JPH05137904A - 気液分離方法および気液分離装置 - Google Patents

気液分離方法および気液分離装置

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JPH05137904A
JPH05137904A JP32981091A JP32981091A JPH05137904A JP H05137904 A JPH05137904 A JP H05137904A JP 32981091 A JP32981091 A JP 32981091A JP 32981091 A JP32981091 A JP 32981091A JP H05137904 A JPH05137904 A JP H05137904A
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JP
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liquid
gas
liquid separation
bubble
ultrasonic
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JP32981091A
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English (en)
Inventor
Kenji Shibata
憲司 柴田
Mitsuhiro Mieno
光博 三重野
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 宇宙のような微小重力下などでのライフサ
イエンス関係の実験で問題となる溶存気体あるいは気泡
Bの除去を、複雑な機構を必要とせず、効率的、かつ生
体にも悪影響を与えることなく行うことができる気液分
離方法および気液分離装置を提供すること。 【構成】 超音波Wにより液体7中の気泡Bを所望方
向ないし位置に移動させる気泡移動方法と、気液分離膜
モジュール13を用いた気泡除去方法とを組み合わせる
ことにより、所定効率の気液分離を行うことができるこ
とに着目したもので、液体容器11に設けた循環ライン
12に気液分離膜モジュール13を設け、超音波Wによ
り液体7を移動循環させるとともに、気体(気泡B)を
気液分離膜モジュール13の膜表面まで移動させ、当該
気体のみを系外に取り出すことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は気液分離方法および気液
分離装置にかかるもので、とくに無重力あるいは微小重
力下において溶液等の液体から気泡を効率よく除去可能
な気液分離方法および気液分離装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】無重力あるいは微小重力下(以下、微小
重力下という)において、液体を取り扱う実験を行う際
に、気体が液体中に溶存している場合、あるいは気泡と
して存在している場合があり、さらに液体中に気泡が混
入する可能性、あるいは温度変化、圧力変化および化学
変化などによって液体中に気泡が生成する可能性があ
る。
【0003】こうした気泡を除去するにあたって、微小
重力下では気泡は液体中にとどまった状態で存在するた
め、地上における気液分離技術を直接利用することがで
きない。
【0004】つまり、こうした微小重力下で気液分離を
行うためには、気泡あるいは気泡を含んだ液体を移動さ
せる技術(気泡移動技術)と、気泡を液体外に取り出す
技術(気泡除去技術)とのふたつの要素技術を要するこ
とになる。
【0005】微小重力下における気液分離方法の従来技
術としては、遠心分離による方法、膜分離による方法、
定在波を利用する方法、温度勾配を利用する方法、電場
を利用する方法、あるいはこれらの技術を組み合わせた
方法などがあげられる。
【0006】これらの従来技術を微小重力環境において
適用した場合の問題点を以下に述べる。まず遠心分離に
よる方法は、液体を満たした円筒形の容器に遠心力を作
用させ、重力場を形成することにより、気泡を回転中心
に移動させる。この回転中心に気液分離膜を設置するこ
とにより、気泡を系外に取り出すことが可能となる。
【0007】しかしながら、遠心分離を行うことにより
重力が発生するため、微小重力場における無対流、無沈
降などの特性の利用を目的とした実験においては、使用
することができない。また、細胞培養液に遠心力を作用
させると、細胞の生長および分化に重力の影響が出ると
いう問題がある。
【0008】膜分離による方法は、地上技術としては赤
水防止、液体クロマトグラフィーのオンライン脱気、さ
らには人工肺等において実用化されているとともに、工
業技術院機械技術研究所による航空機実験においてその
有用性を確認している。
【0009】しかしながら、これらの膜分離による技術
では、気体を含んだ液体を気液分離膜近傍まで移動させ
る必要があるという問題がある。たとえば、中空糸膜を
使用する場合においてはこの中空糸内部を液相とし、中
空糸外部を減圧することにより気液分離を達成すること
ができるが、試験管、ビーカ、ジャーファーメンタ等の
液体の容器からこの中空糸内部に、気体を含んだ液体を
送液する必要がある。
【0010】定在波を利用する方法では、気泡が分散し
ている液体中に音場を形成して定在波を作ることによ
り、定在波の節あるいは腹に気泡を移動させる。
【0011】しかしながら、こうした音場に気液分離膜
を挿入すると膜表面で音が反射して音場が乱れるため、
気液分離膜と併用することができないという問題があ
る。
【0012】温度勾配を利用する方法では、微小重力下
で液体に温度勾配を設けると、表面張力差に起因する対
流(マランゴニ対流)が起こり、液体中に分散している
気泡は液体の流れの方向に移動する。そこで、流れの方
向にある液体容器壁を気液分離膜とすることにより、気
液分離を行うことができる。
【0013】しかしながら、材料等の高温の融液に適用
可能な膜は現状では存在せず、また常温付近において取
り扱う液体では、温度勾配が十分に取ることができない
等の問題があり、汎用性に欠けている。
【0014】電場を利用する方法は、たとえば特公昭6
0−84号などのように、シリコン油などの誘電体に電
場(静電場)を形成すると、シリコン油と気泡との誘電
率の差が推進力となって、電界の低い方向に気泡が移動
する。この気泡の移動方向に相対して、気液分離膜を設
置すれば気液分離は可能となるが、導電性溶液中では気
泡を移動することができる程度の電位勾配を取ることが
できない。しかも、とくにライフサイエンス系宇宙実験
において取り扱う液体は、そのほとんどが導電性である
ため、この方法の適用範囲が限定されてしまうという問
題がある。
【0015】なお、従来から地上で行われている超音波
照射脱気による方法は、直接的な脱気方法ではなく、強
力な超音波を照射することによって起こるキャビテーシ
ョンを利用し、溶存ガスを気泡化するものである。した
がって、地上のような重力場においては有効な脱気方法
であるが、微小重力下においては有効な方法とはいいが
たい。とくに、生体試料を扱うような実験系において
は、超音波照射による阻害等も考えられるなどの問題が
ある。
【0016】また、特開平3−157103号(「超音
波脱泡方法」)においては、高出力の超音波を溶液に照
射することにより発生するキャビテーションを用いて気
泡を消失させることを目的としているもので、とくに生
体試料を扱うような実験系においては、超音波照射によ
る阻害等も考えられるなどの問題がある。
【0017】上述のような公知の方法による諸問題に加
えて、一般的に微小重力下において気泡を除去するため
には、何らかの方法を用いて気液分離装置まで気泡ある
いは気泡を含んだ液体を移動させる技術(気泡移動技
術)を必要とする。
【0018】このように微小重力環境では、気泡移動技
術と気泡除去技術との複合技術を必要とするために装置
も複雑になり、また操作も煩雑になることが予想され
る。
【0019】上述の従来技術の中で、微小重力環境を崩
すことなく、しかも生体試料への影響が少なく、さらに
は常温での気泡除去および脱気が可能であるという点か
ら、膜分離による方法がもっとも有効な手段ということ
ができる。
【0020】しかしながら、従来技術のみでは既述のよ
うに溶液等の液体の移動を伴うことが必要となる。 つ
まり、容器から溶液を取り出さなければならない。
【0021】また、容器と膜分離装置との間に循環ライ
ンを設けたとしても、液体の全量を容器に戻すことはで
きない。さらには、動植物細胞等を含む固体成分が液体
中に存在すると、循環ポンプによる固体成分の破壊が起
こる。 これを解消するためには、液体のみを循環させ
ればよいが、固液分離など新たな問題が発生するととも
に装置が複雑化するという問題もある。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
諸問題にかんがみなされたもので、宇宙のような微小重
力下などでのライフサイエンス関係の実験で問題となる
溶存気体あるいは気泡の除去を、複雑な機構を必要とせ
ず、効率的、かつ生体にも悪影響を与えることなく行う
ことができる気液分離方法および気液分離装置を提供す
ることを課題とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、超音
波により液体中の気泡を所望方向ないし位置に移動させ
る気泡移動方法と、気液分離膜モジュールを用いた気泡
除去方法とを組み合わせることにより、所定効率の気液
分離を行うことができることに着目したもので、第一の
発明は、微小重力下において液体中に溶存している気体
あるいは気泡として存在している気体を除去する気液分
離方法であって、上記液体を収容している液体容器に循
環ラインを設けるとともに、この循環ラインに気液分離
膜モジュールを設け、超音波により該液体を移動循環さ
せるとともに、上記気体を上記気液分離膜モジュールの
膜表面まで移動させ、この気液分離膜モジュールにより
当該気体のみを系外に取り出すことを特徴とする気液分
離方法である。
【0024】第二の発明は、微小重力下において液体中
に溶存している気体あるいは気泡として存在している気
体を除去する気液分離装置であって、上記液体を収容す
る液体容器と、この液体容器に設けた循環ラインと、こ
の循環ラインに設けた気液分離膜モジュールと、上記液
体を移動循環させるとともに、上記気体を上記気液分離
膜モジュールの膜表面まで移動させる超音波振動子とを
有し、この気液分離膜モジュールにより当該気体のみを
系外に取り出すことを特徴とする気液分離装置である。
【0025】なお、上記超音波振動子が発生する超音波
は、その周波数が一般的に可聴範囲外とされている20
KHz以上であることが望ましい。
【0026】また、上記気液分離膜モジュールは、テフ
ロン、ポリプロンピレン、シリコンゴム等を素材とする
疎水性高分子膜を有することが望ましい。
【0027】
【作用】微小重力下における気液分離方法として、気泡
移動技術および気泡除去技術のふたつの要素技術の複合
化が必要であることにかんがみ、本発明は、気泡移動技
術として超音波利用技術を、気泡除去技術として膜分離
技術をそれぞれ採用しこれらを組み合わせたものであ
る。
【0028】膜分離技術については航空機による微小重
力実験で検証されており、気液分離膜モジュール表面に
まで気泡を移動させることができれば、目的とする気液
分離は達成可能である。
【0029】しかしながら、超音波による気泡移動につ
いては、これまで実施されておらず、本発明に際し世界
ではじめて航空機実験で検証したものである。すなわ
ち、超音波利用技術としては、超音波の特徴である波長
の長いこと、強度が大きいことを利用して、超音波探
傷、超音波ソナー、超音波診断、超音波脱気など、各分
野において使用されているが、本発明のように、微小重
力下で液体中の気泡を移動させるためにこれを用いた例
はない。
【0030】本発明による気液分離方法および気液分離
装置においては、液体中に分散している気泡を、超音波
を用いることにより、常温下で、任意の方向に移動させ
ることができ、気液分離モジュールの部分で気泡を除去
することが可能で、しかも上記気液分離モジュールを循
環ラインに設けたので、超音波振動子の作用により液体
容器内の液体を循環移動させることができ、誘電体から
導電体まで幅広い範囲の液体にこれを利用することがで
きる。
【0031】さらに、低出力で超音波発振を行えば、ラ
イフサイエンス系の宇宙実験で用いる動植物細胞、微細
藻類、水棲動物などの生体材料にも影響を与えずに気泡
を除去可能であるなど、上述の各種技術の諸問題を解消
可能な汎用性のある気液分離方法および気液分離装置と
することができる。
【0032】
【実施例】つぎに、本発明による気液分離方法の原理を
図1ないし図4にもとづき説明する。
【0033】まず、図1に航空機による微小重力実験の
概略フローを示す。 この微小重力実験装置1は、超音
波による気泡移動装置として組み立てたもので、液体容
器2と、循環ライン3と、超音波振動子4と、超音波発
振源5と、気泡注入装置6とを有する。
【0034】液体容器2は、これを透明アクリル性の水
槽とし、その下流側(図中左側)を円錐形状に形成した
コーン部2Aとすることにより、内部の液体7を移動循
環させてこれを液体出口2B側に集中するようにしてあ
る。
【0035】液体容器2から出た液体7は、循環ライン
3を通って、液体容器2の上流、超音波振動子4側部
(図中右側)の液体入り口2Cに戻される。
【0036】超音波振動子4は、超音波発振源5により
これを駆動するもので、液体容器2内の液体7に超音波
Wを照射する。
【0037】超音波発振源5の周波数は、1MHz以
上、たとえば一般的に可聴範囲外とされている20KH
z以上の超音波であるとともに、その発振出力は0〜6
0Wまで可変である。
【0038】気泡注入装置6は、圧力発生装置8と、気
泡注入ノズル9とを有し、直径1〜2mmの気泡B(空
気泡)を気泡注入ノズル9の先端の気泡注入孔9Aから
液体7内に注入し、実験に供する。
【0039】液体7としては、図2の表に示すように、
水と、粘性液体としてジエチレングリコール水溶液およ
びトリエチレングリコール水溶液とを用いた。
【0040】超音波の力学的効果としては、直進効果、
放射圧、およびキャビテーションが挙げられる。このう
ち、キャビテーション(一種の空洞現象)は、前述した
ように地上では脱気技術として用いられている。
【0041】本発明は、超音波の特徴である直進効果
と、放射圧が大きいこととを利用することにより、液体
7および液体7中に分散している気泡Bを一定方向に移
動させることを特徴としている。
【0042】超音波による気泡移動の原理としては、ま
ず第一に超音波により液体流動が生じ、この流動により
気泡が移動すること、ないしは第二に超音波が気泡に直
接作用することが考えられる。
【0043】まず、第一の超音波Wによる液体7の移動
について考える。液体7の流れは、放射圧の場所による
変化(放射圧勾配)によるものと考えられる。
【0044】つまり、図3に示すように、超音波Wの伝
播方向に平行な液体7の柱を考えると、液体7が音を吸
収する結果、この液体7の柱の両端におけるエネルギー
密度に差異を生じる。放射圧はエネルギー密度に等しい
から、これが液体7の柱を伝播方向に押す力となる。
【0045】上述の内容を一般的な式で示すと、以下の
ように表すことができる。図3に示すような音源(超音
波振動子4)から距離Xにある、長さDで、断面積S
の、液体7の柱を押す力Fは、液体7の柱の一端L点に
おけるエネルギー密度をEL、液体7の柱の他端R点に
おけるエネルギー密度をER、音源Oの音圧をPO、L点
における音圧をPL、液体7による音の吸収係数をα、
液体7の密度をρ、液体7中の音速をcとすると、つぎ
の式(1)で表すことができる。 すなわち、 F=(EL−ER)・S =(POexp(-2αX)−POexp(-2α(X+D)))・S/ρc2 ・・・・・(1)
【0046】超音波Wによる液体7の移動の概念として
は、(1)式により説明される。微小重力下において
は、こうした超音波Wにより液体7が移動している場に
気泡Bが存在すると、気泡Bは液体7からの力を受け、
液体7の移動方向に動くことになる。
【0047】つぎに、第二の超音波Wの気泡Bへの直接
的作用について考える。液体7が超音波Wの影響を受け
ると同様に、気泡Bも超音波Wの影響を受ける。
【0048】このことを単一気泡Bについて考え、超音
波Wの進行方向に直角な気泡Bの断面積をSB、エネル
ギー密度をEBとすると、単一気泡Bの受ける放射圧FB
は、 FB=SB・EB・・・・・(2) となる。
【0049】以上のことから基本的には、気泡Bは、液
体7と超音波Wとからの両方からのふたつの力を受けて
移動すると考えられる。ここで用いる超音波Wの周波数
は、上述の理論から一般的に超音波と称する波長域(可
聴範囲外)であればよく、とくに問わない。
【0050】また超音波の出力(音の強さ)は、適用す
る液体7の粘性抵抗、容量、希望する気泡Bの移動速度
などから定めればよいが、超音波Wの進行方向に直角な
単位断面積あたり、0.35W/cm2以下が好まし
い。
【0051】この理由として、0.35W/cm2以上
の出力となると、キャビテーションが生ずるとともに、
液体7の温度が上昇することが挙げられる。
【0052】もちろん、温度上昇を伴わない短時間の使
用や温度上昇が悪影響を及ぼさない液体7についてはこ
の限りではない。
【0053】このようにして、液体7および液体7中に
分散している気泡Bは超音波Wの照射方向に移動してゆ
く。
【0054】この際、気泡Bの移動先に気液分離膜モジ
ュール(以下、膜モジュールと記す)を設けることによ
り、気泡Bあるいは溶存ガスを液体7外に取り出すこと
ができる。
【0055】ここで用いる膜モジュールの型式は、平
膜、中空糸、スパイラルなど、いずれも使用可能で、と
くに問わない。
【0056】また膜モジュールに使用する気液分離膜
は、通常、気液分離に使用されているテフロン、ポリプ
ロンピレン、シリコンゴム等の高分子素材とした疎水性
膜、あるいは疎水性高分子膜に各種多孔質支持体を設け
た複合膜で、それぞれの膜モジュールの型式に適合する
形で使用すればよい。
【0057】こうした構成の微小重力実験装置1を航空
機で得られる微小重力条件下(重力化速度が約0.01
g)で、液体7中に所定の出力で超音波を照射し、この
ときの気泡の移動状況を観察した。
【0058】すなわち、まず航空機からの微小重力検出
信号を受けて、超音波発振源5を作動させ、つづいて1
秒後に気泡注入ノズル9の気泡注入孔9Aから気泡Bを
液体容器2の中央部に注入する。
【0059】注入された気泡Bは、超音波Wの進行方向
に移動するので、この状況をビデオカメラに収録する。
【0060】実験終了後、ビデオ画像から気泡Bの移動
速度を算出した。 この結果を図4のグラフに示す。図
4は、超音波出力に対する気泡Bの移動速度を示すグラ
フで、グラフ中の符号S1、S2、S3、S4は図2に
示した液体試料の番号を示す。
【0061】この結果から、微小重力下において液体7
中の気泡Bを超音波Wにより移動させることが可能であ
ること、さらにはキャビテーションが生ずる出力以下の
低出力下であっても気泡Bが移動することを確認した。
【0062】つぎに、本発明の第一の実施例による気液
分離装置10を図5にもとづき説明する。 ただし以下
の説明において、図1ないし図4と同様の部分には同一
符号を付し、その詳述はこれを省略する。
【0063】この気液分離装置10は、液体容器11
と、前記超音波振動子4と、循環ライン12と、気液分
離膜モジュール13と、真空ポンプ14とを有する。
【0064】液体容器11は、前記液体容器2と同様
に、その下流側(図中下側)を円錐形状に形成したコー
ン部11Aとすることにより、内部の前記液体7を移動
循環させてこれを液体出口11B側に集中するようにし
てある。
【0065】液体容器11から出た液体7は、循環ライ
ン12および循環ライン12の一部に設けた気液分離膜
モジュール13を通って、液体容器2の上流、超音波振
動子4の側部(図中上側)の液体入り口11Cに戻され
る。
【0066】真空ポンプ14は、通常の膜による気液分
離装置に用いられており、気液分離膜モジュール13の
気相側を負圧にすることによって、気液分離膜モジュー
ル13の液相側と気相側とに圧力差を持たせるもので、
この圧力差が気体(気泡B)透過の駆動源となる。
【0067】したがって、負圧が大きいほど気体透過性
能を向上させることができるが、この負圧の程度は、使
用する膜の気体透過性能、膜の耐久性、気泡除去量など
から適正な値を設定すればよい。
【0068】また宇宙ステーション等で使用する場合、
宇宙空間の真空を利用することが可能であれば、真空ポ
ンプ14は必要ない。
【0069】こうした構成の気液分離装置10におい
て、気泡Bを含んだ液体7は超音波振動子4の超音波W
からの力を受けて、液体容器11下部から押し出され、
循環ライン12を通って気液分離膜モジュール13を通
過する際、気泡Bあるいは溶存ガスは、気液分離膜を透
過し、系外に排出され、気液分離が達成される。
【0070】しかも、超音波Wからの力を受けて液体7
が液体容器11および循環ライン12をめぐって循環す
るので、自動的かつ連続的に気液分離を確実に行うこと
ができる。
【0071】図6は、本発明の第二の実施例による気液
分離装置20を示すもので、この気液分離装置20は、
液体容器11と、気液分離膜モジュール13と、循環ラ
イン12と、真空ポンプ14とを有する。
【0072】この気液分離装置20においては、液体容
器11と循環ライン12との接合部分、つまり液体容器
11のコーン部11A部分に気液分離膜モジュール13
を円錐状として直接形成してある。
【0073】すなわち、液体容器11の液体排出部を気
液分離膜モジュール13に置き換えるか、あるいは液体
出口11Bを複数個形成するようにしたものである。
【0074】こうした構成の気液分離装置20において
も、液体7および気泡Bの移動については気液分離装置
10と同様であるので、詳述しないが、より簡単な構成
とすることができる。
【0075】図7は、より大型の液体容器を有する場合
の構成例であり、本発明の第三の実施例による気液分離
装置30を示し、この気液分離装置30は、大型容器3
1と、フィルター32と、バッファタンク33と、超音
波振動子4と、循環ライン34と、気液分離膜モジュー
ル13と、真空ポンプ14とを有する。
【0076】フィルター32は、これを大型容器31の
下部の側部に設けるもので、このフィルター32を介し
大型容器31に隣接してバッファタンク33を設ける。
【0077】バッファタンク33は、前記液体容器2と
同様にその下流側(図中下側)を円錐形状に形成したコ
ーン部33Aとすることにより、内部の前記液体7を移
動循環させてこれを液体出口33B側に集中するように
してある。
【0078】バッファタンク33から出た液体7は循環
ライン34および循環ライン34の一部に設けた、より
大型の気液分離膜モジュール13を通って、大型容器3
1の上部に設けた液体入り口31Aに戻される。
【0079】なおフィルター32は、大型容器31内
の、たとえば細胞培養槽の細胞、微細藻類培養槽内の微
細藻類、あるいは水槽内の魚類などの固形物がバッファ
タンク33内に侵入することにより、循環ライン34の
閉鎖、あるいは固形物の超音波Wによる影響を防止する
ために用いるもので、これらの問題がない場合にはこれ
を必要とはしない。
【0080】また、フィルター32を用いることによ
り、固形物がバッファタンク33内に入ってこないの
で、超音波Wの出力を高くして、気泡移動速度をあげる
ことも可能となる。
【0081】なおフィルター32の孔径は、固形物のサ
イズに応じてこれを決定するものとする。
【0082】こうした構成の気液分離装置30におい
て、超音波Wを照射すると、バッファタンク33内の気
泡Bを含んだ液体7は、バッファタンク33の液体出口
33Bから排出され、気液分離膜モジュール13で気液
分離後、大型容器31にかえされる。
【0083】この大型容器31内の液体7は、バッファ
タンク33内での超音波Wによる移動作用によって、フ
ィルター32を通って再びバッファタンク33に入り、
循環ライン34および気液分離膜モジュール13を通っ
て循環する。
【0084】仮に、大型容器31に直接超音波振動子4
を設置しようとすると、気泡Bが容器半径方向全面に存
在する場合、これをカバーするためには超音波Wの照射
面をより大きくする必要があり、超音波振動子4のサイ
ズを大きくしなければならないとともに、超音波W照射
に要する電力量も増加するが、本実施例のように大型容
器31外部に超音波Wによる気液分離機構、つまりバッ
ファタンク33、超音波振動子4、気液分離膜モジュー
ル13を設けることにより、こうした問題を解消可能で
ある。
【0085】なお、大型容器31とバッファタンク33
との間を液体7の流れを遮断可能な機構(たとえばバル
ブ機構)を持つ配管等(図示せず)で接続することによ
りこうした気液分離機構をユニット構成としておけば、
両者を切り離すことができるため、超音波気液分離装置
として必要に応じて任意の他の容器にも転用可能である
等、汎用性が向上する。
【0086】本発明は、微小重力下に限らず、通常の重
力下においても、粘性液体中の気泡除去、閉鎖系内で発
生する気泡の除去、あるいは試料容器内壁に付着した気
泡の除去など、自然に脱泡することができない系に利用
することができる。
【0087】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、超音波に
よる気泡移動技術と、膜による気泡除去技術とを組み合
わせることにより、微小重力下での気液分離技術を確立
することができる。
【0088】さらに、ポンプ等の回転機器を用いずに、
液体および気泡を移動させることができるので、液体中
に固形物が存在していてもかまわない。
【0089】またライフサイエンス系の宇宙実験で取り
扱うような培養細胞等の生体材料についても、これらに
損傷を与えずに気液分離を行うことができる。
【0090】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における航空機による微小重力実験の概
略フローを示す微小重力実験装置1を、超音波による気
泡移動装置として組み立てた概略図である。
【図2】同、微小重力実験において用いた液体試料の表
である。
【図3】同、液体ないし気泡移動の原理の理論的説明の
ための概略図である。
【図4】同、超音波出力に対する気泡の移動速度を示す
グラフである。
【図5】本発明の第一の実施例による気液分離装置10
の概略図である。
【図6】本発明の第二の実施例による気液分離装置20
の概略図である。
【図7】本発明の第三の実施例による気液分離装置30
の概略図である。
【符号の説明】
1 微小重力実験装置(超音波による気泡移動装置) 2 液体容器(水槽) 2A 液体容器2のコーン部 2B 液体容器2の液体出口 2C 液体容器2の液体入り口 3 循環ライン 4 超音波振動子 5 超音波発振源 6 気泡注入装置 7 液体 8 圧力発生装置 9 気泡注入ノズル 9A 気泡注入ノズル9の気泡注入孔 10 気液分離装置(第一の実施例) 11 液体容器 11A 液体容器11のコーン部 11B 液体容器11の液体出口 11C 液体容器11の液体入り口 12 循環ライン 13 気液分離膜モジュール 14 真空ポンプ 20 気液分離装置(第二の実施例) 30 気液分離装置(第三の実施例) 31 大型容器 31A 大型容器31の液体入り口 32 フィルター 33 バッファタンク 33A バッファタンク33のコーン部 33B バッファタンク33の液体出口 34 循環ライン B 気泡 W 超音波

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微小重力下において液体中に溶存して
    いる気体あるいは気泡として存在している気体を除去す
    る気液分離方法であって、 前記液体を収容している液体容器に循環ラインを設ける
    とともに、 この循環ラインに気液分離膜モジュールを設け、 超音波により該液体を移動循環させるとともに、 前記気体を前記気液分離膜モジュールの膜表面まで移動
    させ、この気液分離膜モジュールにより当該気体のみを
    系外に取り出すことを特徴とする気液分離方法。
  2. 【請求項2】 前記超音波振動子が発生する超音波
    は、その周波数が20KHz以上であることを特徴とす
    る請求項1記載の気液分離方法。
  3. 【請求項3】 前記気液分離膜モジュールは、テフロ
    ン、ポリプロンピレン、シリコンゴム等を素材とする疎
    水性高分子膜を有することを特徴とする請求項1記載の
    気液分離方法。
  4. 【請求項4】 微小重力下において液体中に溶存して
    いる気体あるいは気泡として存在している気体を除去す
    る気液分離装置であって、 前記液体を収容する液体容器と、 この液体容器に設けた循環ラインと、 この循環ラインに設けた気液分離膜モジュールと、 前記液体を移動循環させるとともに、前記気体を前記気
    液分離膜モジュールの膜表面まで移動させる超音波振動
    子とを有し、 この気液分離膜モジュールにより当該気体のみを系外に
    取り出すことを特徴とする気液分離装置。
  5. 【請求項5】 前記超音波振動子が発生する超音波
    は、その周波数が20KHz以上であることを特徴とす
    る請求項4記載の気液分離装置。
  6. 【請求項6】 前記気液分離膜モジュールは、テフロ
    ン、ポリプロンピレン、シリコンゴム等を素材とする疎
    水性高分子膜を有することを特徴とする請求項4記載の
    気液分離装置。
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Cited By (4)

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