JPH0631283Y2 - 直列配置型多管式貫流ボイラー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、水管の直列配置した多管式貫流ボイラーに
関するものである。

［従来の技術］ 一般に、小型の多管式貫流ボイラーの缶体構造は、円筒
形のものとされている。これは、バーナ等の加熱手段の
燃焼効率を良くするため、水管を環状に配置し、その内
部を燃焼室とするのが望ましいと考えられていることに
よる。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、このような缶体構造とすると、材料取り
の場合、材料の多くが円形をなし、歩留りが悪く、かつ
材料費がコスト高になる等の不具合がある。また、ボイ
ラーの設置場所や配置状態によっては、比較的大きなス
ペースが必要となっている。

［課題を解決するための手段］ この考案は、前記課題を解決するためになされたもの
で、複数本の水管を互いに平行に配置し、これら水管に
対して交叉方向に燃焼ガスを流通させる形式の多管式貫
流ボイラーにおいて、上部ヘッダーと下部ヘッダーと
を、複数本の直管状水管を所定の隙間をおいて縦列配置
してなる少なくとも２列の水管列によって連結して水管
ユニットを構成し、該水管ユニットに対して適当間隔を
有して対面するようにもう一つの水管ユニットを配置
し、該両水管ユニット間の一方の開口部に加熱手段を設
けるとともに、他方の開口部に該加熱手段に対向するよ
うに耐火壁を設け、該耐火壁および前記両水管ユニット
により燃焼室を形成し、前記両水管ユニットのそれぞれ
の外側に、当該両水管ユニットの最外側にそれぞれ位置
している水管列と一定間隔をおいてボイラー外壁をそれ
ぞれ設け、該両ボイラー外壁と前記最外側の両水管列と
の間に燃焼ガス通路をそれぞれ形成し、該両燃焼ガス通
路の前記耐火壁側終端部に、熱交換が終了した燃焼ガス
を燃焼排ガスとして系外へ排出する煙道を設けたことを
特徴としている。

［作用］ この考案によれば、加熱手段により燃焼室内で発生した
燃焼ガスは、まず輻射伝熱により燃焼室側の内側水管列
と熱交換を行い、各水管列における互いに隣接する水管
の隙間および外側水管列とボイラー外壁との間の燃焼ガ
ス通路を流通する過程において、各水管列と主として対
流伝熱による熱交換を行い、その後燃焼ガスは燃焼排ガ
スとなって煙道へ流入し、排ガスとして煙道から外部へ
流出する。

［実施例］ 以下、この考案の具体的実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図は、この考案の一実施例を示す多管式貫流ボイラ
ーの縦断面図であり、また第２図は、第１図の横断面図
である。

図面において、この実施例における多管式貫流ボイラー
の缶体構造は、基本的に、一対の水管ユニット１，１′
により構成されている。各水管ユニット１，１′は、そ
れぞれ複数本の直管状の水管を所定の隙間を保持して配
列した少なくとも２列の水管列１１，１２を備えてお
り、これら両水管列１１，１２をそれぞれ構成する各水
管の上下端は、蒸気室部として機能する上部ヘッダー２
と、また水室部として機能する下部ヘッダー３とにそれ
ぞれ連結されている。すなわち、各水管ユニット１，
１′は、２列の水管列１１，１２と上下のヘッダー２，
３とによりそれぞれ形成されている。

この各水管ユニット１，１′は、互いに適当間隔を有し
て対面するように対称的に配置されている。

そして、前記各水管ユニット管１，１′間の一側方の開
口部には、バーナ等の加熱手段４が設けられている。こ
の加熱手段４は、燃焼室負荷を高く設定した燃焼を可能
とするものが望ましく、たとえば燃焼面負荷の高いバー
ナが好適である。

また、前記各水管ユニット１，１′間の他側方の開口部
には、前記加熱手段４と対向するように耐火壁５が設け
られている。したがって、この耐火壁５と前記各水管ユ
ニット１，１′とにより燃焼室６が形成されている。

さて、前記各水管ユニット１，１′の両外側には、前記
各水管ユニット１，１′をそれぞれ取り囲むようにボイ
ラー外壁８，８が設けられている。これらの両ボイラー
外壁８は、前記水管ユニット１，１′において最外側に
それぞれ位置している水管列１２，１２と一定間隔をお
いてそれぞれ設けられており、両ボイラー外壁８と両水
管列１２との間にそれぞれ形成された空間部をそれぞれ
燃焼ガス通路７，７としている。

そして、これらの両燃焼ガス通路７の前記耐火壁５側の
終端部には、熱交換が終了した燃焼ガスを燃焼排ガスと
して系外へ排出する煙道９が設けられている。

さらに、前記両水管列１２における各水管には、前記両
燃焼ガス通路７側に面する範囲に、熱回収量を向上させ
るためのヒレ１０がそれぞれ固着されている。

以上の構成において、まずバーナ等の加熱手段４により
燃焼室６内に発生した燃焼ガスは、両水管ユニット１，
１′の対向面側に位置する内側の水管列１１，１１と主
として輻射伝熱によって熱交換を行う。

この後、燃焼ガスは、主として対流伝熱により熱交換を
行いながら、燃焼室６から内側の水管列１１，１１およ
び外側の水管列１２，１２における互いに隣接する水管
の隙間を流通するとともに、各水管列１２と両ボイラー
外壁８との間に形成された燃焼ガス通路７，７を流通す
る。両燃焼ガス通路７を流通した燃焼ガスは、その後燃
焼排ガスとなって煙道９へ流入し、排ガスとして煙道９
から系外へ排出される。

このような流通過程において、燃焼ガスは、燃焼室６か
ら燃焼ガス通路７に向けて各水管列１１，１２の隙間を
均等に流通するので、水管１本当りの加熱ムラがなくな
り、また燃焼ガスは各水管に対して直交して流通するの
で、熱回収率が格段に向上する。

さらに、前記の実施例に示すように、外側の水管列１
２，１２における各水管には、両燃焼ガス通路７側に面
する範囲に、熱回収量を向上させるためのヒレ１０をそ
れぞれ固着しているので、熱効率がさらに一段と向上す
ることになる。

［考案の効果］ 以上のように、この考案によれば、缶体構造を角形とす
る直列配置型多管式貫流ボイラーであるので、材料取り
の場合の歩留りが向上し、材料費の低コスト化を図るこ
とができる。

また、設置スペースについても、従来の円筒形のものに
比べ、省スペースとすることができ、この種のボイラー
を並列的に多缶設置する場合においても、場所の有効利
用を図ることができる。

しかも、この直列配置型多管式貫流ボイラーは、加熱手
段を水管列の側方に設けたので、熱効率の良好なボイラ
ーとすることができる。

さらに、缶体を水管ユニットを組み合わせて構成するよ
うにしたものであるので、蒸発量の異なるボイラーにお
いても互換性があり、管理，メンテナンスを簡単かつ容
易に行うことができる等、多大な実用上の特異な効果を
奏することができ、この種のボイラーとして頗る効果的
である。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の実施例を示すもので、第１図は、一
実施例を示す多管式貫流ボイラーの縦断面図、第２図
は、第１図のＡ−Ａ線の断面図である。 １……水管ユニット １′……水管ユニット ２……上部ヘッダー ３……下部ヘッダー ４……加熱手段 ５……耐火壁 ６……燃焼室 ７……燃焼ガス通路 ８……ボイラー外壁 ９……煙道 １０……ヒレ １１……内側の水管列 １２……外側の水管列

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数本の水管を互いに平行に配置し、これ
   ら水管に対して交叉方向に燃焼ガスを流通させる形式の
   多管式貫流ボイラーにおいて、上部ヘッダー２と下部ヘ
   ッダー３とを、複数本の直管状水管を所定の隙間をおい
   て縦列配置してなる少なくとも２列の水管列１１，１２
   によって連結して水管ユニット１を構成し、該水管ユニ
   ット１に対して適当間隔を有して対面するようにもう一
   つの水管ユニット１′を配置し、該両水管ユニット１，
   １′間の一方の開口部に加熱手段４を設けるとともに、
   他方の開口部に該加熱手段４に対向するように耐火壁５
   を設け、該耐火壁５および前記両水管ユニット１，１′
   により燃焼室６を形成し、前記両水管ユニット１，１′
   のそれぞれの外側に、当該両水管ユニット１，１′の最
   外側にそれぞれ位置している水管列１２，１２と一定間
   隔をおいてボイラー外壁８，８をそれぞれ設け、該両ボ
   イラー外壁８と前記最外側の両水管列１２との間に燃焼
   ガス通路７，７をそれぞれ形成し、該両燃焼ガス通路７
   の前記耐火壁５側終端部に、熱交換が終了した燃焼ガス
   を燃焼排ガスとして系外へ排出する煙道９を設けたこと
   を特徴とする直列配置型多管式貫流ボイラー。
2. 【請求項２】前記最外側の両水管列１２における各水管
   の前記燃焼ガス通路７側に面する範囲にヒレ１０をそれ
   ぞれ固着したことを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項に記載の直列配置型多管式貫流ボイラー。