JPH059019Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ゴルフクラブのウツドヘツドに関
するものである。

〔従来の技術〕

従来のゴルフクラブのウツドヘツドは、柿材な
どからなるウツドヘツド本体に、ソールプレート
およびフエースプレートを固定し、また前記本体
に鉛などの金属、または同様な金属の金属粉を混
入したエポキシ樹脂などの合成樹脂からなる重心
材を装着することにより、重量を適切にするとと
もにバランスをよくしている。

すなわち、第３図に示す従来例１のように、ウ
ツドヘツド本体１のソール部からその重心位置ま
で鉛などの金属や金属粉混入合成樹脂からなる重
心材２を柱状に充填したり、第４図に示す従来例
２のようにウツドヘツド本体１の後側部に前述し
たものと同様な材質の重心材３を塊状に固着した
りしている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、第３図に示す従来例１のウツドヘツド
は、使用時の重心位置が高くなつて、打球による
ボールの飛び出し角度が低くなりやすく、第４図
に示す従来例２のウツドヘツドは打球時の反撥力
が充分でなく、したがつて、第３図、第４図に示
すものは、いずれもボールの飛距離が短いという
問題点があつた。

この考案は、前述した問題点を解決して、反撥
力が充分に得られるとともに、適正な位置に重心
が配置されて、ボールの飛距離を長くできるゴル
フクラブのウツドヘツドを提供することを目的と
している。

〔課題を解決するための手段〕

この考案によるゴルフクラブのウツドヘツド
は、ウツドヘツド本体内に、ウツドヘツドのヘツ
ドフエースにある打撃スポツトに向い前記本体の
湾曲した後面からウツドヘツドの前後方向寸法の
２／３程度の位置まで、60°〜75°程度の扇状角で求
心状に金属粉を混入した合成樹脂からなる数本の
重心材を直線棒状に充填し、これらの重心材の軸
方向を前記ヘツドフエースと直角に配置するとと
もに、隣接する重心材の前端を互いに接触または
近接させたものである。

〔作用〕

一般に、振り下されたヘツドがスウイートスポ
ツトともいわれる打撃スポツトでゴルフクラブを
打つ際に、このボールの飛距離は、同一速度（お
よび加速度）、同一打ち出し角度、同一気象条件
では、ヘツドの材質の反撥係数によつて決まる。
また、１点において２つの物体が衝突した際の力
が影響する範囲は90°内外である。そこで、この
考案によるウツドヘツドでは、前述のように数本
の直線棒状の重心材をウツドヘツド本体に打撃ス
ポツトに向つて求心状に充填したことで、重心材
の前端で反撥係数の高い面を形成し、この面と打
撃スポツトとの間に、打球による力が影響する範
囲の小面積の扇形部分を形成し、この部分の反撥
係数を高めることができる。また、数本の直線棒
状の重心材を求心状に配列したので、クラブの全
体バランスにおけるヘツドの適正な重量範囲内で
の重心材の前端による反撥係数の高い面の確保が
容易にできる。さらに、重心材の前端は、ウツド
ヘツドの前後方向寸法の2/3程度の位置とし、打
撃スポツトの後方にしたので、打球時にヘツドの
加速度をボールに伝達することに関係があるヘツ
ドの重心位置が打撃スポツトに近づき過ぎること
がなく、適正で有効な位置になり、ボールに充分
な加速度を与えることができる。

〔実施例〕

以下、この考案の一実施例につき第１図、第２
図を参照して説明する。

第１図、第２図において、１は柿材からなるウ
ツドヘツド本体、４および５はウツドヘツド本体
１に固定されたソールプレートおよびフエイスイ
ンサート（ヘツドプレート）、６は前記本体１に
下端部が嵌合固定されたシヤフトであり、シヤフ
ト６の上端部にはグリツプ（図示省略）が設けら
れている。なお、以上の構成は従来のこの種のゴ
ルフクラブと同構成である。

この実施例では、ウツドヘツドのヘツドフエー
ス７にある打撃スポツト７ａに向つて本体１の湾
曲した後面から５本の注入孔８が穿たれ、これら
の注入孔８に鉛粉を混入したエポキシ樹脂系接着
剤が圧力をかけてあるいは圧力なしで注入されて
固化されることにより、直線丸棒状に重心材９が
本体１内に充填されている。重心材９は、ヘツド
フエース７と直角方向、すなわち、ヘツドフエー
ス７が打球時にほぼ11°の角度θ₁で垂直面に対し
後傾するので、打球時の水平面に対し前記角度θ₁
でヘツドフエース７側が高くなる傾斜を有する方
向に、本体１の前後方向寸法の2/3程度の位置ま
で、具体的には直径約８mm、長さ45mm程度に５本
が求心状に配列され、両側に位置する重心材９の
中心線がほぼ60°の扇形角θ₂に配置され、これら
の重心材９間に他の重心材９が等角度間隔で配列
され、隣接する重心材９の前端間が互いに接触
し、これらの先端によつて打撃スポツト７ａを中
心とする円弧状に反撥係数の高い面１０が形成さ
れている。なお、第１図、第２図において１１は
ゴルフボールである。

この実施例によるウツドヘツドは、以上のよう
に構成されているので、重心材９の前端による反
撥係数の高い面１０と打撃スポツト７ａとの間に
ほぼ90°の扇形角で打球による力が影響する範囲
の扇形部分ａが形成され、この部分ａの反撥係数
を高くすることができ、打球によるゴルフボール
１１の飛距離を長くできる。

すなわち、第３図、第４図の従来例１，２のウ
ツドヘツド、第５図、第６図に示すように、重心
材９の前端をフエースプレート５裏面まで延ばし
た参考例１、および重心材９の前端をウツドヘツ
ドの前後方向のほぼ1/2の位置とし参考例２のウ
ツドヘツド、前記実施例によるウツドヘツドの飛
距離をスイングロボツトを使用して５打ずつした
試験によるゴルフボールの平均飛距離は次表の通
りであつた。なお、参考例１，２のウツドヘツド
の前述した以外の構成は、第１図、第２図に示す
実施例のものと同様である。

表 品 名 平均飛距離（ｍ） 従来例１ 190.2 （第３図に示すもの） 従来例２ 191.3 （第４図に示すもの） 参考例１ 205.3 （第５図に示すもの） 参考例２ 210.5 （第６図に示すもの） 実施例（第１図、第２図に示すもの） 218.8 ただし、ヘツドスピード、シヤフト、ヘツドの
重量およびバランス配分、ゴルフボール、気象条
件は、試験した各例ともすべて同じにした。

前記表から明らかなように、この考案の実施例
のウツドヘツドは飛距離が最も長く、参考例２，
１の順に飛距離が短くなり、従来例１，２のもの
はさらに飛距離が短い。そして、実施例のウツド
ヘツドは、ボールが適正な強い弾道を描くのに対
し、参考例１のものは加速度がつきにくく、球筋
がやや低くなり、ボール落下後のランが長く、参
考例２のものは、反撥係数が小さく、球筋がやや
高くなり、ボール落下後のランが短い。

なお、この考案において、重心材の本数は若干
増減でき、多い場合は細く少ない場合は太くすれ
ばよく、また重心材の前端は隣接するものと若干
離れても近接していればよく、さらにウツドヘツ
ド本体の材質は楓などの合板でもよく、重心材の
金属粉は銅、鉄を用いてもよく、そして、重心材
の扇形角も75°程度まで大きくしてもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案によれば、ウツ
ドヘツド本体内に、打撃スポツトに向い上記本体
の後面からウツドヘツドの前後方向寸法の2/3程
度の位置まで、60°〜75°程度の扇形角で求心状
に、数本の重心材を直線棒状に充填し、これらの
重心材をヘツドフエースと直角に配置するととも
に、隣接する重心材の前端を互いに接触または近
接させたので、重心材の前端で形成される反撥係
数の高い面と打撃スポツトとの間に、打球による
力が影響する範囲の小面積に反撥係数の大きい扇
形部分が形成され、また、クラブの全体バランス
におけるヘツドの適正な重量範囲内で前記反撥係
数が高い面が容易に形成され、さらに打撃スポツ
トの後方の適正な位置に重心が配置され、バラン
スがよいことにより、打球時のボールの飛距離を
長くできるゴルフクラブのウツドヘツドを提供で
きるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例によるゴルフクラ
ブのウツドヘツドを示す部分切欠正面断面図、第
２図は同部分切欠平面断面図、第３図および第４
図は従来例１および２のゴルフクラブのウツドヘ
ツドを示す概略正面図、第５図および第６図はそ
れぞれ従来例３および４のウツドヘツドを示す平
面断面図である。 １……ウツドヘツド本体、７……ヘツドフエー
ス、７ａ……打撃スポツト、９……重心材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ウツドヘツド本体内に、ウツドヘツドのヘツド
   フエースにある打撃スポツトに向い前記本体の湾
   曲した後面からウツドヘツドの前後方向寸法の2/
   ３程度の位置まで、60°〜75°程度の扇状角で求心
   状に金属粉を混入した合成樹脂からなる数本の重
   心材を直線棒状に充填し、これらの重心材の軸方
   向を前記ヘツドフエースと直角に配置するととも
   に、隣接する重心材の前端を互いに接触または近
   接させたことを特徴とするゴルフクラブのウツド
   ヘツド。