JPH0614436Y2 - クランプ式無接触電源用トランス - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、一本の電線から導線を接続することなく電
力を供給する電源装置の入出力手段として使用するクラ
ンプ式無接触電源用トランスに関するものである。

〔従来の技術〕

本出願人は、電流トランスを使用することにより一本の
電線から導線を接続することなく電力を供給することが
できる電源装置を開発し既に出願している（実願昭５７
−１４１９５６号「無結線放電管照明器具」および実願
昭６３−７５４８６号「無接触電源装置」参照）。この
装置は、導線を接続することなく比較的大きい電力を供
給することができ、導線部分が全く露出していないから
屋外、水中、炭坑等いかなる雰囲気中でも使用すること
ができ、また、クランプ式の電流トランスを使用するこ
とにより負荷を任意の位置に増設することができるとい
う特徴を有している。

〔考案が解決しようとする課題〕 この考案の目的は、このような電源装置の入出力手段と
して使用するための着脱が容易で効率の良いクランプ式
無接触電源用トランスを提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、この考案のクランプ式無接
触電源用トランスは、（イ）電源線を嵌める凹部を周面
に軸方向に形成した円柱状の補助鉄心と、（ロ）環状の
一部に間隙を有し、該間隙に臨む両端部に補助鉄心が横
方向から嵌合する円弧状の摺接面をそれぞれ形成した主
鉄心と、（ハ）主鉄心に巻回された入出力巻線と、
（ニ）補助鉄心を主鉄心の２つの摺接面に向けて常に付
勢する付勢手段とを備え、（ホ）補助鉄心を回動させる
ことにより電源線を主鉄心に挿入しまた離脱させるよう
にしている。

〔作用〕

クランプ式無接触電源用トランスを電源線に装着するに
は、その補助鉄心の凹部を鉄心の外側に向け電源線を凹
部内に嵌めたのち補助鉄心を回動させて電源線を鉄心内
に入れる。また、これを電源線から外すには全く逆に操
作すればよい。

〔実施例〕

この考案の実施例について第１図を参照しながら説明す
る。

クランプ式無接触電源用トランス１は、コ字状をした主
鉄心２および主鉄心２の間隙に設けられた円柱状の補助
鉄心３により構成される環状の鉄心を備えている。主鉄
心２および補助鉄心３は、一様な厚さを有するフェライ
トまたは積層鋼板により作られている。主鉄心２には出
力巻線４が適宜回数（例えば数十ターン）巻回され、そ
の出力端子に照明器具、工具等の機器（図示されていな
い）が接続されている。

主鉄心２の間隙に臨む両端部には、補助鉄心３と等しい
半径を有する円弧状の２とつの摺接面2a、2bが形成さ
れ、この摺接面2a、2bに補助鉄心３が回動可能に嵌合し
ている。摺接面2aおよび2bを見込む中心角は180度より
小さく、補助鉄心３を間隙に（軸方向でなく）横方向か
ら嵌合させるようになっている。

補助鉄心３の周面には、クランプ式無接触電源用トラン
ス１を電源線に着脱する際に電源線を嵌めるための凹部
3aが形成されている。また、補助鉄心３の側面には、補
助鉄心３を回動させるためのつまみ3bが突設されてい
る。

基端部5aおよび先端部5bの断面がコ字状をし中間に板状
部分5cを有する付勢手段５が、その基端部5aを主鉄心２
に固定され、その先端部5bにより補助鉄心３の外側を鉄
心の内側に向けて常に付勢するとともに、補助鉄心３の
脱落を防止している。

付勢手段６により付勢され補助鉄心３の周面が楔の作用
により主鉄心２の摺接面2a、2bに強く圧接されているこ
とと、２つの摺接面2a、2bに於ける接触面積が主鉄心２
の断面積よりも大きくなっていることとにより、接触面
に於ける磁気抵抗の増加を極力抑えるようになってい
る。補助鉄心３を着脱操作のため繰返し回動させること
により摺接面2a、2bが摩耗しても、接触面に於ける磁気
抵抗が増加することはなく、むしろ、微小な突起部分が
摩耗して互に密着することにより接触面の磁気抵抗は減
少する。

次に、クランプ式無接触電源用トランス１を電源線６に
着脱する際の操作について説明する。

電源線６に接着する際は、補助鉄心３の凹部3aを実線で
示されるように鉄心の外側に向け電源線６を凹部3a内に
嵌めたのち、補助鉄心３を一点鎖線で示される位置へ回
動させて電源線６を主鉄心２内に入れる。また、これを
電源線６から外す際には凹部3a内に電源線６を嵌めて補
助鉄心３を逆方向に回動させる。

なお、このクランプ式無接触電源用トランス１を無接触
電源装置の入力側（一本の電線に電力を供給する側）に
使用する場合には、出力巻線４を入力巻線として使用し
これに商用電源を直接またはインバーターを介して接続
する。

第２図は、他の実施例を示したものであり、前述の実施
例に於ては補助鉄心３を主鉄心２の間隙に外側から嵌合
させているのに対して、本実施例に於ては、これを主鉄
心２の内側から嵌合させ付勢手段５により内側から付勢
するようにした点が異なるだけで、その他の構成および
操作は全く同様である。

なお、上記実施例に於ては、いずれも環状鉄心が４角形
をしたものについて説明したが、他の形状、例えば円
形、６角形等をしていても考案の実質に変わりはない。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案のクランプ式無接触電源
用トランスは、電源線に対する着脱操作が簡単で屋外や
水中など手袋をしたままの状態でも容易に着脱すること
ができ、また、主鉄心と補助鉄心とが接触する２つの摺
接面の接触面積が主鉄心の断面積より大きくかつこれら
接触面に強い押圧力が働くことにより接触面に於ける磁
気抵抗の増加が抑えられるからトランスの効率が極めて
良く、さらに、これを無接触電源装置の入力手段として
使用した場合には磁路が常に閉じていて開放にならない
から電源側から見たインピーダンスが急激に変化するこ
とがなくインバーターや電源部を損傷するおそれが無い
という独特の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図…この考案の実施例の正面図 第２図…他の実施例の正面図 １……クランプ式無接触電源用トランス、２……主鉄
心、2a、2b……摺接面、３……補助鉄心、3a……凹部、
3b……つまみ、４……出力巻線、５……付勢手段、６…
…電源線

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】（イ）電源線を嵌める凹部を周面に軸方向
   に形成した円柱状の補助鉄心と、 （ロ）環状の一部に間隙を有し、該間隙に臨む両端部に
   補助鉄心が横方向から嵌合する円弧状の摺接面をそれぞ
   れ形成した主鉄心と、 （ハ）主鉄心に巻回された入出力巻線と、 （ニ）補助鉄心を主鉄心の２つの摺接面に向けて常に付
   勢する付勢手段とを備え、 （ホ）補助鉄心を回動させることにより電源線を主鉄心
   に挿入しまた離脱させることを特徴とするクランプ式無
   接触電源用トランス。