JPH05154195A - ハイブリッド型人工膵臓 - Google Patents

ハイブリッド型人工膵臓

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JPH05154195A
JPH05154195A JP3323189A JP32318991A JPH05154195A JP H05154195 A JPH05154195 A JP H05154195A JP 3323189 A JP3323189 A JP 3323189A JP 32318991 A JP32318991 A JP 32318991A JP H05154195 A JPH05154195 A JP H05154195A
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JP
Japan
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artificial pancreas
pancreatic islets
microcapsules
pancreas
hybrid
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JP3323189A
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Inventor
Kazuo Kobayashi
和生 小林
Takayuki Oka
孝之 岡
Hiroshi Amamiya
浩 雨宮
Hiroo Iwata
博夫 岩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 移植したハイブリッド型人工膵臓を生体内に
局在化させることができ、従って膵ランゲルハンス島の
機能が低下した場合に生体内から容易に取り出すことが
可能なハイブリッド型人工膵臓を得る。 【構成】 膵ランゲルハンス島を天然及び/または合成
高分子からなりかつゲル化された固定化材料中に包括固
定化してなるマイクロカプセルを、高分子材料を用いて
構成されており、かつ複数の孔を有する収納体に収納す
ることにより構成されたハイブリッド型人工膵臓。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、膵臓の機能が冒された
り、低下している糖尿病患者に対して膵臓の機能を代行
するための人工膵臓に関し、特に、移植した後に膵ラン
ゲルハンス島の機能が低下した場合に、体内から容易に
取り出し可能なハイブリッド型の人工膵臓に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、糖尿病の治療には、インスリン製
剤が用いられている。すなわち、前もって測定された患
者の血中グルコース濃度に応じて必要量のインスリン製
剤を投与する方法が用いられている。しかしながら、患
者の血中グルコース濃度の連続的な変化に応じてインス
リンを投与することはできないため、患者のグルコース
代謝を生理的にコントロールすることができない。従っ
て、血管障害や腎臓障害等の糖尿病の併発症を防止する
ことは難しい。そこで、新たな治療法として、ハイブリ
ッド型人工膵臓が注目を集めている。ハイブリッド型人
工膵臓とは、インスリンを分泌する組織、すなわち膵ラ
ンゲルハンス島(以下、膵ラ島と略す。)を、半透膜内
に包括固定化し、患者の生体防御系(免疫系等)から隔
離したあと移植して用いられるものである。
【0003】ハイブリッド型人工膵臓において膵ラ島を
封入する材料として、種々の材料が検討されている。例
えば、Sunらは、アルギン酸−ポリリジン−アルギン
酸のポリイオンコンプレックスの三層構造からなる材料
で膵ラ島を包括固定化している(G.M.O’SHEA
and A.M.Sun,DIABETES,35,
943(1986))。他方、岩田らは、アガロースお
よびアガロース分解物により膵ラ島を包括固定化してい
る〔岩田博夫,雨宮 浩,松田武久,林 良輔,高野久
輝,阿久津哲造,人工臓器,16,1263(198
7)および特開昭62−215530〕。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなマイクロ
カプセルタイプのハイブリッド型人工膵臓は、膵ラ島へ
の栄養の供給において優れており、かつグルコース濃度
に対して迅速に応答してインスリンを放出させることが
可能である。しかしながら、これらのハイブリッド型人
工膵臓を腹腔内に移植したところ、長期間の生着が認め
られるものの、時間の経過と共に移植された膵ラ島の機
能が低下し、再び糖尿病状態に戻った。このような場
合、機能しなくなったハイブリッド型人工膵臓を腹腔内
から取り出し、再び新たなハイブリッド型人工膵臓を移
植することが必要となる。しかしながら、上記マイクロ
カプセルタイプのハイブリッド型人工膵臓は、腹腔内に
点在して組織に取り込まれているため、移植されている
ハイブリッド型人工膵臓を体内から取り出し、回収する
ことが非常に困難であった。
【0005】本発明の目的は、上述した従来のハイブリ
ッド型人工膵臓の問題点を解消するものであり、腹腔内
に局在化させることができ、従って膵ラ島の機能が低下
した場合に腹腔内から容易に取り出すことが可能なハイ
ブリッド型人工膵臓を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、膵ラ島を天然
及び/または合成高分子からなり、かつゲル化された固
定化材料中に包括固定化してなるマイクロカプセルを、
高分子材料を用いて構成されておりかつ複数の孔を有す
る収納体に収納してなることを特徴とするハイブリッド
型人工膵臓である。また、請求項2に記載の発明では、
上記収納体を構成している高分子材料は、生体内で分解
する性質を有する高分子材料により構成されている。
【0007】本発明において、膵ラ島は、天然及び/ま
たは合成高分子からなる固定化材料に包括固定化され
る。包括固定化に際しては、膵ラ島を生きた状態で固定
化する必要があるため、本発明において用いられる固定
化材料は、膵ラ島に対する毒性がないものであること、
並びに酸素やグルコース等の栄養素を自由に透過させ得
るものであることが必要である。また、上記固定化材料
は、膵ラ島から分泌されたインスリンを自由に透過させ
得るものでなければならない。さらに、移植する際に膵
ラ島が免疫担当細胞等と接触することを防止するため
に、上記固定化材料は生体内で分解することがなく、か
つ充分な機械的強度を有するものであることが必要であ
る。
【0008】本発明では、上記のような要求を満たす固
定化材料として、天然及び/または合成高分子からな
り、かつゲル化された固定化材料が用いられる。このよ
うな固定化材料の例としては、天然高分子からなる固定
化材料としては、アガロース、アガロース分解物、κ−
カラギーナン、ジェランガム、アラビアゴム、キサンタ
ンゴム、アルギン酸塩、ペクチン、寒天、マンナン等が
あり、合成高分子からなる固定化材料としては、光架橋
性ポリビニルアルコール、イソプロピルアクリルアミド
共重合体、ポリアクリルアミド等がある。さらに天然及
び合成高分子からなる固定化材料としては、アルギン酸
−ポリリジン、カルボキシメチルセルロース−ポリリジ
ンのようなポリイオンコンプレックス等が上げられる。
なお、これらの固定化材料の2種以上を併用して使用し
たものであってもよい。
【0009】上記これらの固定化材料について、更に説
明すると、例えばアガロースは、通常、寒天中に含まれ
るものであり、また、該アガロースを酸などにより分解
することによりアガロース分解物を得ることができる。
また、光架橋性ポリビニルアルコールは、ポリビニルア
ルコールに、感光性官能基であるスチリルピリジニウム
基またはスチリルキノリウム基を結合させたものであ
り、既に市販されており、例えば東洋合成工業から入手
することができる。本発明において、膵ラ島としては、
人、牛、豚、ハムスターまたはマウスなどから単離した
ものを適宜使用することができる。単離方法は、摘出し
た膵臓を、コラゲナーゼにより一定時間消化し、しかる
後、比重遠心法により分別して膵ラ島を回収する。
【0010】本発明では、上記のようにして回収された
膵ラ島が天然及び/または合成高分子からなる固定化材
料により包括固定化されている。包括固定化法として
は、例えばアガロース、アガロース分解物、κ−カラギ
ーナン、寒天やイソプロピルアクリルアミド共重合体等
では、膵ラ島を固定化材料溶液に分散し、温度変化によ
りゲル化させて包括固定化する方法が用いられる。。以
下、具体的に例を挙げてこの包括固定化法を説明する。
【0011】アガロースまたはアガロース分解物で膵ラ
島を包括固定化する場合は、アガロースまたはアガロー
ス分解物を、Eagle’s MEM培地のような適当
な培地成分を含有する水溶液中に、好ましくは1〜30
重量%、さらに好ましくは2〜20重量%の範囲となる
ように分散させる。この分散液を、加熱溶融後、温度4
0℃近辺まで冷却し、これに回収した膵ラ島を分散させ
る。得られた分散液に、流動パラフィン等の水と混合し
ない疎水性の液体を加えて充分に攪拌し、アガロースま
たはアガロース分解物溶液を懸濁させる。次に、懸濁液
を冷却することにより、アガロースまたはアガロース分
解物溶液をゲル化させる。この場合、懸濁液の凝集を防
止するために、攪拌しつつ冷却する。次に、ハンクス液
のようなpHが中性付近の緩衝液を加えた後、遠心分離
し、下層に沈んだアガロースまたはアガロース分解物の
マイクロカプセルを回収する。このようにして、膵ラ島
が包括固定化された、数10μm〜数mm程度の粒径の
マイクロカプセルを得ることができる。
【0012】また、アルギン酸塩では、膵ラ島を固定化
材料溶液に分散し、イオン架橋によりゲル化させて包括
固定化する。また、光架橋性ポリビニルアルコールの場
合には、この光架橋性ポリビニルアルコールは、重合度
が100〜5000以下のものが好ましく、このものの
水溶液に膵ラ島を分散させる。次に、膵ラ島を分散させ
た光架橋性ポリビニルアルコール水溶液を光架橋させ
て、ゲル化させることにより膵ラ島を包括固定化する。
以下、具体的にこの包括固定化法を説明する。光架橋性
ポリビニルアルコールを、このポリマー濃度が好ましく
は1〜50重量%、さらに好ましくは2〜30重量%と
なるように、Eagle’s MEM培地等の適当な培
地成分が含有された水溶液中に溶解させる。この際、室
温で溶解しない場合には、加熱して溶解させる。この水
溶液に、回収した膵ラ島を分散させる。得られた分散液
に、流動パラフィン等の水と混合しない疎水性の液体を
加えて充分に攪拌し、光架橋性ポリビニルアルコール溶
液を懸濁させる。次に、光を照射することにより、光架
橋性ポリビニルアルコール溶液をゲル化させる。この場
合、懸濁液の凝集を防止するために、攪拌しつつ光照射
する。次に、ハンクス液のようなpHが中性付近の緩衝
液を加え、遠心分離し、下層に沈んだ光架橋性ポリビニ
ルアルコールのマイクロカプセルを回収する。このよう
にして、膵ラ島が包括固定化された、数10μm〜数m
m程度のマイクロカプセルを得ることができる。
【0013】アルギン酸−ポリリジン等のイオンコンプ
レックスの場合には、膵ラ島をゲル化することのできる
負電荷の水溶性物質(この場合アルギン酸塩)に包括固
定化し、さらにこの周囲に耐久性のある正電荷の膜(こ
の場合ポリリジン)を形成させ、包括固定化する。以
下、具体的に例を挙げて、この包括固定化法を説明す
る。アルギン酸ナトリウム溶液に、回収した膵ラ島を分
散させる。これを塩化カルシウム溶液に滴下して、ゲル
化したアルギン酸カルシウム粒子を回収する。さらにこ
のゲル化した粒子を分子量約15000〜約25000
のポリリジンを含む生理食塩水に浸漬してゲル粒子の表
面にポリリジン膜を形成させる。更に、アルギン酸ナト
リウム溶液にこの粒子を浸漬し、ポリリジン膜の表面に
アルギン酸塩膜を形成させる。次にこの粒子をクエン酸
ナトリウム緩衝液で処理して、内部のアルギン酸カルシ
ウムを溶解させて、膵ラ島が包括固定化された、数10
μm〜数mm程度の粒径のマイクロカプセルを得ること
ができる。
【0014】本発明では、上記のようにして得られたマ
イクロカプセルが、高分子材料を用いて構成されており
かつ複数の孔を有する収納体に収納されており、それに
よってハイブリッド型人工膵臓が構成されている。上記
収納体を構成する高分子材料としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリフッ化エチレン、ポリアクリロニ
トリル、ポリビニルアルコール、例えばポリメチルメタ
クリレートのようなアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポ
リウレタン、例えばポリエチレンテレフタレートのよう
なポリエステル、ナイロン、ポリスルホン、再生セルロ
ース、絹、木綿及び麻等を適宜用いることができる。こ
の収納体を構成する高分子材料としても、2種以上を併
用してもよい。
【0015】また、請求項2に記載の発明では、上記収
納体を構成する高分子材料が、生体内で分解する性質を
有するもので構成されている。ここで、生体内で分解す
る性質を有する高分子とは、本発明のハイブリッド型人
工膵臓を生体に移植した時に経時により分解し、消失す
るような高分子をいう。上記生体内分解性高分子の例と
しては、乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−カプロラ
クトン共重合体、グリコール酸−リンゴ酸共重合体、乳
酸−リンゴ酸共重合体、乳酸−グリコール酸−リンゴ酸
共重合体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−β−ヒ
ドロキシ酪酸、ポリジオキサン、ポリセバシン酸無水
物、ポリペプチド、ポリデプシペプチド、コラーゲン、
ゼラチン、フィブリン、アミロース、キチン、キトサン
及びカットガット等が挙げられる。
【0016】本発明のハイブリッド型人工膵臓では、上
記のような高分子材料を用いて収納体が構成されている
が、該収納体は、複数の孔を有するように構成される。
この孔は、グルコース及び膵ラ島から分泌したインスリ
ンの透過を妨げないように、充分な大きさに形成され
る。具体的には、0.1μm〜200μm程度、好まし
くは0.5μm〜50μm程度の孔を形成する必要があ
る。
【0017】そして、収納体は、上記のような孔を有
し、かつ複数のマイクロカプセルを収納し得るものであ
る限り、適宜の形状に構成される。例えば、上記高分子
材料を糸状に成形したものをメッシュ状に編み込み、袋
状やチューブ状としたものや、有孔加工した高分子材料
を用いて袋状やチューブ状としたもの、あるいは高分子
材料を中空繊維としたもの等が挙げられる。
【0018】
【作用】本発明では、上記のような固定化材料で膵ラ島
が包括固定化されたマイクロカプセルが、さらに高分子
材料を用いて構成されておりかつ複数の孔を有する収納
体に収納されてハイブリッド型人工膵臓が構成されてい
る。従って、生体に移植されたハイブリッド型人工膵臓
が腹腔内で局在化して存在することになるため、たとえ
ハイブリッド型人工膵臓の機能が低下し、腹腔内から回
収することが必要となった場合でも、生体内から容易に
取り出すことが可能となる。
【0019】また、上記収納体を構成している高分子材
料は、上記のように複数の孔を有するため、グルコース
や膵ラ島から分泌したインスリンは、該収納体を自由に
透過することができ、従って移植されたハイブリッド型
人工膵臓は生体内で有効に機能し得る。また、請求項2
に記載の発明では、上記収納体を構成する高分子材料
が、生体内で分解する性質を有する材料により構成され
ているため、生体内で異物反応を受けることが少ない。
【0020】
【発明の効果】よって、本発明のハイブリッド型人工膵
臓では、生体内に移植した後に、膵ラ島の機能が低下し
た場合であっても、生体内から容易にかつ確実に取り出
すことが可能となり、従って新たなハイブリッド型人工
膵臓を簡単かつ迅速に再移植することが可能となる。ま
た、請求項2に記載の発明によれば、収納体が生体内分
解性高分子を用いて構成されているため、移植時に異物
反応を受けることが少なく、従って移植部位における膿
の発生がなく、肉芽形成も少ない。
【0021】
【実施例の説明】以下のようにして実施例1〜6及び比
較例1〜3の人工膵臓を作製し、移植試験により評価し
た。実施例1 アガロース0.15gをEagle’s MEM溶液
3.0mlに加えて高分子濃度を5重量%にし、オート
クレーブにて120℃で20分間、加熱滅菌と同時にア
ガロースを溶解させ、次に、40℃の温度に保った。こ
のアガロース溶液に、ハムスターの膵臓からコラゲナー
ゼ処理法により単離した膵ラ島約2000個をEagl
e’s MEM溶液0.1mlに分散したものを加えて
攪拌し、さらに40℃に加温した流動パラフィン約20
mlを加えて攪拌し、アガロースを分散させた。次に、
この分散液を攪拌下で氷冷し、アガロースをゲル化さ
せ、ハンクス液約30mlを加え2000rpm×10
分間の条件で遠心して沈澱したマイクロカプセルを回収
した。さらに、膵ラ島を包括固定化したマイクロカプセ
ルのみを、実体顕微鏡下で回収した。このマイクロカプ
セルは、粒径が約50〜800μmで、カプセル1ケあ
たり、1〜数個の膵ラ島が包括固定化されていた。
【0022】つぎに、30mm×30mm×厚み50μ
mのポリエチレン製のシートに、約10μmの孔を1m
m間隔であけたものを2枚作製し、この1枚の上に上記
マイクロカプセル0.3gをおき、周囲に医療用瞬間接
着剤(東亜合成化学社製、商品名;アロンアルファA
「三共」)を塗布し、さらに他の1枚をこの上に載せて
閉じ、不要なシート部分をはさみで切除して袋状とし、
実施例1のハイブリッド型人工膵臓とした。
【0023】実施例2 光架橋性ポリビニルアルコール(重合度:1700、ケ
ン化度%:88、スチリルピリジニウム置換基の割合:
1.3モル%)0.3gをポリマー濃度が10重量%に
なるようにEagle’s MEM培養液3.0mlに
加え、オートクレーブにて120℃、20分間加熱滅菌
と同時に光架橋性ポリビニルアルコールを溶解させた。
37℃まで冷却し、この溶液に、ハムスターの膵臓から
コラゲナーゼ処理法により単離した膵ラ島約2000個
をEagle’s MEM溶液0.1mlに分散したも
のを加えて攪拌し、さらに流動パラフィン約20mlを
加えて攪拌し、光架橋性ポリビニルアルコールを分散さ
せた。
【0024】次に、この分散液を攪拌下、300Wのハ
ロゲンランプを装着したスライドプロジェクターを用い
て約15分間光を照射することで、光架橋性ポリビニル
アルコールをゲル化させ、ハンクス液約30mlを加
え、2000rpm×10分間の条件で遠心し、沈澱し
たマイクロカプセルを回収した。さらに、膵ラ島を包括
固定化したマイクロカプセルのみを、実体顕微鏡下で回
収した。このマイクロカプセルは、粒径が約50〜80
0μmで、カプセル1ケあたり、1〜数個の膵ラ島が包
括固定化されていた。
【0025】次に、内径8mm、長さ3cm、肉厚約1
mm及び孔径約5〜20μmのポリ四フッ化エチレン製
のメッシュ状チューブを作製し、該チューブ内に上記マ
イクロカプセル0.3gを入れ、両端を医療用瞬間接着
剤(東亜合成化学社製、商品名;アロンアルファA「三
共」)で閉じ、実施例2のハイブリッド型人工膵臓とし
た。
【0026】実施例3 アルギン酸ナトリウム0.045gをポリマー濃度が
1.5重量%になるように生理食塩水3mlに加え、こ
の溶液にハムスターの膵臓からコラゲナーゼ処理法によ
り単離した膵ラ島約2000個を生理食塩水約0.1m
lに分散したものを加えて攪拌し、膵ラ島を分散させ
た。1.5重量%の塩化カルシウム溶液100mlの入
ったビーカーに、この分散液を22Gの大きさのエアー
ジェットノズルから滴下し、ゲル化したアルギン酸カル
シウム粒子を回収した。この粒子を、塩化ナトリウムが
0.6重量%、2−シクロヘキシルアミノエタンスルホ
ン酸が2重量%の濃度で溶解された緩衝溶液(pH8.
2)の1重量部と、1重量%の塩化カルシウム溶液の2
0重量部とを混合した溶液(以下、CHES溶液と略
す)及び1.1重量%の塩化カルシウム溶液で順次洗浄
した。さらにゲル化したアルギン酸カルシウム粒子を、
分子量18000のポリリジンを0.5%含む生理食塩
水50mlに6分間浸漬してポリリジン膜を形成させた
後、マイクロカプセルを取り出しCHES溶液、0.1
重量%の塩化カルシウム溶液及び生理食塩水で順次洗浄
した。
【0027】さらに、このマイクロカプセルを0.15
%のアルギン酸ナトリウム溶液20mlに4分間浸漬
し、ポリリジン膜の表面にアルギン酸塩膜を形成させ
た。得られたマイクロカプセルを生理食塩水で洗浄し、
さらに、0.05Mのクエン酸ナトリウム緩衝液で6分
間処理して、内部のアルギン酸カルシウムを溶解させた
後、再び生理食塩水で洗浄してマイクロカプセルを回収
した。さらに、膵ラ島を包括固定化したマイクロカプセ
ルのみを実体顕微鏡下で回収した。このマイクロカプセ
ルは、粒径が約50〜800μmで、カプセル1ケあた
り、1〜数個の膵ラ島が包括固定化されていた。
【0028】次に、内径8mm、長さ3cm、肉厚約1
mm及び孔径約10〜40μmのポリエチレンテレフタ
レート製のメッシュ状チューブを作製し、該チューブ内
にマイクロカプセル0.3gを入れ、両端を医療用瞬間
接着剤(東亜合成化学社製、商品名;アロンアルファA
「三共」)で閉じ、実施例3のハイブリッド型人工膵臓
とした。
【0029】実施例4 グリコール酸(ナカライテスク社製)500gに0.5
gの三酸化アンチモンを加え、180℃に加熱後、系を
徐々に減圧し、5mmHgで5時間反応させ、グリコー
ル酸のオリゴマーを得た。得られたグリコール酸オリゴ
マーを、260℃、0.1〜0.2mmHgで熱分解さ
せ、昇華するグリコリドの粗生成物を回収した。回収し
た粗生成物をクロロホルムで洗浄した後、酢酸エチルで
2度再結晶することによりグリコリドを得た。
【0030】窒素雰囲気下で、DL−ラクチド(東京化
成社製)8gと上記の方法で得たグリコリド1.61g
とを160℃で加熱して混合溶融後、触媒としてオクチ
ル酸錫28.1mgを加えた。しかる後、常圧下で5分
間攪拌した後、系を徐々に減圧し100mmHgに保
ち、160℃で2時間重合を続けた。次に、生成物をク
ロロホルムに溶解し、10倍容量のエーテル中に再沈殿
した。沈殿物を濾過し、減圧乾燥することにより、乳酸
−グリコール酸共重合体を得た。
【0031】次に、上記のようにして得た乳酸−グリコ
ール酸共重合体を210℃に加熱し、溶融紡糸法により
直径50μmの連続繊維を得た。この連続繊維をメッシ
ュ状に編んで孔径約20μmのシートを2枚作製し、3
0mm×30mm×厚み100μmの大きさの上記シー
トの1枚の上に実施例1で得たマイクロカプセルを0.
3gおき、周囲に医療用瞬間接着剤(東亜合成化学社
製、商品名;アロンアルファA「三共」)を塗布し、さ
らに他の1枚をこの上に載せて閉じ、不要なシート部分
をはさみで切除して袋状とし、実施例4のハイブリッド
型人工膵臓とした。
【0032】実施例5 実施例4で調製された乳酸−グリコール酸共重合体を、
濃度が10重量%となるようにクロロホルムに溶解させ
て紡糸原液とし、中空繊維用ノズルを用い、メタノール
を凝固液として乾湿式紡糸法により連続的に中空繊維
(外径8.4mm、内径8mm及び孔径約1μm)を得
た。長さ3cmの該中空繊維内に実施例2で得たマイク
ロカプセルを0.3gおき、両端を医療用瞬間接着剤
(東亜合成化学社製、商品名;アロンアルファ)で閉
じ、実施例5のハイブリッド型人工膵臓とした。
【0033】実施例6 窒素雰囲気下でDL−ラクチド(東京化成社製)8gと
ε−カプロラクトン(和光純薬社製)1.58gとを1
90℃に加熱し、混合溶融した後、触媒としてオクチル
酸錫28.1mgを加え、常圧下で5分間攪拌した後、
系を徐々に減圧し100mmHgに保ち、190℃で5
時間重合を続けた。次に、生成物をクロロホルムに溶解
し、10倍容量のエタノール中に再沈殿した。沈殿物を
濾過し、減圧乾燥することにより、乳酸−カプロラクト
ン共重合体を得た。
【0034】次に、上記のようにして得た乳酸−カプロ
ラクトン共重合体を210℃に加熱し、溶融紡糸法によ
り直径50μmの連続繊維を得た。この連続繊維をメッ
シュ状に編み、孔径約10μmのシートを2枚作製し、
30mm×30mm×厚み100μmの上記メッシュ状
シートの1枚の上に実施例3で得たマイクロカプセルを
0.3gおき、周囲に医療用瞬間接着剤(東亜合成化学
社製、商品名;アロンアルファA「三共」)を塗布し、
さらに他の1枚をこの上に載せて閉じ、不要なシート部
分をはさみで切除して袋状とし、実施例6のハイブリッ
ド型人工膵臓とした。
【0035】比較例1 ポリエチレン製のシートからなる袋状の収納体を用いな
かったことを除いては実施例1と同様にして、すなわち
回収されたマイクロカプセルをそのまま用い、比較例1
のハイブリッド型人工膵臓として用いた。比較例2 収納体としてのポリ四フッ化エチレンからなるメッシュ
状チューブを用いなかったことを除いては、実施例2と
同様にして、すなわち回収されたマイクロカプセルをそ
のまま用い、比較例2のハイブリッド型人工膵臓とし
た。
【0036】比較例3 収納体としてのポリエチレンテレフタレート製メッシュ
状チューブを用いなかったことを除いては、実施例3と
同様にして、すなわち回収されたマイクロカプセルをそ
のまま用い、比較例3のハイブリッド型人工膵臓とし
た。
【0037】実施例1〜6及び比較例1〜3の評価 移植試験 マウスの腹腔内にストレプトゾトシンを250mg/k
g(マウス)の投与量で投与して糖尿病にした。この糖
尿病マウスの腹腔内にハイブリッド型人工膵臓を移植し
た。移植後30日目に開腹してマイクロカプセルの分布
及び膵ラ島の生存性を観察した。ハイブリッド型人工膵
臓の分布は目視により行った。また、膵ラ島の生存性
は、以下のようにして評価した。
【0038】まず、取り出したハイブリッド型人工膵臓
を10%中性ホルマリン溶液にて固定化した後、水洗
し、60及び70%アルコール水溶液に浸漬した。次
に、ティッシュー・テックIII(マイルス・三共株式会
社製)を使用して、パラフィン包埋した。さらにミクロ
トームで切片を作製し、ヘマトキシリン‐エオジン染色
を行い、顕微鏡にて生存性を観察した。上記移植試験の
結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1から明らかなように、移植後30日目
の、実施例1〜6のハイブリッド型人工膵臓では、マイ
クロカプセルは腹腔に局在して付着しており、切除によ
り容易に回収することができた。また、膵ラ島も良好に
生存していることが確認された。また、乳酸−グリコー
ル酸共重合体または乳酸−カプロラクトン共重合体を使
用した実施例4〜6のハイブリッド型人工膵臓では、膿
が見られず肉芽形成が少なかった。これに対して、比較
例1,2及び3のハイブリッド型人工膵臓では、マイク
ロカプセルは腹腔内のさまざまな部位に点在して付着し
ており、すべて回収することはできなかった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膵ランゲルハンス島を天然及び/または
    合成高分子からなり、かつゲル化された固定化材料中に
    包括固定化してなるマイクロカプセルを、高分子材料を
    用いて構成されており、かつ複数の孔を有する収納体に
    収納してなることを特徴とする、ハイブリッド型人工膵
    臓。
  2. 【請求項2】 前記収納体を構成している高分子材料
    が、生体内で分解する性質を有する高分子材料である、
    請求項1に記載のハイブリッド型人工膵臓。
JP3323189A 1991-12-06 1991-12-06 ハイブリッド型人工膵臓 Pending JPH05154195A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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