JPH04315798A - 加速器の高周波加速装置 - Google Patents

加速器の高周波加速装置

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JPH04315798A
JPH04315798A JP3080020A JP8002091A JPH04315798A JP H04315798 A JPH04315798 A JP H04315798A JP 3080020 A JP3080020 A JP 3080020A JP 8002091 A JP8002091 A JP 8002091A JP H04315798 A JPH04315798 A JP H04315798A
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JP3080020A
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Takahito Tozawa
利沢 隆人
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の目的〕
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、荷電粒子のビームを加
速したり、荷電粒子のビームに高周波エネルギーを補給
する加速器の高周波加速装置に係り、とくに、複数個の
空胴(以下、セルという)を直列に繋いだ空胴本体を有
し、各セルに2個のチューナを配設した多連高周波加速
空胴を用いた高周波加速装置に関する。
【0003】
【従来の技術】従来の加速器の高周波加速装置の一例を
図6〜図9を用いて説明する。
【0004】(加速器と高周波加速空胴)加速器は、電
子、陽子、イオンなどのビームを10億電子ボルト(1
GeV)程度の高エネルギー状態に加速するものであり
、現在、種々の大きさの装置が使用されている。例えば
、素粒子の研究分野では直径1km以上のもの等、大形
の装置が建設されている一方で、電子からの放射光(S
OR光)などを利用した超LSI微細加工(リソグラフ
ィ)の如く、比較的新しい応用分野では、例えば直径1
0m程度の小形の装置も使用されている。
【0005】この加速器には、荷電粒子の加速や、SO
R光として消失されるエネルギーを補給するため、高周
波エネルギーを荷電粒子に供給する高周波加速空胴が設
置されている。
【0006】(多連高周波加速空胴の必要性)その高周
波加速空胴に供給する電力は、加速器の高性能化、大形
化に伴って増加しており、例えば、ビームエネルギーが
数十億電子ボルト(数GeV)にも達するような円形加
速器にあっては、ビームが加速器を一周する間に、数M
V/mの電界を加える必要がある。このような場合、複
数個の加速空胴を設置することになるが、加速空胴が加
速器内で占めるスペースが多くなり、また各加速空胴の
制御構成及び手順も複雑になり、得策ではなかった。そ
こで、その不都合を回避するために、従来より、多連高
周波加速空胴と言われる加速空胴が使用されている。
【0007】(多連高周波加速空胴の一例)従来の多連
高周波加速空胴の一例を図6に示す。同図に示す加速空
胴は空胴本体51を有する。この空胴本体51は円筒状
の3個のセル51a…51aを隔壁51b,51bを介
して軸方向に直列に結合したもので、各隔壁51bには
ビーム通過用の孔51cが設けられ、これにより各セル
51a同士が電磁気的に結合可能に形成されている。両
端のセル51a、51aの軸方向側面にはビームポート
51d,51dが設けられ、この各ビームポート51d
がフランジを介して加速器のビームダクト(図示せず)
に接続されている。
【0008】さらに、真ん中のセル51aにおける、セ
ル中心軸Oを挟んで相対する半径方向2カ所の側壁位置
(図7参照)には、アンテナポート51e及び真空排気
ポート51fが各々設けられている。アンテナポート5
1eには、空胴本体51に高周波電力を供給するアンテ
ナ52が設けられ、このアンテナ52は図示しない高周
波電源に接続されている。また、各セル51aにおける
、セル中心軸Oを挟んで相対する半径方向2カ所の側壁
位置であって、アンテナポート51e及び排気ポート5
1fが成す取り付け軸線に直交する位置(図7参照)に
は、チューナポート51g,51gが設けられ、このポ
ート51gにセル51aの共振周波数を調整するチュー
ナ53、53が各々設置されている。
【0009】そこで、中央のアンテナ52から高周波電
力が入射すると、例えば図7に示す如く、ビームを加速
する電磁界分布(モードという)が全てのセル51aに
同時に形成され、このモードにより電子が加速される。 図7には加速に用いるモードの各セル51aでの磁界分
布Hを示す。この加速モードの磁界分布Hはアンテナ5
2やその他、ポートなどの若干の影響を除いて、軸対称
になっている。
【0010】チューナ53をセル51a内に出し入れす
ると、セル内の共振周波数が調整される。例えば、チュ
ーナ53をセル51a内に、より深く挿入した場合、セ
ル51a内の磁気的な蓄積エネルギーが変化するため、
空胴の共振周波数が増加する。この共振周波数の変化量
は、チューナ位置におけるモードの磁界の強さと、チュ
ーナ挿入量に比例する。
【0011】(チューナの機能)チューナは2つの主要
機能を担っている。
【0012】その第1は空胴製作時に生じる共振周波数
の誤差補正である。ビーム加速運転に要求される、高周
波加速空胴の共振周波数の精度は加速器の特性によって
異なるが、およそ10−4〜10−5程度と高いため、
設計段階から数値解析などを行って精密に設計される。 しかし、実際の運転条件は設計値と異なることが多く、
しかも常温常圧ではない。つまり、温度は40℃前後で
あり、空胴内は10−8Torr以上の超高真空状態に
なる。このため、熱膨脹や大気圧に因るへこみの影響で
変形し、共振周波数は必ずといって言いほど設計値とは
異なる。 また、空胴製作時の加工寸法誤差も共振周波数が狂う一
因となる。さらに、空胴設計時の解析は、主に、軸対称
な形状のみ解析可能な計算コードによって行われる。高
周波空胴は基本的には軸対称な形状を成しているが、上
述したアンテナ52やチューナ53等の付属機器を取り
付けるポートは軸対称ではない。しかし、設計時には、
それらのポートの影響を無視してポートの無い軸対称な
形状として解析されてしまう。このため、それらのポー
ト、特にアンテナポート51eの影響は大きく、実際の
共振周波数は設計値とは異なることになる。したがって
、このようにして生じた共振周波数の設計値とのずれを
チューナ53によって補正する(ずれ補正)必要がある
【0013】第2の機能は、加速されながら周回するビ
ームに空胴本体51の電磁界の時間変化を同調させるた
め、ビーム運転中の空胴本体51の温度変化に起因する
共振周波数のずれを補正する(フィードバック制御)こ
とである。
【0014】(各セルの共振周波数の補正の必要性)多
連高周波加速空胴の場合、各セル51aの共振周波数を
全て、高精度で設計値に合致させる必要がある。もし、
セル間で共振周波数に違いがある場合、セル間の電磁気
的結合が弱まり、加速効率が低下するからである。この
ため、多連高周波加速空胴では、通常、全てのセル51
aに図示の如くチューナ53を設置し、個々に共振周波
数を調整可能にしている。
【0015】(チューナ制御方法)多連高周波加速空胴
のチューナの加速制御にあっては、各セルを独立して制
御することは、制御システムを複雑化させるので、通常
行われない。その代わりに、各セル51aのチューナ5
3を全て同量ずつ動かすことにより、共振周波数を設定
値に合せる方法が多く用いられる。
【0016】(チューナの設置方式と制御方法)チュー
ナの設置方式としては、2種類がある。つまり、加速器
運転前の共振周波数の設計値とのずれ補正及び加速器運
転時のフィードバック制御を1つのチューナで兼用する
方式と、そのずれ補正及び加速制御を別々に2つのチュ
ーナで行う、図示した方式とである。
【0017】この内、1チューナ方式では、最初にチュ
ーナを各セル毎に適当量挿入して、各セルの共振周波数
を個別に補正する。次いで、フィードバック制御に際し
ては、補正位置から全てのセルのチューナを同時に同量
移動させることにより行う。この1チューナ方式では、
構造は簡単になるが、各チューナの挿入ストローク量の
必要量が大きくなり過ぎることがある。
【0018】これに対して、図6、7に見られる2チュ
ーナ方式では、各セル51aに備えた2つのチューナ5
3、53の内、一方を補正用とし、他方をフィードバッ
ク制御用とする。そして、まず一方のチューナ53で各
セル51a毎に共振周波数を補正し、その位置を固定す
る。この後、他方のチューナ53でフィードバック制御
を行っている。
【0019】(高次モード)加速空胴の各セル内のモー
ドとしては、前述した加速に用いる以外のモードである
、高次モードと呼ばれるモードが在る。この高次モード
の中でも、円周(θ)方向にcos θの依存性を持つ
TM1nlモードと称されるものは、軸上のビームを進
行方向と垂直な方向に蹴るため、ビームの不安定化の原
因になる。
【0020】上記高次モードTM1nlの内、最も多く
みられるTM110モードの各セル51aでの磁界分布
H1,H2は殆どの場合、図8又は図9に示すようにな
ることが分かっている。この磁界分布H1,H2の成因
は、アンテナ52の位置と他のポートの位置とがセル軸
方向からみて円筒面をほぼ4分割していることにある。 図8、9に示す磁界分布は、その向きが相互に90度回
転移動しただけであり、分布形状は同じであるが、共振
周波数は通常互いに異なった値となる。それは、実際の
加速空胴はチューナ53や各種ポートの影響で軸対称性
が崩れているからである。
【0021】このように高次モードTM110が生じて
、ビームが不安定になると、ビーム電流値が大きくなら
ず、加速器の目標仕様を達成できない。なお、高次モー
ドの中でも、TM2nlモードはビームの不安定化の要
因にならないことが知られている。
【0022】(高次モード対策)とくに、多連高周波加
速空胴においては、高次モードがセル間の位相差によっ
て複数のモードに分かれ、複雑なモード群となって、通
過するビームを不安定化させるから、高次モードの影響
を除去することは高能率、高精度な加速器を構成する上
で、必須の要件となっている。この高次モードを除去す
る装置としては、例えば高次モードダンパーが開発され
ている。この高次モードダンパーは、高次モードの電磁
界分布のエネルギーのみを吸収しようとするものである
【0023】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た高次モードダンパーにあっては、加速モードには殆ど
影響を与えず、高次モードのビームだけを選択的に吸収
させることが難しく、そのビーム吸収の実効性に乏しい
ため、その開発が技術的に大変困難であるという問題が
あった。
【0024】ところで、前述した従来構成のように、2
つのチューナ53を各セル毎に備えた多連高周波加速空
胴においては、加速モードは図7の磁界分布Hのように
なり、軸対称なので、2つのチューナ位置における磁界
の強さが同じである。このため、例えば補正用チューナ
53の挿入量を大きくし、その分、制御用チューナ53
の初期挿入量を小さくすると、挿入量変更前と同一の共
振周波数を維持できる。換言すれば、加速モードに対し
て所定共振周波数を得ることができる補正用チューナ5
3及び制御用チューナ53の初期位置は、無数に考えら
れる。
【0025】そこで、このように両チューナ53、53
の位置を連動させて調整することにより、共振周波数を
一定に保持したまま、高次モードの影響をのみを減らす
ことができないかどうかを考えてみる。図8に示すTM
110モードの場合、各チューナ53の位置での磁界の
強さは零になり、図9に示すTM110モードの場合、
各チューナ53の位置での磁界の強さは最大である。こ
のため、図8のモードの場合、前述したようにして加速
モードの共振周波数を一定に保持しながら、補正用チュ
ーナ53と制御用チューナ53の挿入位置を変えても、
両チューナ53、53の位置での磁界の強さはほぼ零で
あるため、その高次TM110モードの共振周波数は殆
ど変化しない。また、図9のモードの場合も、同様に挿
入位置を変化させたとしても、双方のチューナ53、5
3による共振周波数の変化分が相殺し合うから、かかる
高次モードにおける共振周波数は実際上、殆ど変化しな
い。即ち、従来の構成の多連高周波加速空胴をそのまま
用いても、高次モードの影響を減らすことはできないこ
とが分かる。
【0026】本発明は、上述した従来技術の問題に鑑み
てなされたもので、とくに、新たな機構を付加すること
なく、既存の機構を若干アレンジするだけで、加速効率
には何ら影響を与えず、高次モードに起因した荷電粒子
ビームの不安定化を抑制した高周波加速装置を提供する
ことを目的とする。〔発明の構成〕
【0027】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
、本発明では、中心軸を有する複数のセルが隔壁を介し
て軸方向に直列に結合され、荷電粒子のビームを中心軸
方向に通過させる空胴本体と、上記複数個のセルの内の
一つに取り付けられた高周波エネルギー供給用のアンテ
ナと、上記セルの中心軸に関して非対称な2位置に、各
セル毎に取り付けられた共振周波数調整用のチューナと
を有した多連高周波加速空胴を備え、前記各セルの2個
のチューナの内、一方を空胴内に挿入し且つ他方を上記
一方のチューナの挿入に伴う共振周波数変化を打ち消す
量だけ空胴内から引き出すと共に、各セル間で挿入及び
引出しの絶対量を相違させる初期設定手段とを設けた。
【0028】特に、請求項2記載の発明にあっては、前
記各セルにおける2個のチューナの内、一方のチューナ
を前記アンテナの取り付け軸に対して前記セル中心軸回
りにほぼ直角を成す側壁位置に取り付け、他方のチュー
ナを前記一方のチューナに対して前記セル中心軸回りに
ほぼ直角を成す側壁位置に取り付けた。
【0029】
【作用】本発明では、アンテナから供給された高周波電
力によって、各セルの空胴に、セル中心軸に関して軸対
称な加速モードの電磁波分布が形成され、しかも、この
電磁波分布はセル同士で電磁気的に結合される。ビーム
ダクトを介して空胴本体に入射した荷電粒子のビームは
その加速モードの電磁波により加速されて再びビームダ
クトに出射される。このとき、加速モード以外の高次モ
ード(例えばTM1nl)も高周波電力によって形成さ
れる。この高次モードの内、荷電粒子の通過に最も支配
的影響を持つTM110モードによる磁界強度は、例え
ば各セルの2個のチューナの取付け軸の内の一方を、ア
ンテナの取付け軸及び他方の取付け軸と直交させた場合
(請求項2記載の発明)、一方のチューナ位置において
最大となり、他方のチューナ位置において殆ど零となる
など、大きく異なった値をとる。
【0030】この状態で、初期設定手段によって、各セ
ルの2個のチューナの内、一方が空胴内に所定量だけ挿
入され、これに伴う共振周波数変化を打ち消す量だけ他
方が引き出され、且つ、その挿入・引出しの絶対量は各
セル毎に異なる値とされる。しかし、各セルの共振周波
数は一定のままであり、結合度も含め、加速モードの電
磁界分布には何の影響も与えない。一方、TM110モ
ードの電磁波分布に対しては2個のチューナのストロー
ク変化に拠る蓄積エネルギーの変化が相殺されないため
、TM110モードの共振周波数が変化する。しかも、
この共振周波数は各セル間で積極的にばらつくから、T
M110モードの各セル間の電磁気的結合が積極的に弱
められ、このTM110モードに因るビームの不安定化
の度合いが格段に減少する。
【0031】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜図5に基き
説明する。この実施例は、荷電粒子として電子ビームを
用い、そのビームを加速する円形加速器に適用したもの
である。
【0032】この円形加速器は、図1に示すように、電
子ビームに高周波エネルギーを与えて加速する高周波加
速装置1を備える。この高周波加速装置1は、円形に配
列させたビームダクト(図示せず)中に介挿された多連
高周波加速空胴2と、この加速空胴2を制御する制御部
3とを有する。
【0033】多連高周波加速空胴2は基本的には前述し
た従来のものと同様の構造になっている。つまり、多連
高周波加速空胴2は、図1、2に示す如く、略円筒状の
空胴本体11を有する。この空胴本体11は円筒状の3
個のセル11a…11aを隔壁11b,11bを介して
軸方向に直列に結合したもので、各隔壁11bにはビー
ム通過用の孔11cが設けられ、これにより各セル11
a同士が電磁気的に結合可能に形成されている。両端の
セル11a、11aの軸方向両側面にはビームポート1
1d,11dが設けられ、この各ビームポート11dが
フランジを介して加速器のビームダクトに接続されてい
る。
【0034】さらに、真ん中のセル11aの筒状周壁の
所定位置にはアンテナポート11eが設けられ、このア
ンテナポート11eをセル中心軸O回りに略90度回転
移動させた側壁位置には真空排気ポート11fが設けら
れている。アンテナポート11eには、空胴本体11に
高周波電力を供給するアンテナ12が設けられ、このア
ンテナ12は図示しない高周波電源に接続されている。 また、図2において排気ポート11fをセル中心軸Oの
時計回りに略90度及び略180度回転移動させた、各
セル11aの2カ所の側壁位置にはチューナポート11
g,11hが各々設けられ、このポート11g、11h
の各々にセル11aの共振周波数を調整するチューナ1
3a、13bが各々設置されている。つまり、セル軸方
向からみたとき、空胴周壁を4分割する位置にアンテナ
12、排気ポート11f、チューナ13a、13bが取
り付け軸を相互に直交させた状態で取り付けられ、チュ
ーナ13a、13bの取付け軸の成す角度が略90度で
隣接している。
【0035】上記アンテナ12から高周波電力が入射す
ると、従来と同様に、電子ビームを加速する電磁界分布
(モードという)が全てのセル11aに同時に形成され
、このモードにより電子が加速される。図2には加速モ
ードの各セル11aでの磁界分布Hを示す。この磁界分
布Hはアンテナ12やその他、ポートなどの若干の影響
を除いて、中心軸Oに関して軸対称になっている。
【0036】また、チューナ13a,13bをセル11
a内に出し入れすると、前述したと同様に、チューナ位
置での磁界の強さとチューナ挿入量(ストローク位置)
に比例した状態で、セル内の共振周波数を調整できる。 また、各チューナ13a,13bは、そのストローク位
置に対応した位置信号を後述するコントローラに出力で
きる。
【0037】さらに、加速効率に悪影響を及ぼす高次モ
ードTM1nlの内、その大部分を支配するモードTM
110は、アンテナ12及びその他の幾何学的配置に起
因して、図3又は図4に示した矢印H1,H2(磁力線
による磁界分布を示す)のように形成される。この内、
図3に示した磁界分布H1,H2は、図4に示した分布
H1,H2を90度回転させた形状を成し、磁界分布H
1,H2は殆ど線対象を成す。
【0038】一方、制御部3は、各チューナ13a,1
3bのストロークを変更する電動モータ21…21と、
この各電動モータ21の回転量をモータ駆動回路22を
介して制御するコントローラ23と、各セル11a内の
電界強度を個別に検知し、その検知信号をコントローラ
23に出力するプローブ24と、オペレータがマニュア
ルでコントローラ23に指令を与えるチューナ制御盤2
5とを含む。
【0039】コントローラ23はコンピュータを有して
おり、チューナ制御盤25及び各プローブ24からの入
力信号等に基づき、マニュアル操作の初期設定及び自動
運転のフィードバック制御に関するチューナの出入れ量
の指令を行う。この内、初期設定の流れを示すと図5の
ようになる。つまり、マニュアル操作が開始されると、
チューナ制御盤25からオペレータが指示した、共振周
波数のずれ補正に関する指令信号を取り込む(ステップ
100)。次いで、各セル11a毎に、共振周波数の実
際値を設計値に合わせるための各チューナ13の挿入位
置に関する補正信号を演算し、その演算信号を片方のチ
ューナ13b(図2における横位置のチューナ)のモー
タ駆動回路22に出力する(ステップ101)。このと
き、補正信号には運転中のセル温度も加味される。次い
で、コントローラ23は、オペレータからの各セル間の
チューナ位置のばらつき指令を待つ(ステップ102、
103)。そして、ばらつき指令を受けとると、予めメ
モリに記憶している加速モードのチューナ特性のデータ
に基き、各チューナ13a,13bの出入れ量の絶対値
を演算する(ステップ104)。この絶対量は各セル1
1a毎に異なる値になる。次いで、演算した絶対量に基
づき、各セル11aのチューナ13a,13bの出入れ
を制御する制御信号を、対応するモータ駆動回路22に
供給する(ステップ105)。このとき、各制御信号は
、各セル11aにおける一方のチューナ13aを演算値
だけセル内に更に挿入し、他方のチューナ13bを演算
値だけセル内から引き出す内容となる。この後、コント
ローラ23は、メインプログラムに戻って、自動運転の
指令を待つ。
【0040】ここで、各モータ21、各モータ駆動回路
22、チューナ制御盤25、及び図5のステップ102
〜105の処理が本発明の初期設定手段を形成している
【0041】次に、本実施例の作用効果を説明する。
【0042】加速器の立上げ前に、オペレータはチュー
ナ制御盤25を介して共振周波数のマニュアルの初期設
定を行う。この初期設定の指令は、コントローラ23か
らモータ駆動回路22を介して各モータ21を駆動させ
ることにより行われ、各セル11aの2個のチューナ1
3a,13bの挿入位置が個別に制御される(図5の処
理参照)。このマニュアル設定では、各セル11aの共
振周波数の設計値と実際値とのずれが一方のチューナ1
3bの出入れ量を調整して補正される。これのみならず
、各セル11aにおける一方のチューナ13bの引き出
し量と他方のチューナ13aの挿入量とを同一にしなが
ら、例えば図1に示すように、各セル間で異なる絶対量
の出入れがなされる。
【0043】しかし、加速モードは各セル11aで軸対
称であるから(図2参照)、各セル11aの加速モード
の共振周波数は初期設定の値が維持される。これに対し
て、各セル11aで高次モードTM110の電磁波の両
チューナ13a、13b位置の磁界強度が異なるため(
図3又は図4参照)、各セル11a間の高次モードの共
振周波数が積極的にずらされる。したがって、加速モー
ドには何等、悪影響を与えない状態で、セル11a間の
高次モードTM110に対する電磁気的結合が従来より
も格段に弱まるから、高次モードTM110に起因した
電子ビームの不安定化の解消が進み、ビーム安定性が格
段に向上する。
【0044】なお、上記実施例においては、各セルの2
個のチューナの13a,13bの取付け位置を、両取付
け軸の延長線が互いに大略直交する状態(直交する状態
も含む)としたが、これは必ずしも大略直交する状態で
なくてもよく、要は両チューナ位置における磁界強度が
異なるようにすれば良いのであり、前記実施例のアンテ
ナ位置構成では、両チューナ13a、13bの内の一方
を固定した状態で、他方の位置を、互いの取付け軸の延
長線が成す角度が構造的制約も含めて、約45度位から
約135度位までが特に有効である。その理由は、この
角度範囲を離れると、2つのチューナ位置での磁場強度
にあまり大きな差が無く、高次モード抑制の効果が小さ
くなると共に、アンテナポートや真空排気ポートなどを
含めた、ポートの配置も困難になってくるためである。 これにより、アンテナポート11e、真空排気ポート1
1fなど、各ポートの位置関係に応じて両チューナ13
a、13bの取付け位置の選択設計の自由度が高まる。
【0045】また、ビーム不安定化を招く高次モードと
しては、前述したものの他、TM111 モード,TM
120モードなどが考えられる。また、前記実施例にお
いては、各セル毎にチューナ位置をばらつかせる操作を
、制御系により自動的に行っているが、本発明ではその
ような手法に限定されることなく、マニュアル操作でも
構わない。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、各セルに
おける2個のチューナの内、一方のチューナをアンテナ
の取り付け軸に対してセル中心軸回りにほぼ直角を成す
側壁位置に取り付け、他方のチューナを一方のチューナ
に対してセル中心軸回りにほぼ直角を成す側壁位置に取
り付ける等、2個のチューナをセル中心軸に関して非対
称な2位置に取り付けた多連高周波加速空胴とし、各セ
ルの2個のチューナの内、一方を空胴内に挿入し且つ他
方を上記一方のチューナの挿入に伴う共振周波数変化を
打ち消す量だけ空胴内から引き出すと共に、各セル間で
挿入及び引出しの絶対量を相違させる初期設定手段を設
けた。このため、初期設定手段で初期設定を行った場合
、加速モードにおける両チューナ位置の磁界強度は同じ
であるから、加速モードの共振周波数には何ら悪影響を
与えず、高精度な加速モードを形成できる一方で、高次
モード(例えばTM110)における両チューナ位置の
磁界強度が異なることによって、各セルの高次モードの
共振周波数が相互に積極的にずれてばらつく。したがっ
て、高次モードにおける各セル間の結合が従来よりも格
段に弱まり、高次モードに起因したビームの不安定化が
抑制され、強いては、ビーム寿命の長い、高性能な加速
器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る円形加速器の高周波加
速装置の概略構成図。
【図2】図1中のII−II線に沿った概略断面図。
【図3】実施例の高次モードの一例を示す磁界分布図。
【図4】実施例の高次モードの他の例を示す磁界分布図
【図5】実施例のコントローラにおける初期設定例を示
す概略フローチャート。
【図6】従来の多連高周波加速空胴の概略構成を示す断
面図。
【図7】図6中のVII −VII 線に沿った概略断
面図。
【図8】従来の高次モードの一例を示す磁界分布図。
【図9】従来の高次モードの他の例を示す磁界分布図。
【符号の説明】
1  高周波加速装置 2  多連高周波加速空胴 3  制御部 11  空胴本体 11a  セル 11b  隔壁 12  アンテナ 13a,13b  チューナ 21  電動モータ 22  モータ駆動回路 23  コントローラ 24  プローブ 25  チューナ制御盤

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  中心軸を有する複数のセルが隔壁を介
    して軸方向に直列に結合され、荷電粒子のビームを中心
    軸方向に通過させる空胴本体と、上記複数個のセルの内
    の一つに取り付けられた高周波エネルギー供給用のアン
    テナと、上記セルの中心軸に関して非対称な2位置に、
    各セル毎に取り付けられた共振周波数調整用のチューナ
    とを有した多連高周波加速空胴を備え、前記各セルの2
    個のチューナの内、一方を空胴内に挿入し且つ他方を上
    記一方のチューナの挿入に伴う共振周波数変化を打ち消
    す量だけ空胴内から引き出すと共に、各セル間で挿入及
    び引出しの絶対量を相違させる初期設定手段を設けたこ
    とを特徴とする加速器の高周波加速装置。
  2. 【請求項2】  前記各セルにおける2個のチューナの
    内、一方のチューナを前記アンテナの取り付け軸に対し
    て前記セル中心軸回りにほぼ直角を成す側壁位置に取り
    付け、他方のチューナを前記一方のチューナに対して前
    記セル中心軸回りにほぼ直角を成す側壁位置に取り付け
    た請求項1記載の加速器の高周波加速装置。
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