JPH0436847Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、遊びながら本当の古典の教養を得
ることが出きる歌がるたに関するものである。

〔従来の技術およびその課題〕

現状において、子供の学習は、学校における先
生の授業や教科書での自習、家庭における参考書
での予習や復習など、子供は他人に一方的に押し
つけられた物によつて縛られ、一方的に受け身の
状態にされている。この為、子供のやる気は薄れ
る。本来、大人達が大切に守り、教え育まなけれ
ばならない子供達の自発性を、間違つたやり方
で、妨害してしまつているのである。

子供は、これからの未来の時代の担い手とし
て、期待に答える為にも、又自分自身に約束され
た長い将来の希望の為にも、収得効果の高い柔か
い頭の時に、充分正しい有用な知識を吸収し、思
考力を高めてゆかなければならない。

そして、それは、今の押しつけ教育ではなく、
自ら進んで体験学習しないと身に付かない。本来
の子供の旺盛な好奇心を上手にひきだして、正し
く導びく配慮が必要である。

しかしながら、従来の学習道具は、そんな子供
の姿を無視したものが多く、だからもつと遊びの
要素を取り入れ、楽しい学習方法の中で、自由に
のびのびとした子供らしさをとりもどしてやるべ
きである。遊びから得る学習効果は、自ら体験し
たのだから、顕著に表われ、量、質ともに広がり
が出る。

ところで、かるたは、一人でも、親と一緒で
も、親の応援を得ながらでも、同世代の子供達だ
けでも、又世代のはなれたいろいろな客達とも一
緒にできるという、遊び自体から、遊びから派生
するコミユニケーシヨンの中から大切な様々な事
を学びとることができる。又、逆に、かるたをす
ることによつて、知らない人とも、コミユニケー
シヨンを得ることができる。一人で禁欲的に机に
向かつての勉強はおもしろくもなく、また、能率
も悪い。とくに古典の学習には不向きである。

この考案は、以上の点に留意し、遊びながら古
典に親しめるかるたを提供することを目的とす
る。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、この考案にあつて
は、和歌１首をしたためた読札と、その下の句だ
けを書いた取札とからなり、その両札の数はそれ
ぞれ100枚ずつある歌がるたにおいて、取札を、
基板表面に白く梳いた和紙を貼着するとともに、
基板裏面には薄く削つた木板を貼着し、前記和紙
に和歌の下の句を平仮名の活字書体で表示し、前
記木板には同一の下の句を万葉仮名の手書き書体
で表示してなるものとしたのである。

上記和歌としては、「小倉百人一首」、「伊勢物
語」、「源氏物語」、「古今集」などのものを採用で
きるが、近年、最も親しまれている「小倉百人一
種」とするのが好ましい。

〔作用〕

このように構成される歌がるたは、従来と同様
にして使用されるが、取札は、平仮名面を表にし
て取るようにしてもよく、また、万葉仮名面を表
にして取るようにしてもよい。どちらにしろ、万
葉仮名と平仮名の下の句が一致し、興味を起こさ
せる。したがつて、和気あいあいとしたムードの
中での遊びとなり、無理なくスムーズに和歌及び
万葉仮名を収得できる。また、逆に、そんな雰囲
気をつくり出してくれるかるただからこそ学習道
具として、安心して大人の願いも託すことができ
る。

従来、今までは百人一首で遊ぶといつても、整
然と並んだかるたの言葉を単なる記号としてとら
え、札をとる速さのみを競つている子供が多い。
かるたは、ほんのわずかな文字数でいて饒舌なる
世の中を四角い札に凝縮したものであり、それを
平仮名の味けない活字だけでは、それにすら、心
がこもつてないようにも見え、記号としてとらえ
てしまつても仕方のないことであろう。だから、
手書き文字による変化に富んだ、心のこもつた歴
史、伝統の重みも感じる板かるたを片面にとり付
けた。板かるたの万葉仮名は出だしの文字を大き
くしてわかりやすく、お手つきをなくす工夫をし
たり、人や恋など同じ出だしの歌がるたも多いの
で、それぞれ字の形をかえれば、手書きならでは
の心くばりとなる。

したがつて、いままで丸暗記しかしなかつた子
供達の興味、関心がひける。もちろん、大人達の
再び学習してみようという意欲も引きおこせる。
新聞、雑誌や他のゲームでも活字ばかりである。
書くことすら、ワープロなどを使いはじめて少な
くなつてしまつた。そこへ活字のかるただけで
は、本当の字を忘れてしまう。手書き文字のかる
たは、子供や大人にも、手書きの心くばりを知り
得、又読み書きすることは、自分の心を人に伝え
る為にも、頭の運動のためにも大切なことだと知
らせることができる。

この平仮名、万葉仮名の両面かるたで遊ぶこと
は、学校教育の教科である国語、社会、美術、書
道、音楽、体育とたくさんの教科を網羅する要素
を含む。

国語においては、はるか昔の人の詠んだ、愛、
恋、友情、夢、森羅万象について、最少の言葉数
に、情緒豊かな表現力に人生の機微を読みとり、
万葉の雅な書体で描き出された古典文学を学ぶこ
とによつて今の私たちの生き方をみつめ直す。

社会においては、長い歴史によつてしつかりと
支えられている現代社会を知る為に、先人たちの
築いた歴史、伝統を学ぶ。日本初期の面影をその
まま残す両面かるたに時代の出来事、文化、風
俗、地理を反映する。そして又古きものを次代に
伝え残す使命もある。

美術においては、空間をしめる四角薄いかるた
の存在感が感動する心を養う。百枚並べても、表
も裏も美しさを発揮し、二通りの鑑賞ができる。
古代色にふちどられた古きよき時代への憧憬を深
くする。

書道においては、万葉仮名の字のくずし方、筆
の運びや、かるたという制限された大きさの中で
の書き方やバランスのとり方を学ぶ。そのよき最
高の手本であり、字の上達や書道展の鑑賞の時に
も役立つ。

音楽においても五七五七七の、自然にそくした
リズム、優雅な音階も古典調と現代調二通りの楽
しみ方ができる。

体育においても、体中を使う。すなわち、耳で
聞き、目で視、体を動かして札を取る。二通りの
書体であれば、運動神経もたくさん使う。雨であ
つてもできる室内スポーツである。

これらの学習は、取札を万葉仮名を表面にして
遊んでいて、読めないときも、すぐ裏返せば平仮
名なので理解を深めるというようにフイードバツ
クがとても早く、一枚の表裏面だから、間違つて
覚えるなどということは、決してないという特徴
も持つ。この両面かるただからこそ効果があが
る。

板かるたが生まれたのは北海道、何もなく、寒
さのきびしい中で、丈夫な木製のかるたは、出向
かされた屯田兵たちの仲間同士の潤滑油としての
役割をはたしていた。かるたの集いはふれあいの
場であつた歴史をもつ。一方、本州で広くおこな
われている紙の平仮名かるたは、優雅な日本人の
こころ代弁する。この二つを、一枚にすることに
よつて、遠くはなれた二つの違つたそれぞれ面白
い歴史、文化を知ることができる。青函トンネル
の開通などにより、一体感を深めている日本列島
としてもより有意義なものになる。

学習というものは、より素晴らしい心を養うた
めの一つの手段である。その手助けをするものと
して、このかるたは意義を持つ。テレビゲームな
どの対話のない機械を相手に時間を使う子供達
は、その機械から有害の影響をうけ、健康も害
し、健全な心の形成もむしばまれている。スナツ
ク菓子などで栄養変調による。あきつぽい子供達
の関心も、一面に平仮名、他面に万葉仮名のかる
たで矯正でき、変化に富んだ雰囲気が、いろいろ
な遊び方を可能にする。

リンゴの皮などがむけない指先の感覚の不器用
な子供が増えているが、この両面かるたを取ると
き、指先に伝わる片面は、硬く、でも温かい天然
の木の材質感が、触感をきたえ、手の働きの大切
さを教える。温故知新、新しい時代を知る為に
も、もう学校での授業内容にもない、万葉仮名を
あたためる、この両面かるたが、先人たちの意志
を貫き、後世にも役立ち得る。

又、木の値も高くなり、手書き板かるた作家も
一人だけとなつてしまつた今、古きを伝える板か
るたも高価になり、中々入手も困難である。だか
ら、手軽に、でも教育高価は高くという願いをこ
めて両面かるたを考案した。

今までの和紙を厚紙にはつたかるたに、もう１
枚丈夫な板をはりつけることによつて、より丈夫
になり、永く使用することができる。また、現代
調（平仮名）、万葉調（万葉仮名）と変化する遊
びができることは、子供達の変身願望を満たし、
夢や希望の大きな子供を育むことができる。

〔実施例〕

この実施例は、「小倉百人一首」を歌がるたに
したものであり、取札Ａは、第１図乃至第４図に
示すように、基板となる厚紙１の表面に白く梳い
た和紙２を貼着するとともに、裏面に模様紙３を
貼着し、その模様紙３の全周縁を表面に至らせて
縁紙４とし、模様紙３表面に、檜、杉、桜、松等
の木片５を貼着したものである、木片５を薄く削
つたもの、例えば、その厚さは0.1mm前後とする。
前記和紙２に、和歌の下の句を平仮名の活字書体
６で表示し、木片５には、同一の下の句を万葉仮
名の手書き書体７で表示する。

一方、読札Ｂは、取札Ａの基板と同様の厚紙の
表面に洋紙８を貼着するとともに、取札Ａと同様
に裏面に模様紙３を貼着し、その模様紙３の周縁
を表面に至らせて縁紙４としたものである。洋紙
８には、取札Ａの下の句に対応する和歌１首９を
表示するとともに、読み手の絵姿を表示する。

このようにして、和歌１首につき、それぞれ前
記取札Ａと読札Ｂを作り、取札Ａと読札Ｂをそれ
ぞれ100枚づつとする。

遊び方は、従来と同様であり、取札Ａは、平仮
名を表にして取るようにしてもよいし、万葉仮名
を表にして取るようにしてもよい。

〔考案の効果〕

この考案は、以上のように構成したので、従来
にない歌がるたとなり、遊びながら古典に親しむ
ことができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る歌がるたの一実施例の
取札の断面図、第２図は同斜視図、第３図は同表
面図、第４図は同裏面図、第５図は同実施例の読
札の表面図、第６図は同裏面図である。 Ａ……取札、Ｂ……読札、１……厚紙（基板）、
２……和紙、３……模様紙、４……縁紙、５……
木片、６……平仮名の活字書体、７……万葉仮名
の手書き書体、８……洋紙、９……和歌１首。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 和歌１首をしたためた読札と、その下の句だけ
   を書いた取札とからなり、その両札の数はそれぞ
   れ100枚ずつある歌がるたにおいて、取札を、基
   板表面に白く梳いた和紙を貼着するとともに、基
   板裏面には薄く削つた木板を貼着し、前記和紙に
   和歌の下の句を平仮名の活字書体で表示し、前記
   木板には同一の下の句を万葉仮名の手書き書体で
   表示してなるものとしたことを特徴とする歌がる
   た。