JPH0534290A - 感光性物質の定量法 - Google Patents

感光性物質の定量法

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JPH0534290A
JPH0534290A JP22788991A JP22788991A JPH0534290A JP H0534290 A JPH0534290 A JP H0534290A JP 22788991 A JP22788991 A JP 22788991A JP 22788991 A JP22788991 A JP 22788991A JP H0534290 A JPH0534290 A JP H0534290A
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Ee Motsutsuenbotsukaa Maabin
マービン・エー・モツツエンボツカー
Motoaki Shintani
元章 新谷
Koichi Kondo
孝一 近藤
Hironaga Masuya
浩大 桝屋
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な操作で高感度測定の可能な感光性物質
の定量法の提供。 【構成】 発光性物質の存在下で感光性物質に、(1)
光強度を周期変調して光照射し、感光性物質の濃度に比
例して生じる短波長発光を検出し、発光を周期検出する
か、(2)パルス光を照射し、パルス励起光の不存在下
で感光性物質の濃度に比例して生じる短波長発光を検出
する感光性物質の定量法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は感光性物質の定量法、さ
らに詳しくは、液体中の被験物質を化学発光により検出
する方法、特に、診断に用いる光学発光検出法に関す
る。
【0002】
【従来の技術および課題】化学的方法に基づく測定法
は、液体中に極めて低濃度で存在する医学的、環境的、
工業的に重要な様々な物質の検出定量に非常に有用であ
るが、分析対象物質自体が強い蛍光や化学発光を示す場
合を除き、低濃度の直接検出は不可能である。したがっ
て、分析対象物質の存在は、信号を出す分子、すなわち
信号を発生する物質(通常は触媒)を検出の段階で使用
することにより間接的に検出することになる。この検出
段階に先立ち、別の結合反応が実施されるが、そのなか
には抗原、抗体や核酸どうしの結合反応(異なる分子を
非常に強力に相互結合させる化学反応)が含まれるのが
普通である。検出のための触媒としては酵素が使用され
ることが最も多く、これらの酵素検出反応は、酵素を一
定時間、特定の条件(pH、塩、温度、基質、緩衝液組
成など)でインキュベーションした後、酵素反応生成物
を測定することを特徴とするが、酵素は本来不安定であ
るため、酵素触媒を使用する診断測定法は酵素触媒を使
用しないものよりも保存寿命が短く検出反応条件が厳し
くなる傾向にある。
【0003】近年の診断測定の進歩の多くは、検出段階
の改良によりもたらされたものである。蛍光のバックグ
ラウンドの問題の解決につながった最も重要な進歩とし
て、時間分解蛍光法[ソイニおよびコジョラ、クリニカ
ル・ケミストリー(Soiniand Kojola, (1983),
Clin.Chem.), 29, 65−68]と化学発光法[シ
ュレーダーら、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Sc
hroeder et al.,Methods in Enzymology; (197
8)), 57,424−459]という二つの技術が挙げ
られる。
【0004】時間分解蛍光法では、遷移原子の長い電子
崩壊時間を利用し、遷移金属原子から出る光を測定する
前に短波長から長波長へのストークスシフト蛍光を崩壊
させることでストークスシフト蛍光を除去する。時間分
解蛍光法の問題の一つは、適当な電子崩壊速度を有する
遷移原子は水で消光されやすく、通常はミセル生成物質
を添加することで保護する必要があることである。した
がって、遷移原子を利用する場合、検出過程に1段階を
追加する必要がある。もう一つの問題は、遷移原子が光
を吸収しにくいことによるもので、励起光を吸収した
後、吸収エネルギーを遷移原子に渡すことのできる化合
物との複合体として存在しなければならないことであ
る。このため、遷移原子は吸光性物質とキレート結合さ
れるのが普通である。さらにもう一つの問題は、血液や
尿などの生体試料にはかなり高濃度の遷移状態の原子が
含まれていて、バックグラウンド値の影響を受けること
が多いことである。時間分解蛍光法のさらにもう一つの
問題は、バックグラウンド値の影響を排除するために、
高価な、あるいは複雑な短波長光源を狭い帯域のフィル
ター処理と組み合わせる必要があることである。狭帯域
光フィルターを使用すると、システムの光処理量が大き
く低下し、感度低下を招く。この方法のさらにもう一つ
の問題は、蛍光バックグラウンド値を小さくし、励起に
使用した閃光ランプの残光の部分を除去するために、励
起光を消光した後、励起光をオフにしてから光測定を始
めるまでの間に一定の間隔を設けねばならないことであ
る。遅延時間があるため、目的とする信号の一部は放棄
される。残光というのは、高温光源を消光後にも持続す
る発光で、バックグラウンド値を上げるので感度を直接
制限する。残念ながら、すべてのパルス白色光源はこの
残光を生じる。このようなバックグラウンド値を生じな
いパルス光源を使用するのが望ましい。
【0005】一方、化学発光は、バックグラウンド値を
排除した状態で光子計数を行うことができるので高感度
が得られる一般的な検出法であり、次の3種のシステム
が一般的に用いられている。そのなかの一つは、化学発
光性誘導体(光を出す化学物質)を用いて例えば抗体を
標識するものである。検出段階で、これらの物質を過酸
化水素などの酸化剤と反応させ、読取り反応系に存在す
る抗体の量に正比例する光子を生成させる。このシステ
ムでは、使用した標識剤(例えば、ルミノール誘導体あ
るいはアクリジニウムエステル誘導体)のうち約1パー
セントが光子を生成するのが普通である。この第1のタ
イプの化学発光を利用する診断測定キットは、化学発光
性化合物標識体の発光に必要な酸化剤を保存し、使用し
なければならないという欠点がある。さらにもう一つの
欠点は、測定を短時間で行わねばならないことである。
化学発光反応は急激であり、短時間で化学発光性化合物
標識体が分解し、光測定を反復できなくなる。第2のタ
イプの化学発光検出反応では、過酸化水素や過ほう化水
素などの酸化剤およびルミノールなどの化学発光性化合
物と相互作用して発光させる酵素で、例えば抗体を標識
する[バレットおよびフェルト、ジャーナル・オブ・バ
イオルミネッセンス・アンド・ケミルミネッセンス(Ba
ret and Fert,(1989), J.Biolum.Chemilu
m.), 4, 149−153]。これらのシステムの主な
利点は、はるかに強い光が得られることと、化学発光反
応が持続するので、長時間化学発光の検出を行えること
である。これらのシステムの欠点としては、酵素標識の
使用に伴う問題や過酸化水素などの酸化剤を被験液に添
加する必要性に伴う問題が挙げられる。これら化学発光
法の最大の欠点は、過酸化水素などの強力な酸化剤が高
濃度(通常1mM)でインキュベーション液に含まれる
ことによりバックグラウンド値が高くなることであり、
高濃度の酸化剤を使用しなくてもよい方法があれば、従
来技術の改良につながる。
【0006】第3のシステムは、安定性の高いジオキセ
タン化合物を酵素基質として使用することで、不安定な
酸化剤を保存し被験液と混合しなければならないという
欠点を解決している[ブロンステインら、ジャーナル・
オブ・バイオルミネッセンス・アンド・ケミルミネッセ
ンス(Bronstein et al.,(1989), J.Biolum.C
hemilum.), 4, 99−111]。このジオキセタン化
合物標識体の安定性と感度水準は従来の技術を大きく改
良するものであるが、このシステムの化学発光効率は本
来低く、良好な光出力を得るためには、化学反応を円滑
にする特殊な化学物質であるエンハンサーを基質溶液と
組み合わせる必要がある。また、酵素標識体を使用する
ことに伴う欠点も解決されなければならない。
【0007】上述したように、酸化剤の添加を必要とし
ない化学発光装置の開発が注目されている。例えば、熱
を利用して化学発光読取り信号を発生させる方法[ヒュ
ーメレンら、ピュアー・アプライド・ケミストリー(Hu
mmelen et al., (1987),PureAppl.Chemistr
y.), 59, 639−644]など多くの方法が試みら
れている。高エネルギーでしかも安定な前記ジオキセタ
ンをすでに含有している化学発光酵素基質を先に述べた
第3のシステムと組み合わせる方法が成果を挙げてい
る。他にも、様々な化学発光酸化方式が可能であるが、
様々な理由で実用化されていない。このように過酸化水
素を使用しない方法で古くから行われているものの例と
しては、感光性の化学物質である光活性染料で増感した
ルミノール化学発光がある[マセソンおよびリー、フォ
トケミストリー・アンド・フォトバイオロジー(Mathes
on and Lee, (1976),Photochem.Photobiol.),
24,605−616]。このシステムでは、光照射
で、一重項酸素および/または光活性化染料反応物を生
成するが、これらの生成物はさらにルミノールと反応
し、良好な光量子収率で化学発光を生ずる。この方法
は、高濃度の反応性中間体を生成した後、熱を利用して
閃光を作ることにより感度向上が図れる(ヨーロッパ特
許出願番号89110383.0号、米国特許第20
4,055号。)。しかし、閃光を得るために複雑な操
作を必要とするため、このシステムは不便である。
【0008】この方法を初めとするすべての光照射法に
共通する問題は、ある波長で試料を照射した場合、スト
ークスシフト蛍光に起因する大きなバックグラウンド光
信号を長波長で生じることである。このようなバックグ
ラウンド蛍光は蛍光測定法の感度を著しく制限する。実
際、蛍光測定法と化学発光測定はいずれも一般的である
が、化学発光を利用する方法が蛍光測定法より優れてい
る点は、化学発光測定ではストークス蛍光バックグラウ
ンドの問題がないことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、酵素触媒ルミ
ノール化学発光測定の感度を向上させるべく光活性染料
につき鋭意研究を行ったところ微量(1ng/ml未満)の
光活性染料を特定の条件下でルミノール溶液に添加する
と、酵素触媒と同じ程度の強度の光が発光するという驚
くべき事実を見出した。さらに研究を重ねたところ、適
当な長波長吸収を有する染料を慎重に選択し、残光のな
い安価な光源から出る濃赤色光を使用して触媒刺激を行
うことにより、光照射法における従来の制限(ストーク
ス蛍光)が解決され得ることが判明した。さらに、照射
光を変調させる技術を、出た光を同期検出(光量を変え
るタイミングに合わせて信号を検出する)する技術と組
み合わせることで、光信号のうち不変部分を除去すると
共に、より広帯域の光フィルターの使用が可能になっ
た。その結果、強い光信号を維持しつつ、不要なバック
グラウンド信号を減らすことで、感度の向上が実現でき
た。
【0010】本発明の目的は、測定検出装置の感度を向
上させること、ならびに高感度測定反応中にルミノール
のような化学発光性物質から化学発光を出させるために
過酸化水素など高エネルギー化合物を使用する必要性を
無くすことである。この目的は、反応自体の進行中に触
媒を介して酸化剤を生成する方法により可能となること
が見出された。この方法では、酸素分子と触媒反応を起
こして酸化剤を生成する感光性物質へのエネルギー供給
は赤色光により行われる。酸化剤(一重項酸素または活
性化染料反応物または両者)はルミノールと直接反応し
て青色光を出すので、過酸化水素や過ほう化水素など他
の酸化剤をこの目的のために調製したり保存する必要が
なくなる。
【0011】感度の向上法は2種類あるが、長波長光
(例えば670nm)を用いて短波長光(例えば425n
m)を出させるので、ストークスシフトが除去され、感
度を制限するバックグラウンド蛍光が発生しない。ま
た、反応はレーザーで直接制御されるため、バックグラ
ウンドを制御し感度を向上させるために別の新規手段が
利用できる。例えば、好ましくないルミノールの非特異
性バックグラウンド化学発光や室内光によるバックグラ
ウンド光が一定の比率で生じるが、特異化学反応は迅速
に開始停止を繰り返すことができる。また、光反応の周
波数を変調させ、生じた発光を周波数選択により測定す
ることにより、バックグラウンド起源の光出力の影響が
排除される。例えば、発光ダイオードやレーザーダイオ
ードへの入力を変化させることで光自体を制御すること
が可能であり、また、チョッパー(機械的)機構により
光ビームを遮断することも可能である。好ましい態様と
しては、レーザー周波数を500Hzで変調し、ロック
イン増幅器を用いて500Hzにおける染料触媒化学発
光信号から一定のバックグラウンド信号を除去する方法
がある。別の好ましい態様としては、励起光と光測定の
時間ゲーティングを用いて照射光の非存在下で測定を行
うこともできる。
【0012】本発明のもう一つの目的は、触媒の検出に
用いる装置のコストを低減し構造を簡単にすることであ
る。この目的は、安価な赤色レーザー光源を使用し、パ
ルスまたは変調技術によりバックグラウンド信号を除去
することで実現される。本発明のさらにもう一つの目的
は、従来より広い帯域のパスフィルターを光子計数法と
組み合わせて使用できることである。広帯域パスフィル
ターを使用することで、より多くの光を光検出装置に送
り込める。これは、長波長光を用いて触媒として感光性
物質である染料を励起し、短波長感度性光増倍管で発光
測定を行うことで実現される。これは、パルス技術自体
を使用することでも実現可能である。光源を消してある
時間(通常は10〜100マイクロ秒)が経過した後、
染料を励起させる光をパルス化し、PMT(Photomulti
plier Tube)出力を測定することで、暗電流バックグラ
ウンドを生じるPMTの遷移的オーバーロードを部分的
に克服できる。
【0013】すなわち、本発明は、(1)発光性物質の存
在下で感光性物質に光強度を周期変調して光照射し、感
光性物質の濃度に比例して生じる短波長発光を検出し、
発光を同期検出することを特徴とする感光性物質の定量
法、(2)発光性物質の存在下で感光性物質にパルス光照
射し、パルス励起光の不存在下で感光性物質の濃度に比
例して生じる短波長発光を検出することを特徴とする感
光性物質の定量法、を提供するものである。
【0014】本発明の定量法において用いる感光性物質
としては光活性染料が挙げられる。光活性染料とは、光
を吸収すると活性化され光酸化プロセスI型およびII型
の両方または一方により発光性物質の化学発光を起こさ
せる触媒物質をいう[フート、サイエンス(Foote, (1
968), Science), 162, 963−970]。該染
料は550nm以上、好ましくは650nm以上の波長域に
実質的吸光帯域を有することが望ましく、例えばキサン
チン、エオジン、ポルフィリン、メチレンブルー、ロー
ズベンガル、クロリン、チオニンおよびこれらの誘導体
がこの範囲に吸光帯域を有し、発光性物質の化学発光を
触媒するうえで有用であるが、このほかにも赤色光感光
性の物質であればいずれも用いることができる。例え
ば、多くの光活性物質が、がんの光照射治療への有用性
について検討され、使用可能であることが判明している
[アンダーソン−エンゲルスら(Andersson−Engels e
t al.,(1989), Anal.Chem.), 61, 1367
A−1373A]。
【0015】本発明の定量法では、検出段階において、
該感光性物質を発光性物質と緩衝剤の溶液中でインキュ
ベーションして定量を行う。発光性物質は感光性物質で
ある光活性染料と相互作用して発光する物質である。か
かる発光性物質としてはいずれの発光性物質でもよい
が、550nm以下に発光スペクトル極大を有する発光物
質が好ましく、例えば、ルミノール、ルシゲニン、ルシ
フェリン、イソルミノール、ベンゾピレン等ならびにそ
れらの誘導体等が挙げられる。最も好ましくは、ルミノ
ールである。ルミノール等のこれら発光物質は通常少な
くとも0.01mM、好ましくは0.1mM〜2mMの範囲
のいずれの濃度でも使用できる。最大の検出感度を得る
ためには、ルミノールを塩基から再結晶させる。緩衝剤
の組成は決定的要素ではないが、pHは10以上である
のが良く、12〜13の範囲が最も好ましい。反応温度
も特に決定的ではないが、15〜35℃の温度が好まし
い。触媒である感光性物質の励起には、550nm以上の
長波長の赤色光が好ましく、650nm以上の長波長光が
最も好ましい。光の検出には、光ダイオードや光FET
など他の検出器も使用できるが、最大感度を得るために
は光子計数計が必要である。必要な場合、過剰な励起光
が光検出器に入り込むのを防ぐために、化学反応系と検
出器の間に光フィルターを設けることも可能である。測
定精度を向上させるためには、約10分以内における反
復測定が好ましい。
【0016】バックグラウンド光信号は一定であり、ル
ミノールの非特異的酸化により生じる。このバックグラ
ウンド値が検出感度を低下させる主要な因子であり、こ
れを排除することが本発明の主要な目的である。同期検
出やパルスゲート検出の方法を用いて、全信号からバッ
クグラウンド信号を除去し、感度を向上させることがで
きる。前者の方法では、光の強度を変え、生じた信号を
処理して、不要な不変(バックグラウンド)成分を除去
する。一方、後者の方法では、迷光によるバックグラウ
ンドは存在しない。多くのダイオード光源は、入力を制
御して光を変調させることで容易に制御できる(例え
ば、レーザーダイオードや発光ダイオード)。例えば、
チョッパーを使用して光ビームを遮断するなどの手段も
可能である。広帯域の光源を使用する場合、不要な光が
光検出器に入り込むのを防ぐ目的で励起光と化学反応系
との間に適当な光フィルターを設けるのが好ましい。光
出力強度の変調が容易でしかも単色光であるという理由
で、レーザーダイオードを励起光源に使用するのが好ま
しい。
【0017】同期検出法では、励起光を一定の間隔で変
調し、検出した信号を復調して赤色光活性化による部分
だけを取り出す。全信号からバックグラウンドを分離す
る復調は、データ収集の途中または後にコンピュータで
行うことができるが、ロックイン増幅器を使用すること
が好ましい。パルスゲート検出法では、化学反応系に赤
色光を照射してから反応が実質的に完了するまでの間に
光信号を測定する。実際のレーザーの照射間隔は化学反
応の経過に依存し、反応半減期より短いのが理想的であ
る。1マイクロ秒〜100ミリ秒、とりわけ10マイク
ロ秒〜10ミリ秒の範囲の時間が適当である。十分に明
るいレーザー光源を使用すれば、レーザーの照射時間を
停止時間より10倍短くすることができるが、照射と停
止の時間をほぼ等しくすることが好ましい。アルカリ性
下で溶解した感光性物質である染料とルミノールの反応
では、200マイクロ秒〜2ミリ秒の範囲の時間が特に
適する。消光後光子測定を開始するまでに短い遅延時間
を設けることで、強光条件下で感度をさらに向上させる
ことが可能である。1マイクロ秒〜10ミリ秒の遅延時
間が望ましく、最強光条件を用いて最適時間を経験的に
選択する。測定を繰り返し、光子パルスを合計する。全
測定時間は1秒から最大10分まで可能である。
【0018】本発明の定量法によれば、例えば、液体中
に極めて低濃度で存在する医学的、環境的、工業的に重
要な様々な物質を測定することができる。とりわけ臨床
診断に利用できる物質が挙げられ、例えば体液中に含ま
れるヒトイムノグロブリンG、ヒトイムノグロブリン
M、ヒトイムノグロブリンA、ヒトイムノグロブリン
E、ヒトアルブミン、ヒトフィブリノ−ゲン(フィブリ
ンおよびそれらの分解産物)、α−フェトプロテイン、
C反応性タンパク、β2−ミクログロブリン、ミオグロ
ビン、ガン胎児性抗原、肝炎ウイルス抗原、ヒト絨毛性
ゴナドトロピン、ヒト胎盤性ラクトーゲン、インスリン
などのタンパク、ホルモン、投与薬剤などが挙げられ
る。上述の体液としては、全血、血清、血漿など血液、
尿、脊髄液や組織からの抽出液などが挙げられる。好ま
しい測定方法としては、650nm以上に実質的に吸光帯
域を有する感光性物質、例えばメチレンブルーの誘導体
を用いる方法が挙げられる。メチレンブルー誘導体をハ
プテン、抗原もしくはそれらに対する抗体、さらにRN
AやDNAに化学的に結合させ染料触媒標識体を調製す
ることができる。
【0019】染料標識体を用いる測定試薬の一例とし
て、サンドイッチ法によるキットを以下に挙げる。 (1) 担体上に保持された抗体 (2) 染料触媒標識体 (3) 被測定物質の標準品 (4) 上記(2)〜(3)の試薬および被検試料の希釈に用
いる緩衝液(該試薬および該被検試料の希釈に用いるこ
とができる緩衝剤であればいずれでもよいが、その一例
としてはpH6〜9のリン酸緩衝液またはグリシン緩衝
液が挙げられる。) (5) インキュベーション後、担体の洗浄に用いる緩衝
液(該担体の洗浄に用いることができる緩衝液であれば
いずれでもよいが、その一例としてはリン酸緩衝液また
はグリシン緩衝液が挙げられる。) (6) 染料触媒活性測定に必要な試薬。その一例として
アルカリ性溶媒に溶解させたルミノールが挙げられる。
【0020】上記のキットは例えば下記の方法により使
用することができる。被測定物質の標準品もしくは被検
液約10〜200μlに試薬(4)を加えて希釈し、一定
量の試薬(1)、次いで試薬(2)を10〜800μlを加
えた後、約0〜40℃で反応させる。約10分〜24時
間反応後、試薬(5)で洗浄し担体上に結合している染料
の触媒活性を測定する。すなわち、化学反応液約10〜
1000μlを加えて直ちに本発明の化学発光測定シス
テムにかけ、反応液中の化学発光量を測定する。本発明
の定量法を用いれば、簡単な操作で高感度測定が可能と
なる。
【0021】
【実施例】つぎに実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。 実施例1 変調光を用いるメチレンブルーの測定 この実施例では、変調光を用いてルミノールの存在下で
触媒としての染料を励起する。化学発光信号をロックイ
ン増幅器で処理し、染料触媒を定量する。化学反応溶液
(0.05M NaOH、アルカリ性水溶液から再結晶化
させた1mMルミノール、20%エタノール)を調製し
た。メチレンブルーを100%エタノールに溶解し、エ
タノール希釈系列を作製した。直径12mm、長さ75mm
のホウ化ケイ素ガラス試験管に10μlずつ分注し、化
学反応溶液1ml中で最終100倍希釈とした。各試験管
を第1図に示す化学発光測定装置に入れ、化学発光測定
を行った。
【0022】図1は用いる本発明の化学発光装置の概略
図である。接地エミッタモードのPNPトランジスタで
制御された670nm、5mWの光ダイオードレーザー
(東芝、TOLD9211)Aが室内光に極く一部暴露
されている試験管試料Bを照射する。レーザー光の断続
は、500Hz信号発生装置で行う。試験管試料Bから
出た光は425nmフィルターC(ケンコー保谷社、ガラ
スタイプB430)を通る。フィルターを通った光は光
子増幅器D(浜松フォトニクス社、フォトマルチプライ
ヤータイプR376)に入る。Dから出た光子電圧は5
00Hz信号発生装置の基準信号と共にロックイン増幅
器E(エヌエフ回路設計ブロック社LI−574A型)
で処理される。対照として、光子計数式光増幅器(浜松
フォトニクス社、H−3460−04)とプリスケーラ
(浜松フォトニクス社、C−3589)および周波数カウ
ンター(岩通ユニバーサルカウンターSC−7204)
を用い、同じ試料を同じ条件下で測定した。得られた標
準曲線を図2に示す。図2にはロックイン信号増幅器で
処理した結果と対照(未処理)の結果を合わせて示して
いる。対照測定値はロックイン信号増幅器測定値より感
度が低いことが分かる。
【0023】実施例2 化学発光反応のパルスゲート検出 この実施例では、670nmパルス光源を光子計数の時間
ゲーティングと組み合わせて用い、レーザー光の迷光に
よるバックグラウンド信号を除去する。用いた本発明の
化学発光装置の概略を図3に示す。この装置は、光子カ
ウンター(浜松フォトニクス社、H−3460−04)
と、レーザー(東芝、TOLD9211)消滅時に光子
計数を行い、レーザー点燈時に別の計数を行えるタイミ
ング回路から成る。レーザーは矩形波信号により500
Hzの間隔で切替えられる。発振器A(実施例1で説明
したもの)がレーザーBとタイミング回路Cを制御す
る。タイミング図に示すように、レーザーBが試料Dを
規則的にパルス照射する。試料Dから出た光は、425
nmフィルターE(ケンコー保谷社、ガラスタイプB43
0)を通り、光増幅器Fに入る。Fから送られた信号
は、タイミング図に示したように2つのタイミング間隔
の間に計数される。1mlの試料を入れた試験管を挿入し
た後、2個の周波数カウンター(岩通ユニバーサルカウ
ンターSC−7204)により、両方の間隔で計数され
た光パルスを別々に0〜120秒まで積分する。メチレ
ンブルーの標準試料は、実施例1で示した1.0mMルミ
ノール、0.05M NaOH、20%エタノールの溶液
中で調製した。(レーザーオフ)信号から得たメチレン
ブルー標準曲線を図4に示す。このデータの検出限界は
13pgである。全発光(信号とバックグラウンド値を合
わせたもの)を積分しメチレンブルー測定値とすると、
感度は劣る(図5参照)。後者の場合の検出限界は22
0pgである。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、過酸化水素のような高
エネルギー化合物を使用することなく、感光性物質の定
量ができ、また、測定検出装置の感度を向上できる。ま
た、装置のコストを低減し、構造を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ロックイン増幅器を使用する本発明の化学発
光装置の概要図。
【図2】 ロックイン検出と未処理信号検出におけるメ
チレンブルー標準曲線。
【図3】 光子計数法を用いた本発明の化学発光装置の
概要図。
【図4】 メチレンブルー標準曲線(レーザーオフ時に
光子を計数)。
【図5】 メチレンブルー標準曲線(全時点で光子を計
数)。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発光性物質の存在下で感光性物質に光強
    度を周期変調して光照射し、感光性物質の濃度に比例し
    て生じる短波長発光を検出し、発光を同期検出すること
    を特徴とする感光性物質の定量法。
  2. 【請求項2】 発光性物質の存在下で感光性物質にパル
    ス光照射し、パルス励起光の不存在下で感光性物質の濃
    度に比例して生じる短波長発光を検出することを特徴と
    する感光性物質の定量法。
JP22788991A 1990-09-18 1991-09-09 感光性物質の定量法 Withdrawn JPH0534290A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160078673A (ko) 2014-12-24 2016-07-05 주식회사 포스코 저온 인성이 우수한 저항복비 고강도 강재 및 그 제조방법

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KR20160078673A (ko) 2014-12-24 2016-07-05 주식회사 포스코 저온 인성이 우수한 저항복비 고강도 강재 및 그 제조방법

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