JPH0579632A - 環状燃焼器を分解する方法と装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 動力発生用ガス発生器における環状燃焼器の
分解と再組立を容易にする装置と方法の提供。 【構成】 割りフランジでねじ結合され上下に分れる上
半分外側ケーシングと下半分外側ケーシング１６が、上
半分は直接、下半分ケーシングは溝４０内に遊嵌される
半円形の逆転リングを通して複数の支持体とねじ付きピ
ンで、複数の燃焼器セグメント２４を内蔵する環状燃焼
器１２を支持する。分解時、上半分外側ケーシングをね
じをゆるめて外せば上側の燃焼器セグメント２４は除去
できる。ついで逆転リングと同形の半円形の工具リング
を逆転リングに取りつけ円形のレールを形成する。下半
分ケーシングの上記支持体をさけた複数の開口に、逆転
リングに接触するようローラを組付け、ピンを外して環
状燃焼器１２を逆転と工具リングによって１８０度回す
と下側の燃焼器セグメント２４に接近しうる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は軍用航空機、商用航空
機、および動力発生タービンで用いるような動力発生用
ガス発生器に関し、特に、このようなガス発生器におけ
る環状燃焼器の分解と再組立てを容易にする方法と装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】簡略に述べると、ガスタービンエンジン
は圧縮機部と燃焼器部とタービン部で構成される。圧縮
機はエンジンに入る周囲空気を圧縮する。エンジンの圧
縮機部とタービン部と間に配置した燃焼器または燃焼室
がこの圧縮空気を拡散羽根を介して受入れる。燃料をこ
の圧縮空気と混合して空燃混合気とし、燃焼室内でこの
混合気に点火することにより高エネルギーガス流が発生
しタービンに排出される。高エネルギーガス流はタービ
ン動翼を回し、これらの動翼は軸に機械的に連結されて
いる。この軸は圧縮機のロータに連結されそして燃焼器
の下方に軸方向に延在した後タービンに連結されてい
る。

【０００３】スミス（Smith)等の米国特許第３８４２５
９５号にガスタービンエンジンの例が記載されており、
この引用特許は参照によりここに包含される。

【０００４】伝統的に、大形の動力発生用ガス発生器で
は、整備上の理由で筒形またはキャニュラ形設計の燃焼
器を利用している。環状燃焼器は、性能と寸法と排出物
に関して比較的利点が多いが整備が非常に困難であっ
た。環状燃焼器の整備では、通例、タービンを完全に分
解するかまたはタービンと圧縮機との間で軸を切離さな
ければ、燃焼器の取外しまたは修理ができない。このよ
うな厄介な手順が従来必要であったのは、環状燃焼器へ
の接近が通例燃焼器の接近可能な半分（例えば上半分）
に限られているからである。環状燃焼器の下半分への接
近は前述の分解後でなければ不可能である。もちろん、
このような複雑な分解は、装置の再組立て時に誤差が生
じる機会を増すとともに、このような整備または修理の
ための休止時間を大いに長くする。

【０００５】従って、タービンまたは圧縮機をエンジン
から取外すことなく燃焼器の上下両半分に接近できるよ
うにして環状燃焼器の整備をなすための方法と装置が必
要である。

【０００６】

【発明の目的】従って、本発明の目的は環状燃焼器の整
備を簡単にする装置を提供することである。

【０００７】本発明の他の目的は、環状燃焼器域への接
近が部分的にのみ可能な場合、動力発生用ガス発生器の
他の構成部をいじる必要なしに環状燃焼器を完全に取外
せるようにして環状燃焼器の整備と除去をなす方法を提
供することである。

【０００８】

【発明の概要】簡単に述べると、本発明の上記および他
の目的を達成するには、環状燃焼器に、その接近可能な
一部分をなす複数の燃焼器部品およびセグメントに近接
した着脱自在な上半分外側ケーシングを設け、この着脱
自在ケーシングを割りフランジにボルトで固定する。ま
た下半分外側ケーシングを割りフランジに永久的に固定
する。この永久外側ケーシングは、接近不可能な燃焼器
部分をなす複数の燃焼器セグメントに近接して設けられ
る。

【０００９】逆転リングを永久外側ケーシングの半径方
向内側に配置しそれに固定する。接近可能部分と接近不
能部分の燃焼器セグメントに支持体を設ける。これらの
支持体は燃焼器の周沿いの様々な位置において燃焼器ラ
イナに固定される。こうした支持体は、それらにはまり
込むように設計されたピンにより外側ケーシングと逆転
リングの特定位置に固定されうる。

【００１０】燃料ノズルとマニホルドの除去後、環状燃
焼器を取外すため、着脱自在ケーシングを取外して接近
可能な燃焼器セグメントを露出させ、そしてローラを永
久外側ケーシングに沿う複数の選択位置に取付けて逆転
リングと燃焼器の支持に用いる。接近可能な燃焼器セグ
メントを除去した後、複数の細長い支持体を燃焼器の接
近可能区域において燃焼器ライナに結合する。細長い支
持体は燃焼器ライナを工具リングに結合するためのもの
である。燃焼器の下半分が逆転リングに結合されそして
逆転リングが下半分ケーシングに固定したローラに支持
された状態で、工具リングを逆転リングに固定機構によ
り固定する。

【００１１】燃焼器の後端部に１対の突出部を設ける。
両突出部はタービンステータ組立体に設けた対応溝継手
と係合するものである。このような凹凸継手により、タ
ービンステータに影響を与えることなく燃焼器を回すこ
とができる。従って、燃焼器は、固定ピンを永久外側ケ
ーシングから取外すことによりエンジンに対して回転可
能である。工具リングを逆転リングの前のすなわち元の
位置に配置するように燃焼器を回した後、逆転リングを
除去すると、それまで接近不可能であった燃焼器セグメ
ントに接近することができる。全ての燃焼器セグメント
を除いた後、上述の手順を逆にたどれば全セグメントを
容易に元に戻すことができる。

【００１２】本発明とその様々な利点は添付図面と関連
する以下の詳述からさらに明らかとなろう。

【００１３】

【実施例の記載】添付図面において同符号は同部分また
は対応部分を表す。図１はガス発生器１０の簡略部分図
である。ガス発生器１０の一部分として燃焼機能を果た
す環状燃焼器１２が、下半分外側ケーシング１６内に配
置されている。燃焼器１２には外側燃焼器ライナ２０が
含まれ、内側燃焼器ライナ２２の半径方向外方に隔置さ
れている。

【００１４】内側燃焼器ライナ２２と外側燃焼器ライナ
２０との間には、燃焼器１２の前端部に複数の燃焼器セ
グメント２４が配置され、燃料カップ２６を内蔵してい
る。燃料カップ２６は、一つだけを図示した燃料ノズル
２８により燃料を受入れる。圧縮機（図示せず）からの
圧縮空気が矢印３０で示され、この圧縮空気と燃料が燃
焼器１２の前端で受入れられる。高エネルギーガス流が
燃焼器１２の後端部３２に向けられ、そこでタービン部
３６に導入される。逆転リング４２が下半分外側ケーシ
ング１６の溝４０内にはめ込まれそして燃焼器内への空
気通路から外れており、燃焼器前端４４の下半分の周沿
いに半円を形成している。

【００１５】図２において、上半分外側ケーシング１４
が下半分外側ケーシング１６に固定され、燃焼器１２を
完全に囲むケーシングを形成している。上半分外側ケー
シング１４と下半分外側ケーシング１６は割りフランジ
１８により結合されている。外側燃焼器ライナ２０に結
合された支持体４８が、燃焼器１２を、上半分外側ケー
シング１４と下半分外側ケーシング１６とで構成される
外側ケーシングに固定するために用いられる。上半分外
側ケーシング１４と下半分外側ケーシング１６と逆転リ
ング４２にはねじ穴が設けられ、これらのねじ穴にピン
５０を通して支持体４８内に挿入しうる。支持体４８と
ピン５０は燃焼器１２をケーシング１４、１６から離隔
した位置で支持する。上半分外側ケーシング１４に結合
した各支持体４８に対し、それから１８０度離れた位置
に対応支持体が配置され、逆転リング４２と下半分外側
ケーシング１６とに結合されている。

【００１６】図３は図１に対応する燃焼器部の軸方向図
であり、この図では上半分外側ケーシングが除かれて燃
焼器セグメント２４の上半分が露出している。下半分外
側ケーシング１６にはローラ５４が結合されそして逆転
リング４２と係合している。ローラ５４は図４Ａと図４
Ｂに明示してあるが、両図の参照に当たっては次のこ
と、すなわち、ローラ５４は作用中のガス発生器には装
着されず、燃焼器の分解と組立ての工程中だけ用いられ
るということに注意されたい。ケーシング１６には開口
が設けられ、ローラ５４がこれらの開口を通って突出し
逆転リング４２と接触するように組付けられ、従ってロ
ーラ５４は、組付けられた位置にある時、逆転リング４
２をケーシング１６から離して支持する。ローラ５４は
軸５５を介して支持板５６に装着される。支持板５６に
は開口（図示せず）を設けてあり、これらの開口にボル
ト５９を通し支持板５６をケーシング１６にボルト止め
してローラ５４を組付け位置に保持する。図４Ａに示す
ように、逆転リング４２は下半分外側ケーシング１６の
溝４０内に配置されている。逆転リング４２は、図示の
ように、下半分外側ケーシング１６から約２ｍｍの間隙
４６だけ離れて支持され、従って、逆転リング４２はケ
ーシング１６を摩擦することなくローラ５４に接して回
転できる。図４Ｂ、すなわち、図４Ａの線ＢーＢに沿う
断面図に示すように、ローラ支持板５６はボルト５９に
より下半分外側ケーシング１６に結合されるので、ロー
ラ５４は逆転リング４２を回転自在に支持する。

【００１７】図５では、外側燃焼器ライナ２０の上半分
と、上半分の燃焼器セグメント２４（図３参照）を除去
してある。複数の細長い支持体５８が内側燃焼器ライナ
２２の上半分に結合され、工具としての半環体（工具リ
ング）６０を支持する。この工具リングは逆転リング４
２と実質的に同じである。工具リング６０は逆転リング
４２に結合され、共に、燃焼器１２を囲む３６０度リン
グを形成する。図６の拡大部分断面図に示すように、工
具リング６０は半径方向内側に装着された板６２により
逆転リング４２に連結されて連続的な半径方向外側表面
を呈し、この連続外面がローラ５４に載置される。板６
２は工具リング６０に溶接されそしてボルト６１により
図示のように逆転リング４２に固定されうる。

【００１８】組立てた工具リング６０と逆転リング４２
は燃焼器１２をケーシング１６内で回す手段となること
を理解されたい。燃焼器１２の前端は圧縮機段と物理的
に結合していないので圧縮機に対して自由に回転できる
が、燃焼器１２の後端３２は燃焼ガスの漏れを防ぐため
にタービン段３６に連結されている。図７は燃焼器とタ
ービン段との間の回転自在継手の拡大図である。

【００１９】１対の環状凹凸継手３８により連接が達成
され、これにより、燃焼器はタービン段に悪影響を与え
ずに熱膨張できる。このような熱膨張が起こるのは、燃
焼器に生じる温度がタービン部に生じる温度をしばしば
大幅に上まわるからである。燃焼器１２とタービン３６
はそれぞれ突出部３７、３９を有し、これらの突出部は
３８で表わされる環状結合リングのそれぞれの溝内には
まり込む。こうした凹凸継手は、燃焼器をタービン組立
体から切り離しやすくする手段としても役立つ。図から
わかるように、燃焼器１２が回されると、突出部３７は
それぞれの溝内で滑る。

【００２０】図８では、逆転リング４２と工具リング６
０が図５に比べて１８０度回されており、従って、各リ
ングは他方の前の位置にある。図５の下半分にあった燃
焼器セグメントは図８の上半分に配置されている。この
位置では、逆転リング４２を除去できるので、その下の
燃焼器セグメント２４に接近できる。

【００２１】図９は燃焼器１２をケーシング１４、１６
と離隔関係に保持するピン５０と支持体４８の拡大図で
ある。支持体４８は溶接等により外側燃焼器ライナ２０
に取付けることができる。支持体４８は開口４８Ａを有
し、この開口内にピン５０の軸５０Ａが滑り込む。すな
わち、ピン５０は支持体４８と滑動自在に係合して燃焼
器１２とケーシング１４、１６との熱膨張差に即応す
る。

【００２２】本発明は動力発生用ガス発生器に配置した
環状燃焼器を整備しやすくする。整備または修理を所望
の場合、上半分外側ケーシング１４を除去するため、上
半分外側ケーシング１４を割りフランジ１８において下
半分外側ケーシング１６から切り離し、そして上半分外
側ケーシング１４と接触しているピン５０を除去する。
これを完了した後、上半分外側ケーシング１４を除き、
そしてマニホルド２８およびそれらと関連する燃料ノズ
ル（図示せず）を除くと、燃焼器の上部に配置した接近
可能な燃焼器セグメント２４に接近できる。そこで、接
近可能な燃焼器セグメント２４を、接近可能な燃料カッ
プ２６とともに除去する。

【００２３】ローラ５４を下半分外側ケーシング１６に
ボルト止めすると、ローラ５４は逆転リング４２をケー
シング１６に対して回転自在に支持する。燃焼器セグメ
ント２４を燃焼器の上半分から除去しかつ外側燃焼器ラ
イナ２０の上半分を除去した状態で、細長い支持体５８
を内側燃焼器ライナ２２に取付ける（図５）。これらの
細長い支持体５８に、逆転リング４２に結合しうる工具
半リング６０を支持させ、そしてこのリング６０を固定
機構６２により逆転リング４２に結合する。こうして結
合した逆転リング４２と工具リング６０は円形閉路を形
成する。

【００２４】ローラ５４を下半分外側ケーシング１６に
取付けそして工具リング６０と逆転リング４２を結合し
た後、ピン５０を下半分外側ケーシング１６から除去す
る。この時点で、燃焼器１２は逆転リング４２に支持さ
れ、そして逆転リング４２はローラ５４に支持されてい
る。燃焼器を１８０度回すと、それまで接近不可能であ
った下半分の燃焼器セグメント２４が永久外側ケーシン
グ１６とは反対の接近可能な位置に配置される（図
８）。次いで、ピン５０の幾つかを、永続的に固定した
下半分外側ケーシング１６に挿入することにより、露出
した燃焼器セグメントの分解または組立て中の工具リン
グと逆転リングとの組立体の望ましくない回転を防止す
る。

【００２５】１８０度回転後の逆転リング４２は工具半
リング６０が前に存在した位置にあるので、逆転リング
４２を取外すと、それまで接近不可能であった燃焼器セ
グメントに接近できる。そこで、これらの接近不可能で
あったセグメントを容易に除去できる。

【００２６】環状燃焼器を再組立ては上述の工程を逆に
するだけで達成される。

【００２７】本発明は環状燃焼器とそれに付随する効率
と排出物に関する利点の活用を可能にし、しかもこのよ
うな装置の組立分解整備要件に適合するものである。

【００２８】以上の例示的な説明は、もちろん本発明を
限定するものではなく、本発明の範囲内で様々な改変が
可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の教示を包含するガスタービンエンジン
の簡単な軸方向部分斜視図で、環状燃焼器と、永久的に
固定した下半分外側ケーシングとの関係を示す。

【図２】図１の線Ａ−Ａに沿う正面断面図で、着脱自在
な上半分外側ケーシングを含む図である。

【図３】図２と同様な図であるが、上半分外側ケーシン
グが除去されそしてローラが下半分外側ケーシングに取
付けられている。

【図４】図４Ａは本発明のローラを下半分外側ケーシン
グ取付ける方法を示す斜視図である。図４Ｂは図４Ａの
線ＢーＢに沿う断面図で、本発明のローラが本発明の逆
転リングに接触してそれを支持する態様を示す。

【図５】図３と同様な図であるが、上半分の燃焼器セグ
メントが除去されそして本発明の工具リングが逆転リン
グに取付けられている。

【図６】図５の右下四分円部の拡大図である。

【図７】本発明の凹凸継手の側面図である。

【図８】図５と同様な図であるが、下半分燃焼器セグメ
ントが、本発明の逆転リングと工具リングにより形成さ
れた円の上半分に現れるように回されている点が異な
る。

【図９】本発明の支持体とピンとからなる固定機構の拡
大斜視図である。

【符号の説明】

１０ ガス発生器 １２ 環状燃焼器 １４ 上半分外側ケーシング １６ 下半分外側ケーシング ２４ 燃焼器セグメント ３６ タービン ３８ 凹凸継手 ４０ 溝 ４２ 逆転リング ４８ 支持体 ５０ ピン ５４ ローラ ５８ 細長い支持体 ６０ 工具リング

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の接近可能な燃焼器セグメントから
   なる第１部分およびこの第１部分に連結された複数の接
   近不可能な燃焼器セグメントからなる第２部分を有する
   環状燃焼器と、 この環状燃焼器を回転して前記接近不能燃焼器セグメン
   トを前記接近可能燃焼器セグメントが前に存在した位置
   に回転する手段とからなる動力発生用ガス発生器。
2. 【請求項２】 前記回転手段は、閉路を形成するように
   互いに連結された工具リングと逆転リングとを含み、前
   記環状燃焼器が前記閉路に沿って回転する、請求項１記
   載のガス発生器。
3. 【請求項３】 前記回転手段は、前記接近不能燃焼器セ
   グメントを囲む下半分外側ケーシングに結合可能な複数
   のローラをさらに含み、これらのローラは前記逆転リン
   グを前記ケーシング内で回転しうるように支持する、請
   求項２記載のガス発生器。
4. 【請求項４】 前記回転手段は、前記環状燃焼器をター
   ビン部に連結しかつ分解を行うことなく相対回転を許容
   するために前記環状燃焼器の後端部に設けた環状凹凸継
   手をさらに含む、請求項３記載のガス発生器。
5. 【請求項５】 動力発生用ガスタービンエンジン内に設
   置した環状燃焼器の分解と再組立て用の装置であって、 永久外側ケーシングの半径方向内側に配置した逆転リン
   グと、 前記逆転リングを支持するもので前記外側ケーシングに
   取付け可能なローラ装置と、 前記環状燃焼器を囲む閉路を形成するように前記逆転リ
   ングに結合可能な工具リングとを含む装置。
6. 【請求項６】 前記環状燃焼器は、複数の接近可能な燃
   焼器セグメントからなる第１部分と、この第１部分に連
   結された複数の接近不可能な燃焼器セグメントからなる
   第２部分とを含む、請求項５記載の装置。
7. 【請求項７】 前記接近不能燃焼器セグメントを前記逆
   転リングと前記永久外側ケーシングとに結合する支持手
   段をさらに含む請求項６記載の装置。
8. 【請求項８】 前記支持手段を前記逆転リングと前記永
   久外側ケーシングとに固定するためのピンをさらに含む
   請求項７記載の装置。