリズムを実行するよ
うに構成してもよい。
【0038】更に、図1の制御装置は、入出力関係を示
すデータの収集を行うデータ収集手段として、端末装置
から成るマンマシンインタフェース19、或いはマンマ
シンインタフェースからでなく通信回線を介して外部か
ら送信されるデータを受信するための通信装置20と、
これらのデータ収集手段で集められたデータを記憶する
データ記憶部21と、後述のファジィデータスムージン
グ処理で得られた確信度を記憶するデータ確信度記憶部
22と、後述のように生成したスプライン関数値及びそ
の微分値を記憶するスプライン関数値及び微分値記憶部
23と、制御対象の状態量を表わす入力信号を取り込む
信号入力部24と、その入力信号に対し上記制御アルゴ
リズムに含まれる信号拡張処理を施して非線形制御演算
部のCPU10eに供給する信号拡張処理部25と、C
PU10eで算出された制御量を表わす制御信号を出力
する信号出力部26とを備える。
【0039】上記の構成において、マンマシンインタフ
ェース19は、データ入力のほか、本装置への動作指示
(実施例の場合、後述のデータ拡張処理指示及び正規化
のための変数調整入力)、作成したモデルの微調整等の
ために設けられる。
【0040】モデル数式記憶部18に格納される近似関
数は、CPU10dで自動的に決定されるほか、マンマ
シンインタフェース19での手動操作によっても決定さ
れる。
【0041】また、制御アルゴリズムに含まれる信号拡
張処理は、信号入力部24からの信号にその逆数や変化
量を加える動作であり、信号拡張処理部25が入力信号
をそれらの拡張信号に変換する。
【0042】ここで、本発明で用いられるファジィデー
タスムージング処理について説明する。これは、座標平
面上にノイズや確率的ばらつきを持ったデータの点列が
存在するとき、ファジィ理論により上記点列の直線性を
評価し且つ角度を求める手法を使用して、ノイズやばら
つきの成分を削減し、データの滑らかな線を出力するも
のである。
【0043】詳細には、特開平4−121621号公報
に記載されているように、座標平面上に分布する複数個
の点で表わされるデータに対して、予め定めた楕円メン
バシップ関数の楕円の中心を前記複数個の点から選んだ
点列の中心付近の点に移動し、その点を中心として前記
楕円を回転させ、任意の回転角における各点の楕円メン
バシップ関数による適合度の総和と、各点を前記楕円の
長軸に投影した点の楕円メンバシップ関数による適合度
の総和との比率を演算し、その比率を前記点列の直線性
評価値として該直線性評価値が最大になる楕円の長軸の
角度を測定し、最初の角度測定時には、その時の楕円の
中心を通り且つ当該角度をもつ線を、当該楕円の中心と
次の角度測定における楕円の中心との中間付近まで引
き、その後は、前回の角度測定によって得られた線の終
点からその時の角度測定によって得られる線の終点まで
直線を引く動作を順次繰返すことにより、前記データを
平滑化した線を得る方法である。
【0044】この方法において、ある点での角度測定に
よって得られる線の終点としては、その時の楕円の中心
を通り且つ当該角度をもつ線を、その時の楕円の中心と
次の角度測定における楕円の中心との中間付近まで引い
たときの終点とする。或は、前回の角度測定によって得
られた線の終点を始点とし且つその時の角度をもつ線
を、その時の楕円の中心と次の角度測定における楕円の
中心との中間付近まで引いたときの終点とすることがで
きる。
【0045】上記の方法によれば、座標平面上に分布す
る複数個のデータ点に対し、予め定めた楕円メンバシッ
プ関数の楕円の中心を、前記データのうち角度測定対象
とする点列の中心付近の点に移動し、その点を中心とし
て楕円を回転させる。そして、任意の回転角における各
点の楕円メンバシップ関数による適合度の総和と、各点
を前記楕円の長軸に投影した点の楕円メンバシップ関数
による適合度の総和との比率を演算すると、得られた値
が点列の直線性評価値となる。この直線性評価値が最大
になる楕円の長軸の角度を求めると、点列と基準座標軸
のなす角度が得られる。
【0046】上記の手順が、本発明で用いる測定対象の
点列の角度測定法であるが、最初の角度測定時には、そ
の時の楕円の中心を通り且つ当該角度をもつ線を、当該
楕円の中心と次の角度測定における楕円の中心との中間
付近まで引く。その後は、前回の角度測定によって得ら
れた線の終点からその時の角度測定によって得られる線
の終点まで直線を引く動作を順次繰返す。これにより、
観測して得られたデータを平滑化した線を得ることがで
き、人間の感覚的判断に近いデータスムージングが実現
される。
【0047】まず、ファジィ集合を定義する3次元楕円
メンバシップ関数を利用して点列を結ぶ線の角度を測定
する原理を説明する。
【0048】一般に、2変数の間の直線関係(相関関
係)は2変数を横軸と縦軸にとり、個々のデータを座標
にプロットした分布図の形式で表示されることが多い。
一方、2変量正規分布するデータが楕円形の輪郭をとる
と、2変数間の相関関係に対する人間の判断は楕円形の
輪郭(楕円の輪郭の短軸と長軸の比)を手がかりにする
ことが知られている。これに基づき、直線的な点列の折
れ線すなわち直線的にプロットされた点列の直線性を評
価するために、楕円形の「ものさし」を座標空間上に設
定し、楕円の長軸と測定対象のデータ点列を重ね合わせ
るというアルゴリズムが用いられる。
【0049】初めに、xy直交座標とファジィ演算の適
合度tを座標軸とする3次元空間が定義され、そのxy
平面上に直線的にプロットされた点列P1(x1 ,y1)、
2(x2 ,y2)、・・・・・ 、Pn(xn ,yn)があるとす
る。
【0050】2変量正規分布するデータが楕円形の輪郭
をとるということは、2つのつり鐘型メンバシップ関数
(正規分布と同形の関数で表わされる)の積が3次元楕
円メンバシップ関数を形成するということと数学的に同
じ意味になる。これに基づき、点列の直線性評価のため
に次式で表わされる3次元楕円メンバシップ関数を設定
する。なお、ここではx軸上に楕円の長軸を置き、y軸
上に楕円の短軸を置く。
【0051】 t= exp[−{(x/ax)2+(y/ay)2}] …(2) 次に、この楕円の中心を、点列中の最も直線性の評価を
重要視すべき点に移動する。通常は、n個の測定対象の
点の真中付近の点に一致させる。このときの楕円の中心
の座標を(A, B)とし、この点を中心として楕円を回転
させる。このときの回転角をθとすると、3次元楕円メ
ンバシップ関数は次のようになる。
【0052】t=M( x, y, θ) = exp[−{(X/ax)2+(Y/ay)2}] …(3) 但し、 X = (x−A) cosθ+(y−B) sinθ Y =−(x−A) sinθ+(y−B) cosθ 上式を図に表わすと、図2のようになる。この場合、楕
円の中心は点P4 であり、同図(A) 及び(B) はそれぞれ
楕円を角度θ及びθ' 回転したときを示す。
【0053】この場合の点列Pi(i=1,2,… )の直
線性評価を「タイプ1」とする。
【0054】次に、x軸のパラメータが点列のばらつき
に影響を与えないパラメータである場合(例えばx軸が
時間軸で、時間の測定は正確に行われているような場
合)は、後述の直線性評価値がyの値にのみ依存するよ
うにしなければならない。すなわち楕円の長軸のみ回転
し、短軸は垂直のままにしておくべきであり、また、楕
円のメンバシップ関数をx軸上に投影したときの形が楕
円の回転によって変化しないようにするべきである。こ
の場合、3次元楕円メンバシップ関数は次のようにな
る。
【0055】t=M( x, y, θ) = exp[−{(X/ax')2 +(Y/ay)2}] …(4) 但し、 X =(x−A)/cosθ Y =−(x−A) tanθ+(y−B) ax' =ax /cosθ この場合の式を図に表わすと、図3のようになる。図に
おいて、(A) 及び(B)はそれぞれ楕円を角度θ及びθ'
回転したときを示す。この場合の直線性評価を「タイプ
2」とする。
【0056】上記のように、3次元楕円メンバシップ関
数を回転させるということは、あいまいな線のあいまい
さを許容する楕円形の「ものさし」を点列に重ね合わせ
ていくという操作に相当する。
【0057】そこで、楕円形の「ものさし」を任意の角
度θに合わせたときの各測定対象点の3次元楕円メンバ
シップ関数による適合度t1 ,t2 ,・・・・・ ,tn の総
和T(θ)と、図4(A) 及び(B) に示すように、各測定
対象点を楕円の長軸に投影した点の3次元楕円メンバシ
ップ関数による適合度tS1, tS2,・・・・・ ,tSnの総和
S(θ)との比率を、直線性の評価値E(θ)と定義
し、この値が最大になる長軸の角度ψをあいまいな線の
角度として採用する。すなわち、次式で表わされる計算
を行う。
【0058】
【数2】 このとき十分満足できる評価値が得られないならば、楕
円の中心の位置を移動することが有効である。通常は、
測定対象の点の真ん中付近の数個の点について予め粗く
直線性を評価しておき、最も高い直線性が得られる中心
点について詳細に評価するのが効率の良い方法である。
【0059】更に、楕円形の「ものさし」による手法で
は、上記(6) 式で得られた角度ψにおける直線性の評価
値E(ψ)は、測定対象のあいまいな線の直線性の確信
度であると同時に、0〜1の範囲の値に正規化されるこ
とで、角度に対する確信度CFとしても与えられる。E
(ψ)の定義から明らかなように、点列が完全に一直線
上に並んでいるとき確信度CFは最大値1になる。
【0060】次に、上記のような角度測定に基づくデー
タスムージングは、基本的にはスムージング対象の点列
に対し、3次元楕円メンバシップ関数による角度測定を
端から順に繰り返し行なっていくものである。通常は5
〜7個の点をピックアップして角度測定を行うが、その
際に得られた角度や確信度を基にどのような線(ノイズ
等を削減した線)を引くかにより3通りの方法がある
が、ここでは、以下の方法を用いる。
【0061】図5に示すように、第1回目の角度測定で
は、楕円の中心点(A1, B1)を通り角度ψ1 の線を楕円
の中心付近に引く。ここで、この線の終点(Ex1, Ey1
は、現在の楕円の中心点(A1, B1)と次の角度測定にお
ける楕円の中心点[厳密には、中心となる予定の点]
(A2, B2)との中間点付近に選ぶようにする。
【0062】その例として、図5では、スムージング対
象点列の15個の点の中から第1回目の角度測定として左
側の5個の点(P1 〜P5 )をピックアップし、この5
個の点列中の真ん中の点(左から3個目の点)P3 の位
置を楕円の中心に選んで角度測定して線を引き、更に、
左から5個目の点P5 を次の角度測定における楕円の中
心点(中心となる予定の点)として、線を引いている。
【0063】次の角度測定からは、以下の手順になる。
まず、楕円の中心点(Ai, Bi)(i=2, 3, ・・・)を通る角
度ψi の線を、現在の楕円の中心点と次の角度測定にお
ける楕円の中心点(Ai+1,Bi+1)との中間付近まで引い
た場合の線を想定し、この線の終点を(Ex1i, Ey1i)と
する。通常は、
【0064】
【数3】 となる点を終点とする。
【0065】次に、前回の角度測定で得られた線の終点
(Exi-1, Eyi-1)を始点として、角度ψi の線を引く。
この線の終点は、現在の楕円の中心点(Ai, Bi)と次の
角度測定における楕円の中心点(Ai+1,Bi+1)との中間
付近の点(Ex2i, Ey2i)とする。すなわち、上記の(Ex
1i, Ey1i)の付近の点であり、通常は、
【0066】
【数4】 となる点とする。そして、適当な合成比α(0<α<
1)を選んで、 Exi =αEx1i+(1−α)Ex2i Eyi =αEy1i+(1−α)Ey2i となる点(Exi, Eyi)を求め、前回の角度で得られた線
の終点(Exi-1, Eyi-1)を始点とし、(Exi, Eyi)を終
点として線を引く。
【0067】最適なαの値は、基本的にはスムージング
の対象点列のばらつきのレベル等に依存するので、それ
に応じて試行錯誤的に求めることになるが、現段階で得
られている範囲で最良の手段は、以下に示すようなもの
である。
【0068】通常、角度測定を行なった時の確信度 CF
が大きな値(試験的には測定対象点が5〜7個のとき0.
9 以上)である場合は、その際の楕円の中心位置が測定
対象点列の分布の中心位置とみなして良い。また、確信
度 CF が大きな値であるということは、測定対象の点列
が直線的に並んでいるということなので、モード1のス
ムージングによっても滑らかな線が得られる。
【0069】以上の理由により、確信度 CFiが大きい値
である場合は、モード1のスムージングを優先してαの
値も大きくし、確信度 CFiが小さい値である場合には、
モード2のスムージングを優先してαの値も小さくす
る。このとき、角度測定を順次繰返していく中で、αの
値が突然大きくなったり突然小さくなったりすると、結
果的に滑らかな線が得られなくなる。故に、αの値を決
定する際には、1回前の角度測定のときの確信度 CFi-1
を利用して、次式によりαを求める。
【0070】
【数5】 図6は、第2回目の角度測定として、左から5個目の点
P5 の位置を楕円の中心点に選び、その周囲の5点(P
3 〜P7 )をピックアップして線を引いた例と、第3回
目の角度測定として、左から7個目の点P7 の位置を楕
円の中心点に選びその周囲の5点(P5 〜P9 )をピッ
クアップして線を引いた例を示す。
【0071】以上の手順を繰返すことにより、図7に示
すように、スムージングされた線(ノイズ等を削減した
線)が得られる。
【0072】なお、スムージング処理を施すデータがプ
ロットされる座標は、直交座標に限らず、極座標その他
適当な座標を使用することができる。
【0073】次に、スプライン関数生成処理は以下のよ
うなアルゴリズムによる。
【0074】データの数をn、j(=1,2,・・・・,
n)番目のデータをyj 、生成するスプライン関数の次
数を(2m−1)とする。
【0075】データ番号jについてのm階差分商N
i(j)を求める。これは、次式で定義される。
【0076】
【数6】 次式で定義されるNi *(j) を求める。
【0077】
【数7】 i *(j) のm階差分商Nij *(j)を求める。但し、1階
差分商は
【0078】
【数8】 である。これをQ1(j)と表わすと、2階差分商は
【0079】
【数9】 となる。これをQ2(j)と表わすと、3階差分商は
【0080】
【数10】 となる。以下、同様にしてm階差分商を求める。
【0081】データyj のm階差分商δ(j) を求め
る。但し、1階差分商は
【0082】
【数11】 である。これをR1(j)と表わすと、2階差分商は
【0083】
【数12】 となる。これをR2(j)と表わすと、3階差分商は
【0084】
【数13】 となる。以下、同様にしてm階差分商を求める。
【0085】次の連立方程式の解bi を求める。
【0086】
【数14】 次式で定義されるpm-1(k)を求める。
【0087】
【数15】 次式で定義されるスプライン関数f(k) を求める。
【0088】
【数16】 これにより、k=jとすれば、データ番号jのスプライ
ン関数値f(j) が求められる。また、f(k) の一次微分
式f'(k)を求め、k=jとすれば、データ番号jに対す
る微分値f'(j)が求められる。
【0089】次に、データ拡張処理は、入力されたデー
タだけでなく、その逆数及び変化量まで拡張して処理す
るというものである。そのため、データ拡張アルゴリズ
ム記憶部13は、図8に示すように、逆数可否判定アル
ゴリズム記憶部131、逆数算出・登録アルゴリズム記
憶部132及び変化量算出・登録アルゴリズム記憶部1
33を含む。
【0090】この場合、CPU10cは、マンマシンイ
ンタフェース19に含まれる拡張処理指示信号入力部1
01からの指示信号に従って、各記憶部131,13
2,133に格納されたアルゴリズムに基づく動作を行
う。このCPU10cと記憶部131は逆数拡張可否判
定部、CPU10cと記憶部132は逆数入力拡張部、
CPU10cと記憶部133は変化量入力拡張部をそれ
ぞれ構成している。
【0091】ここで、逆数拡張可否判定部は、前述のフ
ァジィデータスムージング処理の後の平滑化スプライン
関数生成処理によりスプライン関数値に変換された分析
用データ(後述する適用例では、DS, DDS, THOS, THTS,
DHTS )に含まれる入力変数(DS,DDS,THOS,THTS)の逆
数を入力変数とすることの妥当性を判定する。そのため
の逆数拡張可否判定アルゴリズムは、次のようなもので
ある。
【0092】分析用データ(DS, DDS, THOS, THTS, DHT
S )に含まれる、ある入力変数(例えば DS )のデータ
が、全て正の値か又は全て負の値である場合、この変数
は非零の値とみなし、「逆数拡張可能」と判定する。上
記以外の場合は、その入力変数は0をとり得る数量とし
て「逆数拡張不可能」と判定する。
【0093】逆数入力拡張部は、上記逆数拡張可否判定
部での判定結果が「逆数拡張可能」である場合、該当す
る入力変数に対応する分析用データの逆数を算出し、こ
れを新たな入力変数に対応するデータとして登録する。
【0094】入力変化量拡張部は、分析用データが時系
列データである場合に分析用データに含まれる入力変数
の変化量、特にこの場合、平滑化スプライン関数生成処
理により得られた分析用データの入力変数の変化量(ス
プライン関数値の微分値)を新たな入力変数に対応する
データとして登録する。
【0095】拡張処理指示信号入力部101は、上記の
ようなデータ拡張処理の実行を指示する信号を入力す
る。
【0096】上記のように構成されたデータ拡張処理部
で算出された入力拡張データは、CPU10dによる正
規化演算処理に送られる。
【0097】実施例において、データ収集手段であるマ
ンマシンインタフェース19及び通信装置20、データ
記憶部21、データ確信度記憶部22、スプライン関数
値及び微分値記憶部23、モデリングアルゴリズム記憶
及び実行手段であるCPU10a〜110f及び記憶部
11〜16、そしてモデル数式記憶部18は、他の構成
すなわちオンライン処理の制御部から独立させることに
より、オフライン処理部として操作することができる。
【0098】図9は、実施例のモデリングアルゴリズム
の実行手順を示す。
【0099】まず、マンマシンインタフェース19又は
通信装置18から入力データX1 ,X2 ,…,Xn 及び
出力データY1 ,Y2 ,…,Ym が読み込まれ(ステッ
プST1及びST2)、データ記憶部19に格納され
る。これらのデータは、例えば制御対象に対し熟練した
オペレータの操作を示すものとして収集される。
【0100】次に、CPU10aでは、前述のファジィ
データスムージング・アルゴリズムに従って、データ記
憶部19に格納されている入出力データについてファジ
ィデータスムージング処理を行う(ST3)。
【0101】更に、CPU10bでは、ファジィデータ
スムージング処理が施された入出力データについて、前
述の平滑化スプライン関数生成アルゴリズムに従って、
スプライン関数値とその微分値とを算出する処理を行
い、それらの値をスプライン関数値及び微分値記憶部2
3に格納する(ST4)。
【0102】次に、CPU10cでは、上記のCPU1
0bで得られた入出力データのスプライン関数値の他
に、入力データのスプライン関数値の逆数 1/X1 , 1
/X2,…, 1/Xn と、変化量 dX1 , dX2 ,…,
dXn (この場合、スプライン関数値及び微分値記憶部
23に格納されているスプライン関数値の微分値)を新
たな入力データとして、データを拡張する(ST5及び
ST6)。
【0103】CPU10dでは、上記のように入力デー
タの逆数及び変化量を加えて拡張された入出力データか
ら、正規化アルゴリズムに従って各データの標準偏差σ
を算出し(ST7)、その3倍すなわち3σの範囲
[a,b]を[0,1]に正規化する(ST8)。ここ
で正規化された出力データをY1',Y2',…,Ym'と表
わす。
【0104】CPU10eでは、分析アルゴリズムに従
って、出力データY1',Y2',…,Ym'の分析用ダミー
データ(Y1"=1−Y1',…,Ym"=1−Ym')を作成
し(ST9)、ファジィ数量化II類によるデータ分析、
すなわちサンプルスコアによる特性分布を算出する(S
T10)。
【0105】CPU10fでは、関数近似アルゴリズム
に従って、上記の特性分布を、最小二乗法により得られ
る高次の非線形関数又は領域分割により求められる直線
で近似する(ST11)。ここで、最小二乗法による高
次関数近似は自動的に行われ、領域分割による直線近似
は手動(オペレータの操作)で行われる。こうして得ら
れた近似式は、モデル数式記憶部18に書き込まれる
(ST12)。
【0106】図10は、上記モデリングアルゴリズムで
得られたモデル数式に基づいて行われる制御アルゴリズ
ムの実行手順を示す。すなわち、信号入力部20から制
御対象の状態量を示す信号が入力されると(ステップS
T21)、信号処理拡張部21で拡張処理を施し(ST
22)、モデル数式によって出力値(制御量)を算出し
(ST23)、それを制御信号として出力する(ST2
4)。
【0107】以下、例を挙げて説明する。
【0108】まず、同定対象のプロセス等の入力を D,
DD, THO, THTとし、出力を DTHとする。この場合、多
入力非線形モデリングは、複数の入力 D,DD, THO, T
HTと出力 DTHとの数学的関係 DTH=f(D,DD,THO,THT)を
同定する(近似的に求める)ことである。
【0109】分析用データとして、同定対象のプロセス
等から実際に得られる入出力データ(入力 D,DD,THO,TH
T と出力 DTH)が、実施例の装置に入力される。
【0110】データ拡張は、上記分析用データ(D,DD,T
HO,THT,DTH)の中の入力変数(同定対象にとっての入力
変数) D,DD, THO,THT について、各々の逆数データ
(1/D ,1/DD,1/THO ,1/THT )と変化量データ(dD
,dDD,dTHO ,dTHT )を加えることにより拡張デ
ータ(D,DD,THO,THT,1/D,1/DD,1/THO,1/THT,dD,dDD,
dTHO,dTHT )に変換する操作である。後述の適用例で
は、拡張データとして、最終的に D,DD, THO, THT,
1/D ,1/THO ,dD ,dDD,dTHO ,dTHT が利用され
る。
【0111】上記の入出力関係の近似関数は、上記のデ
ータ拡張によつて得られた分析データをファジィ数量化
II類で分析した結果を3次関数で近似することにより得
られるもので、下記の適用例では、 DTH =f(D,DD,THO,THT,1/D,1/THO,dD,dDD, dTHO,d
THT) の近似関数が得られる。
【0112】次に、本発明の適用例として、障害物回避
制御のアルゴリズムを対象として、その入出力同定(モ
デリング)を行い、得られたモデル数式によって制御を
再現する場合を説明する。
【0113】図11及び図12はそれぞれ、ほぼ直線的
に接近してくる障害物Xに対し、制御対象の移動物Aが
進路を変えながら回避する動作(軌跡)の例である。こ
れらの障害物回避動作の場合、入出力データとして、以
下のものを使用する。
【0114】D :移動物Aと障害物Xとの距離 DD :単位時間後の障害物Xの予測接近距離(接近する
場合を負とする) THO :障害物Xの方向を示す相対角度(正面を0°とし
右側を正の角度とする) THT :目標位置の相対角度(正面を0°とし右側を正の
角度とする) また、出力データは、 DTH :移動物Xの進行方向の修正角度(正面を0°とし
右側を正の角度) とする。
【0115】これらの具体的な数値は、図13及び図1
4に示す通りである。
【0116】次に、図15はファジィデータスムージン
グの例として、出力データDTH に対する処理の結果を示
す。この場合、縦軸は DTH(角度)、横軸は図13及び
図14のデータの番号であり、横軸の0〜23が図11
の軌跡、24〜52が図12の軌跡に対応する。これら
のデータに対して、前述のファジィデータスムージング
処理を実行することにより、図15の太い実線で表わさ
れるデータ曲線が得られる。同時に得られる確信度(直
進性評価値)は、図1の実施例のデータ確信度記憶部2
2に記憶される。
【0117】図16は、上記のファジィデータスムージ
ング処理で得られたDHT のデータ曲線に対して、前述の
平滑化スプライン関数生成処理を行った場合を示す。こ
の場合、スプライン関数値と共にその微分値を算出し、
図1のスプライン関数値及び微分値記憶部23に記憶す
る。上記処理により、分析用データ(D,DD,THO,THT,DH
T)がスプライン関数値(DS, DDS, THOS, THTS, DHTS
)に置き換えられる。
【0118】次に、データ拡張処理として、入力データ
(DS,DDS,THOS,THTS)のうち値が0になる可能性のある
もの(この場合、DDS, THTS )を除いた入力データの逆
数(1/DS, 1/THOS)と、入力データの変化量(この場
合、スプライン関数値の微分値dDS, dDDS, dTHOS,
dTHTS)が、新たな入力変数として登録される。
【0119】これらの拡張データは、次のように変換す
ることにより[0,1]の範囲に正規化される。
【0120】DS → (DS−32.9)/198.9 DDS → (DDS+97.4)/190.3 THOS → (THOS −10.9)/169.3 THTS → (THTS +0.26)/91.6 1/DS → (1/DS −0.00398)/0.0264 1/THOS → (1/THOS −0.00555)/0.0864 dDS → (dDS+19.5)/40.1 dDDS → (dDDS +28.0)/45.9 dTHOS → (dTHOS+19.69/49.3 dTHTS → (dTHTS+22.0)/35.2 DTHS → (DTHS +14.1)/34.1 次に、ファジィ数量化II類による分析処理として、DS
DDS,THOS,THTS,1/DS,1/THOS,dDS,dDDS ,dTH
OS,dTHTSを説明変数とし、DTHSを外的要因として、上
記のデータをファジィ数量化II類によって分析する。結
果として、次式によって得られるサンプルスコアSCR に
基づいてデータをプロットすれば、回避のための修正角
度DTH の特徴を表現できる。
【0121】上記の処理により得られた特性分布を高次
関数で近似する際には、データ確信度記憶部22に記憶
されている確信度(直進性評価値)が各データの重みと
して利用される。この場合、1個の特性分布点について
は、対応する4種類の入力データ(D,DD,THO,THT)分の
確信度が得られているが、通常はこれらの平均値がデー
タ重みとして採用される。
【0122】得られたモデル数式は、次の通りである。
【0123】
【数17】 図17は、上記の分析処理による特性分布及び近似関数
(モデル数式)を示す。図において、横軸は上式の SCR
の値、縦軸は正規化された DTH(上式の( )内の値)
である。
【0124】図18及び図19は、上記のモデル数式に
より障害物回避制御を再現した例を示す。これは、図1
におけるオンライン処理部の動作に相当する。
【0125】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、先に提
案した非線形制御装置におけるモデリングよりも高い近
似精度で且つ簡素化された近似関数により入出力の同定
ができるので、ファジィ数量化II類による多入力非線形
制御の信頼性の向上と用途の拡大という効果が得られ
る。
【0126】先に提案した非線形制御装置では事実上対
応できなかったノイズを含むデータの変化量拡張を有効
に行うことができ、同時にデータの品質的な評価を行う
ことにより精度、信頼性が高い入出力同定が可能とな
る。これにより、ファジィ数量1化2類による多入力非
線形制御の信頼性の向上と用途の拡大という効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の構成を示す図。
【図2】楕円メンバシップ関数の楕円を回転させた状態
を示す図。
【図3】楕円メンバシップ関数の楕円を長軸のみ回転
し、短軸は垂直のままにして回転させた場合を示す図。
【図4】複数個の点を楕円の長軸に投影したときの説明
図。
【図5】実施例で用いられる直線性評価に基づくデータ
スムージングの初めの段階を示す図。
【図6】図5の次の段階を示す図。
【図7】図5及び図6のデータスムージングで得られた
線を示す図。
【図8】図1の構成におけるデータ拡張処理部の構成を
示す図。
【図9】実施例で用いるモデリングアルゴリズムの実行
手順を示すフローチャート。
【図10】上記モデリングアルゴリズムで得られたモデ
ル数式に基づいて行われる制御アルゴリズムの実行手順
を示すフローチャート。
【図11】直線的に接近してくる障害物に対して移動物
が進路を変えながら回避する動作の例を示す図。
【図12】障害物に対する移動物の回避動作の別の例を
示す図。
【図13】図11の回避動作のデータを示す図。
【図14】図12の回避動作のデータを示す図。
【図15】図13及び図14のデータDTH に対するファ
ジィデータスムージング処理の結果を示すグラフ。
【図16】図15で得られたDHT のデータ曲線に対して
平滑化スプライン関数生成処理を行った結果を示すグラ
フ。
【図17】ファジィ数量化II類による分析結果としてサ
ンプルスコアに基づくデータ特性分布とこれを近似する
非線形関数(モデル数式)の曲線を示す図。
【図18】図17のモデル数式による障害物回避制御を
再現した例を示す図。
【図19】上記のモデル数式による障害物回避制御の別
の例を示す図。
【符号の説明】
10a〜10g…CPU、11〜17…アルゴリズム記
憶部、18…モデル数式記憶部、19…マンマシンイン
タフェース、20…通信装置、21…データ記憶部、2
2…データ確信度記憶部、23…スプライン関数値及び
微分値記憶部、24…信号入力部、25…信号拡張処理
部、26…信号出力部。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】制御対象についての入出力関係を示すデー
    タの収集を行うデータ収集手段と、 前記データを座標平面上に分布する複数個の点で表わ
    し、それらの点を結ぶ線を平滑化することにより前記デ
    ータに含まれるノイズを除去し、前記データにその逆数
    や変化量その他必要な数量を付加することにより拡張デ
    ータを入力し、該拡張データを正規化し、正規化された
    データをファジィ数量化II類の手法で分析し、分析の結
    果として得られる特性分布を関数で近似するモデリング
    アルゴリズムを記憶するモデリングアルゴリズム記憶部
    と、 前記モデリングアルゴリズムを実行し、前記特性分布を
    近似する関数を生成する近似関数算出処理部と、 前記制御対象から入力信号を取り込む信号入力部と、 前記入力信号にその逆数や変化量その他必要な数量を付
    加した拡張入力を生成する信号拡張処理部と、 前記近似関数算出処理部で生成された関数を用いて前記
    拡張入力に対する出力を算出する制御アルゴリズムを記
    憶する制御アルゴリズム記憶部と、 前記制御アルゴリズムに従って前記拡張入力に対する出
    力値を演算する制御演算部と、 前記制御演算部による演算の結果を制御信号として出力
    する信号出力部とを備えた非線形制御装置。
  2. 【請求項2】前記モデリングアルゴリズムは、前記座標
    平面上に分布する複数個の点で表わされるデータに対し
    て、予め定めた楕円メンバシップ関数の楕円の中心を前
    記複数個の点から選んだ点列の中心付近の点に移動し、
    その点を中心として前記楕円を回転させ、任意の回転角
    における各点の楕円メンバシップ関数による適合度の総
    和と、各点を前記楕円の長軸に投影した点の楕円メンバ
    シップ関数による適合度の総和との比率を演算し、その
    比率を前記点列の直線性評価値として該直線性評価値が
    最大になる楕円の長軸の角度を測定し、最初の角度測定
    時には、その時の楕円の中心を通り且つ当該角度をもつ
    線を、当該楕円の中心と次の角度測定における楕円の中
    心との中間付近まで引き、その後は、前回の角度測定に
    よって得られた線の終点からその時の角度測定によって
    得られる線の終点まで直線を引く動作を順次繰返すこと
    により、前記データを結ぶ線を平滑化するデータスムー
    ジング処理を行うファジィデータスムージング・アルゴ
    リズムを含んでいることを特徴とする請求項1記載の非
    線形制御装置。
  3. 【請求項3】前記モデリングアルゴリズムは、前記デー
    タスムージング処理を施したデータに対して、平滑化ス
    プライン関数を生成し、前記データに対応するスプライ
    ン関数値とその微分値を算出し、該微分値を前記データ
    の変化量として出力するスプライン関数処理を行う平滑
    化スプライン関数生成アルゴリズムを含んでいることを
    特徴とする請求項2記載の非線形制御装置。
  4. 【請求項4】前記データ収集手段、前記モデリングアル
    ゴリズム記憶部及び前記近似関数算出処理部を独立のオ
    フライン処理部とした請求項1記載の非線形制御装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996020438A1 (fr) * 1994-12-28 1996-07-04 Omron Corporation Procede et systeme d'inference mettant en ÷uvre un modele hierarchique et procede et systeme de gestion associes

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WO1996020438A1 (fr) * 1994-12-28 1996-07-04 Omron Corporation Procede et systeme d'inference mettant en ÷uvre un modele hierarchique et procede et systeme de gestion associes

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