JPH05223689A - ガス吸い込み渦の発生予測方法及びこれを利用した流体機械の設計支援装置並びに流体機械の制御装置 - Google Patents

ガス吸い込み渦の発生予測方法及びこれを利用した流体機械の設計支援装置並びに流体機械の制御装置

Info

Publication number
JPH05223689A
JPH05223689A JP4029157A JP2915792A JPH05223689A JP H05223689 A JPH05223689 A JP H05223689A JP 4029157 A JP4029157 A JP 4029157A JP 2915792 A JP2915792 A JP 2915792A JP H05223689 A JPH05223689 A JP H05223689A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vortex
gas suction
fluid
generation
predicting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4029157A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryuichiro Iwano
龍一郎 岩野
Hajime Yamamoto
元 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP4029157A priority Critical patent/JPH05223689A/ja
Publication of JPH05223689A publication Critical patent/JPH05223689A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Aerodynamic Tests, Hydrodynamic Tests, Wind Tunnels, And Water Tanks (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】ガス吸い込み渦の発生を予測する手法を提供す
る。 【構成】流体の速度を流体機械内部の複数の位置で求め
る手段と、渦中心近傍の流速分布を内挿して求める手段
と、渦の中心に気柱ができるかどうかを判定する手段
と、気柱が分裂して生じる気泡が流れに連行されるかど
うかを判定する手段とからなるガス吸い込み渦発生の予
測手法を構成する。 【効果】ガス吸い込み渦の発生を予測できる。その結
果、流体機械の設計コスト及び期間を低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガス吸い込み渦の発生を
予測する方法、およびこの方法を用いた流体機械の設計
支援装置、同じくその方法を用いた流体機械の制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自由液面を有する流体機械の設計
においては、それぞれの流体機械に対して模型実験を繰
返し、自由液面から流体中へのガス吸い込み渦が発生し
ないような流体機械の形状に設計されている。例えば、
ポンプの吸い込み水槽の設計における模型実験について
は、日本機械学会基準のポンプの吸込水槽の模型試験法
「JSME S004(1984)」に記載されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、模型
実験のために費用と時間がかかるという問題点がある。
このため、模型実験の一部または全部を代替する方法が
求められている。
【0004】本発明の目的は、ガス吸い込み渦の発生を
予測する方法を提供することにある。本発明の他の目的
は、ガス吸い込み渦の発生を判定する装置、および判定
結果を表示する装置を備えた流体機械の設計支援装置を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】自由液面から流体機械の
吸い込み口に向かう加速流中にできる渦は、伸長渦と呼
ばれる。伸長渦においては、渦の中心部に渦度が集中し
ているため、渦の中心に近づくにつれて急速に旋回流速
が大きくなる。しかし、渦の中心点では流体の粘性のた
め旋回流速はゼロになる。このように伸長渦の主要部分
は渦の中心近傍の狭い領域に限定され、その周りはほと
んど渦度が存在せず、いわゆるポテンシャル流れの領域
とみなすことができる。
【0006】上記のような流れ構造をもった伸長渦に起
因するガス吸い込みにおいては、渦の中心に細長い空洞
ができるという特徴があり、この現象が発生するかどう
かということを判定するためには、渦中心近傍の詳細な
速度分布のデータを必要とする。しかし、例えば詳細な
流速分布を実験的に得ようとすると、高精度の同時多点
計測が必要となりこれを実施することは困難であり、か
つ模型実験を代替するという当初の目的にも適わない。
また、これを流体の数値解析により得ようとすると、細
かい空間精度が必要となるため計算機の記憶容量と計算
速度が不足することが多い。
【0007】そこで、上記の目的を達成するために、流
体の速度を流体機械内部の複数の位置で求める手段と、
渦中心近傍の流速分布を複数の位置で与えられた流速か
ら内挿して求める手段と、渦の中心に気柱ができるかど
うかを判定する手段と、気柱が分裂して生じる気泡が流
れに連行されるかどうかを判定する手段とからなるガス
吸い込み渦発生の予測方法を構成する。
【0008】また、上記の他の目的を達成するために、
渦中心近傍の局所的な流速分布を内挿するアルゴリズ
ム,渦の中心に空洞が生じるかどうかを判定するアルゴ
リズム、および渦の中心に生じた空洞の先端から分裂す
る気泡が、吸い込み口に向かう流れに連行されるかどう
かを判定するアルゴリズムを備えた、ガス吸い込み渦の
発生の判定装置及び、判定結果を表示する表示装置から
なる、流体機械の設計支援装置を構成する。
【0009】
【作用】ガスを吸い込むような渦は、構造物の後流のよ
うな吸い込み口近傍に存在する流れのよどみ領域に小さ
な渦が発生し、この渦が吸い込み口に向かって発達する
ことにより生じる。本発明の作用を説明するために、ま
ずガス吸い込み渦のメカニズムから説明する。なお、以
下に表れる物理量はすべてSI単位系とする。
【0010】流体機械の吸い込み口近傍には、流れの方
向に正の速度勾配が有り、従って引き伸ばされるような
流れ(以下伸長流という)が存在する。伸長流を局所的
に次のような軸対称定常流と近似する。
【0011】円柱座標(r,φ,z)における速度をU
=(u,v,w)とすると、 u=−αr/2 v=0 w=αz α:伸長流の強さを表す正定数(z軸方向の速度勾配) は半径r方向に収縮し、z軸方向に伸長する渦無し流れ
である。図7に、この伸長流を模式的に示す。
【0012】この流れ場中にz方向の回転軸を持った渦
が存在すると、充分時間が経過した後に次のような定常
旋回流と成る。
【0013】v(r)=(Γ/2πr)×{1−exp(−
(r/r02)} r0=2√(ν/α) ν:動粘性係数 Γ:循環(領域内の旋回強度を表す量) このような伸長流中に存在する定常な渦を伸長渦とい
う。ここでr0 は渦の代表的な半径であり、旋回速度v
が最大となる点の半径に比例している。伸長渦の詳細に
ついては例えば、巽友正,流体力学,培風館(198
2)第281頁から第284頁に記載されている。
【0014】たとえば水のように動粘性係数が小さい流
体の場合、渦の半径は一般に非常に小さくなり、渦の最
大旋回速度は大きくなる。このような非常に細い渦(以
下渦糸という)は途中で切れることはなく、環になって
いるか、または境界面(例えば壁面,液面)までつなが
っている。渦糸の強度が強い場合、これが自由液面に達
するとガス吸い込み渦を生ずる。
【0015】本発明においては、この渦糸に沿った各点
で、渦糸の軸方向に垂直な面内の旋回流速を、上記の伸
長流中の旋回流速の理論解を用いて内挿する。即ち、流
体機械内部の複数の位置において与えられた流速のデー
タから、理論解を構成するために必要な物理量を計算
し、これをもとに渦近傍の流速分布を計算する。このよ
うな内挿法により、比較的粗い間隔で与えられた流速デ
ータから渦近傍の局所的な流速分布を予測することがで
きる。従って、例えば各点においてα,Γおよびνを与
えれば、渦中心での圧力降下を計算することができる。
渦中心での圧力降下に水頭圧を加えた静圧が負であれ
ば、その点に気柱が発生する可能性がある。気柱が発生
する可能性がある領域が、液面から連続的に分布してい
れば、気柱が発生する。気柱が液面から流体機械の吸い
込み口にまで達していれば、ガス吸い込みが発生すると
判定できる。
【0016】しかし、気柱が流体機械の吸い込み口にま
で達していない場合でも、気柱が分裂して生じた気泡が
流体中に巻き込まれる場合がある。この現象の支配因子
は、気泡の浮力と気泡に働く流体の抗力である。そこ
で、渦の中心に生じる気泡の大きさを、既知の物理量及
び流体の物性値の関数として表現する。得られた気泡の
大きさを使って、気泡に働く浮力及び気泡に働く抗力を
計算できる。抗力の働く方向を正とした場合、浮力の抗
力方向への分力と抗力との和が正の場合、気泡は連行さ
れる。従って、気柱が発生する点において、その点に生
じる気泡が流れに連行される場合、ガス吸い込みが発生
すると判定できる。
【0017】
【実施例】図1に、ガス吸い込み渦発生の予測のアルゴ
リズム(情報処理手順)の一実施例の概略を示す。
【0018】本実施例では、流体の数値解析により流体
機械内の流速分布を求め、この流速データから渦中心の
位置と渦の軸方向を求める。さらに、各渦中心点におい
て、渦が有する循環量Γと渦の軸方向の速度勾配αを求
める。次にまず、流体の遠心力と水頭圧の釣合いから、
渦中心に気柱が生じるかどうかを判定する。気柱が生じ
ない場合はガス吸い込み渦は発生しない。気柱が生じる
場合には、気柱の先端が流体の吸い込み口まで達するか
どうかを判定する。達する場合にはガス吸い込み渦が発
生する。達しない場合には、さらに、気柱が分裂して生
じる気泡が、流れに連行されるかどうかを判定する。気
泡が連行される場合にはガス吸い込み渦が発生する。以
上のようなアルゴリズムによって、ガス吸い込み渦が発
生するかどうかを判定する。
【0019】本実施例においては、流体の数値解析によ
り流体機械内部の流速の離散データを求めている。流体
の数値解析には様々な手法があるが、発明の本質とは無
関係なので説明は省略する。また、流速の離散データは
実際の測定により得られたものでも構わない。
【0020】一例として、差分法による流体の数値解析
を考えると、例えば図2のような空間配置の流速の離散
データが得られる。図2は、z軸に垂直な断面を示して
いる。流速は、差分メッシュの面心の位置にその面に垂
直な成分が定義されている。渦中心近傍の旋回流速分布
を正しく計算するためには、差分メッシュの間隔をr0
の数分の一以下にすることが必要である。しかし実際は
計算機の容量不足のために、このような細かいメッシュ
で計算することはほとんどの場合不可能である。そこで
本実施例ではでは以下のようにして渦中心近傍の旋回流
速分布を予測する。
【0021】まず、各差分メッシュで変形速度テンソル
を計算する。変形速度テンソルの各成分は、例えば exy=∂v/∂x+∂u/∂y と表されるので、これを差分近似して流速の離散データ
から計算できる。変形速度テンソルの3個の主値と対応
する主方向をそれぞれ2α1,2α2,2α3,t1
2,t3とする。ここで主方向は互いに直交する単位ベ
クトルである。主方向の向きは、その点の流速との内積
が正となる方向に決める。流体の変形は、それぞれの主
値の二分の一の速度勾配による主方向への伸びまたは縮
みにより表される。ここで、軸対称伸長渦のモデルによ
れば、定常な渦が存在し得るのはひとつの主値が正でか
つ他の二つの主値が負のときである。この唯一の正の主
値をα1とすると、t1 が伸長流の伸び方向である。さ
らに、定常な渦の軸が移動しない条件は、その点の速度
ベクトルの方向と渦の軸の方向がほぼ同じことである。
この二つの条件を満たす点及びそこでのt1 を、それぞ
れ渦の中心及び渦の軸方向とみなすことができる。この
部分の詳細アルゴリズムを図3に示す。
【0022】まず、与えられた流速の離散データを使っ
て、差分近似により変形速度テンソルを計算する。次
に、変形速度テンソルの主値及び主方向を計算する。主
値及び主方向は、変形速度テンソルの固有値及び固有ベ
クトルに等しい。次に、主値を二で割ったものを大きい
順に並べ、それぞれα1,α2,α3 とし、対応する主方
向をそれぞれt1,t2,t3 とする。次に、各差分メッ
シュにおいて、伸長流の条件を満たすかどうか判定す
る。伸長流でなければ、渦中心の候補から外す。つぎ
に、伸長流の軸方向が、その点の流れとほぼ並行してい
るかどうかを判定する。判定式は、例えば図中に示した
ような式となる。ただし、主方向の向きは、その点の流
速との内積が正となる方向に決めている。判定式を満た
さなければ、渦中心の候補から外す。判定式を満たした
点は、渦の中心の候補であり、その軸方向はt1 とな
る。本実施例では、主値及び主方向を使って渦の中心及
び渦の軸方向を決定したが、流速の離散データから渦度
を計算し、その絶対値の極大点及び渦度ベクトルの方向
を渦の中心及び渦の軸方向としても良い。但し、この場
合渦の軸方向の速度勾配を計算するときに、変形速度テ
ンソルの主値及び主方向を計算しなくてはならない。
【0023】渦の中心及び渦の軸方向が決定したら、次
にその周りの循環量Γと軸方向の速度勾配αを求める。
軸方向の速度勾配αはα1 である。循環量Γは渦糸周り
の速度の周回積分により次式で表される。
【0024】Γ=∫V・ds V:流速ベクトル ds:線要素ベクトル 従って、流速の離散データを使って、数値的に積分すれ
ば計算できる。周回積分路はできるだけ渦の軸に垂直な
面内にあった方が精度が良いので、軸方向を表す単位ベ
クトルt1 の成分のうち最大の絶対値をもつ方向の座標
軸に垂直な面内で周回積分を実行する。周回積分路の大
きさは、r0 より大きく、他の渦を含まない程度に小さ
くする必要がある。普通r0 は差分メッシュのサイズよ
り十分小さいので、1メッシュないし2メッシュの大き
さの周回積分路で積分すると良い。この部分の詳細アル
ゴリズムを図4に示す。本実施例では、流速の離散デー
タを使って循環Γを計算したが、離散渦法のように循環
Γが直接得られる数値解法においては、この過程を省略
できる。
【0025】次に、得られた循環Γと軸方向の速度勾配
αを使って、渦の中心に気柱が生じるかどうかを判定す
る。気柱が生じるかどうかは、主として流体の遠心力と
水頭圧とのバランスで決まる。渦の中心近傍の旋回流速
を、Γとαで決まる伸長渦の理論解で内挿すると、流体
の遠心力による渦中心での圧力降下Pcは次式で与えら
れる。
【0026】 Pc=−(ρ/1.44)×(Γ/2πr0)2 ρ:流体の密度 従って、渦中心に気柱が生じる必要条件は、水頭圧をP
h、旋回以外の流速成分による動圧による圧力降下をP
dとすると Ph+Pc+Pd<0 Ph=ρ|g|h Pd=ρV2/2 g:重力加速度ベクトル h:その位置の水深 となる。普通は動圧の効果は無視して良い。また本実施
例では、表面張力の効果を無視しているが、その適用範
囲は、 ρ(Γ/2πr02/2≫σ/r0 σ:表面張力 である。渦中心に気柱が生じる必要条件を満たす領域が
液面から連続している場合、その一連の領域には気柱が
生じる。
【0027】本実施例においては、旋回流の理論解を構
成するための物理量としてΓとαを使用したが、伸長渦
では渦中心の渦度ω0との間に Γ=πr0 2ω0 という関係があるのでΓの代わりにω0 を使うこともで
きる。但し、数値的に求めた渦中心の渦度には差分メッ
シュのサイズに対する依存性が大きいため、Γを使うこ
とを推奨する。また、渦中心に気柱が生じる必要条件の
代わりに Ph+Pc+Pd+P0<Pv P0:大気圧 Pv:蒸気圧 とすると水中渦の発生条件として使うことができる。
【0028】次に、生じた気柱が流体の吸い込み口にま
で達するかどうかを判定する。吸い込み口の断面を気柱
が通過するかどうかによって判定できる。また、気柱が
ほぼ垂直にできることがわかっている場合には、気柱が
吸い込み口の水深にまで達するかどうかによって判定す
ることもできる。あるいは、後で述べるような、画像表
示装置上に気柱ができる位置を表示させれば、人間が直
接目視により判定することができる。
【0029】気柱が流体の吸い込み口に達していれば、
ガス吸い込み渦が発生すると判定できるが、気柱が流体
の吸い込み口に達していない場合でも、気柱から分裂し
た気泡が流れに連行されて吸い込み口から吸い込まれる
場合がある。渦中心にある気泡が流れに連行されるかど
うかは、気泡に働く浮力と流体力とのバランスにより判
定できる。気泡が連行される条件式は、 (Fd+Fb)・t1>0 Fd:気泡に働く流体力を表すベクトル Fb:気泡に働く浮力を表すベクトル である。気泡に働く力を求めるためには、気泡の大きさ
Rbが必要である。一般には、RbはΓ,α及び流体の
物性値の関数である。最も簡単に、 Rb=Cr0 のように、気泡の大きさは渦の代表的な半径に比例する
と置くと、 Fd=6πμRbV Fb=4πRb3ρg/3 μ:流体の粘性係数 となる。実験によれば係数Cの値は、0.1≦α≦1,
0.01≦Γ≦0.1 の範囲で0.02≦C≦0.05と
なる。Rbに対してもう少し精度の高い近似を使うと Rb3=8C3π2σr0 4/ρΓ2 となる。この場合の係数Cは、0.1≦α≦1,0.01
≦Γ≦0.1 の範囲で0.08≦C≦0.18となる。
【0030】以上のような実施例によれば、流体機械内
の流速の離散データをもとにガス吸い込みうずの発生予
測手法を提供することができる。
【0031】渦がほぼ鉛直にできることがあらかじめわ
かっている場合には、前記実施例の予測手法を簡略化す
ることができる。
【0032】例えば鉛直上向きにz軸を取れば、渦の中
心位置は速度ベクトルがz軸とほぼ平行な点、あるいは
渦度のz成分の絶対値が極大値を取る点ということにな
る。また、渦の軸方向はz軸方向である。この場合、変
形速度テンソルの計算及びその主値と主方向の計算は省
略できる。さらに、循環はz軸に垂直な面内で周回積分
を取ればよく、また渦の軸方向の速度勾配は流速のz成
分をzで微分したものとなる。
【0033】図5に本発明のガス吸い込み渦の発生予測
手法を利用した流体機械の設計支援装置の実施例を示
す。
【0034】記憶装置4Aには離散点での流速及びその
座標データを記憶する。記憶装置4Bには前記のガス吸
い込み渦の発生予測アルゴリズムを記憶する。記憶装置
4Cには予測結果を記憶する。入力装置1から前記デー
タ,アルゴリズム及びデジタル計算機2への命令を入力
する。表示装置3はガス吸い込み渦の発生予測結果を表
示する。
【0035】入力装置1より予測開始の命令を入力する
と、デジタル計算機2は主記憶上に予測アルゴリズムを
呼出し、このアルゴリズムに従って離散点での流速及び
その座標データをもとに、予測結果を計算する。予測結
果は、例えば各座標において、気柱が生じる条件式に対
する真偽の二値データ、及び気泡が連行される条件式に
対する真偽の二値データ、あるいはこれらの真偽の論理
積をとって得られる最終的なガス吸い込み渦の発生予測
の二値データなどの形で記憶装置4Cに出力される。記
憶装置4Cに出力されたデータは、流体機械の形状と重
ねあわせて三次元表示あるいは任意の断面での二次元表
示が表示装置3上に出力される。また予測結果を、気柱
が生じる条件式で表される渦中心での圧力値,気泡が連
行される条件式で表される気泡に働く力などの、実際の
物理量の形で記憶装置4Cに出力してもよい。この場合
はこれらの物理量の等値面の三次元表示、あるいは任意
の断面での等値線の二次元表示が表示装置3上に出力さ
れる。
【0036】本実施例によれば、従来流体機械の設計に
おいて必要であった模型実験の一部または全部を代替す
ることができる。その結果、流体機械の設計コスト及び
期間を低減できる。
【0037】図6に本発明のガス吸い込み渦の発生予測
手法を利用した流体機械の制御装置の実施例を示す。
【0038】本実施例では、排水機場のポンプの制御を
例に説明する。排水機場では、ポンプの吸い込み水槽5
に流入した水をポンプ6により河川などに排水してい
る。運転中にガス吸い込み渦が発生すると振動や騒音が
発生するため、これを避けるような運転をしなければな
らない。そこで本実施例においては、吸い込み水槽5内
に流速計7及び水位計8を設置し、そこから得られたデ
ータを入力としてガス吸い込み渦の発生予測を行う。ガ
ス吸い込み渦の発生予測を行う判定装置9は、例えば前
記実施例の流体機械の設計支援装置において、記憶装置
4Aからの入力を実測データに置き換えれば実現でき
る。判定装置9には記憶装置4を備え、流体機械の形状
や測定点の座標や流体の物性値を記憶しておく。他の流
体機械に適用する場合にはこの部分のデータのみを入れ
替えればよい。判定結果は回転数制御装置10に送られ
る。ガス吸い込み渦が発生するという判定結果の場合に
は、ポンプ6の回転数を下げる。ガス吸い込み渦が発生
しないという判定結果の場合には、あらかじめ指定した
最高回転数の範囲内でポンプ6の回転数を上げる。ま
た、デジタル計算機による流体の数値解析と組み合わせ
て用いれば、入力データは解析に必要な流入条件及び水
位だけでよいので、流速の測定系を簡略化できる。本実
施例によれば、ガス吸い込み渦の発生を防止した流体機
械の運転制御が可能となる。また、複数のポンプを有す
る流体機械においては、回転数制御装置の代わりに運転
台数制御装置を備えれば、ガス吸い込み渦が発生すると
いう判定結果の場合には、ポンプの運転台数を減らし、
ガス吸い込み渦が発生しないという判定結果の場合に
は、あらかじめ指定した最高運転台数の範囲内でポンプ
の運転台数を増やすことにより、同様の効果を得ること
ができる。
【0039】
【発明の効果】ガス吸い込み渦の発生を予測することが
でき、これにより、模型実験の一部または全部を代替す
ることが可能となる。
【0040】また、他の発明によればガス吸い込み渦の
発生を判定する装置、および判定結果を表示する装置を
備えた流体機械の設計支援装置を実現でき、これによ
り、模型実験の一部または全部を代替することが可能と
なり、流体機械の設計コスト及び期間を低減できる。
【0041】また、更に他の発明によればガス吸い込み
渦の発生を防止した流体機械の運転制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス吸い込み渦発生の予測アルゴリズ
ムの実施例の概略的フローチャート図である。
【図2】本発明の実施例で利用される流速の離散データ
の一例を図示化した図である。
【図3】本発明における渦の中心位置と軸方向を求める
アルゴリズムのフローチャート図である。
【図4】本発明における渦の循環と軸方向の速度勾配を
求めるアルゴリズムのフローチャート図である。
【図5】他の発明による流体機械の設計支援装置の構成
を示すブロック図である。
【図6】更に他の発明による流体機械の制御装置の構成
を示すブロック図である。
【図7】伸長流の模式図である。
【符号の説明】
1…入力装置、2…デジタル計算機、3…表示装置、4
…記憶装置、5…吸い込み水槽、6…ポンプ、7…流速
計、8…水位計、9…判定装置、10…回転数制御装
置。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】自由液面から流体中への渦によるガス吸い
    込み発生の予測方法において、渦中心近傍における渦の
    中心軸に垂直な面内の旋回流れ成分を、渦の中心軸方向
    に引き伸ばされる流れの中における渦流れの理論解の旋
    回流れ成分で近似することを特徴とするガス吸い込み渦
    の発生予測方法。
  2. 【請求項2】自由液面から流体中への渦によるガス吸い
    込み発生の予測方法において、渦の中心軸上に存在する
    気泡の代表的な長さを、渦の旋回流速が最大となる渦の
    中心軸からの距離あるいはこれと比例する距離のいずれ
    かの関数で近似することを特徴とするガス吸い込み渦の
    発生予測方法。
  3. 【請求項3】自由液面から流体中への渦によるガス吸い
    込み発生の予測方法において、渦の中心軸上に存在する
    気泡の代表的な長さを近似するための渦の旋回流速を、
    渦の中心軸方向に引き伸ばされる流れの中における渦流
    れの理論解の旋回流れ成分で近似することを特徴とす
    る、請求項2記載のガス吸い込み渦の発生予測方法。
  4. 【請求項4】自由液面から流体中への渦によるガス吸い
    込み発生の予測方法において、渦の中心に生じた気柱が
    自由液面から流体機械の吸い込み口まで連結したことを
    もって、ガス吸い込み渦が発生したと判定することを特
    徴とする、請求項1記載のガス吸い込み渦の発生予測方
    法。
  5. 【請求項5】自由液面から流体中への渦によるガス吸い
    込み発生の予測方法において、渦の中心に生じた気柱が
    自由液面から流体機械の吸い込み口まで達しない場合で
    も、気柱のいずれかの場所で発生する気泡が流れに引き
    込まれることをもって、ガス吸い込み渦が発生したと判
    定することを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の
    ガス吸い込み渦の発生予測方法。
  6. 【請求項6】自由液面から流体中への渦によるガス吸い
    込み発生の予測方法において、渦の中心軸に垂直な面内
    の旋回流れ成分を近似する渦流れの理論解は、二つの物
    理量と一つの物性値により記述されることを特徴とす
    る、請求項1又は請求項3記載のガス吸い込み渦の発生
    予測方法。
  7. 【請求項7】自由液面から流体中への渦によるガス吸い
    込み発生の予測方法において、渦流れの理論解を記述す
    る二つの物理量と一つの物性値は、渦の軸周りに流速を
    周回積分して得られる循環量と渦の軸方向の速度勾配と
    流体の動粘性係数であることを特徴とする、請求項6記
    載のガス吸い込み渦の発生予測方法。
  8. 【請求項8】自由液面から流体中への渦によるガス吸い
    込み発生の予測方法において、渦流れの理論解を記述す
    る渦の軸周りの循環量と渦の軸方向の速度勾配は、流速
    の離散データから計算したものであることを特徴とす
    る、請求項7記載のガス吸い込み渦の発生予測方法。
  9. 【請求項9】自由液面から流体中への渦によるガス吸い
    込み発生の予測方法において、渦の軸周りの循環量と渦
    の軸方向の速度勾配を計算するための流速の離散データ
    は、流体の数値解析により計算したものであることを特
    徴とする、請求項8記載のガス吸い込み渦の発生予測方
    法。
  10. 【請求項10】自由液面から流体中への渦によるガス吸
    い込み発生の予測方法において、渦の軸周りの循環量と
    渦の軸方向の速度勾配を計算するための流速の離散デー
    タは、実際の流体機械における計測データであることを
    特徴とする、請求項8記載のガス吸い込み渦の発生予測
    方法。
  11. 【請求項11】流体の運動をデジタル計算機を用いて模
    擬する流体機械の設計支援装置において、請求項1又は
    請求項2記載のガス吸い込み渦の発生予測方法を用いた
    ガス吸い込み渦発生の判定アルゴリズムを記憶した記憶
    装置と、このアルゴリズムに従い判定を実行する演算装
    置と、判定結果を表示する表示装置とを有することを特
    徴とする流体機械の設計支援装置。
  12. 【請求項12】単体の流体機械の流量を制御する流体機
    械の制御装置において、請求項10記載のガス吸い込み
    渦の発生予測方法を用いたガス吸い込み渦発生の予測装
    置と、予測結果をもとに流量の制御を行う流量制御装置
    を備えた流体機械の制御装置。
  13. 【請求項13】複数の流体機械の運転台数を制御する流
    体機械の制御装置において、請求項10記載のガス吸い
    込み渦の発生予測方法を用いたガス吸い込み渦発生の予
    測装置と、予測結果をもとに流体機械の運転台数を制御
    する運転台数制御装置を備えた流体機械の制御装置。
JP4029157A 1992-02-17 1992-02-17 ガス吸い込み渦の発生予測方法及びこれを利用した流体機械の設計支援装置並びに流体機械の制御装置 Pending JPH05223689A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4029157A JPH05223689A (ja) 1992-02-17 1992-02-17 ガス吸い込み渦の発生予測方法及びこれを利用した流体機械の設計支援装置並びに流体機械の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4029157A JPH05223689A (ja) 1992-02-17 1992-02-17 ガス吸い込み渦の発生予測方法及びこれを利用した流体機械の設計支援装置並びに流体機械の制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05223689A true JPH05223689A (ja) 1993-08-31

Family

ID=12268430

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4029157A Pending JPH05223689A (ja) 1992-02-17 1992-02-17 ガス吸い込み渦の発生予測方法及びこれを利用した流体機械の設計支援装置並びに流体機械の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05223689A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107870077A (zh) * 2017-06-19 2018-04-03 中国水利水电科学研究院 立轴旋涡试验装置
JP2021032694A (ja) * 2019-08-23 2021-03-01 正裕 岩永 システム、方法およびプログラム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107870077A (zh) * 2017-06-19 2018-04-03 中国水利水电科学研究院 立轴旋涡试验装置
JP2021032694A (ja) * 2019-08-23 2021-03-01 正裕 岩永 システム、方法およびプログラム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Milgram Mean flow in round bubble plumes
Snabre et al. I. Formation and rise of a bubble stream in a viscous liquid
Ohta et al. A computational study of the effect of initial bubble conditions on the motion of a gas bubble rising in viscous liquids
Takemura et al. Drag and lift forces on a bubble rising near a vertical wall in a viscous liquid
Dütsch et al. Low-Reynolds-number flow around an oscillating circular cylinder at low Keulegan–Carpenter numbers
Pesci et al. Computational analysis of single rising bubbles influenced by soluble surfactant
Wilkes et al. Computational and experimental analysis of dynamics of drop formation
Tsuchiya et al. Suspension viscosity and bubble rise velocity in liquid-solid fluidized beds
Moditis et al. Dynamics of a partially confined, discharging, cantilever pipe with reverse external flow
KR100721333B1 (ko) 잉크젯 시뮬레이션용 2차원 중앙 차분법 레벨 세트 투영방법
Troy et al. The instability and breaking of long internal waves
Herrada et al. Liquid flow focused by a gas: jetting, dripping, and recirculation
Coppola‐Owen et al. Improving Eulerian two‐phase flow finite element approximation with discontinuous gradient pressure shape functions
Sridhar et al. Effect of entrained bubbles on the structure of vortex rings
Oey et al. Sensitivity study on interfacial closure laws in two‐fluid bubbly flow simulations
Sobey The occurrence of separation in oscillatory flow
Young et al. Effects of cavitation on periodic wakes behind symmetric wedges
Chomaz et al. Vertical diffusion of the far wake of a sphere moving in a stratified fluid
Fan et al. Complex bubble deformation and break-up dynamics studies using interface capturing approach
CN115544918A (zh) 内外流耦合作用下的开采立管涡激振动特性分析方法
JPH05223689A (ja) ガス吸い込み渦の発生予測方法及びこれを利用した流体機械の設計支援装置並びに流体機械の制御装置
Currie et al. Buoyancy effects in the spinning-drop interfacial tensiometer
Dziedzic et al. An experimental study of viscous vortex rings
Abbassi et al. Study of the rise of a single/multiple bubbles in quiescent liquids using the VOF method
Fořt et al. Flow of liquid in a cylindrical vessel with a turbine impeller and radial baffles