JPH05334914A

JPH05334914A - 誘電体磁器組成物

Info

Publication number: JPH05334914A
Application number: JP4138240A
Authority: JP
Inventors: Nobuhiko Ikeda; 允彦池田
Original assignee: Sumitomo Metal Industries Ltd
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1992-05-29
Filing date: 1992-05-29
Publication date: 1993-12-17

Abstract

(57)【要約】【構成】組成式が xBaO・y{(Nd₂O₃)_1-a (Sm₂O₃)_a}・zTi
O₂・uPbO・vBi₂O₃、（ただし、0.090 < x < 0.160、 0.130
< y < 0.160、0.650 < z < 0.700、 0.045< u < 0.080
、0.005 < v < 0.045、x + y + z + u + v = 1、 0≦ a
＜ 0.14 ）で示される主成分に対し、副成分として、G
eO₂を 0.7 〜 3.5 重量％、ZnO を0.75 〜 3.5 重量
％、CuO を 0.3 〜 2.5 重量％及びB₂O₃を 0.6 〜
3.5重量％の割合で含有している誘電体磁器組成物。【効果】 BaO、Nd₂O₃、Sm₂O_3、TiO_2、PbO、Bi₂O₃を主成分と
し、副成分としてGeO_2、B₂O_3、CuO、ZnO を所定量含有して
いるので、比誘電率及びＱ値が高く、しかも共振周波数
の温度依存性が小さく、さらにはAu、Ag、Ag-Pd を内部電
極として使用できるような低温で焼結可能な誘電体磁器
組成物を得ることができる。したがって、高周波用共振
器、フィルタ等の大幅な小形化を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は誘電体磁器組成物に関
し、より詳細には例えばマイクロ波帯域において使用さ
れる共振器等を構成する高周波用誘電体磁器組成物に関
する。

【０００２】

【従来の技術】近年、自動車電話、携帯電話、コードレ
ス電話等の無線通信機に使用される空中線共用器（デュ
プレクサー）や電圧制御発振器等に使用される共振器、
あるいはＣＡＴＶ用チューナに使用されるフィルタ等に
高周波用誘電体磁器が多く用いられている。このような
共振器等において高誘電率材料を使用することにより、
高周波の波長を真空中のε_r ^-1/2 （ε_r:比誘導率）の長
さに短縮し、かかる周波数における１波長、１／２波
長、あるいは１／４波長のマイクロ波を高周波誘電体磁
器の中に閉じこめ、所定の作用効果が得られるように、
小形に構成したものが一般的に知られている。このよう
な高周波用誘電体磁器に要求される特性としては、
（１）誘電体中では電磁波の波長がε_r ^-1/2 に短縮さ
れ、同じ共振周波数ならば誘電率が大きいほど小形化で
きるため、可能な限り比誘電率が大であること、（２）
高周波帯域での誘電損失が小さいこと、（３）共振周波
数の温度変化に対する変化率が少ないこと、すなわち比
誘電率の温度依存性が小さく安定であること、の３特性
が挙げられる。

【０００３】また、マイクロ波帯域でも自動車電話、パ
ーソナル無線、コードレステレホン等に用いられる比較
的低周波帯域とされる１GHz 程度の領域において適用す
る場合、波長がかなり長くなるため、共振器等の小形化
を図るためには誘電体磁器組成物としては比誘電率がか
なり高いものを必要とする。

【０００４】従来、この種の誘電体磁器組成物として
は、例えば、BaO - Nd₂O₃ - TiO₂ - Bi₂O₃系組成物、 Ba
O - Nd₂O₃ - TiO₂ - PbO系組成物などが知られている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の材料においても比誘電率はε_r= 70 〜 90 程度であ
り、それ以上の高い比誘電率のものを得ようとすると、
急激にＱ値が劣化するか、あるいは温度特性が劣化し、
比誘電率を上げ共振器等の小形化を図るには限界があっ
た。

【０００６】また、誘電体グリーンシートに内部電極ペ
ーストを印刷してそれらを積層し、その後前記内部電極
ぺーストと前記誘電体グリーンシートを同時焼結させ、
この焼結体に外部電極を形成した、いわゆる積層型の誘
電体共振器、フィルタとすることにより、内部導体形状
をいろいろな形状に設計し、前記焼結体の大きさを共振
波長に比べて大幅に小さくすることも考えられている。

【０００７】しかしマイクロ波帯域で使用される電極に
は低抵抗であることが要求されるため、この帯域におけ
る共振器等では一般に電極としてAu、Ag、Cu、Al 等の金属
が使用されており、同時焼結させるにはそれらの金属の
融点よりも低い温度で焼結する組成物が必要になる。

【０００８】しかしながら、従来の高周波用誘電体磁器
は1300〜1500℃で焼結されており、マイクロ波帯域で適
しているAu、Ag、Cu等の金属材料を内部電極材料として採
用することができないといった課題があった。

【０００９】本発明は上記した課題に鑑み発明されたも
のであって、高周波用共振器等のより一層の小形化を可
能とする、比誘電率が高く、誘電損失が低く、比誘電率
の温度依存性が小さくかつ安定で、したがって製造され
る誘電体共振器の共振周波数の温度依存性が小さく、し
かもAu、Ag、Ag-Pd 等を内部電極材料として使用できるよ
うな低温で焼結可能な誘電体磁器組成物を提供すること
を目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題に対
して、研究を重ねた結果、BaO、Nd₂O_3、Sm₂O_3、TiO_2、PbO、B
i₂O₃からなる系にGeO_2、B₂O_3、CuO、ZnO を含有させること
によって、高い比誘電率を有し、比誘電率の温度依存性
が小さい、すなわち共振周波数の温度依存性が小さく、
かつ、高Ｑ値の特性を有し、しかも、Au、Ag、AgーPdを内部
電極として使用できる925 〜1000℃の低温で焼結させる
ことができる誘電体磁器組成物が得られることを知見
し、本発明を完成するに至った。

【００１１】すなわち、本発明に係る誘電体磁器組成物
は、組成式がｘＢａＯ・ｙ｛（Ｎｄ_２Ｏ_３）_１−ａ（Ｓｍ_２Ｏ_３）
_ａ｝・ｚＴｉＯ_２・ｕＰｂＯ・ｖＢｉ_２Ｏ_３ただし０．０９０＜ｘ＜０．１６０ 0.130 < y < 0.160 0.650 < z < 0.700 0.045 < u < 0.080 0.005 < v < 0.045 x + y + z + u + v = 1 0 ≦ a ＜ 0.14 で示される主成分に対し、副成分として GeO₂を 0.7 〜 3.5 重量％ ZnO を 0.75 〜 3.5 重量％ CuO を 0.3 〜 2.5 重量％及び B₂O₃を 0.6 〜 3.5 重量％の割合で含有していることを特徴としている。

【００１２】

【作用】本発明の誘電体磁器組成物の主成分は、REO(希
土類酸化物）−BaO −TiO₂系にPbO とBi₂O₃ を加えた組
成で、希土類酸化物としてNd₂O₃ とSm₂O₃ を用いてい
る。そして、これに925 〜1000℃の低温焼結を可能とす
るため、副成分としてGeO₂、B₂O₃、CuO、ZnO を添加してい
る。

【００１３】本発明においては、希土類酸化物としてNd
₂O₃ と Sm₂O₃の２種類を用いている。これは次のような
理由による。この系において、比誘電率、Ｑ値が良好
で、焼結温度の低い組成点においては、共振周波数の温
度係数τ_f を調整するために、希土類酸化物量（本発明
においては、Nd₂O₃ とSm₂O₃ のトータル量）を変化させ
ると、他の特性が劣化する。他方、Nd₂O₃ 、Sm₂O₃ は両
方とも共振周波数の温度係数τ_f をマイナス側へ移行さ
せる性質を有しているが、Sm₂O₃ の方がその効果が大で
あり、両者の割合を考慮することにより比誘電率、Ｑ値
をあまり変化させずにτ_f を調整できるからである。し
たがって、Nd₂O₃ とSm₂O₃ の割合を変化させることによ
り、適正な範囲にτ_f が調整される。

【００１４】各成分が上記範囲を逸脱した場合、925 〜
1000 ℃の低温での焼結が不可能になるか、あるいは可
能な場合でも比誘電率ε_r が低かったり、あるいは共振
周波数の温度系数が、±20ppm / ℃の範囲を出たり、あ
るいはＱ値が2000以下と低くなる。

【００１５】

【実施例及び比較例】

（Ｉ）誘電体磁器の調整高純度の炭酸バリウム(BaCO₃) 、酸化ネオジウム(Nd₂
O₃)、酸化サマリウム(Sm₂O₃) 、酸化チタン(TiO₂)、酸
化鉛(PbO) 、酸化ビスマス(Bi₂O₃) 、酸化ゲルマニウム
(GeO₂)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO) 、無水ホウ酸(B
₂O₃)をそれぞれ下記の表１に示した比率で秤量した。

【００１６】上記出発原料をボールミルにて一昼夜湿
式混合した後乾燥させた。上記混合物を 850℃〜 900℃の温度で約２時間仮焼し
た。仮焼した混合物をボールミルにて一昼夜湿式粉砕した
後乾燥させた。上記乾燥粉末に約１重量％のバインダを添加して整粒
した。約1000kg/cm²の圧力で成形し、925 〜 1350 ℃で約２
時間空気中にて焼成した。（II）特性の評価得られた誘電体磁器を誘電体円柱共振器法により、共振
周波数3.0 〜 4.0GHzにおいて比誘電率、Ｑ値及び共振
周波数の温度係数について測定した。

【００１７】結果を表１に示す。

【００１８】

【表１の１】

【００１９】

【表１の２】

【００２０】以下実施例のものと比較例のものとを比
べ、本発明に係る組成範囲外での比較例における問題点
を述べる。

【００２１】χ＞0.160 の場合：No.1のようにＱ値が低
くなる。 χ＜0.090 の場合：No.8のようにＱ値が低くなる。ｙ＞0.160 の場合：No.10 のようにＱ値が低くなる。ｙ＜0.100 の場合：No.9のようにＱ値が低くなる。ｚ＞0.700 の場合：No.9のようにＱ値が低くなる。ｚ＜0.643 の場合：No.1のようにＱ値が低くなる。ｕ＞0.080 の場合：No.8、No.9 のようにＱ値が低くな
る。ｕ＜0.036 の場合：No.4のようにＱ値が低くなる。ｖ＞0.045 の場合：No.4のようにＱ値が低くなる。ｖ＜0.005 の場合：No.5のようにＱ値が低くなる。ａ＞0.14の場合：No.6のようにτ_f が負側に大とな
る。 GeO₂＞3.5 重量％の場合：No.19 のようにτ_f が負側に
大となる。 GeO₂＜0.7 重量％の場合：No.26 のように焼結温度が高
くなる。 ZnO ＞3.5 重量％の場合：No.24 のようにε_r が低くな
る。 ZnO ＜0.75重量％の場合：No.2 のようにτ_f が負側に
大となる。 CuO ＞2.5 重量％の場合：No.11 のようにＱ値が低くな
る。 CuO ＜0.3 重量％の場合：No.26 のように焼結温度が高
くなる。 B₂O₃＞3.5 重量％の場合：No.27 のようにＱ値が低くな
る。 B₂O₃＜0.6 重量％の場合：No.26、No.27 のように焼結温
度が高くなる。このように比較例のものでは上記のような問題点が残
る。

【００２２】一方、本発明に係る組成の範囲内のもので
あるNo.3,7,14,15,17,18,21,22,23,25については、比誘
電率がε_r ＝63.3〜75.5と高く、Ｑ値もf・Q=2107〜2314
と高く、また共振周波数の温度係数τ_f もτ_f= -15.8〜
+32ppm / ℃と安定で、しかも925 〜975 ℃の低温で焼
結させることができ、本発明の目的が達成されている。

【００２３】

【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明に係る誘電体磁器組成物にあっては、BaO、Nd₂O₃、Sm₂O
_3、TiO_2、PbO、Bi₂O₃を主成分とし、副成分としてGeO_2、B₂O
_3、CuO、ZnO が所定量含有されているので、比誘電率及び
Ｑ値が高く、しかも共振周波数の温度依存性が小さく、
さらにはAu、Ag、Ag-Pd を内部電極として使用できるよう
な低温で焼結可能な誘電体磁器組成物を得ることができ
る。

【００２４】したがって、高周波用共振器、フィルタ等
の大幅な小形化が可能になり、その有用性は極めて大き
い。

【００２５】

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】組成式が xBaO・y{(Nd₂O₃)_1-a (Sm₂O₃)_a}・zTiO₂・uPbO・vBi₂O₃ ただし 0.090 < x < 0.160 0.130 < y < 0.160 0.650 < z < 0.700 0.045 < u < 0.080 0.005 < v < 0.045 x + y + z + u + v = 1 0 ≦ a ＜ 0.14 で示される主成分に対し、副成分として GeO₂を 0.7 〜 3.5 重量％ ZnO を 0.75 〜 3.5 重量％ CuO を 0.3 〜 2.5 重量％及び B₂O₃を 0.6 〜 3.5 重量％の割合で含有していることを特徴とする誘電体磁器組成
物。