JPH0616698A - ポリクローナル抗体の分離精製方法 - Google Patents

ポリクローナル抗体の分離精製方法

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JPH0616698A
JPH0616698A JP23372291A JP23372291A JPH0616698A JP H0616698 A JPH0616698 A JP H0616698A JP 23372291 A JP23372291 A JP 23372291A JP 23372291 A JP23372291 A JP 23372291A JP H0616698 A JPH0616698 A JP H0616698A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】抗原特異抗体以外に抗原非特異抗体を含むポリ
クローナル抗体から、抗原特異抗体にとって穏和な条件
下でかつ簡便に、抗原特異抗体を分離精製する方法を提
供する。 【構成】ヒドロキシアパタイトを担体とするカラムクロ
マトグラフィーを用いて、抗原非特異抗体を含有するポ
リクローナル抗体から抗原特異抗体を分離精製すること
を特徴とするポリクローナル抗体の分離精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ある抗原に特異的に反
応する抗体(本明細書において抗原特異抗体という。)
および該抗原と特異的には反応しない抗体(本明細書に
おいて抗原非特異抗体という。)を含有するポリクロー
ナル抗体から、抗原特異抗体を穏和な条件下で簡便に分
離精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】モノクローナル抗体は、単一の抗体結合
部位を有する抗原特異抗体であり、免疫学の研究手段、
臨床診断、治療および物質の精製等に有用である。モノ
クローナル抗体を得る手段として、ケーラーとミルスタ
インにより開発された作製方法があり〔ネイチャー、2
56巻、495−497ページ(1975年)、ヨーロ
ピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー、6巻、51
1−519ページ(1976年)〕、この方法により得
られるモノクローナル抗体は、抗原特異性のみならず、
クラス、サブクラスおよび抗原に対する結合力等におい
て均一であるという優れた特長を有する。しかし、この
方法によりモノクローナル抗体を作製するためには、種
々の煩瑣な工程が必要であり、特に抗原特異抗体の産生
細胞をスクリーニングするのに時間を要し、また細胞培
養専用の設備等を使用するために高い経費を必要とする
という問題がある。
【0003】臨床検査或いは免疫学の研究手段に応用し
得る程度に、抗原特異抗体を精製する簡便な方法とし
て、数種類の吸着操作を施し、ポリクローナル抗体を分
離精製する方法がある。このような分離精製法として、
例えばプロテインG、プロテインAまたは抗原などをセ
ファロースに結合させたアフィニティゲルなどを用いる
方法がある。しかし、アフィニティゲルを用いた抗原特
異抗体の分離精製法は、吸着した抗原特異抗体をゲルか
ら溶出させる際に、抗原特異抗体にとって過酷な酸また
はアルカリ性液体を溶離液として使用する必要があるた
め、分離精製後、抗原特異抗体の活性が低下することが
あり、また費用も高いという問題がある。
【0004】最近、穏和な条件で簡便に抗体を分離する
方法として、ヒドロキシアパタイトを担体とするカラム
クロマトグラフィーを用いる方法が試みられている。例
えば、特開昭63−146896号公報において、各種
クラスまたはサブクラスに分類されるモノクローナル抗
体、およびマウス、ヒト、ウサギ等の血清免疫グロブリ
ン(いずれもIgG、コーンの分画2)を分離した例が
示されている。一般に、抗原特異性および型(クラス、
サブクラス)は、互いに全く独立した抗体の特性であ
り、抗体を抗原特異性により分離することができる可能
性と、抗体を型により分離することができる可能性とは
全く相関がない。上記公開特許公報に記載された抗体の
分離例は、クラスまたはサブクラスにより抗体を分離す
ることができる可能性について検討したものであり、ヒ
ドロキシアパタイトを担体とするカラムクロマトグラフ
ィーにより、ポリクローナル抗体中に本来含有される抗
原特異抗体と、不純物として含有される抗原非特異抗体
とを分離することができることを示した例は今までに見
当たらない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、抗原特異抗
体以外に抗原非特異抗体を含むポリクローナル抗体か
ら、抗原特異抗体にとって穏和な条件下でかつ簡便に、
抗原特異抗体を分離精製する方法を提供するものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するため鋭意検討した結果、ヒドロキシアパタイ
トを担体としたカラムクロマトグラフィーは、ポリクロ
ーナル抗体から抗原特異抗体を分離するのに有効な手段
であることを見出し、本発明を完成するに至った。即
ち、本発明はヒドロキシアパタイトを担体とするカラム
クロマトグラフィーを用いて、抗原非特異抗体を含有す
るポリクローナル抗体から抗原特異抗体を分離精製する
ことを特徴とするポリクローナル抗体の分離精製方法で
ある。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける分離精製の対象は抗原非特異抗体を含有するポリ
クローナル抗体である。ポリクローナル抗体は、動物を
ある抗原(A)で免疫した抗血清からイムノグロブリン
として得られるものである。従って、ポリクローナル抗
体中には、抗原(A)と特異的に反応する抗体(A)が
抗原特異抗体として常に含有される。一方、動物を抗原
(A)で免疫する以前に、動物体内における免疫応答に
より抗体(X)が産生されており、又動物を抗原(A)
で免疫する際、多くの場合抗原(A)と共に、他の種類
の抗原(B)も不純物として動物内へ混入するため、抗
原(B)とは特異的に反応するが、抗原(A)と特異的
に反応しない抗体(B)も産生される。本発明において
分離精製の対象とされるポリクローナル抗体には、これ
ら抗体(X)または抗体(B)が抗原非特異抗体として
含有される。
【0008】本発明において分離精製の対象とするポリ
クローナル抗体を得るための動物、およびその動物を免
疫するために使用する抗原(A)には、全く制限がな
く、動物としては、例えば牛、馬、羊、兎および鼠等が
あり、抗原(A)としては、例えば、牛血清アルブミ
ン、牛ガンマグロブリン、卵アルブミン、ヒザラガイヘ
モシアニン、卵白リゾチームおよび精製ツベルクリン蛋
白等の蛋白抗原;デキストラン、フィコールおよびリポ
多糖糖の多糖類抗原;羊赤血球、リンパ球および腫瘍細
胞等の細胞性抗原;DNP、TNPまたはBPO等のハ
プテン基を、蛋白、多糖体または細胞等のキャリヤーに
結合させた人工抗原等がある。本発明によりポリクロー
ナル抗体を高精度で分離精製しようとする場合、抗原
(A)で動物を免疫する際に不純物として混入する抗原
(B)の割合を少なくすることが好ましい。
【0009】本発明において使用するカラムの担体はヒ
ドロキシアパタイトであり、通液性が優れることから、
好ましい担体は六角柱状または針状ヒドロキシアパタイ
トからなる凝集体であり、より好ましくは細孔容積が1
〜5ml/g、更に好ましくは細孔容積が1.5〜3ml/gの
六角柱状または針状ヒドロキシアパタイトからなる凝集
体である。細孔容積が1〜5ml/gの六角柱状または針状
ヒドロキシアパタイトからなる凝集体を使用すると、カ
ラムの目詰まりを起こし難く、工業的規模で大量のポリ
クローナル抗体を分離するのに好適であり、被分離液が
分離・精製し難いタンパク質等の高分子物質を含有する
場合でも、常圧下で十分な高流速が得られ、長時間の処
理も可能である。ここで細孔容積とは、ヒドロキシアパ
タイト凝集体に含まれる細孔の全容積のことをいい、水
銀接触角を130゜とし、表面張力を484dyn/cmとす
る条件下で、水銀圧入法により、測定される値である。
細孔容積が1ml/g未満では、十分な流速が得られ難いほ
か、目詰まりを起こし易く、又抗体の吸着量も十分では
ない恐れがあり、他方、細孔容積が5ml/gを越えると、
凝集体の強度が長時間使用するには充分ではない恐れが
ある。
【0010】また、本発明におけるヒドロキシアパタイ
トとして、六角柱状または針状ヒドロキシアパタイトの
凝集体を使用する場合、好ましい平均粒子径は、60〜
100μmであり、ヒドロキシアパタイト凝集体のう
ち、粒径10μm未満の微小凝集体の割合が1vol%以下
であることが好ましい。粒径10μm未満の微小凝集体
の割合が1vol%を越えると、これらの微小凝集体が細孔
に入り込み、目詰まりを起こし易く、分離性能が低下す
る原因となり、さらに、カラムにヒドロキシアパタイト
凝集体を充填する際、上澄みに存在する微粒子をデカン
テーションで除去する必要性が生じることがある。
【0011】六角柱状または針状ヒドロキシアパタイト
は、例えばモネタイトの六角柱状または針状結晶を合成
し、しかる後にアルカリ添加によりヒドロキシル化して
製造することが出来るが、1〜5ml/gの好ましい細孔容
積を持つヒドロキシアパタイト凝集体とするには、六角
柱状または針状のモネタイト結晶を加熱下アルカリ処理
する際に、使用するアルカリとしてKOHまたはLiO
Hを選択することが好ましい。
【0012】本発明の分離精製方法では、カラムの充填
率を10%以下にすることが好ましく、より好ましくは
カラムの充填率を2〜8%、更により好ましくは3〜5
%にする。充填率が10%を越えると、常圧下で充分な
流速が得られ難い恐れがある。ここで、充填率(P)は
下式で算出される値である。
【0013】充填率は、ヒドロキシアパタイト凝集体の
粒度分布および細孔容積等により容易に制御することが
できる。このように低い充填率を有するカラムを調製す
るには、前記のヒドロキシアパタイト凝集体を溶媒中に
分散させ、適当な濃度のスラリー状になったものをカラ
ムに充填すればよい。ヒドロキシアパタイトを分散させ
る好ましい溶媒としては、カラムクロマトグラフィーを
行う際に用いる溶液、例えば、1〜10mM燐酸緩衝液が
ある。
【0014】本発明の分離方法は、カラムクロマトグラ
フィー法によりポリクローナル抗体を分離精製するもの
であり、具体的には例えば以下の操作により実施するこ
とができる。即ち、担体をカラムに詰め、ポリクローナ
ル抗体をカラムに注入することにより、担体にポリクロ
ーナル抗体を吸着させる。その後、適当な移動相液を供
給することにより、担体に吸着させたポリクローナル抗
体を、担体への分配の小さいものから順次溶出させる。
分配が大きいポリクローナル抗体を分離する場合は、移
動相液の組成を変化させて固定相への分配を小さくして
溶出させることが好ましい。本発明の分離方法は、常圧
下で充分に実施することができるが、必要に応じて加圧
下で実施することもできる。
【0015】その他の分離操作については、一般的なカ
ラムクロマトグラフィー法の操作に従えば良いが、好ま
しい条件としては、例えば以下のものがある。 流速:一般にカラムの大きさにより違うが、分析用の細
いカラムでは0.5〜1ml/min、分取用の比較的太いカ
ラムでは3〜5ml/minが適当であり、例えば内径12.
5mm、長さ40cmのガラス製オープンカラムでは、2〜
3ml/minが適当である。 移動相液の通液量:カラムに充填したヒドロキシアパタ
イト凝集体の約10倍の体積量。 移動相液の組成:燐酸緩衝液、より好ましくは燐酸カリ
ウム緩衝液。 溶出条件:1〜10mMから300mMまでの燐酸緩衝液
を、低濃度から高濃度へ濃度を段階的に変化させて溶出
させることが好ましく、具体的にはタンパク質の溶出が
急激に増加し始めるときから、タンパク質の溶出濃度が
極大となった後、その極大値より充分に低くなるまで、
燐酸緩衝液の濃度を一定にすることが好ましい。このよ
うに燐酸緩衝液の濃度を段階的に変化させて溶出させる
と、ポリクローナル抗体から抗原特異抗体をより高精度
で分離精製することができる。 カラム温度:室温。ポリクローナル抗体の変質を防止す
るため、より好ましくは4℃。 ポリクローナル抗体の負荷量:最大吸着量の約10分の
1。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。 〔ヒドロキシアパタイト〕先ず、針状ヒドロキシアパタ
イト凝集体を以下のようにして合成した。即ち、攪拌機
および冷却管を取りつけた3L フラスコに純水1L を仕
込み、95℃に加熱した後、0.5モル/L の塩化カル
シウム水溶液と0.5モル/L のリン酸2ナトリウム水
溶液各1L を5時間かけて滴下し、針状結晶のモネタイ
トからなる凝集体を得た。引き続き同温度で、1モル/
L の水酸化カリウム水溶液300mlを1時間かけて滴下
し、針状ヒドロキシアパタイト凝集体を得た。
【0017】上記のようにして得た針状ヒドロキシアパ
タイト凝集体について、以下のようにして細孔容積、粒
度分布および通液性に関する評価を行った。 (細孔容積)水銀接触角を130゜とし、表面張力を4
84dyn/cmとする条件下で、水銀圧入法により、ヒドロ
キシアパタイト凝集体の細孔容積を測定した。 (粒度分布)堀場製作所製レーザー回折式粒度分布測定
装置LA−500を用いて、粒度分布を測定し、平均粒
径を求めた。 (通液性試験)内径12.5mm、長さ40cmのガラス製
オープンカラムにベッドボリューム15mlとなるように
ヒドロキシアパタイト凝集体を充填し、さらに10mM燐
酸緩衝液(pH6.8)を加えて全量が30mlとなるよ
う調整した。前記緩衝液を常圧下で通液し、単位時間当
りの流出量(ml/Hr)を測定した。細孔容積、平均粒
径、通液性試験および充填率の結果を以下に記す。 細孔容積:1.8ml/g 平均粒径:89μm(10μm以下の割合:0.3%) 充填率 :4.8% 通液性 :240ml/Hr
【0018】〔ポリクローナル抗体〕下記2種の抗ヒト
血清アルブミン(以下HSAと称す)抗体(ウサギ血清
のIgG分画)を使用した。 試料:フナコシ株式会社製(カタログ番号:NE−0
621−40) 試料:医学生物学研究所製(カタログ番号:127) アフィニティクロマトグラフィーにより上記二種の試料
を分離した結果、試料の場合、図1のクロマトグラム
が得られ、試料の場合、図2のクロマトグラムが得ら
れた。このときのゲルの調製方法および溶出条件は以下
の通りである。 ○ゲルの調製 (1) 20mlのセファロース(Sepharose )4Bゲル〔フ
ァルマシア株式会社製商品名〕を水で洗浄後、これに3
0mlの水を加える。このゲルに、予め20mlの水に2g
のシアン化臭素を溶かした水溶液を添加し、その後2N
のNaOH水溶液を適当量添加し、pH値を10.5〜
11に保ちつつ、8分間放置した。 (2) 上記(1) で処理したゲルを、1Lの冷0.1M炭酸
緩衝液(pH9.0)で洗浄後、HSA溶液(HSA2
0mg/炭酸緩衝液10ml)を加え、4℃で一晩放置し
た。 (3) 上記(2) で処理したゲルに10gのトリスベースを
加え、37℃で1時間放置後、リン酸緩衝液でpH値が
7.4になるまで充分洗浄することにより、アフィニテ
ィクロマトグラフィーに使用するゲルを調製した。 ○溶出条件 上記のようにして得た10mlのゲルを充填したカラム
に、試料を負荷させた後(試料の場合200μL 、試
料の場合50μL )、先ずリン酸緩衝液で未吸着物質
を溶出させ、その後0.17Mのグリシン−塩酸溶液
(pH2.5)で吸着物質を溶出させた。図1及び図2
において、グリシン−塩酸溶液の通液により抗ヒト血清
アルブミン抗体が溶出する前に、アルブミンに特異的に
反応しない抗体(抗原非特異抗体)が、未吸着物質とし
て溶出することから、試料および試料には抗原非特
異抗体が含有されていることがわかる。なお、ウサギの
IgGはサブクラスがないことが知られており、またア
タッシイらの報告によれば、HSAには7個の抗原決定
基がある〔ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケ
ミストリー、145 巻、1 〜20頁(1984年)〕。
【0019】〔カラムの調製〕内径10mm、 長さ15cm
のガラス製カラムに、1mM燐酸緩衝液に分散したヒドロ
キシアパタイト凝集体を充填し、ベッドボリュームを1
0ccとした。予め1mM燐酸緩衝液(pH7.5)で平衡
化した後、2mgの試料を負荷した。 〔溶出条件〕1mM燐酸緩衝液(A液とする)と300mM
燐酸緩衝液(B液とする)を予備混合して適当な濃度に
調整した混合液をカラムに通液することにより溶出を行
った。混合液の濃度は、B液の混合割合を8%から10
0%まで変化させ、段階的に上げた。なお、通液時にお
けるカラムのpH値は7.5である。 〔抗体活性の測定〕溶出液を5ml/tubeづつフラクショ
ンコレクターで回収した。各フラクションについて抗体
活性を酵素免疫測定法(EIA法)〔イングバ−ルら、
イムノケミストリー、8巻、871ページ(1971
年)〕によって測定した。
【0020】〔試料に関する結果〕図3に試料のク
ロマトグラムを示す。この図における実線は、波長28
0nmにおける溶出液の吸光度であり、これはタンパク質
濃度を示す指標であり、点線は、B液の混合割合(%)
であり、カラムに通液したリン酸緩衝液の濃度を表し、
段階的にリン酸緩衝液の濃度を上げたことを示す。図4
は、抗原としてHSAとウシ血清アルブミン(以下BS
Aと称す。)を用いるEIA法を実施し、波長490nm
における溶出液の吸光度を測定した結果により抗体活性
の大小を示したものである。この図から、HSAに特異
的に反応する抗体は実線で示した4本のピークとして認
められ、抗原特異抗体を分離することができることがわ
かる。特に、これら4本のピークのうちフラクションN
o. 20以上のピークは、図3におけるタンパク質吸光
度が低いにも係わらず、かなり高い抗体活性を示してい
るから、フラクションNo. 20以上で回収された溶出液
中には、かなり高純度の抗原特異抗体が含有されている
がわかる。以上のように、本発明により、抗原特異抗体
をpH値7.5という穏和な条件下で簡便に分離するこ
とができることがわかる。
【0021】更に、この分離例においては、アフィニテ
ィクロマトグラフィーで分離精製すると1分画としてし
か得られない抗原特異抗体が4分画に分けられることが
わかる。このように抗原特異抗体を4分画に分けられる
理由について、本発明者らは抗体の抗原決定基の相違に
よるものではないかと推定している。HSAには7個の
抗原決定基が存在することが指摘されているにも係わら
ず、この分離例において4分画にしかわかれなかったの
は、互いに接近したピークが重なったためであると考え
ている。又、互いに類似した抗原であるHSAとBSA
に特異的に反応する抗体の活性度を、それぞれ実線と点
線で示したが、実線と点線のピークはほぼ同じフラクシ
ョンで現れており、実線のピークと点線のピークとの抗
体活性度の比がピーク毎に異なっているのは、抗原決定
基の構造の類似性及び僅かな相違を反映しているものと
考えている。
【0022】〔試料に関する結果〕図5に試料のク
ロマトグラムを示す。この図における実線および点線が
表す内容は図3と同じである。図6は図4と同様に抗体
活性の結果を示す。図5と図6から、フラクションNo.
25以上で回収された溶出液中には、かなり高純度の抗
原特異抗体が含有されており、本発明により、抗原特異
抗体をpH値7.5という穏和な条件下で簡便に分離す
ることができることがわかる。
【発明の効果】本発明の分離精製方法によれば、従来の
アフィニティクロマトグラフィー法よりも穏和な条件
で、しかも簡便かつ安価で抗原特異抗体を得ることが出
来る。又、アフィニティクロマトグラフィーで分離精製
すると1分画としてしか得られない抗原特異抗体を、本
発明においては適当な溶出条件を選択すれば、複数の分
画に分けることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】アフィニティクロマトグラフィーによりフナコ
シ株式会社製HSA抗体(カタログ番号:NE-0621-40)
を分離したときのクロマトグラムである。
【図2】アフィニティクロマトグラフィーにより医学生
物学研究所製HSA抗体(カタログ番号:127 )を分離
したときのクロマトグラムである。
【図3】本発明の方法によりフナコシ株式会社製HSA
抗体を分離したときのクロマトグラムである。
【図4】本発明の方法によりフナコシ株式会社製HSA
抗体を分離したときの抗体活性チャートである。
【図5】本発明の方法により医学生物学研究所製HSA
抗体を分離したときのクロマトグラムである。
【図6】本発明の方法により医学生物学研究所製HSA
抗体を分離したときの抗体活性チャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 修 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1東亞 合成化学工業株式会社名古屋総合研究所内 (72)発明者 加藤 秀樹 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1東亞 合成化学工業株式会社名古屋総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒドロキシアパタイトを担体とするカラム
    クロマトグラフィーを用いて、抗原非特異抗体を含有す
    るポリクローナル抗体から抗原特異抗体を分離精製する
    ことを特徴とするポリクローナル抗体の分離精製方法。
JP23372291A 1991-08-22 1991-08-22 ポリクローナル抗体の分離精製方法 Expired - Lifetime JP2961986B2 (ja)

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