JPH05244965A - 微生物変換によるバニリン生産方法 - Google Patents

微生物変換によるバニリン生産方法

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JPH05244965A
JPH05244965A JP4139044A JP13904492A JPH05244965A JP H05244965 A JPH05244965 A JP H05244965A JP 4139044 A JP4139044 A JP 4139044A JP 13904492 A JP13904492 A JP 13904492A JP H05244965 A JPH05244965 A JP H05244965A
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vanillin
ferulic acid
mercapto compound
microbial conversion
precursor
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JP4139044A
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Ivica M Labuda
アイビカ・エム・ラブダ
Steven K Goers
スティーブン・ケイ・ゴアーズ
Kathleen A Keon
キャスリン・エイ・コーン
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Kraft General Foods Inc
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    • C12P7/00Preparation of oxygen-containing organic compounds
    • C12P7/24Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a carbonyl group
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、微生物変換工程によって、天然バニ
リン前駆体からバニリンを収率よく生産する方法を開発
することを目的とする。 【構成】本発明は、バニリン前駆体の水性溶液を含む微
生物変換混合物を、メルカプト化合物および、場合によ
っては同化可能な炭素源の存在下に、フェルラ酸分解微
生物と接触させることによって、バニリンを生産する方
法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は天然のバニリン前駆体か
ら微生物変換工程によってバニリンを生産する方法に関
する。更に詳細には、本発明はバニリン前駆体をメルカ
プト化合物の存在下にフェルラ酸分解微生物を用いて処
理することによって、バニリンの収率を増加させる方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】バニリンはラン科の植物であるバニラ
の、つるの花の保存されたさやから抽出される。保存の
工程の間に多くの種類の香味化合物が形成され、バニラ
特有の快い香りとバランスのとれた官能的性質が生じ
る。バニラは広範な食品に香味料として用いられる非常
に貴重なものであるにもかかわらず、生産方法が複雑で
収率が低いためにコストが高く、その使用は制限されて
いる。バニリン(3−メトキシ−4−ヒドロキシ−ベン
ズアルデヒド)は、バニラ抽出物の香りと香味を特徴づ
ける主成分のひとつである。合成バニリンは、たいてい
は製紙工場の亜硫酸廃液を処理することによって生産さ
れ、代表的なバニラの低コスト代用物として用いられて
おり、実際にはバニラ抽出物への混ぜ物としてすら用い
られている。亜硫酸廃液から誘導されるバニリンは、そ
の原料と生産方法のため、米国においては天然食品成分
とは認められず、そのような表示もされていない。した
がって、天然バニリン前駆体から微生物変換によって天
然バニリンを生産する低コストの工程は、高い価値と有
用性を有している。
【0003】リグニンの生合成における前駆体として知
られた芳香族化合物からわずかな量のバニリンが形成さ
れるということはよく知られている(ラホーティ(Rahou
ti,Mohammed)ら、Appln. Environ. Microbiol., 55:239
1-8, Sept., 1989、タダサ(Tadasa, K.)、Agric. Bio
l. Chem. 41:925-9, 1977、スザーランド(Sutherland,
J.B.)ら、Can. J. Microb., 29:1253-7, 1983 を参照の
こと)。トランス−フェルラ酸はリグニンの生合成にお
ける普通の前駆体であり、リグニン分解生成物でもあ
る。土壌微生物によるフェルラ酸の代謝によって、典型
的にはバニリンが生成するが、このようにして生成した
バニリンは、さらにバニリン酸またはバニリルアルコー
ル、あるいはその両方に変換され、つづいて典型的に
は、プロトカテチュ酸、グアヤコール、ヒドロキノン、
カテコール、開環生成物等のその他の分解生成物に変換
される。したがって、一般的にはバニリンは、フェルラ
酸およびフェルラ酸前駆体の生分解の全体的な過程にお
ける中間体と考えることができ、土壌微生物によってフ
ェルラ酸が分解される際にわずかな量のバニリンが蓄積
する。土壌微生物[Pullularia pullulans, Fusarium s
p., Aspergillus nige r, Bacillus sp., Pseudomonas s
p., Nocardia sp.等、(ボネマン(Borneman, W.S.)ら、
Appl. Microbiol. Biotechnol. 33:354-51, 1990、エジ
リング(Eggeling, L.)ら、Arch. Microbiol. 126:141-
8, 1980 を参照のこと)]による芳香族化合物の代謝を
報告している文献は非常に多いが、このような微生物を
バニリン合成に用いる可能性について強調しているもの
はない。これは、バニリンが中間生成物としてわずかの
量しか蓄積されないためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のことから本発明
は、フェルラ酸分解微生物による微生物変換工程によっ
て、バニリン酸前駆体からバニリンを収率よく生産する
方法を開発することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、バニリンを生
産する方法であって、バニリン前駆体の水性溶液を含む
微生物変換混合物を、メルカプト化合物および同化可能
な炭素源の存在下にフェルラ酸分解微生物と接触させ、
回収可能な量のバニリンを蓄積させることを特徴とする
方法を提供する。
【0006】ジチオスレイトール、ジチオエリスリトー
ル等のメルカプト化合物を微生物変換混合物に加えるこ
とによって、フェルラ酸および関連化合物の微生物処理
によるバニリンの蓄積を実質上増加させることができる
ということが発見された。メルカプト化合物は、酵素あ
るいは一般に酸化に対して不安定な物質の酸化防御試薬
としてよく知られている。このため、メルカプト化合物
を加えることによってフェルラ酸分解微生物によるバニ
リン前駆体の変換の代謝経路が変化し、その結果、バニ
リンの蓄積が促進される。メカニズムについてのいかな
る特定の理論に拘束されることをも望むものではない
が、メルカプト化合物の存在は、全体的な生分解経路に
おけるバニリンの生成に関与するひとつあるいはそれ以
上の酵素反応工程に影響を与えるため、メルカプト化合
が添加されていない同様の混合物と比べ、変換混合物中
のバニリン濃度は増加している。
【0007】また、本発明によるバニリン前駆体の微生
物変換によって、微生物変換混合物に快い香味の特徴を
与え、混合物の感覚的特徴をより優れたものにして食品
用の香味料としての価値を高めるような、その他の化合
物も生成することが発見された。
【0008】本発明は、メルカプト化合物の存在下でバ
ニリン前駆体をフェルラ酸分解微生物によって処理する
ことによる、バニリンの生産方法を提供する。さらに詳
細には、本発明においては、フェルラ酸からバニリンを
生成することができるようなフェルラ酸分解微生物の菌
体を用い、微生物変換に適した条件において、1種類あ
るいは2種類以上のメルカプト化合物および代謝可能な
炭素源の存在下で、フェルラ酸、オイゲノール、4−ビ
ニルグアヤコール等のバニリン前駆体を処理する。
【0009】本発明の実施においては、バニリン前駆体
が実質上存在しない条件下において、大量の生きた菌体
または菌糸が得られるような時間、温度、pH、栄養の
タイプ、栄養の濃度、および通気の条件で微生物を培養
し、これを単離して、次の微生物変換(バニリン生成)
工程に用いる。微生物変換工程の実施においては、単離
された菌体はバニリン前駆体、メルカプト化合物、およ
び緩衝液または菌体の生育を維持するのに必要なその他
の材料からなる水性混合物に加えて微生物変換混合物と
し、この混合物を、バニリン前駆体をバニリンに実質的
に変換させるのに十分な温度および時間の条件下で培養
する。好ましい具体例においては、菌体の増殖または維
持、あるいはその両方を促進するのに適した同化可能な
炭素源もまた微生物変換混合物中に含まれる。
【0010】以下に、本発明の好ましい実施態様を述べ
る。
【0011】フェルラ酸分解微生物としては、その微生
物がバニリンが中間生成物として生成するような経路で
分解を行うことができる限り、フェルラ酸を分解するこ
とのできる、文献に記載の普通のタイプのどのような微
生物を用いることもできる。したがって、この能力を有
する多数の微生物が知られているため、多くのタイプの
かび、細菌、酵母などが本発明において作用すると考え
られる。本発明の目的をかんがみて、トランス−フェル
ラ酸で増殖し、トランス−フェルラ酸から4−置換グア
ヤコールへの代謝経路において、中間体であるバニリン
を生成することができる微生物を、以下、「フェルラ酸
分解微生物」という。例証としては、4−ビニルグアヤ
コール経由でフェルラ酸をバニリンに変換する Paecilo
myces va rioti および Pestaloti palmarum(ラホーテ
ィ(Rahouti, M.)、上述の文献を参照)を掲げることが
でき、また、Pseudomonas cepacia (アンドレオーニ(A
ndreoni, V.)ら、Syst. Appl. Microbiol., 5:299-304,
1980)および Fusarium sol ani(ナザレス(Nazareth,
S.)ら、Can. J. Microbiol., 32:494-7, 1986)も同様
であるが、これらに限定されるものではない。また、Po
lyporous versicolor(イシカワ(Ishikawa, H.)ら、Arc
h. Biochem. Biophys., 100:140-9, 1963)および Pseu
domonas acidovorans(トムス(Toms, A.)ら、Biochemis
try 9:337-43,1970)は、側鎖炭素の除去によってフェ
ルラ酸をバニリンに変換することが知られている。Cory
negacterium sp.(タダサ(Tadasa, K.)、Agric. Biol.
Chem.,41(6):925-9, 1977)は、フェルラ酸を経由して
オイゲノールをバニリンに変換することができる。
【0012】その他の微生物も知られており、あるいは
単離され、発見されており、また、フェルラ酸をバニリ
ンに変換できるという特徴とこれに必要な能力を有する
微生物が、選択、変異、または遺伝的形質転換方法によ
って開発されているが、これらの単離、選択および開発
の方法は当業者によく知られている。
【0013】本発明において用いられる微生物の適性
は、よく知られた方法による簡単な試験によって測るこ
とができる。例えば、試験する微生物を栄養のある培地
(LB培地、バクト・トリプトン−イースト・エクスト
ラクト培地、栄養培地等)を用い、微生物の増殖に一般
的に用いられるpH、温度、通気条件下で増殖させる。
遠心分離または濾過によって菌体を集め、同化可能な炭
素源を含まない同等の滅菌した培地で洗浄する。この菌
体を0.1%のトランス−フェルラ酸および0.1%のグルコ
ースを含む最少培地(マンデルス培地、MCGC培地、
YNB培地等)に懸濁し、30°Cで通気下または嫌気下
で培養する。12時間ごとに培養混合物から上清をサンプ
リングし、HPLCによってバニリンを分析する。バニ
リンの存在は、フェルラ酸がバニリン経路で分解されて
いることを示す。フェルラ酸の分解生成物としては、普
通はバニリン酸あるいは4−ビニルグアヤコール、また
はその両方が見られ、通常は4−ビニルグアヤコールの
濃度はバニリンの濃度よりも高い。
【0014】本発明の目的にとって好ましいフェルラ酸
分解微生物は、PseudomonasCoryn ebacteriumTricho
dermaRhodotorula および Aspergillus 属である。最
も好ましい微生物は、Aspergillus nigerRhodotorula
glutinis および Corynebac terium glutamicumであ
る。
【0015】フェルラ酸分解微生物は、続いて行われる
微生物変換工程に適した菌体を得るために、様々な方法
で培養することができる。次の微生物変換工程において
生きた菌体を用いる場合にはすべて、生きた菌体を得ら
れるような条件で培養しなくてはならない。微生物変換
工程に用いることのできる微生物は酵母、細菌、かびな
ど広範囲にわたっているため、培養条件はそれぞれの種
に要求される特定の条件に調製しなければならないが、
このような条件はよく知られており、文献にも記載され
ている。続いて行われる、本発明の微生物変換工程に用
いることのできる菌体を生産するためには、菌体を増殖
させる周知の方法のいずれをも用いることができる。し
かし、純粋培養の技術を用いた水中発酵が好ましい。最
適な結果を得なければならない場合には、微生物変換に
用いられる培養物の増殖段階を制御することが望ましい
ことが見い出されている。例えば、Rhodotorula glutin
isを用いた微生物変換を行う場合には、定常期前期の細
胞(24時間後)を用いることが好ましい。これに対し、
A. nigerを用いる場合には定常期後期の細胞を用いるこ
とが好ましい。続く微生物変換工程において最大のバニ
リン生産を達成するために必要とされる最適な増殖段階
は、もちろん、簡単な試験方法によって決定することが
できる。
【0016】バニリン前駆体としては、本発明において
は、多くのバニリン前駆体を適用することが可能であ
る。これらはすべて4位で置換されたグアヤコールであ
って、次の一般式で表わされる。
【0017】 上記の式において、R基は次の構造からなる(これらに
制限されるものではない)。
【0018】
【表1】 フェルラ酸、オイゲノール、コニフェリルアルコールお
よび4−ビニルグアヤコールは、好ましい前駆体であ
り、特に天然資源から得られたものが好ましい。最も好
ましいものはトランス−フェルラ酸である。天然資源か
ら得られたバニリン前駆体が好ましいが(例えば、穀類
はフェルラ酸分子を豊富に含む資源である)、完全に合
成法を経由して得られた化合物等ももちろん、本発明に
おいて同等に働く。
【0019】メルカプト化合物としては、本発明におい
ては、水に可溶(10mM以上)であって、フェルラ酸分解
微生物に対して毒性がない限り、多数のメルカプト化合
物のいずれをも適用することができる。好ましいもの
は、下記の一般式に示す多価アルコール性メルカプト化
合物であって、 HS−CH2−(CH(OH))n−CH2−SH 式中、nは1から4のいずれかである。したがって、好
ましいメルカプト化合物はジチオールである。最も好ま
しくは、ジチオスレイトール(D,L−スレオ−1,4−ジメ
ルカプト−2,3−ブタンジオール)およびジチオエリス
リトール(D,L−エリスロ−1,4−ジメルカプト−2,3−
ブタンジオール)である。その他の適用可能なメルカプ
ト化合物としては、β−メルカプトエタノール、メルカ
プト酢酸等がある。揮発性のあるもの、不快な匂いのあ
るもの、および微生物変換混合物を食品の香味料として
用いる場合に完全に除去する必要のあるものはあまり好
ましくない。また、イオウを含むアミノ酸、たとえばシ
ステインおよびイオウ含有アミノ酸の誘導体(グルタチ
オン等)等の、一般に微生物によって代謝されるメルカ
プト化合物を用いることもできる。しかし、これらの化
合物は、フェルラ酸分解微生物による分解を最少限にす
るような条件、例えばグルコース等の容易に代謝される
炭素源が微生物変換混合物中に過剰量存在する条件にお
いて用いることが必要である。好ましくは、メルカプト
化合物は微生物変換混合物において約1mMから約100m
M、最も好ましくは約5mMから約20mMの濃度で用いられ
る。
【0020】微生物変換工程を行うためには、バニリン
前駆体とメルカプト化合物を含む水性溶液をフェルラ酸
分解微生物と接触させて微生物変換混合物を形成し、こ
れを前駆体からバニリンへの変換を進めるのに必要なp
H、温度、撹拌の条件下に保つ。微生物変換混合物はさ
らに、微生物の活性を促進するのに必要なその他の物
質、例えば無機塩、緩衝液、補足因子、栄養物質等を含
むことが非常に好ましい。フェルラ酸分解微生物の活性
を維持するための一般的な要求はよく知られている。特
定の微生物の活性を維持するための特定の要求もまた、
文献に記載されているかあるいは熟練した微生物学者が
容易に決定することができる。好ましくは、微生物変換
混合物を形成するために用いられる溶液は、マンデルス
培地またはMCGC培地(下記を参照)等の最少培地
に、バニリン前駆体とメルカプト化合物を添加したもの
である。次に、混合物を、バニリン生成を促進するのに
必要なpHおよび温度に保つ。好ましいpHは約pH3
〜pH7であり、好ましい温度は、約20°C〜40°Cであ
る。さらに、微生物変換混合物にはフェルラ酸分解微生
物にとって同化可能な炭素源、例えばグルコース、ショ
糖、フルクトース、マルトース等が含まれることが非常
に好ましい。微生物変換混合物中に、同化可能な炭素源
を用いることによって、バニリンの収量は実質的に増加
する。最も好ましい炭素源はグルコースである。
【0021】菌体の活性を維持するための条件は微生物
変換工程の間中維持されていなければならないが、活発
な菌体の増殖が起こっている必要はない。実際には、フ
ェルラ酸を分解する菌体は、この工程のための定常状態
にあることが好ましい。微生物変換工程の間に、混合物
において維持されるべき条件を減らすこともまた好まし
い。完全な嫌気的条件が要求されていない場合において
も、特にpHが約6より高い場合には、メルカプト化合
物およびバニリンの酸化を防ぐために、撹拌によって微
生物変換混合物に取り込まれる酸素の量を最少限にする
ことが好ましい。微生物変換工程を不活性ガス存在下、
たとえば窒素ガスシール下において行うことによって酸
素を除去することももちろん可能である。
【0022】多くのバニリン前駆体の示す微生物に対す
る一般的な毒性のため、おそらくは微生物変換混合物中
のバニリン前駆体の濃度を制限する必要がある。したが
って、バニリン前駆体の濃度は微生物変換の工程のどの
時点においても、約0.025%から1.0%の間に制限するこ
とが好ましい。より水溶性が高く毒性の低い前駆体(フ
ェルラ酸等)に比べ、脂溶性となりやすい前駆体(オイ
ゲノール等)の場合には、特にこのことが言える。微生
物変換工程の途中で、前駆体を繰り返し添加し、バニリ
ンに変換された前駆体と置き替えることもできる。同様
にして、メルカプト化合物も、微生物変換工程の途中
で、混合物中に繰り返し添加することができる。
【0023】また本発明においては、バニリンの複合化
剤、吸着剤、抽出剤、および、特にバニリンに高い選択
性を有する試薬を用い、これらを微生物変換混合物に加
えるかあるいは接触させることによって、生成したバニ
リンを除去することが企図される。これらの試薬を用い
ることは、2倍の利益が期待される。すなわち、バニリ
ンの過剰な蓄積の好ましくない効果(バニリンそのもの
がほとんどの微生物にとって毒性がある)を回避し、か
つ、次の変換によってバニリンが不必要な副生成物に分
解されることを回避することが期待される。
【0024】以下の表に、多価アルコール性メルカプト
化合物(ジチオスレイトール)の存在下または存在しな
い条件下で微生物変換を行ったときに観察される一般的
な効果を示す。
【0025】
【表2】 一般に、メルカプト化合物が微生物変換途中のバニリン
蓄積の増加に及ぼす効果は明らかである。
【0026】
【実施例】以下に特定の実施例によって本発明を説明す
る。マンデルス培地(マンデルス(Mandels, M.)および
アンドレオティー(Andreotti, R.E.)、Process Bioche
m.13:6-15, 1978)は、1.5% KH2PO4、0.5% (NH4)2SO2
0.03% CaCl2、5ppm FeSO4・7H2O、1.6ppm MnSO4・7H2O、2
ppm CoCl2、1.4ppm ZnSO4、0.03% 尿素、0.05%MgSO4
および0.2% ペプトンを含む。YNB培地は1l中に、
1.7g イースト・ナイトロジェン・ベース、5g 硫酸アン
モニウム、100μg ビオチンを含み、NaOHを用いてpH7.0
に調整する。MCGC培地は、0.6% Na2HPO4、0.3% KH2
PO4、0.1%NaCl、0.4% (NH4)2SO4、0.1% クエン酸三ナト
リウム、200ppm MgSO4、20ppmFeSO4・H2O、2ppm FeCl3
0.5ppm ZnSO4・7H2O、0.2ppm CuCl2・2H2O、2ppm MnSO4・H
2O、0.1ppm (NH4)6Mo7O24、0.2ppm Na2B4O7・10H2O、38p
pm CaCl2、5ppm チアミンおよび0.5ppm ビオチンを含
む。
【0027】微生物変換混合物のバニリンおよびその他
の芳香族化合物の含有量は、パーキン・エルマー(Perki
n-Elmer)\HS3 C18カラム(Pecosphere 3x8C cartridge,
C18)を用いて逆相HPLCによって分析した。微生物
変換混合物を1mlサンプリングし、遠心分離によって
菌体を除き、上清10μmを分析に用いた。溶出は、10%
〜40%のメタノール(直線勾配)を含む1%酢酸水溶液
によって行った。現れたピークはパーキン・エルマー多
波長検出器(LC95 UV/VIS)を用いて310nmで検出した。
保持時間によって各成分を同定し、精製した標準物質と
比較して定量した。
【0028】以下の実施例においては、次の略号を用い
る。
【0029】 FA フェルラ酸(トランス体) EU オイゲノール DTT ジチオスレイトール DTE ジチオエリスリトール GSH グルタチオン Cys L−システイン (実施例1)この実施例においては、バニリン前駆体を
Pseudomonas putidaの菌体で処理したときの、バニリン
生成の増加に対するメルカプト試薬(ジチオスレイトー
ル)の効果を示す。
【0030】1%のグルコースを含むマンデルス培地50
mlにPseudomonas putida ATCC 55180 を植菌し、回転
振盪培養機で30°Cで16時間培養した。得られた菌体を
遠心分離によって集め、グルコースを含まないマンデル
ス培地10mlに再懸濁した。菌体懸濁液1mlを、9m
lの4種類の反応混合物にそれぞれ加え、表3に示す微
生物変換混合物とした。この混合物を室温(25°C)に
おいて通気せずに培養した。下記に示す時間にバニリン
の濃度を測定した。すべての微生物変換混合物には、添
加された菌体と表3に示す反応物の他、0.1%のグルコ
ースが含まれていた。
【0031】
【表3】 微生物変換混合物中に含まれるジチオスレイトールによ
って、バニリンの濃度はこれを含まない混合物と比べて
実質的に増加したことが明らかである。この効果は特に
バニリン前駆体がフェルラ酸であるときに顕著であっ
た。
【0032】(実施例2)この実施例は、ジチオスレイ
トールの存在下、バニリン前駆体の微生物変換にAsperg
illus niger菌体を用いた場合を示す。1%のグルコー
スを含むマンデルス培地200mlにAspergillus niger A
TCC 11414を植菌し、回転振盪培養機で40時間培養し
た。生成した菌糸を濾過によって集め、滅菌水で洗浄
し、0.1%のグルコース、10mMのDTT、および0.1%のフ
ェルラ酸またはオイゲノールを含む50mlのマンデルス
培地に再懸濁し、2つの微生物変換混合物を調製した。
これらの混合物のpHは5.0であった。
【0033】
【表4】 バニリン濃度は123時間の培養の間中増加し続けた。
【0034】(実施例3)この実施例は、ジチオスレイ
トール存在下、Pseudomonas acidovorans ATCC 15668を
用いたときのバニリン前駆体の微生物変換を示す。
【0035】1%のグルコースを含むマンデルス培地10
0mlにP. acidovoransを白金耳を用いて植菌し、回転
振盪培養機で30°Cで24時間培養した。得られた菌体を
遠心分離で集め、これを用いてマンデルス培地(8m
l)、0.1%グルコース、0.1%FAおよび10mMDTTを含
む第1の微生物変換混合物10mlを調製した。マンデル
ス培地とグルコースの代わりにYNB培地と10mMのコハ
ク酸を含む第2の微生物変換混合物を、同様にして調製
した。これらの混合物を25°Cにおいて通気せずに培養
し、様々な時間にバニリンの濃度を測定した。
【0036】
【表5】 P. acidovoransを用いた微生物変換においては、pH5.
1の条件はpH7.0よりも好ましかった。
【0037】(実施例4)この実施例は、様々なメルカ
プト化合物の存在下で行った、Pseudomonas puti daによ
るフェルラ酸の微生物変換を示す。
【0038】1%のグルコースを含む100mlの新鮮な
YNB培地にPseudomonas putida ATCC 55180を植菌
し、30°C、250rpmで振盪培養した。7時間培養した
後、菌体を集めて1%のグルコースを含む新鮮なYNB
培地200mlに移し、回転振盪培養機で30°Cで一晩培養
した。10,000rpm、10分の遠心分離によって菌体を集
め、これを用いてマンデルス培地、0.1%グルコースお
よび0.1%FAを含む4種類の異なった微生物変換混合
物を10mlずつ調製した。それぞれの混合物には、表6
に示す通り、異なったメルカプト化合物(濃度10mM)が
含まれていた。混合物を様々な時間培養し、バニリン濃
度を測定した。
【0039】
【表6】 この結果、バニリンの生成の促進に対しては、ジチオエ
リスリトールとジチオスレイトールはβ−メルカプトエ
タノールよりはるかに効果的であった。
【0040】(実施例5)この実施例は、ベンチ・スケ
ールのバニリン生成と単離を示す。
【0041】1%のグルコースを含むマンデルス培地20
0mlにAspergillus niger ATCC 11414を植菌し、回転
振盪培養機において30°Cで40時間培養した。この第1
段階の菌糸を単離し、500mlのマンデルス培地(1%
のグルコースを含む)の入った1lのフラスコに植菌
し、第1段階と同じ条件で培養した。第2段階の培養物
を濾過し、マンデルス培地で洗浄して、250mlの菌糸
を得た。洗浄した菌糸、750mlのマンデルス培地、1
gグルコース、1gFA、および10mMの濃度にするのに
十分な量のDTTからなる微生物変換混合物を調製し
た。
【0042】この混合物を30°Cにおいて、最少限の通
気で培養した。培養の間、グルコースとDTTを表7に
示すスケジュールにしたがって添加した。バニリンの濃
度は以下に示すとおりであった。
【0043】
【表7】 336時間後、360mlの微生物変換混合物を120mlの酢
酸エチルで3回抽出し、この抽出物を保存し、45°C、
減圧下において酢酸エチルを蒸発させて固体残渣を得
た。この残渣を10mlの50%エタノールに溶解した。分
析結果によれば、この残渣には22mgのバニリンが含まれ
ていた。残った微生物変換混合物(432時間培養後)も
また同様にして処理し、58mgのバニリンを得た。2つの
残渣から合計して80mgのバニリンが単離された。バニリ
ンの構造は、GC/MSおよびHPLC分析によって確
認した。単離された固体残渣には、バニリンの他に、生
成物の全体的な官能的性質をより好ましいものにするよ
うな、その他の香味成分が含まれていた。
【0044】資格のある調香師の委員団はその生成物
を、滑らかな、甘い、バター様の、カスタードの、焼い
た、ぴりっとしたアンダーノートを有する木の、そして
エッグノッグ・バニラのタイプの香りであると記述し
た。質の高い生成物は乳製品、ケーキ、クッキー、菓子
などの食品に幅広く適用することができる。
【0045】(実施例6)以下の実施例は、酵母を用い
た、フェルラ酸からバニリンへの微生物変換を示す。
【0046】1%のグルコースを含むマンデルス培地20
0mlにRhodotorula glutinis ATCC74056を植菌し、回
転振盪培養機で30°Cで24時間培養した。第2の実験で
は、R hodotorula glutinis ATCC 74056を同様にして240
時間培養した。10,000rpm、10分間の遠心分離によって
細胞を集め、滅菌したマンデルス培地で洗浄した。この
細胞を用いて、細胞、100mlのマンデルス培地、0.1%
のグルコース、0.1%のFA、5mMのDTTからなる微生
物変換混合物を調製した。この微生物変換混合物を通気
せずに30°Cで培養した。24時間後(前期定常期)の細
胞を用いて得られたバニリンの濃度は、190時間培養後
において85μg/mlであり、これは8.5%のフェルラ酸
がバニリンに変換されたことに相当する。一方、240時
間後(後期定常期)の細胞を用いて同じ条件下で得られ
たバニリンの濃度は、45μg/mlでしかなく、このこと
は、Rhodotorula glutinisを用いた場合には、バニリン
生成には前期定常期の細胞の方が優れていることが示さ
れた。DTTを加えずに同等の条件下で行った微生物変
換によっては、バニリンは実質上生成しなかった。
【0047】(実施例7)以下の実施例は、微生物変換
工程の間に、同化可能な炭素源として異なった糖を用い
た実験を示す。
【0048】1%のグルコースを含むマンデルス培地20
0mlにAspergillus niger ATCC 11414の分生胞子を植
菌し、回転振盪培養機で200rpm、30°Cで10日間培養し
た。重力濾過で菌糸を無菌的に集め、グルコースを含ま
ない滅菌マンデルス培地で洗浄した。0.1%のFA、5m
MのDTT、および異なった糖(グルコース、ガラクト
ース、ショ糖、マルトース、ラクトース、セロビオース
等)をそれぞれ0.1%含む15mlのマンデルス培地に等
量の菌糸を再懸濁した。この混合物を25°Cにおいて撹
拌せずに培養し、バニリンを分析した。糖の種類にかか
わらず、すべての混合物は同様に作用し、120時間培養
後には17-21μg/mlのバニリンが得られた。
【0049】(実施例8)以下の実施例は、Corynebact
erium glutamicum菌体を用いたバニリンの微生物生産に
おける、DTTおよびグルコースの効果を示す。
【0050】1%のグルコースを含むMCGC培地(p
H7.0)にCorynebacterium glutami cum ATCC 13032の菌
体を植菌し、30°C、200rpmで5日間振盪培養した。得
られた培養液1lを遠心分離し、菌体ペレットをMCG
C培地に再懸濁し、再び遠心分離して洗浄した。洗浄し
たペレットを、25mlのMCGC培地に再懸濁し、4本
の0.1%FAを含むMCGC培地100mlにそれぞれ6m
lずつ植菌した。
【0051】この微生物変換混合物には、下記の表8に
示すように、さらにDTTおよびグルコースが含まれて
いた。この混合物を25°Cにおいて時々撹拌しながら培
養し、フェルラ酸のバニリンおよびバニリン酸への変換
を分析した。
【0052】
【表8】 評価できる量のバニリンを生産するためには、メルカプ
ト化合物および同化可能な炭素源の存在が必要であるこ
とが示された。
【0053】(実施例9)以下の実施例は、A. niger
体を用いたフェルラ酸の微生物変換によるバニリン生産
に対する、異なるメルカプト化合物の濃度の効果を示
す。
【0054】1%のグルコースを含むマンデルス培地10
0mlの入った250mlのフラスコにAspergillus niger
ATCC 11414を植菌し、30°C、200rpmで6日間振盪培養
した。重力濾過によって菌体を集め、マンデルス培地で
洗浄した。菌体1mlを、0.1%のフェルラ酸、0.1のグ
ルコース、および下記の表9に示す異なった濃度のメル
カプト化合物を含む9mlのマンデルス培地の入ったの
50mlの試験管に加えた。この混合物を25°Cにおいて
時々撹拌しながら培養し、バニリンの生成量を測定し
た。対照としては、メルカプト化合物を除くすべての成
分を含むものを用いた。
【0055】
【表9】 バニリン生成は、DTTを含む微生物変換混合物を用い
て行った場合に最も高かった。生成速度はDTTの濃度
とともに増加した。システインおよびグルタチオン存在
下で行った微生物変換は、これらの化合物が高濃度で存
在し、バニリン濃度が低いときに96時間で最大のバニリ
ン濃度が得られた。すなわち、代謝可能なメルカプト化
合物を用いる場合には、バニリン生成を最大にするため
には変換時間の制御が重要であることが示された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 7/24 C12R 1:40) (C12P 7/24 C12R 1:15) (72)発明者 スティーブン・ケイ・ゴアーズ アメリカ合衆国ニューヨーク州10701,ヨ ンカース,ピューリタン・アベニュー 45 (72)発明者 キャスリン・エイ・コーン アメリカ合衆国ニューヨーク州10520,ク ロトン−オン−ハドソン,ノース・ハイラ ンド・プレース 2

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バニリンを生産する方法であって、バニリ
    ン前駆体の水性溶液を含む微生物変換混合物をメルカプ
    ト化合物の存在下にフェルラ酸分解微生物と接触させ、
    回収可能な量のバニリンを蓄積させることを特徴とする
    方法。
  2. 【請求項2】前記微生物変換混合物が同化可能な炭素源
    をも含む、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】前記同化可能な炭素源が、グルコース、フ
    ルクトース、マルトース、ショ糖およびこれらの組み合
    わせからなる群より選ばれる、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】前記バニリン前駆体が下記の一般式で示さ
    れる、グアヤコールが4位で置換された誘導体である、
    請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】前記バニリン前駆体が、フェルラ酸、オイ
    ゲノール、コニフェリルアルコール、および4−ビニルグ
    アヤコールからなる群より選ばれる、請求項4記載の方
    法。
  6. 【請求項6】前記メルカプト化合物が次の式で表わされ
    る、請求項1記載の方法。 HS−CH2−(CH(OH))N−CH2−SH (式中、Nは1から4の整数である。)
  7. 【請求項7】前記メルカプト化合物がイオウ含有アミノ
    酸もしくはその誘導体である、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】前記メルカプト化合物が、ジチオスレイト
    ール、ジチオエリスリトール、グルタチオン、システイ
    ンおよびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、
    請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】前記フェルラ酸分解微生物が、Pseudomona
    s sp.、Aspergillus sp.、Rhodotor ula sp.および Cory
    nebacterium sp.からなる群より選ばれる、請求項1記
    載の方法。
  10. 【請求項10】前記フェルラ酸分解微生物が、Pseudomo
    nas putidaAspergillus nigerCor ynebacterium glu
    tamicum および Rhodotorula glutinis からなる群より
    選ばれる、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】前記フェルラ酸分解微生物が、Pseudomo
    nas putida ATCC 55180、Aspergillus niger ATCC 1141
    4、Corynebacterium glutamicum ATCC 13032および Rho
    dotoru la glutinis ATCC 74056からなる群より選ばれ
    る、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】前記微生物変換混合物がpH約3〜約7
    および約20°C〜約40°Cに維持されることを特徴とす
    る、請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】前記バニリン前駆体の濃度が約0.025〜
    1.0%である、請求項1記載の方法。
  14. 【請求項14】前記メルカプト化合物の濃度が約1mM〜
    約100mMである、請求項1記載の方法。
  15. 【請求項15】前記メルカプト化合物の濃度が約5mM〜
    約20mMである、請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】請求項1記載の方法によって生産される
    生産物。
  17. 【請求項17】請求項5記載の方法によって生産される
    生産物。
  18. 【請求項18】請求項8記載の方法によって生産される
    生産物。
  19. 【請求項19】請求項11記載の方法によって生産され
    る生産物。
  20. 【請求項20】請求項12記載の方法によって生産され
    る生産物。
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