JPH0425639Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、回転する一対の電極ロール間に試料
穀物を挾み、その間に電位差を与えて流れる電流
信号から試料穀物の水分値を検出する穀物の水分
測定装置に関する。

従来の技術 従来、この種の穀物の水分測定装置は、例えば
実公昭56−41247号公報に記載されているものが
あり、これを第５図を用いて説明する。１，１′
は一対の電極ロールであつて、この電極ロール
１，１′は試料穀物２を挾み付けるのに適した間
隔をおいて対向しており、かつ矢印の方向に回転
するものである。そして、一対の電極ロール１，
１′間に試料穀物２が挾まれた際に、その間に流
れる電流信号、例えば、一対の電極ロール１，
１′に抵抗を直列にして定電圧電源に接続し、抵
抗の両端の電圧によつて試料穀物の水分を測定し
ている。

考案が解決しようとする問題点 ところで、このような従来の水分測定装置にあ
つては、一対の電極ロールの対向間隔が一定とな
つているので、試料穀物が受ける圧力は、粒形の
大小等によつて著しく異なり、それが検出される
電気信号に影響して測定精度を低くする原因とな
つていた。

そこで、この種の穀物の水分測定装置におい
て、測定精度の向上を図るには、一対の電極ロー
ル間で試料穀物が受ける圧力を均等に保つと共
に、その圧力の変化によつて水分の検出値を補正
することが重要である。

問題点を解決するための手段 本考案は、前記問題点を解決するためのもので
あつて、以下にその内容を実施例に対応する第１
図ないし第３図を用いて説明する。

回転する一対の電極ロール１０１，１０１′間
に試料穀物を挾み、その間に電位差を与えて流れ
る電流信号から試料穀物の水分を測定するものに
おいて、上記一対の電極ロール１０１，１０１′
の一方１０１は互いに接触しない小間隔位置から
互いに離間する方向に変位自在となつている。そ
して、変位自在の電極ロール１０１は他方の電極
ロール１０１′に対して接近する方向に弾力支持
されている。また、一対の電極１０１，１０１′
が試料穀物を挾んだ際に変位自在の電極ロール１
０１が変位する量を検出する検出器１０６′を設
けて、この検出器１０６′で検出された変位量で
水分検出値が補正されるように構成されている。

作 用 水分を測定する試料穀物は、電位差が与えられ
ている一対の電極ロール１０１，１０１′間に挾
まれて押圧される。そして、その過程で一対の電
極ロール１０１，１０１′間に試料穀物を介して
流れる電流信号が検出され、その電流信号から試
料穀物の水分が測定される。一対の電極ロール１
０１，１０１′の一方１０１は、それが互いに接
触しない小間隔位置から離間する方向に変位自在
であり、かつ互いに接近する方向に弾力支持され
ているので、試料穀物の粒形の大小にかかわら
ず、一対の電極ロール１０１，１０１′間に挾ま
れた試料穀物は常に均等な圧力を受けるうえ、一
方の電極ロール１０１の変位量が検出器１０６′
で検出されて水分検出値が補正されるので、試料
穀物の水分は高い精度で測定される。

実施例 本考案の一実施例を第１図ないし第４図につい
て説明する。

第１図および第２図において、１０１，１０
１′は一対の電極ロールであつて、その一方の電
極ロール１０１は、定位置に設けられた他方の電
極ロール１０１に対して、互いに接触しない小間
隔ｔ位置から互いに離間する方向にt′だけ変位自
在に支承されている。そして、その変位自在の電
極ロール１０１は、圧縮バネ１０２によつて定位
置側の電極ロール１０１′に接近する方向に弾力
支持されている。１０３は電極ロール１０１の変
位ボス、１０４はその支承体、１０５は圧縮バネ
１０２の支持部材であり、上記変位ボス１０３
は、電極ロール１０１の変位量を検出する検出器
１０６′を構成する差動トランス１０６のスライ
ドコア１０７に当接していて、このスライドコア
１０７は弱いバネ１０８によつて変位ボス１０３
に圧接されている。差動トランス１０６は、一次
コイル１０９と二次コイル１１０を備えている。
一対の電極ロール１０１，１０１′はギヤ１１１，
１１１′によつて連動され、互いに反対方向に矢
印のように回転されるものである。

第３図には、以上のように構成されたものによ
る測定回路が例示されており、一対の電極ロール
１０１，１０１′は抵抗１１２を直列にして定電
圧電源１１３に接続されており、抵抗１１２の両
端の電圧ｅが検出されるようになつている。ま
た、電極ロール１０１の変位量を検出する検出器
１０６′の差動トランス１０６の一次コイル１０
９は入力側で、電源となる発振回路１１４に接続
され、二次コイル１１０は出力側で、全波整流平
滑回路１１５を経て出力電圧e′が検出されるよう
になつている。この出力電圧ｅは可変抵抗１１６
によつて調整可能となつている。１１７は水分値
検出回路であつて、この水分値検出回路１１７は
マイクロコンピユータ等によつて構成されてお
り、第４図に示す如き作用をするものである。１
１８は試料穀物である。

この実施例の穀物の水分測定装置において、今
試料穀物１１８が一対の電極ロール１０１，１０
１′間に供給されると、その試料穀物１１８は一
対の電極ロール１０１，１０１′の回転によつて
その間に挾込まれたうえ下方へ落下する。そし
て、一対の電極ロール１０１，１０１′間に試料
穀物１１８が挾まれると、一方の電極ロール１０
１は圧縮バネ１０２に抗して変位するので、その
変位量は差動トランス１０６の出力電圧e′の変化
として現われる。そして、上記の如く検出された
水分値は、一方の電極ロール１０１の変位量によ
つて補正されるので、一対の電極ロール１０１，
１０１′間に挾まれた試料穀物１１８が圧縮バネ
１０２によつて略均等な圧力を受けることと相俟
つて、粒形の大小等にかかわらず、高い精度で水
分測定がなされることになる。

すなわち、第４図に示すように、一対の電極ロ
ール１０１，１０１間を１粒の試料穀物１１８が
通過する際に、一対の電極ロール１０１の変位量
Ｔは、t′−ｔのように変化するが、試料穀物１１
８の受ける圧力は略均等に保たれるので、抵抗１
１２の両端の電圧ｅはなだらかな曲線をえがくの
みで略均等に検出される。これに対して従来のよ
うに、一対の電極ロールの対向間隔を一定とした
場合は、e₀のように出力電圧が大きなピークとな
る。

また、第４図に示すように、水分値検出回路１
１７において、１粒の試料穀物１１８の測定点を
時間の経過としてイ〜トの如く検出するものとす
れば、次のように１粒の試料穀物１１８について
細部にわたる測定結果を得ることができる。

○ 水分mji＝Ｆ（eji.T₁i.θ₁ｉ）の式より求める。
(1) ○ １粒の平均水分値mj＝mj₁＋mj₂＋…mjn／ｎ (2) ○ １粒の水分偏差 ○ 全体の平均水分Ｍ＝m₁＋m₂＋……＋m_s／Ｓ (4) ○ 全体の１粒毎の水分偏差 ○ 全体の水分偏差の平均 △Ｍ＝△m₁＋△m₂＋……＋△m_s／Ｓ…… (6) なお、上記各式(1)〜(6)においては、 Ｆ：函数 Ｍ：水分 θ：温度 ｎ：回数
ｅ：電圧 Ｔ：距離 Ｓ：回数 ｉ：各粒の測定
点 ｎ：各粒の測定回数 ｊ：１粒毎の番号
ｓ：全体の測定粒数 とするものである。

上式(4)から平均水分、式(5)から未熟粒の混入度
合、式(6)から試料穀物の粒形の歪等が判別でき、
これらの各検出データによつて、穀物の自動乾燥
制御はもとより、乾燥温度のコントロールに応用
することが可能となる。

考案の効果 要するに本考案は、前記のように構成したか
ら、一対の電極ロール１０１，１０１′間で試料
穀物が受ける圧力を均等に保たせると共に、電極
ロール１０１の変位量に応じて水分検出値を補正
して、水分の測定精度を著しく向上させることが
できる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る穀物の水分測定装置の一実
施例を示すものであつて、第１図は装置の概略正
面図、第２図は同上平面図、第３図は装置の要部
回路図、第４図は作用説明図、第５図は従来例の
説明図である。 １０１，１０１′……一対の電極ロール、１０
２……圧縮バネ、１０６……差動トランス、１１
３……定電圧電源、１１７……水分値検出回路、
１１８……試料穀物。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 回転する一対の電極ロール間に試料穀物を挾
   み、その間に電位差を与えて流れる電流信号か
   ら試料穀物の水分を測定するものにおいて、一
   対の電極ロールの一方を変位自在として弾力支
   持すると共に、一対の電極ロールが試料穀物を
   挾んだ際に上記変位自在の電極ロールの変位量
   を検出する検出器を設け、この検出器で検出さ
   れた変位量で水分検出値を補正するように構成
   したことを特徴とする穀物の水分測定装置。 (2) 変位自在の電極ロールに差動トランスを連結
   してその変位量の検出器としたことを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載の穀物の
   水分測定装置。