JPH06162244A - マーク検査装置 - Google Patents

マーク検査装置

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JPH06162244A
JPH06162244A JP5183021A JP18302193A JPH06162244A JP H06162244 A JPH06162244 A JP H06162244A JP 5183021 A JP5183021 A JP 5183021A JP 18302193 A JP18302193 A JP 18302193A JP H06162244 A JPH06162244 A JP H06162244A
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尚道 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 しきい値の作成・調整に伴う困難を解消し、
誤判定が少なく人間と同程度の検査性能を持つマーク検
査装置を得る。 【構成】 撮像されたマークを1つ1つ切り出すマーク
切出手段と、切り出されたマークを縮退させて認識手段
に渡すマーク縮退手段を設けて、その認識手段に学習機
能を備えたニューラルネットワークを用い、また認識手
段をニューラルネットワークのVQネット、もしくはバ
ックプロパゲーション法で実現する。 【効果】 データ取り込み時のノイズによる位置ずれ誤
差が吸収され、異なる大きさのマークも同一の縮退デー
タに変換され、認識手段へのデータ量も削減されて、認
識手段の構成が簡略化され、認識に要する処理時間も短
縮できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば電子部品など
の検査対象に表記された文字や記号等のマークが正しい
状態にあるか否かを検査するマーク検査装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】図16は例えば特開平1−312846
号公報に示された従来のマーク検査装置を示すブロック
図である。図において、1は表記された文字や記号等の
マークの検査が実施されるICなどの検査対象であり、
2はこの検査対象1を照明する照明手段、3は検査対象
1に表記されたマークを撮像して電気信号で出力するテ
レビカメラなどの撮像手段である。4はこの撮像手段3
の出力よりマークの表記位置を検出するマーク位置決定
手段であり、5はマーク位置決定手段4の出力をしきい
値と比較して2値化する明度比較手段である。6はこの
明度比較手段5の出力を複数のエリアに分割して部分検
査するための検査エリア決定手段であり、7は検査エリ
ア決定手段6にて区分された各エリア内のマークに相当
する部分の画素数をカウントする面積カウント手段であ
る。8は面積カウント手段7によるカウント数の各エリ
ア毎のしきい値を選択するカウントしきい値選択手段で
あり、9は面積カウント手段7のカウント結果をカウン
トしきい値選択手段8の選択したしきい値と比較してマ
ークの良否を判定するカウント比較手段である。
【0003】次に動作について説明する。まず、検査対
象1を所定の位置にセットして照明手段2で照明し、当
該検査対象1に表記されているマークを撮像手段3によ
って撮像する。撮像手段3の出力はマーク位置決定手段
4に送られてマークの表記位置の位置決めが行われ、明
度比較手段5に送られて明度の判別基準となるしきい値
と比較されて2値化される。検査エリア決定手段6は当
該マークを部分検査するために、この明度比較手段5の
出力を図17に示すように、マーク検査用エリアE1
目詰まり検査用エリアE2 、および異種マーク検査用エ
リアE3 の複数のエリアに区分する。次に、カウントし
きい値選択手段3は上記各エリア毎に対応するしきい値
を設定する。このしきい値は、例えばマーク検査用エリ
アE1 と目詰まり検査用エリアE2 に対しては緩く、異
種マーク検査用エリアE3 に対しては厳しい判定基準が
設定される。そして、各エリア内のマークに相当する部
分の面積が面積カウント手段7でカウントされ、そのカ
ウント結果がカウントしきい値選択手段8で設定された
カウントしきい値とカウント比較手段9で比較される。
そして、当該比較の結果、カウント結果がしきい値の範
囲内であれば、当該マークは“良”と判定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のマーク検査装置
は以上のように構成されているので、カウント比較手段
9にて面積カウント結果と比較されるしきい値を作成す
る必要があり、このしきい値の作成は難しく手間のかか
るもので、実際には専門家によって1つ1つのマークに
対して経験的に決定され、当該しきい値の作成中は、類
似マークの誤判定が発生する都度、前に戻ってやり直す
ことになり、試行錯誤的で多大な時間を要するばかり
か、マークの大きさや文字フォントなどの種類が変更さ
れる度にこのしきい値の作成をやり直す必要があり、さ
らに、しきい値作成後に新たに誤判定が生じた場合の調
整が専門家でなくてはできず、調整に時間がかかるなど
の問題点があった。
【0005】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたものであり、しきい値の作成および調整
に伴う困難を解消し、誤判定が少なく、人間と同程度の
検査性能を持つマーク検査装置を得ることを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
係るマーク検査装置は、撮像手段の撮像されたマークを
1つ1つ切り出すマーク切出手段、このマーク切出手段
によって切り出された1つ1つのマークを縮退させるマ
ーク縮退手段、および、縮退されたデータより切り出さ
れたマークの認識を行う認識手段を設けたものである。
【0007】また、請求項2に記載の発明に係るマーク
検査装置は、認識手段を学習機能を備えたニューラルネ
ットワークで実現したものである。
【0008】また、請求項3に記載の発明に係るマーク
検査装置は、認識手段をニューラルネットワークの自己
組織化ネットワーク(以下VQネットという)で実現し
たものである。
【0009】また、請求項4に記載の発明に係るマーク
検査装置は、認識手段をニューラルネットワークのバッ
クプロパゲーション法で実現したものである。
【0010】また、請求項5に記載の発明に係るマーク
検査装置は、マスク領域を設定するマスク領域設定手段
と、設定されたマスク領域内ではあたかもマークが存在
していないようにマークを縮退するマーク縮退手段を設
けたものである。
【0011】また、請求項6に記載の発明に係るマーク
検査装置は、マークセットを判別するマークセット判定
手段を設け、マークセット毎に学習データを管理する学
習データベースと、マークセット判定手段の出力に応じ
て学習データを学習データベースより読み出して認識に
適用する認識手段を設けるたものである。
【0012】
【作用】請求項1に記載の発明におけるマーク縮退手段
は、マークの画像データを縮退させることにより、当該
画像データの取り込みに伴うノイズによる位置ずれ誤差
を縮退データに吸収して認識処理における当該誤差の考
慮を無用とし、縮退過程で異なる大きさのマークも同一
の縮退データに変換し、さらに、認識手段へのデータ量
を削減して、認識手段の構成の簡略化を可能にするとと
もに、認識に要する処理時間も短縮する。
【0013】また、請求項2に記載の発明におけるマー
ク検査装置は、認識手段にニューラルネットワークを用
いることにより、当該ニューラルネットワークに備わっ
ている学習機能を利用して認識に要するしきい値を自動
的に生成し、しきい値の作成および調整を簡易化する。
【0014】また、請求項3に記載の発明におけるマー
ク検査装置は、認識手段をニューラルネットワークのV
Qネットで実現することにより、学習したデータから少
しでも異なるマークが入力された場合にその出力値を大
きく変化させて、マークの欠け、傷、にじみなどを検出
するマークの印字品質検査に適用して有効な装置を提供
する。
【0015】また、請求項4に記載の発明におけるマー
ク検査装置は、認識手段をニューラルネットワークのバ
ックプロパゲーション法で実現することにより、マーク
に欠け、傷、あるいはにじみなどがあってもそのマーク
が何であるか正確に認識することを可能とし、誤ったマ
ークの表記を検出するマーク読取検査に適用して有効な
装置を提供する。
【0016】また、請求項5に記載の発明におけるマー
ク領域設定手段は、マーク切出位置に対してマスク領域
を設定することにより、マーク切出位置の内部に所望の
マーク以外の不要のマークが存在しているときでもそれ
を取り除いた状態で認識を行なうことを可能とし、近接
しているマークに対しても安定に認識できるマーク検査
装置を提供する。
【0017】また、請求項6に記載の発明における認識
手段は、マークセット判定部とマークセット毎に学習デ
ータを管理した学習データベースを用いて、検査対象の
マークセットに応じた学習データを認識に適用すること
により、ネットワーク規模の縮小、学習時間の減少を可
能にする。
【0018】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例1を図について説明
する。図1において、1は検査対象、2は照明手段、3
は撮像手段であり、図16に同一符号を付したものは同
一または相当部分である。また、10は撮像手段3で撮
像したマークの画像データを記憶する画像記憶手段であ
る。11はこの画像記憶手段10に一旦記憶された画像
データの2値化を行う2値化手段、12は2値化された
画像データより各マークを1つ1つ切り出す切出手段で
あり、13はこれら2値化手段11と切出手段12より
成るマーク切出手段である。14はこのマーク切出手段
13によって切り出された各マークを縮退させるマーク
縮退手段である。15はその縮退されたデータによって
切り出されたマークの認識を行う、学習機能を備えたニ
ューラルネットワークによる認識手段であり、16はそ
の学習手段、17は学習データベースである。18は認
識手段15の出力とあらかじめ設定されているマーク読
取データとを比較して、当該マークの良否を判定する判
定手段であり、19はこれら各手段のシーケンスを制御
する制御手段である。
【0019】次に動作について説明する。まず、ICな
どの検査対象1の表面に照明手段2により光を照射し、
そこに表記された文字や記号などのマークの濃淡画像を
テレビカメラなどの撮像手段3で撮像する。撮像された
マークの画像データを撮像手段3より画像記憶手段10
に送られて一旦記憶され、マーク切出手段13に取り込
まれる。マーク切出手段13では取り込んだ画像データ
を2値化手段11で2値化してマークを見やすくした
後、切出手段12にてそのマークの1つ1つの切り出し
を行う。このマークの切り出しは、例えば特開平2−1
222885号公報などに示されるような、水平撮像画
素数や垂直投影画素数を利用する方法で行われるもの
で、その概念を図2に示す。即ち、図2(a)に示す2
値化された画像データの水平投影の画素数を図2(b)
のようにカウントし、図2(c)に示すようにそのカウ
ント結果に基づく行の切り出しを行う。次に、図2
(d)のように垂直投影の画素数をカウントし、図2
(e)に示すようにそのカウントに基づく列の切り出し
を行い、前記マークの1つ1つを切り出す。
【0020】このように、マークの切り出しを画像デー
タの2値化後に行うとした場合、実際には画像データの
取り込みに伴うノイズによって2値化画像データが若干
変化するため、切り出しに数画素誤差が生じる。ここ
で、後述する縮退の過程を設けない場合には、前記誤差
が認識手段15に直接与えられるため、認識手段15で
はその誤差を考慮して認識の処理を実行しなければなら
なくなり、認識手段15が極めて複雑なものとなって現
実的なものではなくなる。一方、縮退の過程を設けれ
ば、当該縮退の過程で位置ずれの誤差が縮退データに吸
収されるため、認識手段15においては誤差に対する特
別な考慮をする必要がなくなって、認識手段15を比較
的簡単な構成とすることができる。
【0021】そのため、マーク縮退手段14はマーク切
出手段13にて切り出された各マークのM×N個の画素
より成る2値画像データを取り込んでm×n個の実数デ
ータに変換する。図3はその変換の概念を示す説明図で
ある。まず、図3(a)に示すM×N(この場合、M=
20,N=16)の画素より成る2値の画像データを、
図3(b)に示したm×n(この場合、m=5,n=
4)個のメッシュに分割する。次に、1つのメッシュ内
に白画素がどれだけの割合で含まれているかを計算し、
0〜1の間の実数によるその割合を当該メッシュのデー
タとする。この計算処理を全メッシュについて行うこと
によって、マーク1つ1つを図3(c)に示すm×n個
の実数データに変換する。このようにして得られた縮退
データは認識手段15に出力される。
【0022】認識手段15を構成するニューラルネット
ワークでは、その学習手段16によって全てのマークに
ついての良品データの学習を済ませており、その学習済
みのデータは学習データベース17に記憶されている。
このニューラルネットワークによる認識手段15はマー
ク切出手段13の切り出したマークの認識を、マーク縮
退手段14にて縮退されたデータに基づいて行い、0〜
1の間の実数を判定手段18に出力する。例えば、入力
されるマークが英数字であるとした場合、その出力は、
“A”である可能性が0.9、“B”である可能性が
0.2といった具合に与えられる。
【0023】判定手段18はこの認識手段15の出力を
あらかじめ設定されているマーク読取データと比較し、
両者が一致しているか否かの判定を行ってその判定結果
を外部に出力する。即ち、認識手段15の出力中で最高
(もしくは最低)値を示すデータ(上記の例では“A”
の0.9)をとるマークの種類(上記の例の場合では
“A”)が、あらかじめ設定されているマーク読取デー
タと一致していれば良品、不一致であれば不良品とす
る。この判定はマークの1つ1つについて行われ、全て
のマークが良品であれば良品であるという判定結果を、
それ以外であれば不良品であるという判定結果を外部に
出力する。
【0024】なお、以上詳細に説明した一連の処理は、
制御手段19の制御のもとに実行される。
【0025】実施例2.また、上記実施例1では、判定
手段18による判定でマークの良品と不良品の2つに判
別する場合について述べたが、良品、不良品、および判
定保留の3つに判別するようにしてもよい。即ち、認識
手段15を形成するニューラルネットワークの最高出力
値だけでなく、2番目に高い出力値も考慮して、以下の
式の条件を満足しない場合、外部には判定保留と出力す
るものである。
【0026】最高出力値−2番目に高い出力値>0.5
【0027】これは最高出力値が他の出力値と比べてど
れだけ突出しているかを示す尺度であり、最高出力値の
信頼性を評価するものである。
【0028】実施例3.次に、この発明によるマーク検
査装置の印字品質の検査への適用について説明する。こ
こで、印字品質検査とは、図4(a)に示したようなマ
ークの小さな欠けや、同図(b)に示したような傷など
を検出して不良品とするものである。このような印字品
質の検査は、認識手段15にニューラルネットワークの
VQネットを用いることによって実現され、この構成に
よる検査結果は経験的に人間の検査基準によく合致する
という特徴を持っている。以下にこのVQネットについ
ての説明を行う。
【0029】図5にVQネットの構成を示す。入力層2
0はm×n個の縮退された画像データと1対1に対応し
たm×n個のノード21から成り立つ。この入力層20
の各ノード21の出力は、出力層22のすべてのノード
23の入力部に接続される。図6はノード21およびノ
ード23の構成を示したもので、入力データ24(X
i)は重み係数25a(Wi)を持つ重みユニット25
を通じて関数ユニット26で合成され、出力27から値
Yiとして出力される。すなわち入力層20の各ノード
21の出力27が、出力層22のノード23の入力デー
タ24として重みユニット25に接続される。このノー
ド21およびノード23は生物学ではニューロンと呼ば
れる神経回路素子である。VQネットの関数ユニット2
6の一例としては、入力層20のノード21ではy=x
の線形関数、出力層22のノード23では入力データ2
4と重み係数25aのユークリッド距離計算関数が用い
られる。学習は出力層22のノード23の重み係数25
aが変化することにより行われる。
【0030】次に図7を用いて学習機能および認識機能
について説明する。図において太線および実線が学習フ
ロー、太線および点線が認識フローを示している。学習
データベース17内の学習用データ28は認識の基準デ
ータとなる教師データ28aとその識別クラス28bを
格納する。識別クラス28bには、例えば文字“A”と
いう教師データに対して“文字Aのクラス”というよう
な教師データを識別するデータが格納される。学習時に
は教師データ28aが入力層20の入力データ29とし
て使われ、認識時には認識したいデータ30が入力層2
0の入力データ29となる。距離計算機構31では入力
層ノード出力計算モジュール31aで出力層22への入
力データ31c、すなわち入力層20の各ノード21の
出力を求め、距離計算モジュール31bで出力層22の
ノード23ごとに重み係数33と入力データ31cの距
離32を求める。この距離32の一例として、ユークリ
ッド距離がある。識別機構34は、距離計算機構31で
求められた距離32から最も近いノード35を選び出
し、識別クラス28bを用いて、ノード35のクラス3
5aが入力データ29が属するクラス29aと一致する
かどうか判断する。初期状態ではノード35はどのクラ
スにも属していない。この場合はノード35はクラス2
9aに含められ、クラス35aはクラス29aと等しく
なる。
【0031】学習機構36は、識別結果に応じて重み係
数33を変更する。重み係数33の変更は、例えば、コ
ホーネン(T.Kohonen):ザ セルフオーガナ
イジング マップ(The Self−Orgnizi
ng Map(PROCEEDINGS OF THE
IEEE,Vol.78,No.9,Sep,199
0))などの文献にあるコホーネンのLVQ2学習則に
基づいている。基本的にはノード35のクラス35aと
入力データ29のクラス29aが一致すると、ノード3
5の重み係数33を入力データ29に近づけるように重
みを変更する。また、一致しない場合には、遠ざけるよ
うに重みを変更する。学習時には、重み係数33が収束
するまで学習用データ28のすべてについて重み係数3
3の学習を行なう。認識機構37は、距離計算機構31
で得られた出力層22の各ノード23の距離32に基づ
いて認識結果として入力データ29に対する各クラスへ
の距離38を決定する。この各クラスへの距離38が、
入力データ29の各クラスへの属する割合を表すことに
なる。
【0032】このVQネットを用いた装置の特徴とし
て、入力されたマークの小さな欠けや、傷などに大変敏
感に反応することがあげられる。つまり、学習したデー
タから少しでも異なったものが入力されれば、出力値が
大きく変化する。このためマークの欠けや傷などを調べ
る印字品質検査に適したものとなっている。また、この
構成による検査の結果が、経験的に人間の検査基準に良
く合致していることもわかっている。
【0033】実施例4.次に、この発明によるマーク検
査装置の異品種混入検査への適用について説明する。こ
こで、異品種混入検査とは、時間帯毎に異なった品種が
流れるラインにおいて、現在流れている品種の中に誤っ
て異なった品種が混入していないかを監視、検査するも
のである。このような異品種混入の検査は、認識手段1
5にニューラルネットワークのバックプロパゲーション
法を用いることによって実現される。この構成による検
査では、例えば、対象マークとして“A”を想定した場
合、一部に欠損がある“A”がやってきてもそれを
“A”と正しく認識する一方、“B”がやってくると異
文字であると敏感に反応する。以下にこのバックプロパ
ゲーション法についての説明をする。
【0034】図8に3層のバックプロパゲーションネッ
トワークの構成を示す。この図では中間層が1つである
が、中間層を増やして全体で4層、5層構造のネットワ
ークにしても良い。入力層20はm×n個に縮退された
画像データと1対1に対応したm×n個のノード21か
ら成り立つ。この入力層20の各ノード21は、中間層
39の各ノード40と接続され、さらにこのノード40
の出力は出力層22のノード23と接続される。ノード
21、ノード40およびノード23は図6に示した構造
を持つ。バックプロパゲーションネットワークの各ノー
ド21,40,23の関数ユニットの一例としては、シ
グモイド関数が用いられる。学習は中間層39のノード
40と出力層22のノード23の重みが変化することに
より行われる。
【0035】次に、図9を用いて学習機能および認識機
能について説明する。学習用データ28は認識の基準デ
ータとなる教師データ28aとその識別クラス28bを
格納する。識別クラス28bには、教師データ28aを
ネットワークの入力層20に入力したとき、出力層22
の出力として得られる理想的なパターンが格納される。
学習時には教師データ28aが入力層20の入力データ
29として使われ、認識時には認識したいデータ30が
入力層20の入力データ29となる。認識機構41で
は、入力データ29と中間層39、出力層22の各ノー
ド40,23の重み係数33から出力層22の各ノード
23の出力値42を求める。学習機構43では、出力値
42と入力データ29に対応した識別パターン29bを
比較し、その差を小さくするように重み係数33を変更
する。この重み係数33の変更は、例えば、ラメルハー
ト他(D.E.Rumelhart,J.L.McCl
eland and the PDPResearch
Group):パラレルディストリビューテッド プ
ロセッシング(Parallel Distribut
ed Processing(MIT Press,C
ambridge,1986))などの文献にあるバッ
クプロパゲーションアルゴリズムに基づいて行われる。
認識判断部44は、出力値42を認識パターン29bと
照らし合わせて、各クラスへの適合度合45を求める。
この各クラスへの適合度合45が、入力データ29の各
クラスへの属する割合を表すことになる。
【0036】このバックプロパゲーションを用いた装置
の特徴として、マークに欠け、傷、にじみがあっても、
そのマークが何であるかを高精度に認識、判定すること
があげられる。例えば、マークの“A”の文字がかすれ
ていてもマークは“A”であると正しく認識し、異なっ
たマークが印刷されたものがないかを検出するマークの
読取検査に用いて有効であり、多品種製造ラインにおけ
る異品種混入を防ぐ目的の検査などに適している。
【0037】実施例5.次に、マスク領域を用いた場合
の実施例について説明する。図10は、そのような実施
例によるマーク検査装置の構成を示すブロック図で、マ
ーク切出手段13によって生成されたマーク切出位置に
対してマスク領域を設定するマスク領域設定手段46、
および切り出されたマークデータに対応するマスク領域
データが格納されたマスク領域データベース47が付加
されている。なお、このときのマーク縮退手段14は、
マスク領域内のマークに関するデータを出力しないよう
に構成されている。図11はこの図10に示したマーク
検査装置のマーク切出手段13、マーク縮退手段14、
マスク領域設定手段46、マスク領域データベース47
の部分を抽出して詳細に拡大したものを示す。
【0038】問題となる近接したマークを例にとってそ
の動作を説明する。近接したマークの例を図12(a)
に示す。この様なマークをマーク切出手段を工夫して図
12(b)のごとく切り出したとする。これらは図12
(c)のデータとしてマーク縮退手段14に渡される
が、それぞれ“A”の右上部,“Y”の左下部にお互い
のマークが入り込んでしまっているため、このまま縮退
して認識部に送ると誤判定の原因をつくる。
【0039】図10、図11の構成によると、マーク切
出手段13は切り出したマークデータ50をマーク縮退
手段14に送る一方で、マスク領域設定手段46は切り
出されたマークデータ50に対応するマスク領域データ
51をマスク領域データベース47より読みだし、マー
ク縮退手段14に送る。マーク縮退手段14は、内部に
マスク手段48と、縮退手段49を備えており、マスク
手段48は切り出されたマークデータ50とマスク領域
データ51を合成して、マスク領域内ではマークが存在
していないようにしたマークデータ50を生成し、縮退
手段49に送る。縮退手段49の出力はマーク縮退手段
14の出力として認識手段15に送られる。その結果、
近接したマークの一部などの認識に悪影響を与える部分
をニューラルネットワークの入力前に除去することがで
きる。
【0040】また、上記のようにマーク検査装置を構成
することによって、まず第1にニューラルネットワーク
に教示する教師データが減少するという利点が生じる。
この発明のようにマスク領域をマーク縮退時に発生する
ことができなければ、図12(c)の“A”と図12
(d)の“A”を両方とも“A”としてニューラルネッ
トワークに教示しなければならず、教師データが増大し
てしまう。
【0041】第2に、ニューラルネットワークの規模
(ノード数,コネクション数)を小さくすることが可能
となる。この発明のようにマスク領域を設定できなけれ
ば、図12(c)の“A”と図12(d)の“A”を両
方とも“A”としてニューラルネットワークに教示しな
ければならなくなることを前に述べたが、この場合、本
質的に異なる画像に対して同じ出力が得られるようにニ
ューラルネットワークを学習させなければならない。こ
のことを数あるマークに対して実現するには学習能力の
高い規模の大きなニューラルネットワークを用いる必要
がある。ところがこの発明のマーク検査装置では図12
(c)と図12(d)の画像は、ニューラルネットワー
クに入力する段には同じ画像となるため、ニューラルネ
ットワークに要求する学習能力が低くて済む。このため
ニューラルネットワークの規模が小さくできる。またニ
ューラルネットワーク規模が小さくなれば学習時間の大
幅な減少、認識時間の減少などが2次的な効果として現
われる。
【0042】実施例6.次に、マークセット判定手段と
マークセット毎に学習データを管理した学習データベー
スを備えた実施例について説明する。図13は、そのよ
うな実施例の構成を示すブロック図で、マークセットの
判別を行うマークセット判定手段53が付加されてい
る。
【0043】次に、動作について説明する。ここで、図
14は2つの異なるメーカで種類の異なるICのマーク
を示したものである。今、これらのICが同一基板上に
実装されている場合にそのマーク検査をすることを考え
る。これら2つのICではその数字のフォント(例えば
図14(a)の“2”と図14(b)“2”)が異なる
が、どちらのフォントに対してもニューラルネットワー
クで同一の出力(前の例に対しては“2”)が出るよう
に構成する必要がある。そのためには、学習能力の高い
大きなネットワークを用いる必要があるが、大きなニュ
ーラルネットワークを用いると、ネットワークの学習時
間が飛躍的に増大し、運用上の問題が生じていた。
【0044】図13に示した構成のマーク検査装置によ
ると、マークセット判定手段53は、マーク切出手段1
3から出力される切出位置情報や、あるいは制御手段1
9より出力される、IC品種情報を入力として受け取っ
て、マークセットの判別をする。例えば図14のマーク
セットはICメーカのマークの集合であり、これらは
切出位置情報を用いて判定する。また図14のマークセ
ットおよびマークセットは数字フォントの違いによ
るマークの集合であり、これらは制御手段19より出力
されるICの種類の情報から判定する。
【0045】マークセット判定手段53は、以上に挙げ
た情報などからマークセットを判別し、認識手段15に
その結果を出力する。認識手段15は、その判定結果を
キーにして認識に用いる学習データを学習データベース
17より読みだす。このとき、学習データベース17は
マークセットごとに管理されているため、読み出すデー
タ量は少なくてすむ。
【0046】このマーク検査装置では、検査対象である
マークをマークセットごとに分割して認識するので、ニ
ューラルネットワークに設定する学習データが1マーク
セット分だけとなる。この結果、学習時も、1度に学習
するデータの単位が大幅に削減されるため1回の学習時
間が減少する。この発明の場合、全体の学習時間は1回
の学習時間にマークセット数を乗じたものとなるが、こ
の時間は文字の種類を分割せずに大規模なニューラルネ
ットワークで学習させたときと比較しても大変短いもの
となっている。さらにニューラルネットワークに設定す
る学習データ量が少なくなっているため、学習能力の低
い小規模のニューラルネットワークで認識手段15が構
成でき、このことでも学習時間の減少、認識時間の減少
が可能となる。
【0047】実施例7.また、上記各実施例では、検査
対象1の表面に照明手段2より光を照射し、その反射光
を撮像手段3で撮像するものを示したが、図15に示す
ように、透明なマークを持つ検査対象1の裏面より光を
照射し、その透過光を撮像手段3で撮像するようにして
もよい。これにより、液晶によって表示されるマークの
検査を行うことなどが可能となる。なお、基本的な動作
は上記各実施例と同様であり、また、認識手段15のニ
ューラルネットワークを変更することによって、印字品
質検査にも、マーク読取検査(異なったマークが表示さ
れていないかの検査)にも適用可能である。
【0048】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の発明に
よれば、撮像されたマークを1つ1つ切り出して、その
1つ1つのマークを縮退させてから認識手段に入力する
ように構成したので、画像データの取り込みに伴うノイ
ズによる位置ずれ誤差が縮退データに吸収されて認識処
理における当該誤差の考慮が無用となり、大きさの異な
る同一のマークはこの縮退の過程で同一の縮退データに
変換され、さらに、認識手段へのデータ量も削減される
ため、認識手段の構成が大幅に簡略化され、認識に要す
る処理時間も短縮できる効果がある。
【0049】また、請求項2に記載の発明によれば、認
識手段に学習機能を備えたニューラルネットワークを用
いるように構成したので、認識に必要となるしきい値を
ニューラルネットワークの学習機能を用いて自動的に生
成することができ、しきい値の作成および調整が簡易化
できる効果がある。
【0050】また、請求項3に記載の発明によれば、ニ
ューラルネットワークのVQネットを用いて認識手段を
実現するように構成したので、学習したデータから少し
でも異なるマークが入力された場合にはその出力値が大
きく変化し、マークの欠けや傷などを検出するマークの
印字品質検査に適したマーク検査装置が得られる効果が
ある。
【0051】また、請求項4に記載の発明によれば、ニ
ューラルネットワークのバックプロパゲーション法を用
いて認識手段を実現するように構成したので、マークに
欠けなどがあってもそのマークが何であるか正確に認識
することが可能となり、誤ったマークの表記を検出する
マークの読取検査に適したマーク検査装置が得られる効
果がある。
【0052】また、請求項5に記載の発明によれば、マ
−ク切出位置に対して不感帯としてマスク領域を設定す
るように構成したので、マーク切出位置の内部に所望の
マーク以外の不要のマークが存在しているときでも、そ
れを取り除いた状態で認識を行なうことができ、互いに
近接したマークに対しても安定に認識できるマーク検査
装置が得られる効果がある。
【0053】また、請求項6に記載の発明によれば、検
査対象のマークをマークセット毎に分類して、学習デー
タの保存、マークの認識を行なうように構成したので、
小規模なニューラルネットによる構成、学習時間の減少
などの特徴をもったマーク検査装置が得られる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1を示すブロック図である。
【図2】上記実施例におけるマークの切出手順の一例を
示す説明図である。
【図3】上記実施例におけるマークの縮退手順の一例を
示す説明図である。
【図4】この発明の実施例3におけるマークの不良の一
例を示す説明図である。
【図5】上記実施例におけるVQネットを用いたニュー
ラルネットワークを示す構成図である。
【図6】上記ニューラルネットワークのノードを示す構
成図である。
【図7】上記実施例における学習および認識機能を示す
説明図である。
【図8】この発明の実施例4におけるバックプロパゲー
ション法を用いたニューラルネットワークを示す構成図
である。
【図9】上記実施例における学習および認識機能を示す
説明図である。
【図10】この発明の実施例5を示すブロック図であ
る。
【図11】上記実施例におけるマーク切出手段、マーク
縮退手段、マスク領域設定手段、マスク領域データベー
スの部分を抽出したブロック図である。
【図12】上記実施例における近接したマークの一例を
示す説明図である。
【図13】この発明の実施例6を示すブロック図であ
る。
【図14】上記実施例におけるマークセットの一例を示
した図である。
【図15】この発明の実施例7を示すブロック図であ
る。
【図16】従来のマーク検査装置を示すブロック図であ
【図17】そのマーク検査の概念を示す説明図である。
【符号の説明】
1 検査対象 3 撮像手段 13 マーク切出手段 14 マーク縮退手段 15 認識手段 17 学習データベース 18 判定手段 46 マスク領域設定手段 53 マークセット判定手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検査対象に表記されたマークの画像を撮
    像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された前
    記マークの1つ1つを切り出すマーク切出手段と、前記
    マーク切出手段によって切り出された1つ1つのマーク
    を縮退させるマーク縮退手段と、前記マーク縮退手段に
    て縮退されたデータより前記切り出されたマークの認識
    を行う認識手段と、前記認識手段の出力とあらかじめ設
    定されているマーク読取データとを比較して、当該マー
    クの良否を判定する判定手段とを備えたマーク検査装
    置。
  2. 【請求項2】 前記認識手段を学習機能を備えたニュー
    ラルネットワークで構成したことを特徴とする請求項1
    に記載のマーク検査装置。
  3. 【請求項3】 前記認識手段を前記ニューラルネットワ
    ークの自己組織化ネットワークで実現したことを特徴と
    する請求項2に記載のマーク検査装置。
  4. 【請求項4】 前記認識手段を前記ニューラルネットワ
    ークのバックプロパゲーション法で実現したことを特徴
    とする請求項2に記載のマーク検査装置。
  5. 【請求項5】 前記マーク切出手段によって生成された
    マーク切出位置に対して、マスク領域を設定するマスク
    領域設定手段を備え、前記マーク縮退手段に、前記マス
    ク領域設定手段で設定したマスク領域内ではマークが存
    在していないようにマークを縮退させるように機能を持
    たせたことを特徴とする請求項2に記載のマーク検査装
    置。
  6. 【請求項6】 前記マークのマークセットを判別するマ
    ークセット判定手段と、前記ニューラルネットワークの
    学習データを前記マークセット毎に分類して管理する学
    習データベースを設け、前記認識手段に、検査時には前
    記マークセット判定手段の判別結果をもとに前記学習デ
    ータベースより学習データを読みだして、識別に適用す
    る機能を持たせたことを特徴とする請求項2に記載のマ
    ーク検査装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020004313A (ko) * 2000-07-04 2002-01-16 이재영 광학 문자 인식을 이용한 반도체 마킹 검사 시스템 및 방법

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