JPH0586245B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、ボイラーの排ガスや、道路用の山
岳トンネル、地下道路、シエルター付き道路など
の各種道路トンネルの換気ガスのような大量のガ
スを浄化処理するプロセスにおいて、窒素酸化物
（MOx）のような有害物質を吸着除去する吸着装
置に関し、さらに詳しくは、水平に配置された新
規構造の横型吸着装置に関する。

従来技術およびその問題点 従来、ガス中の有害物質除去用の吸着装置に通
されるガスの量は、比較的少量であつた。また吸
着剤は、ガスとの接触効率を高めるために、粒径
５mm以下のような比較的小径の粒子の形態で使用
されることが多かつた。

しかしながら、上述のように大量のガスを取り
扱う場合、吸着床のガス流通抵抗が装置の運転経
費に大きく影響するので、吸着床の流路断積を可
及的に大きくしてガスの線速度を下げ、かつ吸着
床の厚みを極力小さくしなければならない。この
場合、流路断面にガス偏流が生じるのを防止する
には、吸着床の前流部および後流部に大きな空間
を設ける必要があるため、吸着剤の充填量の割に
は設備全体が大型化するきらいがあつた。

一般に、吸着装置の方式は、固定床方式と移動
床方式とに大別される。固定床方式では、並列に
配置された複数基の吸着装置において、除去すべ
き物質を吸着剤が所定量吸着し、吸着装置出口の
目的物質濃度が限界に達した時点で、装置の運転
を切り替え、吸着剤の脱着再生を行なう。大量の
ガスを処理する場合、吸着剤充填量はガス流通抵
抗との関係で少量に抑えれるので、前記の装置の
切り換え頻度が高くなり、そのため吸着装置の基
数が多くなり、設備全体が大型化せざるを得なか
つた。

他方、移動床方式では、一般に吸着剤をガスと
向流接触させ、目的の物質を多量に吸着した吸着
剤を吸着ゾーンから順次抜き出し、脱着再生する
とともに、新品ないし再生吸着剤を順次充填し、
吸着装置の定常運転を続けた。

しかしながら、移動床方式の場合も、大量のガ
スを取扱う場合には、やはり流路断面積をできる
だけ大きくする必要があり、そのため吸着剤粒子
を流路断面方向に均一に抜き出しないし充填する
ことは困難であつた。

したがつて、ボイラーの排ガスや各種道路トン
ネルの換気ガスのような大量のガスを浄化処理す
るには、従来の固定床方式および従来の移動床方
式の吸着装置は、いずれも適しなかつた。

問題点の解決手段 この発明は、上記の諸問題を克服することを目
的として、簡便な移動床方式の横型吸着装置を提
供するものである。

すなわち、この発明による横型吸着装置は、水
平に配置されかつ処理すべきガスを流通せしめる
外套体２と、外套体２内をガス流れの向流方向に
移動せしめられる複数の吸着ブロツク３とよりな
るものである。

この発明による吸着装置は、吸着ブロツク３の
再生装置１６に一体化されていてもよい。

吸着ブロツク３は、好ましくは、板状の吸着剤
を所要構造に組み合わせることによつて構成され
ている。

この発明の好適な実施態様においては、第１図
および第２図に示すように、水平に配置された外
套体２の一方の側壁２ａに、ガス流入口４近くに
ブロツク抜出口６が設けられるとともに、ガス流
出口５近くにブロツク充填口７が設けられてい
る。外套体２の底壁２ｄの内面に搬送用ローラ８
が設けられるとともに、両側壁２ａ，２ｂの内面
および頂壁２ｃの内面にそれぞれシール用ローラ
９が設けられている。そしてブロツク充填口７か
ら外套体２に充填された吸着ブロツク３が、搬送
用ローラ８上をガス流れの向流方向に移動せら
れ、抜出口６から抜き出される。

実施例 つぎに、この発明の実施例について図面を基に
具体的に説明する。

実施例 １ 第１図および第２図において、この発明による
横型吸着装置１は、水平に配置された角筒状の外
套体２と、外套体２内を長さ方向に移動せしめら
れる複数の吸着ブロツク３とよりなる。

外套体２は一端にガス流入口４を有し、他端に
ガス流出口５を有する。処理すべきガスはガス流
入口４から外套体２に導入され、その内部を長さ
方向に流れて、ガス流出口５から出る。外套体２
の一方の側壁２ａには、ガス流入口４近くにブロ
ツク抜出口６が設けられるとともに、ガス流出口
５近くにブロツク充填口７が設けられている。ま
た、外套体２の底壁２ｄの内面には搬送用ローラ
８が長さ方向に一定間隔で取付けられ、両側壁２
ａ，２ｂの内面および頂壁２ｃの内面には、それ
ぞれシール用ローラ９が長さ方向に一定間隔で取
付けられている。

他方、吸着ブロツク３は、ブロツク充填口７か
ら外套体２内に充填され、その内部の搬送ローラ
８上をガス流れの向流方向に移動せしめられ、ブ
ロツク抜出口６を経て外套体２から抜き出され
る。

第４図から第７図は、吸着ブロツクのいくつか
の例を示す。

吸着ブロツクとしては、流路断面積が極力大き
く、逆に厚みが極力小さいものが好ましい。たと
えば500000Nm³／ｈのガスを処理するには、第４
図に示すように、流路断面積が５ｍ×３ｍ程度で
厚みが１ｍ程度であるブロツク１０が用いられ
る。この吸着ブロツク１０は、(イ)外套体２内の移
動を容易にし、(ロ)移動床方式の吸着装置とするた
めの吸着剤の間欠的充填・抜き出し単位を極力小
さくして吸着効率を向上させ、(ハ)交換用吸着ブロ
ツクのトラツク輸送を容易にするという点で、好
適な構造を有する。

吸着ブロツクは、板状の吸着剤を所要構造に組
み合わせることによつて構成されている。吸着ブ
ロツクを構成する板状吸着剤の例としては、第４
図および第５図に示すように、複数の吸着剤平板
１１と、これらに架橋状に設けられた複数のスペ
ーサ１２とよりなる構造、第６図に示すように、
複数の吸着剤平板１３と複数の吸着剤波板１４と
が交互に重ねられた構造、第７図に示すように、
一体格子状の吸着剤ハニカム構造１５などがあ
る。いずれの構造においても、ガス流通抵抗を低
減するには、板状吸着剤を吸着床に規則的に充填
する必要があるので、充填・抜き出しの作業性の
点から、適当な寸法を有するブロツクを構成する
のが好ましい。

実施例 ２ 第３図において、この実施例では、この発明に
よる横型吸着装置１は、外套体２から抜き出され
た吸着ブロツク３を再生する再生装置１６と一体
化されている。

再生装置１６は、横型吸着装置１に並設された
予熱部１７・冷却部１８と、予熱部１７から取り
出された吸着ブロツク３を加熱再生する側方突出
状の加熱部１９とより構成されている。横型吸着
装置１の終端部はブロツク抜出口６を介して予熱
部１７の始端部と連通し、予熱部１７の終端部お
よび冷却部１８の始端部は連通口２０を介して加
熱部１９と連通し、冷却部１８の終端部はブロツ
ク充填口７を介して横型吸着装置１の始端部と連
通している。ブロツク抜出口６、ブロツク充填口
７および連通口２０はそれぞれスライド式ダンパ
ーまたはシヤツターによつて開閉される。予熱部
１７・冷却部１８にはブロツク移動方向の向流方
向に予熱・冷却用のガスが流通せられる。このガ
スは冷却部１８で吸着ブロツク３を冷却しながら
昇温し、予熱部１７で吸着ブロツク３を予熱しな
がら降温する。加熱部９には加熱用のガスが流通
せられる。

この実施例では、横型吸着装置１は再生装置１
６と一体に設けられているので、吸着ブロツク３
はつぎのように移動せられる。すなわち、吸着ブ
ロツク３は、横型吸着装置１において、処理すべ
き大量のガスと向流に接触して、除去すべき物質
を吸着した後、ローラコンベヤのような適当な搬
送手段によつて横型吸着装置１からブロツク抜出
口６を介して再生装置１６の予熱部１７に導かれ
る。吸着ブロツク３は予熱部１７では予熱・冷却
用のガスの向流方向に移動しながら、同ガスによ
つて再生温度近くまで予熱される。ついで吸着ブ
ロツク３は連通口２０を介して加熱部１９へ送ら
れ、ここで加熱用ガスによつて再生温度にまで加
熱される。また必要に応じて加熱用ガスに再生用
薬剤が添加される。この加熱によつて吸着物質が
脱着されて、吸着ブロツク３が再生される。再生
後の吸着ブロツク３はついで冷却部１８へ送ら
れ、ここで予熱・冷却用のガスの向流方向に移動
しながら、同ガスによつて冷却された後、ブロツ
ク充填口７を介して再び横型吸着装置１の始端部
に充填される。以下このサイクルを繰り返す。

このように、横型吸着装置１は再生装置１６と
一体化されているので、吸着ブロツク３の加熱再
生に要した熱量はほとんど回収され、吸着ブロツ
ク３の予熱に利用される。そのため設備全体の運
転を極めて経済的に行なうことができる。

参考例 第８図は、従来の粒状吸着剤を用い、吸着床を
縦型とし、処理すべきガスを下から上向きに流す
縦型吸着装置の例を示す。

新品ないし再生吸着剤は充填管５１から縦型吸
着装置のケーシング５２内に導入されて、上記ロ
ータリーバルブ５３を経てケーシング５２内に分
散される。吸着剤はガスと向流接触して、除去す
べき物質を吸着した後、ホツパ状のスクリーン５
４に収集され、下部ロータリーバルブ５５を介し
て抜出し管５６によつて抜き出される。この装置
では、吸着剤は、重力を利用して移動され、抜き
出されている。

しかしながら、吸着ブロツクを用いた吸着装置
では、縦型の吸着床を採用した場合、最下部すな
わちガス流入部のブロツクを抜き出す際に、上部
ブロツクを保持しておき、抜出しの後、吸着床全
体を静かに引卸す必要がある。新品ないし再生ブ
ロツクを吸着床に充填する場合も、充填ブロツク
を静かに吸着床上に卸す必要がある。またブロツ
ク外部をガスが通り抜けるのを防ぎかつ上記のよ
うな引卸し作動を行なわせるには、高度に複雑な
メカニズムが必要となる。これに対し、この発明
の横型吸着装置では、ブロツク充填口７から外套
体２内に充填された吸着ブロツク３は、第１図お
よび第２図に示す搬送用ローラ８またはベルトな
どのブロツク移動手段によつて、外套体２の内部
を移動させられ、ブロツク抜出口６から抜き出さ
れる。そして、吸着ブロツク３は、ブロツク外周
面に突起物を付けないように設計されれば、シー
ル用ローラ９によつてブロツク外周面と外套体２
の壁内面とのガスシールも容易になし得る。

こうして、この発明の横型吸着装置を採用する
ことによつて、吸着剤の充填・抜き出し機構を極
めて簡単かつ確実なものとすることができる。

発明の効果 この発明による吸着装置は、水平に配置されか
つ処理すべきガスを流通せしめる外套体２と、外
套体２内をガス流れの向流方向に移動せしめられ
る複数の吸着ブロツク３とよりなるものであるの
で、ボイラーの排ガスや各種道路トンネルの換気
ガスのような大量のガスを浄化処理する場合にお
いても、設備を大型化することなく、また高度か
つ複雑なメカニズムを組み込むことなく、上記の
ような大量のガスを処理することができる。した
がつてこの発明によれば、極めて経済的に運転で
きる簡便な構成の移動床方式の横型吸着装置が得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による横型吸着装置の一例を
示す水平縦断面図、第２図は同装置の垂直縦断面
図、第３図は再生装置と一体化された横型吸着装
置を示す水平断面図、第４図は吸着ブロツクの一
例を示す斜視図、第５図、第６図および第７図は
それぞれ板状吸着剤の例を示す垂直断面図、第８
図は従来の縦型吸着装置を示す垂直断面図であ
る。 １…横型吸着装置、２…外套体、２ａ，２ｂ…
側壁、２ｃ…頂壁、２ｄ…底壁、３…吸着ブロツ
ク、４…ガス流入口、５…ガス流出口、６…ブロ
ツク抜出口、７…ブロツク充填口、８…搬送用ロ
ーラ、９…シール用ローラ、１６…再生装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 水平に配置されかつ処理すべきガスを流通せ
   しめる外套体２と、外套体２内をガス流れの向流
   方向に移動せしめられる複数の吸着ブロツク３と
   よりなる横型吸着装置。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の装置において、
   外套体２から抜き出された吸着ブロツク３を再生
   する再生装置１６に一体化されている横型吸着装
   置。 ３ 特許請求の範囲第１または２項記載の装置に
   おいて、吸着ブロツク３が、板状の吸着剤を所要
   構造に組み合わせることによつて構成されている
   横型吸着装置。