JPH06214198A - 多焦点コンタクトレンズおよびその製造方法 - Google Patents

多焦点コンタクトレンズおよびその製造方法

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JPH06214198A
JPH06214198A JP27480593A JP27480593A JPH06214198A JP H06214198 A JPH06214198 A JP H06214198A JP 27480593 A JP27480593 A JP 27480593A JP 27480593 A JP27480593 A JP 27480593A JP H06214198 A JPH06214198 A JP H06214198A
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lens
optical
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distance
mold
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JP27480593A
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English (en)
Inventor
Jeffrey H Roffman
ジェフリー・エイチ・ロフマン
Carl C Crowe
カール・ジー・クロウィ
Michel Guillon
ミッシェル・ギロン
Brian S Armitage
ブライアン・エス・アーミテージ
Timothy R Poling
ティモシィー・アール・ポリング
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Johnson and Johnson Vision Products Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 老眼水晶体と協働して角膜上に集光する多焦
点コンタクトレンズおよびその製造方法を提供する。 【構成】 レンズ後面(角膜に接する側)の光学領域1
0を2領域に分割し,それぞれに異なる光学度数を与
え,レンズ前面全体の光学度数と合成した度数が丁度こ
のレンズ着用者の近用レンズと遠用レンズの光学度数に
一致するように形成する。このレンズは,その前面と後
面の曲面と丁度逆の曲面をもった前面用と後面用の2つ
の成型用金型を使用した成型技術により容易に製作する
ことが可能である。また光学領域の分割数は2に限ら
ず,3以上にして,それぞれに適当な光学度数を与えれ
ば任意の多重焦点距離をもったコンタクトレンズが得ら
れることは明らかである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンタクトレンズに係
り、特に(レンズの光学的な)度もしくは焦点距離を1
個より多く有するコンタクトレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】人間は年をとるにつれて、比較的近くに
ある対象物に焦点を合わせるための眼の調節機能、すな
わち水晶体の屈曲機能が衰えることはよく知られてい
る。この状態は老眼と呼ばれているが、これまで老眼に
なった患者は、対象物に眼の焦点を合わせるのに適当な
度を得るためには、異なった度を有するたくさんの領域
を有する眼鏡その他のレンズを使用していた。
【0003】このような眼鏡は、通常遠距離用の度は上
部に、また近距離用の度はそれ以外の箇所に与えられて
おり、見ようとする対象物の距離に応じて、眼鏡の中で
視点を移動させるようにつくられている。しかし、コン
タクトレンズの場合は、そのような視点の移動は簡単で
はない。水晶体と協同して働くコンタクトレンズは、様
々な方向から角膜の各部に入射した光について、網膜の
各部に焦点を合わせ、網膜に像を結ぶ。これは、明るい
光に対して瞳孔が収縮したときでも、網膜上の像は縮小
せず、むしろ水晶体の狭い箇所を通して入射する光が像
の形成に与っているという事実によって実証されてい
る。
【0004】当業者には、一定の状況下では、人間の脳
は、焦点領域の像を受け入れ、また焦点外の像は拒絶す
ることによって別個の互いに競合する像を識別できるこ
とが知られている。
【0005】この種の老眼矯正用のコンタクトレンズで
遠近両方の視界を同時に与えるものは、米国特許第4,92
3,296 号(エリクソン[Erickson])に記載されている。
この特許では、片方の眼のレンズは遠距離用の度の部分
が下方に、また近距離用の度の部分が上方にあり、もう
片方の眼のレンズは、遠距離用の度の部分が上方で、近
距離用の度の部分が下方にあるというレンズ系が使用さ
れている。このレンズ系は、少なくとも部分的には鮮明
な像を両眼に与え、また不鮮明な像は脳が隠蔽すること
により焦点領域の像については鮮明なものを与えるとあ
る。しかし、このレンズ系は、上述の効果を得るため、
レンズが眼の上の適当な位置に配置(定位)されるよ
う、その周縁部にバラストもしくは重しを必要とする。
【0006】米国特許第4,890,913 号(ドゥ・カール[d
e Carle])は、異なる度を有する多数の円形の区画を含
んだ二焦点コンタクトレンズを記載している。この特許
によれば、視覚領域はレンズの前面と後面の間に分布す
ることになっているが、レンズの前面と後面が、近距離
と遠距離の視力矯正のため、協働して光学的な度を与え
るとは書いていない。
【0007】二焦点レンズのもう一つの例は、米国特許
第4,704,016 号(ドゥ・カール[deCarle])に紹介され
ている。このレンズは異なる屈折率を有する異なる材料
を用いるか、または異なる視界領域をレンズの後面に形
成することにより構成される。しかし、この文献も、レ
ンズの前面と後面が、遠距離用の焦点距離と近距離用の
焦点距離に対応して度に差異を設けるよう協働するレン
ズについては触れていない。
【0008】屈折率が異なり、異なる焦点距離を有する
いくつかのゾーンを有するレンズは、これまでは理論的
なものに留まり、実際に製造されてはいなかった。とこ
ろで、コンタクトレンズの製造は、伝統的にスピンコー
ティングや旋盤による正確な切削により行われている。
これらの製法によると、放射方向に対称なレンズができ
るが、このようなレンズは、焦点距離が互いに異なる非
環状のエリアを設けることがきわめて困難である。これ
は、レンズの周りに複数の異なる曲率を機械的に形成す
ることは、もしそれが環状でないとすると、「牛の眼」
をつくるという不可能な業になるためである。
【0009】業界で複雑な製法によらずに老眼を矯正す
る方法として知られているのは、「モノヴィジョン(mon
ovision)」という方式である。このモノヴィジョンシス
テムにおいては、患者は片方の眼に近距離用のコンタク
トレンズを、またもう片方の眼に遠距離用のコンタクト
レンズを装着する。このモノヴィジョン方式によると、
患者は遠距離と近距離の両方の対象物を識別はできる
が、両眼の視差により遠近感をつかむ機能はかなり失わ
れる。
【0010】このため、モノヴィジョンのような簡単な
システムはいくらか考えられてはいるものの、多焦点レ
ンズのためには、より複雑な機構が理論的には関心の的
になっている。
【0011】老眼矯正用多焦点レンズのもう一つの試み
は、光の回折を利用する方法である。しかし、この方法
の欠点は、前述の放射状に対称で遠距離用と近距離用の
同心的なゾーンを備えた多焦点レンズと同じように、近
距離において、とりわけ光量が少ないときに見にくいと
いうことである。この回折方式によれば、レンズに入射
する光の約40%が近距離を見るのに使われ、また他の
40%が遠距離を見るのに使用される。しかし残りの2
0%は、遠距離用にも近距離用にも使用されず、高次の
回折と散乱のために失われる。しかも、これは理論的に
最もよい方に見積もった場合のものであって、実際には
製造上の困難のため、より少ない量の光しか利用できな
い。回折レンズの製造が一般的に困難であることは、回
折面が光の波長のオーダーの誤差しか許容しないという
他の欠点も生み出す。
【0012】より実用的な多焦点コンタクトレンズは、
現在係属中の米国特許出願第728,903 号(1991年1
0月7日出願)に記載されている。このコンタクトレン
ズは、角膜に効率的に集光して遠近両方の像を与えるよ
う、少なくとも2つの互いに異なる度を有する複数のセ
グメントからなる非定位型の多焦点レンズである。ここ
では、第1のセグメントのセットには遠距離用の第1の
度を与え、他方第2のセグメントのセットには近距離用
の第2の度を与える。これらのセグメントは、好ましく
は、瞳孔の径が変化してもそれぞれの光学的な度をもつ
領域の比が一定に留まるように配置される。これはセグ
メント間の境界がレンズの中央部から始まり、直線状も
しくは弧状にレンズの光学領域の外縁方向に延びるよう
にすることで達成される。また、この発明によれば、そ
のような多焦点レンズを製造するための方法も提供され
る。この方法は異なる度のためには複数のレンズ面用の
型を用い、セグメントが均等な大きさでかつ相互に交換
可能となるよう、型の中心から周縁に延びる境界線に沿
って、レンズ面を分割したセグメントをそれぞれ製造す
る。そして、この後は各型を集め、レンズ面用の複合型
を形成するよう合わせられる第1と第2の型に応じたセ
グメントが互いに合体される。
【0013】多焦点セグメント分離型コンタクトレンズ
を改良したものが、もう一つの係属中の米国出願第7/82
7,199 号(1992年1月28日出願)に記載されてい
る。それは、多焦点セグメントの中の一つがレンズの中
央ゾーンを占めるという特徴を有する多焦点コンタクト
レンズである。セグメント間の境界線は、その両端が近
距離用セグメントと遠距離用セグメントの隣接する境界
線に接する半円のような弧状をなす。このセグメントの
設計は、上述のレンズと違って、セグメントの境界線を
中央の光軸から外すという利点を有する。
【0014】上述の2つの出願に提案されているレンズ
は機能的で、またその製造方法はコンタクトレンズを型
取りする上では実用的なものであるが、2つの点で改良
の余地がある。
【0015】一つは、コンタクトレンズの着用感であ
る。コンタクトレンズの着用感は、大部分がコンタクト
レンズの表面が眼の角膜および瞼と滑らかに接するかど
うかできまる。しかし、上述の各出願で得られるレンズ
では、角膜への刺激を避けるのにコンタクトレンズの前
面に互いに度の異なる2つの光学面をさらに載置する。
すると、度の違う光学面同士は高さが異なるため、瞼の
内側に接するような段差を生み出し、依然として瞼を刺
激し、レンズのずれを招くことにもなりかねない。
【0016】その上、上述の出願に記載されたレンズの
製法は、度の異なる各型を注意深く組合わせる必要があ
る。この方法は一応実現は可能であるが、近距離用と遠
距離用で度の組合せを違える度に、そのような型同士を
注意深く組合せなければならないという必要は、ない方
が好ましい。
【0017】
【発明の目的】そこで、本発明は上述の出願に係るコン
タクトレンズの利点を保持しながら、同時に度の異なる
光学面の高さの違いに伴う段差から生ずる欠点を最小限
にとどめる多焦点コンタクトレンズを提供することを目
的とする。
【0018】本発明はまた、多焦点で度を複数有するレ
ンズにおいて、その光学セグメント間の境界における光
学的不連続に伴うフレアを最小にすることを目的とす
る。
【0019】本発明はさらに、複数のセグメントに分割
された多焦点レンズの製造方法であって、新しい度の組
合せの度に、型をつくるのに、光学的な度の異なる表面
同士を注意深く分離しかつ接合する必要のない方法を提
供する。
【0020】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、本発明に
係る、レンズ後面(眼の角膜に接する側)の光学領域に
おける第1の部分での第1の光学的な度と、レンズ後面
の光学領域における第2の部分での第2の光学的な度
と、レンズの前面全体にわたる光学領域における第3の
光学的な度を有する多焦点コンタクトレンズによって達
成される。本発明のコンタクトレンズにおいては、前記
第1の部分における第1の光学的な度は、前記レンズ前
面における第3の光学的な度と協働して、基本的な遠距
離視力矯正用の度を与え、一方前記第2の部分における
第2の光学的な度は、前記第1の光学的な度より正の値
の度合いが大きく、この差に基づいて、前記レンズ前面
の第3の度と協働して、近距離視力矯正用の度を与え
る。
【0021】本発明のタイプの二焦点コンタクトレンズ
は、型を使って容易に製造することができる。第1およ
び第2の度を有する光学表面と反対形をなす凸形の型表
面は、レンズの後面用である。第3の度を有する光学表
面と反対形をなす凹形の型表面は、レンズの表面用で、
第1の度の表面と合わせて遠距離矯正用の所望の基本的
な度を達成し、また第2の度の表面と合わせて近距離矯
正用の所望の基本的な度を達成する。所望の光学的な度
は、これら二つの型の間でコンタクトレンズを型取りす
ることによって得られる。
【0022】
【実施例】本発明のコンタクトレンズは、前に述べた2
つの係属中の米国出願に記載された態様における基本的
な利点はいずれも保持している。すなわち、本発明に係
るコンタクトレンズは、特定の放射方向に位置を定める
ための定位用重し、バラスト、プリズムなどは不要であ
る。本発明のレンズにおいては、近距離用の焦点距離を
もつ領域と、遠距離用の焦点距離をもつ領域は、等面積
で、かつ瞳孔の大きさに左右されない。この瞳孔の大き
さと無関係であるという特徴は、近距離用の焦点距離領
域と遠距離用の焦点距離領域の面積比が、レンズ内にあ
ってレンズと同心のいかなる円内においても同じである
ときに達成される。
【0023】図1a,1bおよび1cには、本発明の最
も簡単な態様が、それぞれコンタクトレンズ後面の型面
平面図、コンタクトレンズ表面の型面平面図およびこれ
らの型から得られるコンタクトレンズの平面図により表
されている。この態様においては、レンズの光学領域1
0に、中央が楔形で、周回方向に近距離用領域と遠距離
用領域が交代する光学面が設けられている。この光学領
域10は、レンズ部20によって包囲されている。ただ
し、光学領域10は、レンズの周縁まで延びるように設
計することも可能である。
【0024】図1cに示された多焦点非定位型のコンタ
クトレンズは、図1aに示したような、第1と第2の度
を有するセグメントを備えたコンタクトレンズの後面用
の型によって与えられた1つの面を、図1bに示したよ
うな、コンタクトレンズの表面用の型によって与えられ
る第3の度を有するコンタクトレンズ前面、およびレン
ズ材料の嵩によって与えられる屈折力と組合せた結果と
して得られる。
【0025】一つの例を示すと、−3.50ジオプトル
の遠距離用視力矯正を必要とし、さらに近距離を視るた
めには+2.00ジオプトルの屈折力の追加が必要な、
典型的な二焦点の視力矯正を必要とする患者は、これま
では、−3.50ジオプトルと−1.50ジオプトルの
度を有する型片から得られる2つの前面の一方を選択し
なければならなかった。したがって、これらの型片は上
述の要求される屈折力の組合せを得るため、注意深く接
合されなければならなかった。
【0026】しかし本発明によれば、コンタクトレンズ
前面の遠距離領域における屈折力が−3.5ジオプトル
の、典型的な単一の度を有する遠距離矯正用の型表面を
使うだけでよい。そして、レンズの後面に通常用いられ
る第1の度と比較して+2.00ジオプトルの差を生じ
させる、第2の度をもつ、セグメントに分割されたレン
ズ後面用の単一の型片を選択する。
【0027】こうして詳細に説明したように、上述の例
のレンズは、凹形後面の第1の光学領域において、第1
の度−47.620ジオプトルを有する。これは第1の
光学領域に係る後面の曲率半径が8.400mmであるこ
とから達成され、−3.50ジオプトルの矯正を与える
単焦点距離レンズに使用されるものと同じである。一
方、後面第2の光学領域は、曲率半径が8.768mm
で、第2の度−45.620ジオプトルの屈折力を有す
る。
【0028】また、レンズの前面の第3の光学領域は、
曲率半径が9.086mmで、光学領域の全体にわたって
第3の度−44.022ジオプトルの屈折力を有する。
この曲率半径および度も、正味の度が−3.50ジオプ
トルの単焦点距離レンズ用のものと同じである。
【0029】今度の例のレンズはetafilcon A製で、そ
の1.4ジオプトルの屈折率は0.070mmの厚さに相
当し、この厚みによる効果でレンズの組合せ面全体にわ
たって0.098ジオプトルだけ度を増加させる。
【0030】その結果、レンズは、その後面の頂点にお
ける度(遠距離用)が、第1の度(後面について)、第
3の度(前面について)およびレンズ全体の度を合わせ
て-47.620 + 44.022 + 0.098 = -3.500 ジオプトルとな
り、これは単焦点距離コンタクトレンズの典型的な度に
等しい。しかし、レンズ後面の第2の度は、+2.00
ジオプトルで、後面第1の度より大きい。そして第3の
度(レンズ前面について)および厚レンズの矯正的な度
と組み合わされると、後面頂点における正味の度は、-4
5.620 + 44.022 + 0.098 = -1.500 ジオプトルとなる。
【0031】レンズ後面用の型が、一旦それが何であ
れ、基礎的なレンズ前面の度を与える表面、および特別
の近距離用に追加される度との関連において製造される
となると、複数の型片を注意深く接合する必要はなくな
る。そして、レンズ後面の光学領域における適当な度の
追加もしくは差引により、いかなるレンズ前面の遠距離
用矯正屈折力とも組合せが可能であるという適合可能性
(flexibility) が、所望のいかなる遠距離および近距離
用屈折率の組合せに対しても、その製造を可能にする。
【0032】片方の眼に遠距離用のレンズ、もう片方の
眼に近距離用のレンズを装着する「モノヴィジョン」方
式は、本発明のセグメントに分割する方式と基本的に似
通ってはいるが、大ざっぱな近似でしかない。当業者な
らば、このモノヴィジョン方式では、患者は遠距離と近
距離の両方の対象物を識別はできるが、両眼の視差によ
り遠近感をつかむ機能はかなり失われるということが分
るであろう。
【0033】本発明のコンタクトレンズの場合は、装着
者は、両眼においてそれぞれ遠距離用と近距離用の焦点
距離を得るため、両方の距離について良好な視力を得る
ことができるだけでなく、両眼の視差を利用した立体視
もかなりの程度可能になる。
【0034】非定位型の多焦点コンタクトレンズを提供
しようというこれまでの試みにより、同心円的な遠距離
焦点部と近距離焦点部をもったレンズが開発され、レン
ズにバラストを設ける必要はなくなった。この種のレン
ズは、本発明によっても得られるわけであるが、本明細
書で述べるレンズ設計のものが好ましい。なぜなら、こ
こで述べるものは、遠距離焦点部と近距離焦点部の面積
比が、一定ないしほぼ一定であるからである。図1と図
2から分るように、本発明のレンズは、従来のレンズと
違って、近距離用のセグメントと遠距離用のセグメント
の面積が等しい。これは、レンズと同心円的な円内の面
積は、その円の大きさがいかなるものであっても、眼に
入射する光量に応じて拡大・縮小する瞳孔のそれに類似
しているからである。
【0035】こうして、本発明のコンタクトレンズは、
遠距離焦点部と近距離焦点部の面積比が、その半径にか
かわらず一定、ないし瞳孔の大きさにより制御される関
数となる。
【0036】非球面のレンズ片は、本発明のコンタクト
レンズの1もしくはそれ以上の光学面に用いることがで
きるが、この非球面レンズ片によれば、縁部の厚さを均
一かつ最小にでき、また光学領域10とレンズ部20の
間の接合を滑らかなものにすることができる。これは球
面レンズでは不可能である。本発明のレンズは、光学的
な種々の要求を満たす球面レンズ片を用いて設計するこ
ともできるが、特にレンズの後面においては、非球面レ
ンズ片を使用すると、各光学領域間の段差を最小にして
眼への刺激を極力少なくすることができる。
【0037】コンタクトレンズ用非球面レンズ片の望ま
しい設計については、米国特許第5,050,981 号に記載さ
れている。
【0038】球面もしくは非球面レンズ片を用いた近距
離セグメントと遠距離セグメント間の段差を少なくする
方法は、他にもある。図2には、レンズ後面のセグメン
トの境界を弧状としたものが、特に中間地点での高さの
差を小さくするために用いられている。
【0039】セグメント間の境界を弧状にすると、両セ
グメント間の高さの勾配に対してある角度をなして境界
線を形成することができ、セグメント間の高低差を少な
くできる。実際には、境界線に用いる円弧は、その一端
をレンズの中心ないしほぼ中心に、またもう一端を光学
領域10の縁部に設ける。典型的に用いられる円弧は、
円弧の半径が弦より長いもの、例えば両者の比が2:1
のものである。この円弧半径:弦の長さの比は、良好な
結果を生む。一方、円弧がちょうど半円の場合など、円
弧半径:弦の長さの比が2:1より小さいものも用いら
れることがある。
【0040】円弧状のセグメント境界線は、図2に示す
ように対称形を保って、レンズ上に設けられる。
【0041】多焦点レンズにおけるセグメント間の境界
を弧状にすると、実質的に両セグメント間の勾配に沿っ
た境界というよりも、両セグメント間の高さの勾配に対
してある角度をなして境界を引くことになるため、セグ
メント間の段差が少なくなる。
【0042】コンタクトレンズ用の精密な型を使った、
高品質で再現性のよい成形技術によれば、複雑な曲率・
表面をもったレンズをつくることも可能になる。型とい
うものは、当業者にはよく知られているように、どんな
形であれ一旦できてしまえば、たとえそれが複雑なもの
であってもいくらでも再現することができ、かつ簡単な
形のものと比べても、コスト高ということはほとんどな
い。
【0043】したがって、本発明のレンズは、成形によ
りつくるのが好ましい。好ましい成形方法は、米国特許
第4,495,313 号および同第4,889,664 号に記載されてい
る。これらの特許に係る方法においては、レンズ表面の
型は、レンズを直接型取るように形成されるのではな
く、一旦可塑性のスチレン製型をつくるのに使用される
金属面から取り外し、ついでレンズをつくるのに用いら
れる。本明細書においては、「型」という語は、これま
でレンズをつくるのに用いられてきたあらゆる型を指
す。すなわち、レンズを直接形成する表面だけでなく、
最終的にレンズをつくる型をつくるのに用いられる表面
をも指す。
【0044】セグメントに分割された多焦点の表面を含
む金属製の型は、従来の球面もしくは非球面の型の中か
ら適当なレンズの度を与えるものを選び出すことによっ
て得られる。上述の例においては、そのような型は、レ
ンズ前面については−3.50ジオプトルの度を有する
表面、またレンズの後面についてはそれにさらに+2.
00ジオプトルの度の差を与える表面をもつものとな
る。
【0045】レンズ後面用の型の表面は、ある光学的な
度を有する表面と、これとさらに+1.50ジオプトル
の度の差をもつ曲率の表面を組合せて得られる。これら
の型表面は、ついで互いに似通っていて容易に交換の可
能なセグメントに切り取られる。好ましくは、セグメン
トの切断は、レンズの中心点を通ってレンズ表面の直径
に相当する長さの線に沿って行うのがよい。これら金属
製の型は、電動の機械を使い、材料の損失がなく、かつ
切断面を光学用に研磨することで非常に精密な整合が得
られるよう、精確に切り取られる。
【0046】このようにして得られた型は、所望のレン
ズ後面用の表面を形成するため、互いに組み合わされ、
接合される一方、基本的な遠距離の度を与える前面のも
のと合わせて最終的にコンタクトレンズをつくり出す。
セグメントに分割されたレンズの後面は、基本的な度を
与えるレンズの前面とは独立に使用される。これらセグ
メントは互いに結合されるが、後に何らかの形で再使用
するために分離されることはない。
【0047】遠距離焦点領域と近距離焦点領域を与える
面の面積が等しく、かつこの面積比が瞳孔の径にかかわ
らず維持されるというのは本発明の利点の一つである
が、瞳孔径に応じて上記両焦点領域が不均一な面積比を
有するレンズというのも、本発明によりつくることがで
きる。これは、光量が少ないという条件下では近くのも
のを見ることが特に困難になるため、ときには有利にな
ることもある。
【0048】本発明のさらに他の態様によれば、近距離
焦点領域と遠距離焦点領域の面積比は、瞳孔径の関数に
することができる。例えば、瞳孔径が小さいときは両焦
点距離領域の面積は等しい。しかし、例えば光量が少な
いという条件の下などで瞳孔径が大きくなると、光学領
域の縁部における各セグメント(焦点距離領域)の面積
比が変わって、近距離焦点領域の遠距離焦点領域に対す
る面積比が大きくなる。このような両焦点距離領域間の
面積比を調節するだけでなく、両領域間の遷移点を調整
することも簡単である。そのような配置は、上述の手順
で最初のレンズ用の型をつくった後で、成形により簡単
に実現することができる。
【0049】図3は、半円形の境界線で区分けされた近
距離用セグメントと遠距離用セグメントを有するレンズ
の平面図である。さらに、この境界線は、光学領域10
の中心部を外れて通っている。
【0050】このように、この態様は、前述の各態様と
違って、各セグメントの中央の接合点を含む中央の光軸
から、セグメントの境界線を外すという利点を有する。
【0051】特別の場合として、遠距離用セグメントが
光学領域の中央部を占有するという態様もある。遠近両
距離用セグメント間の半円形の境界は5.165mm の直径も
ち、光学領域縁部の中央部にその中心を有する。この場
合レンズの直径は、典型的には14mmであり、中央の光
軸から両セグメント境界線までの最小の距離は1.5mm
である。
【0052】さらに、双曲線状の弧をなすセグメント境
界線を使うと、遠近両焦点距離領域の面積比を等しく保
ちながら、同じように光学領域中央部に境界線のないレ
ンズを得ることができる。
【0053】この特殊なセグメント構成を有するレンズ
において、双曲線状弧の境界線は次の式で与えられる: y=x2 / [rs +√{rs 2−(k+1)x2}] (ここでrs =0.4535およびk=−1.25であ
る。)
【0054】上述の式は放物線を与えるものであるが、
kの値によって楕円、双曲線あるいは放物線を含む円錐
曲線となる。
【0055】この場合、レンズの光軸から遠近両距離用
セグメントの境界線までの最小距離は0.75mmであ
る。しかし、双曲線状弧の境界線の場合、レンズ中央部
の近距離焦点領域の面積はいくらか減少するが、この減
少分は、レンズの縁部における近距離焦点領域面積の増
大によって相殺される。
【0056】図3に示したように、レンズ後面の型は、
その型の表面を全部切り取るだけでなく、その該当領域
を機械的な研磨にかけても形成することができる。当業
者にとっては自明のことであるが、もし光学的な表面が
ひとつの部品片として機械にかけられない場合には、適
当な度をもった型を、まず電動のワイヤ付き機械で適当
な曲線に沿って精密切断し、ついで研磨にかけるという
上述の方法でレンズをつくることができる。セグメント
をレンズ縁部の非光学領域に到る分まで切り取ること
は、滑らかな表面を形成するために、適切に整合される
ならば、大して重要なことではない。
【0057】これまでの説明は単なる例示であり、本発
明の範囲内で種々の変形例を生み出すことは可能であろ
う。
【0058】本発明の具体的な実施態様は次の通りであ
る。 1)前記レンズ後面の第1の部分と第2の部分は半円形
の境界線で区切られる請求項1記載の多焦点コンタクト
レンズ。 2)前記レンズ後面の第1の部分と第2の部分は円錐曲
線をなす境界線で区切られる請求項1記載の多焦点コン
タクトレンズ。 3)前記第1および第2の度は、凹形の型片について、
前記光学領域の第1および第2の度の反対の面を有する
凹形の型表面を形成する工程によって与えられ、また前
記第3の度は、凸形の型片について、前記光学領域の第
3の度の反対の面を有する凸形の型表面を形成する工程
によって与えられ、さらに前記凹形と凸型の型片の間で
前記コンタクトレンズを成形する工程を含む請求項2記
載の方法。 4)前記レンズ後面の光学領域においてそれぞれ第1お
よび第2の度を与える際、同光学領域における前記第1
および第2の部分の間に半円形の境界線を形成する工程
を含む前記実施態様3)記載の方法。 5)前記レンズ後面の光学領域においてそれぞれ第1お
よび第2の度を与える際、同光学領域における前記第1
および第2の部分の間に円錐曲線の境界線を形成する工
程を含む前記実施態様3)記載の方法。
【0059】
【発明の効果】以上説明した、光学領域の後面に第1お
よび第2の度を有し、また光学領域の表面に第3の度を
有する本発明のコンタクトレンズは、これまでの非定位
型多焦点コンタクトレンズに比べていくつかの顕著な改
良点を有する。
【0060】この改良点は、眼と接触するコンタクトレ
ンズの後面に段差を設けることで得られる。すなわち、
セグメント間の不連続は、涙液で充填され、セグメント
間に連続的な遷移が得られ、また光学的なゾーン間に遷
移を伴うレンズにおいて通常見られる回折フレアの問題
も減少する。
【0061】また、本発明のコンタクトレンズのもう一
つの利点は、このコンタクトレンズが瞼の裏側に接触し
ないということである。したがって、レンズと人間の組
織との間の相対的な移動や、不快感およびレンズの偏心
は、典型的な単焦点レンズより大きくなることはない。
【0062】本発明の第3番目の利点は、コンタクトレ
ンズの製造プロセスが大幅に簡略されるということであ
る。度が異なるセグメントを用いてレンズの型を組立て
る(この場合は一つのレンズ表面に遠距離用と近距離用
の度をもつ光学表面を載せるため注意深く接合しなけれ
ばならない)よりも、別々の表面用の型が保持され、つ
いで特別の二焦点レンズ用に組み合わされる。すなわ
ち、光学的な度の違いは、後面用の型の表面でつくられ
る。そして、後面用の型はついで、最終的なレンズの多
焦点特性を効率的につくり出すため、容易に形成される
いくつかの表面用の型と組み合わされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a),(b)および(c)は、それぞれ
後面用の型、表面用の型およびこれらの型から得られる
レンズの光学面を示す平面図である。
【図2】図2(a),(b)および(c)は、図1とは
異なる幾何学的構成を有するコンタクトレンズについ
て、それぞれ後面用の型、表面用の型およびこれらの型
から得られるレンズの光学面を示す平面図である。
【図3】図3(a),(b)および(c)は、さらに図
1および図2と異なる幾何学的構成を有するコンタクト
レンズについて、それぞれ後面用の型、表面用の型およ
びこれらの型から得られるレンズの光学面を示す平面図
である。
【符号の説明】
10 コンタクトレンズの光学領域 20 コンタクトレンズのレンズ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジェフリー・エイチ・ロフマン アメリカ合衆国、32223 フロリダ州、ジ ャクソンビル、ブラディ・プレイス・ブー ルバード 12389 (72)発明者 カール・ジー・クロウィ アメリカ合衆国、32223 フロリダ州、ジ ャクソンビル、プランテーション・オーク ス・ドライブ 1731 (72)発明者 ミッシェル・ギロン イギリス国、エス・ダブリュー 1・ヴィ 3 イー・ワイ、ロンドン、ラパス・ス トリート 53 (72)発明者 ブライアン・エス・アーミテージ アメリカ合衆国、32216 フロリダ州、ジ ャクソンビル、チャペルウッド・レーン 3160 (72)発明者 ティモシィー・アール・ポリング アメリカ合衆国、32223 フロリダ州、ジ ャクソンビル、レムラー・ドライブ・ウェ スト 12434

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 老眼となった水晶体と協働して眼の角膜
    上に集光するための多焦点コンタクトレンズであって、 レンズ後面の光学領域における第1の部分での第1の光
    学的な度と、 レンズ後面の光学領域における第2の部分での第2の光
    学的な度と、 レンズ前面の光学領域における第3の光学的な度を有
    し、 前記第1の部分における第1の光学的な度は、前記レン
    ズ前面における第3の光学的な度と協働して、基本的な
    遠距離視力矯正用の度を与え、 前記第2の部分における第2の光学的な度は、前記第1
    の光学的な度より正の値の度合いが大きく、前記レンズ
    前面の第3の度と協働して、近距離視力矯正用の度を与
    えるコンタクトレンズ。
  2. 【請求項2】 前面と後面にそれぞれ光学領域を有する
    多焦点コンタクトレンズの製造方法であって、 前記レンズ後面の光学領域の第1の部分に第1の度を与
    える工程と、 前記レンズ後面の光学領域の第2の部分に第2の度を与
    える工程と、 前記レンズ前面の光学領域に第3の度を与える工程を備
    える方法。
JP27480593A 1992-10-07 1993-10-07 多焦点コンタクトレンズおよびその製造方法 Pending JPH06214198A (ja)

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US95792292A 1992-10-07 1992-10-07
US957922 1992-10-07

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AU (1) AU4886693A (ja)
BR (1) BR9304171A (ja)
CA (1) CA2107828A1 (ja)
CZ (1) CZ208693A3 (ja)
FI (1) FI934388A (ja)
IL (1) IL107205A0 (ja)
NO (1) NO933571D0 (ja)
TW (1) TW268102B (ja)

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AU4886693A (en) 1994-04-21
FI934388A0 (fi) 1993-10-06
CZ208693A3 (en) 1994-08-17
TW268102B (ja) 1996-01-11
NO933571D0 (no) 1993-10-06
IL107205A0 (en) 1994-01-25
FI934388A (fi) 1995-04-07
BR9304171A (pt) 1994-04-12
CA2107828A1 (en) 1994-04-08

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