JPH0513814A - 量子井戸構造 - Google Patents

量子井戸構造

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JPH0513814A
JPH0513814A JP3194770A JP19477091A JPH0513814A JP H0513814 A JPH0513814 A JP H0513814A JP 3194770 A JP3194770 A JP 3194770A JP 19477091 A JP19477091 A JP 19477091A JP H0513814 A JPH0513814 A JP H0513814A
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JP3194770A
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Akihito Taguchi
明仁 田口
Kenichiro Takahei
謙一郎 高幣
Moriyuki Taniguchi
守進 谷口
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 半導体中に添加された遷移金属原子の内殻電
子系からの発光の鋭いスペクトルを保ちつつ、その強度
を室温においても低温と同程度に保つための材料の構成
方法としての量子井戸構造を提供する。 【構成】 禁制帯エネルギー幅の小さい層状をなす結晶
6 を、それより禁制帯エネルギー幅の大きい層状をなす
結晶7 で挟み、該禁制帯エネルギー幅の小さい結晶6 に
鉄族遷移金属原子或いは希土類遷移金属原子或いはアク
チノイド遷移金属原子を添加したことを特徴とする量子
井戸構造において、結晶6 の厚さと、結晶7 の禁制帯エ
ネルギー幅を調整して、遷移金属のd殻或いはf殻電子
系の共鳴励起エネルギーと、結晶6 中の電子及び正孔の
準位間を介した電子と正孔の再結合エネルギーを一致さ
せ、或いは結晶6 に添加した遷移金属原子がつくる電子
或いは正孔の捕獲準位を介した電子と正孔の再結合エネ
ルギーを一致させたことを特徴とする量子井戸構造とし
ての構成を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体中に鉄族遷移金属
原子、或いは希土類遷移金属原子、或いはアクチノイド
遷移金属原子を添加した光半導体等に用いられる量子井
戸構造に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体中に鉄族遷移金属原子或いは希土
類遷移金属原子或いはアクチノイド遷移金属原子(以下
総称して遷移金属原子と呼ぶ)を添加した結晶に於て、
その半導体の禁制帯エネルギー幅より大きいエネルギー
を持つ光を照射すると、半導体中に電子と正孔が生成さ
れる。この電子と正孔が再結合する際に放出されるエネ
ルギーが、遷移金属原子のd殻電子系或いはf殻電子系
(以下総称して内殻電子系と呼ぶ)へ移行し、遷移金属
原子に特有の内殻電子系からの狭いスペクトル幅の発光
が観測される。これらの観測結果については、例えば
P. B. Klein、J. E. Furneanx、及び R. L. Henry に
よる " Laser oscillation at 3.53μm fromFe2+ in n-
InP : Yb, " と題する文献、Applied Phisics Letters
Vol.42, No.8, p.638(1983) 、或いは、K. Uwai 、H.
Nakagome 、及び K. Takahei による" Yb-doped InP gr
own by metal organic chemical vapor deposition,"
と題する文献、Applied Physics Letters Vol.50, No.1
5, p.977(1987) において開示されている通りである。
この様な発光線は、高い温度でもその狭い発光線幅を保
ち、かつ、温度の変化に対する波長変化の割合が小さい
という特徴を持つ。この点については、例えば K. Taka
hei 、P. Whitney、H. Nakagome 、及びK. Uwai による
" Temperature dependence of intra-4f-shell photo
− and electroluminescence spectra of erbium − d
oped GaAs "と題する文献、Journal ofApplied Physics
Vol.65, No.3, p.1257(1989) において開示されている
通りである。このため、この様な半導体材料は、発光波
長の安定な半導体レーザーや発光ダイオード用の材料と
して有望であることが広く知られている。しかし、従
来、この材料系では一般に室温ではその発光強度が液体
ヘリウム温度に比較して1桁以上低くなることから実用
的な材料の実現が困難であった。
【0003】図7及び図8は従来の技術を説明するため
の模式的なエネルギー帯構造図を示し、図7は母体半導
体、図8は遷移金属原子の内殻電子系に対応している。
【0004】図7及び図8を用いて、室温での発光強度
が低い主要な原因は、次のような機構によって説明され
る。図7においては、1は半導体の価電子帯、2は半導
体の伝導帯、3は遷移金属原子が母体半導体の禁制帯内
に形成する準位を示している。図8において、4は遷移
金属原子の内殻電子系の基底状態、5は励起状態を表わ
す。遷移金属原子の内殻電子系の励起過程においては、
遷移金属原子が母体の半導体のネエルギー禁制帯中に形
成する準位3を介した電子と正孔の再結合が内殻電子系
を励起する。例えば、遷移金属原子が形成する準位3が
電子を捕獲し、その後、捕獲された電子が正孔と再結合
する際に、その再結合エネルギーE1 が遷移金属の内殻
電子系を基底状態4から励起状態5へ励起する。この点
については、例えば K. Takahei 、A. Taguchi、 H. Na
kagome、 K. Uwai、及びP. Whitney による " Intra-4f
-shell luminescence exitation and quenching mechan
ism of Yb in InP " と題する文献、Journal of Applie
d Physics Vol.66, No.10, p.4941(1989) において開
示されている通りである。励起された内殻電子系は基底
状態に緩和し、その緩和エネルギーE2 を光として放出
する。しかし、高温においては励起された内殻電子系が
緩和する際にその緩和エネルギーE2 が母材半導体に移
動し(以下、エネルギー逆移動と呼ぶ)、遷移金属原子
が母体の半導体の禁制帯中に形成する準位3に価電子帯
から電子を励起するために使われることも可能になる。
この電子は母材半導体の伝導帯に熱励起され、その結果
内殻電子系からの発光強度が低くなる。この点について
は、例えば A. Taguchi 、H. Nakagome 、及び K. Taka
hei による " Relaxation mechanism of Yb 4f-shell i
n InP " と題する文献、Third International Conferen
ce on InP and RelatedMaterials, Cardiff, UK(1991)
において開示されている通りである。この過程を無く
すことができれば、従来よりもより高温まで発光強度を
強く保つことが期待できる。
【0005】高温において内殻電子系からの発光強度を
低下させないためには、次の(a) 、(b) の2つの方法が
考えられる。
【0006】(a) 第1の方法は遷移金属原子が形成する
準位から電子が熱的に伝導帯へ励起する確率を減少させ
ることであり、これは遷移金属原子が形成する準位3の
伝導帯からのエネルギー位置を深くすることによって実
現される。
【0007】(b) 第2の方法はエネルギー逆移動が起こ
らないようにすることであり、これは、遷移金属原子が
形成する準位に電子を励起するために必要なエネルギー
1 と内殻電子系の緩和エネルギーE2 の大きさの差を
大きくすることによって実現される。
【0008】遷移金属原子が母体半導体禁制帯中に形成
する準位の位置は、遷移金属原子の種類と母体半導体の
種類(母体半導体が混晶の場合はその構成元素とその組
成)により定まっている。従って、この準位の伝導帯か
らの深さ、遷移金属原子の内殻電子系を励起するエネル
ギー(図7中のE1 に相当する)は、母体半導体結晶の
種類と遷移金属原子の種類との組合せに固有のものであ
り、その結果、遷移金属原子の内殻電子系からの発光強
度の温度特性もこの組合せに固有の性質である。従来の
結晶では、遷移金属原子が母体半導体禁制体内に形成す
る準位の伝導帯からの深さ及び内殻電子系を励起するエ
ネルギーを、母体半導体の種類と遷移金属原子の種類の
組合せに対して、独立に制御することができないため、
遷移金属内殻電子系からの発光強度の温度特性を改善す
ることができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、半導
体中に添加された遷移金属原子の内殻電子系からの発光
の鋭いスペクトルを保ちつつ、その強度を室温において
も低温と同程度に保つための材料の構成方法としての量
子井戸構造を提供することにある。
【0010】更に本発明の目的の1つは、禁制帯エネル
ギー幅の大きい層状半導体で挟まれた禁制帯エネルギー
幅の小さい結晶への添加すべき遷移金属原子は、内殻電
子系が複数の励起状態を有する金属原子であることを特
徴とする量子井戸構造を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の構成は下記に示
す通りである。即ち、本発明は、禁制帯エネルギー幅の
小さい層状をなす結晶を、それより禁制帯エネルギー幅
の大きい層状をなす結晶で挟み、該禁制帯エネルギー幅
の小さい結晶に鉄族遷移金属原子或いは希土類遷移金属
原子或いはアクチノイド遷移金属原子を添加したことを
特徴とする量子井戸構造としての構成を有するものであ
り、或いはまた、
【0012】前記禁制帯エネルギー幅の小さい結晶の厚
さと、前記禁制帯エネルギー幅の大きい結晶の禁制帯エ
ネルギー幅を調整して、前記遷移金属のd殻或いはf殻
電子系の共鳴励起エネルギーと、前記禁制帯エネルギー
幅の小さい結晶中の電子及び正孔の準位間を介した電子
と正孔の再結合エネルギーを一致させ、或いは禁制帯エ
ネルギー幅の小さい結晶に添加した遷移金属原子がつく
る電子或いは正孔の捕獲準位を介した電子と正孔の再結
合エネルギーを一致させたことを特徴とする量子井戸構
造としての構成を有するものであり、或いはまた、
【0013】禁制帯エネルギー幅の小さい結晶をIII −
V族半導体とし、禁制帯エネルギー幅の小さい結晶を挟
む禁制帯エネルギー幅の大きい半導体結晶の格子定数
が、禁制帯エネルギー幅の小さい半導体結晶の格子定数
と一致することを特徴とする量子井戸構造としての構成
を有するものであり、或いはまた、
【0014】添加すべき遷移金属原子は、内殻電子系が
複数の励起状態をもつ遷移金属原子であることを特徴と
する量子井戸構造としての構成を有するものであり、或
いはまた、
【0015】禁制帯エネルギー幅の小さい結晶をErも
しくはNdを添加したGaAs層とし、禁制帯エネルギ
ー幅の小さい結晶を挟む禁制帯エネルギー幅の大きい半
導体結晶をAl0.3 Ga0.7 As層としたことを特徴と
する量子井戸構造としての構成を有するものであり、或
いはまた、
【0016】禁制帯エネルギー幅の小さい結晶をYbを
添加したInP層とし、禁制帯エネルギー幅の小さい結
晶を挟む禁制帯エネルギー幅の大きい半導体結晶をIn
0.52Al0.48As層としたことを特徴とする量子井戸構
造としての構成を有するものであり、或いはまた、
【0017】禁制帯エネルギー幅の小さい結晶をNdを
添加したGaAs層とし、禁制帯エネルギー幅の小さい
結晶を挟む禁制帯エネルギー幅の大きい半導体結晶をZ
nSe層としたことを特徴とする量子井戸構造としての
構成を有するものである。
【0018】
【実施例】本発明の第1を実現するには、まず、図1に
示すように、遷移金属原子を添加する禁制帯エネルギー
幅の小さい層状半導体6をこれより禁制帯エネルギー幅
の大きい層状半導体7で挟み、前記遷移金属原子を添加
した層状半導体の層厚を十分小さくする。この様な構造
においては、伝導帯の電子或いは価電子帯の正孔の一方
或いは両方は、禁制帯エネルギー幅の小さい層状半導体
内に閉じこめられるため、その取り得るエネルギーレベ
ルが変化する。この様な構造を取らない場合と比較し
て、電子のエネルギーレベル8は上昇し、正孔のエネル
ギーレベル9は下降する。このエネルギーレベルの変化
の大きさは、禁制帯エネルギー幅の小さい層状半導体の
層厚、及び禁制帯エネルギー幅の小さい層状半導体と禁
制帯エネルギー幅の大きい層状半導体の伝導帯の不連続
の大きさ(図1中、10と11の差)、及び価電子帯の不連
続の大きさ(図1中、12と13の差)に依存している。従
って、以下の2つの方法により電子と正孔のエネルギー
レベルを変化させることが可能である。
【0019】(1) 禁制帯エネルギー幅の小さい層状半導
体及び禁制帯エネルギー幅の大きい層状半導体の種類は
固定し、禁制帯エネルギー幅の小さい層状半導体の層厚
を変化させる。この場合、禁制帯エネルギー幅の小さい
層状半導体の層厚を薄くするにつれ、電子のエネルギー
レベル8は上昇し、正孔のエネルギーレベル9は下降す
る。
【0020】(2) 禁制帯エネルギー幅の小さい層状半導
体の種類及び層厚は固定し、禁制帯エネルギー幅の大き
い層状半導体の種類を変化させる、或いは混晶半導体を
用いてその組成を変化させることによって、伝導帯及び
価電子帯の不連続の大きさを変化させる。伝導帯の不連
続の大きさが大きいほど電子のエネルギーレベルは上昇
し、価電子帯の不連続の大きさが大きいほど正孔のエネ
ルギーレベルは下降する。
【0021】遷移金属原子が母体半導体の禁制帯中に形
成する準位は、電子を捕獲する性質を持つ場合と、正孔
を捕獲する性質を持つ場合の2通りがあるが、前者の場
合を例として以下説明する。
【0022】前記の(a) を実現させるためには、上記の
(1) 、(2) を利用して、禁制帯エネルギー幅の小さい半
導体中に形成される電子のエネルギーレベルを上昇させ
る。このとき、遷移金属原子が形成する準位に捕獲され
た電子は伝導帯の電子に比べ禁制帯エネルギー幅の大き
い半導体で挟まれた影響を受け難いため、その準位14の
エネルギー位置は電子のエネルギーレベル8と比べ変化
は小さい。準位から電子が熱励起されるために必要な実
効的エネルギーはE3 となり、これは図2の構造を構成
する以前の熱励起に必要なエネルギーE4 より大きい。
従って、より高温においても内殻電子系からの発光強度
は強く保たれる。
【0023】前記の(b) を実現するためには、内殻電子
系が複数の励起状態をもつ遷移金属原子を禁制帯エネル
ギー幅の小さい半導体に添加する。図2は内殻電子系が
複数の励起状態を有する遷移金属原子の模式的エネルギ
ー帯構造図を示す。内殻電子系からの発光は、励起準位
15から基底状態14へ遷移することによって起こる。上記
の(1) 、(2) を利用して、内殻電子系の励起に利用され
るエネルギー(図1中のE5 )を、観測される内殻電子
系の発光に関与している励起準位15よりエネルギーの高
い準位、例えば図2の16を励起するエネルギーE6 と一
致させる。このような構造をつくることによって、励起
準位16を共鳴励起する。励起準位16から励起準位15への
遷移確率が大きいとき、内殻電子系は励起準位16からよ
りエネルギーの低い励起準位15へ緩和し、励起準位15か
ら基底状態14への遷移による発光が観測される。この様
な状況では、発光のエネルギーE7 とエネルギー逆移動
が起こるために必要となるエネルギー(図1中のE5
相当する)とのエネルギー差が大きいため、エネルギー
逆移動の起こる確率が小さくなり、高温においても内殻
電子系からの発光強度は減少しない。
【0024】遷移金属原子が形成する準位は電子を捕獲
するとして説明したが、この準位が正孔を捕獲する場合
においても、電子と正孔、電子のエネルギーレベルと正
孔のエネルギーレベル、伝導帯と価電子帯のそれぞれの
役割を入れ換えることによって、同じ説明が成り立つ。
【0025】尚、禁制帯エネルギー幅の小さい結晶の厚
さと、禁制帯エネルギー幅の大きい結晶の禁制帯エネル
ギー幅の関係は、半導体結晶層の幅、禁制帯エネルギー
幅等を条件として与えることによって、波動方程式を解
いた結果として導くことができる。
【0026】以下、具体的に材料を特定して説明する。
ここに、Ybは内殻電子系が1つの励起状態をもつ添加
物であり、Er、Ndは内殻電子系が複数の励起状態を
もつ添加物である。
【0027】
【実施例1】図3は本発明による実施例の一つである。
GaAs基板20の上にErを添加したGaAs結晶層22
を挟むようにAl0.3 Ga0.7 As結晶層21及び23を成
長させた。これまで、Er原子の内殻電子系からの室温
における発光強度は、液体ヘリウム温度における強度の
十分の一であったが、Erを添加したGaAs結晶層22
の厚さを50Åにしたところ、室温においても、液体ヘリ
ウム温度における強度と同じ強度の発光が観測された。
これは、図1のE3 のエネルギーが増加し、そのため、
図1中の準位14に対応する準位から電子が熱励起される
確率が減少したためである。
【0028】
【実施例2】図4は、InP基板24の上にYbを添加し
たInP結晶層26を挟むように、In0.52Al0.48As
層25と27を成長した実施例である。これまで、Yb添加
InPからの内殻電子系の発光は室温においては観測不
可能なほど弱かったが、Ybを添加したInP層26の厚
さを80Å以下としたところ、室温においても液体ヘリウ
ム温度における発光強度と同程度の発光強度が得られ
た。これは実施例1と同じ理由によるものである。
【0029】
【実施例3】図5は遷移金属原子としてNdを添加した
実施例である。GaAs基板28の上に、Ndを添加した
GaAs結晶層30を挟むように、Al0.3 Ga0.7 As
結晶層29及び31を成長させた。これまで、Nd原子の内
殻からの発光は100 K以上では極めて弱く、観測できな
いことが報告されているが、Ndを添加したGaAs層
の厚さを40〜100 Åとすることによって、液体ヘリウム
温度での発光強度と同じ強さの発光が室温で観測され
た。これは、内殻電子系を励起するエネルギー(図1に
おけるE5 )が、Nd原子の4f殻の高い励起準位(図
2における16、17、18、19に相当する)を励起すること
によって観測される発光であり、この発光エネルギーと
図1におけるE5 に相当するエネルギーとの差が大きく
なったためエネルギー逆移動の確率が減少し、室温にお
いても発光が観測されたものである。
【0030】
【実施例4】図6は、GaAs基板32の上に、Ndを
添加したGaAs結晶層34を挟む層に、II−VI族半導体
であるZnSe33、35を用いた場合の実施例である。N
dを添加したGaAs層34の厚さを60〜150 Åとしたと
き、実施例2の場合と同様に室温においても強い発光が
得られた。
【0031】
【発明の効果】結晶を本発明による構成にすることによ
り、遷移金属原子の内殻電子系による鋭い発光を保持し
たまま高い発光効率が得られ、同時に従来よりも高温ま
で強い発光を得ることができ、電流注入型発光素子とし
ても高い効率が得られ、温度特性も向上する。
【0032】本発明の実施例の、具体的応用例として
は、4つの何れも、電流注入型発光素子として応用で
き、その際には、禁制帯幅の小さい半導体を挟む禁制帯
幅の大きい半導体の、一方にn型の半導体を付け、他方
にp型の半導体を付けて、それぞれに電極を付けること
に依って、電流注入が可能であるようにすることができ
る。n型、p型半導体を付ける方法については、量子井
戸構造を作成してから、n型、p型となるような不純物
を拡散する、或いは、結晶を成長する際に、そのような
不純物を添加した層をつくる、といった方法が考えられ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】遷移金属原子を添加する禁制帯エネルギー幅の
小さい層状半導体(6) をこれより禁制帯エネルギー幅の
大きい層状半導体(7) で挟んだ構造における模式的なエ
ネルギー帯構造図である。
【図2】内殻電子系が複数の励起状態を有する遷移金属
原子の模式的エネルギー帯構造図である。
【図3】本発明の第1の実施例としての、GaAs基板
(20)上にErを添加したGaAs結晶層(22)を挟むよう
にAl0.3 Ga0.7 As結晶層(21)(23)を成長させた量
子井戸構造を示す。
【図4】本発明の第2の実施例としてのInP基板(24)
上にYbを添加したInP結晶層(26)を挟むようにIn
0.52Al0.48As結晶層(25)(27)を成長させた量子井戸
構造を示す。
【図5】本発明の第3の実施例としての、GaAs基板
(28)上にNdを添加したGaAs結晶層(30)を挟むよう
にAl0.3 Ga0.7 As結晶層(29)(31)を成長させた量
子井戸構造を示す。
【図6】本発明の第4の実施例としての、GaAs基板
(32)上にNdを添加したGaAs結晶層(34)を挟むよう
にZnSe(33)(35)を成長させた量子井戸構造を示す。
【図7】母体半導体の禁制帯内に遷移金属原子が形成す
る準位を説明する模式的なエネルギー帯構造図である。
【図8】遷移金属原子の内殻電子系の模式的なエネルギ
ー帯構造図である。
【符号の説明】
1 半導体の価電子帯 2 半導体の伝導帯 3 遷移金属原子が母体半導体の禁制帯内に形成する準
位 4 遷移金属原子の内殻電子系の基底状態 5 遷移金属原子の内殻電子系の励起状態 6 遷移金属を添加する禁制帯エネルギー幅の小さい層
状半導体 7 禁制帯エネルギー幅の大きい層状半導体 8 層状半導体(6) 内における電子のエネルギーレベル 9 層状半導体(6) 内における正孔のエネルギーレベル 10 層状半導体(7) の価電子帯 11 層状半導体(6) の価電子帯 12 層状半導体(7) の伝導帯 13 層状半導体(6) の伝導帯 14 遷移金属原子が層状半導体(6) の禁制帯エネルギ
ー幅内に形成するエネ ルギー準位(基底状態) 15 励起エネルギーE7 と一致する励起準位 16 励起エネルギーE6 と一致する励起準位 17,18,19 励起準位 20,28,32 GaAs基板 21,23,29,31 Al0.3 Ga0.7 As結晶 22 Erを添加したGaAs(結晶)層 24 InP基板 25,27 In0.52Al0.48As層 26 Ybを添加したInP(結晶)層 30,34 Ndを添加したGaAs層 33,35 ZnSe(結晶)層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 禁制帯エネルギー幅の小さい層状をなす
    結晶を、それより禁制帯エネルギー幅の大きい層状をな
    す結晶で挟み、該禁制帯エネルギー幅の小さい結晶に鉄
    族遷移金属原子或いは希土類遷移金属原子或いはアクチ
    ノイド遷移金属原子を添加したことを特徴とする量子井
    戸構造。
  2. 【請求項2】 禁制帯エネルギー幅の小さい結晶の厚さ
    と、禁制帯エネルギー幅の大きい結晶の禁制帯エネルギ
    ー幅を調整して、遷移金属のd殻或いはf殻電子系の共
    鳴励起エネルギーと、禁制帯エネルギー幅の小さい結晶
    中の電子及び正孔の準位間を介した電子と正孔の再結合
    エネルギーを一致させ、或いは禁制帯エネルギー幅の小
    さい結晶に添加した遷移金属原子がつくる電子或いは正
    孔の捕獲準位を介した電子と正孔の再結合エネルギーを
    一致させたことを特徴とする前記請求項1記載の量子井
    戸構造。
  3. 【請求項3】 禁制帯エネルギー幅の小さい結晶をIII
    −V族半導体とし、禁制帯エネルギー幅の小さい結晶を
    挟む禁制帯エネルギー幅の大きい半導体結晶の格子定数
    が、禁制帯エネルギー幅の小さい半導体結晶の格子定数
    と一致することを特徴とする前記請求項1もしくは2項
    の内、いずれか一項記載の量子井戸構造。
  4. 【請求項4】 添加すべき遷移金属原子は、内殻電子系
    が複数の励起状態をもつ希土類遷移金属原子であること
    を特徴とする前記請求項1乃至請求項3の内、いずれか
    一項記載の量子井戸構造。
  5. 【請求項5】 禁制帯エネルギー幅の小さい結晶をEr
    もしくはNdを添加したGaAs層とし、禁制帯エネル
    ギー幅の小さい結晶を挟む禁制帯エネルギー幅の大きい
    半導体結晶をAl0.3 Ga0.7 As層としたことを特徴
    とする前記請求項1乃至4項の内、いずれか一項記載の
    量子井戸構造。
  6. 【請求項6】 禁制帯エネルギー幅の小さい結晶をYb
    を添加したInP層とし、禁制帯エネルギー幅の小さい
    結晶を挟む禁制帯エネルギー幅の大きい半導体結晶をI
    0.52Al0.48As層としたことを特徴とする前記請求
    項1乃至3項の内、いずれか一項記載の量子井戸構造。
  7. 【請求項7】 禁制帯エネルギー幅の小さい結晶をNd
    を添加したGaAs層とし、禁制帯エネルギー幅の小さ
    い結晶を挟む禁制帯エネルギー幅の大きい半導体結晶を
    ZnSe層としたことを特徴とする前記請求項1乃至4
    項の内、いずれか一項記載の量子井戸構造。
JP3194770A 1991-07-08 1991-07-08 量子井戸構造 Pending JPH0513814A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004503803A (ja) * 2000-07-11 2004-02-05 フランス テレコム 可飽和吸収構造、特に光学再生コンポーネント用のもの、およびその製造方法

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