JPH0521550Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は下水道用管渠の方向、勾配、管径の変
化する箇所、段差の生ずる箇所および管渠の合
流、会合する箇所に設けるマンホールの底板ブロ
ツクに関する。

従来の下水道用マンホールは、急速施工のニー
ズなどから現場打設方式からプレキヤスト方式に
移行しつつあるが、従来のプレキヤストマンホー
ルの底板ブロツクの平面積は、直壁などの円筒体
１０の外形平面積Ｅと、ほぼ同じ広さであり安定
性が劣り、既往の地震で浮上して下水道機能を壊
滅させたことがあつた。また施工にあたりマンホ
ールの位置決めが難しいものであつた。

本考案は、プレキヤストマンホールの上下方向
に変位量の減少と、施工を容易にするため次のよ
うな手段を採る。

板状体の延長方向長さをマンホール円筒体１０
の外径より大きくし、土圧の鉛直力Ｐが作用でき
る面積｛B1＊B2−（円筒体の外形平面積）｝を確
保して、受圧部とするとともに、該板状体の上に
組み立てられる円筒体の中心位置から、分度盤状
主刻線Ｌを縦横に欠刻形成し、その交差点をマン
ホールのセンターマーク１とする。

しかし受圧部４を下水道管路と直角方向に拡大
すると、掘削土量が増えて不経済となるので下水
道の管路方向に拡大する。

流出管側の中心線方向を０度として、180度方
向である分度盤状主刻線Ｌと、90度方向の分度盤
状主刻線Ｌとの交点をセンターマーク１とする。
センターマーク１を原点として、右回りに90度か
ら270度までの180度の範囲には、細分された分度
盤状補助線ｌを設ける。

例えば、第１図のセンターマーク１の左側が０
度、上側が90度、右側が180度、下側が270度のよ
うに考える。

分度盤状主刻線Ｌは、薄肉部ｔに明瞭に欠刻形
成するが、分度盤状補助線ｌは、欠刻形成もしく
は、ペンキなどで表示する。

次に本考案の実施の一例を第１図、第３図、第
５図などで説明する。

第５図では、クラツシヤランなどの基礎材８を
転圧した上に、第１図の組立マンホール用底板ブ
ロツクＢを吊り降ろし、設計図書で示されるマン
ホールの中心点に下げ振り７を降ろし、センター
マーク１と合致するごとく設置する。この作業で
マンホール位置決めができる。このとき流出管接
合方向を分度盤状主刻線Ｌの０度に合わせる。

一方、流入管の方向は、施工現場によつて千差
万別であるが、大体90度〜270度の範囲にある分
度盤状補助線ｌから外れることがないので、全く
十分である。施工現場で流入管接合用の削孔をす
る場合には、組立マンホール用底板ブロツクＢの
設置によつて、開口すべき方向が一目瞭然に判る
ので、地上に居る開孔作業員に何何度方向と明確
に指示することができ、適確な方向に流入管用の
削孔ができる。すなわち、次に組み立てを行う円
筒体１０の削孔位置を正確に求めることができ、
素早く削孔作業ができ、第３図のごとく構築を進
行できる。

連結用プレートでマンホールの上下部材を接合
する場合に埋込みナツト２を用いる。

設計図書に基ずいて、流入管用の削孔を工場で
行つておいても、施工現場でうまく流入管と合致
する「筈」であるが、流入管用の削孔作業は施工
現場で行うのが最も確実性・信頼性が高いもので
ある。

本考案は上述のように、プレキヤストマンホー
ルの上下方向に変位量の減少目的があるので、第
３図および第４図の組立てマンホールの底板上の
高さＨ＝1m分の単位容積量を、１ユニツトと考
えて略算し比較する。

例えば、土の単位容積重量w1＝1.8t／m2、コ
ンクリート単位容積重量w2＝2.3t／m2、内径Ｄ
＝0.9m、壁厚ｄ＝0.1mとすれば、 円筒体の平面積Ｅ＝π｛（Ｄ＋2d）÷２｝＾２式
から、Ｅ＝0.95m2となる。

円筒体のコンクリート重量Ｆ＝π［｛（Ｄ＋2d）
÷２｝＾２−（Ｄ÷２）＾２］＊w21式から、Ｆ
＝0.722トン／ｍとなる。

それで、第４図に示す従来のマンホールの１ユ
ニツトの単位容積重量Ｇ１は、底板上に主要受圧
部４が無く、土砂１２の鉛直土圧を受けられない
ので、G1＝Ｆ÷Ｅ≒0.76トン／m3となり水より
軽くなり浮上の危険性を抱えている。

一方、本考案の場合では、第３図で底板の延長
B1＝1.5m、凸縁３のＢ２方向の幅を無視すれば、
底板の幅B2＝［｛Ｄ＋2d｝＝1.1m］となり、底板面
積Ａ＝｛Ｄ＋2d｝＊B1式から、Ａは1.65m2とな
る。

土圧の鉛直力Ｐ＝｛Ａ−Ｅ｝＊W1式から、Ｐ＝
1.26トン／ｍ程度が得られ、単位容積重量G2＝
｛Ｆ＋Ｐ｝÷Ａ式から、G2≒1.2トン／m3となるの
で、水位が高くてもマンホールが浮くようなこと
は無い。

このように円筒体１ユニツトの単位容積量を増
大することができ、1.0以上となるので浮上し難
くなり、地震時の地盤の液状化に対して安定性を
著しく向上できる。

底板面積の増大は、トラツク荷重などによる底
板反力の増加分の減少となり、その反力の減少が
沈下量（≒変位量）の減少につながり、延いては
接合した管の繰り返し疲労を減少する。このよう
な接合管の保護作用は、管の折損・接合部での漏
水などの事故防止効果となる。

本考案は上述のように、施工を容易にする目的
もあるが、第５図に示すように、底板センターマ
ーク１を明示してあるから、設計図に示す位置に
正確に、速く設置することができ、施工にあたり
難しいとされていた位置決めが簡単・容易にでき
る。

なお、分度盤状補助線ｌを流入管側の必要な範
囲に明示してあるから、流入管用の削孔位置を容
易・正確に特定できるので、削孔作業がスムース
となり、マンホール構築の急速化ができる。本考
案は、以上に述べたような組立マンホール用底板
ブロツク。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の平面図。第２図は第１図のＣ
−Ｃ断面を表し、矢印は流水方向とする。第３図
は本考案の組立マンホール用底板ブロツクを用い
て構築した組立マンホールの側面の略図。第４図
は従来の底板ブロツクを用いて構築した組立マン
ホールの側面の略図。第５図は本考案の組立マン
ホール用底板ブロツクを設置中の図面である。 １……センターマーク、２……埋込みナツト、
３……凸縁、４……主要受圧部、５……地表、６
……矢板、７……下げ振り、８……基礎材、９…
…斜壁ブロツク、１０……円筒体、１１……管、
１２……土砂、Ｂ……本考案の組立マンホール用
底板ブロツク、Ｂ１……延長、Ｂ２……幅、Ｄ…
…円筒体の内径、ｄ……円筒体の壁厚、Ｈ……単
位高さ、Ｐ……土圧の鉛直力、Ｌ……分度盤状主
刻線、ｌ……分度盤状補助線、ｔ……薄肉部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. マンホール円筒体１０の外径より大きい長さＢ
   １を有する板状体において、板状体の平面積から
   マンホール円筒体１０の外径平面積を差し引いた
   残りの部分を受圧部とするとともに、該板状体の
   中央部に分度盤状主刻線Ｌを縦横に欠刻形成し、
   その交差点をマンホールのセンターマーク１とす
   る組立マンホール用底板ブロツク。