JPH06207893A - 放射能測定用生物組織の溶解法 - Google Patents

放射能測定用生物組織の溶解法

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JPH06207893A
JPH06207893A JP5926593A JP5926593A JPH06207893A JP H06207893 A JPH06207893 A JP H06207893A JP 5926593 A JP5926593 A JP 5926593A JP 5926593 A JP5926593 A JP 5926593A JP H06207893 A JPH06207893 A JP H06207893A
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horn
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liquid scintillation
biological tissue
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Hiroaki Ishikawa
寛昭 石河
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液体シンチレーション測定用の放射能を含む
多数の生物組織を同時に迅速に溶解する。 【構成】 液体シンチレーション測定用のポリエチレン
試料容器3の中に放射能を含む生物組織1と酸またはア
ルカリなどの試薬2を入れ,BLT8とホーン4の接合
体を数個連結したホーンの表面5から放出された超音波
を試料容器3の外部から加えて,試薬2中でキャビテー
ション7と高温を発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,液体シンチレーション
測定における放射性同位元素を含む生物組織の溶解法に
関する。
【0002】
【従来の技術】液体シンチレーション測定において,放
射性同位元素を含む生物組織は,放射性同位元素から放
出されるβ線を検出するために液状に溶解されなければ
ならない。4級水酸化アンモニウム化合物,2Nの水酸
化ナトリウム,濃硝酸,過酸化水素または過塩素酸など
の試薬1mlとともに100−300mg程度の生物組
織を液体シンチレーション測定用試料容器中に入れる
と,生物組織は化学反応により徐々に溶解する。組織の
種類によっても多少異なるが,完全に溶解するまでは通
常数時間を要する。
【0003】このような溶解法については,石河寛昭著
「最新液体シンチレーション測定法」南山堂130〜1
32頁(1992)および草間慶一著「トレーサ実験
法」上生化学実験講座6東京化学同人,102〜110
頁(1977)に詳述されている。
【0004】生物組織の溶解にこのような長時間を要す
ることは,液体シンチレーション測定分野における長年
の大きな問題であった。
【0005】このほか,超音波による生物細胞または組
織の破砕法もある。生物試料は水と一緒に容器中に存在
し,容器の外部または内部から超音波が試料に対して照
射される。この場合,生物試料は血球や微生物などの細
胞またはごく微量の組織に限られ,100mg以上の組
織を10分以内で破砕することはできない。
【0006】このことは次の理由に基づく、すなわち,
超音波による生物試料の破砕後,試料は化学分析され
る。そのため、容器中では超音波伝達の媒体として水し
か使用できない。他の試薬を使用すると化学分析が困難
となる。さらに,超音波照射中に試料は,熱による試料
の変質を防ぐために,容器外部の水流によって冷され
る。放射性同位元素を含む生物組織の場合には,溶解後
の化学分析は全く不要であるため,このような方法によ
る組織の溶解法は行なわれない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の溶解法では、放
射能を含む生物組織の溶解法としては余りにも長時間を
要し,数時間あるいはそれ以上の経過後でなければ液体
シンチレーション測定による放射能決定ができなかっ
た。
【0008】
【課題を解決しようとする手段】液体シンチレーション
測定用試料容器中に生物組織と酸またはアルカリを入れ
たものに強力な超音波をあててキャビテーションおよび
高温を発生させ,さらにはポリエチレン製試料容器の使
用により問題点を解決している。
【0009】
【作用】試料容器中の生物組織および酸またはアルカリ
などの試薬に超音波を照射すると,試薬中でキャビテー
ション(空洞現象)が発生する。キャビテーション自体
は直ちに崩壊するが,崩壊のさいに数百気圧に相当する
衝撃的エネルギーを放出する。この衝撃的エネルギーに
より生物組織が破壊されると同時に試薬の温度が10分
以内に50℃以上に上昇する。
【0010】従って,試薬は常温では化学反応により生
物組織を徐々に長時間後に溶解するが,試薬が高温とな
るためこの化学反応は著しく促進される。さらに,キャ
ビテーションが生物組織に対して衝撃的破壊力を与えて
溶解させる。すなわち,生物組織に対して化学的溶解力
と衝撃的破壊力の両者が同時に作用する相乗効果により
強力な溶解力が生じ,100mgから300mgまでの
固形の生物組織が十分以内に完全に溶解する。
【0011】なお,超音波を試料容器の外部から照射す
るため,ポリエチレンが最も超音波をよく透過させるの
で,ポリエチレン製試料容器が最適であることが判明し
た。
【0012】
【実施例】以下本発明を詳細に説明する。放射線の一種
であるβ線を放射するβ放出体を生物に投与して,β放
出体が生物体内のどの部分に集まり,どのように分布す
るかということを調べて物質の代謝を知ることができ
る。このさい,生物組織の一部分を取り出し,組織中に
存在するβ放出体の放射能が測定される。生物組織中の
放射能を知るには,生物組織を溶解して液状にする必要
がある。生物組織が溶解すると液体シンチレータと均質
に混合され,組織中のβ放出体の放射能が正確に求めら
れる。例えば,動物組織としては,肝臓,膵臓,腎臓,
胃,腸,筋肉,皮膚など,植物組織としては,根,茎,
葉などが挙げられる。液体シンチレータは有機蛍光体,
キシレン(またはトルエン),界面活性剤より成るβ線
の検出体であって,β線を光子に変換する作用を有す
る。
【0013】生物組織が固形のままであると,組織の内
部に存在するβ放出体が液体シンチレータと接触できな
いので,β線の検出が不可能となる。組織を溶解する試
薬としては,硝酸,塩酸,過塩素酸,過酸化水素,第四
級水酸化アンモニウム化合物,水酸化カリウムや水酸化
ナトリウムの水溶液などがある。ポリエチレン試料容器
にこのような試薬1mlと100〜300mgの生物組
織を入れる。
【0014】試薬中の組織には試料容器以外の他物体を
接触させることはできない。他物体を接触させると,組
織中のβ放出体が他物体に付着するために放射能の正確
な測定ができなくなる。従って,水媒体を通して超音波
エネルギーを試料容器の外部から加えて試薬中でキャビ
テーションを発生させる。
【0015】試料容器は必ず液体シンチレーション測定
用のものでなければならない。もし,別種の試料容器を
使用すると,溶解液を液体シンチレーション測定用試料
容器に移し変えなければならない。この移し変えのさい
に溶解液中のβ放出体の一部分が別種の試料容器に付着
し残留するため,正しい放射能決定が困難となる。本試
料容器は,直径27mm,高さ62mmの円筒型で,ス
クリュー・キャップが付いており,材質はホウケイ酸ガ
ラス,ポリエチレン,テフロン,石英などに規格化され
ている。本発明では,これらの材質のうちポリエチレン
が最も超音波の透過性が優れていることが明らかとなっ
たので常にポリエチレン試料容器を使用している。
【0016】本発明の目的は,100〜300mgの質
量を有する多数の生物組織を同時に10分以内で溶解さ
せることであり,目的達成のためには次の手段を構じ
た。 (1)酸またはアルカリ試薬の使用 (2)キャビテー
ションの発生 (3)試薬温度の50℃以上の上昇 (4)ポリエチレ
ン試料容器の使用 (5)単位面積当り約4Wの超音波エネルギーの発生 (6)ホーンの連結使用による出力面積の拡大
【0017】以下図1によって説明する。生物組織1は
1mlの試薬2と一緒にポリエチレン試料容器3に入れ
られいる。ホーン4の表面5から放出された超音波は水
6と試薬2を照射してこれらの液体中でキャビテーショ
ン7を生ずる。約10分間照射で液体温度は約60℃と
なる。
【0018】次に図2によって説明する。1個のホーン
4の表面5の面積は36cmであるが,最大20個の
試料容器3が同時に超音波照射されるように,ホーン4
とBLT8を組合わせたものを5個連結している。ホー
ンの表面5には超音波伝達の媒体として水6が供給され
ている。ボルト締めランジュバン型振動子BLT8から
効果的なキャビテーションが得られるように21KHz
の超音波が発生する。BLT8は,直径5cmの焼結さ
れた4個の電歪型のジルコン酸チタン酸鉛(PZT)の
振動素子9を重ね合わせ,その両面がアルミニウム材1
0でボルト締めされた構造になっている。BLT8で発
生した超音波はホーン4に移行する。ステンレス鋼でで
きている5個のホーン4は5個のBLT8とボルトで接
続されており,ホーンの表面5から振幅17μm,4W
/cmの強力な超音波が放出される。ホーン4を使用
すると超音波エネルギーが増加するだけではなく広い放
出面積も得られる。
【0019】BLTには周波数21KHz,電圧100
0Vの高周波が供給される。高周波は,図3によって示
されているように,AC100Vの入力から,整流,発
振および増幅の各回路によって得られ,最終的にホーン
の表面から21KHz,4W/cmの超音波が放出さ
れる。
【0020】得られた結果の例は表1に挙げられてい
る。試薬としては2Nの水酸化ナトリウム水溶液を用
い,温度は約22℃の室温から10分後には約60℃に
上昇した。ねずみの各組織は迅速に溶解することが明ら
かである。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】本発明では次の効果が得られる。液体シ
ンチレーション測定用のβ放出体を含む生物組織の溶解
に従来数時間あるいはそれ以上の時間を要したが,本発
明によると10分以内という比較にならないほどの短時
間で迅速かつ完全に溶解する。得られた試料状態は分子
状で溶解しているので粘調性はなく水のようにさらっと
しいてる。液体シンチレーション測定に関する生物組織
の溶解に長時間を要することはこの分野における大きな
問題であり,使用者が大変困惑していた。他に良い方法
が考えられなかったために,従来法が約30年間継続さ
れていたが,本発明によりこの問題は完全に解決され
た。なお,本発明は生化学でよく用いられる濾紙の溶解
にも適用可能である。試料を有するセルローズ系濾紙は
試料とともに数分で溶解して液状になるので液体シンチ
レーション測定のさいに多大の便宜が得られる。
【0023】
【図面の簡単な説明】
図1および図2は本発明の放射能測定用生物組織の溶解
法の実施例を示す縦断面図である。図3は本発明におけ
る装置の機構の概略図である。
【符号の説明】
1 生物組織 2 試薬 3 ポリエチレン試料容器 4 ホーン 5 ホーンの表面 6 水 7 キャビテーション 8 BLT 9 PZT 10 アルミニウム材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体シンチレーション測定用試料容器中
    に酸性またはアルカリ性の試薬と放射性同位元素を含む
    生物組織を入れ,ホーンの表面から放出された単位面積
    当り2W以上の超音波を試料容器の外部から試薬に照射
    し,試薬中でキャビテーションを発生させるとともに,
    試薬の温度を10分以内で50℃以上まで上昇させるこ
    とを特徴とする生物組織の溶解法。
  2. 【請求項2】 試料容器は液体シンチレーション測定用
    として規格化されており,しかもポリエチレン製である
    請求項1記載の溶解法。
  3. 【請求項3】 超音波の振動素子とホーンを接合したも
    のを数個連結して,ホーンの全表面積が90cm以上
    で,10個以上の試料容器を同時にホーンの表面上に置
    けるようにした請求項1記載の溶解法。
JP5926593A 1992-02-14 1993-02-09 放射能測定用生物組織の溶解法 Pending JPH06207893A (ja)

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JPH05223940A (ja) 1993-09-03

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