JPH0533954Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、布、紙及びフエルト等のシート材の
水分率を測定するための水分率測定装置に関し、
特に、表面にループ層が形成されたシート材の水
分率を測定する場合に有用である。

〔従来技術〕

従来、上記水分率測定装置としては、例えば第
３図に示すものが知られている。

上記従来の水分率測定装置は、図示せぬシート
材乾燥機の出口付近に配備され、このシート材乾
燥機から連続的に排出されるシート材１をセンサ
ローラ２と対向電極を取り付けた金属性のガイド
ローラ３とで挟持して、その間を流れる電流値に
基づいて上記シート材１の水分率を測定するよう
に構成されている。そして、予め設定された目標
水分率でシート材が熱処理されるように、上記水
分率に基づいてコントローラ４により上記シート
材乾燥機が制御される。この場合、上記シート材
乾燥機においては、熱風循環フアンの回転数や乾
燥機内に供給される蒸気の供給量の制御が行わ
れ、上記シート材１の未乾燥や過乾燥の防止が図
られる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、上記構成による従来の水分率測定装
置においては、上述の如く、シート材１を一対の
センサローラ２とガイドローラ３とで挟持するこ
とにより、シート材１の水分率を測定するように
構成されているため、シート材の一例であるパイ
ルの水分率を測定する場合には、このパイルを構
成する基材内部の空間と表面に形成されたループ
層内部における空間との影響により、電流が流れ
にくくなり、正確な水分率を測定することができ
なくなる。その結果、上記パイルの表面に形成さ
れたループ層に関する水分率を正確に測定するこ
とができなくなり、上記シート材乾燥機を高精度
に制御することができなくなるという問題点があ
つた。

そこで、本考案は、上記事情に鑑みて創案され
たものであり、パイルの表面に形成されたループ
層の水分率を正確に測定してシート材乾燥機を高
精度に制御することの可能な水分率測定装置の提
供を目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案が採用する
主たる手段は、その要旨とするとことが、シート
材の表面に形成されたループ層に一組の電極を回
転接触させ、上記両電極間に流れる電流値に基づ
いて上記シート材の表面における水分率を測定す
るための水分率測定装置において、上記電極とし
て用いられる二個一組のローラ筒と、上記一組の
ローラ筒が両側部から嵌挿され、上記ループ層を
構成するループの有効幅より小さく且つ発水性及
び非吸水性を有する絶縁部を上記一組のローラ筒
間の隙間の全周にわたつて形成するためのリング
状の絶縁部材が設けられた支持部材と、上記一組
のローラ筒及び支持部材を回転自在に支持するた
めの軸受部材と、上記一組のローラ筒に各別に導
通され且つ上記軸受部材により相互に絶縁状態で
支持される二本一組の軸を有し、該一組のローラ
筒にブラシ手段を介して通電するための導通手段
とを具備してなる点に係る水分率測定装置であ
る。

尚、この場合、ループの有効幅とは、電極によ
り押え込まれた時にこの電極と接触する部分のル
ープの接触長さ寸法であつて、発水性を有すると
は、浸水性がないことを意味する。

〔実施例〕

以下添付図面を参照して、本考案を具体化した
実施例につき説明し、本考案の理解に供する。
尚、以下の実施例は本考案を具体化した一例であ
つて、本考案の技術的範囲を限定する性格のもの
ではない。

ここに、第１図ａ，ｂ，ｃは本考案の一実施例
に係る水分率測定装置を表すものであつて、同図
ａは斜視図、同図ｂは同図ａにおけるＡ−A′矢
視断面図、同図ｃは同図ａにおけるＢ矢視部拡大
図、第２図は本考案の他の実施例に係る水分率測
定装置を表すものであつて第１図ｂの相当図であ
る。

この実施例に係る水分率測定装置Ｃでは、第１
図ａ，ｂ，ｃに示す如く、電極として用いられる
二個一組の円筒形状のローラ筒７が円柱形状の支
持部材５の両側部から嵌挿されており、この支持
部材５の外周面中央部には、上記一組のローラ筒
７間の隙間に絶縁部（例えば電気抵抗が10¹²Ω−
cm以上）を形成するためのリング状の絶縁部材５
ａが突出して一体的に形成されている。上記支持
部材５及び絶縁部材５ａは、発水性及び非吸水性
（例えば吸水率が0.01％以下）を有する例えばポ
リカーボネイトにより構成されており、この絶縁
部材５ａの幅寸法ｔは、シート材１の表面に形成
されたループ層のループ６の有効幅Ｔ（同図ｃ）
より小さな値に設定されている。尚、上記ローラ
筒７は、導電性を有し、且つ防錆性を有する例え
ばステンレス鋼により構成されており、このロー
ラ筒７の側部に穿設された貫通孔７ｂは、このロ
ーラ筒７を支持部材５に嵌挿する際の空気抜き用
の孔である。そして、上記ループ６を介してこの
ローラ筒７間を流れる電流値に基づいてシート１
の表面におけるループ層の水分率が測定される。

上記ローラ筒７及び支持部材５には、このロー
ラ筒７及び支持部材５を回転自在に支持するため
のベアリング１５ａ，１５ｂ（軸受部材）が左右
対称にそれぞれ装着されており、このベアリング
１５ａ，１５ｂには、それぞれ軸１６が相互に絶
縁状態で嵌挿されている。上記ローラ筒７の側部
には、ブラシ保持部材１７がボルト１８により取
り付けられており、このブラシ保持部材１７に穿
設された貫通孔１７ａには、カーボンブラシ１９
が摺動自在に嵌入されている。上記カーボンブラ
シ１９は、その先端部が上記軸１６の外周面に摺
接されて、コイルスプリング２０によつてこの軸
１６の外周面側に常時弾性付勢されており、この
コイルスプリング２０は、上記ブラシ保持部材１
７の貫通孔１７ａに螺着された止めネジ２１によ
つて位置決め保持されている。尚、同図におい
て、２２は上記止めネジ２１の緩みを防止するた
めのロツクナツトである。

上記軸１６が取り付けられたブラケツト９は、
同図ａに示す如く、バランサ１４を有し、軸１０
により摺動自在に支持されており、この軸１０
は、図示せぬシート材乾燥機の出口付近にシート
材１の上面に対して平行に配備されている。そし
て、上記軸１６にビス２３によりそれぞれ取り付
けられた各導線１２は、コネクタ１３を介して上
記シート材乾燥機を制御するための図示せぬコン
トローラに接続されている。

この場合、一組の、上記導線１２、ビス２３、
軸１６、カーボンブラシ１９、コイルスプリング
２０、止めネジ２１、ボトル１８及びブラシ保持
部材１７等により、上記ローラ筒７，７に通電す
るための導通手段Ｅが構成されている。

上記したようにして本考案に係る水分率測定装
置Ｃが構成されている。

従つて、上記水分率測定装置Ｃを用いてシート
材１のループ層に関する水分率の測定を行う場合
には、ループ層を構成するループ６に対するロー
ラ筒７の接触面積も十分に確保することができ、
両電極として用いられる上記両ローラ筒７の距離
を一つのループ６にのみ接触し得る程度に短く設
定することができるため、このループ６の水分
率、ひいてはループ層全体の水分率を正確に検出
することができる。

尚、上記支持部材５の絶縁部材５ａの幅寸法ｔ
は、シート材１のループ層を形成するループ６の
大きさに応じて適宜変更すれば良い。

次に、第２図に示す他の実施例に係る水分率測
定装置Ｄでは、同図に示す如く、円柱形状の支持
部材５の外周面中央部に、ループ６の有効幅Ｔよ
り小さな値に設定された幅寸法ｔを有するリング
状の絶縁部材５ａが突出して一体的に形成されて
おり、この支持部材５の両側部には、上記絶縁部
材５ａを挟んで一組の円筒形状のローラ筒７が嵌
挿されている。上記各ローラ筒７の側部には、各
別に軸部７ａが一体的に形成されており、この軸
部７ａは、導電性を有する例えばカーボン軸受８
（軸受部材，ブラシ手段）を介してブラケツト９
によりそれぞれ回転自在に支持されている。そし
て、このカーボン軸受８にそれぞれ取り付けられ
た各導線１２は、コネクタ１３を介して上記シー
ト材乾燥機を制御するための図示せぬコントロー
ラに接続されている。

この場合、一組の上記導線１２、カーボン軸受
８及び軸部７ａ等により、ローラ筒７，７に通電
するための導通手段Ｆが構成されている。

尚、上記各実施例において、ローラ筒７の材料
として、ステンレス鋼に代わつてアルミニウムを
用いても良く、支持部材５及び絶縁部材５ａの材
料として、ポリカーボネイトに代わつてテフロ
ン、ポリエチレン若しくはセラミツク等を用いて
も良い。

また、上記各実施例で示した水分率測定装置
Ｃ，Ｄは、通常の布等のシート材の水分率を測定
する場合にも適用可能であることは言うまでもな
い。この場合、絶縁部材５ａの幅寸法ｔを布質に
応じて適宜変更して用いても良く、特に、高水分
率の測定を行う場合には、上記幅寸法ｔを大きな
値に設定することが好ましい。

〔考案の効果〕

本考案は、上記したように、シート材の表面に
形成されたループ層に一組の電極を回転接触さ
せ、上記両電極間を流れる電流値に基づいて上記
シート材の表面における水分率を測定するための
水分率測定装置において、上記電極として用いら
れる二個一組のローラ筒と、上記一組のローラ筒
が両側部から嵌挿され、上記ループ層を構成する
ループの有効幅より小さく且つ発水性及び非吸水
性を有する絶縁部を上記一組のローラ筒間の隙間
の全周にわたつて形成するためのリング状の絶縁
部材が設けられた支持部材と、上記一組のローラ
筒及び支持部材を回転自在に支持するための軸受
部材と、上記一組のローラ筒に各別に導通され且
つ上記軸受部材により相互に絶縁状態で支持され
る二本一組の軸を有し、該一組のローラ筒にブラ
シ手段を介して通電するための導通手段とを具備
しなることを特徴とする水分率測定装置であるか
ら、シート材の一例であるパイルの表面に形成さ
れたループ層の水分率を正確に測定することがで
きる。

従つて、上記水分率測定装置を用いることによ
り、シート材乾燥機の高精度制御を実施すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ，ｃは本考案の一実施例に係る水
分率測定装置を表すものであつて、同図ａは斜視
図、同図ｂは同図ａにおけるＡ−A′矢視断面図、
同図ｃは同図ａにおけるＢ矢視部拡大図、第２図
は本考案の他の実施例に係る水分率測定装置を表
すものであつて第１図ｂの相当図、第３図は従来
の水分率測定装置の構成を表す概念図である。 符号の説明、１……シート材、５……支持部
材、５ａ……絶縁部材、６……ループ、７……ロ
ーラ筒、７ａ……軸部、８……カーボン軸受（軸
受部材、ブラシ手段）、１５ａ，１５ｂ……ベア
リング（軸受部材）、１６……軸、１９……カー
ボンブラシ、Ｃ，Ｄ……水分率測定装置、Ｅ，Ｆ
……導通手段。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シート材の表面に形成されたループ層に一組の
   電極を回転接触させ、上記両電極間を流れる電流
   値に基づいて上記シート材の表面における水分率
   を測定するための水分率測定装置において、 上記電極として用いられる二個一組のローラ筒
   と、 上記一組のローラ筒が両側部から嵌挿され、上
   記ループ層を構成するループの有効幅より小さく
   且つ発水性及び非吸水性を有する絶縁部を上記一
   組のローラ筒間の隙間の全周にわたつて形成する
   ためのリング状の絶縁部材が設けられた支持部材
   と、 上記一組のローラ筒及び支持部材を回転自在に
   支持するための軸受部材と、 上記一組のローラ筒に各別に導通され且つ上記
   軸受部材により相互に絶縁状態で支持される二本
   一組の軸を有し、該一組のローラ筒にブラシ手段
   を介して通電するための導通手段とを具備してな
   ることを特徴とする水分率測定装置。