JPH05172810A - 染色体異常検出装置 - Google Patents

染色体異常検出装置

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JPH05172810A
JPH05172810A JP3164934A JP16493491A JPH05172810A JP H05172810 A JPH05172810 A JP H05172810A JP 3164934 A JP3164934 A JP 3164934A JP 16493491 A JP16493491 A JP 16493491A JP H05172810 A JPH05172810 A JP H05172810A
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JP
Japan
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chromosome
image
abnormality
membership function
shape recognition
Prior art date
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Pending
Application number
JP3164934A
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English (en)
Inventor
Isamu Hayata
勇 早田
Mikio Yamamoto
幹男 山本
Shinichi Furuta
伸一 古田
Hiroyuki Abe
啓之 阿部
Misuzu Tsunoda
みすず 角田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KAGAKU GIJUTSUCHO HOSHASEN IGA
KAGAKU GIJUTSUCHO HOSHASEN IGAKU SOGO KENKYUSHO
Nikon Corp
Original Assignee
KAGAKU GIJUTSUCHO HOSHASEN IGA
KAGAKU GIJUTSUCHO HOSHASEN IGAKU SOGO KENKYUSHO
Nikon Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 染色体異常の判定を自動的にかつ熟練観察者
に近い正確さで行いうる染色体異常の検出装置を提供す
る。 【構成】 本発明の染色体異常検出装置では、撮像手段
bが染色体標本の顕微鏡像aを撮像し、これを画像デー
タとして取り込む。パラメータ算出手段cは、この画像
データから染色体形状認識パラメータを算出する。一
方、メンバーシップ関数設定手段dは、この染色体形状
認識パラメータのファジイ集合のメンバーシップ関数を
予め設定し、ルール設定手段eは、染色体異常判定ルー
ルを予め設定する。そして、検出手段fは、染色体形状
認識パラメータおよびメンバーシップ関数から、ルール
に基づいてファジイ推論を行うことにより、画像内の染
色体異常に関する情報を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、放射線被曝等により生
ずる染色体異常を自動的に検出することの可能な装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】染色体に放射線が照射されるとその部分
で染色体は切断されるが、染色体自体が自己修復機能を
有しているため、切断された染色体はその後元の形状に
復帰する。しかしながら、切断された2本の染色体どう
しが接合修復される際に、これらが誤って接合される
と、染色体は元の形状に復活せず、染色体異常が生ず
る。
【0003】図13〜図18は、染色体異常が生ずる過
程を説明するための図である。これらの図において、1
は染色体であり、この染色体1は動原体3と腕2とから
なる。
【0004】図13(イ)に示すように、染色体1は分
裂間期の通常のリンパ球内においては、二重らせん構造
を持つ一本の糸状になっている。ところが、分裂中期に
おいては、二重らせんのそれぞれが倍化して(図13
(ロ))、さらにこれが折りたたまれて図13(ハ)に
示すようなX字形やV字形になる。
【0005】たとえば、図14および図15に示すよう
に、通常の間期にあるリンパ球に放射線が照射され、染
色体1に放射線4が照射される(図14(b)、図15
(b))と、腕2が切断される(図14(c)、図15
(c))。多くの場合、切断された箇所同志は再接続さ
れる。しかしながら、染色体同志が誤って接続されてし
まうこともある(図14(d)、図15(d))。図1
4(e)、図15(e)は、図14(d)、図15
(d)のように誤って接続されたものが倍化した状態で
あり、図16(a),(b)は、図14(e)、図15
(e)のそれぞれに対応する中期での表現形態を示す。
【0006】今、図17(イ)に示すように、動原体3
を中部に持つ染色体aとbに放射線4が照射され、図1
7(ロ)のように切断されたとする。図17(ロ)に示
すように、切断された後の各部分をa1,a2,b1,
b2とする。図17(ロ)は正常に再接続された場合を
示している。図18(イ)は、a1,a2,b1,b2
が切断されたまま再接続されなかった場合、図18
(ロ),(ハ)は誤って接続された場合を示している。
【0007】図16および図18は、いずれも染色体異
常を生じた例であり、図16(a)、図18(ハ)のよ
うに、動原体を2つ有するものをダイセントリック、動
原体を有しないものをフラグメントと称する。図16
(b)のように、動原体を有する環状の染色体をセント
リックリングという。また、誤って図18(ロ)のよう
に接続される異常を転座という。
【0008】このような放射線による染色体異常の出現
頻度と放射線の被曝量は線形関係にあることから、この
染色体異常の出現頻度は被曝線量推定の指標として利用
されている。特に、染色体異常自体は放射線被曝線量を
推定するには最も鋭敏な生物指標であり、広島・長崎の
一部の原爆被爆者に対する被曝線量推定等にも用いられ
ている。
【0009】従来、染色体異常の検出は、熟練した観察
者が被検者の培養血液の染色体標本を顕微鏡下で分析
し、形状異常を有する染色体の個数を計数することによ
り行われていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図13
に示すような染色体異常の出現頻度は通常の成人の場合
において1,000細胞に1個程度の割合で出現する。被曝
線量が低くなるに連れて染色体異常の出現頻度は低くな
るため、低線量被曝の場合に統計的に有意な値を得るた
めには数千から数万細胞の観察、分析が必要となる。
【0011】ところが、観察者が1日に分析しうる細胞
数は200〜250個程度が限界であり、これ以上の個数を観
察、分析した場合には疲労による染色体異常の見落しの
可能性が高くなるといわれている。従って、集団検診等
による大量の染色体標本を迅速に分析するためには多大
な時間を要し、事実上不可能に近い、という問題があっ
た。
【0012】また、許容範囲内の個数の分析であって
も、見落しなく全ての染色体異常を検出するためには相
当の技術と経験が必要であり、技量自体が観察者の能力
に左右されるため、観察者間や研究室間での異常検出率
が必ずしも一定にならない、という問題もあった。
【0013】このような問題に鑑み、近年、染色体異常
の自動検出を行う技術が提案されている(例えばJ. Pip
er, et. al., Pattern Recognition and Artifical Int
elligence, pp.449〜460 (1988) および本文献の参考文
献参照)。Piper等はいわゆるエキスパートシステムに
観察者の染色体異常の判断手法(ルール)を入力し、こ
のルールに基づいて染色体異常を自動的に分析した。し
かしながら、顕微鏡下における染色体標本の画像は必ず
しも鮮明ではなく、しかも染色体の形状も顕微鏡下にお
いて千差万別であるため、エキスパートシステムによる
染色体異常の判定に必要なパラメータが全て得られると
は限らない。しかも、観察者は染色体標本の画像を総合
的に観察して染色体異常を判定しているのであり、エキ
スパートシステムの結果が必ずしも観察者の判定結果と
一致するとは限らない。以上のことから、エキスパート
システムによる検出装置であっても現実の適用が困難で
あるという問題があった。
【0014】本発明の目的は、染色体異常の判定を自動
的にかつ熟練観察者に近い正確さで行いうる染色体異常
の検出装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】クレーム対応図である図
1に対応付けて説明すると、請求項1の発明に係る染色
体異常検出装置は、染色体標本の顕微鏡像aを画像とし
て入力する撮像手段bと、この画像に基づいて染色体形
状認識パラメータを算出するパラメータ算出手段cと、
前記染色体形状認識パラメータのファジイ集合のメンバ
ーシップ関数を予め設定するメンバーシップ関数設定手
段dと、染色体異常判定ルールを予め設定するルール設
定手段eと、前記染色体形状認識パラメータおよびメン
バーシップ関数から、前記ルールに基づいてファジイ推
論を行うことにより、前記画像内の染色体異常に関する
情報を検出する検出手段fとを備え、これにより上述の
目的を達成している。また、請求項2の発明は、請求項
1に記載の染色体異常検出装置において、前記染色体形
状認識パラメータを、染色体の面積と、染色体の円形度
と、同一染色体内における染色分体間の面積差と、染色
分体を二分する主軸およびこれに直交する軸に対する染
色体画像の濃度投影と、前記主軸上における染色体画像
の濃度プロファイルとしたものである。
【0016】
【作用】撮像手段bは、染色体標本の顕微鏡像aを撮像
してこれを画像データとして取り込む。パラメータ算出
手段cは、この画像データから染色体形状認識パラメー
タを算出する。一方、メンバーシップ関数設定手段d
は、この染色体形状認識パラメータのファジイ集合のメ
ンバーシップ関数を予め設定し、ルール設定手段eは、
染色体異常判定ルールを予め設定する。そして、検出手
段fは、染色体形状認識パラメータおよびメンバーシッ
プ関数から、ルールに基づいてファジイ推論を行うこと
により、画像内の染色体異常に関する情報を検出する。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例につ
いて詳細に説明する。図2は、本発明による染色体異常
検出装置の一実施例を示すブロック図である。図におい
て、10はマイクロコンピュータ等を備えた演算処理装
置、11は後述するファジイ集合のメンバーシップ関数
やファジイ推論のためのルール等が予め格納された記憶
装置、12はキーボード等の入力装置、13はCRT等
の表示装置、14はプリンタ等の出力装置である。
【0018】15は顕微鏡であり、この顕微鏡15に
は、検査対象である染色体標本が載せられるXYステー
ジ16が設けられている。顕微鏡15の種類は周知のも
のでよいが、染色体のサイズ、特性等を考慮すれば光学
顕微鏡が好適である。17はXYステージ16の移動を
制御するステージコントローラであり、このコントロー
ラ17は演算処理装置10の制御下にある。18は顕微
鏡15の鏡筒19の接眼レンズ側に取り付けられたTV
カメラである。20はTVカメラ19のコントローラ、
21はTVカメラ19の出力をデジタル化するA/Dコ
ンバータであり、これらコントローラ20およびコンバ
ータ21はともに演算処理装置10の制御下にあるとと
もに、コンバータ21からは演算処理装置10に向けて
画像データであるデジタル信号が送出される。なお、本
実施例では、TVカメラ19の走査線の本数は1,024本
であり、A/Dコンバータのビット数は8ビット(モノ
クロ256階調)である。
【0019】次に、図3のフローチャートおよび図4〜
図12を参照して、本実施例の検査装置の動作について
説明する。 (1) 画像取り込み、ラベリング 被検者の分裂中期にあるリンパ球の標本を準備し、これ
を顕微鏡15のXYステージ16上に載せ、顕微鏡15
下において分裂中期にあるリンパ球細胞の位置を目視に
より確認する。分裂中期細胞が観察されたときのXYス
テージ16の座標値は、演算処理装置10を介して記憶
装置11内に一時的に格納される。
【0020】以上の準備処理が終った後に、染色体の画
像取り込みが行われる。まず、ステップS1では、記憶
装置11に格納された分裂中期細胞の座標値をもとに、
TVカメラ19の視野内に分裂中期細胞が入るようにス
テージコントローラ17を介してXYステージ16の位
置が調整、制御され、TVカメラ19により分裂中期細
胞が捉えられた段階でこのTVカメラ19により画像が
取り込まれる。ステップS2では、TVカメラ19によ
り取り込まれた画像が、A/Dコンバータ21により8
ビットのデジタル信号に変換される。変換されたデジタ
ル信号(画像データ)は、記憶装置11内に一時的に格
納される。
【0021】ステップS3では、記憶装置11内の画像
データ全体の濃度ヒストグラムが演算処理装置10によ
り演算される。ついで、ステップS4では、ステップS
3で得られた濃度ヒストグラムに基づいて、判別分析法
により定められた閾値による画像データの二値化処理が
行われる。二値化処理された画像データも記憶装置11
内に一時的に格納される。さらに、ステップS5では、
セグメンテーションおよびラベリングを行って、画像デ
ータから各染色体および染色体断片のデータを分離し、
それぞれにラベル番号を付与する。以下、各染色体(断
片)の画像データをラベルと称する。
【0022】なお、以上の画像処理自体は周知の処理で
あり、その細部については説明を省略する。
【0023】(2) 染色体形状認識パラメータ算出 ステップS6では染色体形状認識パラメータを算出して
いないラベルがあるか否かが判定され、判定が肯定され
るとプログラムはステップS7に移行し、判定が否定さ
れるとステップS15に移行する。
【0024】ステップS7では、新たなラベルが選択さ
れ、以降の染色体形状認識パラメータ算出作業の対象と
なる。なお、以下の説明において、各ラベルは水平(X
軸)方向にm個、垂直(Y軸)方向にn個の画素(ピク
セル)を有し、各画素はi、j(0≦i≦m−1、0≦
j≦n−1)の引数で代表されるものとする。
【0025】ステップS8では、ラベル内においてデー
タ“1”を有する画素(ピクセル)数が計数されてこの
ラベル内の染色体の面積sが算出される。ステップS9
では、染色体の円形度cirが算出される。円形度cirは次
式で定義される。 cir=4π×s/L2(但しLは境界点の長さ)
【0026】ステップS10では、染色体の主軸の方向
が算出される。ここで、主軸とは、染色分体を2分する
対称軸のことをいう。主軸の算出方法を、図4を参照し
て説明する。図4に示すように、主軸aは染色体1の重
心Gを通り、X軸(水平方向)に対して角度θをもって
交わるものと仮定する。Mpqを次式のように仮定する
と、
【数1】 主軸aの方向は次式の解として求められる。
【数2】 これを解くと、
【数3】 となる。以上より、ラベル内の主軸aの方向が求められ
る。以下、主軸aと平行にY軸を、垂直な方向にX軸を
とり直して説明を続ける。
【0027】ステップS11では、ステップS10で求
められた主軸aに沿う濃度投影(プロジェクション)g
(j)が求められる。濃度投影g(j)は次式で定義される。 g(j)=Σf(i,j) (但し、Σは主軸aの長さ分のX軸方
向の総和を表す) 次いで、濃度投影g(j)が求められると、次式で定義され
るパラメータが算出される。 proj1=Σ|g(j)―g_rev(j)|/(l×MAX) proj2=Σ|g(j)―MAX|/(l×MAX) ここに g_rev(j)=g(l―j) MAX=max(g(j)) (但し、lは主軸aの長さ) パラメータproj1は主軸aに沿う濃度投影g(j)の偏りを
示すものであり、パラメータproj2は主軸aに沿う濃度
投影g(j)の起伏を示すものである。これら2つのパラメ
ータproj1、proj2も記憶装置11内に一時的に格納され
る。
【0028】ステップS12では、主軸a上のプロファ
イルh(j)が求められる。プロファイルh(j)は次式で定義
される。 h(j)=f(i,j) (iは主軸aのX座標) 次いで、プロファイルh(j)が求められると、次式で定義
されるパラメータが算出される。 prof=Σ|h(j)―MAX|/(l×MAX) ここに MAX=max(h(j)) パラメータprofは主軸a上のプロファイルh(j)の起伏を
示すものである。このパラメータprofも記憶装置11内
に一時的に記憶される。
【0029】ステップS13では、ラベル内の染色体が
2つの染色分体に分割され、これら染色分体間の面積の
差が求められる。面積差は次式で定義される。 s_dif=|s1―s2|/(s1+s2) (但しs1、s2は染色分体の面積) この面積差s_difも記憶装置11内に一時的に記憶され
る。
【0030】ステップS14では、ファジイ推論に基づ
いてラベル内の染色体の形状が判定される。なお、以下
の説明においては、フラグメント(図13参照)および
アセントリックリング(動原体が含まれないリング)の
形状判定を例にとって説明するが、他の形状についても
同様の手法により判定を行うことができる。
【0031】まず、図5〜図10は、本実施例における
ファジイ推論で用いられる各メンバーシップ関数を示す
図である。本実施例においては、上述の各パラメータを
ファジイ集合とし、これらファジイ集合についてメンバ
ーシップ関数が定められている。図5は染色体の面積s
のメンバーシップ関数を示し、Aは面積sが極小の場合
を、Bは面積sが小〜中の場合をそれぞれ示している。
図6は染色分体の面積差s_difのメンバーシップ関数を
示す図であり、この図では面積差s_difが小の場合のメ
ンバーシップ関数のみ示してある。図7はパラメータpr
ofのメンバーシップ関数を示し、この図ではprofが小の
場合のメンバーシップ関数のみ示してある。図8はパラ
メータproj1のメンバーシップ関数を示す図であり、こ
の図ではパラメータproj1が小の場合のメンバーシップ
関数のみ示してある。図9はパラメータproj2のメンバ
ーシップ関数を示し、この図ではパラメータproj2が小
の場合のメンバーシップ関数のみ示してある。図10は
円形度cirのメンバーシップ関数を示し、この図では円
形度cirが大の場合のメンバーシップ関数のみ示してあ
る。
【0032】また、本実施例のファジイ推論で用いられ
るルールの一例を示す。まず、フラグメント判定のため
のルールは、 条件1:染色体の面積が小〜中である 条件2:染色分体の面積差が小である 条件3:主軸上のプロファイルに起伏がない 条件4:主軸に沿う投影に偏りがない 条件5:主軸に沿う投影に起伏がない の全ての条件を満足することである。一方、アセントリ
ックリング判定のためのルールは、 条件6:染色体の面積が小である 条件7:染色分体の面積差が小である 条件8:染色体の円形度が大である の全ての条件を満足することである。以上のルールは、
熟練した観察者の経験および染色体の特徴的な形状に基
づくものである。
【0033】次に、上述のメンバーシップ関数およびル
ールを用いたファジイ推論の一例を、図11および図1
2を参照して説明する。まず、上述のルールに使用され
る各パラメータの値が記憶装置11から読み出される。
そして、これら各パラメータの値が、上述の条件(ルー
ル)に合致するメンバーシップ関数の範囲に含まれる場
合には、これらのメンバーシップ関数から各パラメータ
の値に対応した適合度が出力される。一例として、図1
1に示すように、条件1については面積sの値から適合
度0.8が出力され、条件2については適合度0.7が、条件
3については適合度0.5が、条件4については適合度0.6
が、条件5については適合度0.7がそれぞれ出力され
る。同様に、図12に示す例では、条件6については適
合度0.2が、条件7については適合度0.7が、条件8につ
いては適合度0.3がそれぞれ出力される。
【0034】そして、それぞれに課された条件を全て満
足するときに、ラベル内の染色体がフラグメントまたは
アセントリックリングと判定されるのであるから、ファ
ジイ推論においてはそれぞれの条件の適合度の最小値
(min)を判定ルールの適合度とすればよい。従って、
図11、図12の例においてはフラグメントの適合度: min[0.8,0.7,0.5,0.6,0.7]=0.5アセントリックリングの適合度: min[0.2,0.7,0.3]=0.2 となる。以上のファジイ推論の結果、これらの適合度の
最大値(max)を採用して適合度0.5のフラグメントが仮
定される。
【0035】一方、ステップS15では、全てのラベル
についてファジイ推論による染色体の形状が仮定結果が
算出されたことを受けて、画像データ全体を参照してこ
の仮定結果の妥当性について検討する。具体的には、1
つの細胞内に存在する染色体(動原体)の総数は一定で
ある(人間であれば46)ので、全ラベルにおける動原
体の総数が一定数となるかどうかを評価する。あるい
は、図13、図14に示すように、フラグメントは、ダ
イセントリックとセントリックリングを合わせた数より
多く存在すると考えられるので、これら形状異常の個数
を計数してそのつじつまが合うかどうかを評価する。ま
た、ラベルの分離が十分であったか否かについても評価
する。ファジイ推論の仮定結果の評価の後、十分な評価
が得られた場合はプログラムは直ちにステップS16に
移行し、十分な評価が得られなかった場合は各ラベルの
仮定結果を変更して十分な評価が得られるようにする。
【0036】ステップS16では、ステップS15にお
けるラベル分離の評価について十分な結果が得られたか
否かが判定され、判定が肯定されたらプログラムはステ
ップS17に移行して認識結果が出力され、判定が否定
されたらステップS6に戻り、よりラベルを細分化して
上述の処理を繰り返す。
【0037】以上示したように、本実施例によればリン
パ球標本内にある染色体の形状異常を検出することがで
きる。ここで、本実施例では、染色体の形状異常の判定
にファジイ推論を用いているので、熟練した観察者の感
覚的な判断やルールをコンピュータ等の演算処理装置に
容易に取り込むことができ、熟練した観察者に近い正確
さで自動的に染色体異常の検出を行うことができる。し
かも、ファジイ推論は多分岐並列型、すなわち複数のル
ールに基づいて同時に評価できる形式のものであり、あ
るルールに対する処理が失敗しても他のルールで認識の
修正を行うことができる。従って、顕微鏡画像の鮮明さ
や染色体の形状の相違によらず、的確な検出を行うこと
ができる。これにより、従来不可能とされてきた低放射
線被曝領域での被曝線量推定作業を大量にしかも迅速に
行うことが可能になり、集団検診等への道が開ける。
【0038】ここで、実施例と請求の範囲との対応にお
いて、TVカメラ19は撮像手段を、演算処理装置10
はパラメータ算出手段、メンバーシップ関数設定手段、
ルール設定手段および検出手段をそれぞれ構成してい
る。
【0039】なお、本発明の染色体異常検出装置は、動
原体の有無等により識別できる染色体異常(たとえば、
図16(a),(b)、図18(イ),(ハ)の場合)
のみ検出し、転座等の形状による識別に高度な技術を要
する染色体異常(たとえば、図18(ロ)の場合)は検
出していない。しかしながら、本装置で識別できない染
色体異常は、通常、被爆線量推定のための染色体検査に
は、用いられていないので、検出対象外であっても問題
にはならないと考えられる。
【0040】なお、本発明の染色体異常検出装置は、そ
の細部が上述の実施例に限定されず、種々の変形例が可
能である。
【0041】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、染色体の形状異常の判定にファジイ推論を用いて
いるので、熟練した観察者に近い正確さで自動的に染色
体異常の検出を行うことができる。しかも、ファジイ推
論は並列型の推論であり、同時に発火した複数ルールが
互いに補い合うため、顕微鏡画像の鮮明さや染色体の形
状の相違によらず、的確な検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクレーム対応図である。
【図2】本発明による染色体異常検出装置の一実施例を
示すブロック図である。
【図3】一実施例の動作を説明するための図である。
【図4】主軸の方向を算出する方法を説明するための図
である。
【図5】面積sのメンバーシップ関数を示す図である。
【図6】面積差s_difのメンバーシップ関数を示す図で
ある。
【図7】パラメータprofのメンバーシップ関数を示す図
である。
【図8】パラメータproj1のメンバーシップ関数を示す
図である。
【図9】パラメータproj2のメンバーシップ関数を示す
図である。
【図10】円形度cirのメンバーシップ関数を示す図で
ある。
【図11】フラグメント判定のファジイ推論を説明する
ための図である。
【図12】アセントリックリング判定のファジイ推論を
説明するための図である。
【図13】染色体異常が生ずる過程を示す図である。
【図14】染色体異常が生ずる過程を示す図である。
【図15】染色体異常が生ずる過程を示す図である。
【図16】染色体異常が生ずる過程を示す図である。
【図17】染色体異常が生ずる過程を示す図である。
【図18】染色体異常が生ずる過程を示す図である。
【符号の説明】
a 顕微鏡像 b 撮像手段 c パラメータ算出手段 d メンバーシップ関数設定手段 e ルール設定手段 f 検出手段 1 染色体 2 腕 3 動原体 10 演算処理装置 11 記憶装置 12 入力装置 14 出力装置 15 顕微鏡 18 TVカメラ 21 A/Dコンバータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古田 伸一 東京都品川区西大井1丁目6番3号 株式 会社ニコン大井製作所内 (72)発明者 阿部 啓之 東京都品川区西大井1丁目6番3号 株式 会社ニコン大井製作所内 (72)発明者 角田 みすず 東京都品川区西大井1丁目6番3号 株式 会社ニコン大井製作所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 染色体標本の顕微鏡像を画像として入力
    する撮像手段と、 この画像に基づいて染色体形状認識パラメータを算出す
    るパラメータ算出手段と、 前記染色体形状認識パラメータのファジイ集合のメンバ
    ーシップ関数を予め設定するメンバーシップ関数設定手
    段と、 染色体異常判定ルールを予め設定するルール設定手段
    と、 前記染色体形状認識パラメータおよびメンバーシップ関
    数から、前記ルールに基づいてファジイ推論を行うこと
    により、前記画像内の染色体異常に関する情報を検出す
    る検出手段とを備えたことを特徴とする染色体異常検出
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の染色体異常検出装置に
    おいて、 前記染色体形状認識パラメータは、 染色体の面積と、 染色体の円形度と、 同一染色体内における染色分体間の面積差と、 染色分体を二分する主軸およびこれに直交する軸に対す
    る染色体画像の濃度投影と、 前記主軸上における染色体画像の濃度プロファイルとで
    あることを特徴とする染色体異常検出装置。
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