JPH05279685A - 油性放電加工液 - Google Patents

油性放電加工液

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JPH05279685A
JPH05279685A JP31662591A JP31662591A JPH05279685A JP H05279685 A JPH05279685 A JP H05279685A JP 31662591 A JP31662591 A JP 31662591A JP 31662591 A JP31662591 A JP 31662591A JP H05279685 A JPH05279685 A JP H05279685A
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JP
Japan
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oil
discharge machining
general formula
compound
machining
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JP31662591A
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English (en)
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Nobuyuki Takahashi
橋 信 之 高
Minoru Nakayama
山 実 中
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Sodick Co Ltd
Original Assignee
Sodick Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 式〔1〕の化合物、または式〔1〕と式
〔3〕または(および)の〔4〕の化合物をベース油に
含む、油性放電加工液。 RO〔CHCH(CH)O〕H 〔1〕 (R=炭素数1〜30のアルキル基、またはアリール
基 n=1〜70の整数) (R=炭素数1〜4のアルキル基;R=硫黄、炭素
数1〜10のアルキレン基あるいは炭素数2〜20の硫
黄含有アルキレン基) 【効果】 式〔1〕の化合物を含む油性放電加工液は、
それを用いる放電加工の加工速度を向上させうる。式
〔1〕と、式〔3〕または(および)〔4〕の化合物を
含む油性放電加工液は、それを用いる放電加工の加工速
度がより向上し、かつ、加工液が劣化しないので、加工
液を交換することなく長時間にわたり速い加工速度で放
電加工を行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工速度が向上した油
性放電加工液、ならびに加工速度の向上および放電加工
の際のタール状物質の生成防止を達成し、しかも異状放
電が起きにくい油性放電加工液に関する。
【0002】
【従来の技術】電極と導電性の被加工物との間を絶縁性
媒体で満たし、そこで断続放電して被加工物を加工する
放電加工では、絶縁性媒体に水性放電加工液または油性
放電加工液が用いられている。そして、放電加工での加
工精度を高くするには、電極消耗率が小さいこと、実質
的には電極消耗率が零あるいはそれに近いこと、が要求
されるので、油性放電加工液(油性放電加工液の電極消
耗率は水性放電加工液よりも小さい)が多くの放電加工
で用いられている。しかし、油性放電加工液は、水性放
電加工液に比較して加工速度が遅く生産性が劣るという
問題点がある。すなわち、水性放電加工液の加工速度で
も生産性の点からは、不十分なものであり、それよりも
加工速度が遅いということは、工業的実施が生産性の点
から不利益を伴うことになる。また、油性放電加工液
は、放電加工での使用により劣化するが、劣化するまで
の時間が比較的に短くて、比較的短時間で全量交換せざ
るを得ないというのが実情である。しかも、わずかな劣
化でも様々なトラブル(例えばアーク放電など)が発生
して放電加工、特に高加工精度の放電加工、を行うこと
ができなくなる。そして、油性放電加工液の加工速度を
向上させる方法について、いくつかの提案がされてお
り、それら提案を大別すると次の二つのグループに分け
ることができる。
【0003】(イ)第一のグループは、界面活性剤を油
性放電加工液のベース油に添加して電極と被加工物との
間に加工液をよく浸透させて加工速度を向上させるとい
方法であり、例えば、特開昭58ー181522号公報
あるいは特開昭62ー277220号公報に記載の方法
がある。そこに記載の油性放電加工液は、加工速度が向
上するので、一時期には商品化されて使用されていた。
しかし、添加した界面活性剤により油性放電加工液自体
が容易に劣化するという致命的欠点がその後に明らかと
なり、現時点では使用されていない。その致命的欠点
は、放電によって生成するタール状物質が添加した界面
活性剤によって可溶化して油中に溶解し、そのために加
工液が溶解したタール状物質によって着色化(黒色化)
と劣化が進行するということである。
【0004】(ロ)第二のグループは、熱安定性が良い
高分子量物質を油性放電加工液に添加し、それによって
気中放電を防止して、加工速度を向上させるという方法
であり、例えば、特公平3ー25284号公報に記載の
方法がある。この方法は、電極と被加工物との間を流れ
る加工液が被加工物表面に接触して高温にさらされて
も、熱安定性が良い高分子量物質が添加されているため
に、加工液が気化されずに一部油膜として残るので、そ
れによって加工速度が向上するというものである。この
熱安定性が良い高分子量物質を添加した油性放電加工液
は、現在も工業的に一般に使用されているが、加工速度
の向上の点で不十分である。他方、油性放電加工液の劣
化防止については、主として下記(a)〜(c)の理由
により、ほとんど研究が行われておらず、実用的に有効
な方法が提案されていない。
【0005】(a)油性放電加工液が放電加工の際に極
く僅かでも劣化すると放電加工にトラブルの原因になる
ということは、極く最近に見出だされたことで、油性放
電加工液の僅かな劣化を検知する手段がなく、その劣化
の状態はもとより、劣化の機構の詳細が、全く未知の状
態にある。
【0006】(b)燃料などの一般的用途に供される油
では、酸価の増加、粘度増加および着色の測定、および
赤外分光分析などの機器分析による生成微量成分の測定
によって劣化を検知できる。しかし、油性放電加工液に
の酸価、粘度よび色を測定しても異状がなく、赤外分光
分析などの機器分析によって微量成分の生成を検知する
ことができなくても、油性放電加工液に起因するトラブ
ル(例えばアーク放電)が発生する。そして、放電加工
にトラブルを発生させる油性放電加工液の僅かな劣化を
検知する手段がないということがあって、その劣化を防
止する研究は、困難を極め、有効な対策が未だ提案され
ていない。
【0007】(C)油性放電加工液の劣化が、放電加工
の続行によって進行すると、加工液中にタール状物質な
どの多種の生成物が生じるのが確認されているが、それ
ら生成物と油性放電加工液の劣化とは、密接な関係があ
ると予想されるが、それらの生成物の生成機構は全くと
いっていい程に解明されていない。したがって、油性放
電加工液の加工速度の向上および油性放電加工液の劣化
防止には、実用的に有効な方法がないというのが実情で
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、加工速度が
向上した油性放電加工液を提供すことを、を目的とす
る。さらに、本発明は、加工速度が向上して、放電加工
におけるタール状物質の生成を防止でき、しかも異状放
電が起き難くい油性放電加工液、すなわち、放電加工を
継続して長時間行っても安定して放電加工を行うことが
できる油性放電加工液を提供すること、を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による油性放電加
工液は、一般式〔1〕で表される化合物をベース油に含
んでなるものであること、を特徴とする。 RO〔CHCH(CH)O〕H 〔1〕 式〔1〕において、Rおよびnは、下記の意味を持つ R=炭素数1〜30のアルキル基、またはアリール基 n=1〜70の整数 また、本発明による他の油性放電加工液は、一般式
〔1〕で表される化合物と、一般式〔3〕または(およ
び)〔4〕で表される化合物とをベース油に含んでなる
ものであること、を特徴とする。
【化2】 一般式〔3〕および〔4〕において、RおよびR
は、下記の意味を持つ。 R=炭素数1〜4のアルキル基 R=硫黄、炭素数1〜10のアルキレン基または炭素
数2〜20の硫黄含有アルキレン基 ただし、各式において、複数あるRは、同一であって
も、異なっていてもよい。また、各式間において、R
およびRは、同一であっても、異なっていてもよい。
【0010】〔発明の具体的説明〕本発明者は、油性放
電加工液の加工速度を添加物質により向上させる可能性
を検討し、その際に、添加物質をベース油に溶解した均
一相の加工液を放電加工しても、加工液の一部が高温に
さらされると、添加物質がガス化してベース油から直接
に飛散するということを見出だした。例えば、ポリブテ
ンをベース油に完全に溶解した加工液を使用して放電加
工しても、加熱によりポリブテンが容易にガス化して飛
散してしまうということを見出だした。また、鉱油由来
の高粘度油は、分解してガス化しないが、高温にさらさ
れると容易に重合し、放電加工でタール状物質が生成し
て、それによって電極の異状消耗、加工寸法の大巾な狂
いの発生および致命的なアーク痕の発生などのトラブル
が発生することが見出だされた。そして、高温で熱分解
およびガス化することがなく、放電加工の際にタール状
物質を生成しない性質を有し、かつ、加工速度の向上お
よび加工液の劣化防止に役立つ物質の探索が本発明者に
より行われ、特定の化合物が油性放電加工液の加工速度
を向上させる効果を有することが実験的事実から見出だ
された。すなわち、特定のポリプロピレングリコールの
水酸基の水素を特定の置換基により置換した構造の化合
物が、油性放電加工液のベース油に溶解性を有し、しか
も加工速度を向上させる効果があることが実験的事実か
ら見出だされた。また、本発明者は、加工速度の向上に
役立つ物質の探索の過程でプロピレングリコールなどの
多価アルコールが油性放電加工液に与える影響も検討し
たが、多価アルコールを油性放電加工液に添加しても、
加工速度の向上に何ら役立つものでないことを見出だし
た。すなわち、プロピレングリコールなどの多価アルコ
ールを水に溶解して分子量の大きな水溶液(すなわち水
性放電加工液)にし、その水溶液中で通電極性を変える
と加工速度を改善できるという提案があるが(特公昭5
9ー4253号公報参照)、多価アルコールは水溶液の
分子量を水よりも大きくするためだけのものである。し
たがって、多価アルコールを油性放電加工液に添加して
も放電加工を阻害するだけで、加工速度の向上は何ら認
められなかった。
【0011】<一般式〔1〕の化合物>本発明による油
性放電加工液は、下記一般式〔1〕の化合物をベース油
に含むことにより加工速度を向上させたものである。 RO〔CHCH(CH)O〕H 〔1〕 〔1〕式において、Rおよびnは下記の意味を持つ。 R=炭素数1〜30のアルキル基、またはアリール
基、 n=1〜70の整数。 すなわち、一般式〔1〕の化合物は、ポリプロピレング
リコール(重合度2〜70)またはプロピレングリコー
ルの水酸基の水素を炭素数1〜30のアルキル基、ある
いはアリール基で置換した構造を有するものである。こ
の一般式〔1〕の化合物は、ベース油に溶解性を有し、
溶解した状態で放電加工の際に高温にさらされても、熱
分解および熱重合せず、しかも、その化合物を溶解した
油性放電加工液の加工速度が向上するいうことが、本発
明において実験的事実から見出だされた。しかも、ポリ
プロピレングリコールが、重合度20〜40、すなわち
nが20〜40の整数、のもので、その末端水酸基の水
素が置換基で置換された構造のものが、加工速度を向上
させるのに特に優れた効果を有しており、しかも、重合
度が20〜40であると、油性放電加工液の粘性を放電
加工を行うのに適した状態にすることができるというこ
とも本発明において見出だされた。なお、この一般式
〔1〕の化合物は、プロピレングリコールの水酸基の水
素を置換した構造のものもでもよいが、好ましいのはポ
リプロピレングリコールの末端の水酸基の水素を置換し
た構造のものである。Rは、それがアルキル基である
場合は、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜10、
特に好ましくは炭素数4、のものである。そのような炭
素数のアルキル基であると、加工速度が向上し、しか
も、油性放電加工液を高温にさらしても、溶解した一般
式〔1〕の化合物が熱分解あるいはガス化しにくいこと
が見出だされた。また、Rは、それがアリール基であ
る場合は、ベンゼンあるいは置換基を有するベンゼンの
一価基であるのが好ましい。置換基を有するベンゼンの
一価基としては、フェノールあるいはアルキル基で置換
されたフェノールが好ましい。置換するアルキル基は、
炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜4の、ものであ
る。
【0012】一般式〔1〕の化合物の好ましい具体的化
合物としては、例えばRが炭素数4のアルキル基、す
なわちブチル基、であって、nが35の整数である式
〔2〕の化合物がある。 CO〔CHCH(CH)O〕35H 〔2〕 なお、式〔2〕の化合物が、油性放電加工液の加工速度
を向上させるのに特に適しているということも、実験的
事実から本発明で見出だされた。油性放電加工液の一般
式〔1〕の化合物の含有量は、1〜70重量%(ベース
油と一般式〔1〕の化合物の合計重量基準)、好ましく
は1〜30重量%、である。含有量は、1〜70重量%
の範囲で、放電の電気条件およびベース油の種類などに
応じて適宜変えることができる。
【0013】<一般式〔3〕または(および)〔4〕の
化合物>本発明による他の油性放電加工液は、前記一般
式〔1〕の化合物と、下記一般式〔3〕または(およ
び)〔4〕の化合物とをベース油に溶解させた加工液で
ある。
【化3】 一般式〔3〕および〔4〕おいて、RおよびRは下
記の意味を持つ。 R=炭素数1〜4のアルキル基、 R=硫黄、炭素数1〜10のアルキレン基あるいは炭
素数2〜20の硫黄含有アルキレン基。ただし、各式に
おいて、複数あるRは、同一であっても、異なってい
てもよい。また、各式間において、RおよびRは、
同一であっても、異なっていてもよい。一般式〔3〕、
〔4〕の化合物は、4,4′および2,2′ビスフェノ
ール核置換体であって、フェノール核置換体が硫黄、炭
素数1〜10のアルキレン基あるいは炭素数2〜20の
硫黄含有アルキレン基を介して結合しているものであ
る。フェノール核置換体の置換基は、炭素数1〜4のア
ルキル基であるが、好ましくは炭素数2〜5のアルキル
基、特に好ましくは炭素数4のアルキル基(ブチル
基)、である。ブチル基には、ノルマル、イソ、セカン
ダリおよびターシャリーの4種類の異性構造があるがい
ずれでもよい。特に好ましいのはターシャリーブチル基
である。また、二つのフェノール核置換体を結合するR
は、硫黄、炭素数1〜10のアルキレン基あるいは炭
素数2〜20の硫黄含有アルキレン基のいずれでもよい
が、好ましいのは炭素数2〜20の硫黄含有アルキレン
基である。なお、Rが、炭素数1〜10のアルキレン
基である場合、好ましいのは炭素数1〜4アルキレン基
である。また、Rが炭素数2〜20の硫黄含有アルキ
レン基の場合は、スルフィド基であるのが好ましい。ス
ルフィド基において、硫黄原子に結合する二つのアルキ
レンは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8、の
アルキレンが好ましい。また、二つのアルキレンは、同
一であるのが好ましい。なお、ビスフェノール核置換体
(すなわち、一般式〔3〕、〔4〕の化合物)は、4,
4あるいは2,2′のいずれを単独で用いてもよく、両
方を併用してもよい。併用する場合の比率は任意であ
る。そして、ビスフェノール核置換体は、それを添加し
た油性放電加工液が高温にさらされても気化することが
なく、しかも一般式〔1〕の化合物と共存することによ
り、ベース油によく溶解することが見出だされた。すな
わち、一般式〔3〕または(および)〔4〕の化合物
は、単独ではベース油に溶解するのが困難であったが、
一般式〔1〕の化合物の共存によりベース油への優れた
溶解性が生じることが明らかとなった。しかも、一般式
〔3〕または(および)〔4〕の化合物を溶解し、かつ
一般式〔1〕の化合物も溶解している油性放電加工液
は、一般式〔1〕の化合物のみを溶解した場合よりも、
加工速度がさらに向上するということ、すなわち、加工
速度の向上についての相乗的効果があること、が本発明
で見出だされた。また、その油性放電加工液では、放電
加工での劣化、特に放電加工に影響を与える僅かな劣
化、が生じなくなり、油性放電加工液を著しく長時間に
わたって使用することができることも本発明で見出ださ
れた。すなわち、一般的な油の測定法では検知しえない
ような僅かな劣化も生じにくくなる。一般式〔3〕また
は(および)〔4〕の化合物の油性放電加工液中の含有
量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜5重
量%である。その重量%は、ベース油、一般式〔1〕の
化合物と一般式〔3〕または(および)〔4〕の化合物
との合計重量を基準としたものである。なお、一般式
〔3〕または(および)〔4〕の化合物を添加する場合
でも、一般式〔1〕の化合物を70重量%(ベース油と
一般式〔1〕の化合物の合計重量基準)程度まで添加す
ることができる。しかし、化合物の含有量が、多くなる
と、油性放電加工液の粘度などが大きくなりすぎるの
で、一般式〔3〕または(および)〔4〕の化合物をベ
ース油に溶解する場合、一般式〔1〕の化合物の含有量
は、1〜30重量%(ベース油と一般式〔1〕の化合物
の合計重量基準)であるのが好ましい。すなわち、一般
式〔1〕の化合物を1〜30重量%、一般式〔3〕また
は(および)〔4〕の化合物を0.1〜5重量%含有す
る油性放電加工液が、加工速度が優れて向上し、長時間
使用しても劣化することがない。なお、放電の電気条件
およびベース油の種類などに応じて、加工速度の向上お
よび放電加工の劣化防止が最適になるように一般式
〔1〕の化合物と一般式〔3〕または(および)〔4〕
の化合物との含有量比率を適宜変えることができる。一
般式〔3〕の好ましい具体的化合物としては、例えば下
記の式〔5〕の4,4′ージヘキシレンスルフィドビス
(2,6ージターシャリープチル)フェノールがある。
また、一般式〔4〕の好ましい具体的化合物としては、
例えば下記の式〔6〕の2,2′ージヘキシレンスルフ
ィドビス(4,5ージターシャリープチル)フェノール
がある。
【化4】 これら化合物、特に式〔5〕の化合物は、熱重量分析
(TGA)による変化が250〜400℃であって、気
化しにくく、熱安定性の点からも好ましい。
【0014】<油性放電加工液のベース油>本発明によ
る油性放電加工液のベース油については制約がなく、一
般的にベース油として使用しうるものであれば、いずれ
をも使用することができる。ベース油は、鉱油由来のベ
ース油、および合成物からなるベース油に大別すること
ができる。鉱油由来のベース油には、石油を精製したも
の、石油の分溜成分(精溜したものを含む)および石油
の分溜成分から調製したもの(例えば、ノルマルパラフ
ィン)などがある。合成物からなるベース油には、例え
ば、アルキルベンゼン、ポリブテンがある。いずれも本
発明の油性放電加工液のベース油として用いることがで
きる。また、ベース油は、それを放電加工に適するよう
な物性(例えば、密度、粘度、酸価)にし、低引火点に
なるように、成分の混合および添加剤の添加などして調
製が行われることがある。しかし、そのような場合で
も、一般式〔1〕、一般式〔3〕または(および)
〔4〕の化合物の能力を損なわない限り、成分の混合お
よび添加剤などの添加は任意である。
【0015】<油性放電加工液の使用>本発明による油
性放電加工液の放電加工での使用については特に制約が
ない。代表的な使用の態様は、一般的な油性放電加工液
で用いられている使用方法、すなわち、放電加工が終わ
った加工液を加工槽から抜き出して濾過などのし手段に
より処理して清浄化した油性放電加工液を循環再使用す
る方法である。油性放電加工液の循環再使用工程に任意
の清浄手段を設けることは任意である。以下に本発明を
実施例においてより具体的に説明する。実施例は本発明
を例示的に示したものであって本発明を制限するもので
はない。
【0016】
【実施例】
<実施例1>加工速度が向上した加工液の実施例 べース油 下記表1は、本実施例の加工液の調製に使用したべース
油の特性を示す。 表1 密度 g/cm(15℃) 0.761 動粘度 cSt(40℃) 1.6 引火点 COC ℃ 104全酸価 mgKOH/g 0.01
【0017】実験用加工液 下記表2は、実験用加工液の組成を示したものである。
実験用加工液は、表1の特性のべース油に式〔2〕の化
合物(CO〔CHCH(CH)O〕35H)
または式〔5〕の化合物(4,4′ージヘキシレンスル
フィドビス(2,6ージターシャリープチル)フェノー
ル)を加えて調製したものである。なお、表2中の%
は、重量%である。 表2 番号 べース油 式〔2〕の化合物 式〔4〕の化合物 (%) (%) (%) 100 93 7 85 15 70 30 89 10 1.0 88 10 2.0 78 20 2.0
【0018】実験装置 下記の表3は、実験に供した装置類の諸元を示す。 表3 放電加工機 ソディク EPOC 3 電源 ソディク MARK X1 加工電極 銅10×10mm、銅3×3mm被加工物 SKDー61(焼入れ)
【0019】加工電気条件 下記の表4は、加工電気条件を示す。 表4 (1)電流 21A(ショート時)……銅10×10mmの加工電極を使用(2)電流 6A(ショート時)……銅3×3mmの加工電極を使用
【0020】実験方法 放電加工は、図1の一部切欠き斜視図に図示したよう
に、加工槽(1)内には被加工物用電極(2)が設けら
れ、それに被加工物(3)が載置されており、上方より
加工電極(4)が制御されて下降(矢印の方向)し、加
工液(5)で覆われた被加工物(3)表面との間で放電
が行われて、被加工物(3)表面に孔(6)を彫る。被
加工物用電極(2)および加工電極(4)は、電源
(7)から通電されている。図2は、加工電極(4)が
被加工物(3)の孔(6)に入りこんで、放電が行われ
ている状態の孔(6)の部分断面図であり、孔(6)の
内部側面と加工電極(4)の側面との側面ギャップ
(8)が小さいと加工精度が高くなる。また、孔(6)
の内部側面のいずれの箇所の側面ギャップ(8)も同じ
値であると、加工精度にばらつきがなくる。加工精度に
ばらつきがないことも高加工精度の条件である。
【0021】加工液の循環 加工液(5)は、連続的に加工槽(1)から取り出して
濾過装置で濾過して清浄にして、貯蔵タンクに貯溜後に
冷却装置(図示せず)を経由して加工槽(1)に戻し
て、再度放電加工に使用した。
【0022】実験結果 以下の表5は、表4の(1)の加工電気条件で放電加工
した場合の結果を示したものである。 表5 加工液の種類 加工速度mm3 /min 5.2 9.6 9.5 10.8 11.5 11.7 12.2 以下の表6は、表4の(2)の加工電気条件で放電加工
した場合の結果を示した。
【0023】 表6 加工液の種類 加工速度mm3 /min 0.28 0.57 0.58 0.61 0.66 0.70 0.73 <実施例2>劣化に対して安定性のある加工液の実施例 加工液の交換は、通常約1年で行われる。短時間でこれ
と同等に加工液を劣化させる目的で加速劣化試験を行っ
た。加速劣化試験は、加工液の量を少なくして大電流で
放電し、しかも加工液が劣化し易い銅合金を放電加工す
るという方法で行った。そして、加速劣化試験を行った
後で通常の放電条件に戻し、新液(新しい加工液)と劣
化液(加速劣化試験により劣化させた加工液)との加工
性能を比較した。以下の表7は、加速劣化試験の条件を
示す。 表7 放電加工機 ソディク EPOC 3 電源 ソディク MARK X1 加工電極 銅 50×50mm 被加工物 真鍮 C3601 電流 189A(ショート時) 加工時間 24時間 加工液量 20リットル加工液 実施例の、および この表7の条件で加速劣化試験を行った後に戻す通常の
放電条件は、実施例1の表4の(2)の条件で行った。
【0024】実験結果 表8は、実験結果を示したものである。 表8 加工液 加工速度 側面ギャップ タールの生成 その他 の種類 (mm3 /min) (μm) (加工面上) 新液 0.28 105 なし 少し不安定な放電 劣化液 0.21 164 極めて多い アーク痕が発生 新液 0.58 85 なし 安定な放電 劣化液 0.62 99 少しあり 安定な放電 新液 0.73 85 なし 安定な放電 劣化液 0.72 86 なし 安定な放電 表8の側面ギャップは、図2の側面ギャップ(8)のこ
とであり、高精度加工では、何時もこの値が一定でバラ
ツキのないことが要求される。
【0025】
【発明の効果】一般式〔1〕の化合物をベース油に含む
本発明の油性放電加工液は、それを用いる放電加工の加
工速度を向上させることができる。また、本発明による
一般式〔1〕と、一般式〔3〕または(および)〔4〕
の化合物とをベース油に含む本発明の他の油性放電加工
液は、それを用いる放電加工の加工速度を向上させ、か
つ、放電加工の際の加工液の劣化を防止することができ
る。すなわち、油性放電加工液を使用して、それを交換
することなく長時間にわたり速い加工速度で放電加工を
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加工槽の一部切欠き斜視図である。
【図2】放電加工中の被加工物の部分断面図
【符号の説明】
1 加工槽 2 被加工物用電極 3 被加工物 4 加工電極 5 加工液 6 孔 7 電源 8 側面ギャップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 129:14 135:24 135:30) C10N 30:00 D 8217−4H 30:08 40:14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式〔1〕で表される化合物をベー
    ス油に含んでなる、油性放電加工液。 RO〔CHCH(CH)O〕H 〔1〕 式中、Rおよびnは、下記の意味を持つ。 R=炭素数1〜30のアルキル基、またはアリール基 n=1〜70の整数
  2. 【請求項2】前記一般式〔1〕で表される化合物を1〜
    70重量%(ベース油と一般式〔1〕の化合物の合計重
    量基準)含んでなる、請求項1に記載の油性放電加工
    液。
  3. 【請求項3】前記一般式〔1〕で表される化合物が、下
    記の式〔2〕に表される化合物である、請求項1または
    2に記載の油性放電加工液。 CO〔CHCH(CH)O〕35H 〔2〕
  4. 【請求項4】前記一般式〔1〕で表される化合物と、下
    記一般式〔3〕または(および)〔4〕で表される化合
    物とをベース油に含んでなる、油性放電加工液。 【化1】 一般式〔3〕および〔4〕において、RおよびR
    は、下記の意味を持つ。 R=炭素数1〜4のアルキル基 R=硫黄、炭素数1〜10のアルキレン基または炭素
    数2〜20の硫黄含有アルキレン基 ただし、各式において、複数あるRは、同一であって
    も、異なっていてもよい。また、各式間において、R
    およびRは、同一であっても、異なっていてもよい。
  5. 【請求項5】前記一般式〔1〕で表される化合物1〜7
    0重量%(ベース油と一般式〔1〕の化合物の化合物の
    合計重量基準)、一般式〔3〕または(および)〔4〕
    で表される化合物を0.01〜20重量%をベース油に
    含んでなる、請求項4に記載の油性放電加工液。ただ
    し、0.01〜20重量%は、ベース油、一般式〔1〕
    の化合物、および一般式〔3〕または(および)〔4〕
    で表される化合物の合計重量基準である。
  6. 【請求項6】前記一般式〔3〕および〔4〕で表される
    化合物が、Rがターシャリープチル基で、Rがスル
    フィド基である請求項4または5に記載の油性放電加工
    液。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003099971A1 (fr) * 2002-05-27 2003-12-04 Nippon Oil Corporation Composition d'huile de graissage pour gravure par etincelage

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