JPH0579479U

JPH0579479U - 絶縁油の絶縁破壊電圧測定用油容器

Info

Publication number: JPH0579479U
Application number: JP1685492U
Authority: JP
Inventors: 進平井
Original assignee: 昭和電線電纜株式会社
Priority date: 1992-03-27
Filing date: 1992-03-27
Publication date: 1993-10-29

Abstract

(57)【要約】【目的】ＯＦケーブル等に使用される絶縁油の絶縁破
壊電圧試験において、脱気された油またはこれに特定の
ガスを溶解させた絶縁油の絶縁破壊電圧を、正確に測定
することができる絶縁破壊電圧測定用油容器を提供す
る。【構成】少なくとも側壁上部に透明窓部２が設けられ
た油容器本体１の上端に、シリコーンゴム等のパッキン
グ３が内設された密閉蓋４が載置されており、密閉蓋４
には真空引きのための吸引口５が設けられ、密閉容器６
内部が真空ポンプにより減圧吸引されるように構成され
ている。また、油容器本体１の側壁下部には、油注入口
７とガス注入口８がそれぞれ設けられ、密閉容器６の内
部には、撹拌子１０が収納されている。さらに密閉容器
６内には、一対の球電極１１が2 .5ｍｍのギャップを隔
てて対向配置されている。またさらに、球電極１１の電
極端子には、電圧回路１９が接続され、一定の速度で上
昇される電圧が印加されるように構成されており、電圧
回路１９には電圧測定器２０が接続されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、絶縁油の絶縁破壊電圧測定用油容器に係わり、特にＯＦケーブル等に使用される絶縁油において、脱気油または特定のガスを溶解させた場合の絶縁破壊電圧を正確に測定する油容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に絶縁油の絶縁破壊電圧は、その油が電界下で使用可能かどうかを判定する尺度の一つであり、そのため絶縁油の絶縁破壊電圧の測定は大きな意義を持っている。

【０００３】従来から、ＯＦケーブル等に使用される絶縁油の絶縁破壊電圧の測定は、JISC 2101の絶縁破壊電圧試験に拠り、以下のようにして行われている。すなわち、上部が開放された円筒状の油容器内に絶縁油の試料を収容し、この試料中に正確に 2.5mmの間隔をおいて浸漬配置された一対の球電極により電圧を印加する。そして、この電圧を毎秒約 3kVの割合で上昇させ、絶縁油試料に絶縁破壊が生じる電圧を電圧測定器により測定する方法が採られている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながらこのような測定方法においては、以下に示すような絶縁油の絶縁破壊電圧を正確に測定することが困難であった。すなわち、脱気された絶縁油を脱気状態のままで測定することや、絶縁油における窒素、酸素のコントロール化の測定は、油容器の上部が開放されており油面が空気に触れるため、正確に行うことができなかった。また、絶縁油に所望のガスを任意の量だけ溶解させた状態での測定は、溶解されたガスが油面から抜ける可能性があるため困難であった。因みに絶縁油の絶縁破壊電圧は、溶解された成分とその溶解量により大きく異なることが考えられるので、前記した絶縁油における絶縁破壊電圧の正確な測定は是非必要であった。

【０００５】本考案はこのような事情に鑑みてなされたもので、ＯＦケーブル等に使用される絶縁油において、脱気油または特定のガスを溶解させた絶縁油の絶縁破壊電圧も、正確に試験し測定することができる絶縁油の絶縁破壊電圧測定用油容器を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の絶縁油の絶縁破壊電圧測定用油容器は、測定すべき絶縁油試料を収容する絶縁油容器に、所定の間隔をおいて一対の球電極を対向配置し、前記球電極の電極端子間に電圧を印加して、前記絶縁油試料の絶縁破壊電圧を測定するものにおいて、前記絶縁油容器を内部が気密に封止された密閉構造にするとともに、真空吸引機構が接続可能とされ、かつ前記容器の少なくとも一部に透明部を設けてなることを特徴とする。

【０００７】

【作用】

本考案の絶縁破壊電圧測定用油容器においては、絶縁油試料を収容する絶縁油容器が、内部が気密に封止された密閉構造を有し、かつ真空吸引機構が接続可能とされているので、脱気油等の試料を空気に触れさせることなく脱気状態のままで容器内に保持することができる。そして、このように収容保持された絶縁油試料に、球電極を介して電圧を印加し、絶縁破壊が生じたときの電圧を電圧測定器などにより測定することにより、絶縁破壊電圧を正確に測定することができる。

【０００８】また、本考案の油容器では、絶縁油容器の少なくとも一部に透明部が設けられ、内部を透視することができるように構成されているので、油量の調整確認や絶縁破壊などの際の気泡の確認を容易に行うことができる。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１０】図１は、本考案の絶縁油の絶縁破壊電圧測定用油容器の一実施例を示す断面図である。

【００１１】図において符号１は、ガラスや四ふっ化エチレン樹脂のような絶縁油や洗浄液に侵されない絶縁材料からなり、少なくとも側壁上部に透明な窓部２が設けられた縦長円筒状の油容器本体を示し、その上端には、内側周縁端にシリコーンゴムのような耐油性ゴムのパッキング３が固設された密閉蓋４が載置され、内部が気密に封止されている。そして、この密閉蓋４には真空引きのための吸引口５が設けられ、油容器本体１と密閉蓋４とからなる密閉容器６内部が真空ポンプにより減圧吸引されるように構成されている。また、油容器本体１の側壁下部には、油注入口７およびガス注入口８がそれぞれ設けられており、ガス注入口８はシリコーンゴム等からなり注射針が刺通可能となるように構成されている。さらに、密閉容器６の内部には、磁気的回転駆動装置９により回転する撹拌子（マグネティックスターラー）１０が収納されている。またさらに密閉容器６内には、黄銅、ステンレス鋼、ニッケルまたはニッケルめっきを施した金属からなる一対の球電極１１が、正確に 2.5mmのギャップを隔てて対向配置され、かつ以下に示すように調整された位置に配設されている。すなわち、密閉容器６内に絶縁油試料１２を満たしたときに、球電極１１の上端が油面より20mm下になるように、かつ密閉容器６のどの部分も球電極１１から12.5mm以上離れるような位置に配設されている。さらに、このような球電極１２の電極端子には、図２に示すように、変圧器１４、回路遮断器１５、抵抗器１６、電圧調整用装置１７、交流電源１８からなる電圧回路１９が接続されており、一定の速度で上昇される電圧が印加されるように構成されている。またさらに、このような電圧回路１９には電圧測定器２０が介挿されている。

【００１２】このように構成される実施例の油容器を使用し、絶縁油の絶縁破壊電圧を脱気状態のままで測定することができる。さらに、脱気油に一定量のＳＦ₆ガスを溶解させた絶縁油の絶縁破壊電圧を測定するには、まず密閉容器６の内部を真空ポンプにより真空引きした後、油注入口７から脱気油を、油面が球電極１１の上端から20mm上になるまで注入充填する。次いで、こうして注入充填された脱気油を撹拌子１０により撹拌しながら、これに一定量のＳＦ₆ガスを注射器を用いガス注入口８から少しずつ注入し、脱気油中に溶解させる。こうして絶縁油試料１２のセットが終了した後、球電極１１の電極端子１３間に電圧回路１９により交流電圧を印加するとともに、その電圧を毎秒約 3kVの割合で上昇させ、絶縁破壊が生じたときの電圧を電圧測定器１７により測定する。

【００１３】このように実施例によれば、予め真空ポンプにより吸引されて空気が除去された密閉容器内６に脱気油が注入充填され、この脱気油中に減圧下でＳＦ₆ガスが注入溶解され、こうして調製された絶縁油試料１２が、密閉容器６内に封止された状態のままでが測定されるので、絶縁破壊電圧の正確な測定を行うことができる。また、測定の際に、万一絶縁油試料１２から気泡が発生しこれが球電極１１に付着した場合には、絶縁破壊電圧の値に大幅な狂いが生じて好ましくないが、実施例の油容器においては、少なくとも油容器本体１の側壁上部に透明な窓部２が設けられているので、この窓部２から密閉容器６内の状態を視認しながら測定を行うことができる。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように本考案の油容器によれば、脱気された絶縁油または脱気油に特定のガスを溶解させた絶縁油を、その状態を保持したままで絶縁破壊電圧試験を行い、絶縁破壊電圧を正確に測定することができる

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の絶縁油の絶縁破壊電圧測定用油容器の
一実施例を示す断面図。

【図２】実施例の絶縁破壊電圧測定用油容器に電圧を印
加する電圧回路および測定回路を示す図。

【符号の説明】

１………油容器本体２………透明窓部３………シリコーンゴムパッキング４………密閉蓋５………吸引口６………密閉容器７………油注入口８………ガス注入口９………磁気的回転駆動用装置１０………撹拌子１１………球電極１２………絶縁油試料１３………電極端子１４………変圧器１５………回路遮断器１６………抵抗器１７………電圧調整用装置１８………交流電源１９………電圧回路２０………電圧測定器

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】測定すべき絶縁油試料を収容する絶縁油
容器に、所定の間隔をおいて一対の球電極を対向配置
し、前記球電極の電極端子間に電圧を印加して、前記絶
縁油試料の絶縁破壊電圧を測定するものにおいて、前記
絶縁油容器を内部が気密に封止された密閉構造にすると
ともに、真空吸引機構が接続可能とされ、かつ前記容器
の少なくとも一部に透明部を設けてなることを特徴とす
る絶縁油の絶縁破壊電圧測定用油容器。