JPH06114062A - 被検体通過光中の散乱成分抑制方法 - Google Patents

被検体通過光中の散乱成分抑制方法

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JPH06114062A
JPH06114062A JP7534891A JP7534891A JPH06114062A JP H06114062 A JPH06114062 A JP H06114062A JP 7534891 A JP7534891 A JP 7534891A JP 7534891 A JP7534891 A JP 7534891A JP H06114062 A JPH06114062 A JP H06114062A
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JP7534891A
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Inventor
Koichi Shimizu
孝一 清水
Tatsuya Nakai
達也 中井
Katsuyuki Yamamoto
克之 山本
Tomohisa Mikami
智久 三上
Mamoru Tamura
守 田村
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 被検体の照射される光の近軸散乱光以外の散
乱光による影響を抑制し、高分解能で光を用いた被検体
内部の情報の可視化を可能とするための被検体通過光中
の散乱成分抑制方法を得る。 【構成】 散乱成分抑制方法を実現するための散乱成分
抑制装置3は、試料4を満たしたアクリル製の容器5
と、この容器5に光ビームを試料に垂直に照射する光源
6と、この光源6と対向した出射面の光軸上に設けられ
た光検出器7とを備えていて、容器5内には、中央部分
にナイフエッジ8が設けられている。また、光検出器7
は、中央部に束ねて配設された複数の光ファイバーから
なる光ファイバー束9と、その周辺部の中心から離れた
位置に同心円状に等間隔に配設された複数のファイバー
10とからなり、受光出力は図示しない2個のフォトダ
イオードに導かれ、その出力が差動増幅器11に入力さ
れるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光による生体の透視
等、光を用いて被検体内部の情報を可視化するのに適し
た、被検体通過光中の散乱成分抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、X線CTや超音波診断装置など、
無侵襲的に生体内部の状態を画像化する手法が広く一般
化し、現代医学の進歩に大きく貢献している。一方、こ
れらの手法は、主として生体内の構造をとらえるもので
あり、生体構造を画像化するのには不向きであった。こ
の限界を超えるものとしてMRIやPETが実用化さ
れ、現在臨床にも徐々に普及しつつある。しかし、これ
らの手法は装置が大がかりでコストがかかることや、放
射線被曝・被検者の苦痛、分解能の悪さなど実用面での
問題点も多い。これに対し、最近光を用いた生体内イメ
ージングや光CTの可能性が指摘され、光による生体機
能画像化の可能性も示されてきた。生体はHb、チトク
ロームなど化学反応や酸素状態によって変化する種々の
色素を有しており、光によるイメージングが実現されれ
ば生体内の様々な生化学的情報を画像として得ることが
できると考えられる。
【0003】光によるイメージングを実現する上で大き
な障害となるのは、生体組織における強い吸収と散乱の
問題である。前者は、高輝度光源と微弱光検出技術によ
り克服できるとしても、後者については、現在のところ
決定的な解決法はない。つまり生体に入射した光は強い
拡散性の散乱を受け、ランダムに方向を変えられた光の
強度が直進光の強度をはるかに上回るためである。
【0004】この散乱成分に埋もれた直進成分を得るた
めに、散乱成分を分類する方法として、本出願人は、特
願平2−81552号で、散乱成分の相殺や時間分解に
よる方法を提案している。
【0005】図5は従来例に係る散乱成分抑制方法を実
現するための散乱成分抑制装置の構成を示す説明図であ
る。
【0006】図5に示すように、従来の方法の散乱成分
抑制装置21は、光照射手段としての光源22と、試料
23を挟んで前記光源2に対向する光検出器(1)25
及び光検出器(2)27とを備えている。前記光検出器
(1)25の受光側には、前記光源22からのビーム光
の光軸上に正しく軸合わせされたコリメータ(1)24
が接続されており、この光検出器(1)25によって、
前記光源22から出射され試料23を通過した直進光成
分と散乱光成分の和が検出されるようになっている。一
方、前記光検出器(2)27には、前記ビーム光と一定
の角度θを持って配置されたコリメータ(2)26が接
続されている。そして、この光検出器(2)27によっ
て、前記光源22から出射され試料23を通過した散乱
光成分のみが検出されるようになっている。前記光検出
器(1)25と光検出器(2)27の各出力は差動増幅
器28に入力される。そして、この差動増幅器28によ
って、光検出器(1)25の出力からθの重み付けをさ
れた光検出器(2)27の出力を差し引くことにより、
散乱光成分を大幅に除去することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法は直進成分そのものの抽出を目指すため、一般の生体
のように直進成分が短距離間に急速に減衰する場合には
適用が困難である。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、被検体の照射される光の光軸付近を伝播する散乱
光、すなわち、近軸散乱光以外の散乱光による影響を抑
制し、高分解能で光を用いた被検体内部の情報の可視化
を可能とするための被検体通過光中の散乱成分抑制方法
を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の被検体通過光中
の散乱成分抑制方法は、被検体に光を照射する手順と、
前記照射する手順によって照射され、前記被検体内を通
過した光のうちの近軸散乱光成分とこの近軸散乱光以外
の散乱光成分との和を検出する第1の検出手順と、前記
照射する手順によって照射され、前記被検体内を通過し
た光のうちの前記近軸散乱光以外の散乱光成分のみを検
出する第2の検出手順と、前記第1の検出手順による検
出出力と前記第2の検出手順による検出出力とを用いた
演算により、前記近軸散乱光以外の散乱光成分を抑制す
る手順とを備えている。
【0010】
【作 用】被検体内を通過した光のうちの近軸散乱光成
分とこの近軸散乱光以外の散乱光成分との和と、前記被
検体内を通過した光のうちの前記近軸散乱光以外の散乱
光成分のみとが、それぞれ検出され、これらを用いた演
算により前記近軸散乱光以外の散乱光成分が抑制され
る。
【0011】
【実施例】まず、本発明の実施例を説明するに先立ち、
本発明がなされた経緯を説明する。
【0012】本発明者は、強い散乱性を有する媒質内で
光がどのようにふるまうのかを明らかにするため、計算
機によるシミュレーションを行った。
【0013】シミュレーションでは、試料に入射した光
子の散乱状態をモンテカルロ法により求めた。以下、
「光子」と呼ぶが、厳密な意味でのPhotonとは異
なり、無数の光子から成る光子の束をさす。シミュレー
ションの原理を図6に示す。シミュレーションで想定し
た対象モデルは、散乱粒子29が吸収係数Aaの媒質に
均一に分布している系であり、この散乱粒子29は吸収
のないものと仮定する。この対象系に入射した光子は散
乱粒子29に衝突すると、所定の散乱パターンの確率で
決定される方向に散乱され、所定の散乱粒子29濃度で
決定される距離Rだけ三次元空間を進み、この衝突間距
離Rは一様乱数を用い次式によって与えられる。
【0014】R=−ln(RAN)/As 但し、RANは0〜1の一様乱数、Asは試料の散乱係
数である。なお、散乱粒子29間を伝搬する間、光子は
媒質の吸収{exp(−AaR)}により減衰する。こ
れらの過程を計算機内で繰り返し、対象系の検出側の面
から出射した光子のうち検出器に到達したものの光強度
と到達時間を算出する。
【0015】まず、生体内での光のふるまいを理解する
ため、生体に光インパルスが入射した場合の、出射光の
時間波形を求めた。図7に解析対象とした系の模式図と
入出射波形を示す。図7(A)に示すように、平板状の
散乱体30の一方向から、細いビーム(2mmφ)の図
7(B)のような光インパルスを入射し、入射ビームと
光軸を合わせ対面に配置した検出器31で受光する。入
射した光のほとんどは多重散乱を受け、時間的に遅れて
検出器31に到達することから、検出波形は図7(C)
のように広がったものになる。サンプル中を迷走した距
離が長いほどその光子は遅れて検出器に到達し、直進し
た光は最小の時間で検出器31に到達する。従って、も
しこの時間遅れが分離可能な程度であれば、時間的に散
乱成分を抑制することが可能となる。そこで、直進光の
到達時間に対する散乱光の時間遅れをシミュレーション
と実測によって評価した。実測は、乳球懸濁液(成分無
調整乳の水溶液)を試料とし、YAGレーザ(λ=10
64nm)とストリークカメラより成る時間分解波形計
測システムを用いて行った。
【0016】このシステムは、図8に示すように、光照
射手段として、Nd:YAGレーザ32を備え、試料3
4を挟んで前記レーザ33に対向するように、入射ビー
ムの光軸と光軸を正しく合わせたコリメータ36が設け
られている。このコリメータ36は、焦点距離10mm
のレンズ37と直径50μmのピンホール38とから構
成されている。前記コリメータ36を経た光は、光ファ
イバ束(内径3mm,長さ600mm)を介してストリ
ークカメラ40に導かれるようになっている。このスト
リークカメラ40の出力は信号処理装置42及び(パー
ソナル)コンピュータ43により処理され、出射パルス
の時間分解波形が観測されるようになっている。尚、レ
ーザ32と試料34との間には、ハーフミラー33が設
けられ、このハーフミラー33で反射された光をフォト
ダイオード41で受光し、周知のように、ストリークカ
メラ40のトリガー信号としている。
【0017】図7の系に対して行ったシミュレーション
と計測システムによる実験の結果を図9に示す。図9の
横軸は散乱係数、縦軸は時間遅れ、試料の厚さは200
mmである。前者は散乱体の濃度と散乱断面積の積であ
り、後者は散乱体が存在しないときの出射パルスの到達
時間を基準として出射パルス光ピークの到達遅れ時間を
測ったものである。
【0018】この結果により、散乱体の濃度が増すにつ
れ、光パルスの遅れが顕著に増加すること、またその遅
れは既存の技術で計測可能なオーダーであることが確か
められた。またシミュレーションと実測結果の一致よ
り、本シミュレーションの妥当性も確認された。
【0019】この解析により、散乱が強くなるほど時間
的に散乱成分を抑制することが容易になることがわかっ
た。同時に直進光成分は急速に減少する。図10はこの
様子を模式的に示したものである。実際の光検出におい
ては、ある時間幅Δt内の光エネルギーをとらえて検出
信号とする。従って、検出器のS/N限界以上の光信号
をとらえようとすると、散乱が強いほどΔtを長くしな
ければならない。Δtの増加は、イメージングの際の空
間分解能の劣化につながる。尚、図10において、時間
軸原点は、散乱のない場合の光子の到達時刻である。
【0020】そこで、次にこれらの関係について解析を
行った。
【0021】時間遅れΔtで検出器に到達した光子の軌
跡の存在範囲を幾何学的に求めると図11の斜線部の様
になる。ここでdは試料45の厚さ、入射ビームおよび
検出器46の断面は円形とする。このときLは空間分解
能の劣化を示し、次式によって与えられる。
【0022】
【数1】
【0023】この式によればd=50mm、φ=2m
m、サンプル中の光速度c=2.3m/psのとき Δt=1psならば L=17mm Δt=5psならば L=38mm となる。すなわち、この結果からすると実用的な検出時
間幅の範囲ではイメージングに必要な空間分解能を得る
ことが難しいことになる。
【0024】そこで次に、検出時間幅をどこまで狭くで
きるかを調べるため、受光強度と時間幅の関係をシミュ
レーションによって求めた。結果を図12に示す。これ
は実験条件で得られる検出光の強度を求めたものであ
る。図中のパラメータXは検出時間幅(ps)、Ixは
時間幅Xpsの場合の検出光強度、Iinは入射光強度
である。ストリークカメラの検出限界を点線で示し、生
体の散乱係数のおよその範囲を斜線で示す。なお吸収係
数には水の吸収係数0.01/mmを用いた。これらの
解析より次のことがわかった。
【0025】(1) 生体のように試料の厚さが10m
m程度の場合は検出時間幅が5ps以下でも十分なS/
N比を持った検出が期待できる。
【0026】(2) 人間の腹部や新生児の頭部のよう
に試料の厚みが200mm程度の場合、生体の散乱係数
よりはるかに小さい範囲で直進光は急速に減少してしま
い、検出は困難である。
【0027】光子の軌跡の存在範囲を幾何学的に求め空
間分解能としたが、実際の軌跡はこの範囲内に一様に存
在するわけではない。そこで、前記のシミュレーション
により、光子の実際の軌跡を求めた。結果の一例を図1
3に示す。サンプルの左側から入射したビーム光が次々
に散乱粒子と衝突し、進行方向を変えられつつ試料内に
拡散していく様子が示されている。この様なシミュレー
ション結果より次のことが明らかとなった。
【0028】(1) 試料中の光軸付近を散乱しながら
通ってきた光は、出射面の光軸付近から面に垂直に近い
角度で出射する傾向が強い。
【0029】(2) 出射面の光軸上に到達する光の軌
跡と、光軸からわずかに離れたところに到達する光の軌
跡は、試料中ではほぼ同じ領域を通っている。
【0030】ここで(1)は、生体組織の散乱パターン
が強い前方散乱の特性を有することに起因すると考えら
れる。すなわち光子の一部は光軸に沿って進行し、検出
器に向かって垂直に近く出射するためである。この様に
光軸付近を伝播する散乱光を、以下「近軸散乱光」と呼
ぶことにする。この近軸散乱光の存在は、前章の解析の
ように純粋な直進光のみを追求して不可能と考えていた
生体イメージングに対して新たな可能性を示すものであ
る。
【0031】また(2)は、近軸散乱光を選択的に検出
する方法を示唆している。つまり、光軸上および光軸か
らはなれた点に検出器をおき、それぞれの検出光の差を
とることにより、近軸散乱光以外の成分を大きく抑制す
ることができる。
【0032】純粋な直進光成分を取り出すためには入射
光と同径、あるいはそれ以下の径のコリメート系を用い
るのが一般的である。しかし、ここでは近軸散乱光を利
用するため、試料直後で入射ビーム径より大きな範囲か
ら垂直に出射した光のみを検出する系を考え、シミュレ
ーションを行った。
【0033】シミュレーションの条件を図14に示す。
入射光はビーム径2mmの連続光であり、試料51の出
射面に径が可変の絞り52を置いて検出系の口径を変化
させる。垂直光を得るために、絞り52の直後にレンズ
53を、また焦点距離離れた位置にピンホール54を置
き、その直後に配置された検出器55で受光する。試料
51の厚みは50mmで、紙面と垂直方向には無限の広
がりを仮定する。試料51中央部には半平面の光を遮る
ナイフエッジ56を置き、その投影後における空間分解
能を評価する。ナイフエッジ56の位置はビーム中心を
横切る位置を0とし、図の下側をマイナス、上側をプラ
スとする。散乱体のパラメータは、散乱係数1.0(/
mm)、吸収係数0.01(/mm)とした。
【0034】シミュレーションの結果を図15に示す。
ここで、光強度は、ナイフエッジが無限遠点にある場合
の値で規格化されている。
【0035】図15に示すように、絞りの径が大きくな
るほど、近軸散乱光以外の成分が増加するため、分解能
が低下している。しかし、ここでφ=2mmとφ3mm
の場合を比較すると、分解能はほとんど変化していな
い。一方、同じシミュレーションで受光量を評価する
と、約1.9倍に増加していることがわかった。すなわ
ち近軸散乱光成分を増加させることにより、分解能をあ
まり劣化させずに受光量の増加が達成されている。尚、
図15の曲線がなめらかでないのは、計算量が膨大とな
るため入射光子を十分な数にできなかったためである。
【0036】さらに、シミュレーションの結果を確かめ
るため、同様の系を用いて実験を行った。試料には乳球
懸濁液(成分無調整乳の2.70%水溶液)を用いた。
結果を図16に示す。シミュレーションの結果と同様の
傾向が確認され、近軸散乱光利用の有効性が確かめられ
た。ここで、光強度は、ナイフエッジが無限遠点にある
場合の値で規格化されている。
【0037】図1ないし図4は本発明の一実施例に係わ
り、図1は本実施例の原理を説明する説明図、図2は本
実施例の散乱成分抑制方法を実現するための装置の構成
を示す説明図、図3は図2の装置を用い試料が乳球懸濁
液の場合のエッジ近傍の透過光量の計測結果を示す特性
図、図4は図2の装置を用い試料が生体の場合のエッジ
近傍の透過光量の計測結果を示す特性図である。
【0038】光軸上と光軸からずれた位置にある検出器
には、ほぼ同じ経路をたどった光が入射する。図1に示
すように、検出器1には光軸付近を通ってきた近軸散乱
光と広い範囲を通ってきた散乱光が検出され、検出器2
には広い範囲を通ってきた散乱光のみが検出される。し
たがって、検出器1の出力と検出器2の出力の差をとる
ことにより、近軸散乱光成分を有効に分離することがで
きる。
【0039】図2に示すように、この散乱成分抑制方法
を実現するための散乱成分抑制装置3は、例えば、乳球
懸濁液の試料4を満たした、例えば、内壁間隔が50m
mのアクリル製の容器5と、この容器5に光ビームを試
料4に垂直に照射する光源6と、この光源6と対向した
出射面の光軸上に設けられた光検出器7とを備えてい
て、前記容器5内には、中央部分にナイフエッジ8が設
けられている。また、前記光検出器7は、例えば、中央
部に束ねて配設された複数、例えば、6本の光ファイバ
ーからなる光ファイバー束9(例えば、径が3mmφ)
と、その周辺部の中心から、例えば、5mm離れた位置
に同心円状に等間隔に配設された複数、例えば、6本の
ファイバー10とからなり、この光ファイバー束9及び
ファイバー10の出力は図示しない2個のフォトダイオ
ードに導かれ、その出力が差動増幅器11に入力される
ようになっている。
【0040】尚、ファイバー9、10は、垂直方向か
ら、例えば、3°以内の出射角の光のみが入射するよう
に調整されている。
【0041】また、試料4とした乳球懸濁液は、濃度が
生体の散乱係数に近い、例えば、牛乳を2.70%〜
4.26%の範囲で、水で希釈したものである。
【0042】次に、図3及び図4を参照して、本実施例
の効果を示すための実験結果について説明する。
【0043】図3(A)は前述の図8の構成で、絞り
(直径2mm)とレンズ(f=150mm)、ピンホー
ル(直径1mm)を用いたコリメート法によって得られ
た結果、図3(B)は図1で示した本実施例の構成によ
る結果である。近軸散乱光を利用することにより、受光
量をあまり減少させずに、空間分解能の劣化が大きく改
善されていることがわかる。
【0044】さらに、実際の生体におけるこの方法の有
用性を示すため、生体組織を用いて同様の実験を行っ
た。実験系は試料にトリのササミ肉を用いた以外は、図
1の場合と同じである。結果を図4に示す。図4(A)
は前述のコリメート法による結果、図4(B)は本方法
による結果である。図3で示した乳球懸濁液によるモデ
ル実験と同様、近軸光差分による空間分解能の向上が明
らかである。
【0045】尚、光検出器7は、中央部に束ねて配設さ
れた複数、例えば、6本の光ファイバー9と、その周辺
部の中心から離れた位置に同心円状に等間隔に配設され
た6本のファイバー10とを一体的に構成したが、本実
施例はこれに限らず、光軸上に設けられた少なくとも1
つの光検出部と、この光軸近傍に設けられた少なくとも
1つの光検出部とを分離して構成しても良い。
【0046】
【発明の効果】本発明の被検体通過光中の散乱成分抑制
方法は、被検体内を通過した光のうちの近軸散乱光成分
とこの近軸散乱光以外の散乱光成分との和と、前記被検
体内を通過した光のうちの前記近軸散乱光以外の散乱光
成分のみとが、それぞれ検出され、これらを用いた演算
により前記近軸散乱光以外の散乱光成分による影響を抑
制できるので、高分解能で光を用いた被検体内部の情報
の可視化が可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施例に係る本実施例の原理を説明する説
明図である。
【図2】 一実施例に係る本実施例の散乱成分抑制方法
を実現するための装置の構成を示す説明図である。
【図3】 一実施例に係る図2の装置を用い試料が乳球
懸濁液の場合のエッジ近傍の透過光量の計測結果を示す
特性図である。
【図4】 一実施例に係る図2の装置を用い試料が生体
の場合のエッジ近傍の透過光量の計測結果を示す特性図
である。
【図5】 従来例に係る散乱成分抑制方法を実現するた
めの散乱成分抑制装置の構成を示す説明図である。
【図6】 光子の散乱を説明する説明図である。
【図7】 試料を透過するレーザ光の入出力関係の説明
するシミュレーションの概念図である。
【図8】 時間分解波形計測システムの構成を説明する
構成図である。
【図9】 図7によりシミュレーションされた光パルス
の伝搬遅延結果と図8による光パルスの伝搬遅延の計測
値との関係を示す特性図である。
【図10】散乱の増加に伴う出射波形の時間的変化を示
す出射波形図である。
【図11】試料内を透過する光子の軌跡の存在範囲を説
明する説明図である。
【図12】散乱係数と検出受光強度との関係を示す特性
図である。
【図13】シミュレーションによる散乱媒質内の光子の
軌跡の一例を示す説明図である。
【図14】近軸散乱光によるイメージングの空間分解能
をシミュレーションする測定システムの構成を示す構成
図である。
【図15】近軸散乱光の空間分解能のシミュレーション
の結果を示す特性図である。
【図16】近軸散乱光の空間分解能の実測値を示す特性
図である。
【符号の説明】
3…散乱成分抑制装置 4…試料 5…容器 6…光源 7…光検出器 8…ナイフエッジ 9…光ファイバー束 10…光ファイバー 11…差動増幅器
【手続補正書】
【提出日】平成3年6月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】図5に示すように、従来の方法の散乱成分
抑制装置21は、光照射手段としての光源22と、試料
23を挟んで前記光源22に対向する光検出器(1)2
5及び光検出器(2)27とを備えている。前記光検出
器(1)25の受光側には、前記光源22からのビーム
光の光軸上に正しく軸合わせされたコリメータ(1)2
4が接続されており、この光検出器(1)25によっ
て、前記光源22から出射され試料23を通過した直進
光成分と散乱光成分の和が検出されるようになってい
る。一方、前記光検出器(2)27には、前記ビーム光
と一定の角度θを持って配置されたコリメータ(2)2
6が接続されている。そして、この光検出器(2)27
によって、前記光源22から出射され試料23を通過し
た散乱光成分のみが検出されるようになっている。前記
光検出器(1)25と光検出器(2)27の各出力は差
動増幅器28に入力される。そして、この差動増幅器2
8によって、光検出器(1)25の出力からθの重み付
けをされた光検出器(2)27の出力を差し引くことに
より、散乱光成分を大幅に除去することが可能となる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】このシステムは、図8に示すように、光照
射手段として、Nd:YAGレーザ32を備え、試料3
4を挟んで前記レーザ32に対向するように、入射ビー
ムの光軸と光軸を正しく合わせたコリメータ36が設け
られている。このコリメータ36は、焦点距離10mm
のレンズ37と直径50μmのピンホール38とから構
成されている。前記コリメータ36を経た光は、光ファ
イバ束39(内径3mm,長さ600mm)を介してス
トリークカメラ40に導かれるようになっている。この
ストリークカメラ40の出力は信号処理装置42及び
(パーソナル)コンピュータ43により処理され、出射
パルスの時間分解波形が観測されるようになっている。
尚、レーザ32と試料34との間には、ハーフミラー3
3が設けられ、このハーフミラー33で反射された光を
フォトダイオード41で受光し、周知のように、ストリ
ークカメラ40のトリガー信号としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】また、試料4とした乳球懸濁液は、例え
ば、牛乳を2.70%〜4.26%の範囲で、水で希釈
したものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正内容】
【図16】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三上 智久 北海道札幌市中央区宮の森4条21丁目38 (72)発明者 田村 守 北海道札幌市中央区宮の森3条10丁目宮の 森住宅403

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体に光を照射する手順と、 前記照射する手順によって照射され、前記被検体内を通
    過した光のうちの近軸散乱光成分とこの近軸散乱光以外
    の散乱光成分との和を検出する第1の検出手順と、 前記照射する手順によって照射され、前記被検体内を通
    過した光のうちの近軸散乱光以外の散乱光成分のみを検
    出する第2の検出手順と、 前記第1の検出手順による検出出力と前記第2の検出手
    順による検出出力とを用いた演算により、前記近軸散乱
    光以外の散乱光成分を抑制する手順とを備えたことを特
    徴とする被検体通過光中の散乱成分抑制方法。
JP7534891A 1991-04-08 1991-04-08 被検体通過光中の散乱成分抑制方法 Withdrawn JPH06114062A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11503236A (ja) * 1995-04-06 1999-03-23 アルファ・ラヴァル・アグリ・アクチボラゲット 流体中の粒子の定量決定方法及びその装置
JP2013545987A (ja) * 2010-11-30 2013-12-26 メッツォ オートメーション オイ 懸濁液中の固体量の測定

Cited By (3)

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