JPH05304478A - ベクトル量子化コードブック作成装置 - Google Patents

ベクトル量子化コードブック作成装置

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JPH05304478A
JPH05304478A JP10755492A JP10755492A JPH05304478A JP H05304478 A JPH05304478 A JP H05304478A JP 10755492 A JP10755492 A JP 10755492A JP 10755492 A JP10755492 A JP 10755492A JP H05304478 A JPH05304478 A JP H05304478A
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恵一 中野
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  • Compression Or Coding Systems Of Tv Signals (AREA)
  • Compression Of Band Width Or Redundancy In Fax (AREA)
  • Compression, Expansion, Code Conversion, And Decoders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明は、PNN法によりローカルミニマム
状態に落ちる心配なく得られるものと同じコードブック
を、少ない計算時間で、且つ効率よく高速に作成するこ
とを特徴とする。 【構成】ソート部11は、コードブック12を構成する
ベクトル間の距離を次元毎にソートしてソート表13を
作成すると共に、クラスタが併合されて新しい重心ベク
トルが生成される毎にコードブック12とソート表13
を更新する。上限値計算部14は、クラスタを併合する
ことによる誤差の増加量の上限値を計算し、下限値計算
部15は、ソート表13を用いて誤差の増加量の下限値
を求める。比較制御部16は、この上限値と下限値を比
較して、最適クラスタペアの併合を決定する他、この装
置全体を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はベクトル量子化コード
ブック作成装置に関し、特にデジタル情報処理分野に利
用されるベクトル量子化コードブック作成装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ベクトル量子化は能率の良い
データ圧縮法として、音声や画像の量子化に利用されて
いる。このベクトル量子化は、入力ベクトルX=(x
1,x2,…,xm)に対して、コードブック{Y1,
Y2,…,Yn}の中からXとの歪みが最も小さい出力
ベクトルYk=(yk1,yk2,…,ykm)を探索
し、XをYkに写像することと考えられる。
【0003】そして、このベクトル量子化に用いるコー
ドブックを作成するためには、現在、Lloyd のアルゴリ
ズムの拡張であるLBG[Y.Linde, A.Buzo, and R.Gra
y:“An Algorithm for Vector Quantizer Design”, IE
EE Trans. COM, Vol.28, No.1, pp562-574.(1980) ]法
等がよく使われている。これらは、最初に初期コードブ
ック(クラスタ)を与え、学習ベクトルのデータ列に対
する歪みが極小となるように、その時点のクラスタの中
心を、そのクラスタに属するベクトル群の重心で繰返し
更新していくことで、最適なクラスタを求めるアルゴリ
ズムである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このアルゴ
リズムによれば、与えられる初期クラスタによっては、
ローカルミニマム(local minimum )状態に陥る可能性
があり、生成されるコードブックの性能は、与えられる
初期クラスタにかなり依存することが知られている。ま
た、適切な初期クラスタを与える一般的な手法は、知ら
れていない。
【0005】これに対し、ローカルミニマム状態に陥る
危険がないアルゴリズムとして、PNN(Pairwise Nea
rest Neighbor Clustering)法[W.H.Equitz, “A New
Vector Quantization Clustering Algorithm”, IEEE T
rans. ASSP, Vol.37, No.10, pp.1568-1575.(1989)]が
知られている。これは、最初に全ての学習ベクトルがそ
れと同数の別々のクラスタに所属するものとし、所望の
個数の最適クラスタが得られるまで、併合による誤差の
増加が最小という意味で最も近接する2つのクラスタ
を、順に併合していく手法である。
【0006】このアルゴリズムは、ローカルミニマム状
態に落ちることがないという優れた特徴を有している。
しかしながら、最も近接する2つのクラスタを見つける
ために、全てのクラスタのセットに対して、併合による
誤差の増加量を求めるO(N3 )の計算が必要となり、
学習ベクトルが多くなった場合に実用的でない。これに
対しては、k-d tree[J.H.Friedman, J.L.Bentley, and
R.A.Finkel,“An Algorithm for Finding Best Matche
s in Logarithmic Expected Time”,ACM Trans. on Mat
h., Vol.3, pp209-226.(1977)]を用いて入力ベクトル
空間を予め分割し、少数のクラスタに限定して併合する
クラスタを探すFastPNN法が提案されている。こ
のFast PNN法は、高速にクラスタを作ることが
できるが、クラスタ空間の全ては探索しないので、PN
N法に比べて、その精度で劣ってしまうものであった。
【0007】すなわち、PNN法は、ローカルミニマム
状態に落ちないという点で優れているが、その計算に膨
大な時間がかかるという問題がある。一方、この計算時
間の点を改良したFastPNN法は、最適なコードブ
ックを作成するという点でPNN法に劣ってしまうとい
う欠点があった。
【0008】この発明は上記課題に鑑みてなされたもの
で、PNN法によってローカルミニマム状態に落ちる心
配なく得られるものと同じコードブックを、少ない計算
時間で、効率よく高速に作成することが可能なベクトル
量子化コードブック作成装置を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、ク
ラスタの重心ベクトル間の歪みを次元毎に、その大小関
係により分類するソート部と、このソート部に於けるク
ラスタペアの併合による誤差の増加量の計算が終了した
もののうち最小の誤差増加量が求められる度に誤差増加
量の上限値として更新設定する上限値計算手段と、上記
最小の誤差増加量を与えるクラスタペアと誤差増加量の
計算が未終了のクラスタペアとのうちで次元毎に算出さ
れる歪みについて最小となる歪みに基く組合せで求めら
れる誤差増加量の下限値を設定する下限値計算手段と、
上記上限値計算手段及び下限値計算手段で得られた上限
値及び下限値を比較して一致した場合に併合するクラス
タペアを決定するべく制御する比較制御手段とを具備す
ることを特徴とする。
【0010】
【作用】この発明のベクトル量子化コードブック作成装
置にあっては、初期コードブックから始めてクラスタを
併合していく過程で、併合するのに最適なペアではない
と分かったクラスタ以外の各クラスタの重心ベクトル間
の歪みをその次元毎に分類したデータを基に、最小歪み
を計算する。そして、それらの組合せを誤差増加量の下
限値(その値よりも誤差増加量が小さくなることはない
という値)とする。その一方で、誤差増加量計算が終わ
ったクラスタペアが与える誤差増加量のうちで、最小の
誤差増加量を誤差増加量の上限値(探索が済んだ範囲で
の最小の誤差増加量)とする。そして、この併合による
誤差増加量の下限値と上限値が一致した時点で、そのク
ラスタペアの併合による誤差の増加量が最小であること
がわかるので、そのクラスタペアを併合するようにし
た。更に、下限値を計算するために用いられる各クラス
タの重心ベクトル間の歪みを次元毎に分類した分類結果
を利用することで、併合による誤差の増加量を計算する
対象となるクラスタの重心ベクトルの要素と最も近い要
素が属する重心ベクトルを持つクラスタを知ることがで
き、これから順に誤差増加量の計算をするようにした。
【0011】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例を説
明する。尚、以下に述べる実施例では、歪みとして二乗
歪みを例に用いているが、他の歪みにも同様に適用でき
る。また、その説明では、コードブックベクトルの数を
N、ベクトルの次元(要素)数をMで表すものとする。
そして、ベクトル量子化コードブックは、表1に示され
るような構成である。
【0012】
【表1】
【0013】図1は、この発明の第1の実施例に係るベ
クトル量子化コードブック作成装置の構成を示すブロッ
ク図である。同図に於いて、ソート部11は、初期コー
ドブックから成るコードブック12を構成するベクトル
間の距離を、次元毎にソートしてソート表13を作成す
る。また、クラスタが併合されて新しい重心ベクトルが
生成される毎に、コードブック12とソート表13を更
新するものである。
【0014】更に、このベクトル量子化コードブック作
成装置は、コードブック12を用いて、クラスタを併合
することによる誤差の増加量の上限値を計算する上限値
計算部14と、ソート表13を用いて誤差の増加量の下
限値を求める下限値計算部15と、この上限値と下限値
を比較して、最適クラスタペアの併合を決定する他、こ
の装置全体を制御する比較制御部16で構成される。次
に、このベクトル量子化コードブック作成装置の動作に
ついて説明する。
【0015】先ず、比較制御部16の指示により、前処
理としてトレーニング系列となる、初期コードブックで
構成されるコードブック12から、次元毎に要素間の歪
みの大小関係でソートしたソート表13が、ソート部1
1に於いて生成される。このコードブック12は、表2
のように構成される。
【0016】
【表2】
【0017】そして、表3に示される要素間の歪みと、
表2に示される「各クラスタに属するベクトル数」と
「クラスタに属するベクトルと重心ベクトルの平均二乗
距離」に基いて、ソート表13が構成される。
【0018】
【表3】
【0019】いま、比較制御部16が、ソート部11か
らソート表13の作成終了の通知を受けたものとする。
すると、比較制御部16は、次にクラスタペアの歪みを
基に、そのペアを併合することによる誤差の増加量の計
算に処理を移す。ここで、例えば二乗歪みを用いた場
合、クラスタを併合することで増加する誤差は、以下の
ように併合するクラスタそれぞれに所属するベクトル数
で重み付けした平均二乗距離に等しくなる。
【0020】Ci:i番めのクラスタ、ni:Ciに属
するベクトル数、Xi:Ciに属するベクトルの重心、
Si:Ciに属する数1で表されるベクトルと、Xiと
の平均二乗距離、とし、これに対し添字ijでCi とCj
を併合してできるクラスタを表すと、数2、数3及び数
4の関係式のようになる。
【0021】
【数1】
【0022】
【数2】
【0023】
【数3】
【0024】
【数4】
【0025】尚、これらの式の導出は、近藤、板倉著
“極低ビットレート符号化に用いるセグメント量子化へ
のPNN法の検討”、信学技報SP91−71(DSP
91−64)に参照される。次に、上記数4の関係式に
基く計算の手順を、図2のフローチャートを参照して説
明する。
【0026】先ず、所望のクラスタまで併合されたか否
かが判定され(ステップS1)、併合されていない場合
はインデックスiが0に初期化される(ステップS
2)。次いで、クラスタiの存在が判定され(ステップ
S3)、存在していなければ後述するステップS19へ
進む。一方、クラスタiが存在している場合は、次にイ
ンデックスjが設定される(ステップS4)。その後、
クラスタjの存在が判定され(ステップS5)、存在し
ていない場合は後述するステップS17へ、存在してい
る場合はステップS6へ進む。
【0027】そして、このステップS6にて、クラスタ
ペアCi (=C0)とCj (=C1)に関するデータ
が、コードブック12から上限値計算部14へ読込まれ
る。この上限値計算部14では、その時点で存在するク
ラスタの中から、比較制御部16によって選択されたク
ラスタペアについて、上記数4の関係式に従って、併合
による誤差の増加量の部分和(Y)が計算される。そし
て、上限値(HLV)との比較による計算の打切りが実
施される(ステップS7)。
【0028】このステップS7に於いて、YがHLVと
同じ若しくは大きくなった場合は、そのクラスタペアの
併合による誤差の増加量が新たに最小とはならないこと
が分かる。したがって、このクラスタペアは下限値の計
算対象から除外される(ステップS8)。
【0029】一方、上記ステップS7に於いて、Y<H
LVの場合は、インデックスkがインクリメントされた
後(ステップS9)、k>Mであるか否かが判定される
(ステップS10)。ここで、kがMと同じか若しくは
小さい場合は、Yの値が再び計算された後(ステップS
11)、ステップS7に戻る。そして、数4の関係式を
計算し終えて、その値YがHLVよりも小さくなった場
合、Yが新たなHLVとされる(ステップS12)。
【0030】すなわち、上記クラスタペアについて、上
限値計算部14にて、上記数4の関係式に従った併合に
よる誤差の増加量が計算される。これが、上限値(HL
V)として比較制御部16に送出される。
【0031】上記ステップS12に於いて、新たなHL
Vが設定されると、それまでHLVを与えていたクラス
タペアは、その併合による誤差の増加が最小ではないこ
とが分かる。したがって、このクラスタペアは下限値の
計算対象から除外される(ステップS13)。
【0032】一方、下限値計算部15では、ソート表1
3の次元毎の最小歪みの組合せで誤差の増加量の下限値
(LLV)が計算されて(ステップS14)、その結果
が比較制御部16に送出される。この比較制御部16で
は、LLVとHLVとが比較される(ステップS1
5)。この比較で、両者が一致する場合は、そのクラス
タペアが併合され(ステップS16)、新しいクラスタ
が生成される。そして、併合により喪失したクラスタの
重心ベクトルの削除と、新しいクラスタの重心ベクトル
の挿入に基き、ソート部11にて、コードブック12及
びソート表13が更新される。
【0033】また、上記ステップS15に於いて、LL
VとHLVとが一致しない場合は、インデックスj、或
いはインデックスiがインクリメントされる(ステップ
S17、S19)。尚、これらのインクリメントされた
インデックスj、iがNと比較され(ステップS18、
S20)、それぞれNより小さい場合は、各々ステップ
S4、S3に戻って、上述した処理が繰返される。これ
に対し、インデックスj、iがN以上の値になれば、次
のクラスタペアの処理に進む。こうして、所望のクラス
タ数になるまで併合が続行される。表4乃至表8は、以
上の処理に基く、小さなコードブックベクトルに対する
処理の一例を示したものである。
【0034】
【表4】
【0035】上記表3の組合せ(1,2)から、初期値
として、HLV=34/2=17が得られる。LLV=
(1(2,4)+1(1,3)+4(1,4))/2=
3となる。
【0036】
【表5】
【0037】上記表3の組合せ(1,3)から、Y=2
5/2+1/2+64/2=45が得られる。(1,
3)の組合せがHLVより大きくなるので、(1,3)
が除外される。また、LLV=(1(2,4)+4
(2,3)+4(1,4))/2=4.5となる。
【0038】
【表6】
【0039】上記表3の組合せ(1,4)から、Y=4
/2+36/2=20が得られる。(1,4)の組合せ
がHLVより大きくなるので、第2次元で計算が打切ら
れ、(1,4)が除外される。LLV=(1(2,4)
+4(2,3)+4(2,4))/2=4.5となる。
【0040】
【表7】
【0041】上記表3の組合せ(2,3)から、Y=4
/2+4/2+16/2=12が得られる。(2,3)
の組合せがHLVより小さくなるので、(1,2)が除
外されて、HLV=12(2,3)となる。また、LL
V=(1(2,4)+4(2,3)+4(2,4))/
2=4.5となる。
【0042】
【表8】
【0043】上記表3の組合せ(2,4)から、Y=1
/2+9/2+4/2=7が得られる。(2,4)の組
合せがHLVより小さくなるので、(2,3)が除外さ
れてHLV=7(2,4)となる。また、LLV=(4
(2,4)+9(2,4)+1(2,4))/2=7と
なる。こうして、HLVとLLVが一致するので、
(2,4)の組合せが併合されることに決定される。こ
れにより、組合せ(3,4)に関する計算が除外され
る。
【0044】このような手順に従えば、PNN法によっ
てローカルミニマム状態に落ちる心配なく得られるもの
と同じコードブックを得ることができるうえ、PNN法
のように全てのベクトルの組合せに対する、併合による
誤差の増加量の計算が必要なくなる。すなわち、誤差増
加量計算の途中で上限値との比較を行うことで、誤差増
加量計算を途中で打切ることが可能である。
【0045】また上限値を下限値と比較し、その一致に
よりクラスタペアの併合を決定できるので、誤差増加量
計算の対象となるクラスタペアを削減することができ
る。これにより、PNN法によってローカルミニマム状
態に落ちる心配なく得られるものと同じコードブックを
求めるための計算回数を非常に少なくすることができ
る。次に、この発明の第2の実施例について説明する。
【0046】図3は、この発明の第2の実施例に係るベ
クトル量子化コードブック作成装置の構成を示すブロッ
ク図である。同図に於いて、ベクトル量子化コードブッ
ク作成装置は、初期コードブックから成るコードブック
12を構成するベクトル間の距離を次元毎にソートして
ソート表13を作成し、またクラスタが併合されて新し
い重心ベクトルを生成する毎にコードブック12とソー
ト表13を更新するソート部11を有している。また、
この装置は、クラスタを併合することによる誤差の増加
量の上限値を計算する上限値計算部14と、ソート表1
3を用いて誤差の増加量の下限値を求める下限値計算部
15と、この上限値と下限値を比較して最適クラスタペ
アの併合を決定する他、全体を制御する比較制御部16
と、更にソート表13を用いて併合の対象となる可能性
の高いクラスタペアから誤差増加量計算を始めるように
計算順序を決定する計算順序決定部17とを有した構成
となっている。次に、同実施例の動作を説明する。
【0047】先ず、ソート部11にて、上述した第の1
実施例と同様に、ソート表13が生成される。次いで、
計算順序決定部17に於いて、併合の対象となる可能性
の高いクラスタペアから誤差増加量計算が始まるよう
に、計算順序が決定される。ここでは、ソート表13を
用いて、各次元で最小の歪みを与えるクラスタペアが順
に計算の候補とされる。但し、この他にも、ソート表の
全ての次元を通して次候補となるクラスタペアが調べら
れ、最も多くの次元で候補となっているクラスタペアか
ら選択するようにする等、計算順序が決定される指標
は、計算の手間と効果を基に変更が可能である。次に、
第1の実施例と同様に、クラスタペアの歪みを基にその
ペアが併合されることによる誤差の増加量が計算され
る。ここで、図4のフローチャートを参照して、二乗歪
みを用いた場合の計算の手順について説明する。
【0048】先ず、所望のクラスタまで併合されたか否
かが判定され(ステップS21)、併合されていない場
合は、計算順序決定部17により上述した指標に基いて
クラスタペアが選択される(ステップS22)。これに
より、選択されたクラスタペアCi とCj に関するデー
タが、コードブック12から上限値計算部14へ読み込
まれる。
【0049】最初に読み込まれたクラスタペアについて
は、上限値計算部14にて、上記数4の関係式に従って
併合による誤差の増加量が計算され(ステップS2
3)、これが上限値(HLV)として比較制御部16に
送出される。一方、下限値計算部15では、ソート表1
3の最小値の組合せで誤差の増加量の下限値(LLV)
が計算され(ステップS24)、比較制御部16に送出
される。
【0050】次いで、比較制御部16に於いて、上記上
限値と下限値が比較される(ステップS25)。この比
較で、両者が一致する場合は、そのクラスタペアが併合
され(ステップS26)、新しいクラスタが生成され
る。そして、併合により喪失されたクラスタの重心ベク
トルの削除と、新しいクラスタの重心ベクトルの挿入に
基き、ソート部11でコードブック12及びソート表1
3が更新される。
【0051】上記ステップS25の比較の結果、上限値
と下限値が一致しない場合は、計算順序決定部17に
て、次のクラスタペアが選択される(ステップS2
7)。そして、クラスタペアCi とCj に関するデータ
が、コードブック12から上限値計算部14へ読込まれ
る。この上限値計算部14で、上記数4の関係式に従っ
て、併合による誤差の増加量の部分和(Y)が計算され
(ステップS28)、上限値(HLV)との比較による
計算の打切りが実施される(ステップS29)。
【0052】すなわち、YがHLVと同じか大きくなっ
た場合、そのクラスタペアの併合による誤差の増加量が
新たに最小とはならないことが分かる。したがって、こ
のクラスタペアが下限値の計算対象から除外され(ステ
ップS30)、LLVの再計算(ステップS24)に戻
る。
【0053】一方、上記ステップS29に於いて、Y<
HLVの場合は、インデックスkがインクリメントされ
た後(ステップS31)、k>Mであるか否かが判定さ
れる(ステップS32)。ここで、kがMと同じか若し
くは小さい場合は、Yの値が再び計算された後(ステッ
プS33)、ステップS297に戻る。そして、数4の
関係式を計算し終えて、その値YがHLVよりも小さく
なった場合、Yが新たなHLVとされる(ステップS3
4)。
【0054】ここで、それまでHLVを与えていたクラ
スタペアは、その併合による誤差の増加が最小ではない
ことが分かる。そのため、このクラスタペアが下限値の
計算対象から除外され(ステップS35)、LLVの再
計算に戻される(ステップS24)。以上のステップに
従って、所望のクラスタ数になるまで併合が続けられ
る。表9乃至表12は、以上の処理に基く、小さなコー
ドブックベクトルに対する処理の一例を示したものであ
る。
【0055】
【表9】 上記表3の組合せ(2,4)から、初期値として、HL
V=14/2=7、LLV=(1(2,4)+1(1,
3)+4(1,4))/2=3が得られる。
【0056】
【表10】
【0057】上記表3の組合せ(1,3)から、Y=2
5/2=12.5が得られる。(1,3)の組合せがH
LVより大きくなるので、第1次元で計算が打切られ、
(1,3)が除外される。また、LLV=(1(2,
4)+4(2,3)+4(1,4))/2=4.5とな
る。
【0058】
【表11】
【0059】上記表3の組合せ(1,4)から、Y=4
/2+36/2=20が得られる。(1,4)の組合せ
がHLVより大きくなるので、第2次元で計算が打切ら
れ、(1,4)が除外される。LLV=(1(2,4)
+4(2,3)+4(2,4))/2=4.5となる。
【0060】
【表12】
【0061】上記表3の組合せ(2,3)から、Y=4
/2+4/2+16/2=12が得られる。(2,3)
の組合せがHLVより大きくなるので、(2,3)が除
外される。また、LLV=(1(2,4)+9(1,
2)+4(2,4))/2=7となる。
【0062】こうして、HLVとLLVが一致するの
で、(2,4)の組合せが併合されることに決定され
る。これにより、組合せ(1,2)及び(3,4)に関
する計算が除外される。
【0063】このような手順に従えば、上述した第1の
実施例の効果に加えて、併合の対象となる可能性の高い
クラスタペアから順に誤差増加量計算が実施されるの
で、誤差増加量計算の回数をさらに削減することができ
る。
【0064】また、これには下限値計算のためのソート
表を利用することができる。すなわち、特別な処理を増
やすことなく、誤差増加量計算の回数を削減することが
可能になるので、最適なベクトル量子化コードブックを
更に高速に作成することができる。
【0065】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、ベクト
ル量子化コードブックを作成するPNN法に於いて、新
たなクラスタペアの併合による誤差増加量の計算を誤差
増加量の上限値との比較により打切るようにし、目標ク
ラスタ数に至るまでの併合の過程で誤差増加量の上限値
と下限値の一致によって、そのクラスタペアの併合を決
定するようにし、且つこの計算の対象となるクラスタペ
アの選択に下限値計算に用いられるソート表を利用して
併合するクラスタを選択する時期を早めたことにより、
非常に少ない計算量で、最適なベクトル量子化コードブ
ックを効率よく高速に求めることが可能なベクトル量子
化コードブック作成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例に係るベクトル量子化
コードブック作成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施例の動作を説明するフローチャート
である。
【図3】この発明の第2の実施例に係るベクトル量子化
コードブック作成装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施例の動作を説明するフローチャート
である。
【符号の説明】
11…ソート部、12…コードブック、13…ソート
表、14…上限値計算部、15…下限値計算部、16…
比較制御部、17…計算順序決定部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラスタの重心ベクトル間の歪みを次元
    毎に、その大小関係により分類するソート部と、 このソート部に於けるクラスタペアの併合による誤差の
    増加量の計算が終了したもののうち最小の誤差増加量が
    求められる度に誤差増加量の上限値として更新設定する
    上限値計算手段と、 上記最小の誤差増加量を与えるクラスタペアと誤差増加
    量の計算が未終了のクラスタペアとのうちで次元毎に算
    出される歪みについて最小となる歪みに基く組合せで求
    められる誤差増加量の下限値を設定する下限値計算手段
    と、 上記上限値計算手段及び下限値計算手段で得られた上限
    値及び下限値を比較して一致した場合に併合するクラス
    タペアを決定するべく制御する比較制御手段とを具備す
    ることを特徴とするベクトル量子化コードブック作成装
    置。
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