JPH0430163Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 考案の目的 〔産業上の利用分野〕 本考案は、医療関係機関から排出される汚染廃
棄物の収集運搬、積換え保管、最終処分に至る迄
の廃棄物の収納容器に関する。

〔従来の技術〕

近来、各医療機関において使用されている器材
（注射器、注射針、輸液具、検査用シヤーレ、試
験管等）は、使い捨て型式のものが普及してお
り、これらの使用済み器材は、一般ゴミまたは産
業廃棄物として処理されている。また、使用済の
ガーゼ、包帯、薬空瓶（血液製剤のみ）等々の廃
棄物についても同様であるが、これらは全て何等
かの形で患者の体液に接触・使用済のものである
ため当然のことながら疫学的に細菌、ウイルス等
の汚染を受けているものと考えられる。

従つて、これらの廃棄物を取扱うものた適切な
対策が採られない限り、常に飛沫感染や接触感染
の可能性が充分にある状況下で作業しなければな
らないことになる。

本来、これら使用済み器材は全て滅菌処理を施
した上で廃棄されるべきであるが、現実には、中
間処理設備を備えるところも少ないし、取扱いの
際、感染の危険を伴なう等面倒でもあるので、そ
のままポリ袋に入れて捨てるとか段ボールに詰め
て業者に渡すケースが多いと云われている。

この種の廃棄物は現在、焼却処理するか捨てら
れているが、そのまま生ゴミを焼却すると器材を
汚染した細菌等が廃棄物が炭化する以前に空中に
飛散して飛沫感染を引起すおそれがある。

現在は、法的規制を受けていない事もあつて
か、これら使用済み器材の処理についての適正処
置は、極めて不徹底である。万一、廃棄物の取扱
いによつて感染事故が生じても、その因果関係を
知ることは極めてむずかしく、また原因が解らぬ
ままに処置が手遅れになると云つた事態が起こり
かねない状態である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

そこで本考案は、これら汚染された使用済器材
の衛生的処理のための、 (1) 廃棄物収集搬送の際の密封容器、 (2) 中間処理としての滅菌処理を施すための廃棄
物収集容器、 を兼ねる通い函形式の専用のごみ容器を提供し、
以て、廃棄物処理に当る作業員の防疫的な安全性
の確保と、その後の処分に際して、汚染器材から
細菌類を外部に飛散させないようにすることを目
的とするものである。すなわち、適切な滅菌処理
を経た廃棄物の、その後の処理は、一般の産業廃
棄物の処理と同等に取扱つても上述の問題が生じ
るおそれがない。

(ロ) 考案の構成 〔問題点を解決するための手段〕 本考案容器は、上述の目的を達成するため、以
下に記載するような構成要件を具備している。

(1) 上面に容器搬出用取手を設けるとともに、通
気孔を穿設し、且つ全ての前記通気孔を塞ぐよ
うに多孔板により囲まれた綿栓を裏面側に着脱
可能に取付けてなる、容器本体上面開口部をパ
ツキン材を介して気密に封止するための密封蓋
と、薄金属性縦長容器の上部外側開口縁に、前
記密封蓋上面に係止してこれを容器開口縁に封
止するための封止用クランプを設けてなる容器
本体、とより構成されてなる滅菌用ごみ容器。

(2) 綿栓および縦長容器の内部底面に脱臭剤を散
布してなる上記(1)記載の滅菌用ごみ容器。

〔作用〕

本考案容器を開口したまま使用済み器材廃棄の
ための専用容器として所要箇所に配置して、汚染
器材は、すべて同容器内に投棄するものとした
上、廃棄物が適当量に達したときは備付けの密封
蓋をクランプして廃棄物移送に先立つて汚染器材
と容器取扱い作業者との間を隔離し、細菌等によ
る感染の発生を防ぐ。

この際、容器内の底部に脱臭剤を布設しておけ
ば廃棄物投棄のため長時間容器を室内に配置して
おいても、既投棄器材から発生する臭を、ほぼ消
去することが可能となる。

また、人手による容器の運搬の際には、容器、
殊に密封蓋に回動自在の提手（取手）を設けてお
くと取扱いが容易である。

この専用容器の取扱い運搬中、その他の場合に
温度変化とか多少の気圧変動のために容器内外の
空気が通気孔を通じて流通することがあつても、
その空気は密封蓋に設けた綿栓によつて過され
て汚染器材に付着した細菌等が外部に散逸するお
それがない。その際、容器内部にこもつた臭が外
部に流出するのを防ぐには綿栓を囲む多孔板内に
脱臭剤を装着しておくことが必要である。この部
分に脱臭剤を布設しても綿栓による細菌の過機
能には変化がない。

かくして密封された容器のまま、滅菌処理施設
に集積された専用容器は、開蓋することなく、ま
とめてオートクレープ内に納め一定時間、高圧蒸
気滅菌（2.1at，121°C，20min）処理を施す。高
圧蒸気は密封蓋に設けられた通気孔と綿栓を通し
て専用容器内の廃棄物に達し、必要かつ充分に使
用済器材を滅菌する。したがつて、密封蓋のパツ
キン材は、上述の温度条件に耐えるものであつ
て、しかも充分に機能するものでなければならな
い。滅菌処理後の容器は、ここで開封され内容物
を取出すが、この際、場合によつては臭を発する
ことがあるので滅菌済器材は一定時間、脱臭室に
保管した後、一般の産業廃棄物の処理と同様のル
ートで処理される。

なお、上述の滅菌処理は、ガス滅菌法（エチレ
ンオキサイドにより2hr）または乾熱滅菌法（180
℃で30min）によつても可能であつて、本考案容
器は、そのいずれの処理にも対応できる構造を採
用している。

以上の経過によつて空になつた専用容器は密封
蓋と共に、滅菌処理施設から再び、汚染器材が生
じる各医療関係機関に再配送され、新たな廃棄物
の受入れに備えることになる。

〔実施例〕

本考案容器の一実施例を添付図面に従つて説明
すれば、次のとおりである。

第１図は、本考案容器を一部切欠いて示した側
面図で、図中、１はごみ容器本体で、１mm厚のス
テンレススチールで形成した直径25cm、深さ60cm
の有底筒状体をなし、その上部開口縁を丸め、底
辺隅角部は異物が付着しないように、また付着し
ても除去し易いように丸みを施してある。２は、
容器本体１の開口部を密封できる蓋であつて本体
容器と同材質によつて本体開口部の径とほぼ同径
に成形され、その中央部には複数個の通気孔４が
穿設していある。３は、密封蓋２の周縁溝部に嵌
着された環状パツキンで断面円形のネオプレーン
ゴムより構成され、蓋２を本体開口部に載置する
と容器開口縁の丸みに沿つてパツキン３が当接す
るようになり、容器本体１の外側壁の適所に取付
けた少くとも二箇所、望ましくは三箇所のクラン
プ８によつて蓋２を容器本体１に押付け係止する
と、蓋２と本体縁部との間で押圧されて、両者の
間をシールするようになる。５は蓋２の裏面にお
いて通気孔４のすべてを塞いで取付けられた綿栓
で、その周囲は球形に成形されたステンレス金網
６によつてカバーされ、前記ステンレス金網は蝶
ねじ７によつて蓋２に着脱可能に取付け、必要に
応じ綿栓５の更新ができるようにされている。な
お、綿栓５と一緒に脱臭剤を装着しておくものと
する。また、綿栓５は、もめん綿を用いて成形
し、これは空気、蒸気は通すが細菌類は通さない
し、油分があつて濡れても縮まない密栓である。

８は容器本体１の外周壁を三分割して、それぞ
れの箇所に取付けた公知のクランプ機構で、その
爪金の先端で密封蓋２の外周を押え、これを容器
に密封・固着させている。勿論、クランプを外す
ことによつて開蓋は自由にできる。かくして汚染
器材からの雰囲気は蓋の通気孔４を通す外は外部
と遮断されて、その後の容器の取扱い運搬作業員
は、そのための疫学的危険性から免れることがで
きるものとなる。

９は、密封蓋２の上面に設けた回動可能な取手
（提手）であつて、運搬作業員は、前記取手を握
つて容器を提げ（図示仮想線のように）これを移
動させるが、取手から手を離すと、取手は蓋上面
に倒れて邪魔にならない位置を占める（図示実線
のように）。

１０は、容器本体１の底部に布設した脱臭剤で
ある。

(ハ) 考案の効果 以上のとおりであるから、本考案専用容器を使
用して、上述の手続きを踏むようにすれば、医療
関係機関から排出された細菌等に汚染された器材
の廃棄物処理の当事者にも、確実に密封蓋を封止
した後の取扱いには疫学的配慮が必要でなく、さ
らに無菌化処理（高圧蒸気滅菌処理等）を旋した
後に、開蓋して内容物を処分するので、その間、
従来手段にみられるような細菌等による感染事故
の発生するおそれがない。また、無菌化処理迄の
取扱いを、特に訓練された作業員を以て行わせる
ようにすれば一層有効であり、その他の作業は一
般の産業廃棄物処理業者に、まかせても防疫上の
危険性はない。

本考案容器は、一度設備すれば繰返し使用に耐
え、また、その保守のために必要な資材は極めて
少ない。この種の方式は、将来増加するであろう
医療関係機関からの汚染廃棄物の全量処理のため
に充分に対応することができ、その為特に防疫面
で、おろそかになるところはない。さらに、必要
に応じて脱臭剤を容器内に布置することにより、
専用容器の使用中および取扱いの間、廃棄物から
生じる臭を減少させることができる。

取手は密封蓋に取付けてあるので、蓋で本体に
完全に封止した後でなければごみ容器を移動、運
搬することができないようにし、容器の取扱い
上、安全性を持たせてある。

かくして、本考案容器は、この種廃棄物を処理
する産業員の健康保全のために貢献するところが
多大である。

勿論、廃棄物を無処理のまま焼却または処理す
る事に比べれば、その防疫的意義が大きく、社会
のニーズに沿うものであることは云うまでもな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案ごみ容器の一実施例の、一部
を切欠いて示した側面図である。 １……容器本体、２……密封蓋、３……パツキ
ン、４……通気孔、５……綿栓、６……ステンレ
ス金網、７……蝶ねじ、８……クランプ機構、９
……取手、１０……脱臭剤。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 上面に容器搬出用取手を設けるとともに、通
   気孔を穿設し、且つ全ての前記通気孔を塞ぐよ
   うに多孔板により囲まれた細菌遮断・通気性綿
   栓を裏面側に着脱可能に取付けてなる、容器本
   体上面開口部をパツキン材を介して気密に封止
   するための密封蓋と、薄金属製縦長容器の上部
   外側開口縁に、前記密封蓋上面に係止してこれ
   を容器開口縁に封止するための封止用クランプ
   を設けてなる容器本体、とより構成されてなる
   滅菌用ごみ容器。 (2) 綿栓および縦長容器の内部底面に、脱臭剤を
   散布してなる実用新案登録請求の範囲第１項記
   載の滅菌用ごみ容器。