JPH0547849U - 少試料専用のサンプルカップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】従来のサンプルカップは、穴が深く円柱状に穿
たれた形とされており、そのため、サンプルカップ内に
多量の試料を入れておいてこれをキャピラリーチューブ
に採取させていた。しかるに自動測定にあっては、キャ
ピラリーチューブの降下量が一定しており、何回かの試
料採取後は、試料の溶液表面が降下するため採取・測定
が不能となる。そこで本考案は、少試料の自動測定に適
したサンプルカップを提供することを目的とする。 【構成】本考案は、サンプルカップの穴深さをキャピラ
リーチューブの先端が接する程度の深さに設定すると共
に、内底面をＲ状とした逆円錐形の穴形状とし、以て少
量の試料でも数多く採取・測定できるようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、フレームレス原子吸光分析の自動測定に使用する少試料専用のサ ンプルカップに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のサンプルカップ１１の内部の穴形状は、第２図に示すように、深く円柱 形に穿った形状（深さを符号「ｄ」で示す）とされていた。そしてフレームレス 原子吸光分析の自動測定に際しては、上記サンプルカップ１１をサンプルホルダ ー（図示せず）にセットし、このサンプルカップ１１内に試料溶液を注入し、該 試料溶液中に試料採取用チューブ（キャピラリーチューブ）を自動降下させて一 定の少試料溶液を採取し、これを測定していた。

【０００３】 上記キャピラリーチューブは、縦方向に一定量だけ降下してサンプルカップ１ １中の試料溶液を採取する。従って、サンプルカップ１１中の試料溶液が数mlと 多い場合には採取できるが、試料溶液が数μlと少い場合には空採取となって自 動測定が行えなくなる。そこで従来では、試料に純水を加えて試料量を増加させ て自動測定を行なっていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記従来方法では、試料が純水で希釈されるために装置の検出下 限が高くなり、ppb、pptレベルの半導体関係の薬品や洗浄液中等の微量金属不純 物量が検出できなくなる場合がでてくる。

【０００５】 本考案は、上記不都合を解消し、少量の試料でも採取可能なサンプルカップを 得ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 本考案に係る少試料専用のカップルは、フレームレス原子吸光分析の自動測定 に使用する少試料専用のサンプルカップであって、試料採取用のチューブが挿入 されるものにおいて、内部深さが、降下した試料採取用のチューブの先端が接す る程度の深さとされ、且つその内部形状が底面Ｒ状の逆円錐形とされている。

【０００７】

【作用】

このように構成した場合は、カップ底はＲ状をなしているので、試料は必ずカ ップ底の一番深いところに位置する。他方、測定時にチューブが降下して、該チ ューブの先端が、カップ底に接近しカップ底最深部付近に位置することとなる。

【０００８】

【実施例】

第1図は、本考案少試料専用のサンプルカップの一実施例を示す断面図であっ て、１はカップ、２は穴、３は底面を、そしてＤは穴深さを示している。上記第 １図に示すように、サンプルカップ１は大略逆円錐形の穴２を有し、底面３はＲ 状となされ、穴深さＤは従来のサンプルカップ１１の穴深さｄよりも浅くなされ ている。

【０００９】 従って、本考案サンプルカップ１には、数１００μlの試料しか入らない。こ の試料量は、従来のサンプルカップ１１に入る試料量が数mlも入るのに比較する と極めて少量である。しかし、サンプルカップ１の最大容量が数１００μlと小 量であっても、実際に測定に供する試料量が数１０μlと小量であるため、測定 に関しては何等の問題も生じない。

【００１０】 本考案のサンプルカップ１は、次のように用いる。使用に際して、サンプルカ ップ１は酸洗浄される。この場合、本考案のサンプルカップ１の底面３がＲ状と されているため水切れが良く、良好な洗浄を容易に行える。次に上記サンプルカ ップ１をサンプルホルダー（図示せず）にセットし、マイクロピペット（図示せ ず）で試料を注入する。

【００１１】 ところで、上記マイクロピペットによる試料注入は、自動測定の場合、空採取 か否か測定後の数値だけでは判断できないので、マイクロピペットの先端をサン プルカップ１の底面に近接させて行う必要がある。かくして試料の注入されたサ ンプルカップ１の穴２内にキャピラリーチューブ（図示せず）を降下せしめて少 試料（数１０μl）を自動採取し、測定に供する。この場合に、上記サンプルカ ップ１の穴深さＤは、降下したキャピラリーチューブの先端が接する程度の深さ とされているため、サンプルカップ１内の試料は、全てキャピラリーチューブに 採取し切られることになる。

【００１２】

【試験例】

本考案のサンプルカップ１に、既知濃度の溶液（Ｆe：５ppb，Ａl：１０ppb） をマイクロピペットで９５μl採取し、測定時のキャピラリーチューブ採取量を 、１０μlに設定し、同じサンプルカップから採取・測定が何回可能か試験を行 った。下記表１に分析値を示す。

【００１３】

【表１】

【００１４】

【対比試験例】

同様にして従来のサンプルカップ１１で試験を行なった。下記表２に分析値を 示す。

【００１５】

【表２】

【００１６】

【考案の効果】

上記対比試験例表２では、サンプルカップ１１内の試料９５μlを１０μl／１ 回採取した場合、４回までは採取測定が可能であるが、残りの５５μlはキャピ ラリーチューブで採取できず測定不能であることを示している。

【００１７】 これに対し、本考案のサンプルカップ１に依れば、表１に示すように、試料９ ５μl中９回の採取・測定が可能となることを確認した。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す縦断面図

【図２】従来のサンプルカップの縦断面図

【符号の説明】

１ サンプルカップ ２ 穴 ３ 底面 Ｄ 穴深さ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 フレームレス原子吸光分析の自動測定に
   使用する少試料専用のサンプルカップであって、試料採
   取用のチューブが挿入されるものにおいて、内部深さ
   が、降下した試料採取用のチューブの先端が接する程度
   の深さとされ、且つその内部形状が底面Ｒ状の逆円錐形
   とされていることを特徴とする少試料専用のサンプルカ
   ップ。