JPH05150101A - 赤外光用光学部品 - Google Patents

赤外光用光学部品

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JPH05150101A
JPH05150101A JP4136572A JP13657292A JPH05150101A JP H05150101 A JPH05150101 A JP H05150101A JP 4136572 A JP4136572 A JP 4136572A JP 13657292 A JP13657292 A JP 13657292A JP H05150101 A JPH05150101 A JP H05150101A
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JP
Japan
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film
layer
film layer
substrate
thin film
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JP4136572A
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English (en)
Inventor
Tsuguhiro Korenaga
継博 是永
Shinji Uchida
真司 内田
Hideo Kurokawa
英雄 黒川
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 極めて優れた信頼性を有しつつ、実用上十分
高い赤外透過性をもつハロゲン化銀を基体とする赤外光
用光学部品を実現する。 【構成】 ハロゲン化銀を基体とする赤外光用光学部品
において、基体の感光性を防止するために不可欠なSb
23膜の実用上の課題である該基体と該Sb23膜との
反応を、両者の間に中間薄膜層を設けることにより抑制
するとともに、Sb23膜の特殊環境下における酸化
を、最表層に化学的に安定な材料膜を構成することによ
って防止するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学デバイスなどに用い
られる、主として赤外光用に用いて有用な光学部品に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、赤外光用の光学デバイスに用いら
れている光学部品は、セレン化亜鉛(ZnSe)、ガリ
ウムヒ素(GaAs)、ゲルマニウム(Ge)、シリコ
ン(Si)などの結晶材料から製造され、光学研磨法に
より形成されている。
【0003】この方法では、CVD法などにより製造さ
れた結晶材料に、何段階もの研磨工程を施して光学部品
を形成するため、価格は非常に高価であった。
【0004】これに対し、より安価な製造方法として、
金属ハロゲン化物からなる赤外光学部材をその融点以下
で加圧成形して作成する方法が有望視されている(例え
ば特開昭59−212801号公報参照)。
【0005】この場合、赤外波長域で透明であり、成形
の容易な金属ハロゲン化物としては、AgBr、AgC
lなどのハロゲン化銀等が挙げられるが、これらの材料
は、波長約0.4μm以下の光が照射されると感光し、
その結果、可視、赤外域波長での光学特性が著しく劣化
してしまうという欠点があった。
【0006】すなわち、例えば太陽光下に数分間ほど放
置するだけでみるみる感光し、透過率が数%以下になっ
てしまうという実用上極めて大きな問題を有していた。
【0007】そこで、赤外線工学(1963年、近代科
学社出版、P.124)にも記述されている様に、ハロ
ゲン化銀基体上に比較的毒性の低いSb23膜をコ−テ
ィングした、すなわち図20のような構成をとること
で、波長約0.4μm以下の光を遮断して感光による基
体の特性劣化を改善しようとする試みがなされてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うに、ハロゲン化銀の基体上にSb23膜をコ−ティン
グした従来構成では、感光による基体の特性劣化を改善
できるものの、周囲の環境によっては、その光透過性の
低下が起こり、実用上大きな問題となることを、我々は
実験により見い出した。
【0009】すなわち、Sb23膜をコ−ティングした
ハロゲン化銀の基体を高温下に放置した場合には、ハロ
ゲン化銀とSb23膜とが反応を起こし光透過率が劣化
する。また、Sb23膜をSO2 ガスのような特殊雰囲
気下に放置すると、表面が酸化し、光透過率が劣化す
る。
【0010】このため、Sb23膜をコ−ティングした
ハロゲン化銀の基体は、感光による基体の特性劣化をあ
る程度改善できるものの、長期的にその光透過性を維持
することが極めて困難であり、実用上非常に大きな課題
であった。
【0011】上記の課題を具体的に詳細に説明する。図
20は、従来構成の光学部品のサンプルである。
【0012】Sb23膜の形成は、本願発明の実施例と
の比較を行なうために、本願の実施例で使用したのと同
一の装置、即ち図2に示す装置を用いて行なった。図2
において、ハロゲン化基体としてAgBrを用い、Ag
Br23を基板ホルダ−22上に設置するとともに、ル
ツボ24内に蒸着材料であるSb23を設置する。
【0013】そして、真空槽21内を排気ポンプ25に
よって真空にした後、ルツボ24内のSb23を電子銃
26によって加熱し、蒸発させてAgBr23上にSb
23膜を形成させる。なお、基板温度は常温にて成膜を
行った。
【0014】図22は、Sb23膜をこのような方法で
AgBr基板の両面に約1.7μmの膜厚で形成した
後、60℃、90%RHの高温高湿試験を1000時間
おこなった時の透過特性を示すものである。
【0015】ここで、縦軸が透過率、横軸が波長を示
し、曲線221は試験前の透過特性であり、曲線222
は試験後の透過特性である。
【0016】これより高温高湿下に放置することによっ
て、透過特性が約10%程度と大きく劣化していること
がわかる。
【0017】透過特性の劣化は、光エネルギ−の伝達効
率の低下を引き起こすだけでなく、基体と薄膜を透過し
てきた光の強度ムラ等の光の品質を劣化させるため、実
用上大きな課題である。
【0018】なお、ここでは基体としてAgBrを用い
た例について示したが、AgCl、AgI、あるいはこ
れらの固溶体などのハロゲン化銀についても実験を行っ
た結果、AgBrと同様に、透過率の劣化を示した。
【0019】一方、図23はAgBr基板にSb23
を成膜し、25℃、25ppm、75%RHのSO2
ス試験を500時間おこなった結果を示す。
【0020】曲線231は試験前の透過率特性、曲線2
32は試験後の透過率特性である。これよりSO2 ガス
に曝すことにより、赤外の透過特性が低下していること
がわかる。
【0021】SO2 ガスは、例えば自動車の排気ガスに
多く含まれるもので、一般の環境下でも存在しているた
め、赤外光用の光学部品としては、このような環境下で
長期にわたって光学部品としての性能を維持することは
極めて重要であるにもかかわらず、従来には、その様な
耐環境性を有するものは得られていなかった。
【0022】また、図21に示した様に、Sb23膜を
コ−ティングすることで透過率特性は、基体のみの透過
率特性よりも劣化してしまうという課題を有していた。
【0023】ここで、基体のみの透過率特性は曲線21
1で示してあり、基体上にSb23膜をコ−ティングし
た場合の総合の透過率特性は曲線212で示してある。
【0024】これは、基体とSb23膜との干渉効果に
より生ずるもので原理上なくせないものである。
【0025】一般に、これら材料は窓材、レンズ等の光
学部品として使用されることが多く、光学部品の表面だ
けでなく、表面と裏面の2つの界面で反射損失が生じ、
更に透過効率が劣化してしまうという重大な課題となっ
ていた。
【0026】本発明は上記課題に鑑み、信頼性に極めて
優れた赤外光用光学部品を提供するとともに、さらに透
過率特性の良好な赤外光用光学部品を提供することを目
的としている。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の赤外光用光学部品は、ハロゲン化銀からなる
基体とSb23からなる薄膜層との間に中間薄膜層を設
けることである。
【0028】また、基体上にSb23からなる薄膜層を
少なくとも1層以上備え、かつ最表面膜がTiO2、C
eF3のいずれかからなるという構成を備えることであ
る。
【0029】
【作用】本発明は上記した構成によってハロゲン化銀か
らなる基体とSb23からなる薄膜層の反応を中間薄膜
層の導入によって防ぎ、最表面膜をTiO2 、CeF3
という耐環境性の極めて優れた材料にて形成することで
Sb23の酸化を防止するため、長期的にその赤外透過
性を維持することが可能となる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例の赤外光用光学部品に
ついて、図面を参照しながら説明する。
【0031】前述の高温高湿試験にて透過率が劣化した
サンプルを分析した結果、Sb23膜中に基板からのA
gが多く含まれ、これが原因となって光吸収もしくは光
散乱を引き起こし透過率を劣化させているという新しい
事実を見い出した。
【0032】この事実より、Sb23膜とハロゲン化銀
基体を直接接しない構成にすれば透過率劣化を防止でき
るのではないかと考え、本発明をするに到った。
【0033】以下、実施例に基づき本願発明を詳細に説
明する。 (実施例1)図1は本発明の第1の実施例における赤外
光用光学部品の構成図を示すものである。図1におい
て、11はハロゲン化銀基体、12はBiF3 膜、13
はSb 23膜である。
【0034】ここで、BiF3 膜12の膜厚を約40n
m、Sb23膜13の膜厚を約1.7μmとし、基板温
度を常温にて成膜を行った。また、ハロゲン化銀基体と
して、AgBrを用いた。作成方法は、図2に示した装
置を用いて行った。
【0035】図2において、まず、真空槽21内の基板
ホルダ−22にAgBr基体23を設置する。基板ホル
ダ−22としてアルミ製のものを用いると、アルミとA
gBrが反応しAgBr基板が劣化してしまうため、例
えばステンレス製のホルダ−を用いる。
【0036】次にルツボ24に蒸着材料であるBi
3、Sb23を設定する。そして、排気ポンプ25に
より真空槽内を約5×10-5torrの真空圧にしたのち、
電子銃26にてルツボ24内のBiF3を加熱する。
【0037】加熱されたBiF3は蒸発し、AgBr上
に成膜され、所定の膜厚になった時点でシャッタ−27
を閉じて第1層目の成膜を終了する。
【0038】次に、ルツボ24内のSb23を用いて、
再び同じ操作を行って、第2層目の成膜を完了する。
【0039】このようにして作成した、BiF3 膜とS
23からなる2層構成の光学部品の耐環境実験結果に
ついて以下に説明する。
【0040】図3に本実施例を、60℃、90%RHの
高温高湿環境下に約1000時間放置した結果を示す。
曲線31が試験前の特性であり、曲線32が試験後の特
性である。
【0041】これより、BiF3膜をSb23膜とAg
Brの間に形成することによって、透過率の低下が殆ど
ない光学部品が実現できていることがわかる。
【0042】図22に示したような、これまでの透過率
が約10%も劣化していた従来構成と比べ、著しく劣化
度合が改善されていることがわかる。
【0043】従って、AgBr基体とSb23膜層の間
に中間薄膜層としてBiF3 膜を設けることは、赤外光
用光学部品としての耐高温高湿性の向上に極めて有効で
ある。
【0044】なお、BiF3、Sb23の成膜時の基板
温度を常温の場合について説明したが、約200℃で成
膜した結果も同様の結果が得られた。
【0045】図4に、本サンプルを200℃の高温下に
設置し、光学特性の劣化を調べた結果を示す。曲線41
は基板に直接Sb23膜を成膜した時の、曲線42は基
板とSb23膜間にBiF3 膜を中間薄膜層として設け
たときの赤外透過特性を示している。
【0046】この図から、直接Sb23膜を成膜した構
成のものに比べ、中間薄膜層としてBiF3 膜を設けた
構成の方が透過特性が良好であることがわかる。
【0047】また、中間薄膜層としてBiF3 膜を設け
た構成の試験前の透過率特性を、曲線43に示す。
【0048】これより、試験前後において、光学特性は
ほとんど劣化していないことがわかる。
【0049】これらをオ−ジェ電子分光にて、両者のS
23膜中のAgの量を分析したところ、中間薄膜層を
導入したものは、導入していないものに比べ、かなりA
gの量が低減化されていることが確認された。
【0050】以上の様に、Sb23膜内でのAgの量
を、BiF3膜を設けることによってかなり抑制でき、
その結果、透過率劣化を低減化できたといえる。
【0051】なお、本実施例においては、BiF3膜、
Sb23膜は平面状の基板に形成される場合を示した
が、曲面もしくはレンズ形状基板に形成してもかまわな
い。
【0052】また、図1は基板11の片面にのみ膜が形
成された構造について示しているが、両面にコ−ティン
グしてもかまわない。
【0053】また、本実施例では基体をAgBrの場合
について説明したが、AgCl、AgIあるいはこれら
の固溶体であっても同様の効果が得られた。
【0054】(実施例2)以上、中間薄膜層としてBi
3を用いた例について説明したが、次にTiO2膜を用
いた例について説明する。
【0055】TiO2 膜は、非常に安定な物質であるた
め有用であると考えられるが、波長約12μm以上にお
いて吸収をもつことが知られている。
【0056】しかし、十分に薄いTiO2膜を中間薄膜
として使用した場合には、吸収による影響もなく光学的
には十分な特性が得られる可能性があると考え、約10
0nmの膜厚での光学特性を評価した。
【0057】その結果を図5に示す。図5において、曲
線51は、Sb23膜と基板の間に中間薄膜層としてT
iO2膜を用いた本実施例部品の透過率特性を示し、曲
線52は基板にSb23膜を直接成膜した従来構成での
赤外透過特性を示している。
【0058】これより、両者は数%の範囲内でほとんど
同じであり、TiO2膜の波長約12μm以上の吸収は
光学特性上ほとんど問題なく、極めて有用な材料である
ことが判明した。
【0059】また、図6にAgBr基体にTiO2 膜を
真空蒸着法で、基板温度を常温に設定して、約100n
mの膜厚を成膜したサンプルについて、オ−ジェ電子分
光によりその深さ方向のAgについての元素分析をおこ
なった結果を示す。
【0060】図中、白丸は成膜直後のサンプル、黒丸は
80℃、90%RH〜−40℃、10回のヒ−トサイク
ル試験をおこなった後のサンプルの分析結果である。
【0061】これより、成膜直後も、ヒ−トサイクル試
験後もAgの拡散深さは約40nm程度で変化しておら
ず、約40nm以上の膜厚のTiO2 膜ならばAgの拡
散をほぼ阻止できることが判明した。
【0062】また、本実施例の構成にて60℃、90%
RH、1000時間の高温高湿試験をおこなった結果、
赤外透過特性の劣化は全く見られなかった。
【0063】このことから、第1層膜としてTiO2
を約40nm以上成膜しておけば、耐高温高湿性能上極
めて効果があるといえる。
【0064】従って、BiF3膜だけでなくTiO2膜も
極めて有用な材料であるといえる。本実施例においては
中間薄膜層をBiF3 膜とTiO2膜の場合について説
明したが、他にCeF3についても検討したところ、良
好な赤外透過特性を示し、極めて効果があることが判明
した。
【0065】(表1)に本実施例を含め、検討をおこな
った中間薄膜層の仕様を示す。
【0066】
【表1】
【0067】(表1)より、中間薄膜層の材料が、無機
酸化物、無機フッ化物等のハロゲン化基体とSb23
反応しない材料のとき、その膜厚が数十nm程度あれ
ば、透過率劣化の低減化に効果をもつことがわかる。
【0068】従って、中間薄膜層として、無機酸化物、
無機フッ化物のような材料を用いることは極めて有用で
あるといえる。
【0069】また、(表1)より基板温度が常温の場合
だけでなく、200℃で成膜した場合でも良好な透過率
性能が実現できていることがわかる。
【0070】このことは、前述の高温試験結果とも対応
しており、温度が非常に高い成膜時の環境下である場合
においても、上記中間薄膜層は、基体のAgがSb23
膜内に拡散する量を低減化する効果があることを示すも
のである。
【0071】これは、高温でSb23膜もしくはSb2
3膜の上に別の材料を成膜するような場合に、非常に
有用な点であり、特に高温で成膜しないと十分な特性が
得られないような材料を成膜するさいに、有用であると
いえる。
【0072】本実施例においてはSb23膜の膜厚が約
1.7μmの場合について説明したが、この膜は波長が
約0.7μm〜25μmにおいてほぼ透明であるため、
膜厚を変更するだけでこれらの波長範囲で有用な赤外光
用光学部品を実現できることはいうまでもない。
【0073】また、ここでは、中間薄膜層が1つの材料
からなる単層膜について説明したが、複数の材料からな
る多層膜であっても何ら問題はない。
【0074】以上の通り、本実施例において、高温・高
湿下での透過特性が従来にくらべて大幅に改善されてい
ることが分かる。
【0075】(実施例3)次に、本発明の第3の実施例
について説明する。
【0076】前述したように、ハロゲン化銀基体上にS
23膜をコ−ティングしただけの従来構成のものを、
耐SO2試験したところ透過率が劣化するという新しい
事実を見いだした。
【0077】そして、Sb23膜の表面をX線光電子分
光およびオ−ジェ電子分光によって分析したところ、S
23膜の表面は酸化されていて、約数百から数千nm
の深さをもったSb25の層で覆われていることが判明
した。
【0078】そこで、この事実より、Sb23膜の表面
を異種の材料で覆って、Sb23膜の酸化を防ぐことが
できれば透過率劣化を抑制できるのではないかと考え、
本願発明に到った。
【0079】図7は本実施例における赤外光学部品の構
成を示す。ここで、71はシリコン基板であり、第1層
目72はSb23膜、第2層目73はTiO2膜であ
る。このように、従来とは違い、Sb23膜の上をTi
2膜で覆った2層構成となっている。
【0080】作成方法は第1の実施例と同様に真空蒸着
法にて行った。ここで、Sb23膜の膜厚を約1.7μ
m、TiO2膜の膜厚を約20nmとして成膜を行っ
た。また、基板温度は常温にて成膜した。
【0081】図8に、このようにして作成した本実施例
の構成のサンプルと、シリコン基板にSb23膜を単層
成膜した従来構成のサンプルを、耐SO2ガス試験を実
施した結果を示す。
【0082】曲線81は従来構成での赤外透過特性を、
曲線82は本実施例の構成での試験後の赤外透過特性を
あらわす。これより、本実施例における構成は、TiO
2膜がない従来構成に比べて高い透過率を実現できてい
ることがわかる。
【0083】これは、従来構成では表面のSb23
が酸化され、特性が劣化してしまうのに対し、表面層に
TiO2膜を付加した本発明の構成では、Sb23 膜が
ほとんど酸化されない結果、特性が劣化していないため
と考えられる。
【0084】従って、このような本発明の構成を用いる
ことで、Sb23 膜の酸化という課題を解決でき、過
酷なSO2環境下でも光学特性が劣化しない、信頼性の
非常に高い光学部品が実現できていることが解る。
【0085】従って、表面層にTiO2膜を付加するこ
とは極めて有用であるといえる。なお、本実施例では、
基体としてシリコン基板を用いたが、光学部品の基体と
して用いられる材料であれば何でもかまわない。
【0086】また、曲面、レンズ形状の基体であっても
かまわないのはもちろんのことである。
【0087】また、本実施例では最表面膜としてTiO
2 膜を用いたが、少なくとも、耐SO2、耐酸、耐アル
カリ、耐H2Sなどの耐環境性能を持つ材料で赤外波長
域で大きな吸収のない材料であればよい。
【0088】更に、CeF3 についても最表面膜として
検討をおこなったところ、膜厚が約20nm程度もしく
はそれ以上あればSO2 ガス試験後も赤外光用光学部品
としての性能に劣化のないことが確認できた。
【0089】最表面膜としてTiO2 膜だけでなく、上
記材料も有用であるといえる。さらに、本実施例におい
ては、Sb23膜層に直接、TiO2 膜が接する場合に
ついて説明したが、Sb23膜とTiO2 膜の間に他の
薄膜層を用いてもかまわない。TiO2 膜にてSb23
膜が酸化するのを防止することができるため、最表面に
TiO2 膜を用いさえすればよい。
【0090】(実施例4)次に、本発明の第4の実施例
について説明する。
【0091】本実施例によれば、Sb23膜をコ−ティ
ングしても透過特性が劣化しないような赤外光用光学部
品が得られる。
【0092】図9に本実施例における赤外光用光学部品
の構成図を示す。ここで91はAgBrよりなる基板、
第1層膜92はCeF3膜、第2層膜93はSb23
膜、第3層膜94は赤外波長域で透明で屈折率がnであ
る材料よりなる膜である。成膜はすべて第1の実施例と
同様真空蒸着法を用いた。
【0093】CeF3膜92の膜厚は40nm、Sb2
3膜93、第3層膜94の光学的膜厚は中心波長をλと
して、それぞれλ/2、λ/4である。
【0094】図10は、本実施例における光学部品の透
過特性を第3層膜の屈折率nをパラメータとして示した
ものである。中心波長は10μmとし、AgBr基板の
屈折率を2.17、CeF3の屈折率を2.3、Sb23
膜の屈折率を3.0とした。
【0095】この図より第3層膜の屈折率nを2.2以
下にすれば、その中心波長において反射防止効果が発現
し、AgBr基板の透過率を示す特性101よりも高い
透過特性を実現でき、光学部品として極めて有用な性能
を実現できることがわかる。
【0096】従って、このような屈折率の材料を第3層
目に用いることは極めて有用であるといえる。
【0097】また、本実施例は、CeF3膜をAgBr
基体とSb23膜の間に中間薄膜層として導入すること
で、第1の実施例で述べたような優れた耐高温・高湿性
を付与し、且つ反射防止効果を実現したものであるが、
反射防止効果を実現するだけでよいのであれば中間薄膜
層としてCeF3膜を用いる必要はない。Sb23膜と
屈折率が2.2以下の材料により反射防止効果を発現で
きる。
【0098】また、本実施例の中間薄膜層としてCeF
3膜について述べたが、無機酸化物、無機フッ化物によ
る膜、あるいはこれらの内の複数の材料よりなる多層膜
であっても同様な効果が得られることはいうまでもな
い。
【0099】さらに、基体がAgBr以外のAgCl、
AgI、あるいはこれらの固溶体であってもよく、その
形状も問わないことももちろんのことである。
【0100】次に、屈折率が2.2以下の材料として屈
折率が1.58であるCeF3を第3層膜94に用いた場
合について説明する。
【0101】ここで、CeF3膜を用いた理由は、屈折
率が低いだけでなく、化学的に安定で吸湿性もなく、さ
らに引っかきに対しても強いという、優れた特性を有し
ているためである。
【0102】図11に、その構成図を示す。基板111
としてAgBrを用い、第1層膜112としてCeF3
膜、第2層膜113としてSb23膜、第3層膜114
としてCeF3膜を用いた構成となっている。
【0103】作成は第1の実施例と同様に真空蒸着法を
用い、基板温度を200℃に設定して成膜を行った。ま
た各層の膜厚は、CeF3 膜112の膜厚は40nm、
Sb 23膜113、CeF3 膜114の光学的膜厚は、
中心波長をλとして、それぞれλ/2、λ/4である。
【0104】第1層目のCeF3 膜は、第1の実施例で
述べたSb23膜と基板とを直接接触させない働きをす
るもので、第3層目のCeF3 膜は、反射防止性を新た
に発現させるだけでなく、第3の実施例で述べたSb2
3膜の表面を酸化させない働きをするものである。
【0105】図12は本実施例における赤外光用光学部
品の赤外透過特性をあらわす。このときの中心波長は9
μmとした。
【0106】曲線121はAgBrよりなる基板の特
性、曲線122は本実施例の構成の特性を示す。この図
より本実施例では波長が4μm〜11μmの広い範囲で
反射防止効果により高い透過特性が得られているという
ことがわかる。
【0107】従って、極めて高透過率特性を有した光学
部品であるといえる。本実施例の構成にて60℃、90
%RH、1000時間の高温高湿試験、SO 2、H2S、
NH3 ガス等の特殊環境下での試験、直射太陽光下10
00時間での耐光試験を行った。
【0108】その結果、いずれにおいてもその赤外透過
特性の低下は全く見られなかった。従って、本実施例の
ものは、高い透過率特性を有しているだけでなく、高い
信頼性も有していることがわかる。
【0109】これは、本実施例のものが、反射防止効果
を発現できる条件を満足しているだけでなく、実施例
1、3で述べたように、基体とSb23の間に中間薄膜
層を、またSb23膜上にCeF3を用いた構成となっ
ているために、高い透過率特性を有しながら、かつ、高
い信頼性を有することができるのであり、実用上極めて
有用なものである。
【0110】なお、ここでCeF3 膜の成膜時におい
て、基板温度を常温で成膜したときには、基板と薄膜の
付着性が悪く、中心波長10μmの場合の膜厚で成膜し
たサンプルをヒ−トサイクル試験を行った結果、薄膜の
一部が基板より剥離してしまった。
【0111】従って、基板温度を常温にて成膜したサン
プルは、熱的な変化が激しく起こるような環境下では、
使用が困難であるといえる。
【0112】しかし、本実施例に示したように、基板温
度を200℃程度にまで上げて成膜したサンプルは、同
試験を行っても剥離しなかった。
【0113】従って、基板温度を200℃程度にまで上
げて成膜を行うということは、薄膜の信頼性を高めてい
く上で極めて有用であるといえる。
【0114】この時、Sb23膜が直接AgBrに接し
たような従来構成で、基板温度を約200度の高温下で
成膜すると、透過率が劣化する。
【0115】しかし、本実施例は、中間薄膜層が介在し
ているため、たとえ成膜時の温度が高温であったとして
も、透過率劣化はほとんどなく、実用上非常に有用であ
るといえる。
【0116】以上より、本実施例の光学部品は、優れた
赤外透過特性を有しつつ、耐高温高湿性、耐環境性、耐
光性、付着性等の非常に高い信頼性を有し、ハロゲン化
銀基体よりなることによる高い量産性をも合わせもった
非常に実用性の高い光学部品であるといえる。
【0117】なお、本実施例においては、CeF3 膜の
光学的膜厚をλ/4(中止波長10μmのとき膜厚約
1.5μm)としたが、実施例3に述べたように約20
nm以上あればかまわない。
【0118】膜厚が薄いときには赤外領域の反射防止効
果は低減下するが、透過特性を向上できることはいうま
でもない。
【0119】(実施例5)次に、屈折率が2.2以下の
低屈折率物質としてBiF3膜を用いた本発明の第5の
実施例について説明する。
【0120】BiF3膜は反射防止効果を発現できる屈
折率が約1.65の材料であるだけでなく、また赤外域
でも高い透過性を示すという非常に有用な物質である。
【0121】この薄膜を高温高湿試験を行ったところ透
過率特性が劣化するという欠点を見いだした。しかし、
この欠点を克服できれば、高い透過性能を持った赤外光
学部品が実現できる。
【0122】図13は、本実施例における赤外光用光学
部品の構成図を示すものである。ここで131はAgB
rよりなる基板、第1層膜132はCeF3膜、第2層
膜133はSb23膜、第3層膜134はBiF3膜、
第4層膜135はCeF3膜である。
【0123】成膜はすべて真空蒸着法で、基板温度を常
温に設定し、CeF3膜132の膜厚は40nm、Sb2
3膜133、BiF3 膜134の光学的膜厚は中心波
長をλとして、それぞれλ/2、λ/4、CeF3膜1
35の膜厚を20nmとして成膜を行った。
【0124】ここで、第4の実施例と相違しているの
は、BiF3 膜の上にCeF3膜が約20nmの非常に
薄い膜厚でコ−ティングされている点である。CeF3
膜は化学的に非常に安定な物質でもあるので、CeF3
膜をBiF3 膜の上にコ−ティングすることにより、高
い透過性を維持しつつ信頼性を向上できる。
【0125】図14は本実施例における赤外光用光学部
品の赤外透過特性をあらわす。このときの中心波長は8
μmとした。曲線141はAgBrよりなる基板の透過
率特性、曲線142は本実施例の構成の透過率特性を示
す。
【0126】この図より本実施例では、波長が約5.5
μm〜12μmの広い範囲で反射防止効果により高い透
過特性が得られているということがわかる。
【0127】本実施例の構成にて、60℃、90%R
H、1000時間の高温高湿試験、SO2、H2S、NH
3 ガス等の特殊環境下での試験、直射太陽光下1000
時間での耐光試験、あるいはヒ−トサイクルによる付着
性試験のいずれにおいてもその赤外透過特性の低下はほ
とんど見られなかった。第3層膜のBiF3 膜を、最表
面層のCeF3膜の保護機能が働いているため信頼性が
向上したと考えられる。
【0128】本実施例のような構成をとることによっ
て、BiF3 のような比較的耐久性に弱い材料であって
も、高い透過特性が得られる利点を生かしつつ、耐環境
性などの信頼性を高めることが可能である。
【0129】また、更に第3層膜としてCaF2 (屈折
率1.31)、PbF2 膜(屈折率1.68)について
も検討をおこなった結果、これらについても高い赤外透
過性と信頼性を確認した。
【0130】なお、本実施例においては、ハロゲン化銀
基体とSb23膜の中間薄膜層をCeF3膜としたが、
これを無機酸化物、無機フッ化物による膜、あるいはこ
れらの内の複数の材料よりなる多層膜であってもよい。
【0131】また、最表面膜としてCeF3膜を用いた
例について説明したが、TiO2膜を用いてもかまわな
い。第3層目の薄膜を保護し、かつそれ自体の光学特
性、信頼性に優れた材料であればかまわない。
【0132】さらに、基体がAgBr以外のAgCl、
AgI、あるいはこれらの固溶体であってもよく、その
形状も問わないことは実施例1に述べた通りである。
【0133】(実施例6)次に、本発明の第6の実施例
について説明する。
【0134】図15に、Sb23膜の膜厚を約1.7μ
mにした従来構成での紫外可視域での透過特性を示す。
これより、従来のものにあっては、He−Neレ−ザ−
波長の633nmにおける透過率がほぼゼロであるとと
もに、ハロゲン化基体が感光する波長の光が遮断できて
いることがわかる。
【0135】ところで、通常、光学部品の光学系の調整
はHe−Neレーザーが使用され、その場合、光学部品
の透過率は約1%必要とされている。しかし、従来の構
成では光がほとんど透過しないため、He−Neレーザ
ーを用いて光学系を調整することが非常に困難である。
【0136】そこで、Sb23膜の膜厚を更に薄くすれ
ば、He−Neレーザー波長での透過率が向上するので
はないかと考え、Sb23膜の膜厚と透過率特性との相
関性を実験により求めた。
【0137】その結果を図16に示す。膜厚約1.0μ
m以下において約1%以上の透過率が得られることが分
かる。
【0138】従って、Sb23膜の膜厚を約1μm以下
に設定すればHe−Neレーザー光を透過するため、従
来の光学調整装置がそのまま使用でき、光学部品として
極めて実用的な大きなメリットであるといえる。
【0139】しかし、従来の膜構成で単に膜厚を薄くし
ただけでは、赤外域での透過率が薄膜の干渉効果によっ
て更に低下してしまう(10%以上)。
【0140】そのため、He−Neレ−ザ−光の透過性
と、赤外光の透過性を同時に両方満足することは非常に
困難であった。
【0141】本実施例は、このような場合に用いて有用
なものであり、図17に本実施例の赤外光用光学部品の
構成図を示す。ここで171はAgBrよりなる基板、
第1層膜172、第3層膜174および第5層膜はCe
3膜、第2層膜173、および第4層膜175はSb2
3膜である。
【0142】成膜はすべて真空蒸着法で、基板温度が2
00℃にておこない、CeF3 膜172の膜厚は約40
nm、中心波長をλとして、Sb23膜173および1
75の光学的膜厚はそれぞれ約λ/16、CeF3 膜1
74の光学的膜厚は約λ/8である。また、CeF3
176の膜厚は20nmである。
【0143】ここで、第1層目と第5層目のCeF3
は、実施例1、3で述べた様に、特殊環境化での信頼性
を高める働きをするものである。また、第2層、第3
層、第4層は、0.4μm以下の光を遮断しつつ、He
Neの透過性を向上させ、更に、赤外波長域での反射防
止性を発現して透過性を向上させるためのものである。
【0144】このように、本実施例での反射防止構成
は、実施例4、5で述べた構成と全く違っており、第2
層と第4層の2カ所にSb23膜を分割させるととも
に、その間の第3層に低屈折率物質であるCeF3膜を
設けた構成となっている。
【0145】検討の結果、実施例4、5で述べた構成で
膜厚を変更しただけでは、上記課題を解決することが困
難で、本実施例のようなSb23膜を2分割するととも
に、その間に低屈折率物質を設けた新構成にすれば実現
できることが判明した。
【0146】図18は、このような5層構成の本実施例
の紫外光〜可視光の波長領域における透過特性あらわ
す。なお、中心波長は10μmとした。
【0147】これより、波長633nmでの透過率が約
10%と極めて高い透過性が実現できていることがわか
る。また、ハロゲン化基体が感光する波長域の光も同時
に遮断できていることがわかる。
【0148】検討の結果、Sb23膜の膜厚が約0.4
μm以上であればハロゲン化基体が感光する波長の光を
遮断できることが判明した。
【0149】これより、波長633nmでの透過率が1
%以上で、なおかつハロゲン化銀基体を感光させないた
めには、Sb23膜の膜厚が0.4μm以上1.0μm
以下である必要があるといえる。
【0150】本実施例のSb23膜の膜厚は、0.42
μmであり、上記条件を満足していることはいうまでも
ない。
【0151】また、図19に本実施例の赤外透過特性を
示す。曲線191は、AgBrよりなる基板の特性、曲
線192は本実施例の構成の特性を示す。この図より本
実施例では、波長が7.5μm〜20μm以上の広い範
囲で、反射防止効果が発現し、高い透過特性が得られて
いるということがわかる。
【0152】従って、本実施例の構成を用いることによ
り、従来の構成では実現できなかった、波長633nm
での透過性と赤外域での透過性を同時に実現できるた
め、極めて有用な発明といえる。
【0153】また、本実施例の構成にて60℃、90%
RH、1000時間の高温高湿試験、SO2、H2S、N
3 ガス等の特殊環境下での試験、直射太陽光下100
0時間での耐光試験、あるいはヒ−トサイクル試験を行
った。
【0154】その結果、いずれにおいてもその赤外透過
特性の低下は認めることができなかった。この様に、本
実施例のものは、極めて信頼性の高い光学部品であると
いえる。
【0155】これは、本実施例が、反射防止効果を発現
させる構成だけでなく、実施例1、3で示した様な、信
頼性をも高める構成であるためである。従って、本実施
例の赤外光用光学部品は、赤外波長域で高い透過特性を
実現できるだけでなく、He−Neレ−ザ−波長(63
3nm)でも高い透過率を示し、かつハロゲン化銀の感
光波長である約0.4μm以下の光も遮断すると共に、
各種信頼性試験に対しても、光学特性の劣化がないこと
から、極めて有用なものである。
【0156】さらに、本実施例の5層の総膜厚は、本実
施例に示した中心波長10μmの場合、従来構成では、
約1.7μmも必要であったのに対し、本実施例では約
1.2μmであり、非常に薄い構成で良好な光学特性が
実現できている。
【0157】これは実施例4、5でも示した反射防止効
果を発現させる構成と比較しても、非常に薄い膜厚であ
るといえる。
【0158】このことは、薄膜を作成する際の時間短縮
につながるだけでなく、材料費節減にもなるため、実用
上きわめて有用であるといえる。
【0159】なお、本実施例においては第3層膜をCe
3 膜を用いた例について説明したが、BiF3、Pb
2あるいはCaF2 膜でもかまわない。赤外波長で透
明で屈折率が比較的低い材料であれば、反射防止効果を
発現できる。
【0160】また、本実施例においては、ハロゲン化銀
基体とSb23膜の中間薄膜層をCeF3 膜としたが、
これを無機酸化物、無機フッ化物、あるいはこれらの内
の複数の材料よりなる多層膜であってもよいことは、実
施例1に述べたとうりである。
【0161】また、本実施例における最表面層のCeF
3膜がTiO2 膜であってもよいことは実施例3に述べ
たとうりである。
【0162】しかし、本実施例に示したように、第1
層、3層、5層の薄膜材料を同一にすることは、多種類
の材料で構成するよりも、作成上非常に有用であるとい
える。
【0163】従って、第1層、第3層、第5層をCeF
3膜を用いることは極めて有用であるといえる。
【0164】また、本実施例では基体がAgBrについ
て述べたが、AgBr以外のAgCl、AgI、あるい
はこれらの固溶体であってもよく、その形状も問わない
ことは実施例1と同様である。
【0165】
【発明の効果】以上のように本発明は、ハロゲン化銀か
らなる基体とSb23からなる薄膜層との間に中間薄膜
層を設け、最表面膜が耐環境性にすぐれた材料からなる
構成を備えたもので、赤外光領域にて優れた光学特性を
有しつつ、耐高温高湿性、耐環境性、耐光性において、
極めて高い信頼性をもつ赤外光用光学部品を実現するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の赤外光用光学部品の構成図
【図2】本発明の赤外光用光学部品の薄膜を形成する装
置の概略図
【図3】本発明の赤外光用光学部品の信頼性試験結果を
示す光学特性図
【図4】本発明と従来の赤外光用光学部品の信頼性試験
結果を示す光学特性図
【図5】本発明の赤外光用光学部品の光学特性を示す特
性図
【図6】本発明の赤外光学部品の分析図
【図7】本発明の赤外光学部品の概要図
【図8】本発明の赤外光用光学部品の信頼性を示す特性
【図9】本発明の赤外光用光学部品の構成図
【図10】本発明の赤外光用光学部品の赤外透過特性図
【図11】本発明の赤外光用光学部品の構成図
【図12】本発明の赤外光用光学部品の赤外透過特性図
【図13】本発明の赤外光用光学部品の構成図
【図14】本発明の赤外光用光学部品の赤外透過特性図
【図15】従来構成での赤外光用光学部品の紫外可視域
での光学特性図
【図16】膜厚と透過率の関係を示す関係図
【図17】本発明の赤外光用光学部品の構成図
【図18】本発明の赤外光用光学部品の紫外〜可視透過
特性図
【図19】本発明の赤外光用光学部品の赤外透過特性図
【図20】従来の赤外光用光学部品の構成図
【図21】従来の赤外光用光学部品の赤外透過特性図
【図22】従来例における高温高湿試験前後の赤外透過
特性図
【図23】従来例におけるSO2ガス試験前後の赤外透
過特性図
【符号の説明】
11 AgBrからなる基板 12 BiF3膜 13 Sb23膜 21 真空槽 22 基板ホルダ− 23 基板 24 ルツボ 25 排気ポンプ 26 EB銃 27 シャッタ− 71 シリコン基板 72 Sb23膜 73 TiO2膜 91 AgBrからなる基板 92 CeF3膜 93 Sb23膜 111 AgBrからなる基板 112 CeF3膜 113 Sb23膜 114 CeF3膜 131 AgBrからなる基板 132 CeF3膜 133 Sb23膜 134 BiF3膜 135 CeF3膜 171 AgBrからなる基板 172 CeF3膜 173 Sb23膜 174 CeF3膜 175 Sb23膜 176 CeF3膜 201 ハロゲン化銀基体 202 Sb23

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハロゲン化銀からなる基体上に、Sb23
    からなる薄膜層を有し、前記基体と前記Sb23からな
    る薄膜層との間に中間薄膜層を備えた赤外光用光学部
    品。
  2. 【請求項2】中間薄膜層が無機酸化物もしくは無機フッ
    化物である請求項1記載の赤外光用光学部品。
  3. 【請求項3】無機酸化物としてTiO2を用いた請求項
    2記載の赤外光用光学部品。
  4. 【請求項4】無機フッ化物としてBiF3、CeF3
    用いた請求項2記載の赤外光用光学部品。
  5. 【請求項5】基体上に、Sb23からなる薄膜層を少な
    くとも1層以上備え、かつ最表面膜がTiO2もしくは
    CeF3からなる赤外光用光学部品。
  6. 【請求項6】ハロゲン化銀からなる基体上に、第1層目
    としてCeF3からなる薄膜層を、第2層目としてSb2
    3からなる薄膜層を、第3層目として赤外波長域で透
    明でその屈折率が2.2以下である薄膜層を備えた赤外
    光用光学部品。
  7. 【請求項7】ハロゲン化銀からなる基体上に、第1層目
    としてCeF3からなる薄膜層を、第2層目としてSb2
    3からなる薄膜層を、第3層目としてCeF 3からなる
    薄膜層を備えた赤外光用光学部品。
  8. 【請求項8】ハロゲン化銀からなる基体上に、第1層目
    としてCeF3からなる薄膜層を、第2層目としてSb2
    3からなる薄膜層を、第3層目としてBiF 3からなる
    薄膜層を、第4層目としてCeF3からなる薄膜層を備
    えたことを特徴とする赤外光用光学部品。
  9. 【請求項9】ハロゲン化銀からなる基体上に、第1層目
    としてCeF3からなる薄膜層を、第2層目としてSb2
    3からなる薄膜層を、第3層目としてCeF 3 からな
    る薄膜層を、第4層目としてSb23からなる薄膜層
    を、第5層目としてCeF3からなる薄膜層を備えた赤
    外光用光学部品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5616922A (en) * 1993-03-09 1997-04-01 Reffner; John A. Optically coupled infrared transmitting composite internal reflecting elements
WO2012160979A1 (ja) * 2011-05-24 2012-11-29 独立行政法人産業技術総合研究所 赤外線透過膜、赤外線透過膜の製造方法、赤外線用光学部品および赤外線装置

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US9575216B2 (en) 2011-05-24 2017-02-21 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Infrared-transmitting film, method for producing infrared-transmitting film, infrared optical component, and infrared device

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