JPH0513943U - 飲料缶用注出補助具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 飲料缶、特に大形飲料缶からコップなどに飲
料をそそぐ際の液だれおよび泡過多などを抑制する。 【構成】 円環状フイルム１からなり、それを飲料缶の
巻締部３と胴部との間に形成されているネックイン部２
に装着してフイルム１外周端から滴下させる流出経路を
形成させて、胴部への液だれを防止する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ビール、清涼飲料等を充填した缶より内容液をコップ等に注ぐ際、 注ぎやすくするための注出補助具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

缶入りのビール、清涼飲料では、缶からそのまま飲用する場合と、コップ等の 二次容器に移した後に飲用する場合の２種類の使用方法がある。後者の場合、二 次容器に移す時に机の上に液がこぼれ、付近を汚すことがしばしば起る。特に、 背の高い大型缶にビールを充填した場合に、この傾向が著しい。

【０００３】 この理由は、以下の通りである。びんや缶に液を充填するときに、容器上部に はヘッドスペースと呼ばれる空間部を作る。この空間部は、容器を傾けたときに 、直ちに液を流出させること無く、ある角度になるまで液体を容器内に溜めて置 くのに有用であり、この角度が大きく取れるほど、注ぎ易くなる。角度を大きく 取るためには、ヘッドスペースは高さ方向に細長く、大きいことが必要である。 しかし、びんと缶を比較すると明らかなように、缶は胴（首）部が太く、従って ヘッドスペースを高さ方向に細長く、大きくすることは事実上できない。

【０００４】 従って、注ぎ出し時の容器の傾斜角度が大きくできないということは、缶に生 得的な問題であるといえる。

【０００５】 傾斜角度が大きくできないということは、充填内容物がビール等の発泡性飲料 の場合に、特に問題を生じる。すなわち、この傾斜角度が小さい場合には、流出 口の高さが高くなることになるが、所謂「置き注ぎ」をする場合にはコップ上端 に容器の口を接触させることができないから、高所より勢いよく注ぐことになる 。このような場合、ビール等の発泡性飲料では泡過多の現象を起こしやすい。こ の傾向は大型缶ではより顕著になる。

【０００６】 上記のような欠点を回避するために、開口部に注出補助具を用いることは、類 似の容器においても、しばしば行われている。しかし、多くの場合、これらの補 助具は、かさばり、運搬、保管、販売時に邪魔になり、余分なスペースが必要に なる。 また、従来の補助具は注出口の外側または内側にはめ込む構造のものが多いが 、飲み口をスティオンタブとした場合は、注出口は、形状も複雑であると共にタ ブの一部が口部を防ぐため、これに注出補助具をはめ込むことは、非常に困難で ある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

缶蓋の構造にかかわりなく採用することができ、缶上部の所謂ネックインされ た缶胴部分に装着することにより、輸送、保管、販売時には従来の形態に影響を 及ぼさず、使用時においては、液だれや、高所からの流下を防ぐことにより周囲 を汚すことの少ない飲料缶用注出補助具を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

＜考案の要旨＞ 本案による飲料缶用注出補助具は、円環状フイルムからなり、缶上部のネック インされた缶胴部分に装着したときに、缶の巻締部からネックインされた缶胴部 分を伝わって流下しようとする充填飲料を該円環状フイルム外周端から滴下させ る流出経路を形成させることができる、ものである。 また、本案による飲料缶は、上部のネックインされた缶胴部分に、上記の円環 状フイルムを装着してなるもの、である。 ＜考案の効果＞ 傾斜角度が大きくできないことに起因する問題は大型缶の場合に顕著であるこ とは前記したところであって、大型缶として繁用されている１リットル缶で周囲 を汚さず、希望通りの量をコップに注ぎ分けることは、困難であったが、本案品 を使用することにより大幅に注ぎ易くなって、小形缶と同程度に液だれ、泡過多 などを抑制することができ、周囲を汚すことが、ほとんど無くなる。また、本案 品は、フイルムにより作成できるので、型成形品と比較すると相当安価にできる 。 ＜考案の具体的説明＞ 本案による飲料缶用注出補助具は、円環状フイルムからなるものである。そし て、その内径は、缶の巻締部と胴部との間に形成されているネックイン部、すな わち巻締部から階段状に（あるいは非階段状に）径が拡大されて胴部に到る部分 、の最少の外径と同等あるいはそれに近いものであり、狭い幅の円環になってい る。 このような構造および寸法によって、本案注出補助具は、これを缶の巻締部か ら押し込むと、丁度ネックイン部の最少外径部に装着されて、缶の巻締部の直下 に円環状フイルムを鍔状に装着した状態となる。そして、缶を傾斜させて充填飲 料を流出させると、缶の傾斜角度が小さいということに起因して飲料が巻締部を 濡らしてネックインされた缶胴部分（必要に応じてネックイン部という）を伝わ って流下しようとしても、円環状フイルムにより流下が防止され、缶胴から円環 状フイルムの外周端に至る経路を流れて外周端から滴下する。本案円環と缶胴ネ ックイン部分との間にある程度の間隙があっても、流出飲料はその間隙をのりこ えて円環外周部へ進行することは、思いもかけなかったことといえよう。

【０００９】 本案飲料缶用注出補助具の一具体例は、図示した通りのものである。すなわち 、図１は、本案注出補助具をビ−ル缶のネックイン部に装着したものを示す縦断 面図であり、図２は、本案注出補助具の平面図である。 この注出補助具の具体例は、耐水性の狭い幅の円環状フイルム（１）からなる 。 ここで、円環状フイルム（１）の一具体例は、図示したような平面状のもの、 すなわち、平面状フィルムから円環状に打ち抜いた形態のもの、である。いいか えれば、この具体例は、それを缶のネックイン部に装着したときに、缶の中心軸 に対して直角な平面をなす形態のものである。缶の中心軸に対して直角な平面を なす形態の具体例は、必要に応じて改変が可能である。そのような本考案の一例 は、円環に当該円の仮想中心からみて放射状の畝を設けたものである。そのよう な形態のものは、円周方向に伸縮性があるので、当該円環を缶胴上部に嵌装する のに円環内径が拡大されて嵌装が容易になると共に、流出飲料が円環上でその円 周方向に広がらないという利点も得られよう。

【００１０】 本案による他の具体例は、所謂「朝顔状」のもの、すなわち、円錐裾部の周面 の形態のもの、である。この場合の朝顔形の程度、すなわち、円錐の底の直径に 対して高さの比率、は任意であるが、円錐でいえば高さが底の１／２以下、好ま しくは充分に高さが低いこと、が望ましい。

【００１１】 このような朝顔形の円環状フイルムは、これを円錐でいえば底が下側になるよ うな状態で使用すれば、缶上部への嵌装も容易であると共に飲料の流路形成上も 有利であろうが、円環状フイルムはその円環の直径に比べて幅（すなわち、内外 径の差）が小さいので、簡単に朝顔形が反転して、円錐でいえば逆円錐形ないし 倒立円錐形となり易い。逆円錐形の円環状フイルムは、しかし、その上に飲料を 貯溜させて、缶胴との間の間隙から缶胴へ伝って流下する現象を生じ易い。 従って、本案による円環状フイルムの好ましい具体例は、それを缶上部に装着 したときに缶の中心軸に対して直角な平面に存在する形状のものであり、製作が 容易であることからいって、単純な平面状のものが最も好ましい。

【００１２】 円環状フイルム（１）の内径は、缶のネックイン部（２）の最小径部とほぼ等 しいかあるいはそれに近いもの、すなわち若干大きい、ものであり、内径を若干 大きくする場合は、例えば最少ネックイン部半径より０．５〜１ｍｍ程度大きく するのがよい。円環状フイルム（１）は、巻締部（３）上部から押し込んで、ネ ックイン部の最小径部に装着することになる。なお、円環状フイルム（１）内径 を若干大きくすれば遊びのある状態でネックイン部（２）の最小径部に装着され ることになるが、装着部位は必ずしも最小径部である必要がない。

【００１３】 円環状フイルム（１）の外径は、内径よりも例えば２〜１０ｍｍ程度大きいこ と、すなわち円環の幅が２〜１０ｍｍ程度であること、がふつうである。 また、円環状フイルム（１）は、厚さが０．２〜１ｍｍ程度、好ましくは ０．３〜０．５ｍｍ程度、の耐水性フイルムからなっている。

【００１４】 耐水性フイルムは、耐水性を有するものであれば、どのような素材のフイルム でもよい。液だれをより効果的に防止するには、撥水性を有するフイルムである ことがより好ましい。耐水性フイルムの代表的なものとしては、防水加工紙およ び合成樹脂フイルムがあり、合成樹脂フイルムとしては、例えば、ポリプロピレ ン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレ−トまたはポリ塩化 ビニル等のフイルムがある。

【００１５】

【考案の効果】

本案飲料缶用注出補助具の使用に関しては、下記の特色を指摘することができ る。 （１） 収納時、保管、輸送時には、本考案品はデッドスペース部であるネック インされた缶胴部分に装着されているので、従来と変わること無く、余分なスペ ースを必要としない。販売時においても、特別の手立だてを要しない。また、自 動販売機においても、使用に制限は無い。 （２） 缶からコップ等の二次容器に移す場合には、本考案品を装着してあると 、注出口から流下した内容液は、巻締部を濡らしてネックインされた缶胴部分を 伝わって流下しようとするが、本考案品によって流下が遮られ、本考案品の外周 端部より滴下する。従って、流下した内容液が、缶胴を伝わって二次容器以外の 部分にこぼれることが事実上皆無となる。 （３） 缶から直接飲む場合は、本考案品を装着したままで飲むことができ、必 要に応じて、取り外して飲むことも容易である。

【００１６】

【実施例】

（i) 供試注出補助具 図２に示すような注出補助具を大型の１リットルの缶（高さ２０４ｍｍ、胴径 ８４ｍｍφ、ネックイン部の最小径７３．３ｍｍφ）のネックイン部に図１のよ うに装着した。ビールを内容液に選んで試験を行った。充填量は、規定量の１リ ットルとした。使用した注出補助具は、円環の幅が３ｍｍであった。 （ii) 液だれ試験 本考案品を装着したものと、しないものを用意した。内容液のビールを同温度 にした。両方の缶の注出口からそれぞれのコップに注ぎ入れた。その状態を１０ 人のパネルにより観察して、その結果を記録した。

【００１７】 ａ） 品温５℃、コップを机上に置いた場合 液だれを起こしたか（％） 起こした わずかに起こした 起こさなかった 本考案品を装着した場合 １０ ０ ９０ 本考案品を装着しない場合 ９０ ０ １０ 液量は制御できたか（％） 出来なかった ほぼ出来た 出来た 本考案品を装着した場合 ２０ ４０ ４０ 本考案品を装着しない場合 ９０ １０ ０ ｂ） 品温１０℃、コップを机上に置いた場合 液だれを起こしたか（％） 起こした わずかに起こした 起こさなかった 本考案品を装着した場合 １０ １０ ８０ 本考案品を装着しない場合 ６０ ３０ １０ 液量は制御できたか（％） 出来なかった ほぼ出来た 出来た 本考案品を装着した場合 ４０ １０ ５０ 本考案品を装着しない場合 ９０ １０ ０ ｃ） 品温５℃、コップを片手に缶を片手に持った場合 液だれを起こしたか（％） 起こした わずかに起こした 起こさなかった 本考案品を装着した場合 ０ ２０ ８０ 本考案品を装着しない場合 ７０ ２０ １０ 液量は制御できたか（％） 出来なかった ほぼ出来た 出来た 本考案品を装着した場合 ０ ３０ ７０ 本考案品を装着しない場合 ７０ ２０ １０ （iii)結論 ａ）、ｂ）、ｃ）のいずれも、本考案品を装着しない場合に比較して本考案品 を装着した場合の方が、液だれしにくく、液量の制御が容易であり、泡過多など の問題が起こりにくいことが明らかになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本案注出補助具を缶のネックイン部に装着した
ものを示す部分縦断面図である。

【図２】本案注出補助具の平面図である。

【符号の説明】

１ 円環状フイルム ２ ネックイン部 ３ 巻締部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】円環状フイルムからなり、それを缶上部の
   ネックインされた缶胴部分に装着したときに、缶の巻締
   部からネックインされた缶胴部分を伝わって流下しよう
   とする充填飲料を該円環状フイルム外周端から滴下させ
   る流出経路を形成させることができる、飲料缶用注出補
   助具。
2. 【請求項２】缶上部のネックインされた缶胴部分に、請
   求項１に記載の円環状フイルムを装着してなる、飲料
   缶。