JPH06273323A - 赤外吸収スペクトルatr測定用試料固定方法 - Google Patents

赤外吸収スペクトルatr測定用試料固定方法

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JPH06273323A
JPH06273323A JP6222293A JP6222293A JPH06273323A JP H06273323 A JPH06273323 A JP H06273323A JP 6222293 A JP6222293 A JP 6222293A JP 6222293 A JP6222293 A JP 6222293A JP H06273323 A JPH06273323 A JP H06273323A
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infrared absorption
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Takeshi Hamada
健 濱田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 赤外吸収スペクトルATR測定用試料固定の
際、高屈折率材料と試料との密着性を良好にする。 【構成】 高屈折率材料と試料を重ねて2枚の板で挟
み、その2枚の板をゴム膜で介したガス圧または液圧に
よって押しつける事によって、試料を高屈折率材料に均
一な力で密着させることを特徴とする赤外吸収スペクト
ルATR測定用試料固定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な赤外吸収スペクト
ルATR測定用試料固定方法に関するものである。更に
詳しくは、本発明は赤外吸収スペクトルATR測定用高
屈折率材料を破損する危険を最小限に押さえ、簡便に試
料をセット可能な赤外吸収スペクトルATR測定用試料
固定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】赤外吸収スペクトルは、数個程度の原子
団及び巨視的な数の原子集団の振動モードによる赤外線
の吸収スペクトルを測定したものであり、特に有機物質
の分子構造の同定に広く用いられてきた。
【0003】赤外吸収スペクトル測定技術の内赤外吸収
スペクトルATR法は、「FT−IRの基礎と実際」
(株式会社東京化学同人発行、1991年第1版第5刷
発行、p.67〜p.82)に記されているように、膜
状、板状の試料の表面近傍の測定を可能にする。そのた
めに、鋼板上の有機塗膜等の表面解析手段として広く用
いられてきた。赤外吸収スペクトルATR法の一般的な
測定方法は次の通りである。試料を特定の性質を有す
る板状の材料に密着させる。この材料板から試料へ赤
外線を入射させ、界面で全反射を起こさせる。入射光
強度に対する反射光強度比を測定する。
【0004】用いられる板状の材料は、界面での全反射
を起こさせるために高屈折率を有しており、かつ赤外吸
収スペクトルの測定波長域の光に対する吸光係数が小さ
い事等が求められる。この様な条件を満足する材料とし
て、KRS−5、Ge結晶、Si結晶等が一般に推賞さ
れている。
【0005】この様な材料の欠点として力学的に弱く、
破損し易い事が従来より知られている。ところが赤外吸
収スペクトルATR測定方法を再現性良くかつ定量的に
行うためには、高屈折率材料と試料とを均一にかつでき
るだけ完全に密着させる必要がある。これを実現するた
めに、図3に模式的に示したように、高屈折率材料13
と測定する試料12とを2枚の板14と板15で挟み込
み、これらの板をネジ16で締め付けて試料12と高屈
折率材料13との密着性を確保するという簡単な方法が
従来より行われてきた。このため試料12のセッティン
グの段階で、ネジ16の締め付けの不均一または試料1
2の平面性の欠如の為に、高屈折率材料13に不均一な
力がかかり、しばしばその破損に至る。特に試料12が
有機塗膜を塗布した鋼板であった場合等、試料の剛性が
高くかつ試料12が完全な平板でなく反りがある等の場
合には、試料12のセッティング時に高屈折率材料13
に不均質な力がかかり易く従ってその破損に至る頻度が
非常に高いものとなる。一般に赤外吸収スペクトルAT
R法に用いられる高屈折率材料は高価であり、赤外吸収
スペクトルATR測定にかかるコストが高いものにな
る。
【0006】図3に模式的に示したような従来の方法で
試料のセッティングを行ったときには、高屈折率材料の
破損による測定コストアップという問題以外にも、以下
に述べるような様々な問題が起こってくる。 試料のセッティング時のネジの締め付けは、非常に注
意して均一に力が掛かるように行う必要があり、その作
業に熟練を必要としかつ時間がかかる。 試料と高屈折率材料との密着性を確保している力の大
きさが把握できない。そのために、たとえネジの締め付
けが理想的に均一に行われたとしても、剛性が高くかつ
反りがある試料の場合に締め付けの力が強すぎて高屈折
率材料の破損に至るか、もしくはその力が弱すぎて十分
な密着性が確保されない。どちらにしても最適な締め付
けの力を定量的に把握する事ができない。さらには、赤
外吸収スペクトルATR測定に際して測定の定量性を確
保する上で不可欠な、試料と高屈折率材料との密着性の
再現性が保障されない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の赤外
吸収スペクトルATR測定方法のサンプルセッティング
時における欠点、即ちセッティングに熟練を要し時間が
かかる、高屈折率材料を破損し易い、高屈折率材料と試
料との密着性に関して再現性が保障されない為に測定結
果の定量性に関して再現性に欠ける等を解決する赤外吸
収スペクトルATR測定用試料固定方法を提供する事を
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、赤外吸収スペ
クトルATR測定時に試料を高屈折率材料に密着させる
方法において、前記高屈折率材料1枚を前記試料2枚に
よってサンドイッチ状に重ねて、または前記高屈折率材
料1枚と前記試料1枚を単に重ねて2枚の板で挟み、更
にその2枚の板をゴム膜を介したガス圧または液圧によ
って押しつける事によって、試料を高屈折率材料に均一
な力で密着させる事を特徴とする赤外吸収スペクトルA
TR測定用試料固定方法である。
【0009】
【作用】本発明者は、赤外吸収スペクトルATR測定方
法において試料を高屈折率材料に密着させる作業に際
し、ガス圧または液圧を応用する事によって簡便に、ま
た高価な高屈折率材料を破損する事なく、さらには均一
に再現性良く試料と高屈折率材料との密着性を確保する
事が可能となり、定量的に再現性の良い測定が実現でき
る事を見いだして本発明を完成した。
【0010】本発明で用いられる高屈折率材料はKRS
−5、Ge結晶、Si結晶等一般に赤外吸収スペクトル
ATR法で用いられるものが適用可能である。測定試料
は膜状、平板状のものであり、例えば鋼板状表面に塗布
した有機塗膜等が測定可能である。
【0011】図1に模式的に示したように、測定試料1
は測定すべき面を高屈折率材料2に接触させ、部品3と
部品5の間に挟み込む。その時、部品3には4本の足4
が付いており、この足4が部品5の4個の穴に各々入り
込む構造になっている。従って、部品3と部品5は相対
的に試料面または高屈折率材料の試料との接触面に対し
て垂直方向にのみ可動となっている。
【0012】部品7は部品3をガス圧または液圧によっ
て押すためのものである。部品3上部の試料測定面と平
行な面と接触する部品7の面には、使用するガスまたは
液体を実質上透過させないゴム膜9が張ってあり、この
ゴム膜9がガス圧または液圧によって下方に膨らむ事に
よって部品3を下方に押す構造となっている。
【0013】ここで、ゴム膜9が膨らむ事によって部品
3を部品5に対して押す、即ち試料1と高屈折率材料2
とを部品3と部品5によってある一定の圧力によって挟
み込むためには、ゴム膜9が膨らむ事によって部品7と
部品5との相対位置が実質的に変化しない事が必要であ
る。このことを実現するために、部品7と部品5の相対
位置を固定するための枠8が設置されている。枠8は、
測定試料1と高屈折率材料2、部品3と部品5そして部
品7がセットされた後に装着される。枠8の下部にはネ
ジ6が付いている。このネジを調節する事で、ゴム膜9
と部品3及び部品3と試料1、試料1と高屈折率材料2
そして試料1と部品5とを軽く接触させ固定する。ガス
圧または液圧は導入管10を経由し、そして空間部11
を介してゴム膜9に伝達される。部品3、部品5は、試
料1と高屈折率材料2との均一な密着を実現するため
に、十分な剛性を有している事が必要である。
【0014】図1及び図2には2枚の試料1によって高
屈折率材料2をサンドイッチ状に挟んだ様子が模式的に
描かれているが、試料1が1枚しかない場合にも、試料
1と高屈折率材料2を単に接触させて部品3と部品5で
挟み込む事によって赤外吸収スペクトルATR測定が可
能である。
【0015】ただし、試料1が1枚しかない場合には高
屈折率材料と部品3または部品5が直接接触する事とな
り、部品3または部品5の表面による赤外線の吸収が起
こる可能性がある。もしくは試料が非常に薄く、実質上
高屈折率材料の面上に非常に薄い(例えば、数10nm程
度の)薄膜として存在する場合にも、同様に部品3及び
部品5の表面による赤外線の吸収が起こる可能性があ
る。従って部品3と部品5の、試料1または高屈折率材
料2と接触する面は赤外線を吸収しないようなものであ
る事が望ましい。
【0016】ゴム膜9を通じて試料面にかける圧力は
0.1〜10kgf/cm2 程度の範囲で、試料に応じて選択
する事が可能である。圧力の発生は、例えば以下のよう
な簡単な方法によって行う事が可能である。まず図4に
模式的に示したように、100kgf/cm2 程度の圧力を有
する不活性ガスのボンベ17を用意する。そのガスボン
ベに、主減圧弁18(最大目盛りが200kgf/cm2 程度
のもの)、副減圧弁19(最大目盛りが50kgf/cm2
度のもの)、そして更にその下流に2つのニードルバル
ブ20と21を設置する。ゴム膜9にかける圧力源とし
ては、これら2つのニードルバルブ20と21の間にか
かる圧力を利用する事になる。すなわち、2つのニード
ルバルブ20と21の間にかかる圧力が導入管10を通
してゴム膜9にかかる圧力に等しくなる。ここで、圧力
調整中に過剰な圧力がゴム膜9にかかる事を防ぐ目的
で、導入管10と2つのニードルバルブ20と21の間
はストップバルブ22を設置して連結する事が好まし
い。最初はガスボンベ17、主減圧弁18、副減圧弁1
9、ニードルバルブ20とニードルバルブ21、そして
ストップバルブ22の全てを閉にしておく。まずガスボ
ンベ17を開にし、次いで主減圧弁18を開き主減圧弁
18と副減圧弁19との間に数10kgf/cm2 程度の圧力
をかける。次に副減圧弁19を開き、最終的にサンプル
面にかける圧力に応じて、副減圧弁19と上流のニード
ルバルブ20との間に1kgf/cm2 〜10kgf/cm2 程度の
圧力をかける。さらに、下流のニードルバルブ21を全
開にする。次いで上流のニードルバルブ20を徐々に開
き、ゴム膜9に掛けるべき圧力の10%〜20%程度に
相当する圧力を、2つのニードルバルブ20と21との
間にかける。ここで、2つのニードルバルブ20と21
との間の圧力は圧力計23によって測定する。そして、
下流のニードルバルブ21を徐々に閉じて2つのニード
ルバルブ20と21の間の圧力を、ゴム膜9にかけるべ
き圧力に等しくする。最後にストップバルブ22を開に
してゴム膜9に所定の圧力をかける。
【0017】試料1と高屈折率材料2を前述したように
セットし、所定の圧力をかけて均一な密着性を確保した
状態で赤外吸収スペクトル測定装置にセットし、測定装
置の試料室内を窒素ガス等で十分置換した後に、通常の
方法に従ってスペクトルの測定を行う。尚、バックグラ
ウンドの測定は試料1を抜いた状態で高屈折率材料2の
みをセットして、同様にして事前に測定しておく。
【0018】赤外吸収スペクトル測定終了後は、図1及
び図2に模式的に示した治具にセットした試料1を赤外
吸収スペクトル測定装置からはずす。図1及び図2に模
式的に示した治具から試料1をはずす手順は以下の通り
である。まず、上流側のニードルバルブ20を完全に閉
にする。次いで下流側のニードルバルブ21を全開にし
て2つのニードルバルブ20と21との間の圧力を常圧
に戻す。このときストップバルブ22が開になっている
事を確認する。ネジ6をゆるめて枠8をはずし、最後に
部品7と部品3をはずして試料1と高屈折率材料2を取
り外す。
【0019】
【実施例】以下に本発明の内容を具体的に説明するため
の実施例と比較例を示す。 (実施例1)厚さ約1mmの鋼板上に塗布した、厚さ約2
0μmのポリエステルとメラミン樹脂との混合有機被膜
を20mm×30mmの大きさに切りだした試料を2枚用意
した。これらの試料の有機被膜の赤外吸収スペクトルA
TR法による赤外吸収スペクトルを測定するために、高
屈折率材料として大きさが20mm×50mm、厚さが3mm
のゲルマニウム結晶(Ge結晶)を用意した。
【0020】まずバックグラウンドを測定するために、
Ge結晶を図1または図2に模式的に示した部品3と部
品5の間にセットした。次いで部品3の上に部品7をセ
ットし、更に全体を枠8にセットしてネジ6によってが
たがない程度に軽くGe結晶を部品3と部品5に接触さ
せた。次いでガスボンベの圧力を利用してゴム膜に約
0.5kgf/mm2 の圧力をかけた。ゴム膜9が部品3を押
している面積は40mm×50mmで、Ge結晶と部品3も
しくは部品5が接触している面積が20mm×50mmであ
ったので、実質試料をGe結晶に押しつけている圧力は
約1.0kgf/mm2であった。このバックグラウンド測定
のためのセッティングで、Geは破損しなかった。Ge
結晶をセットした治具をフーリエ変換赤外吸収スペクト
ル測定装置にセットし、試料室内を約30分間窒素ガス
置換を行った。その後に400cm-1〜4000cm-1の範
囲でエミッションモードで、バックグラウンドの測定を
行った。
【0021】次に、試料の測定のためにGe結晶を上述
の2枚の試料ではさみ、図1または図2に模式的に示し
た部品3と部品5の間にセットした。ここで、有機被膜
に関する赤外吸収スペクトルを測定するために有機被膜
とGe結晶を接触させた。そして、部品3の上に部品7
をセットし、更に全体を枠8にセットしてネジ6によっ
てがたがない程度に軽く試料をGe結晶に接触させた。
次いでガスボンベの圧力を利用してゴム膜に約3kgf/mm
2 の圧力をかけた。ゴム膜9が部品3を押している面積
は40mm×50mmで、試料面の面積が20mm×30mmで
あったので実質試料をGe結晶に押しつけている圧力は
約10kgf/mm2 であった。
【0022】この試料セッティングの手続きはこの試料
に対して10度行ったが、Ge結晶を破損する事なく行
う事ができた。更に、同一種の試料であるが別に切りだ
した10枚の試料に対しても、試料にかかる圧力が33
kgf/cm2 まではGe結晶を破損する事なく試料のセッテ
ィングを完了する事ができた。
【0023】試料をセットした治具を、上述のフーリエ
変換赤外吸収スペクトル測定装置にセットし、試料室内
を約30分間窒素ガス置換を行った。その後に400cm
-1〜4000cm-1の範囲で、エミッションモードでの有
機塗膜表面の赤外吸収スペクトルを測定した。
【0024】この様にして得られたエミッションモード
での有機塗膜表面の赤外吸収スペクトルを上述のエミッ
ションモードでのバックグラウンドでわり算を行って、
通常の透過スペクトル、更にはその対数を取る事によっ
てアブソープションモードでの通常の吸収スペクトルを
得た。
【0025】この様な吸収スペクトルの測定を、同一の
2枚の試料を用いて、試料のセッティングの段階から1
0回繰り返して、吸収スペクトル測定の定量性に関する
再現性の試験を行った。ただし、試料にかけた圧力は約
10kgf/cm2 で統一した。その結果、ポリエステル由来
の主ピークである1700cm-1付近のシグナルの吸光係
数の10回の測定値は、10回の測定の平均に対して±
4.5%以内の変動であった。また、メラミン樹脂由来
の主ピークである1550cm-1付近のシグナルの吸光係
数の10回の測定値は、10回の測定の平均に対して±
6.3%以内の変動であった。さらには、ポリエステル
由来の1700cm-1付近のシグナルの吸光係数に対す
る、メラミン樹脂由来の1550cm-1付近のシグナルの
吸光係数の比の10回の測定値は、10回の平均に対し
て±3%以内の変動に留まった。
【0026】(実施例2)実施例1で使用したものと同
様の、厚さ約1mmの鋼板上に塗布した、厚さ約20μm
のポリエステルとメラミン樹脂との混合有機被膜を20
mm×30mmの大きさに切りだした試料を1枚用意した。
この試料の有機被膜の赤外吸収スペクトルATR法によ
る赤外吸収スペクトルを測定するために、実施例1と同
様に高屈折率材料として大きさが20mm×50mm、厚さ
が3mmのゲルマニウム結晶(Ge結晶)を用意した。
【0027】実施例1と同様に、まずバックグラウンド
を測定するために、Ge結晶を図1または図2に模式的
に示した部品3と部品5の間にセットした。次いで部品
3の上に部品7をセットし、更に全体を枠8にセットし
てネジ6によってがたがない程度に軽くGe結晶を部品
3と部品5に接触させた。次いでガスボンベの圧力を利
用してゴム膜に約0.5kgf/mm2 の圧力をかけた。ゴム
膜9が部品3を押している面積は40mm×50mmで、G
e結晶と部品3もしくは部品5が接触している面積が2
0mm×50mmであったので、実質試料をGe結晶に押し
つけている圧力は約1.0kgf/mm2 であった。このバッ
クグラウンド測定のためのセッティングで、Geは破損
しなかった。
【0028】実施例1と同様に、Ge結晶をセットした
治具をフーリエ変換赤外吸収スペクトル測定装置にセッ
トし、試料室内を約30分間窒素ガス置換を行った。そ
の後に400cm-1〜4000cm-1の範囲でエミッション
モードで、バックグラウンドの測定を行った。
【0029】次に、試料の測定のためにGe結晶と上述
の1枚の試料を接触させ、図1または図2に模式的に示
した部品3と部品5の間にセットした。ここで、有機被
膜に関する赤外吸収スペクトルを測定するために有機被
膜とGe結晶を接触させた。そして、部品3の上に部品
7をセットし、更に全体を枠8にセットしてネジ6によ
ってがたがない程度に軽く試料をGe結晶に接触させ
た。次いでガスボンベの圧力を利用してゴム膜に約4kg
f/mm2 の圧力をかけた。ゴム膜9が部品3を押している
面積は40mm×50mmで、試料面の面積が20mm×30
mmであったので実質試料をGe結晶に押しつけている圧
力は約13.2kgf/mm2 であった。
【0030】この試料セッティングの手続きはこの試料
に対して10度行ったが、Ge結晶を破損する事なく行
う事ができた。更に、同一種の試料であるが別に切りだ
した5枚の試料に対しても、試料にかかる圧力が33kg
f/cm2 まではGe結晶を破損する事なく試料のセッティ
ングを完了する事ができた。
【0031】試料をセットした治具を、上述のフーリエ
変換赤外吸収スペクトル測定装置にセットし、試料室内
を約30分間窒素ガス置換を行った。その後に400cm
-1〜4000cm-1の範囲で、エミッションモードでの有
機塗膜表面の赤外吸収スペクトルを測定した。
【0032】この様にして得られたエミッションモード
での有機塗膜表面の赤外吸収スペクトルを上述のエミッ
ションモードでのバックグラウンドでわり算を行って、
通常の透過スペクトル、更にはその対数を取る事によっ
てアブソープションモードでの通常の吸収スペクトルを
得た。
【0033】この様な吸収スペクトルの測定を、同一の
2枚の試料を用いて、試料のセッティングの段階から1
0回繰り返して、吸収スペクトル測定の定量性に関する
再現性の試験を行った。ただし、試料にかけた圧力は約
13.2kgf/cm2 で統一した。その結果、ポリエステル
由来の主ピークである1700cm-1付近のシグナルの吸
光係数の10回の測定値は、10回の測定の平均に対し
て±3.9%以内の変動であった。また、メラミン樹脂
由来の主ピークである1550cm-1付近のシグナルの吸
光係数の10回の測定値は、10回の測定の平均に対し
て±5.8%以内の変動であった。さらには、ポリエス
テル由来の1700cm-1付近のシグナルの吸光係数に対
する、メラミン樹脂由来の1550cm-1付近のシグナル
の吸光係数の比の10回の測定値は、10回の平均に対
して±2.7%以内の変動に留まった。
【0034】(比較例)実施例1と同様に、厚さ約1mm
の鋼板上に塗布した、厚さ約20μmのポリエステルと
メラミン樹脂との混合有機被膜を20mm×30mmの大き
さに切りだした試料を2枚用意した。これらの試料の有
機被膜の赤外吸収スペクトルATR法による赤外吸収ス
ペクトルを測定するために、高屈折率材料として大きさ
が20mm×50mm、厚さが3mmのゲルマニウム結晶(G
e結晶)を用意した。
【0035】Ge結晶と試料をセットするための治具と
して図3に模式的に示した従来タイプのものを用いた。
まずバックグラウンドを測定するためにGe結晶を部品
14と部品15ではさみ更にネジ16によって徐々に締
め付けた。このセッティングではGe結晶は破損しなか
った。Ge結晶をセットした治具をフーリエ変換赤外吸
収スペクトル測定装置にセットし、試料室内を約30分
間窒素ガス置換を行った。その後に400cm-1〜400
0cm-1の範囲でエミッションモードで、バックグラウン
ドの測定を行った。
【0036】次いで、試料の測定のためにGe結晶を上
述の2枚の試料ではさみ、図3に模式的に示した部品1
4と部品15の間にセットした。ここで、有機被膜に関
する赤外吸収スペクトルを測定するために有機被膜とG
e結晶を接触させた。そしてネジ16によって徐々に締
め付けたところ、Ge結晶が破損してしまった。これは
切りだした試料板にわずかに反りがあった事と、4本の
ネジ16の締め付け具合がアンバランスになったためと
考えられる。そこで別に切りだした試料と新しいGe結
晶を用意して上に述べたのと同様にGe結晶と試料をセ
ットし、ネジ16によって締め付ける力を非常に弱くし
てGe結晶の破損を防止し、不完全ながらGe結晶と試
料との接触を保った。
【0037】この様に試料をセットした治具を、上述の
フーリエ変換赤外吸収スペクトル測定装置にセットし、
試料室内を約30分間窒素ガス置換を行った。その後に
400cm-1〜4000cm-1の範囲で、エミッションモー
ドでの有機塗膜表面の赤外吸収スペクトルを測定した。
【0038】この様にして得られたエミッションモード
での有機塗膜表面の赤外吸収スペクトルを上述のエミッ
ションモードでのバックグラウンドでわり算を行って、
通常の透過スペクトル、更にはその対数を取る事によっ
てアブソープションモードでの通常の吸収スペクトルを
得た。
【0039】この様な吸収スペクトルの測定を、同一の
2枚の試料を用いて、試料のセッティングの段階から1
0回繰り返して、吸収スペクトル測定の定量性に関する
再現性の試験を行った。ただし、試料にかけた圧力は知
る事ができなかった。また、Ge結晶の破損を防止する
ためにネジ16の締め付けの程度は非常に弱くした。そ
の結果、ポリエステル由来の主ピークである1700cm
-1付近のシグナルの吸光係数の10回の測定値は、10
回の測定の平均に対して±30%程度の変動であった。
また、メラミン樹脂由来の主ピークである1550cm-1
付近のシグナルの吸光係数の10回の測定値は、10回
の測定の平均に対して±25%程度の変動であった。さ
らには、ポリエステル由来の1700cm-1付近のシグナ
ルの吸光係数に対する、メラミン樹脂由来の1550cm
-1付近のシグナルの吸光係数の比の10回の測定値は、
10回の平均に対して±10%程度の変動を有してお
り、定量性の再現性に欠ける結果となった。この結果
は、Ge結晶の破損を防止するために、Ge結晶に対し
て試料を押し付ける力を弱く設定せざるを得ず、かつ試
料セッティング毎のGe結晶と試料との接触条件が一定
でなかった事を反映している。
【0040】以上のように、本発明の方法によれば、ポ
リエステル由来の1700cm-1付近のシグナルのメラミ
ン樹脂由来の1550cm-1付近のシグナルの吸光係数の
比の10回の測定値の平均値に対する変動は±3%程度
であり、比較例の±10%程度に比べて1/3であり、
極めて再現性が高い。
【0041】
【発明の効果】本発明の赤外吸収スペクトルATR測定
用試料固定方法は、高屈折率材料と試料との接触を与え
るセッティングが容易であり、かつ試料を高屈折率材料
に押し付ける力が均一であり更にそのセッティングの再
現性に優れている。そのために、試料セッティングを含
めた測定時間の短縮、高価な高屈折率材料を破損する事
がないための赤外吸収スペクトルATR測定にかかるコ
ストの低減、そして測定の定量性の再現性の大幅な改善
に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いる治具の側面からみた模式
図。
【図2】図1に示す治具の前面からみた模式図。
【図3】従来の固定方法の例を示す模式図。
【図4】図1に示した治具に圧力を供給するためのライ
ンの模式図。
【符号の説明】
1 試料 2 高屈折率材料 3 部品 4 足 5 部品 6 ネジ 7 部品 8 枠 9 ゴム膜 10 導入管 11 空間部 12 試料 13 高屈折率材料 14 板 15 板 16 ネジ 17 ガスボンベ 18 主減圧弁 19 副減圧弁 20 ニードルバルブ 21 ニードルバルブ 22 ストップバルブ 23 圧力計

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤外吸収スペクトルATR測定時に試料
    を高屈折率材料に密着させる方法において、前記高屈折
    率材料1枚の上下面に前記試料を密着させ、次いで、そ
    の上下面を板状部品で挟み、更に前記板状部品の上下面
    のいずれか1面をゴム膜を介したガス圧または液圧によ
    って押し、試料を高屈折率材料に均一な力で密着させる
    事を特徴とする赤外吸収スペクトルATR測定用試料固
    定方法。
  2. 【請求項2】 赤外吸収スペクトルATR測定時に試料
    を高屈折率材料に密着させる方法において、前記高屈折
    率材料1枚の上下面のいずれか1面に前記試料を密着さ
    せ、次いで、その上下面を板状部品で挟み、更に前記板
    状部品の上下面のいずれか1面をゴム膜を介したガス圧
    または液圧によって押し、試料を高屈折率材料に均一な
    力で密着させる事を特徴とする赤外吸収スペクトルAT
    R測定用試料固定方法。
JP6222293A 1993-03-22 1993-03-22 赤外吸収スペクトルatr測定用試料固定方法 Withdrawn JPH06273323A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6507396B1 (en) * 1998-06-18 2003-01-14 Herman Philip Godfried Spectroscopic analyzing arrangement

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