JPH06313175A - 石油系炭化水素の接触分解方法 - Google Patents

石油系炭化水素の接触分解方法

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JPH06313175A
JPH06313175A JP12777093A JP12777093A JPH06313175A JP H06313175 A JPH06313175 A JP H06313175A JP 12777093 A JP12777093 A JP 12777093A JP 12777093 A JP12777093 A JP 12777093A JP H06313175 A JPH06313175 A JP H06313175A
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stevensite
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Yoshibumi Hiramatsu
義文 平松
Eiji Iwamatsu
栄治 岩松
Takeji Takekoshi
岳二 竹越
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 重質留分の分解活性が向上し、且つガソリン
留分やライトサイクルオイル留分等の中間留分を高収率
で得ることのできる石油系炭化水素類の接触分解方法を
提供する。 【構成】 石油系炭化水素を、流動床を用いて接触分解
するにあたり、触媒として、FCC触媒にカオチン交換
スチブンサイトを含有する組成物を添加してなる触媒組
成物を使用する石油系炭化水素の接触分解方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石油系炭化水素の接触
分解方法に関する。更に詳しく言うと、改善されたFC
C触媒を用いることによって各種の石油系炭化水素(特
に、減圧軽油や常圧残油等の重質分子を含有する炭化水
素留分)を有利に接触分解する方法であって、特に重質
炭化水素の分解活性を向上させ、ガソリン留分(F
G)、ライトサイクルオイル(LCO)留分の収率の向
上をはかることができるなどの利点を有する改善された
石油系炭化水素の接触分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】石油系炭化水素の接触分解は、各種炭化
水素類あるいはその混合物の転換プロセスとして重要で
あり、種々の目的で広く行われている。中でも特に、重
質な炭化水素油をより有用なガソリン留分や軽質留分に
転化することを目的とした流動接触分解(FCC)プロ
セスは、規模も大きく、製油所における極めて重要なプ
ロセスに位置づけられている。
【0003】このような重質油を対象とするFCCプロ
セスは、近年の原油の重質化の傾向、更にはその長期的
な重質化の予測に伴いますますその重要性を増してきて
いるが、このFCCプロセスは、今後、単にガソリン留
分の製造を主たる目的とするに留まらず、常圧残油等の
重質留分を軽質化あるいは白油化し、例えばLCO留分
や灯油留分などの製造プロセスとしての重要性もますま
す高まる傾向にある。したがって、こうした原料油の重
質化や目的とする生成油の多様化の傾向に十分に対応で
きるように、触媒の改善あるいは開発が進められてい
る。
【0004】こうしたFCC等の石油系炭化水素の接触
分解には、その触媒として、従来からゼオライトをアル
ミナ等のマトリックス成分に分散させて調製したものが
最も一般的に使用されている。ところが、上記したよう
に原油が重質化するにつれて、従来のゼオライト系触媒
では必ずしも満足な結果が得られなくなってきており、
重質炭化水素類をより効率よく有効に分解できるように
触媒に改善が求められてきている。この問題に対処する
ための触媒の改善策として、ゼオライトの含有量を増加
させて活性の向上を図ったFCC触媒が市販されるに至
り、現在一般に広く利用されている。また、ゼオライト
の結晶粒径を小さくし外表面積を大きくすることによっ
て実質的な活性を向上させるという改善策も提案されて
おり[例えば、化学工学,50巻,9号,p604(1
986)等]、この方法によって改善されたFCC触媒
も市販され、実用に供されている。
【0005】しかしながら、こうした改善を施した市販
FCC触媒においても、重質炭化水素類の分解活性は向
上できるものの、生成する有用なガソリン留分(FG)
やLCO留分の分解も同時に促進されてしまうため、こ
うした有用な留分の収率が低下してしまうという重大な
欠点があり、更なる改善が必要とされている。
【0006】一方、ゼオライト系触媒に適当な添加剤を
含有させることによって触媒性能を改善(変性)しよう
という方法もある。そのような添加剤を用いる方法とし
て、例えば、リン成分を含有するアルミナ粒子を添加す
る方法(特開昭61−149241号公報)あるいはア
ルミナ又はアルミナとマグネシアからなる担体上にカル
シア(CaO)を完全単分子層状に沈着させたものを添
加する方法(特公昭63−50048号公報)などが提
案されている。しかしながら、こうした触媒における添
加剤は、主にメタルの捕捉剤やSOXの捕捉剤としての
目的に使用されており、実際、重質炭化水素類の分解活
性の向上にはほとんど寄与していない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、石油
系炭化水素の接触分解触媒として市販あるいは提案され
ている従来のFCC触媒(特にゼオライト含有触媒)
を、適当な添加剤を添加・複合化することによって、原
料油(特に重質炭化水素類)に対する接触分解活性が向
上し、しかも、ガソリン留分(FG)やライトサイクル
オイル(LCO)留分等の有用な中間留分の収率が向上
するように改善する技術を開発し、その改善された触媒
を用いることによって、通常のFCCプロセス用原料等
の従来常用の原料油はもとより、より重質留分の多い原
料油を用いた場合にも接触分解の効率(分解活性及び前
記有用留分の収率)を向上させることができて、FCC
プロセスをより広く、より有利に行うことができる改善
された、石油系炭化水素の接触分解方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、現在の市販FCC触媒等の従来型FCC
触媒(特にゼオライト含有触媒)に、カチオン交換スチ
ブンサイトあるいはこれを含有する組成物を添加してな
る触媒組成物が、前記目的を満足する優れた触媒特性を
発揮することを見いだし、この知見に基づいて本発明を
完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、石油系炭化水素を、
流動床を用いて接触分解するにあたり、触媒として、F
CC触媒にカチオン交換スチブンサイトを含有する組成
物を添加してなる触媒組成物を使用することを特徴とす
る石油系炭化水素の接触分解方法を提供するものであ
る。
【0010】本発明の方法において、前記カチオン交換
スチブンサイト含有組成物を添加するところの触媒調製
原料として用いる前記FCC触媒としては、市販のFC
C用触媒や残油FCC用触媒をはじめとする各種の組成
のFCC活性触媒が使用可能である。これらのFCC触
媒には、最近の改良型のものを含め種々の組成のものが
あるが、一般に、ゼオライト系のものが好ましく、特
に、ゼオライト5〜40重量%程度と適当なマトリック
ス成分(例えば、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、
マグネシア、カオリン等)からなるものが好ましい。
【0011】なお、これらFCC触媒におけるゼオライ
トとしては、特に制限はなく、使用目的に応じて適当な
ものを選択すればよいのであるが、通常は、例えば、X
型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト、ZSM
型ゼオライト、ZK系ゼオライトなどが好適である。こ
れらの中でも、Y型ゼオライトが好ましく、特に、超安
定性Y型ゼオライトが好ましい。
【0012】なお、これらのゼオライトは、通常、H
+ 、アンモニウムあるいは多価金属カチオンから選ばれ
る1種又は2種以上のカチオンでイオン交換された形で
使用するのが好適である。また、必要に応じて、上記カ
チオン以外の他の活性成分、例えば、Pt等の遷移金属
など活性金属を金属微粒子や酸化物微粒子などを適宜担
持した状態で使用してもよい。更に、これらのゼオライ
トは、スチーミング処理や脱アルミニウム処理などの公
知の耐水熱性及び/又は酸性質の改善処理を施した形で
用いてもよい。
【0013】これらのゼオライトは、1種のみを使用し
てもよいし、あるいは、2種以上を併用してもよい。
【0014】本発明の方法において使用する前記触媒組
成物は、前記各種のFCC触媒に所定のカチオン交換ス
チブンサイト含有組成物を添加することによって調製す
ることができる。
【0015】ここで、添加するカチオン交換スチブンサ
イト含有組成物(以下、これを添加剤組成物と略記する
ことがある)としては、例えば、カチオン交換スチブン
サイト自体、あるいは、カチオン交換スチブンサイトと
ゼオライトとの組成物、カチオン交換スチブンサイトと
適当なマトリックス成分との組成物、更には、カチオン
交換スチブンサイトとゼオライトと適当なマトリックス
成分との組成物などの、カチオン交換スチブンサイトを
含有する種々の組成の組成物を挙げることができ、これ
らは、使用目的に応じて1種又は2種以上のものを適宜
選定して使用される。
【0016】これら種々の添加剤組成物の中でも、通常
は、該組成物100重量部あたり、カチオン交換スチブ
ンサイトを5〜80重量部含有し、ゼオライトの含有量
が0〜60重量部、マトリックス成分の含有量が0〜9
5重量部であるものが好ましい。
【0017】なお、このように添加剤組成物に適宜ゼオ
ライトを含有させることによって、例えば市販FCC触
媒等に含まれるゼオライト等の活性成分にはない触媒機
能を導入したり、あるいはゼオライト成分の増加によっ
て触媒特性をより一層好ましい状態に制御することが可
能となる。
【0018】また、添加剤組成物に適宜マトリックス成
分を含有させることによって、添加剤組成物自体の性状
の制御が容易になるし、特に、得られる触媒組成物の成
形性や成形触媒の強度(耐摩耗性等)をより一層向上さ
せるなどの効果が期待できる。
【0019】このような点から、通常は、上記のよう
に、カチオン交換スチブンサイトに適宜適当なゼオライ
トやマトリックス成分を添加含有させた添加剤組成物を
用いることが好ましい。
【0020】ただし、添加剤組成物を添加する前記FC
C触媒の組成や性状等の条件によっては、必ずしも、添
加剤組成物にはゼオライトやマトリックス成分を含有さ
せないでもよく、所定のカチオン交換スチブンサイト自
体を添加剤組成物として用いてよい。また、組成の異な
る2種以上の添加剤組成物を添加してよい。
【0021】一方、カチオン交換スチブンサイトは、少
なくとも、接触分解活性及びFG、LCO等の有用中間
留分の収率の向上を図るために、用いる添加剤組成物に
適量を含有させることが肝要である。
【0022】ここでもし、この添加剤組成物の100重
量部あたりについての組成として、カチオン交換スチブ
ンサイトの含有割合が5重量部未満というように余り少
ない量であると該カチオン交換スチブンサイトの添加効
果が十分に得られないので、接触分解活性及び前記有用
な中間留分の収率の向上を十分に達成することができな
い。一方、カチオン交換スチブンサイト単独の場合を含
めその含有量が余り多過ぎると、得られる触媒組成物の
成形性が低下することがあり、成形触媒の強度も不十分
となることがある。
【0023】また、この添加剤組成物におけるゼオライ
トの含有量があまり多過ぎると、その分、カチオン交換
スチブンサイトの割合が低くなるので前記のようにカチ
オン交換スチブンサイトの添加効果が低下するし、ま
た、前記同様に成形性や触媒強度が低下するなどの支障
を生じることがある。
【0024】こうした、ゼオライトやマトリックス成分
等の他の成分をも含有する添加剤組成物は、所定のカチ
オン交換スチブンサイトと所定の他の成分とを、例え
ば、微粒子状態あるいはスラリー状態で、混練あるいは
噴霧乾燥することによって容易に得ることができる。そ
の混練の際に適宜、水分の調整、分散剤の添加、加熱等
の付加的な処理を施してもよい。
【0025】なお、前記添加剤組成物の調製原料成分と
して使用するゼオライトとしては、前記例示の各種もの
を挙げることができる。その好ましいもの、特に好まし
いものについても、通常、前記同様である。ただし、こ
の添加剤組成物に用いるゼオライトの種類は、必ずし
も、前記FCC触媒におけるものと同じでなくてもよい
し、必要に応じて、1種又は2種以上のものを使用する
ことができる。
【0026】一方、前記添加剤組成物の調製原料成分と
して使用するマトリックス成分としては、各種のものが
使用可能であるが、通常は、シリカ、アルミナ、シリカ
−アルミナ、マグネシア、ジルコニア、チタニア、アル
ミナ−ボリア、カオリン等の粘土鉱物などが好適に使用
される。中でも、通常の場合、特にアルミナあるいはア
ルミナを主成分とするものが好ましい。これらは、場合
に応じて1種又は2種以上をマトリックス成分として使
用することができる。
【0027】なお、前記粘土鉱物としては、カオリンの
ほかに、例えば、ヘクトライト、ソーコナイト、モンモ
リロナイト、バイデライト等のスメクタイト類、バーミ
キュライト、雲母などを例示することができる。
【0028】前記カチオン交換スチブンサイトは、天然
スチブンサイト系のもの、合成スチブンサイト系のも
の、あるいは、これらの組合せなどいずれも使用可能で
あるが、通常は、合成スチブンサイト系のものが好まし
い。
【0029】前記カチオン交換スチブンサイトは、これ
らのスチブンサイトに所望のカチオンをイオン交換する
ことによって得ることができるし、あるいは、すでに所
望のカチオンをそのイオン交換サイトに含有する場合に
は、そのまま使用することもできる。
【0030】前記カチオン交換スチブンサイトは、該交
換カチオン成分として、周期表IA、IB、IIA、I
IB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA、V
B、VIA、VIII族の元素の単核カチオン及び周期
表IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IV
A、IVB、VA、VB、VIA、VIII族の元素1
種又は2種以上からなる多核カチオンから選ばれる少な
くとも1種のカチオンを含有しているものが好適に使用
される。これらの中でも、特に、H+ やMg、Ca、S
r、Ba、Zn、Cr、Al、Co、Ni、Fe、C
u、V、Zr、Ga、Ti、Nb、Mo、Ge、Sn、
Bi、La、Ceの単核カチオン及びMg、Ca、S
r、Ba、Zn、Cr、Al、Co、Ni、Fe、C
u、V、Zr、Ga、Ti、Nb、Mo、Ge、Sn、
Bi、La及びCeの1種又は2種以上からなる多核カ
チオンのうちの少なくとも1種を該カチオン成分として
有するものが好ましい。
【0031】前記カチオン交換スチブンサイトにおける
これらのカチオンの種類や含有割合等の組成は、使用目
的に応じて適宜選定すればよい。
【0032】これらのカチオンは、イオン交換法、含浸
法など各種の方法によって導入することができ、例え
ば、所望のカチオン成分を含有する調製原料化合物の水
溶液(具体的には、例えば、所定の金属の塩化物、硝酸
塩、硫酸塩、炭酸塩、アルコキシド等の塩類や塩化アン
モニウム、硝酸アンモニウム、鉱酸等の水溶液)を、
0.01〜10Mの範囲の所定の濃度に調製し、該水溶
液を必要に応じて例えば室温〜100℃の温度で適当な
時間(例えば数分間〜数週間程度)の時間熟成した後、
該水溶液に所定の原料スチブンサイト(例えば、Na型
のもの)を所定の割合で混合し、室温〜100℃の温度
で5分間〜数週間の時間イオン交換し、得られた固体
(イオン交換体)をろ過し、適宜アルコールや水等によ
って洗浄し、室温〜120℃程度の温度で乾燥あるいは
水分調節することによって好適に得ることができる。
【0033】もちろん、スチブンサイトへのカチオンの
導入は、前記したゼオライトやマトリックス成分等との
組成物とした後にイオン交換することによって導入して
もよいし、いずれの時点で行ってもよい。
【0034】また、前記スチブンサイト、あるいは、そ
の組成物に対して、スチーミング処理や焼成等の適当な
予備処理を施してもよい。
【0035】こうして調製若しくは用意した添加剤組成
物(所定のカチオン交換スチブンサイト又はそれを含有
する組成物)を、FCC触媒に添加することによって、
接触分解活性及び有用中間留分の収率等が改善された所
望の触媒組成物を得ることができる。なお、これらの添
加剤組成物は、1種のみを添加してもよいし、場合に応
じて2種以上のものを添加してもよい。
【0036】その際、添加するカチオン交換スチブンサ
イト含有組成物(添加剤組成物)の好適な割合は、調製
の際に使用するFCC触媒や添加剤組成物自体の組成や
性状あるいは対象とする接触分解反応(例えば、原料油
の性状や主目的生成物の種類等)によって異なるので一
律に定めることができないが、一般には、前記添加剤組
成物の添加量を得られる触媒組成物100重量部あた
り、通常、5〜70重量部の範囲に選定するのが好まし
い。この添加剤組成物の割合が、例えば5重量部未満と
いうようにあまり少ないと、所望の添加効果(特に、接
触分解活性及びFG、LCO等の有用中間留分の収率の
向上効果)が不十分となる。一方、あまり多過ぎると、
もとのFCC触媒の含有割合が少なくなるため相乗効果
が十分に発揮できなくなり、例えばFG、LCO等の有
用中間留分への選択性が向上したとしても接触分解自体
の活性(転化率)が低下することによって結果として、
FG、LCO等の有用中間留分の収率の向上効果が十分
に得られなくなる。
【0037】すなわち、このように、市販のFCC触媒
等の従来のFCC触媒に前記添加剤組成物を適量添加す
ることによって、その相乗効果がうまく発揮され、本発
明の目的を十分に達成することができるのである。
【0038】FCC触媒に添加剤組成物を添加して目的
とする触媒組成物を得るための調製手法としては、各種
の方法が適用可能であるが、通常は、それぞれの成分
を、例えば、微粒子状態あるいはスラリー状態で混練あ
るいは噴霧乾燥することによって容易に得ることができ
る。その混練の際に適宜、水分調整、分散剤の添加、加
熱等の付加的な処理を施してもよい。
【0039】こうして、混練等によって得た触媒組成物
あるいはその前駆体は、必要に応じて、適宜、洗浄、水
分調節、成形(造粒)、乾燥、焼成などの後処理を行っ
て、所望の性状の接触分解触媒(特に、流動接触分解用
触媒)として仕上げることができる。
【0040】この成形は、触媒の使用形態に応じて種々
の形状に各種の方法を用いて行うことができ、例えば、
流動床用触媒等の比較的微粒子状の触媒体を得る際に
は、スプレードライ法などが好適に採用される。
【0041】以上に示した方法は、本発明の方法で用い
る触媒組成物(触媒体)の好ましい調製法の例を示すも
のであり、該触媒は、もちろん上記以外の手順で調製す
ることもできる。例えば、前記カチオン交換スチブンサ
イトを得るためのイオン交換をFCC触媒との混合後行
い、ゼオライトのイオン交換を同時に行う方法なども好
適に採用することができる。また、この触媒には、いず
れかの時点で、必要に応じて他の成分を含有させたり、
担持してもよい。
【0042】以上のように、市販のFCC触媒等の従来
のFCC触媒にカチオン交換スチブンサイト含有組成物
(添加剤組成物)を添加・複合することによって、所望
の触媒機能(接触分解活性及びFG、LCO等の有用中
間留分の収率)を十分にかつ容易に向上させることがで
き、しかも、機械的強度(耐摩耗性等)や耐水熱性、耐
熱性等の安定性にも優れた新しい接触分解用触媒(特に
FCC用触媒、残油FCC触媒)を容易に得ることがで
きる。
【0043】本発明の接触分解方法は、各種の石油系炭
化水素あるいはその混合物の接触分解を流動床方式で行
うに際して、従来のFCC触媒よりも少なくとも上記の
点で優れた触媒特性を有する改善された触媒組成物を触
媒として用いることを特徴とする改善された接触分解方
法である。
【0044】なお、ここでいう流動床方式は、いわゆる
ライザー方式を含めた広義の流動床方式であることに留
意すべきである。また、FCC触媒あるいはFCCプロ
セスといった場合も、一般には、多種多様な原料油を対
象とする広義の流動床方式の接触分解と考えてよい。
【0045】したがって、本発明の石油系炭化水素の接
触分解方法においては、その原料油として、一般には、
例えば、ナフサ、灯油、軽油(軽質軽油、重質軽油)、
常圧残油若しくはその留分(減圧軽油、減圧フラッシュ
等)あるいはこれらの混合油等の通常ナフサ留分以上の
沸点を有する各種の炭化水素類又はその混合物を好適に
使用することができる。これらの中でも、特に、減圧軽
油、常圧残油あるいはこれらを主成分とするものが特に
好適に使用される。
【0046】なお、こうした減圧軽油や常圧残油等の重
質な炭化水素類を含有する原料油が好適に使用される理
由としては、接触分解によってガソリン(FG)やライ
トサイクルオイル(LCO)等の特に付加価値の高い有
用な燃料を生産することができ、しかも、前記触媒組成
物(改善されたFCC触媒)を用いるという本発明の方
法によって、それらの有用な留分の収率を容易に向上さ
せることができるからである。
【0047】この改善した触媒による流動接触分解は、
従来の各種のFCCプロセスあるいは残油FCCプロセ
スと同様にして行うことができ、反応条件についても同
様な条件が適用可能であるが、通常、次の反応条件で行
うのが好適である。
【0048】すなわち、反応温度は、通常、390〜7
10℃、好ましくは、420〜600℃の範囲に選定す
るのが適当である。反応温度が390℃未満では、接触
分解反応の速度が著しく遅くなり、一方、710℃を超
えると、過剰の分解が顕著になり、目的とするFG留分
やLCO留分等の中間留分の収率が低下したり、コーキ
ング等の副反応が著しくなる。
【0049】反応圧力は、通常、0〜11Kg/cm2
G、好ましくは、0〜4.0Kg/cm2Gの範囲に選
定するのが適当である。
【0050】反応装置としては、従来の各種のタイプの
FCC装置が適用可能であるので、そのまま用いてもよ
い。
【0051】以上のようにして得られる接触分解生成物
は、一般に、LPG、ガソリン、LCO、HCO等を含
有しているので、これらは必要に応じて、公知方法によ
って適宜所望の留分として分離回収すればよい。もちろ
ん、必要に応じて、未反応原料等の重質留分やこうした
生成物の一部を適宜リサイクルして反応を実施してもよ
い。
【0052】触媒の再生や循環操作等についても従来常
用される方式に従って好適に行うことができる。
【0053】以上のようにして、減圧軽油や常圧残油等
の重質な炭化水素類を含有する各種の性状の原料油か
ら、ガソリン(FG)やライトサイクルオイル(LC
O)等の特に付加価値の高い有用な燃料を収率よく生産
することができる。
【0054】
【実施例】以下に、本発明の実施例及びその比較例によ
って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。
【0055】実施例1 (1)モル濃度0.1MのAlCl3 の水溶液2リット
ル中に、粉末状のNa型スチブンサイト[水沢化学
(株)製;イオナイトT]20gを添加・分散させ、室
温で2日間放置した。その後、溶液を濾過し、固体分を
エタノールと純水で洗浄した後、120℃で約12時間
空気乾燥した。以下、この得られたAl交換スチブンサ
イトを組成物Aと呼ぶ。
【0056】(2)上記(1)で得た組成物Aと市販の
アルミナ[触媒化成(株)製;Cataloid A
P]を重量比1/1の割合で少量の水分の共存下混合
し、これを75℃の加熱下で2時間混練した。次いで、
得られた混練物を120℃で約12時間乾燥後、760
℃、1atm(100%)のスチーム雰囲気中で6時間
スチーミング処理を行った。以下、この得られたAl交
換スチブンサイト含有組成物を組成物Bと呼ぶ。
【0057】(3)市販のFCC触媒[触媒化成
(株);MRZ−204]を上記(2)に示す条件と同
じ条件において同様にしてスチーミング処理した。以
下、この得られたスチーミング処理FCC触媒を組成物
Cと呼ぶ。
【0058】(4)上記(2)で得た組成物Bと上記
(3)で得た組成物Cとを重量比(B/C)=1/9の
割合で混合した。以下、この触媒組成物を組成物Dと呼
ぶ。
【0059】(5)上記(4)で得た組成物Dを触媒と
して用い、その接触分解活性及び選択性をASTM M
AT(D 3907)による触媒の石油系炭化水素分解
活性評価法(MAT評価法)によって評価した。なお、
このMAT評価の際の反応条件として下記の条件を用い
た。また、原料油としては、表2に示す性状の減圧軽油
(VGO)を用いた。
【0060】原料油(VGO)の供給量:1.33g/
75sec 使用触媒量:4g 触媒/原料油(VGO)比:3.33g/g 反応温度:482℃ 反応圧:常圧 こうして行った触媒のMAT評価の結果を表1及び図1
に示す。
【0061】実施例2 実施例1の(4)において、組成物Bと組成物Cの割合
を重量比(B/C)=3/7に変えた以外は同様にして
触媒組成物の調製を行った。以下、この触媒組成物を組
成物Eと呼ぶ。
【0062】実施例1の(5)において、この組成物E
を組成物Dに代えて触媒として用いた以外は、同様にし
てMAT評価を行った。その結果を表1及び図1に示
す。
【0063】実施例3 実施例1の(4)において、組成物Bと組成物Cの割合
を重量比(B/C)=1/1に変えた以外は同様にして
触媒組成物の調製を行った。以下、この触媒組成物を組
成物Fと呼ぶ。
【0064】実施例1の(5)において、この組成物F
を組成物Dに代えて触媒として用いた以外は、同様にし
てMAT評価を行った。その結果を表1及び図1に示
す。
【0065】比較例1 実施例1の(5)において、組成物Dに代えて実施例1
の(2)で得た組成物Bを触媒として用いた以外は、同
様にしてMAT評価を行った。その結果を表1及び図1
に示す。
【0066】比較例2 実施例1の(5)において、組成物Dに代えて実施例1
の(3)で得た組成物Cを触媒として用いた以外は、同
様にしてMAT評価を行った。その結果を表1及び図1
に示す。
【0067】考察 表1及び図1に示す結果からも明らかなように、市販の
FCC触媒及びカチオン交換スチブンサイト含有組成物
をそれぞれ単独で触媒として用いた場合(比較例1及び
2)に比べて、これらを混合した触媒組成物の場合(実
施例1〜3)の方が、広い混合割合の範囲に渡って、有
用留分であるガソリン(FG)留分とライトサイクルオ
イル(LCO)留分の合計の収率が高くなる。また、活
性(転化率)についても、市販のFCC触媒の場合(比
較例1)に比べて、これにカチオン交換スチブンサイト
含有組成物を添加した触媒の場合(実施例1〜3)の方
が高くなる。
【0068】
【表1】 FG:沸点216℃以下の液体成分; LCO:沸点2
16〜343℃の液体成分
【0069】
【表2】
【0070】
【発明の効果】本発明の方法においては、市販のFCC
触媒、残油FCC触媒等の従来のFCC触媒に特定の添
加剤すなわちカチオン交換スチブンサイト含有組成物を
添加してなる触媒組成物を開発し、これを触媒若しくは
触媒成分として用いている。この複合化した触媒組成物
は、FCCプロセスをはじめとする各種の石油系炭化水
素の接触分解反応に対して従来のFCC触媒より高い活
性(転化率)を発揮すると共に有用な中間留分(特にガ
ソリン留分及びLCO留分)の収率を向上させる優れた
触媒特性を有しているので、各種の石油系炭化水素系原
料油に対して接触分解反応を有利に行うことができ、特
に、減圧軽油や常圧残油等の重質な炭化水素類を含有す
る原料油からガソリン(FG)及びLCOという付加価
値の高い有用留分を高収率で効率よく生産することがで
きる。
【0071】このように、本発明によると、従来のFC
Cプロセスの効率を改善するのみならず、原油の重質化
に伴う原料油の重質化にも好適に対応することができる
優れた石油系炭化水素の接触分解方法を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】MAT評価法で評価した石油系炭化水素(VG
O)の接触分解反応の結果の例を示すグラフであり、本
発明の方法の場合の例(実施例1〜3)と従来の比較触
媒を用いた場合の例(比較例1、2)との比較を、実施
例1の(2)で得た組成物B(添加剤組成物)の含有量
(重量%)に対して、ガソリン留分(FG)とLCO留
分の合計収率をプロットして示したものである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石油系炭化水素を、流動床を用いて接触
    分解するにあたり、触媒として、FCC触媒にカチオン
    交換スチブンサイトを含有する組成物を添加してなる触
    媒組成物を使用することを特徴とする石油系炭化水素の
    接触分解方法。
  2. 【請求項2】 前記FCC触媒がゼオライト含有触媒で
    ある請求項1記載の石油系炭化水素の接触分解方法。
  3. 【請求項3】 前記カチオン交換スチブンサイトが、周
    期表IA、IB、IIA、IIB、IIIA、III
    B、IVA、IVB、VA、VB、VIA及びVIII
    族のうちのいずれかの族に属する元素の単核カチオン並
    びに周期表IB、IIA、IIB、IIIA、III
    B、IVA、IVB、VA、VB、VIA及びVIII
    族のうちのいずれかの族に属する1種又は2種以上の元
    素からなる多核カチオン、の中から選ばれる少なくとも
    1種のカチオンを該交換カチオンとして有するものであ
    る請求項1又は2記載の石油系炭化水素の接触分解方
    法。
  4. 【請求項4】 前記カチオン交換スチブンサイトが、
    H、Cu、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、La、C
    e、Al、Ga、Ti、Zr、Ge、Sn、V、Nb、
    Bi、Cr、Mo、Fe、Co及びNiのうちのいずれ
    かの元素の単核カチオン並びにCu、Mg、Ca、S
    r、Ba、Zn、La、Ce、Al、Ga、Ti、Z
    r、Ge、Sn、V、Nb、Bi、Cr、Mo、Fe、
    Co及びNiのうちの1種又は2種以上の元素からなる
    多核カチオン、の中から選ばれる少なくとも1種のカチ
    オンを該交換カチオンとして有するものである請求項1
    〜3いずれか記載の石油系炭化水素の接触分解方法。
  5. 【請求項5】 前記カチオン交換スチブンサイトが合成
    スチブンサイト系のものである請求項1〜4いずれか記
    載の石油系炭化水素の接触分解方法。
  6. 【請求項6】 前記添加剤として用いるカチオン交換ス
    チブンサイト含有組成物におけるマトリックス成分が、
    シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、ジ
    ルコニア、チタニア、アルミナ−ボリア及び粘土鉱物の
    うちの1種又は2種以上からなる成分である請求項1〜
    5いずれか記載の石油系炭化水素の接触分解方法。
  7. 【請求項7】 前記添加剤として用いるカチオン交換ス
    チブンサイト含有組成物が、カチオン交換スチブンサイ
    トを5重量%以上含有するものである請求項1〜6いず
    れか記載の石油系炭化水素の接触分解方法。
  8. 【請求項8】 前記触媒組成物が、前記カチオン交換ス
    チブンサイト含有組成物を、該触媒組成物100重量部
    あたり5〜70重量部添加してなるものである請求項1
    〜7いずれか記載の石油系炭化水素の接触分解方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1101247C (zh) * 1999-08-27 2003-02-12 中国石化集团齐鲁石油化工公司 一种催化裂化烟气硫转移剂及其制备方法
JP2007050404A (ja) * 2005-08-15 2007-03-01 China Petrochemical Corp 接触分解によるエチレンおよびプロピレン製造のための流動層触媒

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