JPH0573663A - 3次元物体の画像認識法 - Google Patents

3次元物体の画像認識法

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JPH0573663A
JPH0573663A JP3235884A JP23588491A JPH0573663A JP H0573663 A JPH0573663 A JP H0573663A JP 3235884 A JP3235884 A JP 3235884A JP 23588491 A JP23588491 A JP 23588491A JP H0573663 A JPH0573663 A JP H0573663A
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JP3235884A
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Shigeru Akamatsu
茂 赤松
Nobuhiko Masui
信彦 増井
Tsutomu Sasaki
努 佐々木
Yasuhito Suenaga
康仁 末永
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 識別対象物体の変形等の条件の変化によって
起こり得る入力画像のパタン変動を吸収し、ロバストな
画像認識を可能にする。 【構成】 識別対象物体の特徴パタンと識別辞書との照
合処理結果により、識別対象物体が所属するカテゴリを
識別判定処理によって決定する3次元物体の画像認識法
において、識別辞書には、識別対象カテゴリの中の任意
のカテゴリ対に対応して対判定識別関数を用意し、照合
処理では、識別対象物体の特徴パタンを前記対判定識別
関数にそれぞれ代入して得られる値によって、識別対象
物体が該カテゴリ対を構成する2つのカテゴリの内でい
ずれに近いかを判別し、識別判定処理では、あらかじめ
登録された複数のカテゴリ対に対して、照合処理結果を
基に識別対象物体の所属するカテゴリを総合的に判断し
て決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、形状や表面テクスチャ
の違いによって3次元物体の所属カテゴリを識別する3
次元物体の画像認識法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】画像情報を用いて3次元物体の識別を行
う場合、例えば、顔画像による個人識別を行う場合、対
象の所属カテゴリの変化を伴わない物体の形状やテクス
チャの変形、観測視点に対する対象物体の姿勢もしくは
視点位置の変化、あるいは、対象物体の画像入力時の照
明条件などによって、本来は同一のカテゴリに属する対
象物体の入力画像に対して生じる様々のパタンの変動を
吸収する必要がある。
【0003】そこで、このような同一カテゴリ内のパタ
ン変動を識別処理の過程で吸収するため、従来、次のよ
うな画像認識法が用いられている。
【0004】図4は従来の画像認識法を適用した画像認
識システムのブロック構成図であり、識別対象物体1の
画像入力処理部2、パタン正規化処理部3、特徴抽出処
理部4、照合処理部55、識別辞書6、識別判定処理部
7とから構成されている。
【0005】この構成にあっては、まず、識別辞書6が
識別辞書作成処理8によって作成される。すなわち、識
別辞書作成処理8においては、任意のカテゴリCiの対
象物体の学習サンプル画像80をパタン正規化処理部8
1に入力し、ここで、入力パタンにおける対象物体の位
置、大きさ、濃淡レベル等の変動を吸収する正規化処理
を行い、その結果得られた正規化パタンを特徴抽出処理
部82に入力し、ここで識別に用いる特徴パタンを抽出
するが、この際に、この正規化処理、および、特徴抽出
処理のいずれの段階においても吸収できない変動をもつ
代表的な変形パタンを複数個選び、これらから得られた
特徴パタンを当該カテゴリCiに帰属するサブカテゴリ
Ci1,Ci2……Cinを代表とする標準パタン60とし
て、識別辞書6に登録する。
【0006】そして識別の段階では、識別対象物体1の
画像を画像入力処理部2から入力し、この識別対象物体
1の入力パタンをパタン正規化処理部3において前記と
同様の正規化処理を行い、さらにその正規化パタンを特
徴抽出処理部4に入力し、特徴抽出処理を行い、その結
果得られた特徴パタンと、識別辞書6に登録された各サ
ブカテゴリの標準パタン60との照合処理を照合処理部
5で行い、それぞれのサブカテゴリの標準パタン60と
の間のパタン間距離を求める。
【0007】その結果、例えば、サブカテゴリCikの標
準パタン60が入力パタンとの最小パタン間距離を有す
るものであったとき、識別判定処理部7においてはサブ
カテゴリCikが帰属しているカテゴリCiを、識別対象
物体1の入力パタンに対する識別結果として選択出力す
る。
【0008】このように従来の画像認識法は、各カテゴ
リ毎に、予想される変形パタンの中で代表的なものをそ
れぞれ独立したサブカテゴリとして登録し、そのサブカ
テゴリを対象として得られた識別結果をカテゴリレベル
に統合することによって、同一カテゴリ内のパタンの変
動を吸収し、安定なクラス識別結果を得ようとするもの
である。
【0009】一般に、入力画像から対象物体の幾何学的
特徴点あるいは輪郭線のようなより高次のものを含む特
徴を抽出し、入力パタンと識別辞書に登録された標準パ
タンとの間で、これらの特徴の対応付けを行い、両者の
類似性を定量化することで識別を行う物体認識方式にお
いては、入力パタンの連続的な変動の多くは対象物体の
特徴の幾何学的な変形として表現される。それらの変動
は対応付けの過程でパタン間距離に反映させることが容
易であるので、パタンの多様な変動に対して比較的少数
の変形パタンを用いてカテゴリを代表させることができ
る場合が多い。従って、パタン変動の吸収に関する上記
の従来の手法は、ある程度の有効性が期待できるものと
考えられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、人物の顔を識
別する場合のように、全体的にはほぼ共通する構造をも
つ対象物体について、その複雑な形状やテクスチャのご
く微妙な差によってカテゴリの違いを識別しなければな
らないような物体の画像認識においては、識別に有効な
情報として、幾何学的特徴点、エッジ、輪郭線といった
対象物体の局所的形状を表す特徴を、入力画像から安
定、かつ、充分な精度で抽出することは困難である。
【0011】そこで、そのような対象物体の画像認識を
行う方法として、入力画像について一定の正規化処理を
行った正規化パタンの画像全体の濃淡分布を直接的に、
あるいは、その正規化パタンをより変動の影響を受けに
くい特徴空間にいったん変換することで得られる特徴パ
タンを対象に、各カテゴリの標準パタンとの間のパタン
マッチングを行うという方法が一般的となってきてい
る。
【0012】例えば、正面顔画像の個人識別について、
このような濃淡画像のマッチングをベースとする方法と
して、文献“KL展開によるパタン記述法の顔画像識別
への応用の評価”(電子情報通信学会技術報告、PRU
90 152、1991年3月、赤松、佐々木、深町、
末永)にその一例が示されている。
【0013】ところが、この文献で示されているよう
に、対象画像の濃淡情報分布を直接または間接に特徴パ
タンとする方法では、照明の照射方向等の照明条件変動
の影響を受けやすく、さらに対象物体自身の変形、姿勢
の変化、視点位置の変化等が加わるとき、同一カテゴリ
内の特徴パタンのとりうる変動はきわめて多岐にわたっ
てしまう。
【0014】従って、識別対象の入力画像に関して予想
される変動条件の全てをカバーするように、代表的な変
形パタンを用意し、それらを個々に識別辞書にサブカテ
ゴリとして登録するという前記の方法は、認識システム
の識別辞書に必要とする記憶容量、ならびに、マッチン
グに要する処理時間の点でも、また、学習サンプルとし
て多数の変形パタンを用意しなければならないという実
際的な観点からも、困難となる場合が多い。
【0015】本発明は、前記の問題点を解決するために
なされたものであり、その目的は、識別対象物体の変
形、姿勢の変化、観測する視点位置の変化、照明条件の
変化によって起こり得る入力画像のパタン変動を吸収
し、ロバストな画像認識を可能とする3次元物体の画像
認識法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、識別対象物体の画像入力処理によって得
られた入力パタンについて、画像濃度分布、対象物体の
位置、大きさ等に関する正規化処理を行って正規化パタ
ンを求め、さらに該正規化パタンに対して特徴抽出処理
を行って特徴パタンを求め、該特徴パタンと識別辞書と
の照合処理を行い、該照合処理の結果を用いた識別判定
処理によって該識別対象物体の所属するカテゴリを決定
する3次元物体の画像認識法において、前記識別辞書に
は、識別対象カテゴリの中の任意のカテゴリ対に対応し
て対判定識別関数を用意しておき、前記照合処理では、
識別対象物体の特徴パタンを任意のカテゴリ対について
用意された前記対判定識別関数にそれぞれ代入して得ら
れる値によって、識別対象物体が該カテゴリ対を構成す
る2つのカテゴリの内でいずれに近いかを判別する対判
定処理を行い、前記識別判定処理では、あらかじめ登録
された複数のカテゴリ対に対して前記照合処理によって
得られた対判定処理の結果から、識別対象物体の所属す
るカテゴリを総合的に判断して決定する、ことを主要な
特徴とする。
【0017】そして、前記の識別辞書に格納される任意
のカテゴリ対に対応した対判定識別関数は、その識別辞
書作成処理において、任意のカテゴリ対を成す2つのカ
テゴリCi、Cjにそれぞれ属する3次元物体の任意の標
本物体について、3次元物体の表面の形状と色を同時に
計測できる3次元スキャナを用いて該標本物体の3次元
コンピュータグラフィックスモデル(以下、3次元CG
モデル)を計測し、該3次元CGモデルを原データとし
て、コンピュータグラフィックスを用いた画像生成処理
によって3次元空間中のある視点から該標本物体を眺め
た時に得られる2次元画像を前記2つのカテゴリの標本
物体についてそれぞれ作成し、その際には3次元CGモ
デルに与える変形パラメータ、および、該標本物体の2
次元画像を生成する時の姿勢条件、視点の位置、照明条
件等を定める画像生成パラメータを、一定の制御に基づ
いて変化させながら画像生成処理を繰り返すことによっ
て、前記2つのカテゴリCi、Cjの標本物体についての
多様な変動要因を反映した多数の2次元画像からなる変
形パタンデータベースを用意し、さらに前記2つのカテ
ゴリCi、Cjの変形パタンデータベースに含まれる各画
像パタンに対して、前記正規化処理ならびに特徴抽出処
理を適用することによって、該2つのカテゴリCi、Cj
の特徴パタンの標本集合{Xi}{Xj}を用意し、前
記2つの標本集合{Xi}{Xj}を対象とした統計解
析に基づいて、任意の特徴パタンXの入力に対して、該
特徴パタンXがカテゴリCi、Cjの2クラスのいずれに
属するかを判別するのに有効な関数値を与えるような識
別関数を求めたものであることを特徴とする。
【0018】
【作用】前述の手段によれば、対象画像の濃淡情報分布
を直接または間接に特徴パタンとする認識法において、
照明の照射方向等の照明条件の変化、対象物体自身の変
形、対象物体の姿勢の変化あるいは視点位置の変化によ
って予想される同一カテゴリ内の特徴パタンの多岐にわ
たる変動についても、その変動の範囲をほぼ完全にカバ
ーする変形パタンの標本集合を学習サンプルとして用意
することが容易となる。また、任意のカテゴリ対に対し
て、2つの変形パタンデータベースの間を2クラスに分
離する対判定識別関数を求めるようにしたことにより、
個々の変形パタンを個別のサブカテゴリの標準パタンと
して登録する従来の方法よりも、識別辞書に必要な記憶
容量やマッチングに必要な処理時間の削減が可能となる
というメリットがある。さらに、標本物体の形状と色情
報を同時に計測可能な3次元スキャナを用いて計測する
3次元CGモデルの測定誤差や、3次元CGモデルから
2次元画像を生成する際の計算精度に応じて、変形パタ
ンデータベースの画像品質は、標本物体を実際に様々な
入力条件のもとで撮影して得られた画像とは微妙な点で
異なるものとなる場合も多いが、ここで識別関数の設計
は、2つのカテゴリのペアについて両者の間の差に着目
して行うようにしていることにより、3次元CGモデル
から生成された学習サンプルと実写によるテストサンプ
ルの間の画質の差の影響を受けにくい識別辞書を作成す
ることが可能になる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。
【0020】図1は、本発明を適用した画像認識システ
ムの一実施例を示すブロック図である。
【0021】図1において、1は任意の識別対象物体、
2は画像入力処理部、3はパタン正規化処理部、4は特
徴抽出処理部、5は照合処理部、6は識別辞書、7は識
別判定処理部、10は識別結果、61は識別辞書6に格
納された複数の対判定識別関数の一つで、カテゴリCi
とCjの間の対判定を行うための対判定識別関数であ
る。
【0022】9は識別辞書6に格納される対判定識別関
数61を求める識別辞書作成処理部であり、カテゴリC
iの学習サンプルから選ばれた標本物体91、カテゴリ
Cjの学習サンプルから選ばれた標本物体92、3次元
スキャナ93、該標本物体91を3次元スキャナ93で
計測して得られる3次元CGモデル94、標本物体92
を3次元スキャナ93で計測して得られる3次元CGモ
デル95、変形画像生成処理部96、カテゴリCiの物
体の2次元画像から構成される変形パタンデータベース
97、カテゴリCjの物体の2次元画像から構成される
変形パタンデータベース98、パタン正規化処理部9
9、特徴抽出処理部100、カテゴリCiの変形パタン
データベース97に含まれる各パタンについて得られた
特徴パタンの標本集合{Xi}101、カテゴリCjの
変形パタンデータベース98に含まれる各パタンについ
て得られた特徴パタンの標本集合{Xj}102、対判
定識別関数算出処理部103から成っている。
【0023】次に、この画像認識システムにおいて、ま
ず図中に符号100に示す3次元物体の画像認識処理部
の動作について説明する。
【0024】まず、テレビカメラに代表される画像入力
処理部2を用いて識別対象物体1をある視点位置から観
測し、その時に得られる2次元画像を入力パタンとして
パタン正規化処理部3に入力する。そして、このパタン
正規化処理部3において、入力パタンの濃度分布、画像
中の対象物体の位置、大きさ等に関する正規化処理を行
い、識別処理の対象となる正規化パタンを形成する。
【0025】ここで、識別対象物体として人物の顔を想
定し、ほぼ正面を向いた顔のカラー入力画像に対して正
規化処理を行う場合を考えると、、パタン正規化処理部
3において行う正規化処理としては、文献“顔基準点抽
出方法”(特願平3−144540号、発明者:佐々
木、赤松、末永)に提案されている方法を用いることが
できる。
【0026】このようにした形成された正規化パタン
は、特徴抽出処理部4に入力され、ここで数学的には多
次元ベクトルXとして表記される特徴パタンXが抽出さ
れる。
【0027】ここで、2次元濃淡画像として得られた顔
の正規化パタンに対して、識別に有効な特徴パタンXを
求める処理には様々な手法が可能であるが、ここでは次
の文献〔1〕に記載の濃淡パタンをブロック分割したモ
ザイク化特徴や、文献〔2〕に記載のKL展開で次元圧
縮した展開係数ベクトルなどによる手法を用いている。
【0028】文献〔1〕 小杉:“ニューラルネット
を用いた顔画像の識別と特徴抽出”、
情報処理学会CV研究会資料73−2、1991.7 文献〔2〕 赤松 他:“KL展開によるパタン記述
法の顔画像識別への応用の評価”、信学技報PRU90
−52、1991.3 このようにして抽出された特徴パタンXは照合処理部5
に入力される。
【0029】照合処理部5では、識別辞書6に格納され
た複数の対判定識別関数の各々に対して入力された特徴
パタンXを代入することにより、該識別対象物体1が、
対判定識別関数の定める2つのカテゴリのいずれに近い
かを示す定量的な評価尺度を求める。
【0030】ここで、この実施例が識別する対象物体1
のカテゴリを、C1からCNのN個とすると、識別辞書6
には、N個のカテゴリのうちで任意の2つを選ぶ組み合
わせにより最大でN2個の対判定識別関数が用意され
る。そのうち、任意のカテゴリCi,Cjに対する対判定
識別関数61をF<i,j>で表すことにする。ここで
は一般性を失うことなく条件i<jを加えることができ
る。
【0031】対判定識別関数F<i,j>の例として
は、以下に示す線形判別関数がある。
【0032】
【数1】 y=aijX < θij → X∈カテゴリCi (1) ≧ θij → X∈カテゴリCj ここで、 X :特徴パタンを表すN次元ベクトル aij:N次元係数ベクトル θij:判別いき値 であり、aij、θijは対判定識別関数F<i,j>を定
めるパラメータである。
【0033】また、識別対象物体1から得られる特徴パ
タンXがカテゴリCi,Cjのいずれに近いかの評価尺度
を上記の線形判別関数を用いて定量的に与える方法とし
ては、以下に示す対判定重み関数Wij(i,X)、Wij
(j,X)を考えることができる。
【0034】ここで、対判定重み判定Wij(i,X)と
は、カテゴリCi,Cjの2つのクラス間の判別のために
用意された上記(1)式の線形判別関数が特徴パタンX
に対してとる値に基づいて、該特徴パタンXのカテゴリ
Ciらしさを数値化して与えるために定義された関数で
あって、該線形判別関数を定めるパラメータaij、θi
j、および、カテゴリCi,Cjの学習サンプルの各々に
ついて求められる射影値y=aijX の平均、分散とい
う統計量によって定義されるものである。
【0035】カテゴリCi,Cjの2クラス間の判別結果
が、カテゴリCiと判別されるか否かの二者択一を表す
2値情報として与えられるような対判定重み関数Wij
(i,X)の最もシンプルな実施例を、射影値yに対す
る関数のグラフとして図2に示す。同様にWij(i,
X)についても類似した関数を考えることができる。
【0036】上記の例に示したような任意の2つのカテ
ゴリ間の対判定識別関数F<i,j>を、その2クラス
の学習サンプルから定める方法については、本発明にお
ける識別辞書の作成機能に関する説明の箇所で述べるこ
とにする。
【0037】次に、照合処理部5では、識別辞書6にそ
の対判定識別関数が格納された任意のカテゴリ対に関す
る対判定処理の結果として、特徴パタンXの前記対判定
重み関数の値がそれぞれ得られることになる。任意の特
徴パタンXに対する該対判定処理の結果を識別判定処理
部7に与える方法の一例としては、N×Nの2次元配列
である対判定結果テーブルPCTを用意し、これに以下
のような値を設定して引き渡す方法を用いることができ
る。
【0038】任意のi<jに対して、
【0039】
【数2】 PCT(i,j)=Wij(i,X) PCT(j,i)=Wij(j,X) (2) とする。
【0040】この場合、対判定テーブルPCTの(i,
j)成分の値は、カテゴリCi,Cjの2つのクラス間で
対比した時、識別対象物体1の特徴パタンXがカテゴリ
Ciと判定される程度を表しているものと考えることが
できる。
【0041】識別判定処理部7では、照合処理部5にお
いて各カテゴリ対ごとの対判定処理によって得られた結
果に基づいた総合判定処理によって識別結果10の決定
を行う。
【0042】識別判定処理部7におれる総合判定処理の
一実施例として、前記の対判定結果テーブルPCTを用
いる方法を図3に示す。
【0043】まず、2次元配列として与えられるPCT
(i,j)のあるiに対する各成分の値をj方向に加算
した値SUM(i)を求める。ここで、対角成分PCT
(i,i)は本来意味を持たないので、加算時にスキッ
プするかあるいはあらかじめ値0をセットしておけばよ
い。得られた配列SUM(i)のうちで、最大値MaxS
UM(i)を与えるiMaxに対応するカテゴリCi
Maxを、特徴パタンXに対する識別結果10として出力
する。
【0044】次に、識別辞書6の作成処理の動作につい
て説明する。なおここでは、2つのカテゴリCi,Cj間
の対判定識別関数F<i,j>を求めるプロセスに即し
て説明する。
【0045】まず、2つのカテゴリCi,Cjの3次元物
体の代表的なサンプルとして、標本物体91,92をそ
れぞれ選び、その3次元物体91,92の表面の形状と
色を同時に計測できる3次元スキャナ93を用いて、該
標本物体91,92を3次元計測することにより、カテ
ゴリCi,Cjの3次元CGモデルを94,95をそれぞ
れ作成する。この3次元CGモデル94,95を原デー
タとして、コンピュータグラフィックスを用いた変形画
像生成処理部96に入力することで、3次元空間中の任
意の視点から標本物体91,92を眺めた時に得られる
2次元画像を作成する。その際、3次元CGモデル9
4,95に与える変形パラメータ、ならびに、標本物体
91,92の2次元画像を生成する時の姿勢条件、視点
の位置、照明条件等を定める画像生成パラメータを制御
し、その条件を変えて画像生成処理を繰り返すことによ
り、2つのカテゴリCi、Cjの標本物体91,92につ
いて、多様な変動要因を反映した多数の2次元画像から
なる変形パタンデータベース97,98を形成する。
【0046】以上のプロセスの実現に不可欠な3次元物
体の表面の形状と色情報の同時計測が可能な3次元スキ
ャナ93については、以下の文献〔3〕に記載されてい
るので、ここでは説明を省略する。
【0047】文献〔3〕 末永、渡部:“3D形状と
輝度(色)の同時計測が可能なスキャナとその顔画像計
測への応用”、情報処理学会CV研究会資料67−5,
1990.7.19。
【0048】また、3次元CGモデル94,95を原デ
ータとして、画像生成パラメータを一定の制御の元で変
化させることによって、多様な変動要因を反映した多数
の2次元画像を生成してデータベース97,98を作成
する方法についても、すでに文献〔4〕に明らかにして
いるので、ここでは説明を省略する。
【0049】文献〔4〕 赤松 他:“画像認識シス
テムのサンプル画像収集方法”、特願平3−17613
号。
【0050】次に、カテゴリCi、Cjのそれぞれについ
て生成された変形パタンデータベース97,98の各サ
ンプル画像に対して、前述の画像認識処理の場合と同様
にして、パタン正規化処理部99と特徴抽出処理部10
0によって正規化、特徴抽出処理を行い、カテゴリCi
の特徴パタンの標本集合{Xi}101、ならびに、カ
テゴリCjの特徴パタンの標本集合{Xj}102を求
める。
【0051】次に、特徴パタンXの標本集合{Xi}
{Xj}を基に、対判定識別関数算出部103におい
て、2つのカテゴリCi、Cj間の対判定識別関数F<
i,j>(符号61で示す)を定めるパラメータを計算
する。そのプロセスとしては、前記(1)式に示した線
形判別関数を求めるFisherの方法を用いることができ
る。これについては、以下の文献〔5〕に記載されてい
るので、ここでは本手法による線形判別関数のパラメー
タの決定法の結果のみを引き続いて以下に示す。
【0052】文献〔5〕 大津:“パターン認識にお
ける特徴抽出に関する数理的研究”、
電総研研究報告第818号、1981。
【0053】カテゴリCi、Cjという2つのクラスを識
別するためのFisher線形判別関数y=aijXの係数ベ
クトルaijは、該2つのカテゴリの学習サンプルの特徴
パタンXの標本集合{Xi}{Xj}とから、以下の式
によって導かれる。
【0054】
【数3】 aij=cΣw~1δij (cは任意の定数) (3)
【0055】
【数4】
【0056】
【数5】 Σw=ωi・Σi+ωj・Σj (5)
【0057】
【数6】 ωi=Mi/(Mi+Mj)、ωj=Mj/(Mi+Mj) (6) ここで、Mi、Mjは、それぞれカテゴリCi,Cjの学習
サンプルの標本数である。Σi,Σjは標本共分散行列で
ある。
【0058】以上、本発明を,主に人物の顔を識別の対
象とする場合の画像認識システムにおける実施例に基づ
いて具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定
されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲におい
て、種々変更し得ることは言うまでもない。
【0059】例えば、識別対象物体1について画像入力
処理部2によって得られる入力画像としては、TVカメ
ラ等の通常の画像入力機器によって得られる濃淡あるに
はカラー画像に限定されるものではない。本発明での識
別辞書6の作成処理において、3次元スキャナ93によ
って計測される対象物体の3次元CGモデル94,95
は表面の形状の情報をほぼ完全に保持しているので、本
発明による画像認識法は、測定点から対象物体までの距
離を2次元画像化したレンジ画像(距離画像)を入力と
する画像認識システムについても有効であることは言う
までもない。
【0060】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、まず第1に、3次元CGモデルに基づく生成画像を
識別辞書作成用の学習サンプルとして用いることによ
り、照明の照射方向等の照明条件の変化、対象物体自身
の変形、対象物体の姿勢の変化、あるいは視点位置の変
化によって入力画像に生ずると予想される、同一カテゴ
リ内での特徴パタンの多様な変動に対して、それをほぼ
完全にカバーする学習サンプルを用意することが可能と
なる。
【0061】また、第2には、各カテゴリ対に対して、
その変動パタンを最良に判別し得る対判定識別関数を求
め、それらの総合的な組み合わせによって多クラス間の
識別を行うという方法を採用したことにより、多様な変
動を含むパタンの識別を、小容量の識別辞書で行うこと
が可能になると共に、3次元CGモデルから生成された
画像を用いる学習サンプルと実際に対象物体を撮影して
得られる識別処理での入力画像との間の画像品質の違い
を吸収することが容易となる。
【0062】この結果、対象画像の濃淡情報分布を直接
または間接に特徴パタンとして識別しようとする画像認
識システムにおいて、対象物体の変形、証明条件の変化
など様々な変動要因に対してロバストな画像認識が可能
となる優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した3次元物体の画像認識シス
テムの一実施例を示すブロック図である。
【図2】 図1の実施例の照合処理部において使用する
対判定重み関数の例を示す説明図である。
【図3】 図1の実施例の識別判定処理部における総合
判定処理を説明するための説明図である。
【図4】 従来の3次元画像認識法を適用した3次元物
体の画像認識システムのブロック図である。
【符号の説明】
1…任意の識別対象物体、2…画像入力処理部、3…パ
タン正規化処理部、4…特徴抽出処理部、5…照合処理
部、6…識別辞書、7…識別判定処理部、9…識別辞書
の作成処理部、10…識別結果、61…カテゴリCiと
Cjに関する対判定識別関数の1つ、91…カテゴリCi
の学習サンプルの標本物体、92…カテゴリCjの学習
サンプルの標本物体、93…3次元スキャナ、94…標
本物体91の3次元CGモデル、95…標本物体92の
3次元CGモデル、96…変形画像生成処理部、97…
カテゴリCiの変形パタンデータベース、98…カテゴ
リCjの変形パタンデータベース、99…パタン正規化
処理部、100…特徴抽出処理部、101…カテゴリC
iの特徴パタンの標本集合{Xi}、102…カテゴリ
Cjの特徴パタンの標本集合{Xj}、103…対判定
識別関数算出処理部。
フロントページの続き (72)発明者 末永 康仁 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 識別対象物体の画像入力処理によって得
    られた入力パタンについて、画像濃度分布、対象物体の
    位置、大きさ等に関する正規化処理を行って正規化パタ
    ンを求め、さらに該正規化パタンに対する特徴抽出処理
    を行って特徴パタンを求め、該特徴パタンと識別辞書と
    の照合処理を行い、該照合処理の結果を用いた識別判定
    処理によって識別対象物体の所属するカテゴリを決定す
    る3次元物体の画像認識法において、前記識別辞書に
    は、識別対象カテゴリの中の任意のカテゴリ対に対応し
    て対判定識別関数を用意しておき、前記照合処理では、
    識別対象物体の特徴パタンを任意のカテゴリ対について
    用意された前記対判定識別関数にそれぞれ代入して得ら
    れる値によって、識別対象物体が該カテゴリ対を構成す
    る2つのカテゴリの内でいずれに近いかを判別する対判
    定処理を行い、前記識別判定処理では、あらかじめ登録
    された複数のカテゴリ対に対して前記照合処理によって
    得られた対判定処理の結果から、識別対象物体の所属す
    るカテゴリを総合的に判断して決定することを特徴とす
    る3次元物体の画像認識法。
  2. 【請求項2】 前記識別辞書に格納される任意のカテゴ
    リ対に対応した対判定識別関数は、その識別辞書作成処
    理において、任意のカテゴリ対を成す2つのカテゴリC
    i、Cjにそれぞれ属する3次元物体の任意の標本物体に
    ついて、3次元物体の表面の形状と色を同時に計測でき
    る3次元スキャナを用いて標本物体の3次元コンピュー
    タグラフィックスモデルを計測し、この計測した3次元
    コンピュータグラフィックスモデルを原データとして、
    コンピュータグラフィックスを用いた画像生成処理によ
    って3次元空間中のある視点から標本物体を眺めた時に
    得られる2次元画像を前記2つのカテゴリの標本物体に
    ついてそれぞれ作成し、その際には3次元コンピュータ
    グラフィックスモデルに与える変形パラメータ、および
    標本物体の2次元画像を生成する時の姿勢条件、視点の
    位置、照明条件等を定める画像生成パラメータを、一定
    の制御に基づいて変化させながら画像生成処理を繰り返
    すことによって、前記2つのカテゴリCi、Cjの標本物
    体についての多様な変動要因を反映した多数の2次元画
    像からなる変形パタンデータベースを用意し、さらに前
    記2つのカテゴリCi、Cjの変形パタンデータベースに
    含まれる各画像パタンに対して、前記正規化処理ならび
    に特徴抽出処理を適用することによって、該2つのカテ
    ゴリCi、Cjの特徴パタンの標本集合{Xi}{Xj}
    を用意し、該2つの標本集合{Xi}{Xj}を対象と
    した統計解析に基づいて、任意の特徴パタンXの入力に
    対して、この特徴パタンXがカテゴリCi、Cjの2クラ
    スのいずれに属するかを判別するのに有効な関数値を与
    えるような関数として求めたものであることを特徴とす
    る請求項1記載の3次元物体の画像認識法。
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