JPH0517414B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は新規な緩衝器、詳しくは新規なガス
クツシヨン緩衝器と、その部品、並びにそれらを
製造する新規な方法に関する。

周知のとおり、自動車、航空機などで一般に使
用されるシヨツクアブソーバないし緩衝器はリザ
ーバ内で操作する液圧シリンダ、ピストン、並び
にシリンダとリザーバとの間の液圧流体の流れを
制御するための弁を含んでいる。これに加え、密
閉ガス充填クツシヨンをリザーバ内に設けて液体
の満ちていないスペースを占めさせ、ガスないし
空気が液圧流体と混合し、緩衝器の適正な操作を
阻害する可能性があれば、それを最少限にし、か
つ、延長部内の伸張またはピストン棒の金属量に
調和させて来た。従来提案されて来たこのような
ガスクツシヨン式緩衝器の生産にはいろいろな問
題がある。というのはガスを充填した袋はリザー
バの内部およびシリンダの周囲の限定されたスペ
ース内での取扱いおよび組立てがむづかしいから
である。

この発明の目的は容易に、かつ経済的に生産し
得るように構成された新規な緩衝器およびその新
規な製造方法を提供することである。

この発明のもう１つの特定目的は上記の型の新
規な緩衝器およびその製造方法において、袋を含
むクツシヨンが、組立てを容易にするために、膨
張前にリザーバ内に組込んだ新規な緩衝器と、そ
の製造方法を提供することである。

この発明のもう１つの目的は最初に膨張させて
ない袋と、緩衝器の内部に組込んだ後にその袋を
膨張させるための装置とを含む緩衝器のための新
規なガスクツシヨン構造を提供することである。

この発明の更にもう１つ特定の目的は袋が最初
には膨張してない状態で密閉され、緩衝器の内部
に組込まれた後にその袋を膨張させるためのガス
を与えるよう活性化可能の物質または装置がその
袋に容れてある上記の型の新規なガスクツシヨン
を提供することである。

この発明によれば、破断可能な包装内に容れた
気化可能物質を、プラスチツクなどの可撓性の袋
内に入れた後に袋を密閉する。次いで、この密閉
された膨張させてない袋を、緩衝器のリザーバ内
に組入れる。気化可能物質を含む包装は、加熱さ
れると活性化し、充分なガスを発生して袋を所望
の超気圧へと膨張させる。

この発明のその他の目的および利点は以下の説
明から明らかとなる。

第１図、第２図にはこの発明の特性を組込んだ
ガスクツシヨン緩衝器１０が示してある。この緩
衝器は液圧流体用のリザーバ１２、前記リザーバ
内に取付けたシリンダ１４、前記シリンダ内で相
対的に滑動可能なピストン１６を含む。シリンダ
には弁１８が設けてあつて、装置の操作中におけ
るシリンダとリザーバとの間の流体の流れを制御
する。緩衝器の前記の諸要素、および操作方法は
すべて周知なので、これ以上の説明は省略する。

緩衝器１０はまた、この発明によつて構成した
ガスクツシヨン２０も含んでいる。第３図、第４
図に示すとおり、クツシヨン２０は緩衝器の平常
の操作のさいに、破断または漏洩から袋を防護す
べく充分に厚い、好ましくは強靭な弾性プラスチ
ツク材から成る密閉袋２２を含んでいる。例えば
袋２２は厚さ0.0762mm（３ミル）のナイロンシー
ト材から作ることができる。図示のとおり、袋２
２は膨張していない状態では相接して離れている
か、またはほゞ一緒になつている対向側部または
シート２４と２６を含んでいる。図示の実施例で
はこれらのシートはヒートシール縁２８，３０，
３２，３４で接合し、密閉されている。

第４図に示すとおり、袋は膨張してないときは
扁平で、そこに空隙があれば、そこは平常の気圧
になつている。しかし、この発明によれば、クツ
シヨン２０は更に、袋を密閉する以前に、袋２２
内に入れておく装置３６を含んでいる。装置３６
は以下くわしく説明するとおり、気化させるため
の物質４０を容れておく小さな容器ないし袋３８
を含んでいる。

この発明の一実施例として気化装置は例えば厚
さ0.0127mm（２分の１ミル）のポリエチレンシー
トのような、比較的薄い破断可能な材料からなる
容器ないし袋３８を有する。一例として気化物質
４０は加熱すると炭酸ガスを発生するイーストと
グルコースと水の混合物を含む。

この発明のもう１つの形式においては、気化物
質４０は所定量の炭酸アンモニウムと、同等量の
硫酸銅を含む。例えば前記容器は各々１グラムの
これらの配合材を含んでいてよい。前項に述べた
これらの化学薬品と混合物は熱すると充分なガス
を発生して容器ないし袋３８を破断し、所望の高
圧まで袋２２を膨張させて、所望のクツシヨン機
能をもたらすようなものである。

イーストとグルコースと水の混合物からの炭酸
ガスの発生はその混合物を少なくとも40.6℃
（105〓）まで加熱することで行われ、硫酸銅と炭
酸アンモニウム混合物は少なくとも65.6℃（150
〓）まで加熱することによつて達成される。好ま
しくはその物質の加熱は以下に詳述するこの発明
の方法によつて達成する。

第６図はこの発明の変更実施例を組入れたガス
発生装置３６ａが示してある。装置３６ａは上記
装置３６と類似している。前に説明した装置３６
の代りにクツシヨン袋２２内で装置３６ａを代用
させ得ることはもちろん理解されよう。

この実施例は装置３６ａの袋３８ａの内部が両
面粘着テープ４６のようなはく離可能な装置で複
数の仕切室４２，４４に分割されている点で異な
る。また、気化剤は袋の仕切室４２内に密閉され
た第１化学薬品と、前記第１化学薬品と通常反応
性を持ち、かつ前記袋の仕切室４４内に密封され
た第２化学薬品とを含むよう意図してある。例え
ば袋３８ａの端部または仕切室４２内に重炭酸ナ
トリウム（NaHCO₃）を入れ、かつ前記袋の逆
の端部ないし仕切室４４内には硫酸のような適当
な酸を入れてよい。粘着テープ４６の接着剤は、
例えば、60〜65.6℃（140〜150〓）の温度ではく
離するように製剤して置く。袋が熱せられ、テー
プがはく離すると酸と重炭酸ナトリウムが混合し
て充分な炭酸ガスを発生し、袋３８ａを破つて、
クツシヨンの袋２２を膨張させる。

第７図には、この発明の特性を組入れたガス発
生装置３６ｂの更にもう１つの実施例が示してあ
る。装置３６ｂは上記ガスクツシヨン組立体にお
ける装置３６と代用でき、かつ、前述の諸要素に
対応する前記装置の諸要素はｂを付した同じ参照
符号によつて示してあることもまた理解されるべ
きである。この実施例では容器または袋３８ｂは
暗色または黒色の熱吸収点４８を備えている。例
えば、厚さ0.0254mm又は0.0508mm（１ミル又は２
ミル）のポリエチレン材から形成できる袋は、上
記の化学薬品、または単に炭酸アンモニウムのよ
うな化学薬品から成つていてよい気化物質４０ｂ
を含んでいる。その化学薬品は約20℃で昇華し始
め、水（H₂O）とアンモニアガス（NH₃）と二
酸化炭素（CO₂）になる。

生産工程において、クツシヨン袋に赤外線を照
射すると黒点４８が充分な熱を吸収し、ポリエチ
レン材を溶解させて空気穴をつくり、袋３８ｂか
らガスを逃がす。

この発明ではクツシヨンの袋２２内に、袋を膨
張させるための二酸化炭素（CO₂）とアンモニア
ガス（NH₃）を残して水蒸気を吸収する装置を
設けることが好ましい。これは、例えば硫酸銅の
テープでよいが、便宜上これを第４図で要素５０
として示した。

第８図は対応要素にｃを付した同じ符号を用い
て示したこの発明のもう１つの変更形式を組入れ
たガスクツシヨン２０ｃを示す。この実施例では
六フツ化イオウ（SF₆）のような適当なガスと、
更にまた熱するとガスを発生させる炭酸アンモニ
ウムのような化学薬品とを袋２２ｃに最初部分的
に充填して置く。次いで数の縦と横の線６０，６
２沿いにヒートシールなどを施し、その間に３８
ｃで示した部分的に膨張させた多数の個々の升目
状の小ポケツトを形成する。この緩衝器の最終工
程のさいにクツシヨンを下記の方法で熱すると、
これらのポケツト内の化学薬品が気化して袋を膨
張させる。

この発明の方法によれば、緩衝器１０を次の方
法で生産する。シリンダ１４、ピストン１６、弁
１８を含む緩衝器の基本的部品を周知の方法で金
属などにより作つて、当初は開放端部を有するリ
ザーバ１２と共に組立てる。次いで、膨張させて
ないクツシヨン２０をシリンダ１４のまわりのリ
ザーバ内に挿入した後、リザーバに液圧流体を満
たし、端部をリザーバ１２のボデーへ溶接する
か、または他の方法で固着する。前に示したとお
り、クツシヨンの袋２２はほゞ平らであつてよ
く、完全に膨張してない。しかし、もし必要なら
ば、袋２２はガス発生装置３６と六フツ化イオウ
のような標準ガスを用い、または上記のその他の
変更装置により部分的に膨張させて、緩衝器内に
袋を組込んだ後に膨張を完了させる。

第５図を参照すると、緩衝器は前述の部品の組
立の完了後、噴霧器５４のような適当な装置によ
り作業場所５２でペンキなどの塗装を行うことが
わかる。塗装した緩衝器は次いで作業場所５６へ
移し、こゝで炉内か、または放射加熱器５８のよ
うな適当な加熱装置により加熱する。緩衝器の加
熱温度は外通に塗着したペンキを焼付けるのに充
分なものとある。同時に、この温度によりクツシ
ヨン袋２２内でガス発生装置は活性化し、所望の
圧力まで袋を完全に膨張させる。換言すればいろ
いろなガス発生装置に付いて前述した温度まで加
熱し、それぞれの装置を活性化させればよい。

以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、
本発明はこの実施例に限定されず特許請求の範囲
に記載した技術思想に則り設計を種々に変更して
実施することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例の緩衝器の部分切
欠斜視図、第２図は第１図の２−２線での断面
図、第３図は同上の緩衝器に入る前の、気化物質
の容器が容れてある袋を含む膨張させてないガス
クツシヨンの平面図、第４図は第３図の４−４線
での断面図、第５図はこの発明による緩衝器の製
造方法の一部を示す説明図、第６図と第７図はこ
の発明の気化物質容器の夫々他の一例を示す平面
図、第８図はこの発明のガスクツシヨンの他の一
例を示す平面図で、図中、１２はリザーバ、１４
シリンダ、１６はピストン、１８は弁、２０はガ
スクツシヨン、２２は密閉袋を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 液圧流体リザーバと、前記リザーバと共に組
   立てたシリンダおよびピストン装置と、前記シリ
   ンダと前記リザーバとの間の液圧流体の流れを制
   御するための弁装置と、前記リザーバ内で前記リ
   ザーバを部分的に満たすガスクツシヨン装置とを
   含み、前記ガスクツシヨン装置は密閉袋と、前記
   袋内にあつて前記袋を所望の超気圧まで膨張させ
   るために、前記袋内でガスを発生させる活性化可
   能な気化装置とを含むガスクツシヨン緩衝器。 ２ 特許請求の範囲１のガスクツシヨン緩衝器に
   おいて、前記気化装置は熱で活性化可能であるガ
   スクツシヨン緩衝器。 ３ 特許請求の範囲２のガスクツシヨン緩衝器に
   おいて、前記気化装置は加熱させられると二酸化
   炭素を発生するイースト、グルコース、水の混合
   物を含むガスクツシヨン緩衝器。 ４ 特許請求の範囲２のガスクツシヨン緩衝器に
   おいて、前記気化装置は加熱されると、ガスを発
   生させるよう昇華する炭酸アンモニウムを含むガ
   スクツシヨン緩衝器。 ５ 特許請求の範囲４のガスクツシヨン緩衝器に
   おいて、前記気化装置は前記炭酸アンモニウムと
   共に硫酸銅を含むガスクツシヨン緩衝器。 ６ 特許請求の範囲２のガスクツシヨン緩衝器に
   おいて、前記気化装置は重炭酸ナトリウムと、前
   記重炭酸ナトリウムと反応する酸、並びに加熱さ
   れるまで前記重炭酸ナトリウムと、前記酸を分離
   して維持するための熱で開放される装置を含むガ
   スクツシヨン緩衝器。 ７ 少なくとも部分的に膨張させてない密閉した
   袋と、前記袋を密閉した後に、前記袋内でガスを
   発生させて、前記袋を所望の超気圧まで膨張させ
   るための、活性化可能な気化剤を含む前記袋内の
   ガス発生装置を含む記述の型のガスクツシヨン。 ８ 特許請求の範囲７のガスクツシヨンにおい
   て、前記ガス発生装置は熱で活性化可能であるガ
   スクツシヨン。 ９ 特許請求の範囲８のガスクツシヨンにおい
   て、前記ガス発生装置は前記袋内に容器を含み、
   前記気化剤が前記容器内に配置してあり、かつ前
   記容器は前記気化剤がガスを発生するさいに破断
   可能で、ガスを逃がして前記袋を膨張させること
   ができるようになつているガスクツシヨン。 １０ 特許請求の範囲９のガスクツシヨンにおい
   て、前記気化剤はイースト、グルコースおよび水
   の混合物を含むガスクツシヨン。 １１ 特許請求の範囲９のガスクツシヨンにおい
   て、前記容器は複数の別々のポケツトと、前記ポ
   ケツトを相互に分離する熱で開放可能な密閉装置
   とを含み、かつ、前記気化剤は前記ポケツト内に
   それぞれ別々に配置してあつて、前記ガスを発生
   させるべく前記密閉装置を開放すると、一斉に反
   応し得る種々の化学薬品を含むガスクツシヨン。 １２ 特許請求の範囲８のガスクツシヨンにおい
   て、前記気化剤は、炭酸アンモニウムを含むガス
   クツシヨン。 １３ 特許請求の範囲１２のガスクツシヨンにお
   いて、前記気化剤は硫酸銅を含むガスクツシヨ
   ン。 １４ 特許請求の範囲９のガスクツシヨンにおい
   て、前記容器は発生したガスを容れるには不充分
   の容積を有し、発生したガスは前記容器を破つて
   前記袋内に漏出するようになつているガスクツシ
   ヨン。 １５ 特許請求の範囲９のガスクツシヨンにおい
   て、前記容器は溶融可能な材料から形成され、前
   記容器の残り部分に先立つて溶融して前記ガスの
   ための通気穴となるための熱吸収領域を含むガス
   クツシヨン。 １６ 特許請求の範囲８のガスクツシヨンにおい
   て、前記袋は内部を複数の別々の分離したポケツ
   トに分離させる複数の十字形交差シールを含み、
   前記気化剤は複数の前記ポケツト内に配置してあ
   るガスクツシヨン。 １７ 特許請求の範囲７のガスクツシヨンであつ
   て、前記気化剤に加えて、前記気化剤を活性化さ
   せる前に、前記袋を部分的にのみ膨張させるた
   め、前記袋内にガスを含むガスクツシヨン。 １８ シリンダと、前記シリンダ内に組込んだピ
   ストン装置とを有する液圧流体リザーバを設け、
   少なくとも一部分膨張させてない密閉袋と、前記
   袋内の熱活性化可能なガス発生装置とを含み、か
   つ、前記袋内でガスを発生させて前記袋を所望の
   超気圧まで膨張させるために充分な気化剤を含む
   ガスクツシヨンを前記リザーバ内へ挿入し、液圧
   流体をもつて前記リザーバを満たし、次いで、前
   記緩衝器を加熱し、前記ガス発生装置を活性化さ
   せて前記袋を膨張させることを含むガスクツシヨ
   ン緩衝器の製造方法。 １９ 特許請求の範囲１８のであつて、加熱工程
   に先立つて、前記緩衝器にペンキ塗装する工程
   と、前記ペンキの焼付とともに、前記ガス発生装
   置を活性化させるために前記加熱工程を用いるこ
   とを含むガスクツシヨン緩衝器の製造方法。