JPH0515543A - 細胞採取具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 体腔壁の内部から所望量の細胞を効率的に採
取することができるようにすることができる細胞採取具
を提供することにある。 【構成】 細胞採取具10は処置具挿通チャンネル６に沿
って自由に曲げることができるようにした可撓性スリー
ブ11とその内部に挿通させた多重コイルばねからなる制
御ケーブル12と、この制御ケーブル12の先端に設けた細
胞掻き取り部材13とで形成し、細胞掻き取り部材13とし
ては、回転軸14に複数枚の掻き取り羽根15を取り付けた
もので、制御ケーブル12を遠隔操作することによって、
掻き取り部材13を可撓性スリーブ11から突出させて、そ
れを回転させることによって細胞を掻き取り、再び可撓
性スリーブ11内に収容させることによって、その回収が
可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、内視鏡の鉗子等の処置
具を挿通させるための処置具挿通チャンネルを介して体
内に挿入して体内細胞の採取を行うための細胞採取具に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】体内細胞をサンプリングして検査等を行
うために細胞採取具が用いられる。この細胞採取具とし
ては、体腔壁から細胞を採取するための所謂細胞診ブラ
シと、体腔壁内から細胞を採取するための注射器とがあ
る。細胞診ブラシは、一般に、可撓性コードの先端にブ
ラシ本体を装着することにより形成され、内視鏡に設け
られる鉗子その他の処置具を挿通させるために設けられ
る処置具挿通チャンネルを介して体内に挿入し、細胞を
採取すべき体腔壁等にブラシ本体を当接させて、可撓性
コードを押し引きすることによって、ブラシ本体を体腔
壁に擦動するようにして細胞の採取を行うことができ
る。また、注射器は、可撓性チューブの先端に注射針を
装着し、基端部には注射筒を接続して、処置具挿通チャ
ンネル内に可撓性チューブを挿通させて、注射針を体腔
壁内に刺入して、注射筒を操作することによって、吸引
力を作用させて、細胞を吸引するようにしていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、注射器によ
って細胞を採取するには、極めて強力な吸引力を発揮さ
せる必要があり、しかも単に吸引力を作用させるだけで
あるために、必ずしもサンプリングを行おうとする細胞
を必要量だけ効率的に採取することができるわけではな
い。本発明は前述した点に鑑みてなされたものであっ
て、その目的とするところは、体腔壁より内部における
所望量の細胞を効率的に採取することができるようにし
た細胞採取具を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明は、その第１の発明として、体腔壁内に
刺入可能な鋭利部を先端に形設してなる可撓性スリーブ
と、この可撓性スリーブ内に挿通させた多重の密着コイ
ルばねからなる制御ケーブルと、この制御ケーブルの先
端に装着した細胞掻き取り部材とを有し、前記制御ケー
ブルによって細胞掻き取り部材を可撓性スリーブの先端
から出没可能となすと共に、この細胞掻き取り部材を回
動可能な構成としたことを特徴とするものであり、また
第２の発明としては、可撓性スリーブと、この可撓性ス
リーブ内に挿脱可能に挿通させた多重の密着コイルばね
からなる制御ケーブルと、この制御ケーブルの先端に装
着され、先尖り状の部材からなりその周胴部に細胞採取
溝を形成した体内刺入部材とを有し、前記制御ケーブル
によって体内刺入部材を可撓性スリーブの先端から旋回
出没可能な構成としたことをその特徴とするものであ
る。

【０００５】

【作用】以上のように構成することによって、制御ケー
ブルを遠隔操作することによって、体腔壁内の細胞を効
率的に採取することができる。まず、第１の発明のよう
に構成する場合には、細胞掻き取り部材を可撓性スリー
ブ内に退入させた状態にして体腔壁内における表層部分
から所定の深さ位置まで刺入して、細胞掻き取り部材を
その位置に保持した状態で、可撓性スリーブを引き戻す
ことにより細胞掻き取り部材を導出させて、制御ケーブ
ルによりこの細胞掻き取り部材を回転させることにより
細胞を掻き取り、然る後に可撓性スリーブを押し込んで
細胞掻き取り部材をこの可撓性スリーブ内に収容して、
可撓性スリーブと共に細胞掻き取り部材を回収すること
によって、細胞の採取を行うことができる。また、細胞
掻き取り部材を可撓性スリーブから突出させて、この細
胞掻き取り部材を体腔壁に押し当てた状態で、制御ケー
ブルによって細胞掻き取り部材を回転させれば、体腔壁
の表皮部分の細胞の採取も行うことができる。

【０００６】一方、第２の発明のように構成した場合に
は、体内刺入部材を可撓性スリーブから突出させた状態
にして、この体内刺入部材を制御ケーブルによって回転
させながら、体腔壁の表層部分から内部に押し込むこと
によって、所定の位置まで体内刺入部材を捩じ込み、次
いで可撓性スリーブを体内刺入部材を収容する位置まで
突出させる。これによって、可撓性スリーブを突出させ
る際において、体内刺入部材の周胴部に設けた細胞採取
溝内に入り込んだ細胞が切り取られることになり、この
ように細胞採取溝内に取り込まれた細胞は可撓性スリー
ブ及び体内刺入部材と共に回収することができる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。まず、図１及び図３は本発明の第１の実施
例であって、図１は細胞採取具の要部断面図、図２は掻
き取り部材の可撓性スリーブ内への収容状態を示す断面
図である。

【０００８】細胞採取具10は内視鏡の処置具挿通チャン
ネルを介して体内に導いて、体腔壁等から細胞を採取す
ることができるようになっている。この細胞採取具10
は、フッ素樹脂等のように滑りの良いチューブ体からな
り、処置具挿通チャンネル６に沿って自由に曲げること
ができるようにした可撓性スリーブ11を有し、この可撓
性スリーブ11の先端に比較的剛性のある円筒状の部材
で、先端部が鋭利な針先となった刺入部11ａを備えてい
る。また、この可撓性スリーブ11の基端部は硬質パイプ
11ｂに連設されている。可撓性スリーブ11内には制御ケ
ーブル12が挿通されており、この制御ケーブル12の先端
部には細胞掻き取り部材13が装着されている。そして、
制御ケーブル12の基端部には、硬質パイプ11ｂ内をスラ
イドするスライド駒12ａが連設されており、このスライ
ド駒12ａには内視鏡の操作者が手指で回転操作するため
の操作つまみ12ｂが取り付けられている。従って、この
スライド駒12ａを押し出した図１の実線の位置にあると
きには、制御ケーブル12の先端に取り付けた細胞掻き取
り部材13は可撓性スリーブ11から導出され、また同図に
仮想線で示した位置に引き戻すと、細胞掻き取り部材13
は可撓性スリーブ11内に収容されることになる。また、
操作つまみ12ｂを回転操作すると、制御ケーブル12は捩
じ回されて、細胞掻き取り部材13が回転せしめられるこ
とになる。

【０００９】ここで、制御ケーブル12は少なくとも２
重、好ましくは３重に巻回た密着コイルばねからなり、
２重のコイルばねを用いる場合には、内側のコイルばね
の巻回方向と外側のコイルばねの巻回方向とを相互に反
対方向とする。これによって、内側のコイルばねが拡開
する方向に回転させると、外側のコイルばねが縮径せし
められることになって、両コイルばねが相互に密着し
て、回転力の伝達が行われる。また、３重のコイルばね
で形成する場合には、中間のコイルばねを内側及び外側
のコイルばねと反対方向に巻回する。これによって、中
間のコイルばねが拡開する方向に回転させると、外側の
コイルばねが縮径して両コイルばねが密着し、また中間
のコイルばねが縮径する方向に回転させると、内側のコ
イルばねが拡開して両コイルばねが密着することになる
から、いずれの方向に回転させても、その回転力を円滑
に伝達することができるようになる。また、このコイル
ばねに回転力を加えなければ、極めて大きな可撓性を持
つ。

【００１０】また、この制御ケーブル12の先端に装着さ
れる細胞掻き取り部材13としては、回転軸14に複数枚
（図面においては４枚）の掻き取り羽根15を取り付けて
なるものであって、この掻き取り羽根15はばね性を有す
る金属薄板からなり、その基端側、即ち制御ケーブル12
への連設部側から中間位置までの部分は連続的に幅が広
くなった巻き込み部15ａが形設され、また広幅の部分は
波状の刃をもった掻き取り部15ｂとなっている。従っ
て、この細胞掻き取り部材13が可撓性スリーブ11内に収
容した状態においては、掻き取り羽根15は、図２に示し
たように、畳み込まれた状態となる。

【００１１】本発明は以上のように構成されるものであ
って、細胞採取具10は、図２に示したように、掻き取り
部材13を可撓性スリーブ11内に収容させた状態にして、
他の処置具と同様に、挿入部が体内に挿入されている内
視鏡に設けた処置具挿通チャンネル内に挿入し、その処
置具導出口から体内に導出させる。そして、内視鏡の観
察窓による観察下で、サンプリングすべき組織細胞が存
する位置の表層部分に配置させて、可撓性スリーブ11の
先端に形成した刺入部11ａを体腔壁内に向けて刺入す
る。この刺入部11ａが所望の組織細胞の位置まで進行す
ると、まず制御ケーブル12を固定しておき、可撓性スリ
ーブ11のみを引き戻すことによって、スライド駒12ａを
可撓性スリーブ11の硬質パイプ11ｂに沿って摺動させ、
制御ケーブル12の先端に連結した掻き取り部材13を導出
させる。次いで、制御ケーブル12の操作つまみ12ｂを操
作することによって、この制御ケーブル12を捩じ回す。
これによって、掻き取り部材13がその回転軸14の軸回り
に回転せしめられて、掻き取り羽根15の掻き取り部15ａ
により細胞が掻き取られる。然る後に、この制御ケーブ
ル12による掻き取り部材13の回転を継続しながら、可撓
性スリーブ11を押し出す。これによって、掻き取り羽根
15の巻き込み部15ａ側から可撓性スリーブ11内に収容さ
れ、掻き取り羽根15，15間に細胞が保持されたまま畳み
込まれて、掻き取り部材13の全体が可撓性スリーブ11内
に完全に収容される。従って、この可撓性スリーブ11と
その内部に収容した掻き取り部材13とを同時に回収する
ことによって、体内細胞を採取することができる。

【００１２】また、この細胞採取具10は体腔壁の表層部
分の細胞のサンプリングも行うことができる。即ち、可
撓性スリーブ11から掻き取り部材13の掻き取り羽根15を
導出させた状態で、この掻き取り羽根15をサンプリング
すべき部位に位置させて、制御ケーブル12を操作するこ
とによって、掻き取り羽根15の掻き取り部15ｂにより表
層部分の細胞を掻き取ることができる。そして、掻き取
り羽根15を回転させながら可撓性スリーブ11を押し出す
と、掻き取り羽根15は畳み込まれながら可撓性スリーブ
11内に収容される。

【００１３】次に、図３は掻き取り部材における掻き取
り羽根の異なる形状を示すものであって、同図に示した
掻き取り部材13′の掻き取り羽根材15′はその回転軸1
4′への連設部から外方に向けて湾曲した形状となって
いる。このような形状の掻き取り羽根15′を用いること
によって、同図に矢印で示した方向に回転させると、よ
り効率的に細胞の掻き取りを行うことができるようにな
る。

【００１４】さらに、図４及び図５は、本発明の第３の
実施例を示すものであって、この実施例においては、可
撓性スリーブ20の先端部分は格別鋭利な状態にはなって
おらず、先端面がテーパ状の刃部20ａとなっている。ま
た、この可撓性スリーブ20内には、第１の実施例で説明
したと同様、多重コイルばねからなる制御ケーブル21が
挿通されており、この制御ケーブル21の先端部には、体
内刺入部材22が装着されている。この体内刺入部材22は
略円錐状の部材からなる刺入ヘッド22ａと、この刺入ヘ
ッド22ａに連設した可撓性スリーブ20の内径より僅かに
小さい外形寸法を持った円柱部22ｂとを備えている。ま
た、刺入ヘッド22ａから円柱部22ｂに至る外側表面には
螺旋溝からなる細胞採取溝23が形設されている。そし
て、回転部材21の基端部には、第１の実施例と同様のス
ライド機構及び回転駆動機構が設けられているが、その
図示及び説明は省略する。

【００１５】このように構成することによって、体内刺
入部材22を可撓性スリーブ20から突出させた状態で、サ
ンプリングすべき組織細胞が存する位置の表層部分にお
いて、制御ケーブル21によって体内刺入部材22を回転さ
せながら、体腔壁内に刺入させて、所定の位置まで進行
させた状態で、可撓性スリーブ20を押し込むと、体内刺
入部材22がこの可撓性スリーブ20内に収容され、このと
きに、可撓性スリーブ20の先端の刃部20ａにより細胞が
切断されて、細胞採取溝23内に細胞が取り込まれる。そ
こで、体内刺入部材22を可撓性スリーブ20内に収容させ
た状態のまま回収すれば、サンプリングした細胞を取り
出すことができる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、可撓性
スリーブ内に細胞掻き取り部材または細胞採取溝を備え
た体内刺入部材を装着した制御ケーブルを挿通させて設
け、この制御ケーブルによって細胞掻き取り部材または
体内刺入部材を軸線方向の動作及び回転動作を遠隔操作
によって行うことができるように構成したので、体腔内
における腔壁の内部に位置する細胞を確実かつ効率的に
サンプリングすることができるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示す細胞採取具の部分
断面正面図である。

【図２】図１の細胞採取具の使用状態の説明図である。

【図３】本発明の第２の実施例を示す細胞採取具の要部
外観図である。

【図４】本発明の第３の実施例を示す細胞採取具の要部
断面図である。

【図５】図４の細胞採取具の使用状態の説明図である。

【符号の説明】

10 細胞採取具 11，20 可撓性スリーブ 12，21 制御ケーブル 13，13′ 細胞掻き取り部材 14，14′， 回転軸 15，15′ 掻き取り羽根 22 体内刺入部材 22ａ 刺入ヘッド 22ｂ 円柱部 23 細胞採取溝

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 体腔壁内に刺入可能な鋭利部を先端に形
   設してなる可撓性スリーブと、この可撓性スリーブ内に
   挿通させた多重の密着コイルばねからなる制御ケーブル
   と、この制御ケーブルの先端に装着した細胞掻き取り部
   材とを有し、前記制御ケーブルによって細胞掻き取り部
   材を可撓性スリーブの先端から出没可能となすと共に、
   この細胞掻き取り部材を回動可能な構成としたことを特
   徴とする細胞採取具。
2. 【請求項２】 可撓性スリーブと、この可撓性スリーブ
   内に挿脱可能に挿通させた多重の密着コイルばねからな
   る制御ケーブルと、この制御ケーブルの先端に装着さ
   れ、先尖り状の部材からなりその周胴部に細胞採取溝を
   形成した体内刺入部材とを有し、前記制御ケーブルによ
   って体内刺入部材を可撓性スリーブの先端から旋回出没
   可能な構成としたことを特徴とする細胞採取具。