JPH0550244B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0550244B2
JPH0550244B2 JP27769585A JP27769585A JPH0550244B2 JP H0550244 B2 JPH0550244 B2 JP H0550244B2 JP 27769585 A JP27769585 A JP 27769585A JP 27769585 A JP27769585 A JP 27769585A JP H0550244 B2 JPH0550244 B2 JP H0550244B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
binder
active plant
plant tissue
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP27769585A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS62138107A (ja
Inventor
Shimesu Motoyama
Seiichi Umeda
Hiroaki Ogishima
Sashiro Mogi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Freund Corp
Original Assignee
Freund Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Freund Corp filed Critical Freund Corp
Priority to JP27769585A priority Critical patent/JPS62138107A/ja
Publication of JPS62138107A publication Critical patent/JPS62138107A/ja
Publication of JPH0550244B2 publication Critical patent/JPH0550244B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Pretreatment Of Seeds And Plants (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は活性植物組織を含有する組成物の製造
技術に関する。
〔背景技術〕
従来、植物の品種改良を実施するには、交配や
突然変異の誘発等により獲得された優れた形質
を、一定の品種(固定種)として定着せしめるこ
とにより達成されていた。近時は、これらに加え
て、遺伝子の組み替えや、細胞融合等の手法が利
用されるに至つている。
しかし、いずれの方法によるとしても、特に一
年生の植物にあつては、この優れた形質を保有す
る親植物から、同じ形質を有する子孫を得るため
には、親植物から種子を採取して、これを播種す
るという過程が必要である。このような、種子を
介した繁殖方式は、まず固定種を作出するための
多大な労力、時間や特殊な技法が必要であるし、
一旦作出された固定種も、常に雑交によつて形質
が劣化する危険性を有している。
このような固定種による方法の他、有用な品種
が一代雑種として成立している場合や、異数性、
構造変異の異型接合、三倍性など、特異な染色体
型によつて得られている場合には、種子繁殖によ
つて次代にその特性を遺伝させることは、実質的
に不可能である。このような場合は、毎世代、親
植物どうしの交配によつて新たに種子を採取する
とか、特殊な処理を加えるなどの手段によつて種
子を得る必要がある。このような方法は甚だしく
繁雑なばかりか、場合によつては有用な植物種子
を特定の機関の供給に依存しなければならないと
いう、国家の農業政策上極めて好ましくない事態
を惹起する可能性を有している。
また、種子を介した繁殖方法は多大な労力およ
び時間を必要とすると同時に、天候、土地などに
よつても制約を受けるという欠点を有していた。
このような欠点を解消するものとして、植物体
の組織の一部を培養して得られる不定胚、不定
芽、苗条原基またはカルス等の活性植物組織をさ
らに苗化培養して植物体を得る栄養体生殖の手法
が開発された。この方法は、条件によつては染色
体数の変化などを生起することがあるが、適当な
培養条件を選ぶことによつて、原植物と全く同一
の形質を有するクローン体を得ることが可能であ
つて、原理的には一つの親植物から多量に、また
何代でも無制限に子孫を繁殖せしめ得る。
しかしながら、天然の種子には、後に植物体に
生長する胚の他に、胚の養分となる胚乳や、胚を
物理的に保護する種皮等の植物学的アクセサリー
が具備されている。そして、この植物学的アクセ
サリーの作用により、胚の枯死、保存中の発芽等
が防止され、また腐敗等が起こらぬような適量の
水分含有量に調整されているものである。これに
対して、組織培養で得た活性植物組織には、この
ような植物学的アクセサリーは付属しておらず、
全く無防備な裸の状態で提供される。
ところで、このような裸の活性植物組織を保護
し、養分を付与する目的で、活性植物組織をゲル
マトリツクス中に包み込む方法が、特開昭59−
102308号公報および特開昭60−118103号公報に開
示されている。しかし、このようなゲルによる被
覆はゲルの強度が小さい上に多量の水分を含むた
め取り扱い難く、かつ保存性が不良であるという
欠点を有している。また、この欠点を克服するた
め、上記公開公報においては、グルタルアルデヒ
ド等の処理剤によりゲル表面を硬化せしめる方法
が示されているが、その結果は十分でなく、上記
の欠点を解消するには程遠く、到底天然の種子と
同様に取り扱えるものを製することはできない。
その上、グルタルアルデヒド等の処理剤が活性植
物組織に害を与えるおそれもある。さらに、これ
らの方式は実験室的には実施し得ても、工業的に
大量生産するには適していないという問題もあ
る。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、活性植物組織について、その
取り扱いを容易にし、かつ優れた保存性を付与す
ることができる被覆を行う技術を提供することに
ある。
本発明の他の目的は、上記被覆を工業的規模で
行うことができる技術を提供することにある。
〔発明の概要〕
活性植物組織を適切な物質からなる粉体および
結合剤を用いて被覆することにより、ゲルで被覆
する場合に比べ、多量の水分を含むことなく十分
な強度と保存性を備えた被覆を形成することがで
きるため、上記活性植物組織の取り扱いを容易に
し、かつその長期保存を可能にするものである。
また、所定量の活性植物組織に、粉体および結
合剤を散布しながら、または粉体および所定温度
で溶融する結合剤を添加し、該結合剤の溶融温度
以上に加熱しながら、転動造粒を行うことによ
り、付着した粉体の作用によつて上記活性植物組
織どうしの結合を生起させることなく、各活性植
物組織の表面に上記粉体および結合剤からなる被
覆を平均して被着形成できるため、活性植物組織
を核とする前記被覆を工業的規模で行うことがで
きるものである。
一般に、活性植物組織に、天然の種子に具備さ
れている植物学的アクセサリーと同様の機能を有
する被覆を施すに際しては、該活性植物組織に機
械的、熱的あるいは化学的な損傷を与えないこと
が要請される。このような要請を重視する余り、
従来は被覆を施す方法として、必要以上に穏和な
手法に拘泥し、損傷を与える可能性のある手法は
省られなかつた。
しかるに、本発明者らは、被覆方法として、敢
えてある程度の機械的な衝撃と、ある場合はさら
に熱履歴を伴う転動造粒法を適用してみたとこ
ろ、従来の常識に反して、発芽率にほとんど影響
を与えることなく、取り扱いが容易で保存性の良
好な種子類似物(活性植物組織含有組成物)を得
ることができることを見い出し、鋭意研究の末に
本発明を完成するに至つたものである。
本発明において、対象とされる活性植物組織と
は、直接もしくは分化、器官形成を経た後、生長
することにより植物体となりうる組織をいい、種
子は含まないものである。具体的には、体細胞、
胚、不定器官、苗条原基、プロトコーム状球体、
グリーンスポツト等と表現されている分裂組織を
挙げることができる。また、利用できる植物の種
類としては、これら活性植物組織が得られるもの
であれよく、特に制限はない。なお、実用性の大
きな植物品種として例示するならば、稲、小麦、
大麦、トウモロコシ、大豆などの主要作物、セル
リー、パセリ、レタス、カリフラワー、人参、ナ
ス、トマト、玉葱、ニンニク、シヨウガ、イチ
ゴ、スイカ、アスパラガスなどの野菜、アブラ
ナ、サトウキビ、テンサイ、タバコなどの工芸作
物、ベラドンナ、朝鮮人参、ウイキヨウなどの薬
用植物、菊、グラジオラス、百合、アマリリス、
ゼラニウム、ベゴニア、セントポーリア、シダ、
ポインセチアなどの観賞植物などを挙げることが
できる。
ところで、転動造粒法というのは、一般に、回
転する筐体、皿、円板等を用い、粉粒体を転動せ
しめつつ結合剤となる液体を、場合によつてはさ
らに粉体を散布しつつ造粒する方法であるが、本
発明の方法においては、核となる活性植物組織ど
うしの結合を生起させず、散布する粉体を結合剤
によつて核の周囲に均一に付着せしめて被覆され
るように操作することが必要である。
このような転動造粒法による本発明の方法に用
いられる転動造粒装置としては、円筒状または円
錐状の回転ドラム、傾斜した一段または多段の回
転皿、直立円筒または円錐容器の下部に回転円板
を備えた装置、さらには振動を利用した装置など
各種の形状、構造のものが利用可能である。なか
でも、回転円板を有する装置は、回転速度を大き
くすることが可能で、転動の能率が良く、遠心力
を利用する転動作用がこれに加わることと相まつ
て造粒速度が大きく好適とされる。このような装
置としては、フロイント産業株式会社製の遠心流
動型コーチング造粒装置(略称CF)、同社製スパ
イラフロー(商品名)等が市販品として利用可能
である。
本発明に用いられる粉体としては、ブドウ糖、
蔗糖、乳糖、澱粉、変性澱粉、デキストリン、セ
ルロース粉末、カオリン、タルク、ベントナイ
ト、珪酸アルミニウム、無水珪酸、炭酸カルシウ
ム、燐酸カルシウム、活性炭、乾燥土、合成樹脂
粉末、木粉、ステアリン酸など水溶性または非水
溶性の活性植物組織に対して無害の粉末であれば
よい。また、この粉体としては、保存中は固体状
で培地や土中に播かれたとき水分によつて膨潤し
てゲル状になるか、あるいは水分の存在で架橋剤
と反応してゲル状となる高分子物質、たとえばア
ルギン酸塩、ペクチン、寒天、カラギーナン、グ
アーガム、ポリビニルアルコール、セルロースエ
ーテル類等も好適に利用しうる。粉末には、この
他ホウ砂、多価金属塩、多官能基化合物などの架
橋剤やゲル化剤、結着剤、崩壊剤、滑沢剤、浸透
剤、活性植物組織の発芽、生長に必要なアンモニ
ウム塩、尿素、カリウム塩、燐酸塩などの栄養
剤、ジベレリン、オーキシン類、あるいはサイト
カイニン類などの植物生長ホルモン、アブシジン
酸などの保存中の発芽抑制剤、疾病予防剤、防腐
剤、防虫剤、除草剤、保湿剤、PH調節剤等、天然
の種子の植物学的アクセサリーに相当する成分
や、活性植物組織に特に必要な成分および造粒、
保存、播種時に有利な作用を与える成分等を添加
して造粒することは差支えない。
本発明の方法発明1(特許請求の範囲第2項に
記載の発明)に用いられる結合剤としては、粉体
を活性植物組織の周囲に付着せしめて良好な被覆
を形成するような物質であればよく、場合によつ
ては単なる水、あるいは有機溶剤でもよいが、通
常は結合力のある物質の溶液やエマルジヨンが用
いられる。このような物質としては、ブドウ糖、
蔗糖、澱粉、変性澱粉、デキストリン等の単糖、
少糖または多糖類さらにはその変性物や誘導体、
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルセロースなどのセルロース誘導体、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリ
ル酸、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸のエス
テルまたはこれらの共重合体、ポリアクリルアミ
ド、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコールな
どの合成高分子など、結合力があつて活性植物組
織に無害なものであればよく、特に制限はされな
い。
本発明の方法発明2(特許請求の範囲第3項に
記載の発明)に用いられる結合剤としては、パラ
フイン、ロウ、ポリエチレングリコール、ポリオ
キシエチレンポリオキシプロピレンブロツクコポ
リマーなどがある。中でも、溶融温度が常温から
約50℃の範囲にあるものが好ましい。しかし、溶
融温度が活性植物組織を破壊しない温度範囲にあ
つて、結合力を有する活性植物組織に対して無害
な物質であればよく、上記物質に限定されるもの
ではない。なお、ここにいう溶融温度は必ずしも
明確な融点のみを意味するのではない。したがつ
て、結合剤には、溶融温度にかなりの巾を有して
いるものであつても、所定温度以上では液状を呈
するものであれば含まれる。
また、前記結合剤はいずれも特許請求の範囲第
1項に記載の活性植物組織含有組成物における結
合剤として用いることができるものである。
次に、本発明の方法発明1を、回転円板を有す
る装置を用いて実施する場合の一例について説明
する。まず、装置に所定量の活性植物組織を仕込
み、円板を回転させ、円板周囲の間隙から空気を
送入する。次いで、粉体を散布しつつ結合剤を噴
霧する。噴霧量は、当初少なく造粒されて粒径が
大きくなるに従つて多くするとよい。回転速度お
よび空気送入速度も、徐々に増大させるのが普通
である。
次いで、本発明の方法発明2による一例を示
す。前記本発明の方法発明1による一例と同様の
に装置を用いる場合、活性植物組織と粉体および
結合剤の全量を仕込んで円板を回転させ、温風を
円板周囲の隙間、あるいはさらに円板の通気部か
ら送入して結合剤を溶融して造粒する。結合剤お
よび粉体は、場合によつては初めから全量を仕込
まず、途中で追加する方式でも差し支えない。
以上、本出願にかかる本発明の方法発明1およ
び本発明の方法発明2による一例をそれぞれ具体
的に説明したが、いずれの場合においても、粉体
および結合剤は、目的に応じて、操作途中で適宜
変更し、多層の被覆とすることも可能である。ま
た、活性植物組織をそのまま使用せず、予め疎水
性または親水性の被膜で被覆し、あるいは粉末や
液状物を付着させたり、浸透させておいたものを
前記技術により被覆することも本発明に含まれ
る。特に、活性植物組織の機械的強度を増大させ
て衝撃に対する抵抗力を高めたり、活性植物組織
中の水分が、被覆操作中や保存中に失われること
を防ぐためにプレコート(予備被覆)を行うこと
や、活性植物組織を1個ずつに分離する前処理を
実施してから本発明の方法を適用することは、好
結果を与えることが多い。
プレコートとしては、水膨潤性の高分子物質の
粉末や、これを膨潤せしめて形成した被膜、非膨
潤性の粉末を活性植物組織に付着させてその表面
を覆つたものなどが好適であり、また油脂、ロウ
などによる被覆も有効である。
本発明により製する種子類似物(活性植物組織
含有組成物)は、活性植物組織の種類、想定され
る保存日数および播種方法などに応じて、その硬
さ、含水量、酸素透過性、崩壊特性などを適切な
ものに設定することが可能である。したがつて、
活性植物組織そのものに比して格段に取り扱い易
く、通常の種子と同様に播種機械で播種しうるも
のであり、また保存性の良好なものである。特に
活性植物組織の保存には、適量の水分含有量が必
要であるが、これは造粒処方や得られた粒子の乾
燥程度により容易に制御し得、またこの水分を保
つために、粒子の表面に油脂、ロウなどの油性の
被覆を施すことや、合成樹脂などの水溶液、エマ
ルジヨン、有機溶剤溶液や、瞬間硬化型のモノマ
ーを吹き付けるなどして被覆を施すことは保存上
有効である。
活性植物組織そのものは、まず培地に播種して
ある程度まで生長した植物体とした後、圃場に移
植する必要があるが、適切な条件の下で本発明に
より製した種子類似物は天然の種子と同様、直接
圃場に播種しうる利点を有する。
以上説明した如く、本発明によれば、所望の性
能を備えた被膜により活性植物組織を被覆するこ
とができるため、該活性植物組織の取り扱いを容
易にし、かつその保存性を向上できるものであ
る。
また、粉体と結合剤とを用いて転動造粒を行う
ことにより、活性植物組織が核として被覆された
種子類似物の量産を達成することができるもので
ある。
〔効果〕
(1) 活性植物組織を適切な物質からなる粉体およ
び結合剤を用いて被覆することにより、ゲルで
被覆する場合に比し、多量の水分を含むことな
く十分な強度と保存性を備えた被覆を形成する
ことができるので、上記活性植物組織の取り扱
いを容易に行うことができ、かつその長期保存
を達成できる。
(2) 所定量の活性植物組織に、粉体および結合剤
を散布しながら、転動造粒を行うことにより、
その表面に付着した粉体の作用により、上記活
性植物組織どうしの結合を生起させることな
く、各活性植物の表面に上記粉体および結合剤
からなる被覆を平均して形成できるので、活性
植物組織を核とする被覆を工業的規模で行うこ
とができる。
(3) 所定量の活性植物組織に、粉体および所定温
度で溶融する結合剤を添加し、該結合剤の溶融
温度以上に加熱しながら転動造粒を行うことに
より、常態が固体状の結合剤を使用する場合で
も前記(2)の場合と同様に工業的規模で活性植物
組織の被覆を行うことができる。
(4) 前記(3)において、結合剤を粉体と同時に仕込
んだ後、転動造粒することができることによ
り、仕込み作業を単純化できるので、作業性向
上を達成できる。
(5) 前記(1)および(2)、または前記(1)および(3)によ
り、その取り扱いが容易でかつ長期保存が可能
な活性植物組織含有組成物を大量生産すること
が達成される。
次に、本発明による実施例を説明する。
〔実施例 1〕 遠心流動型コーチング造粒装置CF−360型(商
品名、フロイント産業株式会社製)に、ニンジン
(Daucus carota L.)の不定胚50gを仕込み、円
板を80RPMで回転させ、RH(相対湿度)80%の
空気を円板周囲のスリツトから100/分の速度
で送入した。ベントナイトを散布しつつ、結合剤
としてヒドロキシプロピルセルロースHPC−L
(商品名、日本曹達株式会社製)の5%水溶液を
5ml/分の速度でスプレーした。不定胚の周囲に
はベントナイトが付着し、略不定胚1個ずつに分
離して粒が形成された。造粒が進むにつれて円板
の回転数、スプレー速度および空気流速を徐々に
上げ、最終的には回転数150RPM、スプレー速度
20ml/分、空気流量150/分とした。約50分間
で1950gのベントナイトを散布して被覆を終了
し、長径2.5〜3mm、短径約2mm、の長楕円体形
の略均一な粒子を得た。得られた粒子は稍湿つた
適度の硬度を有する粒子で取り扱い易かつた。
この粒子は、Murashige−Skoog(以下MSと略
す)の寒天培地上に載置すると吸水し、不定胚が
容易に発芽できるように膨潤した。全操作を無菌
的に実施した場合、発芽率は7/9であつた。
なお、本実施例1で使用したニンジンの不定胚
は次のようにして調整したものであり、後続の実
施例および比較例に適用するニンジンの不定胚も
同様にして調整したものである。
まず、ニンジンの根の内部組織を無菌的に取り
出し、0.1〜1ppmの2,4−ジクロロフエノキシ
酢酸(以下2,4−Dと略す)を添加したMSの
寒天培地に植え、カルスを得た。そのカルスを前
記と同様の組成の液体培地で振とう培養して多数
の小細胞塊を得た。その小細胞塊を2,4−Dを
含まないMSの液体培地で振とう培養して体細胞
不定胚を得た。
〔実施例 2〕 実施例1において、ニンジンの不定胚を予め融
点40℃のパラフインを41℃に保つた溶融液中に浸
漬して薄いパラフイン層でプレコートしたものを
核として用いたものであり、その他は実施例1と
同様に操作し、実施例1と同様に粒子を得た。こ
の粒子をMSの寒天培地に載置したときの発芽率
は8/9、無菌の容器内に1ケ月保存した後の同条
件の発芽率は6/9であつた。
比較例 1 実施例1および2において用いたニンジンの不
定胚をそのまま無菌的にMSの寒天培地上に載置
したときの発芽率は8/9であつた。しかし、不定
胚は取り扱いが難しく、慎重に取り扱わないと折
損するなどの難点があつた。また、無菌の容器内
に1ケ月保存した後の同条件の発芽率は0/9であ
つた。
〔実施例 3〕 実施例1と同じ遠心流動型コーチング造粒装置
にアルフアルフア(Medicago sativa L.)の不
定胚50gにタルクとペクチンの重量比3:1の混
合粉末を付着させて表面を覆つたものを仕込み、
当初の回転数および空気流量は実施例1と同じと
した。これにカオリンを散布しつつシリコーンオ
イルKF96(100CS)(商品名、信越化学工業株式
会社製)を5ml/分の速度でスプレーした。5分
間でカオリン150gを散布し、保湿コーテイング
層とした。次にトウモロコシ澱粉とタルクの等量
混合粉末を散布しつつ結合剤としてポリビニルア
ルコール105(商品名、クラレ株式会社製)の4%
水溶液を6ml/分の速度でスプレーした。造粒は
順調に進行した。造粒が進むにつれて、円板の回
転数、スプレー速度およびスリツト空気流量を
徐々に上げ、最終的に回転数150RPM、スプレー
速度20ml/分、空気流量150/分とした。約45
分間で混合粉末1800gを散布して被覆を終了し、
長径6〜8mm、短径2〜3mmの長楕円体形の粒子
を得た。得られた粒子は稍湿つた、適度の硬度を
有する粒子で取り扱い易かつた。この粒子はMS
の寒天培地上に載置すると、吸水して膨潤した。
全操作を無菌的に実施したときの発芽率は8/9で
あつた。
なお、本実施例3で使用したアルフアルフアの
不定胚は、次のようにして調整した。
アルフアルフアの葉柄を5ppmのナフタレン酢
酸および2ppmのカイネチンを含むSchenk and
Hildebrandt(以下SHと略す)培地(Canadian
Journal of Botany,第50巻199−204p,1972年)
に置床してカルスを得た。このカルスを11ppmの
2,4−Dおよび1ppmのカイネチンを含むSH培
地に3〜4日間置床して不定胚形成を誘導した
後、2,4−Dおよびカイネチンを含まないSH
培地に移植して不定胚を得た。
〔実施例 4〕 実施例1と同じ装置にニンジンの不定胚50gの
表面に、予めカオリン粉末を付着させて覆つたも
のを仕込み、当初の回転数および空気流量は実施
例1と同じとした。これにステアリン酸粉末を散
布しつつシリコーンオイルKF96(100CS)(商品
名、信越化学工業株式会社製)を5ml/分の速度
でスプレーした。3分間でステアリン酸50gを散
布し、保湿コーテイング層とした。次にペクチン
粉末(ユニペクチン3G(商品名、雪印食品株式会
社製)を粉砕したもの)800g、ブドウ糖粉末
700g、配合肥料ハイポネツクス(商品名、米国
ハイポネツクス社製)3gの混合粉末を散布しつ
つ、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース
HPC−L(商品名、日本曹達株式会社製)の5%
エタノール溶液を10ml/分の速度でスプレーし
た。造粒は順調に進行した。造粒が進むにつれて
円板の回転数、スプレー速度およびスリツト空気
流量を徐々に上げ、最終的に回転数120RPM、ス
プレー速度30ml/分、空気流量180/分とした。
約20分間で混合粉末の全量を散布した。次に、円
板回転数およびスリツト空気流量はそのままで、
スリツト空気温度50℃に上げ、低粘度ヒドロキシ
プロピルメチルセルロースTC−5E(商品名、信
越化学工業株式会社製)10%水溶液295mlにチウ
ラム水和剤5mlを混合した液を5g/分の速度で
スプレーし、殺菌被覆とし、被覆を終了した。得
られた粒子は長径2.5〜3mm、短径約2mmで弾性
のある粒子で取り扱い易かつた。この粒子は、吸
水したバーミキユライト上に載置すると徐々に吸
水して膨潤し、ゲル状となり、他から栄養分を補
強することなく74/100の発芽率であつた。また、
直接圃場に播種したときの発芽率は57/100であつ
た。
この粒子を通常の室内に1ケ月保存した後の発
芽率は同じ条件下のバーミキユライトで65/100、
圃場では43/100であつた。
〔実施例 5〕 転動造粒装置として遠心転動流動コーチング装
置、スパイラフローSFC−5型(商品名、フロイ
ント産業株式会社製)を使用し、ニンジンの不定
胚50gに、カラギーナンの微粉を付着させ、水で
湿らせて少し膨潤させたものを仕込み、風量1.2
m3/分、円板回転数300RPMで転動・流動せしめ
た。カラギーナンの微粉20g、ブドウ糖粉末
1000g、トウモロコシ澱粉800g、リン酸1水素2
カリウム0.5g、尿素0.5g、アブシジン酸0.1gの混
合粉末を散布しつつ結合剤としてヒドロキシプロ
ピルセルロースHPC−L(商品名、日本曹達株式
会社製)の4%水溶液を20ml/分の速度でスプレ
ーした。造粒は順調に進行した。25分間で混合粉
末の全量を散布した。次に低粘度ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースTC−5E(商品名、信越化
学工業株式会社製)10%水溶液295mlに、チウラ
ム水和剤5gを混合した液を15ml/分の速度でス
プレーし、殺菌被覆とした。次いで、400gのポ
リオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体
(商品名、PEP−101、フロイント産業株式会社
製)の20%水溶液を50ml/分の速度でスプレーし
て保護保湿被覆とした。得られた粒子は径約3mm
の略球形の弾性を有する粒子で、取り扱い易かつ
た。この粒子は吸水したバーミキユライト上に載
置すると、徐々に吸水して膨潤し、ゲル状の球体
となり、他から栄養分を補強することなく72/100
の発芽率であつた。また、この粒子を通常の室内
に1ケ月保存した後の発芽率は同じ条件で60/100
であつた。
比較例 2 実施例5において用いたニンジンの不定胚の、
吸水したバーミキユライト上での発芽率は0/100
であつた。
〔実施例 6〕 転動造粒装置として遠心転動流動コーチング装
置、スパイラフローSFC−5型(商品名)を使用
し、イネ(Oryza sativa japonica)の不定芽
50gにカオリンと微粉状のアルギン酸ナトリウム
を重量比で1:2に混合した粉末を付着させて覆
い、水で少し膨潤させたもの、粉体として乳糖
1300gおよびトウモロコシ澱粉350g、結合剤とし
てポリエチレングリコール(#1540)350gを仕
込み、吸気温度60℃、風量1.3m3/分、円板回転
数300RPMで15分間転動・流動せしめた。この操
作によつて、ポリエチレングリコールが溶融し
て、不定芽の周囲に乳糖とトウモロコシ澱粉が付
着・結合して、略不定芽1個ずつを含む粒子に造
粒された。
次いで、吸気を常温として、さらに15分間円板
を回転し、ポリエチレングリコールを冷却固化せ
しめた。得られた粒子は長径6〜8mm、短径約3
mmの長楕円体形で、適当な硬度を有し、取り扱い
易かつた。全操作を無菌的に実施したとき、この
粒子はMS寒天培地上に載置すると吸水して膨潤
し、徐々に崩壊した。発芽率は8/9であつた。
なお、本実施例6で使用したイネの不定芽は次
のようにして調整した。
イネ(品種:藤坂5号)の種子を無菌的に発芽
させ、根断片を3ppmの2,4−Dを含むMSの
寒天培地に置床し、カルスを得た。そのカルスを
2ppmの2,4−Dを含むMSの寒天培地で1〜
2回継代培養してカルスを増殖させた。得られた
カルスを0.02ppmの2,4−Dおよび10ppmのカ
イネチンを含むMS培地に移し、不定芽を得た。
〔実施例 7〕 実施例6と同じ装置を用い、ニンジンの不定胚
50gに、タルクの粉末を付着させて表面を覆つた
もの、粉体としてタルク500g、ブドウ糖粉末
1000g、ペクチン粉末(ユニペクチン3G(商品名、
雪印食品株式会社製)を粉砕したもの)50g、配
合肥料ハイポネツクス(商品名、米国ハイポネツ
クス社製)3g、アブシジン酸0.1gの混合粉末、結
合剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピ
レン共重合体プルロニツクP−85(商品名、旭電
化株式会社製)400gを仕込み、吸気温度60℃、
風量1.2m3/分、円板回転数300RPMで20分間転
動、流動せしめた。
この操作によつて、プルロニツクが溶融して不
定胚の周囲に混合粉末が付着・結合して、略不定
胚1個ずつを含む粒子に造粒された。次いで、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロースTC−5E(商
品名、信越化学工業株式会社製)の10%水溶液
295mlに、チラリウム水和剤5gを混合した液を15
ml/分の速度でスプレーし、殺菌被覆とした。さ
らに、TC−5Eの10%水溶液200mlを15ml/分の
速度でスプレーして保護被覆とした。得られた粒
子は長径約3mm、短径約2mmの長楕円体形の粒子
で適当な硬度を有し、取り扱い易かつた。この粒
子は吸水したバーミキユライト上に載置すると、
徐々に吸水して膨潤し、他から栄養分を補給する
ことなく、69/100の発芽率であつた。
この粒子を通常の室内に1ケ月保存した後の発
芽率は同じ条件下で55/100であつた。
以上、本発明による実施例を説明したが、本発
明は前記実施例に限定されるものでないことはい
うまでもない。
たとえば、活性植物組織としてニンジンおよび
アルフアルフアの不定胚ならびにイネの不定芽を
採り上げたが、これに限るものでないことはいう
までもなく、同一の目的に使用できるものであれ
ば如何なるものであつてもよい。また、その被覆
材料である粉体および結合剤はもとより、その被
覆条件も前記実施例に示したものに限らないこと
はいうまでもない。
さらに、転動造粒装置も前記実施例に示したも
のに限るものでなく、同様の目的に使用できる装
置であれば種々利用できるものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 活性植物組織に粉体および結合剤を被着し、
    該活性植物組織を上記粉体と結合剤またはその成
    分とから形成される被覆材で被覆してなる組成
    物。 2 活性植物組織を核とし、粉体および結合剤を
    散布しつつ転動造粒することを特徴とする組成物
    の製造方法。 3 活性植物組織を核とし、粉体および所定温度
    で溶融可能な結合剤を、その結合剤の溶融温度以
    上に加熱しつつ転動造粒することを特徴とする組
    成物の製造方法。
JP27769585A 1985-12-10 1985-12-10 組成物およびその製造方法 Granted JPS62138107A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27769585A JPS62138107A (ja) 1985-12-10 1985-12-10 組成物およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27769585A JPS62138107A (ja) 1985-12-10 1985-12-10 組成物およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS62138107A JPS62138107A (ja) 1987-06-20
JPH0550244B2 true JPH0550244B2 (ja) 1993-07-28

Family

ID=17587015

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27769585A Granted JPS62138107A (ja) 1985-12-10 1985-12-10 組成物およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS62138107A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2649860A1 (fr) * 1989-07-18 1991-01-25 Nestle Sa Procede de conservation d'embryons vegetaux

Also Published As

Publication number Publication date
JPS62138107A (ja) 1987-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2553147B2 (ja) 糖類の徐放性粒子、その製造法および利用
Redenbaugh et al. Somatic seeds: encapsulation of asexual plant embryos
Singh et al. Alginate-encapsulation of nodal segments for propagation, short-term conservation and germplasm exchange and distribution of Eclipta alba (L.)
JP4346112B2 (ja) 植物保水用坦体
CN103391710B (zh) 种子包衣、包衣组合物及其使用方法
EP0250584B1 (en) Desiccated analogs of botanic seed
US4615141A (en) Process for encapsulating asexual plant embryos
JPS62179303A (ja) 播種物
CN110622967A (zh) 一种沙化土地生态修复用种衣剂、包衣方法及包衣种子
US20160007590A1 (en) Seed Growth Enhancer Compositions
JPH0474983B2 (ja)
US20150320033A1 (en) Pre-Emergent Seed Coatings and Growth Stimulator Compositions
CN108156884A (zh) 一种适用于水稻直播的丸粒化种子及丸粒化方法
Sharma et al. Synthetic seeds: a valuable adjunct for conservation of medicinal plants
JPH05504891A (ja) 人工種子
JPH0246240A (ja) 人工種子
JPH1084714A (ja) 植物栽培用水性ゲル培地
JPS62275604A (ja) 植物体再生組織、その製造方法および人工種子
JPS63133904A (ja) 人工種子
JP3834215B2 (ja) ゲル被覆種子
Sakamoto et al. Delivery systems for tissue culture by encapsulation
CA3122764A1 (en) An artificial plant seed and uses thereof
JPH0646903B2 (ja) 活性植物組織の分離方法
Garg et al. Synthetic seed technology, application and future trends
CN1315366C (zh) 凝胶包衣种子