JPH0557871B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、通常少なくとも一方が流体であるよ
うな２つの流体間で伝達膜を介して熱または質量
の伝達を行なう装置に関する。このような装置の
例は血液オキシジエネータや透析器において使用
されるが、この場合、一方の流体は血液で、他方
の流体は酸素または透析液である。実際、膜を横
切る伝達の効率は流体の全体積がどの程度膜と接
近しうるかにより制限される。

（従来の技術） 英国特許第1442754号明細書には、複数の導管
のうちの１つの中で流体にさらされる膜表面が規
則正しく繰返すうねを有し、該導管を通る流体の
平均的流れにうねにおける流体の渦混合を促進す
る脈動流成分が重なるごとき装置が記載されてい
る。

少なくとも一方にうねが形成されている２枚の
接近して設けられたほぼ平らな伝達膜シートの間
で渦による混合が生じるごとき導管を提供するこ
とが提案されている。ここで提案されている畦は
流体の流れ中の脈動流成分に対して横切る方向に
延びる細長の溝である。この溝は膜に孔をあける
か、または導管内の流体により膜を初めに伸長さ
せて作成する。膜は支持プレートにより外側より
支持される。この場合、第２の流体のための導管
は膜と支持プレートの間に設けられる。渦による
混合が促進され、断面の小さい首部と連結される
断面の大きい球根状部を有する軸対称のチユーブ
状導管の形状をした導管の提供はいくつかの利点
を与える。しかし、このようなチユーブ状導管は
装置への取付けが困難である。英国特許第
2042926号明細書には、少なくとも一方が伝達膜
物質よりなる２枚のシートを、隣りあうラインの
起伏が互いに位相を異とするように、互いに並ん
でほぼ同一方向に延びる一連の折りたたまれたラ
インに沿つて互いにシールすることによりチユー
ブ状導管の集合列を作成する技術が記載されてい
る。この技術はほぼ平面状のコンパクトな導管の
巣状列を与える。各導管の球根状部は隣りあう導
管の首部の間に位置する。しかし、デリケートな
伝達膜物質を例えば熱によりシールする際、種々
の問題が生じてくる。また、幅狭の〓間がシール
ライン付近の導管の側部に沿つて形成されやすく
なり、血液が集まつたり凝固したりする場所がで
きてくる。

（発明の目的） 本発明は、製造が容易な構造を有し、流体が凝
固することなく、膜を通した質量伝達率の優れた
伝達膜装置を提供することを目的とする。

（発明の要約） 本発明の特徴は、質量もしくは熱伝達装置また
はフイルタ装置に使用される伝達膜装置であつ
て、一方のプレートの外形表面がもう一方のプレ
ートの同様な外形表面と対面するように離間して
設けられた一対のほぼ平行なプレート７と、該一
対のプレートの間に向いあつて接近配置された伝
達膜物質よりなる一対のシート６を含み、各シー
トは近傍のプレートの外形表面によつて支持され
るとともに該外形表面内に部分的に収まり、前記
シート間に第１の流体のための第１の導管５が提
供され、シートと隣接プレートとの間に第２の流
体のための第２の導管が提供され、各シートは他
方のシートと向いあう表面にえくぼ様の塑性変形
のくぼみ１４の配列を有し、各くぼみは他方のシ
ート上の同様のくぼみと対向して配列され、使用
の際、第１の流体が脈動流で第１の導管５を通過
するとき、渦混合が前記くぼみ内に発生し、各シ
ート６のくぼみ１４は接近してパツクされた配列
を構成し、プレート７の外形表面はシート６のく
ぼみ１４と対応するくぼみ９を有し、プレート７
のくぼみ９は溝１０により結合される伝達膜装置
にある。

驚くべきことに、このような幾何形状は２つの
シート膜の間の導管内に極端に良好な流体ダイナ
ミクスを与える。特にシート膜は大部分の領域に
亘つてわずかに離間して配されているので、流体
抵抗が小さく、導管を通る流体の平均的流れに重
なる流れの小さな脈動流成分によりくぼみ内にて
適当な渦による混合が促進される。流体の流れ率
に乱れがあり、すなわち15000以上のレイノルズ
数を持つ装置と比較すると本発明の装置によれば
質量伝達率が３倍効果的となる。流体が血液のと
き、シート膜のはつきりしたスペースはほぼ全領
域に亘つて、血液の淀み及び凝固が生じるような
場所を最小にする。

この装置は主として質量または熱伝達のために
設計されているが、例えば従来の伝達への適用の
場合における圧力より大きい圧力を加えた液体に
よつて小さな血球及び血漿をろ過するためのフイ
ルタ装置に適用することも可能である。本発明
は、従来の血液フイルタ装置で小さな血球がフイ
ルタを通過することを防止する濃淡分極と関連す
る問題を克服する。このような装置では、１枚の
シート膜が内部に外形を有するチユーブ状支持体
の内側に設けられ、シート膜に形成されたくぼみ
は支持体の外形をなすくぼみと同様となつてい
る。好ましい構成においては、各伝達膜のくぼみ
が第１の導管を通る平均流の方向に沿つて互いに
並ぶ列をなして延びるように設けられ、各列内の
くぼみは隣りの列のくぼみと横方向に巣状となる
ように隣りの列に対してくぼみ間距離の半分だけ
長さ方向にずれている。この構成は、支持プレー
トの外形表面に、隣りあうリブの起伏が互いに異
なる位相となるように導管に沿つて延びる屈曲し
たリブを設けることができることを示唆する英国
特許第2042926号明細書に開示されている構成と
似ていることがわかる。なお、このような屈曲し
たリブを有する支持プレートの作成はモールド等
の方法で行なわれ高価となる。

実際には、プレートの外形表面はシート膜のく
ぼみと整列する部分的に球状のくぼみをドリルに
よりまたはその他の方法で成形すれば十分である
ことが分かつた。各支持プレートの部分的に球状
のくぼみ内に各シート膜が部分的に収まることに
より、支持プレートのあるくぼみが別のくぼみを
シールするのを防止するべく、プレートのくぼみ
は浅い溝で相互連結されているのが好ましい。こ
れによつて、第２の流体の自由な通過が可能とな
り、くぼみが長手状の列をなすときは、溝は各列
に沿つてあるくぼみと次のくぼみを好ましく相互
連結する。これによつて第２の流体が第１の流体
と反対向きに通過することが可能となり、シート
膜は部分的に溝内に収まり、シート膜間の導管を
通る流体のためにほとんど制限のない通路を与え
る。横方向に延びる溝は列を横切つて設けられ、
列の１つのくぼみの妨害によつて生じる列に沿つ
た淀みを防止する。

各膜のくぼみは、例えば膜がポリプロピレンの
ごとき熱可塑性物質よりなるときは、熱及び圧力
を利用して、膜を型により打出して形成すること
ができる。また、装置を最初に組立てたときに圧
力を加えた加熱液体を用いて、膜を支持プレート
の外形に部分的に押しつけるようにして伸長成形
しても良い。

上記の構成は、特に血液がシート膜間の第１の
導管を脈動流により通過する第１の流体であり、
酸素が血液と反対向きで第２の導管を通る第２の
流体であるような血液オキシジエネータに有用で
ある。実験により、血液が通常にローラ・ポンプ
で潅流されるとき酸素及び二酸化炭素は約200
ml・min^-1・ｍ^-2で伝達されることが示された。
反対向きの脈動流、すなわち重なりあつた脈動流
成分が各サイクル毎に血液の流れを平均的流れと
反対の方向にさせるのに十分であるとき、気体の
伝達は450ml・min^-1・ｍ^-2まで増加する。これ
はここで示した他のあらゆるタイプの装置で得ら
れるものより優れた気体伝達である。

上記した気体伝達率は0.5mm離れたシート膜で
得た。

（実施例） 第１図に示す装置は人工肺の一部を形成するも
ので、入口２及び出口３を備えた矩形ハウジング
１を有している。血液はこの入口２及び出口３を
介してハウジング１を出入りする。ゴム製シール
部４′を有し壁により分離された分岐管４は、ポ
リプロピレン微孔質膜６により形成されるＵ字状
導管５に血液を供給することを可能にする。膜６
は、間隔をおいて配された複数のプレート７の間
及びそれらの前部付近の折りたたまれた通路に設
けられている。各プレート７はポリカーボネート
より射出成形され、テーパのついた前端部８を有
している。この前端部８は、膜６によりプレート
７間に形成されたＵ字状導管５に対して、入口部
及び出口部を提供する。

第４図及び第５図により詳細に示すように、各
プレート７には部分的に球状の複数のくぼみ９が
形成されており、これらのくぼみ９はプレートの
前部付近の位置からプレートの後部より十分離れ
た位置まで列をなして延びている。第２Ｂ図及び
第４図に示すように、隣りあつた列にあるくぼみ
９は緊密にパツクされ、隣りあつたくぼみは、隣
りの列が列内の隣接するくぼみの中心間の距離の
半分だけずれた状態でほぼ等間隔に離間してい
る。各列に沿つたくぼみ９は、該くぼみ９と同じ
深さに形成された溝１０によつて連結されてい
る。簡潔化のために、第１図では上方の一対のプ
レートにしかくぼみ９は示されておらず、またこ
れらのくぼみは概略的に示されている。第４図及
び第５図はくぼみ及び溝の形態をより大きいスケ
ールでより正確に示している。

酸素を溝１０及びくぼみ９に供給するために、
分岐管の孔２０が第２Ｂ図に示すように各プレー
ト７の前方端に形成されている。溝１０′は分岐
管の孔からスロツト１０の前方端に酸素を供給
し、一方、溝１０″はプレート７の後部を横切つ
てＵ字状導管の両サイド間に酸素を供給する。

膜６は第１図に示すようにプレート７の間の波
打つた通路に設けられ、各導管５は第２図に詳細
に示すようにＵ字状をなしている。第２図は膜６
により形成される導管の一方側を示す平面図であ
る。膜６はゴム製ガスケツトによりプレート間に
支持される。ガスケツトは２つの膜の部分を押圧
し、これらの部分を圧搾してシールを形成する。
１１，１２は導管を形成するシート膜６の両端の
折りたたみラインであり、膜６はプレートの前部
及び後部にてこれらのラインのまわりにそれぞれ
折りたたまれている。第２図の矢印Ｂは、各対の
プレート７の間に設けられている膜６の２つの重
なりあつた領域により形成される導管の血液の入
口及び出口分岐からの又はこれらの分岐への流路
を示す。長手状に延びる領域１３において、膜に
は導管から外側に向かう小さな複数のえくぼ様の
くぼみ（デインプル）１４が形成されている。こ
れらのくぼみ１４は、プレート７のくぼみと同
様、長手状に延びる列をなすごとく設けられてい
る。隣りあう列はくぼみの中心間の距離の半分だ
けそれぞれずれている。くぼみ１４は膜が折りた
たまれプレート７とともに積み重ねられる前に該
膜に形成されるのが好ましいが、膜が熱可塑性物
質により構成されるときは、膜がくぼみ９内に伸
長してくぼみを形成するように最初のアセンブリ
ングの後に例えば熱水を圧力下で導管中を通過さ
せることにより、平らな膜から形成可能であるこ
とがわかる。

長手状リブ１５はくぼみが形成された隣接する
長手状部分１３を分離する。一方、膜の中央には
幅広のリブ１６が形成されている。導管の各サイ
ドを形成する膜６の２枚のシート部分は、血液の
ためのほぼＵ字状通路を形成するようにリブ１６
に沿つて互いにシールされる。各プレート７はリ
ブ１６とほぼ同じ長さの対応リブ（図示せず）を
有しており、隣りあうプレートの対向するリブ１
６に沿つたシールを形成するように対向するリブ
の間にて膜を圧搾する。導管の各側部１７も同様
に、隣りあつたプレート７の対向する側部の間に
てシールされ、導管の端部がシールされる。

第２図の矢印Ｏで示すように人工肺を通る酸素
の流れは各導管５のまわりのＵ字状通路に従い、
酸素は、孔２０から供給され、溝１０′、くぼみ
１４の下側を通り、更にくぼみ９及び溝１０を通
り、そして溝１０″を通つてくぼみのない導管部
分１８を横切り、他方側の同様な通路を通つて戻
る。酸素は適当なダクト（図示せず）を介して孔
に供給される。

図示の例では、膜６とくぼみ１４は、第５図に
示すようにくぼみ１４の一部がくぼみ９内に延び
るごとく配列されている。くぼみ１４とくぼみ９
の各々はほぼ1.5mmの径を有し、くぼみ１４は0.5
mmの深さ、くぼみ９は１mmの深さを有し、溝１０
は0.5mmの幅とくぼみ９と同じ深さすなわち１mm
の深さを有する。プレート７のくぼみが形成され
ている部分は0.5mm離間している。

使用時には、血液は、好ましくは例えば一対の
ロール−ダイアフラム・ピストンポンプ
（rolling−diaphragm pistonpumps）により脈動
流で人工肺に送り込まれる。このピストンポンプ
は各分岐管内に設けることができ、人工肺内に振
動血流を生じさせるために互いに逆相で作動させ
ることができる。このようにして血液は、折りた
たまれた膜６により形成された導管５を通つて複
数のＵ字状通路内を流れる。血液は導管５中を平
均流速で流れるが、重量した往復成分は血液を交
互に加速、減速し、これによつて血液の良好な混
合及び血液と伝達膜の間の良好な接触を促進する
べく渦を生じさせる。同時に酸素はハウジングを
通つて血液の流れとは反対方向に一定流で、膜と
プレート７により形成された導管５の間のＵ字状
通路内に送り込まれる。この酸素の逆方向の流れ
は導管の膜壁を介する良好な伝達を生じさせる。

本発明は医療用に好適に利用されるが、これに
限定されることはなく、一般の液体用フイルタ装
置にも利用することができる。

（発明の効果） 以上のごとく、本発明はシート及びプレートが
えくぼ様のくぼみを有し、組立工程が簡単で、膜
を通した質量伝達率が従来に比べて改善される。

【図面の簡単な説明】

第１図本発明による装置の拡大した断面側面
図。第２Ａ図本発明によるアセンブリの膜の平面
図。第２Ｂ図上記装置に使用されるプレートの平
面図。第３図膜の一部をより詳細に示す平面図。
第４図膜のための支持プレートの一部をより詳細
に示す平面図。第５図プレート間に膜を備えた第
１図に示す装置の一対のプレートの詳細断面図で
ある。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 質量もしくは熱伝達装置またはフイルタ装置
   に使用される伝達膜装置であつて、 一方のプレートの外形表面がもう一方のプレー
   トの同様な外形表面と対面するように離間して設
   けられた一対のほぼ平行なプレート７と、 該一対のプレートの間に向いあつて接近配置さ
   れた伝達膜物質よりなる一対のシート６を含み、
   各シートは近傍のプレートの外形表面によつて支
   持されるとともに該外形表面内に部分的に収ま
   り、 前記シート間に第１の流体のための第１の導管
   ５が提供され、 シートと隣接プレートとの間に第２の流体のた
   めの第２の導管が提供され、 各シートは他方のシートと向いあう表面にえく
   ぼ様の塑性変形のくぼみ１４の配列を有し、各く
   ぼみは他方のシート上の同様のくぼみと対向して
   配列され、 使用の際、第１の流体が脈動流で第１の導管５
   を通過するとき、渦混合が前記くぼみ内に発生
   し、 各シート６のくぼみ１４は接近してパツクされ
   た配列を構成し、 プレート７の外形表面はシート６のくぼみ１４
   と対応するくぼみ９を有し、 プレート７のくぼみ９は溝１０により結合され
   ることを特徴とする伝達膜装置。 ２ 各シート６の各列のくぼみ１４が第１の導管
   ５を通る平均流の方向に沿つて設けられ、各列内
   のくぼみ１４は隣りの列のくぼみと横方向に係合
   するように隣りの列に対してくぼみ間距離の半分
   だけ長さ方向にずれていることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項に記載の伝達膜装置。 ３ プレート７のくぼみ９は部分的に球形である
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２
   項に記載の伝達膜装置。 ４ プレート７のくぼみ９が平均流の方向の列に
   そつてもうけられ、溝１０が各列の隣接するくぼ
   み９を結合することを特徴とする、特許請求の範
   囲１−３のいずれかに記載の伝達膜装置。 ５ 第１の導管が脈動流を発生する第１のポンプ
   手段に結合し、第２の導管が第２のポンプ手段に
   結合する特許請求の範囲１−４のいずれかに記載
   の伝達膜装置。