JPH0424437Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は乾燥試料籾一粒中の水分分布を簡単か
つ正確に測定することができる籾の水分測定装置
に関する。

従来技術 集穫した含水状態の籾を籾乾燥機を使用して流
通する熱風により所定含水率に仕上げ乾燥せしめ
る際に、該籾の乾燥速度を急激に早めると籾の内
部に歪が発生し、乾燥後該籾を放置しておくと胴
割れが起り、次工程の籾摺作業時に籾が破砕され
てしまうことはこの種乾燥業界においては周知で
あり、しかも、上記の如き籾の歪の発生原因は、
一般に籾表面における水分発散速度と籾内部の水
分が表面に向け移動する水分拡散移動速度との不
均衡に起因する籾内部の水分ムラによるものであ
ることは本出願前例えば、昭和39年７月１日に
（社）全国米麦改良協会が発行した雑誌「米麦改
良」７月号第11頁ないし第17頁に記載されていて
周知である。

従つて、籾乾燥作業時にあつては乾燥籾中の水
分分布状態を正確に知ることは胴割れ発生を防ぐ
上において誠に重要であり、従前にあつては、こ
れが乾燥籾一粒の水分分布を測定するものとし
て、一粒の測定試料玄米を、玄米の長軸を含む長
さ方向に平行な面で切断した後、切断面から水分
が放散しないように防湿合成樹脂PARAFILMを
貼り付け、切断面のほぼ長軸上を５等分して胚側
から１，２，３，４の番号を付けて測点とし、そ
れぞれの点に0.6mmの間隔をおいて設けた２本の
貫入針をつきさして各点の電気抵抗値を測定する
ようにした水分測定装置は本出願前例えば昭和54
年12月に三輪精博が発表した研究論文「もみの水
分拡散特性と胴割れに関する実験的研究」に記載
されていて公知である。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら、従前におけるこの種水分測定装
置においては、水分分布の測定時に際して必らず
小さな一粒の玄米を切断する作業、切断面へのテ
ープ貼着作業および測定作業の３作業を必要とす
るため、測定操作が難しく実用的とならない問題
が生じた。

そこで本考案は、前述のような面倒な３作業を
行わなくても、ドリルの単なる回動操作で電気抵
抗値を検出する一対の電極を試料籾中へ適当深さ
まで簡単に挿入して試料籾一粒中の水分分布を迅
速かつ正確に測定することができる目的をもつた
籾の水分測定装置を提供して上記の問題を解決し
たものである。

問題点を解決するための手段 したがつて、本考案の技術的課題は試料籾一粒
中の水分分布を簡単迅速かつ正確に測定して乾燥
作業時における籾の胴割れ発生を未然に防止する
ことにある。

この技術的課題を解決するために、特にその構
成を、長手方向に沿つて刃溝を螺旋状に成形した
絶縁性材料からなるドリルの先端面に適当間隔を
おいて表面が露出した一対の電極を埋設すると共
に、前記一対の電極に接続されたリード線の他端
は電気抵抗計に夫々接続したことを特徴とする籾
の水分測定装置としたものである。

作 用 上記技術的手段は次のように作用する（図面参
照）。

今、循環乾燥されている籾中よ抽出した試料籾
２の一粒を適当な試料台１０上に載置し、次いで
試料籾２の略中心位置に一対の電極６，６が当る
ようにドリル１を突き立てながら回転させ、ドリ
ル１の掘削作用により一対の電極６，６が各測定
位置に到達するよう順次挿入せしめる。さすれば
試料２内部における各測定位置の電気抵抗値はそ
の都度電気抵抗計８に表示され読み取られる。そ
して上記の如き試料籾内部における水分分布測定
操作を他の試料籾により複数回に亘り行う。

そして得られた測定結果により試料籾２内部の
水分分布が例えば大きい時には歪大とみなし、胴
割れが発生しやすいと判断して乾燥条件を胴割れ
が発生しないようにコントロールして乾燥作業を
続行させ、又試料籾内部の水分分布が小さい時に
は歪小とみなし、胴割れが発生しにくいと判断し
て、そのままの乾燥条件のもとで乾燥を継続させ
る。

実施例 本考案に係る籾の水分測定装置を添附図面に示
された好適な一実施例について説明する。

図面において、１は循環乾燥されている多量の
籾中より抽出した試料籾２一粒ずつの水分分布を
迅速かつ簡単に測定するためのドリルであつて、
該ドリル１は、長手方向に沿つて刃溝３，３を螺
旋状に成形した絶縁性材料により塑成され、しか
も該ドリル１の基端側にはドリル１を一方に向け
回転させるための把手部４が設けられている。そ
して、上記のように形成されたドリル１の先端面
５には、適当間隔（例えば0.5〜0.6mm）をおいて
表面が露出するように一対の電極６，６を埋設せ
しめると共に前記一対の電極６，６に接続された
リード線７，７の他端をドリル１と別体或は一体
に設けられた電気抵抗計８に接続せしめて測定点
の電気抵抗値を電気抵抗計８の目盛板９に表示せ
しめる。なお上記電気抵抗計８の目盛板９には、
電気抵抗値の代りに水分値を表示せしめれば、よ
り便利である。１０は試料籾２一粒を載置するた
めの試料台であつて、該試料台１０の表面には試
料籾２を嵌入できる嵌入凹部１１が形成されてい
る。

試料籾２内部の水分分布を測定する手段の一例
として、本考案にあつては、第３図に示されたよ
うに、先ず試料台１０の嵌入凹部１１内に載置さ
れた一粒の試料籾２の略中心位置に、一対の電極
６，６が当るように把手部４を持つてドリル１を
突き立てながら回転させ、ドリル１の掘削作用
で、一対の電極６，６を予め決められた各測定位
置ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅ……に到達するように順次
挿入せしめながら各測定位置における電気抵抗値
を一対の電極６，６により測定し、これが電気抵
抗値を電気抵抗計８の目盛板９へ表示せしめるよ
うに操作する。

そして得られた測定結果により試料籾２内部の
水分分布が大きい時には歪が大であるとみなし、
胴割れが発生しやすいと判断して、乾燥条件（乾
燥温度、風量、流下速度等）を胴割れが発生しな
いようにコントロールして乾燥作業を営ませ、又
試料籾２内部の水分分布が小さい時には歪を小と
みなし、胴割れが発生しにくいと判断して、その
ままの乾燥条件のもとで乾燥を続行させるもので
ある。

本考案に係る籾の水分測定装置はドリル１状と
したので、例え測定しようとする試料籾が小粒で
あつても、破損させずに各測定位置迄一対の電極
６，６を挿入させることができる。

考案の効果 要するに本考案は、前記の如き技術的手段を有
し、かつ作用するものであるから、例え被測定物
が小粒のものであつても、ドリル１の回転による
掘削作用で破損させずに先端面５に、適当間隔を
おいて表面が露出するように埋設された一対の電
極６，６を順次各測定位置に到達するよう挿入し
て、試料籾２内部の水分分布を速かに、しかも簡
単に測定することができる許りでなく、測定する
試料籾２は切断することなく原形のままの状態の
ものであるから、内部の水分分布が正確に測定さ
れ胴割れ発生の判断を適確ならしめることができ
る効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る籾の水分測定装置の一実施
例を示すものであつて、第１図は正面図、第２図
は同側面図、第３図は測定作業状態を示す作用図
である。 １……ドリル、３，３……刃溝、５……ドリル
の先端面、６，６……一対の電極、７，７……リ
ード線、８……電気抵抗計。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 長さ方向に沿つて刃溝を螺旋状に成形した絶縁
   性材料からなるドリルの先端面に適当間隔をおい
   て表面が露出した一対の電極を埋設すると共に、
   前記一対の電極に接続されたリード線の他端は電
   気抵抗計に夫々接続したことを特徴とする籾の水
   分測定装置。